連載小説
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後編
 あの凄まじく妙なパズルを購入して、早二週間が過ぎた。
その間、諦め悪くも『ご褒美』対策は続けていたが、やはり成功はしなかった。
一番いいのは、パズルを解かない事、箱を手放してしまう事なのだろうが…
正直言って、パズルそのものは、どれもよくよく練られたような極上の質なのだ。
自他共に認めるパズルジャンキーの俺に、そんな事はできない。
故に、どうにかして、一番問題の『ご褒美』だけを止める手段を模索し続けた。

 まず、パズルを解いても蓋を開けないという方法をとってみたが…
なにせ彼女は、箱さえあればどこにでも現れる事が出来るのだ。
開けずに寝た二日後あたりから、家にいても、大学にいても、買い出しに行っても

(開けて!)
(開けて。)
(もう、開けてよう…)

 と言わんばかりの、こちらをじっと見つめてくる謎の少女の目につきまとわれ、
そのまた二日後に、精神的にまいって結局開けてしまった。
…その日は涙目になった彼女に、かなり派手に搾られた。
それにやはり、新しいパズルができないのは痛い…この案は失敗だった。

 次に、あらかじめ性欲をなくしておくというアイデアを実践してみた。
具体的に言うと、彼女の目がない風呂場でひたすら自家発電を行い、空にしておくのだ。
いくら何でも、勃たなければ諦めるだろう。

(キ、キツい…)

 元々あまり性欲は強くない方だと自負しているし、
その前日も搾られているのに、さらに抜き続けるのは辛かった。
それにそもそも、発電しきる事そのものが、妙に困難になっていた。
いくら扱いても、一番お気に入りのオカズでも、全然出せないのだ。
まるで、彼女の素晴らしい技巧でないと、満足できない体になってしまったかのように。
…しかも、彼女のことが頭をよぎった途端、なぜか、少しだけ楽になってしまった。

(まさか…)

 危機感を感じたが、今は抜く事が先決、脳内だけだしと自己弁護し、
彼女の顔と技を思い浮かべつつ、どうにか限界まで出し切った。
かなり疲れたが、これで大丈夫と安心し、喜び勇んで箱に入った。しかし…

「…ん?お兄さん。なんかヘンな事してない?」

 …一瞬ヒヤリとした。

「……変な事と言えば、お前としょっちゅうやってる気がするがな。」
「…まあ、そうかも。」
「今日もするんだろ?」
「そりゃもちろんするよ。でも、今日はその前に、お話しない?」
「…何でだ?」
「考えてみたら、お互いの事、まだあんまり知らないなぁって思ってさ。」
「そう言えば…そうだな。まさかそんな言葉が出るとは…」
「失礼な。私だって、エッチな事しか考えてないわけじゃないんだよ?」
「そうか…悪い。」
「まあいいや。お茶って飲む?前の世界の友達が、いい葉っぱ送ってくれたんだ♪」
「じゃあ、貰おうか。」
「ありがと〜♪一人で飲むのは寂しいし、他の友達とはなかなか会えないから、
 お兄さんと一緒に飲めるのは嬉しいなぁ♪それじゃ、お茶淹れてくるね。」

 そう言うと彼女は、お茶を淹れるために、部屋の片隅にあるキッチンに向かった。

(ご褒美の事を除けば、この子も普通の女の子なんだよな…。
 俺でよければ、話に付き合ってやろう。)

 それに、別にすぐ回復するものでもないし、茶飲み話するぐらいなら平気だろう…
…この時は、そう思っていた。

「はい、どうぞ♪」
「どうも。……甘いな。匂いも、なんかホッとする感じだ。」
「でしょ?このお茶って、お砂糖もジャムもいらないくらい甘いんだ。」
「ほー…さすが別世界。」
「いいでしょ♪他にも色々、この世界にはない美味しい物とか色々あるよ。」
「ちょっと興味あるな。」
「そういえば、お兄さんの所はどんな物食べてるの?一度食べてみたいな。
 もちろん、一番食べたいのはお兄さんの精だけど。」
「……。まあ、こっちのも凄いぞ。そっちでは多分作れないような物も沢山あるしな。」
「へぇー…あっ、そうだ!
 お茶飲みながら、ちょっと教えっこしない?お互いに興味ある事。」
「なるほど…いいかもな。」
「何でも…は知らないけど、どんどん聞いてね。私もどんどん聞くから。
 …私の目的については、まだちょっと教えられないけどね。」
「おう。色々聞かせてもらうよ。」

 それから俺達は、お互いの事や世界について、色々な事柄を語り合った。
別に彼女の事が嫌いなわけではないし、可愛い子と普通に喋るのは結構楽しい。
その為、つい話し込んでしまい、ティーポットの茶がなくなるまで話は続いた。

「ありゃ?もう無いや…随分長くお話したんだね。
 今日はこれくらいでお開きかな?」
「そうか…ご馳走さん。楽しかったよ。」
「私も。またお話しようね。
 …それじゃ、ごほうびしよっか♪」
「……どうしてもか?」
「どうしても。欲しいの。」
「…だが、出せるかな?昨日もかなりやったし…」
「その事なら心配ないと思うよ?ほら…」

 何度も見て覚えてしまったのか、彼女から俺のズボンとパンツを脱がせてくる。
…そして、俺の制止を振り切って俺のモノを軽く手で擦ると、
完全に力を失ったはずのモノが、見事に立ち上がってしまった。

「何故ッ…!?」
「あのお茶って、魔物が飲んでも別に何とも無いんだけど、
 男の人にとっては、精力が強くなる効果があるんだよねー。
 あと、お兄さんのカップには『∞クライマックス』ってお薬も少々…
 ……ところで、何故って何?」
「…いや、その…」
「当ててあげようか。お兄さん、オナニーしてるでしょ?それも何度も。」
「え…」
「やっぱり。魔物って、精のニオイにはすごい敏感なんだよね。
 ダメだよー?そんな事しちゃ。もったいない…
 そんな事するなら、こんな風にいくらでも回復させちゃうからね!」
「何だと……ん?勿体無いって?」
「そう。私という者がありながら、折角の精を自分の手なんかで捨てちゃうなんて…
 溜まってるなら、ぜーんぶ受け止めてあげるのに。
 私がごほうびをあげるのは、お兄さん一人だけなんだよ?」
「…だけどお前は…まだ子供じゃないか。」

