読切小説
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凶愛(きょうあい)の氷柱女
ジパングの雪国に『氷月(ひょうげつ)の里』という里があった。
その里は周辺の里よりも人が多く、そして新魔物派として雪国の魔物達を快く受け入れていた。
今では仲睦まじい魔物の夫婦も見られ、その娘である魔物の子を見る事も珍しくなかった。
そして里から少し離れた場所に大きな山があった。
真っ白に染まった斜面に、雪化粧をした木々が幻想的な雰囲気を演出していた。
そんな雪化粧をした山の中、雪跡を残しながら歩く青年がいた。
彼の名は冬水(ふゆみず)という。
少し臆病でほんの少しだけ泣き虫ながらも、思いやりを持った優しい若者だ。
そんな彼は今、風呂敷で包んだ荷物を背負ってふうふう、と疲れ気味な息を吐きながら歩いていた。





「えっと、もうすぐ着くよね・・・?」





そう言い冬水は辺りを見渡した。
冬水が今いるのは雪が積もった山の中。
登るも降りるのも一苦労で、吹雪が起これば遭難して生き倒れもありえる。
そんな危険な場所に冬水が来る目的はただ一つ、彼女に会う為だ。



「あった・・・」



冬水は一軒の家を見つけた。
その家は質素で積もった雪が自然と落ちる様に角度の付いた屋根に、木の板と粘土で組み合わさった壁。
氷月の里でもよく見られるごく普通の家だ。
だがここに住んでいる者は普通の者ではないのを冬水は知っていた。
家の玄関、その戸板の前に立った冬水はそこで一つ咳払いをした。





「雪華(せっか)さ〜ん、来ました」





冬水の声と同時に玄関の戸板が開いた。
中から出てきたのは一人の女だった。
氷の様に冷たそうな青白い肌。
銀色の長い髪を頭の後頭部に纏めていて、はだけた和服からは乳房が今にも零れそうで、むっちりとした太ももが目を引く。
だが一番目を引くのはその体の至る所から氷柱が生えていた事だ。
髪の毛や両肩、太ももの付け根辺りから鋭い氷柱が見えていた。
もしあの氷柱に触れたら冷たいだろうな、と冬水は思っていた。






「・・・どうも」





ぼそぼそとした声で彼女は挨拶をした。
顔を合わせるのが苦手なのか、目線を冬水から少しだけそらしていた。
そんな彼女の名は雪華(せっか)。
『氷柱女』という魔物娘で見ての通り内気な彼女だ。
そんな彼女と冬水が出会ったのは2週間前に遡る。
冬水がこの山を越えた先の村に用があり、それを済ませた帰り道、大きなそりを縄で引っ張る雪華と偶然にも出くわしたのだ。
雪華が縄で引っ張っていたそりは大人2人が横たわれる程の大きな物で、積んであったのは棚や机に着物といった生活必需品だった。
もしや引っ越しの途中かと思った冬水はただの親切心と、魔物に対して友好的だった事も加わって彼女を助けようと話しかけた。


『その、こんにちは・・・・・。もしかして引っ越しの際中ですか?』
『・・・ええ』


その時の雪華は目を見開いて驚いた様子だったのを冬水は覚えている。
初めて会ったのだからそれは無理もない事だった。


『重そうですよね。・・・・・手伝います』
『え・・・・?』
『いや、そんな重い荷物を引っ張っていては大変かなって・・・』


そう言い冬水は照れくさそうに髪の毛を掻いていた。
今思えばこんな親切を真に受けるなんて人はいないだろう。
逆に怪しすぎて断られるのかな、と冬水は思っていたが雪華は違った。


『・・・うん、お願い・・・』
『はい、分かりました。では引きましょう』
『・・・ええ・・・・』


こっくりと首を縦に振った雪華に、冬水はちょっと嬉しくなった。
それから雪華は縄で引っ張り、冬水はそりの後ろを押しながら一緒に雪華が今住む家までそりを運んだ。
荷物を降ろしますね、と冬水は申し出て雪華と共に家具を家の中へと運び、そして全て運び入れてひと段落付いた所で、雪華が冬水に声をかけた。


『その・・・ありがとう・・・ね。・・・・ここまで・・・やって・・・くれて・・・』
『いえいえ、僕のおせっかいですから・・・。もしかして、一人で住むんですか?』
『・・・うん・・・一人で平気だから・・・』


雪華はそう言うがいくら魔物娘とはいえ、女性が一人でこの山に住むなど危ないだろう。
それに生活必需品があっても山の中では不便だろう。
そう考えた冬水は雪華に対し、こう申し出た。


『・・・・あの・・・。そしたら、僕が手伝います・・・』
『え?』
『・・・僕が、手伝います。もし用があれば僕の出来る範囲で手伝います・・・何でもとは出来ませんが・・・』
『・・・・いいの?』



雪華は恐る恐る冬水に問いかけてきた。
それに対して冬水は問題ないと言わんばかりに、首を大きく縦に振った。



『はい。だって、大変じゃないですか? 僕は、役に立ちたいと言いましょうか・・・』
『・・・うん、ありがとう・・・ね・・・。・・・・貴方は・・・?』
『冬水って言います。貴方は?』
『雪華って・・・言うの・・・』



その時、雪華が見せたぎごちない笑みは冬水にとって嬉しいものだった。
それ以来、冬水は雪華が困っていないか時々この家に来ているのだ。
それは何の見返りも求めていない、ただの親切心からでありそれは今日も同じだった。
「せ、雪華さん」
「・・・ええ」
「そ、そのえっと・・・これ、頼まれていた品なんですけれども・・・」
そう言い冬水は背中に背負っていた包みを雪華の前へと出した。
「・・・うん・・・。中に・・・入って・・・」
そう勧められた冬水は首を縦に振って、雪華の家へと上がり込んだ。
こういった冬の家ではよく見られる、玄関から上がれば囲炉裏の付いた居間というものが出迎えてくれるが雪華の家には囲炉裏がなく、代わりに木板で敷き詰められた床が広がっていた。
初日に見た棚や机が置かれていて雪華の個性が反映された、例えば可愛い柄が付いたかんざしとかが見当たらない。
何だか殺風景だな、と冬水は思っていた。
奥にはもう一つ部屋があるみたいだが戸板できっちりと閉められていて中を伺う事は出来ない。
そんな冬水を知らず、雪華は包みを床へと置き結びを解いた。
包みの中は赤を基調とした布や紫色の花が施された横長に丸められた布が数点入っていた。
実はこれらは雪華が衣服を縫いたいと冬水に頼んできて、冬水が町に出て調達してきた品なのだ。
「・・・・うん・・・」
それら布を確認した雪華が布の一枚を手に取り、試しに指先でその布の生地を撫でた。
滑らかな触り心地で、上質な品である事がよく分かる。


