読切小説
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とあるダンジョンの最奥で
 とあるダンジョンの最奥にて。
 重厚な扉が、ダンジョン攻略者である男の前に立ちはだかっている。
(果たして、この扉の向こうに、本当にあるんだろうか?)
 意を決して、男は扉を開き、その向こうへと足を踏み入れる。
 重い扉を開いたその先には煌々と輝く金銀財宝。その奥には、如何にもな玉座。しかし、その玉座はなぜか空であった。
 部屋に入って物色し始めた直後、轟音が響く。振り返ると、背後の扉が閉ざされたことがわかった。
「みゅ〜ふふ〜。にがしましぇんよ〜」
「誰だ!?」
 玉座の後ろに現れたのは、腰まである緑の髪とつり目気味の緑の瞳が特徴的な少女――もとい、幼女。
「あなた、ものとりでしゅね? だけどざ〜んねん。ここであなたは、あたしとず〜っとちゅっちゅしゅるのでしゅよ〜」
 幼女はとんでもないことを言い出すものの、男は武器を構えようとも、逃げようともしない。それどころか、これから起こることに対して怖気つく表情を一つも見せなかった。
「残念だが、逃げる気がなくなった」
「え〜……?」
 怪訝な顔をするダンジョンの主、もとい幼女。その表情からは、どこか拍子抜けした感じも感じ取られる。男は何かを感づいたのか腕組みをして、あることを指摘した。
「君の正体は、だいたい想像がつく。見せかけの人間の姿じゃなくて、本当の姿を見せてくれ」
「みゅっ、よくわかりまちたね〜」
 男の求めを聞いた主は、上半身は青白い肌に、下半身は緑の蛇の姿に変化した。
「やはり、君は『エキドナ』だったか」
「どうしてわかったんでしゅか?」
「ダンジョンの奥に住んでいる魔物なんて、どんなものかはだいたい知れてる。それに、魔力の溢れている君なら、直接触れずに扉を閉めるなんて、造作もないことだろう」
 男は自身の持っている知識をもとに、彼女がエキドナであると推測した。そして、それが案の定的中した格好である。
「あたしが、こわくないのでしゅか〜?」
 そういって、蛇幼女は首を傾げる。見た目が幼女で、舌っ足らずなしゃべり方をしているということを差し引いても、相手はダンジョンの主で魔物の母と呼ばれている『エキドナ』。相当な実力者ではあるはずだが、彼は恐怖だとか畏怖だとかは微塵も感じていないようだ。
「怖くない。むしろ、可愛いくらいさ」
「え、えええ〜〜〜!?」
 あまりにあっけらかんとそうのたまってしまう彼に、彼女はわたわたし始める。それに対して、彼は独白を始めた。
「俺は今までも数多の魔窟を攻略してきた。だけど、いずれもその最奥に俺の望むものはなかった。しかし、ここにたった今、俺の望むものを見つけた! それはどんな名剣よりも強く、どんな宝石よりも美しく、どんな財宝よりも価値がある!」
「あ、あの〜〜……なにがなんだかさっぱり……あたまがいたいでしゅ」
 彼の口上は熱を帯びていく一方で、それについていけない蛇幼女。二人の温度差は激しくなっていく。
「だったら……こう言おうか。俺が探し求めていたのは、君だからさ、エキドナちゃん」
 彼は大きく息を吐いた後、臭い台詞を吐く。
「わわっ」
 蛇幼女を抱きしめる男。あまりに突然のことで、蛇幼女が困惑するが、男は構わず抱きしめる力を強める。
「俺は英雄にはなれないかもしれない。持ち前の勘と本能だけでここまでたどり着いた男さ。だけど、君を幸せにする自信はある」
 半ば自嘲するような、されど半ば自信に満ち溢れたような口調で、男は話す。
「心配するな。俺は君と幸せな家庭を築きたいだけさ。子どもが好きだし、君なら子どもをいっぱい産んでくれそうだからさ」
 男の話を黙って聞いていた蛇幼女も、何かを確信したのか、彼と同じように抱きしめた。
「俺はイーサン。君は、何ていう名だ?」
「えきな……。えきどなから、どをとって、えきな……」
 お互いに名乗った後、イーサンは渾身の告白を彼女にぶつける。
「ならばエキナ、俺と添い遂げてくれるか?」
「みゅふ……。こんなあたしでよければ……」
 イーサンと、彼の告白を受け入れたエキナは互いに、生まれたままの姿となる。そしてエキナを上にして、二人は重なり合った。
「みゅふふ。じゃ、さっそくあかちゃんつくりましょ♪」
 エキナがイーサンの逸物を短い尻尾で擦ると、それは急激にいきり立った。それに対して嬉々としたエキナは、イーサンを押し倒す形で騎乗位となり、亀頭を自身の濡れそぼった秘所で包み込んだ。
「挿れた瞬間に、思い切り締め付けてくる。ずいぶんえっちなんだな……」
「ずっと、『まま』になりたかったのでしゅ。あたしは、『まもののはは』でしゅからね〜」
 エキナはイーサンのモノを銜え込んだまま、腰をゆっくりと落としていく。すると、イーサンの亀頭の先端が、エキナの処女膜に触れた。
「みゅふふ……ひぎぃ!?」
 イーサンが腰を突き上げると、エキナの処女が突き破られた。その瞬間、エキナは鋭い嬌声を上げる。処女を破った後も、イーサンは容赦なく突き上げる。
「さあ、今すぐママにしてやる!」
「あはっ、あはっ♪」
 何度も何度もエキナの子宮口をノックするイーサン。処女膜を破られた痛みに声を上げたのに、もう感じているのか、エキナの締め付けはどんどん小刻みになり、また力も激しくなっていく。
「俺の子を……産んでくれっ! エキナ!」
「みゅふ、いいでしゅよ〜。いっぱいあかちゃんつくりましょ〜ね〜♪」
 渾身の一突きでエキナの子宮口をこじ開けると、彼はありったけの子種をエキナの子宮に吐き出した。子種が注がれるたび、エキナは顔を綻ばせ、さらなる子種を求めてイーサンのモノを絞めつけていく。
「しゅごい。いーしゃん、いっぱいでてりゅう……」
 その後も二回戦、三回戦と続き、イーサンはエキナの子宮に自らの種を吐き出していく。エキナの腹は、あたかも妊娠したかのように一瞬にして膨れ上がっていった。
「みゅふ。いーしゃん……」
 余韻に浸りながらも、二人はそのまま眠りへと落ちていく。

 そして、数か月後。
 この交わりで、イーサンとエキナの間には命が結ばれたようで――エキナの腹は、見事なまでに膨れていた。
「いーしゃんのたまご、はやくうみたいなぁ……」
「君が卵を産んだら、すぐに二人目を孕ませてあげるよ」
 膨れ上がったお腹を撫で、イーサンはエキナをいたわる。すると、エキナは自身の子の名前を呟いた。
「えりん……。いっぱいあいしてあげるのでしゅよ〜……」
 二人の間には長女エリンをはじめとしたたくさんの子が産まれるが、それはもう少し後の話である。
12/09/06 16:14更新 / 緑の

■作者メッセージ
お久しぶりです、緑の姫君です。
今回は「エリンホーム」の前日談ということで、エリンの両親のなれそめを書いてみました。
え? 本編が進んでないのに外伝を書いてもいいのかって? それは気にしません(殴

なお、ここに出てくるイーサンは、「エリンホーム」のイーサンとは別人ですのであしからず。

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