 彼女のその言葉に嘘が無いらしいのは、既に知っている。
…それを信じられた時、何故かホッとしてしまった事も知っている。
だが、彼女はまだ子供なのだ。
外見通り、これからの未来に希望が溢れている子供。歳も聞いたから間違いない。
たとえ彼女が俺への『ご褒美』を望んでいたとしても、きっとそれは単なる気の迷いだ。
こんな妙な事の為に、彼女を汚す事は許されない。
だから、このままご褒美を続けさせるわけにはいかないのだ。

「それの何がいけないの?子供相手にしちゃダメなんて、人間の間だけのルールでしょ?
 魔物には、そんなの全然大丈夫だよ。」
「…そういう事じゃなく。俺は、お前の将来の事を…」
「将来のこと…?」
「そうだ。
 …こんな事をやってたら、近い将来、確実に後悔する事になるぞ。
 軽い気持ちで自分を使ってたら、きっといつか、汚れすぎて戻れなくなる。
 お前みたいな明るくて、未来ある子供は、もっと自分を大事にしなきゃならないんだ。」
「……」

 彼女はしばらくキョトンとしていたが、やがて、何かを察したらしく、笑顔になった。

「…ふふっ♪優しいんだね…お兄さん。
 でも、安心して。私、夢とかちゃんと持ってるし、
 その夢も、お兄さんへのごほうびがジャマになることは絶対無いから。」
「…性商売か?それなら、殴ってでも止めるぞ。」
「違う違う、違うよ!大丈夫!」
「…なら、いいんだが…どんな夢なんだ?」
「ん〜…それはちょっと、まだ言えないけど。」
「…まあ、今はそれでよしとするか。…そう言うわけで、ご褒美は…」
「するよ?もちろん。」
おいィ!?俺の話聞いてた!?」
「聞いた上で。それでも、お兄さんとしたいの。お兄さんだから、してあげたいの。」
「…嬉しい言葉だが…駄目だ。それはきっと…」
「…いいもん。その気にならないなら、その気にさせるまで。

 もう、オナニーなんかじゃ満足できないようにしてあげる…♪」

「やめろ…!…っく……」

 ああ、この妖艶な笑み…いつものパターンだ。こうなれば、もう抵抗は出来ない…

「今日はね…そうだ。私のおっぱいで気持ちよくしてあげる。」
「…できるのか?」
「なにをー!見て驚きなさい!」

 そう言えば、彼女が服を脱いだ事は、これまで一度も無かった。
何度もご褒美を与える内に、彼女の中で、俺への間違った思いが進行してしまった…のか?
俺が考えている内に、彼女はいつものロリータ服の胸ボタンを外して、思い切りはだけ、
中から、彼女の年齢と外見に似つかわしくない程大きな胸が、ぷるんっと飛び出した。

「ぬっふっふ…どう?実はけっこう自慢なんだ〜♪」
「うおっ……って、ブラくらい着けろよ!?」
「だってめんどくさいんだもん。
 よっぽどの事が無い限り、人間みたいに垂れたりしないし。」

 正直、こんな物が彼女についているとは完全に予想外だった。着痩せするようだし。
胸は大きいほうが好きだし、つい吸い寄せられるように見てしまった。

「さあさあ、いつもみたいにベッドに座って。この柔らかーいので挟んであげるよ♪」

 頭にあるのは一つ、あの胸の感触を楽しんでみたい。…全く、現金で浅ましい男だ。
言われるがままベッドに座ると、完全に調子を取り戻したどころか
これまでよりもさらに硬くそそり立つ愚息を、彼女の真っ白な乳房が優しく包み込んだ。

「柔らかっ…」
「おっ、気に入った?」

 手や口、足よりも刺激の複雑さは無いが、柔らかく暖かく、どこまでも滑らかな肌が
全体を余す所無く包み込み、弱い所にもそうでない所にも、均一に刺激を与えてくれる。
そして何といっても、その視覚効果が凄まじい。
少女の可愛らしさと母性と淫靡さが絶妙に共存している素晴らしい胸を、
誰でもない、この自分の『男』が支配しているという風にも見える光景だ。
現状、好きにされているのは俺なのに。

「それじゃあ動くね。…あ、ジャマにならない位なら、おっぱい弄っていいよ?
 お兄さん、クギヅケみたいだし♪」
「……」

 そして、彼女は自分の乳房を両側から押さえ、上下動が始まった。
何度も搾られているせいか、それとも今日何度か抜いたせいか、
初めの様にすぐに出すといった情けない事はなかったが、
それでも、これまでで最高だと感じたサービスに、こちらの興奮は加速するばかり。

「…触るぞ。」
「どうぞ…あ、やぁんッ♪」

 折角許可されたので、気を紛らわすためにも、
目の前で軽やかに弾む二つの大きな膨らみに、下から手を添えてみた。
彼女の動きに同調するように動かしながら、指を埋めたり、彼女の手との間で潰したり、
愚息と一緒に挟まれてみたりと、感触を大いに楽しんだ。

「ぁう、ちくび、いいよう…」

 触っている内に興奮で血が集まって色づき、ぷっくりと膨らんだ彼女の乳首も忘れない。
大きくなっても尚、俺の指の爪程度の大きさしかない可愛らしいそれを、
親指と人差し指で摘み上げ、そのまま押し潰したり、軽く引っ張ったり。
その度に彼女は頬を染めつつ、規則的な動きをぴくぴくと乱すので、また可愛かった。
こうしてしばらくお互いに楽しんでいると、
やがて、彼女の谷間の汗と俺の先走りが滲み出して混ざり合い、動きが良くなってきた。

「はぁはぁ、ふ、んふ…♪ぬるぬるしてきたね。ペース上げるから、手を離して…」

 惜しみつつも手を離すと、彼女は胸の動きをどんどん激しくしていった。
そのままでも、あらゆる部位を柔らかな感触が一気に擦り抜け、非常に気持ちいいのだが、
激しくなると、当然、その振動によって乳房全体が盛大に震えて、視覚を刺激する。
その上、時に肉が大きく潰され、谷間から先端が飛び出したりもする。
彼女はそれを見逃さず、飛び出した所をタイミングよく舌でくすぐってくるので、
息子と目に一度に襲い来る快感が、次第にこらえきれなくなってきた。