「・・・その、ありがとう・・・ね・・・」


少しだけ頬を赤く染め、雪華は感謝した。
そして口元を緩め、優しそうな笑みを見せた。
「あ、今笑顔を見せましたね」
「っ!?」
すると雪華は冬水から顔を反らせた。
それは恥ずかしいという意味である事は冬水とて分かっていた。
「そんな恥ずかしがる事じゃありませんよ。僕は雪華さんの笑顔、好きですから」
雪華がたまに見せる優しい笑顔は冬水にとって素敵なものだった。
何と言っても雪華は美人だ。
感情を余り見せない雪華が時折見せる笑顔は、例えるなら絵画の中に描かれた一人の女性のほほ笑みだ。
薄暗闇の中で口元辺りだけがほのかに照らされていて、その照らされたほほ笑みの姿は実に芸術的だろう。
「・・・・私の、笑顔・・・・好き・・・なの?」
「はい、大好きです」
これは冬水の嘘偽りのない正直な返事だ。
その返事と冬水の気持ちに雪華はまた笑みを見せた。
今度は少しだけ頬を赤らめ、そして。






「・・・・・うれ、しい・・・・!!」




ぼそりと、しかし気持ちがこもった声で雪華は呟いた。
その声と表情で冬水は何だか恥ずかしくなってしまった。


「い、いえそんな・・・。大層な事していません、よ」
「・・・その・・・ね、お礼・・・なんだけど・・・。もし時間あれば・・・・。その、一緒に・・・滝を見ない?」
「滝・・・ですか?」


雪華の誘いに冬水は首を傾げた。
なんでこんな季節に滝を見に行ってもつまらないだろう、という意味ではない。
雪華が誘うなど珍しかったから冬水は首を傾げたのだ。
雪華は見ての通り大人しく、進んで誰かを誘おうという人ではなかったからだ。
だが雪華は冬水の素振りが『つまらない』という意味で捉えてしまった様で雪華は両目をやや下に向けて申し訳なさそうな表情を浮かべていた。

「・・・つまらない・・・よね」
「いえいえ、そんな事ありません。暇でしたから、一緒に見に行きましょう」

生まれてこの方、女の人から誘いを受けた事がない冬水にとって雪華の誘いは嬉しかった。
それに雪華の誘いに断る理由などない。
だから冬水は快く受け入れたのだ。

「・・・・ありがとう、ね・・・・・」

冬水の返事に、また雪華はぼそりと呟いた。








♢♢♢♢♢♢♢♢







大きい岩々の上を渡っては飛んでを繰り返し、二人は滝が見られる場所へとやってきた。
もし春や夏とかであればだが清らかな水が飛沫を挙げて流れ落ちる光景を見る事が出来ただろうが、今の季節は冬だ。
本来、水しぶきを上げて流れ落ちる滝の水は、幾千の氷柱が重なって真下へ垂れ落ちていた。
そして滝を受け止めている池は全て凍っていて、底が見えない程白く濁っていた。
だがそれが実に幻想的で、冬水は何処となくその光景が好きだった。
凍った滝など冬でしか見られない特別な光景であり、何より今は隣に雪華がいたからだ。


「どう、かな・・・?」
「はい、綺麗だと思います。ほら滝の氷柱が透けていて、まるで水晶みたいな輝きだと思います」


冬水が指さした先を見れば、確かに氷柱の一つが太陽の光で反射し輝いていた。
眩いばかりに輝く氷柱はまさに冬水の言う通り、水晶みたいで綺麗だった。





「・・・・良かった」




そう言い雪華は笑みを浮かべようとしていた。
その瞬間を冬水は見つけてしまったのだから、冬水は思わず口を開けた。


「あ、また笑おうとしましたね。雪華さん」
「・・・っ!」


雪華は慌てて冬水から顔を背けた。
どうやらよっぽど恥ずかしかったのだろうか。
冬水は少しだけ、にやけ顔になりながらも雪華の顔を見つめた。


「いえ、ですから恥ずかしがる事はないです。僕はもっと、雪華さんの笑顔を見たいですから」
「私の・・・笑顔・・・・」
「はい、僕は雪華さんの笑顔が好きですから・・・」


それを聞いた雪華は一瞬、冬水から顔を背けた。
されど雪華はゆっくりとまた顔を冬水の方へと向き直し、笑みを浮かべて頷いた。

「う・・・ん・・・・。ありが・・・とう・・・」

また雪華さんの笑みを見れましたからこちらの方がありがとうです、と冬水は思っていた。
すると雪華はもじもじと体をくねらせながら冬水の方へと近づいてきた。


「その・・・・?」
「はい?」
「・・・・その手・・・繋いでも・・・いい?」


手を繋ぐ。
それは冬水にとって多少緊張するものだった。
異性の子と手を握る恥ずかしさは誰にもある事だ。
だがここで雪華の頼みを断っては台無しだ。
男としてやるべき事はやろう、と冬水は決意した。


「はい、どうぞ」


冬水は右手を雪華の前に差し出した。
雪華は恐る恐る右手を前に出し、冬水の手へと伸ばした。
そして雪華の人差し指が冬水の人差し指へ触れそうになった。


「っ!!」


だがそこで雪華は手を止めた。
顔を見れば戸惑いや躊躇といった表情を見せていて、ここまで来て迷っていたようだ。
それを見た冬水は雪華の方へ一歩踏み込んだ。

「はい」

やんわりとした口調で冬水は手を雪華の手へと伸ばした。
どうか自分の握って欲しい、という冬水の願いだ。
それを知った雪華は一度唾を飲み込むと、勇気を出してゆっくりと手を伸ばした。
そして冬水の手をぎゅっと握った。



「っ・・・・・・」



その途端、手を通じて冬水の暖かさが伝わってくる。
―――暖かい。
『氷柱女』である自分では得られない人肌の暖かさ。
ずっと感じていたい暖かさだった。
思わず蕩け落ちてしまいそうな程の。



「ん・・・・・・」



冬水もまた雪華の手を握って、その体温を感じていた。
雪華の手は確かに『氷柱女』である為ひんやりとした冷たさがあったが、しかしそれを上回る温もりが確かにあった。
この温もりは体温とか人体的なものではない。
そうこれは、心の温もりだ。
心地よくいつまでも感じていたい温もりなのだ。
だから冬水は雪華の手を握り続けていたのだ。



「暖か・・・い・・・」
「はい、僕も暖かいです・・・!!」




冬水は恥ずかしそうに口を告げた。
今日は帰る時間まで手を繋いでいよう。
だってこんなにも雪華さんが喜んでいるのだから。
冬水はそう思っていた。








♢♢♢♢♢♢♢♢







それから三日後の事だ。
冬水はまた雪華の家にやってきた。
その理由は雪華に呼ばれたからだ。


「雪華さん、来ました」
「うん・・・。ありがとう・・・」


そう言い雪華は冬水を居間へと案内した。


「それで、渡したいものって?」
「・・・はい、これ・・・」


そう言い雪華が渡してきた品は1着の着物であった。
赤色と基調にした着物で背中には紫色の花があった。
それを見た冬水は気づいた。
この着物は自分が前に届けた布を縫って作った品だと。


