読切小説
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『三角な関係』
「-д-」

今の俺の顔を表現するとしたら、たぶんこんな感じになる。
エリィと別れてからまだ3時間しか経ってないのだから、仕方ないと言ってほしい。

「-д-」

2年間ずっと一緒にいた彼女。
明日、まさにプロポーズしようと思った矢先に起きた、突然で衝撃的すぎる別れ。

「-д-」

俺は自宅でぼ〜〜〜っとしている他なかった。
なかなか実感が湧かないのだから、それくらい許してほしい。

「-д・」

何か怒らせるような事をしただろうか?
エリィの事は、俺が一番良く知っているはずなのに。

「-д-」

いや、彼女の気持ちまではわからない。
きっと何か思うところがあったんだろう…。

「・д・」

ふ〜む。
もう一度良く考えてみよう。






『エリィ、話ってなんだい?』
『貴様との関係も今日限りだ! 消し炭になってしまえ!!』
『え…え?』

きゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜………






「-д-;」

情報が少なすぎてサッパリわからない。
消し炭ではなく黒焦げで済んだのは、彼女の優しさであったと信じたい。

「-д-」

なんだかんだ言っても、やっぱりショックだ。
倹約しながらも頑張って働いたおかげで、ようやく指輪を手に入れることができたのに…。
はぁ〜…。


ウジウジとマイナスな事ばかり考えてしまう。
そんなどうしようもない状況に陥った俺に

………コンコン

と自宅の扉をたたく音。
来客だ。

「エリィ…じゃないよな、さすがに」

苦笑しながらついつい呟いてしまう。
別れたばかりだ、まずありえない。
ほんの少しでも希望を抱くと、そうじゃなかった時のダメージが大きい。
今は心を無にしなくては…。

「今開けまーす」

足早に玄関へ向かい扉を開ける。
そこには…

「お主の嫁に来てやったのじゃ!」

バタンッ!!
おもわず扉を閉めてしまった。
いや、来客に対してあってはならない行為だということはわかっている。
だけどその来客が『バフォメット』だったら…どうする?
俺の今の判断はきっと正しいはず。
………。
もう一度確認しよう。
見間違い(聞き間違い)の可能性も否定しきれない。
……よし!

ガチャ…

「お主の嫁に来t」

バタンッ!!
………。
心が病んでるから…か?
でも幻覚や幻聴が発現するほど追い詰められてはいない。
ましてや、彼女にフられて傷心中の俺に「嫁に来た」などと…馬鹿げている。
それにピンポイントすぎる。
エリィと付き合っていた頃は、こんなこと一度もなかった。
別れてすぐ…狙ったようなタイミングだ。

「………」

もう一度…もう一度だけ確認しよう。

ガチャ…

「嫁n」

バタンッ!!
よし、寝よう!
こんな時は寝て忘れるに限る。
エリィのことは、きっと時間が解決してくれるだろう。

「それじゃ、一眠りしますか」

寝室に向かおうとしたその時…

ガシャーーーーーーーーーーン!!!

「・д・!?」

自宅の奥から物凄い(窓が破壊されたような)音が聞こえた。
あぁ…確認しに行くのが怖い。
下手したら強盗よりも怖い。
いやむしろ強盗であってほしい。
間違ってもさっきのバフォメットではないと信じ…

「な、な、な……何様のつもりじゃお主!!!」
「いやお前が何様だよ!?」

家の奥から現れた不法侵入者に何様かと聞かれてしまった。

「家破壊して上がりこんでくるなんて! 不法侵入もいいとこだぞ!?」
「儂はちゃんと玄関から訪ねてきたではないか!?」
「どこがだよ!? つい今しがた自分で破壊してきただろうが!」
「それはお主がいけないのじゃ!!」
「なんでだよ!? 急に『嫁に来た』なんて言われて家に入れる馬鹿がどこにいる!?」
「『週刊淫デックス』に『今は押しかけ婚が大流行!』と書いてあったのじゃ!!」
「知らねえよ! てゆうか何だその怪しい週刊誌は!?」
「お主…知らぬのか!? 魔界で今人気急上昇中のあれを!?」
「いやなおさら知らねえよ!!」