「出そう…だ…!」
「わかった。じゃあ、中に出す?それとも外?
 …あ、先にしようっと!」

 中と外は何となくわかるが、先…?
と疑問に思っている間も無く、いよいよ絶頂がギリギリまで迫ってきた。
すると彼女は一旦胸を離し、両手で右胸を固定し、右胸の先…つまり乳首を、
俺の先端めがけて、真上から思い切り押し付けた。
彼女の乳肉に、爆発寸前のモノは乳首ごと深く、そして圧倒的に柔らかくめり込み、
熱くこりこりした乳首が、俺の先端とキスするかのように強く密着した。
とても幸せな二種類の感触が全体を一気に襲い、
俺は声も無く、肉のへこみを満たして尚あふれるほど大量に出してしまった。

「あぁぁ…ッ!
 …すごい勢い。お兄さんの精、乳首からおっぱいの中に入ってきちゃいそう…♪」

 彼女が乳房の中からモノを抜くと、へこんだ乳房はそのまま元の形に戻り、
その頂点には、あの可愛らしかった乳首を完全に覆い隠すほど大量に吐き出された
俺の白濁がべっとりと張りついていた。

「復活どころか、前よりすごくなってるね。さすがお兄さん!」
「はぁっ…はぁっ…ど、どう考えても、お前のお茶のせいだろ…。」
「そうかもしれないけど…気持ちよかったでしょ?私のおっぱい♪」
「………気持ちは、よかったが…」
「だったら、もうちょっと楽しんでかない?
 お兄さんのそれ、まだまだおっぱいを味わいたい!って言ってるよ?」

 下を見ると、自分の液にまみれた俺の愚息は、未だそのままの大きさを保っていた。
彼女が俺の視界に胸を持ってきてぽよぽよと揺らすと、見ただけなのに愚息が震える。

「ほら、そんなんなってるもん。出さなきゃ辛いでしょ?全部出し切るまで、
 おっぱいがどこもかしこも真っ白になるまで、楽しませてあげる♪」
「ちょっと待て、この調子で行ったら…」
「夜明けになっちゃうかもね?」
「そ、そうだ!明日に響くから…」
「でも、明日は学校も、働くのもお休みなんでしょ?さっき言ってたじゃん。」
「げ……いや、その、箱の外でも擦ってたせいで、流石に痛くて…」
「だったら、魔法で治してあげるよ?」
「ぐぐぐ…」
「……私のご褒美、そんなに嫌なの?」
「え…い、嫌なわけじゃなく…」
「じゃあ、今日くらい、いいでしょ?お薬盛ったりとか、もうしないからさ。
 …お兄さんが、もう全部抜いたりしないって約束してくれたらだけど。」
「…わかった。もう抜いてこない。約束する…」
「うん、いいよ。
 …でも今日はとりあえず、お薬のせいで溜まっちゃったの出して行こうよ。ね?」
「……ダメって言ったら?」
「言わせません。お兄さんも嫌でしょ?スッキリしないままなんて。」
「…好きにしてくれ。」

 結局、箱を出る頃には、黄色い太陽が昇っていた。…この案もダメ。リスクが高すぎる。
…しかし、二つ目にして、もうアイデアが浮かばない。そこで手詰まりになってしまった。
あまりに隙が無いのだ。
何処のどんな箱からも引きずり込む事ができ、精力が尽きても、いくらでも回復させる。
極めつけは、箱の中から俺を出す事ができるのは、現状、彼女だけだという事。
…もう、断る方法など一切無いんじゃないか。と、諦めが押し寄せてくる。
やはり彼女のためにも、手放すしかないのだろうか…
割と真剣に悩みながらも、パズルを解くことはやめられなかった。



 …だが、あの最初のお茶会から、俺の心境に少しずつ変化が訪れた。

「それでその子は、またうっかりドラゴンさんを箱に…」
「ハハ…ドラゴンもドラゴンだな。どんだけ抜けてるんだよ…?」

 まず、あれ以来、ご褒美の前には毎回お茶会をするようになった。
彼女のオススメのお茶(無論、精力増強効果の無いもの)や、彼女の作ったお菓子、
何のミルクかは分からないが、こちらの牛乳よりも遥かに旨いミルク、
時には俺の方から飲み物やお菓子を持ち込んだりもして、それを肴にしながら、
故郷についての話や、趣味の事、面白い思い出、時には共にパズルを解いたり作ったり…
お互いに、話したい事は何でも話し、大いに談笑した。

「ふぅ、ごちそうさま…。それじゃ、ごほうびタイムね♪」

 お茶の後に、誘い→魔法→強制的にご褒美、の流れが来るのは変わらなかったが、
彼女との他愛の無い会話は、毎回とても楽しかった。
ご褒美自体も…なるべくなら避けたいが、気持ちいいことは否定しない。
それに、その前の過程であるパズルも、その面白さで俺を大満足させ続けてくれた。
ヒントから順番を推理してボタンを押すもの、スライドパズルや純粋な計算問題、
更には箱が丸ごとバラバラのピースになって、それを元通りに組み上げるパズルまであり、
全く飽きずに解き続けることができた。

「お兄さん、だーい好きッ♪」
「そ、そうか…(…まあ、悪い気はしないな。)」

 そうして日々を重ねるうち、俺と彼女はすっかり親しくなり、気が付くと、
箱の中の彼女の部屋で、二人きりで会話をする事が、日常の一部のようになっていた。
いつしか、彼女がいつからか見せるようになった、俺に対する恋人のような振る舞いも、
…そして、彼女の性的なご褒美までも、あまり気にならなくなってきてしまっていた。
だが、これはやっぱり、よくない事…なんだよな……



 …楽しみながらも悩んでいると、ある時、それは起きた。

「それで、戸棚の中にイグアナが…ん?どうしたんだ?」
「えっ?ど、どうもしてないよ。」
「それならいいんだが…」
「うん。大丈夫。
 それよりも、その話、凄いね…そんな事あったら、誰でもビックリしちゃうもん。」