「これって僕が届けた布ですよね? もしかして、縫ったのですか?」
「うん・・・・。着ても・・・大丈夫・・・?」


雪華の問いに冬水は頷いた。
拒絶する理由など何処にもないのだから。
雪華から受け取った着物を冬水は早速、羽織ってみた。
その着物はどの防寒着よりも暖かく、それでいて自分の背丈にぴったりだった。


「はい、ぴったりです。でも何で僕の寸法を知っているんですか?」


織るには自分の寸法を知っていなければならないはずなのに、と冬水は思っていた。


「・・・前に・・・冬水君の着物、貰ったから・・・それで・・・」


そう言われ、冬水は思い出した。
前にぼろぼろの着物を着てやってきた時に 雪華がそれを見つけて自分が直そうかと申し出た時に預けたのだ。
後日ぼろぼろだった着物は新品みたいな状態で帰ってきた時は驚いだが。

「ああ、あの時にですか? 僕の寸法知ったのも」

それなら納得だ。
あの時、自分の服を直した雪華なのだから自分の寸法を知っていて当然だ。


「・・・お節介・・・だった?」
「全然お節介じゃないですよ。むしろ有難い事です」


実の所、冬水には他の着物を買う為の金がない。
決して貧乏ではないのだが、着物を買う為のお金があるなら別の為に使った方が良いと考えていた。
それこそ雪華の為になるような事をした方が良いと決めていたのだ。


「・・・ありがとうございます、雪華さん・・・」


そう言い冬水は雪華に笑みを見せた。
それを見た雪華は頬を赤らめながら顔を俯かせた。

「・・・・うん・・・。ありがと・・・・」

何処かぎこちない返事だった。
どうやら恥ずかしがっているみたいだ。
それもまた可愛い所だな、と冬水は思っていた。
だから冬水は気づいた。
雪華といると楽しいという事に。
雪華の顔、それも笑顔を見せている所が何よりも好きだという事に。
そしてこれが恋であり、雪華とずっと一緒にいたいという事に。






♢♢♢♢♢♢♢♢





それから数週間。
冬水は雪華と山々を巡って雪華の笑みを何度も見た。
ぼろぼろになった着物らを雪華に預けて、雪華がそれら全てを直して返した時はありがとう、と言葉を何度も送った。
もう雪華といる事が楽しいし、ずっといたいと思っていた。
今日もまた冬水は雪華のいる家へと足を運んでいた。
それに今日は特別な日になるのだから、冬水の心は何時にも増して弾んでいた。
この雪の坂道を駆け上がれば雪華の家が見えてくる。
冬水はその坂道を上がろうとした時だ。




「ちょいと、そこの人」




声を掛けられ冬水が振り返ると、そこにいたのは一人の男だった。
歳は恐らく30代手前、頭がまん丸の坊主頭が印象的だった。


「あんた、この先の家に住んでいる女の人に会いに行くのか?」
「え?」


女の人、と言っている事からこの男が言っている人は恐らく雪華の事だろう。
なんぜ彼女の事を知っているのだろうか、と冬水は不思議に思った。

「いや、別に邪魔とかはしないからよ。ただ一つだけ確認したい事があるんだ」

すると男は真剣な表情になって冬水の前にぐっと顔を近づけた。





「好きかい? その人の事?」
「え・・・?」
「・・・好きなのかい? その人の事?」




男は冬水を値踏みするかの様な眼差しで問いかける。
その眼差しに冬水は怖気づきそうになるも、雪華の笑みを思い出したらそんなものはすべて吹き飛んだ。
もう自分の心に、正直になるべきだ。

「・・・はい、好きです。優しいですし、それに・・・。その笑みが素敵ですから」

冬水は自分の思いに正直に答えた。
それは恋である事も分かっていたし、雪華とずっと一緒にいたいという事も分かっていた。
だから素直に答えたのだが、冬水の返事を聞いた男は複雑な表情を浮かべていた。
嬉しいのか、もしくは困っているのか、はたまた悩んでいるのか。
兎に角男はそんな表情をしていたのだ。
暫くすると男は一つ頷くと、冬水の方へと一歩踏み出した。

「・・・ならこれをやる」

そう言い男が渡してきたのは3枚のお札だった。
自分には到底理解出来そうない、複雑な文字が魔法陣の様にびっしりと書かれていて、裏面を見れば何も書かれていない、まさにお札といった代物だった。
「いいか? もし危なくなったらそのお札を使って逃げろ。そのお札に向かって言えば、代わりに答える事も、大雪崩も洪水も起きるからな」
何やら物騒な単語が聞こえてきたが、困惑していた冬水にはその意味を飲み込めずただ適当に相打ちするしか出来なかった。
「え、あ・・・はい? ありがとう、ございます」
「・・・・そんじゃ、幸せにな」
そう言い残して男は去っていたが、残された冬水は首を傾げていた。
「どういう事だろう・・・?」
なんであの人は、『幸せに』などと言ったのだろうか。
いや、そもそもなんでこのお札を渡してきたのだろうか。
この道に危険な動物とか出てくるはずはないのに、と冬水は首を傾げていた。
「あっと、雪華さんの所に行かなきゃ」
冬水は貰ったお札を懐にしまい、雪華の家へと歩きだした。






♢♢♢♢♢♢♢♢






雪華の小屋、その扉の前で冬水は雪華の名を呼ぶと、すぐに雪華が出迎えてくれた。
「今日は・・・・家に泊まって・・・いく、の?」
いつも聞きなれたぼそぼそ声も、今日は嬉しさに満ちた声だった。
「はい。今日はそういう約束でしたよね?」
今日は特別な日―――それは1日だけ雪華の家に泊まるという事だ。
初めて女性の家に泊まると聞けば何だか心臓がどきどきして止まらない。
これが女性と付き合うって事何だろうな、と冬水は思っていた。
「・・・うん、ありがとう・・・ね。じゃ、奥の方に・・・」
そう言い雪華は奥の方へと案内した。
雪華の小屋は生活必需品だけが置かれているが、小屋の奥だけはがっちりと引き戸で閉められていて冬水は見た事が無かった。
てっきり重要な作業場なのだろうと冬水は思っていたが、案内されたという事はそこまで重要ではないらしい。
言われるがまま冬水は引き戸を引いて、中へと入ったが。




「えっ・・・・?」




その部屋の中にあった品々に冬水は目を疑った。
壁には自分が雪華に預けた服全てが壁に貼られていたのだ。
しかも雪華に預けた時と同じぼろぼろの状態で。
そして床には自分そっくりの、氷で出来た像が何体も置かれていた。
どれも自分の背丈を同じ大きさで、精巧に作られていた芸術品だった。
そして像の足元には氷で出来た札が付けられていた。






『冬水ちゃんの美味しそうな笑顔ぉ♡』




『冬水ちゃんとお手て繋いだ記念っ♡』




『冬水ちゃんのぐひ、ぐひひぃ・・・♡』






それを見た冬水はその題名が書かれた表札を見上げると、確かに笑顔の表情をした自分が彫られていた。
そして自分と雪華が手を繋いだ時を、そのまま再現したかの様な彫刻が置かれていた。