ハッ!?
初対面のバフォメット相手に、何をこんなに熱くなってるんだ俺は…。
落ち着け…冷静になるんだ。

「ふぅ…まぁあんたが家壊したことに関しては、百歩譲って大目に見よう」
「百歩譲らなくても当然じゃろう? 尻の穴の小さい男じゃのう…」

こ、このロリババァ…!
込み上がってくる怒りの衝動を必死で抑える。

「と、ところで…あんた誰?」

よくぞ聞いてくれた!みたいな表情で胸(AAA)を張るババァ。

「お主はそんなに儂の名が知りたいか?」
「いや、別に知りたくn」
「ふむ! ならば教えてやるのじゃ!」

もういい…疲れた。

「儂の名は『レムリノース』! レムと呼ぶがいい!」
「レム…ね。 で、俺に何の用?」
「言ったであろう? お主の嫁に来たのじゃ!」
「本気で言ってたのか…」

あぁいや、問題はそこじゃない。

「俺が彼女にフられたの…知ってる?」
「あの小生意気なドラゴン娘じゃろ? もちろん知っておる」

……あれ?
鎌をかけてみたらあっさり引っ掛かった。

「あの淫乱ドラゴンに男ができたと聞いての? 仲を引き裂いて略奪してやろうと思うたのじゃ」
「はぇ?」

サラリととんでもないことを口走った。
仲を引き裂く? 略奪?
え? とゆうかエリィとレムは知り合い?

「まぁしかし、思いの他時間が掛かってしもうてのう。 あやつめ…2年も隙を見せんとは……」
「に、2年!?」

俺とエリィが付き合い始めてからずっとってことか!?
どんだけ暇なやつなんだこいつは!

「じゃ、じゃぁ今朝エリィが怒ってたのは…」
「無論、儂の策略じゃ!」

な、なんてことを…!

「2年も調査したのじゃ。 あやつが言われたくないことの1つや2つ、儂には手に取るようにわかるのじゃ」
「エ、エリィに何したんだ!?」
「簡単じゃよ、手紙を書いたのじゃ」
「手紙…?」
「あやつはドラゴンのくせに、自分の翼が大きいことを気にしておるじゃろ?」
「あ…」

確かに。
エリィは翼の話をすると不機嫌になってしまう。
俺もそれを悟って話さないようにしていた。

「手紙にはその事をギッシリと書いておいたのじゃ! もちろんお主を装っての♪」
「随分たちの悪いことしてくれたな!」

だけど、こいつが色々喋ってくれたおかげで誤解が解けそうだ。
すぐにでもエリィに本当のことを…

ドサッ!!

「なっ!?」
「むふふ♪ 行かせると思うておるのか?」

俺を押し倒し、とてつもない力で押さえ込んでくる。

「お主の行動など計算済みじゃ」
「くっ!」
「このまま既成事実を作ってしまえば、お主もあやつの元へは帰れまい?」
「そ、そんな!?」

マジだ…目がマジだ!!

「さぁ…楽しい楽しい子作りの時間じゃ♪」
「ちょ! や、やめ…」

あっという間にズボンをおろされてしまった。

「ふむふむ…なかなかのモノを持っているようじゃの?」
「っ!」

小さな手でスリスリと撫で回してくる。

「じゃが安心せい♪ 儂が責任を持って世話をしてやるからの♪」

ごめんエリィ。
俺、君の宿敵に犯される。

「では、いただきま〜………」

ガシャーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!

「・д・!?」 ←レム
「-д-!?」  ←俺

家の奥から色々と壊れるような凄まじい音が聞こえた。
てゆうか俺の家が…orz

「な、なんじゃ!?」
「私の男から離れろ!」

救世主…!

「エリィ!!」
「悪かったな、確認もせずお前に火を吹いてしまって」
「いや、いいんだ。 俺は君が戻ってきてくれただけで…」

リアル泣きそうなくらい感動している。

「やはり貴様だったかレム。 随分と姑息な真似をしてくれたものだな」
「むむむ…何故じゃ! 何故儂の計画が見抜かれたのじゃ!?」
「ふふ…貴様の書いた手紙だよ」
「なんじゃと?」
「あいつを装って書いたつもりのようだが、1つ重大なミスをしたな」
「わ、儂の筆跡術は完璧じゃったはず! ミスなどするはずが…」
「字…だよ」
「字…じゃと?」