 数日間、彼女の様子がおかしい日々が続いていた。
そわそわしたり、時折不安そうにこちらをじっと見つめてきたり、
手を握ったり、抱きついてきたり、ご褒美ではない触れ合いも多くなった。

「…お兄さん……」

 そして前日、ご褒美を終えて箱を出る前に、彼女が呟いた。
いつもの陽気な彼女の声とはかけ離れた、不安げな声色だった。

「…どうした?」
「…ううん。何でもない。
 次のパズルも…きっと、解いてね。」
「…?まあ、解くさ。」
「……ありがと。」

 彼女の顔に、わずかだが、微笑みが戻った。

「…お兄さん!」
「ん?」
「待ってるから。」
「?…おう。」

 そして、もはや慣れた道である、よく分からない空間を通って、箱の外に出た。

「…ん?新しいパズルが…出来てない?」

 いつもなら、入って出る頃にはもう新しいパズルが出来ているのに、
箱は、買ったばかりの銀色の立方体の状態に戻り、沈黙していた。

「おかしいな…」

 揺すったりしてみるが、うんともすんとも言わない。

「誰かが俺の部屋にいる…わけないよな…?」

 以前、家に友達を呼んだ際、そいつがこのパズルに興味を持ったようだが、
そいつがいくら操作しようとしても、どこも一切動かなかった。
それどころか、そいつが帰るまでは、俺ですら動かせなくなっていた。
どうやら、人目がある場所ではパズルが解けないらしい。

「…やっぱり、誰もいないか。」

 ちょっと怖くなって、人が隠れられそうな場所をあらかた探してみたが、
やはり、誰もいなかった。
そもそも一人暮らしなので、戸締りは帰った時点でキッチリしている。
残る可能性は…

「…まさか、壊れた?こんな時に?」

 説明書に書いてあった、サポートセンターに電話を…って、もう夜も遅い。
かけても繋がらないだろう。

「…仕方ない。明日まで待つか。」

 明日になったら、何か進展があるかもしれない…。
不安な気持ちと、根拠の無い期待を胸に眠りにつき、
そして次の日、大学から帰宅して…まだ、何も無かった。

「やっぱり、壊れてるのか…?」

 今度こそサポートセンターに電話してみる。
…しかし、営業時間内のはずなのに、いくらかけても繋がらない。

「おい、何だよ…繋がれよ!」

 何度も何度もかけ直し、何度も番号や電話線を確認してみたが、一向に繋がらない。
気付けば食事も忘れ、もうどんなセンターも閉まっているだろう時刻になった。

「クソ…駄目だ。」

 こうなれば、別の所に…いや、この世界に、コレを直せる人間なんていないだろう。

「…明日、またかけ直してみるか。」

 その日は、食事も取らずに床に就いた。
…しかし、心配と不安が大きく、全然眠れなかった。



「…すまん。俺、今日はサークルに出られん。」
『調子でも悪いんですか?まあ、わかりました。
 みんなにも連絡しときます。お大事に。』

 結局眠れないまま朝になり、大学へ行ったが、
寝不足と不安のせいで、講義は上の空で、サークルも休んでしまった。
そしてふらふらと帰宅し、ドアに鍵をかけると、
それを見計らったかのように、箱からアラームが鳴り響いた。

「何だ…?」

 急いで箱に駆け寄り、手を触れてみる。
するとアラームは止まり、箱の蓋に文章が、そしてその下に、四角い枠とペンが現れた。


『最後の問題です。

 下の欄に、パスワードを入力してください。』


 それだけだった。

「パスワード?って…何を入れればいいんだ?」

 ノーヒント…な訳はないだろう。どこかにヒントがあるはずだ。
そう思って、箱をひっくり返してみると、底の部分にヒントらしき文が書いてあった。

『あなたの正直な想いが、答えになります。』

「俺の、正直な想い…?」

 それ以上、ヒントは見つからなかった。これで十分だ…って事か?
ひとまず、これだけで推理してみる事にしよう。

「想い…」

 『思い』ではなく『想い』という漢字を使っている所に意味がありそうだ。
活字の文章に出てくるとき、想い…と言う字は、普通、単なる感想、考えよりも、
どちらかと言うと感情、特に恋愛感情などの表現に使われる事が多い。
そして『正直な』…わざわざ書いてあるのはつまり、隠してしまいがちな事という事か?

「俺の、正直に言いづらい、恋愛的な感情…?」

 そう呟き、目を閉じて、ひとまず頭の中を探ってみた。恋愛……恋愛………


  『お兄さん♪』


 …何故か、彼女の事が頭をよぎった。…いやいや、そんなはずは…

「……」

 しかし、いくら思い返してみても、彼女の事しか出てこない。
…考えてみれば、彼女が来る前までは、一片も浮いた話の無かった俺だ。
何かあるとすれば…?いや、そんな事は…そんな、事は……

「……でもなぁ…」

 彼女との日々を、今一度思い返してみる。
毎回のお茶会…気楽そうに見えて、意外と内気な所もある性格…ご褒美の気持ちよさ…
無邪気そうな笑顔、悪戯っぽい笑顔、魔法を使う時の妖艶な微笑み、可愛らしい照れ笑い、
そして、傷つけがたい宝物のように光り輝く、満面の笑み…
気付けば、楽しい思い出と、彼女の明るい声と、数限りない彼女の笑顔とで、
頭の中が一杯になっていた。

「…おいおいおい…俺って…」

 そりゃ駄目だろ。駄目だろ。世間的に許されないし、何より…いや、でも…
この問題がなかなか出なかったとき、何で不安になったんだ?
どうして、俺はあんなに必死になってたんだ?
パズルが遊べないから?
……………そうじゃない。彼女に会えなくなるかもしれないのが…

「ここまで行くと…否定、出来ない…か…。」

 彼女と、また会いたい。
一緒にお茶をしたり、パズルを考えたりしたい。ご褒美…とかはあれだけど。
そして、出来るなら…ずっと、傍に居てやりたい。
…自分がいつの間にか、彼女に心底惹かれていた事に、俺はやっと気付いた。
これが答えでいいのかは分からないが…やる事は一つ。