「ど、どうなっているの?」



冬水は混乱していた。
あの大人しい雪華さんがこんな事をするはずないと思っていたからだ。
雪華は綺麗で、ちょっと恥ずかしがり屋な人なのに。
だが部屋の真ん中にあった物に冬水は目を見張った。 
そこには大きな、それこそ大人二人が寝転がっても余る程の大きな布団が敷かれていた。
端の方には枕が二つあるが、しかし布団は一つだけだ。
これが意味する事とは、すなわち。








「・・・冬水君・・・・」









冬水は後ろを振り返った。
そこにいたのは、もちろん雪華であった。
いつものようにぼそぼそとした声で、冬水の名を呼んだだけだ。
なのに今は得体の知れない恐怖を冬水は感じていた。
それこそ背筋が凍るかの様な恐怖だった。





「せ、雪華さん・・・・」





恐る恐る冬水は雪華の名を呼んでみた。
その瞬間だった。














『ドサッ・・・・』


雪華はその華奢な手で冬水を押し倒した。
そして布団の上へと倒れ込んだ冬水に、雪華は冬水にまたがっていた。
一瞬、何をされたのか冬水には分からなかった。
ただ気づいた時には布団の上に倒れ込んでいた。
その上には雪華がまたがっていて、冬水を逃がさない様に両足で冬水の腰回りをがっちりと掴んでいた。



















「・・・・うひ」











小さな笑い声が冬水の耳に入った。
それも雪華の声で。

















「・・・・・うひ・・・・・・・・うひ♪」













笑い声が大きくなった。
雪華が、笑っているのか?
冬水は雪華の顔を見つめると同時に、雪華は豹変した。








「うひ、うひひひいぃぃ〜〜〜♡ きゃ、はははっ、ははぁっ〜〜〜〜!!!!! ひゃは、はははあああああああぁ〜〜〜!!!」






雪華が、大人しく口数が少ない雪華が高笑いを挙げた。
口をあんぐりと開け、目がまどろんでいて、信じられないほどの下品な笑い声で。




「せ、雪華さん・・・?」
「ごめんなちゃいねぇえぇ〜♪ 冬水君をぉ〜〜〜♪ 私ぃ専用の夫様にするにはここちかないと思ったのおおぉ〜〜!! そう、あの時引っ越しを助けてくれた時からもう心が爆発寸前の臨界点突破しているのおおおぉおお♡」




今の雪華は余りにも似つかない、ふしだらで下品な笑みを見せていた。
口元は引きつり、頬は酷く赤く、その瞳は濁っていた。
その口元からは今にでも涎が垂れ落ちそうな、美人が台無しになる崩れた表情であった。



「きゃはあああぁっ〜〜〜♪ 実はねぇ、実はねぇえ♪ 私ねぇ♪ 冬水君の事、だいだいだぁ〜〜〜い、ちゅきなのぉ〜〜〜!! 冬水君の唇をちゅぱちゅぱしてぇ、その真っ赤な舌をぺろんちぺろんちしてぇ〜〜♪ 冬水君の全てぇすべぇ〜〜て、わたちのものにしたいのおおおぉおおおぉ〜〜〜♪ きゃはははぁああぁ〜〜〜♡ あ、あああっ!! あの彫刻はねぇ、余りにもうれち過ぎて徹夜して作ったのおお〜〜♡ それと壁に飾っている着物はねええ、貰った着物と瓜二つのを徹夜で織って渡してたのおおおぉ!! もう冬水君の使用済み着物は永久保管ものだからぁ毎日手入れを施しっちゃてるから問題なし無しなのよおおぉ〜〜!! ほほおっ、ほほぉおぉほっ〜〜〜!!!」




雲泥の差、とはまさにこの事だろう。
あの大人しく大和撫子みたいな雪華が、こんなにも下品な言葉を使う淫らな女だったとは。
その姿に冬水は絶句し、何も考えられなかった。





「という訳で冬水君〜〜〜♡ わたしと、わたしとおぉおお♡ 乱交大会をはじめちゃいましょうねえええぇ〜〜〜♪ 私のやわらかぁい、おっぱいもきつきつぬめぬめのおまんこも全部全部全部冬水君に捧げちゃうんだからあああぁあああぁ〜〜〜 うひひひいい、ひゃあああぁああぁ〜〜〜♡ 私といっしょおおおぉに、初夜を過ごしちゃいましょうねえええぇ〜〜〜〜!!うひ、うひいいいいっ!! うひゃああああぁあああ〜〜〜!!」


そう言い雪華は邪悪な笑みを浮かべ涎を垂らしながら冬水へと迫ってきた。
雪華のその狂乱ぶりに冬水は身の危険を感じ、何とかしないと口を動かした。




「ま、待って下さい。その、しょんべんしたいです!! ほら!! 漏らしたら大変じゃないですか!! 色々、台無しになってしまいますし!!」
「それにゃら、私がごくごくして挙げるぅううぅ〜〜♡ 冬水君のものなら喜んで飲んじゃうんだからねぇええぇ〜〜〜!! おほほほっ、おひゃあああぁ〜〜〜!!」



人の話を聞いていない、と冬水は思った。
いや、話を聞いてはいるが優先順位が自分と交わる事が上だったのだ。



「だ、駄目です!! そんな汚い事、させる訳にはいきません!! だからお願いします!! お願いします!!」


そう言い冬水は必死に頼み込んだ。
すると雪華は渋々と立ち上がり、両足での拘束を解いた。


「むううぅ〜〜〜♪ 冬水君がそこまで言うにゃら・・・・・・」


どうやら話は通じたようだ、と冬水は安心したがそれは違った。



「でもでもぉ、返ったらすぐに私の肉便器でしぃしぃ、しまちょうねぇ〜〜〜〜♪ ひひゃああ、ひゃははははぁ〜〜♡」



雪華は冬水の頼みを聞き入れたが、冬水の選択はその場しのぎでしかなかった。
どちらにしても雪華と初体験をする、という事に変わりはないのだから。









♢♢♢♢♢♢♢♢





雪華の家の便所は外にあったので、外に出た冬水だが途方に暮れていた。


「何とかなったけど・・・・どうしようか・・・?」


まさか便所を済ませて素直に戻る訳にもいかない。
戻ったら最後、雪華によって永久に絞られるしかない。
かと言ってこのまま逃げたとしてもあの雪華から逃げ切れるかどうか怪しい。
何か良い手はないかと冬水は頭を抱えて考えてみた。
とそこで、ふと冬水は思い出した。
「そうだ、お札で・・・」
そう言い懐から取り出したのはあの男に貰った三枚のお札だ。
男の話ではこのお札に頼みたい事を言えば、それを叶えてくれるみたいだ。
「でもほんとにそうなのかな・・・」
半信半疑であったが、ここで使わずしていつ使うのだろうか。
冬水は便所の扉裏にお札を貼り付け、手を合わせてお願いした。