俺は下半身丸出しのまま2人の会話を黙って聴いている。
なんかエリィが探偵みたく見えてきた。

「私はあいつに…魔字など教えていなかったのだからな!!」
「し、しまったのじゃ!!」

魔字?
あぁ、魔物が書いてるあの変な字のことか。
確かに俺は書けない。

「最初は私も気がつかなかった。 内容に目が眩んでしまってな」
「ぐぬぬ…儂としたことが!」

2年もかけたわりには大切なところでイイ加減だな…。

「とゆうわけだ! さぁレム、さっさと退いてもらおうか!?」
「ぐぬぬぬ…!」
「いやせっかくだ。 この女の前で、私たちが子作りする様子を見せつけてやるか!」
「え、ちょ…エリィ!?」

レムを押し退け、エリィは反り立つ俺のモノを擦り始める。

「ふふっ♪ 本当は結婚してからという約束だったが…もう我慢できん…///」
「エ、エリィ…うぅ!?」
「むむむむ…!」

レムは悔しそうな表情でこちらを睨んでいる。

「ふふ…どうだ悔しいか? こいつは私のモノだ。 他の誰にも渡さない…///」

私のモノだ。
これはエリィからのプロポーズ…なのかな?

「ほら、早く出せ♪ レムにお前がイクところを見せてやるんだ♪」
「うっ…はぁ…はぁ」

で、出そうだ…!
このまま…エリィの顔に……!

「それは儂のザーメンじゃーーーーーーーー!!!」
「なっ!?」
「うっ!?」←絶頂

レムがエリィに飛び掛り体勢を崩すと同時に、俺の子種は宙を泳いだ。

「レム…貴様ぁ!! 私のザーメンをよくも無駄にしてくれたな!!!」
「ふん! こうなれば奥の手じゃ! 精をこの身に受け、儂が先に子を宿すのじゃ!!!」

全然奥の手じゃねえ!?

「先を越されてたまるか! おい!早くソレを勃たせろ!!」
「そ、そんな無茶な…!?」
「儂にはピッタリのサイズじゃ! 今のうちに!!」
「なっ!? 貴様…!!」
「ちょ、落ち着いて…ほぐっ!?」

エリィにおもいっきり腹を踏まれ気絶した。
この後どうなったのかは、まったく覚えていない。



ただ覚えていたのは目覚めた時、2人が俺の精液を体中に受けて気絶していたことだけ………
















「もう少しで産まれるはずだ。 お前も楽しみだろ?」
「うん。 きっとエリィにそっくりで、可愛いんだろうな」
「ば、馬鹿! か、可愛いなんて…///」
「絶対に可愛いよ。 だって、君の子だもん」
「〜〜〜〜〜〜〜」
「でも、本当に楽しみだなぁ赤ちゃん」
「…あぁ。 必ず元気な子を産んでやる」

エリィと顔を寄せる。
そして………

「儂を無視するとはどうゆうことじゃーーーーー!!??」
「はぁ…まったく五月蝿いやつだ。 少しは空気を読んだらどうだ?」
「まぁまぁエリィ。 そう言わないで」
「お前もお前だぞ? どうしてこんな女の世話など…」
「いや、ほら…俺にも責任があるわけだし…」

俺たちの前には、お腹の大きくなったレムがいる。
そう、孕ませてしまったのだ。
あの、気絶していた間に…。

「儂も濃ゆいキスをしてほしいのじゃ〜〜〜!!!」
「レ、レム。 あんまり大きな声出しちゃ…」
「昨晩のように儂を愛してほしいのじゃ〜〜〜!!!」

ギクッ!

「今の話は…本当か?」
「い、いや違うんだエリィ! あ、あれはレムが勝手に俺のベッドに入ってきて、それで…」
「愛し合った…のか?」
「組み伏せられたんだ! レムに無理矢理…」
「いや〜お主が口内に舌を入れてきた時は、さすがの儂も蕩けてしまったのじゃ…///」
「なにシレっと嘘ついてるんだよ!?」
「ほう…舌を入れたのか?」
「ち、違う! 誤解だ!! 全部レムの策略で…」



きゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






正妻の座をかけた戦いは、子供が産まれるまで続いたそうな………


10/10/22 21:59更新 / HERO

■作者メッセージ
ドワーフの話が書きたい書きたい書きたい書きたい書きたい…!
と思っていたのに、まったく関係のない話を書いてしまいました。
どうもお久しぶりです。

忙しい毎日の中、フと思いついたお話です。
いかがでしたでしょうか?
ドラゴンことエリィの出番が少ない…反省ですorz

感想をいただけると『とても』嬉しいです!

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