「…書いてみるか。」

 箱の前に座り、とりあえず、考えのまま、俺の答えを書いてみた。


『俺は彼女の事が好きだ』


 すると、枠内の文字が消え、文章が変わった。

『彼女に会いたいですか?』

 当たり前だ。

『会いたい。』

 それを書き終わると…聞きなれた、箱のロックが開く音が聞こえた。

「……。」

 これの後、彼女がどうなってしまうのか…正直言って、怖い。
もう会えなくなる可能性も十分あるだろう。
…それでも、せめて彼女に伝えておきたい。

「…行こう。」

 蓋を開けて、入り口に体をくぐらせ、俺は自分から箱の中に入って行った。



「ここは…」

 出た先は、頭脳テストの時に見た、一面の花園だった。

「彼女は…どこだ…?」

 辺りを見回してみる。
…すると、いつか見た、彼女の後ろ姿があった。

「おーい!来たぞーッ!」

 彼女に駆け寄り、声に気付いた彼女が振り返った瞬間…
その小さな体を、思いっきり抱きしめてやった。

「お兄さん…来てくれたんだ…!」
「…来たぞ。」
「…よかった…。」

 彼女は、俺の腕の中で、安心したように溜息を漏らした。

「ここに来れた、って事は…」
「…ああ。想像通りだ。」
「…書いた事、本当?」

 こちらの目を、じっと見つめてくる。
なので俺も見つめ返し、自信満々に言ってやった。

「本当だ。俺は、お前が好きだ。」
「うん、私も…私、も、好き…だいすき…うわあぁぁん!!」

 そのまま、胸に顔を埋めて、わんわん泣かれた。
彼女の涙は初めてだが…やはり似合わない。だから、どうにか止めてやらなければ…

「ぐすっ…ちゃんと開けてくれるのかなって…
 お兄さん、私の事、ちゃんと好きになってくれてたのかなって…
 不安で、怖くて…うぇぇぇん…!」
「よしよし、大丈夫だ。ちゃんと好きになってるから。大丈夫…。」

 とは言ったものの、女の子の扱いなど知らないので、
抱きしめたまま、ひたすら優しく話しかけてやることしか出来なかったが…
…どうやら大丈夫だったみたいで、次第に声も小さくなり、泣き止んでくれた。

「ふぅ…ありがとう、お兄さん。」
「落ち着いたみたいだな。」
「…うん。」

 すっかり落ち着いた彼女は、俺を放し、こちらの目を見つめて宣言した。

「おめでとうございます。貴方は、全てのパズルをクリアしました。
 よって、特典として…」
「…何がもらえるんだ?」
「…私にいつでも会えて、ずっと一緒にいられる権利をプレゼントします♪」
「という事は?」
「お兄さん…私の恋人になって下さい!ずっとずっと、一緒にいてください!」

 よかった…どうやら、離れ離れになる事はないようだ。
それどころか、恋人にまでさせてくれるとは…

「喜んで。」
「……ありがとう!」

 うん。やはり彼女は、こういう笑顔でなければ。

「お兄さん。これからも宜しくね♪
 …それで、恋人になって早速なんだけどさ…」
「……ご褒美、か?」
「…うん。」
「…。
 わかった。やろうじゃないか。」
「ほんとッ!?お兄さんからOKしてくれるの、初めてだなぁ…」

 それについても、覚悟というか、決意は固まってきた。
…何という事はない。
ご褒美の行為が将来に響くなら。彼女がまだ子供だというなら。
貰っている、当の俺が彼女を守ればいい。そんな簡単な問題だったのだ。
まあそれでも、俺が社会に出るまで、彼女が成年になるまでという時間は必要だが…
彼女と別れない限り、時間と努力でどうにでもなるだろう。
……いや、だからしてもいいという事にはならないだろうけどもな。

「…ただし。」
「ただし?」
「…魔法をかけるのはやめてくれよ。
 せっかく、素面でやる気になったんだから。」

 それを言った途端、何故か気まずい顔になる彼女。

「…あー、あのね…怒らないでね?
 …実は、最初の一週間から後は、あの魔法、全然使ってないんだ。フリしてただけ。」
「……何だと!?
 すると俺は、ずっと素面で…」

 プラシーボ効果?いや、それもあるかも知れないが…つまるところ俺は、
かかってもいない魔法を言い訳にして、自分の意思で彼女のご褒美を受けてたって事か!?
そうとも知らずに…

「うわー…俺、あんな偉そうな事吐ける立場じゃなかったって事か…。
 どうしよう。恥ずかしすぎる…」
「まあまあ。私のこと、心配に思って言ってくれてたんでしょ?嬉しかったよ。」

 彼女がフォローしてくれたが、立ち直るのにやや時を要した。
さっきとはまるで逆だ。情けない…

「はぁ……さて、待たせて悪かったな。…始めるか。」
「うん♪
 …でも、ここじゃちょっとシ辛いから、場所変えよ?」
「確かに…これじゃあ、ちょっと落ち着かないな。」
「でしょ?じゃあ、変えるね。…ほいっ。」

 彼女が指を振ると、花園は霧のようになって消え、いつもの彼女の部屋が現れた。

「…あの場所、お気に入りではあるんだけど、
 実は、魔法でこの部屋をお花畑に見せかけただけなんだよね。」
「まあ、本物だと管理も大変そうだしな。
 それにしても、そんな事も出来るなんて、魔法って凄いな…。」
「ふふ。私なんて、魔法のプロの魔物さんに比べたら、全然だよ。
 …さ、脱いで脱いで♪」

 今回はあまり躊躇いもなく、服を脱いでいく。
それに応じて彼女も服を脱ぎ始め、ほぼ同時に脱ぎ終えた。

「…見て。私の体…」
「うーむ…」

 ロリータ服もリボンも脱ぎ、ついに全てあらわになった彼女の体。
しかしやはり、胸以外は歳相応に、まだ未熟と言った感じだ。

「…胸以外は、今後に期待かな。」
「…やっぱり、おっぱい以外も大きい方が好きだったりする?
 ミミックって、これ位からさらに成長する子は、あんまりいないんだよね…」
「そうなのか…。」