「どうか・・・僕の代わりに答えてください」

そう言い残して冬水はこっそりと逃げ出した。
その心には雪華に対する恐怖と多少の申し訳ない気持ちがあったが。












数分後、待ちきれなくなった雪華は便所の前へとやって来た。




「冬水くぅ〜ん♪ まぁだかなぁ〜〜〜!!」


雪華は実に楽しそうな口調で扉の中にいるであろう冬水に声をかけた。

『まだです。もう少し』


便所の中から冬水の声が響くが雪華は待ちきれなかった。
今の雪華はお預けをされた獣。
お預けが長ければ長いほど、凶暴性は増していくのだ。




「冬水くぅううぅ〜〜〜ん♪ 私のおまんこはもうひくひくと冬水くぅんのちんぽが欲しくて疼いてぇ〜〜!! 今すぐおまんこで精液補給しないと干からびて脱水しちゃいそうなのおおお〜〜〜♪ 早く冬水君のせーしを吸飲させてええぇえええよおお〜〜〜♡」




そう言い雪華は扉をドンドンと叩いていた。





『まだです。待って下さい』

「お預けなのぉ〜♪ なんて意地悪な恋人ちゃん!! うぎいい!! 私脱水しちゃううう〜〜!! 脱水症状を起こして、干からびてやせ細りそうなのおおぉおお〜〜♡」


そこから数分、雪華はいないはずの冬水に対して愛の言葉を紡いでいた。


「うぎいいぃいい〜〜♡ 干からびちゃうううぅ〜〜!! 冬水くぅんのせーしをこの体に浴びなきゃ死んじゃうぅううう〜〜〜♡ お願いぃ、お願いいいぃぃ〜〜〜!! 精子補給をさせてぇえええ〜〜!!」

『まだです。待って下さい』

「ぬほおおおぉお〜〜!! なんて強情な人なのおおおぉ〜〜!! 雪華死んじゃいそううう〜〜!! 精子補給をぉ・・・んん?」



異変を感じた雪華は鼻を嗅いだ。
いつも嗅いでいる冬水の匂いが漂ってこない。
漂ってこないという事はまさか。



『バンッ!!』



雪華は扉を力の限りこじ開けた。
便所の中には冬水の姿がなかった。
そして扉の裏にはお札が貼ってあった。
つまり冬水は自分から逃げたという事になる。
それを知った瞬間、雪華は弾けた――――






「うひ・・・♪ うひっ・・・・♪」




雪華は扉のお札を剥がし、そしてお札をその手で破り捨てた。
破いて、破いて、ぼろぼろの紙くずにして。








♢♢♢♢♢♢♢♢






冬水は雪に足を取られながらも歩いていた。
気が付けば雪華の家からだいぶ遠くまで離れていた。
普通の人間であれば追いかけても逃げ切れるはずだ。



「よし、このまま一気に・・・」




そう思い冬水は次の一歩を踏み出した時だ。













「冬水くぅ〜〜〜〜〜〜〜ん♪ 私から逃げられる訳ないでちゅよぉおおおおぉおおぉおおぉ〜〜〜〜〜!!!!!! 私と一生、じゅぼじゅぼのぉ、はめはめぇするのでちゅよぉおおおおぉおおぉ〜〜〜〜〜〜♪ 私を怒らせた罪は100億超年の刑なのでちゅよおおおぉおお〜〜!!」




まるでこだまの様な、いやこだまそのものの雪華の下品な声が山中に響いた。
それを聞いた冬水は心臓が飛び出そうだった。
もし捕まったら最後、自分は死ぬ程犯されるのだと思ったら居ても立っても居られない。
だがこのまま一気に山を降りて村まで戻れば、大丈夫なはずだ。
そう考えた冬水は雪に足を取られながらも懸命に走った。







♢♢♢♢♢♢♢♢





雪が積もった広い雪原に出た冬水は山を抜けたのだと分かった。
後はこの雪原を抜ければ村までたどり着ける。
そう思った冬水は村へと向かってその雪原を走り出した。
だが。









「ほほほほぉおおほっ〜〜〜〜!!!! 冬水くぅ〜〜〜ん、見ぃつけまちぃたぁあああぁ〜〜〜〜♪」



酷く下品な笑い声だが、冬水を見つけて喜んでいるかの様な声であった。
冬水が振り向くと、遠くであるが雪華の姿が見え隠れしていた。
それも恐ろしいほどの俊足で冬水の方へと迫っていた。
冬水が足を取られる雪の上を、雪華はその足で粉雪を巻き起こしながら進んでいたのだ。
それはまるで獲物に狙いを定め、一直線に進む猪の様だった。
そしてその獲物というのは言うまでもない、冬水だ。



「冬水くううぅ〜〜〜んん!! 一緒に、一緒に一緒にぃいい♪ おまんことおちんぽをがっちんぽしまちょうねええええぇ〜〜〜〜!!! 昼夜問わず24時間ハメ付けするのでちゅよおおぉ〜〜!!」



しかもよく見れば透明な涎をまき散らしながら、雪華は冬水の元へと迫っているではないか。
その恐ろしさと言ったらどんな化け物が出ても雪華に勝るものはいないだろう。
このままでは彼女に捕まって犯される。
そう恐れた冬水はすぐに二つ目のお札を取り出した。



「っ!!」


だが何を頼むべきかと冬水は悩んだ。
あの雪華を見ればちょっとやそっとでは駄目だ。
となれば、雪華の足を止めるにはその体ごと止めるしかない。
意を決し冬水はお札に頼んだ。



「大雪崩、起きてください!!」



そう言い冬水はお札を空へと投げた。
するとお札は青白い光を放つと消えていくと、その次には山の上から地響きが鳴り響いた。そして山の方から雪崩が雪華の方へとやってきたのだ。


(本当に起きちゃった・・・)


頼んだ張本人であるにも関わらず、冬水は唖然としていたがこのままでは自分も雪崩に巻きこまれてしまう。
辺りを見渡し、高い岩を見つけた冬水はすぐにその上へと登り安全を確保した。
だが雪華は違った。


「待ってぇええぇ〜〜〜!! 冬水ちゃあぁ・!! ぐふおぉおお!?」


雪崩に気づかず冬水の事で頭がいっぱいだった雪華は、哀れにもその雪崩に巻き込まれてしまったのだ。
音を立てながら雪崩は大地を、そして雪華の体を飲み込んでいく。
そして音が止めば、雪崩は止まり、辺り一面が雪の大地となってしまった。
冬水はゆっくりと岩から降り、その足を雪崩によって敷かれた雪へと付けた。
雪崩の雪はもうだいぶ固まっていて新しい雪の地面へとなっていた。



「や、やっちゃった・・・・」



そう呟いた冬水だが、その心には安堵と罪悪感が入り混じっていた。
いくら魔物娘でも、いくらあれだけ恐ろしくとも雪華は自分に優しくしてくれた女だ。
そんな人を雪に埋もれさせてしまうなど、恩を仇で返す様なものではないか。