 …酷な事を言ってしまったかもしれない。

「…でも、お兄さんがもっと大きい方が好きなら、大きくなれるかも。
 魔物って、そういうものだから。」
「そうだな…。
 まあ、相手がお前なら、大きくても小さくてもいいかな。
 …フォローじゃなくて、本音だぞ。」
「…嬉しい♪」

 改めて、彼女の裸体を観察してみる。
いつ見ても大きく柔らかそうで、それでいて可愛らしさもある二つの乳房。
垂れずに上を向くも、まだ勃起してはいない小さな乳首は、仄かなピンク色で乳房を彩る。
その下は、歳相応に未成熟で、綺麗だが起伏の少ないなだらかなお腹と腰が見える。
そして更にその下、小さな尻と、すべすべと健康そうな太ももの間には、
周囲の肌がわずかに桃色がかっている、無毛で一本筋の女性器があった。

「恥ずかしいなぁ♪」
「…の割には、嬉しそうだが。」
「実際嬉しいんだもん。大好きなお兄さんが、私のハダカ、全部見てくれてるのが…。」
「…そりゃどうも。
 それより、今までならなかった全裸になってるという事は…」
「……うん、そう。
 ごほうびは、私のこと全部。」
「全部…」
「私、恋人になってくれたお兄さんと、エッチしたいの。
 お兄さんのおちんちん、私のおまんこでじゅぽじゅぽ扱いて、
 お兄さんのあつーい精、たくさんたくさん、おまんこの中に出して欲しいの♪
 それが、ここまでパズルを解いてくれたお兄さんへの、最後のごほうびだよ♪」
「…なにっ!?最後の?」
「うん。箱のパズルはあれでおしまいだしね。
 次からはパズルのごほうびじゃなくて、普通に、恋人同士のエッチになるの♪
 これが終わった後でも、何度だって、どんな事したっていいんだよ♪
 だって私は、お兄さんの恋人なんだからね。
 …あ、でも、この時点でもう、恋人同士のエッチか。」
「なんだ…そういう事か。」
「そういう事だよ。安心した?」
「ああ。」

 しかし、そこで俺は大事な事を思い出した。

「…ん!?そういえば、コンドームが無いぞ!」

 今の今まで、それがどうしても必要だという事をすっかり忘れていた…。
しかも、俺の家には無い。今すぐ買って来るか…?

「…それって、赤ちゃん出来ないようにする物でしょ?いらないよ、そんな物。
 お兄さんの精、おまんこで直接味わいたいんだから。」
「でも、もし子供が…」
「それは大丈夫。…魔物って、普通に毎日してても、なかなか子供が出来辛いんだって。
 私としては、すぐにでもお兄さんの赤ちゃん欲しいんだけどね。」
「そうなのか…でも流石に、就職できるまでは我慢してくれ。」
「うん。だから、いきなり出来るって事は多分ないと思うから…無しでいいかな?
 ここで中断したら、お互いに辛いし、気まずいし…」
「確かに。…仕方ない。着けないままでいいか。」
「オッケー。それじゃ、ベッドに行こっか♪」



 ベッドの上に座って、向かい合う。

「んっ♪」
「んむ…」

 最初の時のように、彼女からキスをしてきた。
なのでこっちは、先に舌を入れてやる。
それを彼女は受け入れ、愛しそうに吸い上げてきた。それが嬉しくて、更に舌を絡める。
さらに、左腕を彼女の小さな肩に回し、右手で正面から優しく乳房を掴んで揉み、
柔らかく気持ちいい感触と、だんだん固まってくる乳首を手のひら全体で楽しむ。
そうこうしていると、お互いに唾液があふれてきて、淫らな粘った水音が大きく響いた。

「ちゅぴ…ふぁ…」
「っはぁ…」

 舌と手で十分楽しんだ後、糸を引きながら、唇を離す。

「…ね。おまんこ指でいじって、ぐちょぐちょに濡らして…」

 キスの前よりも格段に上気した顔で、彼女が頼んできた。
ひとまず彼女の体をベッドに寝かせ、俺は股間を覗き込むように体を低くし、
右手をそっと近づけ…生まれて始めて、そこに触れた。
胸とは少し違う柔らかさの、入り口の膨らみの感触が、俺の緊張感をやわらげてくれた。
まずは筋に沿って、指でゆっくり上下に擦ってみる。

「ふっ、んにゅ…♪」

 擦っているうちに、割れ目からじわりと液が染み出してきた。…もういいかな。

「指入れるぞ…」

 中指を割れ目に当て、ゆっくり力を込めると、少しずつ割れ目が開いていき、
俺の指先が、ちらりと覗く鮮やかなピンクの中に埋もれていく。

「あ…あ…っ……!」

 中は愛液を含んでぬめり、とても熱いが、何だか指が気持ちいい。
…しかし、怖いので半分入ったところで止めた。
代わりに、そこまでの深さの間で、指を抜き差ししてみる。

「はぁ…ん!ふうっ、あ…♪」

 さらに時折、内部の細かい構造を探るように、中を指でかき混ぜてやる。
空気が愛液と肉に混ざる、ちゅぷちゅぷという音も、二人の興奮を促進させる。
指の動きを早めると、その音も次第に大きく淫らな物になってゆき、
彼女の嬉しそうな嬌声と共に、乙女チックな部屋中に響き渡った。

「…もうそろそろ、いい、か…?」
「はぁ、はぁ、うん…いいと、思うよ。」

 十分と判断し、指を引き抜く。いつの間にか、割れ目から湧き出す液体で、
白く清潔なシーツに、寝小便のように大きな染みが出来ていた。

「えへへ…くぱぁー、ってね♪」

 彼女はM字に足を開き、両方の中指と人差し指を入り口にかけて引っ張り、
穢れのないように見える、明るいピンク色の中身をこちらに曝け出す。
しかし、暗いその奥からは、白っぽい彼女の液がとろりとこぼれ出し、
入り口から、その下にある小さな窄まりを伝って、シーツに染みこんだ。

「……もう、準備完了だよ。
 お、お兄さんのおちんちん…ここに、突き刺して。」
「…緊張してないか?」

 見れば、秘部を開いている指も、小刻みに震えている。

「…してないよ。」
「嘘だな。震えてるぞ?」
「……うん。ほんとは緊張してる。」
「このまましても、大丈夫か?」
「…大丈夫。やめないで。お兄さんと、最後までしたいから。
 おちんちん入れてくれれば…治まると思う。」
「…止めないから、やせ我慢するなよ。
 落ち着くまで…そうだな、こうしててやるから。」

 隣に横たわり、横向きにした彼女を軽く抱きしめて頭を撫でてやる。

「…ありがとう。ごめんなさい。」
「どうして謝るんだよ。恋人だろう?頼っていいんだよ。」
「…うん。」

 今まで俺をリードしてくれていた彼女だが、
ようやく、紛う事なき子供の姿を見られた気がする。
…こんな子供らしからぬ行為の中で、というのも変な話だが。

「……ありがと。もう大丈夫。
 まだちょっと緊張してるけど…お兄さんの入れたら、たぶん平気になるから。」
「…いいんだな。」
「…うん。」

 抱きしめたまま彼女を仰向けに戻し、その上に覆いかぶさるように、
かつ、体重が彼女にかからないよう左肘をつき、体を支える。
彼女も俺の肩と背中に腕を回してしがみつく。
右手で硬くなりきったモノを動かし、未だ愛液溢れる彼女の入り口に当て…
腰に力を込め、ゆっくり、彼女を貫いていった。

「う…んぁぁ…ぁ…」
「くぅ…!」

 熱く、ぬるりとしている。それだけなら口でされた時と同じだが、
先端だけでも、ここはそれとは、いや、これまでのご褒美とは別格だという事を察した。
ある意味で恐怖を感じたが、同時に、やや期待してもいる。
それに、彼女もその先を望んでいる。進んでいこう。
かなりきつい膣肉を、少しずつ掻き分けていき、
亀頭が全て埋まったところで、何かに突き当たって止まった。

「あっ…!?」
「…これは…。」
「…たぶん、私のはじめてだよ。」
「ああ…そうか。破って、いいんだよな?」
「もちろん。
 私の蓋を開けて、大人の女に、お兄さんだけの女に…してください♪」
「…よし。行くぞ…」

 更に腰に力を入れると、みち、みち…と、少しずつ膜が裂けていく感触を感じる。

「んんっ、はぅぅぅぅ…!!」

 彼女は痛がり、涙を浮かべ、苦しそうな声を上げているが、
俺の体にしがみつく腕の力は、ますます強くなっていく。
せめて安心させてやろうと、右手を出し、彼女の左手と固く握り合った。

「頑張れ、多分あと少し…!」
「うくうっ、んんんん、ふ……あッ!!!」

 これまで彼女が守ってきたものの、最後の小さな一片がちぎれる感覚があった直後、
俺と彼女は、パズルのピースのように、完全に一つに合わさった。

「はぁっ…ぅ…ひとつに、なれた、ね。」
「ああ…。でも、ちょっと体を落ち着かせよう。俺がやばい。」
「うん。私も、しばらくこのままでいたいから…」

 なにせ、小さな、しかしとても複雑な凹凸が、
非常にきつい全体の締め付けで俺の一物と密着し、性感を余す所無く刺激しているのだ。
時折、彼女がぴくんと小刻みに震えるだけでも、その全てが俺の全体を撫でていく。
二日分ほど溜まっているし、このまま動いたら、すぐにも出してしまいそうだ。
今までのご褒美で鍛えられていなければ、
このままどころか挿入の段階でも耐えられたかどうか…

「…そろそろ落ち着いたか?」
「私は、もう大丈夫だよ。お兄さんは?」
「俺もだ。…じゃあ、動くからな。」

 腰を軽く引いてみる。少し慣れたとは言え、やはり気持ちよすぎる…

「んひゃぁっ♪」
「…ん?」

 今度は、さっきより少し勢いよく押し込んでみる。

「あああっ!」
「…まさか、もう気持ちよがってる?」
「あっ、ふっ…うん。
 魔物は、はぁっ、大好きな人と繋がってると、ものすごーく気持ちよくて、
 はじめての痛みなんか、すぐ吹っ飛んじゃうって、ママが…。」
「どんな魔物だよ…。まあ、痛くないならよかった。」
「そんなわけで、激しくしてもいいよ?」
「…頑張ってみよう。」

 抽送のスピードを初めは遅く、そして少しずつ上げ始める。
大きく息をついて、強力な快感を落ち着いて受け入れ、耐える。

「んっ…やっ、んあっ、あっ、あっ…!!」

 その途中、二人が起こす振動で、大きく激しく跳ね回る胸に気付き、
その片方を捕まえて、こりこりした先端に思い切りしゃぶりつく。

「きゃあぅぅぅ!?」

 吸いながら、痛くないように、軽く優しく噛んでやる。もう片方も同じように。
興奮は余計強くなったが、彼女は大いに喜んでくれているようで嬉しい。

「おっぱい、だめぇ…きもち、よすぎる、から…
 す、すうなら、キスも、おねがい…」
「わかった…。」

 腰のペースを一旦落とし、唇を重ねる。

「ん〜、んちゅっ、んっ…」

 今度は舌を絡めない、吸いあうだけのキスだったが、
彼女が、小鳥がついばむように、何度も繰り返し吸い付いて来るのが愛おしかった。
…しかし、いつまでも見ているわけにはいかない。
何故なら、こうしている間にも、限界が近づいているからだ。
目から明るい光が薄れ、焦点がぼやけて潤んでいる辺り、彼女もそうだろう。
ラストスパートへと移るべく、出し抜けに、腰を強力に叩きつけた。

「ぃぁあああッ!!?」

 衝撃の余り、思わず口を放した彼女に向かって知らせる。

「もうすぐ限界だ。最後に、一番激しく行くぞ…!」
「っ…う、うん!わたしも、そろそろ…」

 驚きでやや頭が冷えたのか、俺の宣言に、彼女ははっきり頷いた。
それを確認し、抽送速度を限界まで上げ、出し入れの幅も一層激しくする。
自分の快感など度外視だ。

「ぁひっ!うくっ、い、はぁー…きゃんッ!!」

 彼女の喘ぎもいよいよ最高潮の高さになり、間もない絶頂を予感させる。
頬を真っ赤に染め、涎と涙を垂らし…限りなく乱れた、しかし実に幸せそうな笑顔だ。
………意外と、こういう笑顔も似合うな。