「け、けど・・・あの時逃げなかったら・・・僕は・・・」


貞操を奪われ四六時中、雪華に犯されていただろう。
そうだ、この方が良かったはずだ。
だって合意の上での性行為なら納得出来るが、自分は合意などしていない向こうから勝手に襲ってきたのだ。
正当防衛ではないが、こうでもしなければ逃げられなかったのだ。
だがそう自分を説得してみるも、次第に冬水の罪悪感が肥大化していく。


「うん・・・・。でも雪華さん・・・魔物ではあるけど、助けた方が・・・」


良心の塊である冬水は結局助けるという選択肢を取ってしまった。
雪華が埋もれた場所は大体分かっているので冬水はその場所へ行こうと足を踏み出した。
だがその時だ。






















『バサ・・・・!!』



雪崩で積もっていた雪の地面が、ちょうと雪華が埋もれた辺りの地面の雪が粉雪となって宙へと舞い上がった。
それはまるで地面から噴き出た間欠泉の様に、下から巨大な力によって雪が舞い上がったのだ。
それを見た冬水の背筋は凍りついた。


「そ、そんな・・・・」


冬水はその光景を否定したかった。
雪に埋もれて動けるはずないというのに、それでも彼女は動けるというのか。
きっと何かの間違いだと首を振ってみたが。












「っ・・・・・!! っ・・・・!!」






雪の中からうめき声が聞こえてきた。
そのうめき声の主は間違いなく、彼女だ。















『バサ・・!! バサ・・!!』



また地面の雪が間欠泉の様に宙へと舞い上がった。
雪華が自力で脱出しようとしているのだ。
もし彼女が脱出したら自分目掛けて襲い掛かってくるのだろう。
と思ったら冬水の頭にはもう、逃げるという選択肢しかなかった。
冬水はすぐに回れ右をして走り出そうとした。
だが遅かった。






「あぐっ!?」



冬水は胸に手を当て、うずくまった。
胸辺りに痛みが走ったのだ。
冬水が目線を降ろすと、冬水の右胸には氷柱、その先端が突き出ていたのだ。
雪国では必ずと言っていいほど見られる、あの凶器とも言える冷たい氷柱だ。
だが血は一滴も垂れ落ちていない。
これほどの大きさで血が流れてこないなど、冬水は恐怖に感じたが本当の恐怖はここからだった。


「っ・・・!!」


冬水は体の異変に気付いた。
・・・寒い。
雪国で寒さなど慣れっこのはずなのに、身が引きちぎれそうな程寒いのだ。
いやそれだけではない。
心が、寒くなったのだ。
囲炉裏で体を温めても、布団にもぐって温めても拭えない程の寒さだ。
なんでこんなに寒くなってしまうのだろうか。
きっとこの氷柱が刺さっているせいかと思い、冬水は氷柱へと手を回して背中から引き抜いた。
引き抜いても血は一滴も流れ落ちてなかったが、氷柱を抜いても心の寒さは変わらなかった。
心も、そして体も寒い。
どうして、と冬水は呟いた時だ。


















「冬水ちゃん・・・・。私から、逃げられる訳ないでちゅよぉ・・・♪」



雪華の声に、冬水は恐る恐る後ろを振り返った。
そこには自力で這い上がり、右腕と顔が雪の地面から生えているかの様な状態の雪華がいた。
それもふしだらな笑みと口元から涎を垂らしながら。
その光景から雪華があの氷柱を放ったのだと冬水は察した。



「う、うわあああああああぁ〜〜〜〜〜!!!」



声を挙げながら冬水は走り出した。
雪崩に埋もれても自力で脱出し、更にあんな雪華の邪悪な笑みを見たら、恐怖のあまり逃げ出してしまうのも無理はなかった。
そして冬水が逃げれば雪華が追うのも当然だった。



「うひひひひひゃあああぁああぁ〜〜〜〜!! 冬水くぅ〜〜〜ん、いや冬水ちゃあああぁ〜〜〜んん♪ また追いかけっこするのでちゅうかぁあああぁ!!! わたちが鬼ちゃんなのですねええぇ〜〜〜!!! 捕まえたらぁ、即ぱこぱこのぬぷぬぷ野外営みでちゅうううううぅ〜〜〜〜♪」



また雪華の淫乱な声が辺りに響き渡った。











♢♢♢♢♢♢♢♢






まさに命をかけて冬水は雪華から逃げていた。
体と心は氷に包まれたかの様に冷たく身震いが止まらなかったが、冬水はまだ動ける状態だった。
幸いにも頭と手だけは脱出していたがまだ雪華の体は雪の中に埋もれている為、雪華はまだ追いかけてはこなかった。
だからこの隙に冬水は一気に里の方へと逃げ落ちようと考えていた。
だがそれは束の間の安らぎであった。



「うひゃあぁああぁああ〜〜〜♪ 冬水ちゃああぁあぁ〜〜ん♪ 私から逃げられると思っているのかなああぁ〜〜〜♪ もう自力で這い上がってきまちたよぉおおお〜〜♡」



また雪華の笑い声が聞こえてきた。
もしやと冬水は思わず後ろを振り返ってみた。


「おひゃひあああひゃあああぁああ〜〜〜〜♪ 冬水ちゃんの後ろ姿、素敵いいぃ〜〜〜♪ 思わずぺろんちぺろんちしちゃいたいいいいぃいいぃ〜〜〜〜〜!!!」


冬水が振り返ると雪華が迫っていた。
雪の上だというのに変わらずの俊足で冬水目掛けて迫ってくる。


「おほほおおおっ!!! おひゃあああ!! もう我慢が出来ない出来ない出来ないのおおぉ〜〜!! 冬水ちゃああん!! この愛の氷でまた突き刺して挙げるうううう〜〜!!」


すると雪華はその手で氷柱を作り上げると、やり投げの要領で冬水目掛けて投げ飛ばした。
気配を感じた冬水は振り返ると氷柱が後少しで、冬水の背中へと突き刺さろうとしていた。


「うわ・・!!」


気づいた冬水はぎりぎりで避けるも、雪華はすぐに二本目、三本目、と次々と氷柱を投げ飛ばしてくる。


「ひ、ひい・・!! う、うわあ・!!」


その度に冬水は小さな悲鳴を挙げ、体を曲げて氷柱を避ける。
だが氷柱を必死に避けるも雪華との距離は徐々に縮まり、遂には雪華がその腕を伸ばせば冬水の衣服の裾を掴めるかも知れないという距離まで来てしまった。
冬水はちらっと雪華の姿を見たが、それは恐ろしい姿だった。
雪華はその口から透明な涎をまき散らし、真っ白な歯とその歯茎を晒して、眼も血走っていた。
そして整っていた着物は乱れていて、藍色の乳首がまる見えで、振袖がずれ落ちて滑らかな青白色の腕を晒していた。
詰まる所、雪華は着物を晒して上半身裸という状態だった。
帯で辛うじて着物は繋ぎ留められていたが、これでは着物を着ている意味がないし、雪華が冬水の事しか考えていない事が嫌でも分かるというものだ。