「はっあっ、もぅ、だめ、そう…」

 これまで繋ぎ続けてきた俺の右手を、彼女は頼るように強く握り締める。
それに答えて、俺も力を込めて握り返す。

「ぐぅ…本当に可愛くて、エロい彼女だ、お前は…!離さないからな!」
「うん、あうっ…わたしも、はなさなっ、んああっ!!」

 彼女の白い内股が、ぴくぴく痙攣を起こし始めている。もう一息だと悟った。
中の凹凸、締め付け、可愛い嬌声…全てを激しく受け続けた俺も、もう限界も限界だった。

「はっはっ、はー、んっ、あー!あーーっ!!」
「出すぞ…!!」

 それを聞くと、彼女が足を絡めて、抜けないように固定する。
その緩やかな拘束の中で、互いに体を密着させ、一番奥まで深々と突き込み、
これまでの快感と愛おしさが詰まった液体を、子宮めがけて、射精した。

あぁあ゛あああああーーーーッ!!!
「くおあぁぁぁ…!!」

 一撃ち、大量に吐き出しただけでは終わらず、
それほどまでに溜まって、気持ちよかったのか、長い間、断続的に射精し続ける。
気絶しそうな、あまりの快感と絶頂感に、目の裏がちかちかする。
それでも、俺より激しく絶頂を迎えた彼女の、淫らで愛らしい顔からは目を離さなかった。



「はぅ…はー……お兄さんので、赤ちゃんの部屋、いっぱいだよ…
 おいしくて、きもちよくて、しあわせ…」
「…そ、うか…。」

 隣り合って寝転がり、しばし絶頂の余韻に浸る。
そのうちに呼吸も整ってきたので、今まで教えられなかった事を聞くことにした。

「…なあ。」
「?」
「そろそろ、教えてくれないか?どうしてこの世界に来たのか。」
「そうだね。もう恋人なんだし…話してもいっか。
 まず、魔物についての事、全部教えるね…」

 …

「…魔物は男の精液を摂って生きる生物だが、ただ生きていくためだけじゃなく、
 生涯を共に生き、共に家庭を築いていってくれる、愛する夫が欲しい。か…。」
「人間だってそうでしょ?大好きな人が欲しいでしょ?
 それに、精だって、誰のでもいいわけじゃないの。
 魔物は、好きな人や旦那さまが出来たら、もうその人だけしか見えなくなっちゃう。
 その人一人の精だけしか食べられなくなるし、他の人のなんて絶対食べたくなくなるの。
 文字通り、愛する人無しじゃ、生きていけない体になっちゃうんだから。」
「今更、どんな話が出てきても驚きはしないが…随分とまたロマンチックな生き物だな。
 ひょっとすると、この世界に来たのも…」
「そう、旦那さま探し。
 街中とかでいきなり襲いかかったりしたら、その内大騒ぎになっちゃうから…
 ルクリーさんって言うえらい魔物のアイデアで、仲間達と一緒に、
 思わず何度も解いて開けたくなっちゃうようなパズルとして、この世界に来たんだ。
 そして買った人は、何度もご褒美を受けてるうちに、いつの間にか、
 その子から離れられなくなって、その子の事が大好きになっちゃうって寸法だよ♪」
「…なるほどな。
 ところで、目的は分かったが、お前の夢ってのは何なんだ?」
「え?今の話でわかんない?」
「……もしかして…?」
「そう。お兄さんの、お嫁さんになる事だよ♪」
「…なるほどな…。」

 既に…いや、もしかして最初から、
彼女の中で、俺と付き合うことは決定だったって訳か…。

「はぁ…。」
「…ごめんね、色々隠してて。」
「…まあ、スッキリしたからいいさ。」
「お詫びに…もう一回戦、しない?」
「…どうせそう言っといて、するのはもう決定なんだろ?しょうがない彼女だな…。
 ひいひい言うまで善がらせてやるから、覚悟しろよ!」
「いやーん♪」





「…部長、なんか最近、やたら上機嫌じゃないですか?」
「そうか?」
「はい。三ヶ月ほど前の時みたいに。不気味ですよ?」
「そうか。…ところで、ちょっとシュマホ借りるぞ。」
「え?はい。」
「コン迷のアカウント削除ページは…これだな。パスワードは、えーっと…」
「ちょ!?悪口言ってすいません止めて下さい!!」
「ったく…お前には先輩への敬意が足りん。」
「ただの冗談じゃないスか…。で、何があったんです?」
「そうだな。詳しくは言えないが、強いて言えば…
 ようやく、パズルと同じくらい夢中になれるものが出来た…そんな所だ。」

 こうして俺は、見事パズルを全てクリアし、大切なものを手に入れたのだった。
彼女とは、俺と彼女の部屋の二つを共有して同棲し、彼女が家事を手伝ってくれたり、
俺がこちらの勉強を彼女に教えたりしながら、楽しく日々を過ごしている。
これ以上欲を言うのなら、ぜひ彼女に、箱の外の世界を見せてやりたいのだが…

「…え?街?行きたい行きたい!
 耳を丸くする魔法も、髪と目の色変えられる魔法もあるから、お願い、連れてって!」
「そんな魔法が!?」

 …どうやら、叶ったようだ。

 
13/03/09 20:11更新 / K助
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■作者メッセージ
…宣言から一週間以上も遅れるとは…しかも新魔物さん登場の後…
大変お待たせして申し訳ありませんでした。
アクシデントとかじゃなくて、いつもの通り、筆が進まなかっただけです。
生きてて恥ずかしいです。
…その代わり、エロシーンはかなり力を入れたので、平にご容赦を…

…次回は、これみたいに読み切りじゃない短編か、ゼリーか、どちらになるかは不明です。
北海道の今年の雪が溶ける頃までには上げられると思います。…ハードル低いな…
いつものように期待せず、もう逆に、来たらやだなくらいの気持ちでお願いします。
それでは、ここまで読んで頂きありがとうございました。K助でした。

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