「冬水ちゃん冬水ちゃん冬水ちゃん冬水ちゃん冬水ちゃん冬水ちゃん冬水ちゃん冬水ちゃん冬水ちゃん冬水ちゃん冬水ちゃん冬水ちゃんんんんん〜〜〜〜〜〜〜〜!!! ぐひい!! ぐひいいぃ!! うひゃ、うひゃうひいいい、ひゃあはははああああぁあああぁああぁぁ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」







今の雪華には説得も何もかもが無駄だ。
何故なら今の雪華は『獣』そのものだからだ。
冬水という獲物を追い続けて捉えるしかない、煩悩のままに暴走する『獣』だ。
その野獣の様な荒れ狂う姿と言い、捕まると犯されるという恐怖にかられ冬水は遂に三枚目の札を使おうと決心した。
あの雪華を止めるには、もうこれしかなかった。
加減なんて考えられない。
冬水は声を挙げて札を天へと投げた。



「氷漬けにしてください!!」



札はぴかっと光るとすぐに消えてなくなった。
そして何処からともなく大量の水が雪華目掛けて襲い掛かってきた。
その量はまるで湖にある全ての水をそのままぶちまけたかの様で、それに飲みこまれれば確実におぼれ死んでしまう事だろう。
大量の水は冬水を避ける様に流れていき、雪華目掛けて襲い掛かった。



「冬水ちゃああぁん〜〜〜♪ 待ってぇ・ご、ごぼぼぼっ!?」


冬水に夢中で気づかなかった雪華はそのまま水の中に飲まれていく。
その間、冬水は高い坂へと登ると何が起きているかと思い、振り返って見下ろした。
気が付けば辺り一帯が水で覆われていて、洪水でも起こったかの様な惨事だった。
そして雪華を飲み込んだその大量の水は瞬時に凍りついていく。
水の表面が氷を張って、その次には氷の下にある水が凍っていき、たちまち辺り一面が氷の地面と化してしまった。


「せ、雪華さん・・・・」


冬水はしばらくその場で立ち尽くしていた。
やり過ぎた、と思ってもそれは後の祭りだ。
氷の中は白く濁っていて、雪華が今どんな状態なのか見る事も知る事も出来ない。


「あ、ああっ・・・!! ああっ・・・・!!」


途端に冬水は後悔した。
お札を使った時点でこんな事になるのは分かっていたのになんで冬水は後悔などしているのだろうかと思う人はいるだろうが、冬水はそういう青年なのだ。
例えあんなひどい目に合おうとも、他人への思いやりの心を忘れない優しい男なのだ。
そしてあんな一面を持った雪華でも、冬水は彼女の事が好きなのだ。


「ど、どうしよう・・・!! 雪華さんだから死んでないとは・・・」


氷を割って助け出そうと考えても、道具も何も持っていない冬水にはそんなのは無理だった。
ならばどうするべきか、と冬水が考え始めた時だった。

















『ピキッ・・・・!!』



「ん?」


冬水は耳を疑った。
何かの聞き間違いだろうか。
何か割れるかの様な音が聞こえてきた。
冬水は氷の地面へと耳を傾けた。















『ピキ・・・!! ピキッ・・・・・!!』


また聞こえてきた。
氷の地面から、それもハッキリと。






『ピキッ・・・!! ピキッ・・・・!! ピキッ・・・・!!』


音が大きくなってきた。
何事かと冬水は氷の地面を見つめると。









「氷に・・・ひびが・・・!!」



氷の地面にひびが入っていたのだ。
ちょうど雪華が飲み込まれたであろう中心から、真っ白な亀裂が至る所へと延びていた。
それを見た冬水は確信した。


「雪華さんだ・・・・」


氷漬けにされてもなお動ける、いや大丈夫だというのか。
冬水は雪華の恐るべき執念に腰を抜かしそうになった。
途端に恐怖に駆られた冬水はその場から離れようと足を動かした。


「は、早く逃げ・・・!!」


冬水がそう叫び、背中を振り向けたその時だった。








『ピギギギッ!! ビキッ!!! ビキッ!!』



ひび割れの音の後に、氷が砕けたかの様な聞こえた時にはもう遅かった。

















「・・・ふぅ〜〜〜ゆうぅううう〜〜〜みぃいいぃずううぅうううちゃあああああああんんんん〜〜〜〜〜!!!」






氷から脱出した雪華が邪悪な笑みを浮かべながら、冬水目掛けて飛び込んできた。
そして雪華はいつの間にか手に握っていた氷柱で、冬水の心臓目掛けて背中から突き刺した。



「あぐっ・・!?」



悲鳴を挙げた冬水。
胸にはあのぎらりとした氷柱が突き刺さり、それが背中から胸元へと飛び出ていた。
そして突き刺された事で冬水は遂に地面へと倒れ込んでしまった。
氷の地面に倒れ込んだのだから冷たい感触が冬水の顔全体へと伝わっていく。
そんな彼に対して雪華は笑みを浮かべていた。
ただしその笑みは邪悪に満ちていて、更に口元から涎を垂らしていた。
その両目は酷く濁っていて、俗に言う『病んでいる』としか言いようがなかった。



「冬水ちゃん・・・。わたちから逃げられるのかしらぁ・・♡」



言葉を一つ一つ、ねっとりと言いながら雪華は冬水を見つめていた。
それはまさに狂愛の一言でしかなかった。


「うひゃ、ひゃはあはああああ!! 冬水ちゃん、私があれぐらいで死んじゃう訳ないでちゅうよおおぉ♪ 例え体がこにゃごにゃに砕けてぇ、体が木端微塵に消えちゃっても〜〜♪ 冬水ちゃんの為ならぁあ、氷の一欠けらでさえも復活出来ちゃうのおぉおおぉ〜〜♪ にょほほほほぉぉおほほほぉ〜〜〜♪ ほほほほぉおおぉ〜〜〜〜♪」


口元を歪め、そして涎をまき散らしながら高笑いを挙げた雪華。
そんな雪華に対し、冬水は何も出来なかった。
心と体が完全に凍り付いて、もう一歩も動けない。
そしてこれから雪華によって永久に絞られる。
そう思ったら、冬水はもう我慢出来なかった。












「ひぐっ・・・!! ぐすっ・・・・!!」



冬水はぽたぽたと目から涙を垂らし始めた。
加えて心が氷の様に冷たくて、更に氷の地面に倒れ込んだのだから体も冷たい。
となれば冬水にはもう絶望しかなかった。




「ぐっす・・・・!! ぐっす・・・!!」
「ぐっひゃああああ〜〜〜♡ ひゃあああああ〜〜♡ お、おほおおっ!! おほ、ぐひ!!ほほっ、ほほほほおおぉお〜〜〜〜!!」



とどめには雪華の笑い声だ。
勝ち誇って、悪党みたいな下品な笑い声が冬水の耳に入ってしまったらもう。



「っぐす・・・!! ひっぐ・・・!!」



その途端、冬水の感情が爆発した。





















「うわああぁあああぁ〜〜〜んんん!! うわああああぁ〜〜〜ん!!」



冬水は大声を挙げて泣き始めた。
それこそ幼い子供が悲しい事があった時に泣く様子そのままに。



「あ、あれぇ・・? えっと・・・冬水ちゃん・・・?」



雪華がすっとんきょうな声で冬水に問いかけた。
どうやらこんな反応をされるなど想定外だったようだ。
だが冬水は雪華の声に応えず、ただ泣いていた。



「うわあああああ〜〜〜んん!! うわああぁああ〜〜んんん!!」




もう青年で、男であるにも関わらず冬水は泣いていた。
ただ泣き尽くす冬水の姿に雪華は手をあたふたしていた。



「え、ええっと・・・!! 冬水ちゃん・・・!!」



今までの狂乱ぶりは何処へ行ったのやら、雪華はどうして良いのか分からず混乱していた。
雪華は別に悪い事をしたつもりはないのだが、その結果が冬水を泣かせてしまった。
涙を流し続ける冬水の姿に、雪華は。




「っ・・・・・・・」



着崩れていた服を元に戻し、涎を振袖で拭いた。
いつも見せていた可憐で大人しい姿になった雪華は冬水の体を抱き起し、冬水の背中に刺さっていた氷柱をゆっくりと引き抜いた。
そして冬水の頭を自身の太ももの上へと置いた。
冬水は、それが膝枕だと分かるのに数分かかった。


















「・・・ごめん、なさい・・・・」




いつもの、あのぼそぼそとした声で雪華は冬水の頭を撫で始めた。




「・・・怖い、思い・・・・させて・・・」



そう言い何度も何度も冬水の頭を撫でていた。
それはまるで冬水への謝罪であるかのように。



「ひっぐ・・・!! ひぐっ・・・!! ぐす・・・!!」



雪華の奉仕を受ける冬水は何も答えなかった。
それでも雪華は話を続けたのは、謝罪の為だった。






「私・・・夫の事になると・・・。とんでもなく・・・・・居ても立っても・・・居られないの・・・お母様も・・・そうだったから・・・・。その・・・」


「ひっぐ・・・・!! ぐっす・・・・!!」



冬水は耳を傾けなかった。
今の冬水にはそれを聞く余裕が無かったからだ。



「・・・・ごめんなさい・・・・・怖かった・・・・よね・・・・」



それっきり雪華は何も喋らなかった。
冬水に怖い思いをさせてしまったという罪悪感からだろうか。
ただ、雪華は冬水に膝枕をし、冬水の頭を優しく撫でていた。



「ぐっす・・・・・。ぐっす・・・・・」



雪華の抱擁が効いたのか、冬水は次第に落ち着いてきた。
相変わらず体も心も寒くて身動きが出来ないが、話をする余裕は出来た。



「雪華・・・さん・・・・」



冬水は雪華の名を呼んだが、雪華は冬水から顔を背けた。


「・・・・・私・・・・。別れた方が・・・・良いよね・・・・。こんな・・・・怖い人・・・なんて・・・・」
「・・・そんな事、ないですよ・・・!!」



すぐに冬水は返事をした。
怖い思いをするのは嫌だったが、雪華と別れるのはもっと嫌だったからだ。



「ぼ、僕は嬉しいです。僕の事を好きだなんて・・・!!」


そう、元々冬水は雪華の事は大好きだ。
あの時冬水が逃げだしたのも状況が飲み込めなくて、つい心の迷いで逃げ出したのだ。



「もう・・・怖がって・・・ない・・・?」



雪華の口調は心配そうであった。
だがここで勇気を出さねば、と冬水は意気込んだ。






「・・・確かに怖かった、です・・・。けど・・・けど、雪華さんの事が大好き、なんです・・・」




それを聞いた雪華は目を見開いた。


「私の・・・・事が・・・大好き・・・?」
「はい・・・。雪華さんと居られれば、僕は嬉しいんです・・・!! だから、雪華さんの
全部を好きになって見せますから。だからずっと、ずっと一緒にぃ・」







冬水はその次の台詞を言えなかった。
何故なら冬水が気づいた時には冬水の口に雪華の唇が重なっていた。


「う、ぐううちゅう!! ちゅるう♪ ちゅ、ちゅるう!! じゅうる、じゅるうううう!!!」


雪華が冬水の唾液を全て吸い取らんとばかりに口づけしてくる。
もしあの時小屋でこんな口づけをしてきたのであれば冬水は拒絶していた所だが、今は違った。
心が暖かくなってくる。
今まで冷たくて仕方なかった自分の心が暖かくなってきた。










「うれちぃ!! うれちぃ〜〜〜!! ぐひいいい!! もうこうなったら私は止まりまちぇんよおおぉ〜〜〜♡ 冬水ちゃん一緒にずっこんばっこんの乱交しまちょうねええ〜〜〜!! 冬水ちゃあああぁああんんん〜〜〜〜!!」



雪華がもう隠すことなく、淫らな本性を現した。
だが冬水はもう怖くない。
ただ流れるがまま雪華と交わるだけだ。


「まずまずはぁ〜〜♡ おちんぽを愛撫で、いやぺろぺろするのおお!! そう手でしゅこしゅこして、舌でぺろんぺろんとしちゃうからねえええ〜〜!!」


そう言い雪華は冬水の着物を脱がそうと手を伸ばした。
だがここでやるには寒い。
人間である冬水は堪らず雪華に声をかけた。

「せ、雪華さん!! ちょっとここじゃ寒いですよ!! 雪華さんの家で!!」
「ぬほおおお!! 私はここで、野外でするのおおお〜〜!! お預けされるのいやアああ〜〜〜♡ 雪華ちゃんはもう我慢なんて出来ないのおおぉ〜〜♡ 寒いのならぁ!!」

すると冬水と雪華の周囲が氷によって包まれていく。
氷は壁の様に組みあがり、たちまち氷のかまくらが出来上がった。
確かにこれなら外の空気は遮断されて寒くはない。

「おほおほほほ〜〜〜!! では改めてのぉ、脱ぎ脱ぎの時間でちゅよおおぉおお〜〜!! 初めての脱ぎ脱ぎ頑張りまちょうねぇえええ〜〜!!」

雪華は冬水の着物を引きちぎり、もとい脱がしていく。
ふんどしも引きちぎると露になるのは冬水のイチモツであった。
冬水のイチモツはまだ小さく口の中でほうばれる程度だが、既に興奮して勃起していた。

「うひ、うひうひいい〜〜!! 冬水ちゃんのおちんぽ見ちゃったあああぁ〜〜!! なんてかわゆいおちんぽなのお!! これは私にとって国宝級の性器なのおお♡」

手を頬に当てて、口元から涎をまき散らし、歓喜の声を挙げる雪華。
女性に性器を見られた、という事実は冬水にとって恥ずかしい事であるが雪華がここまで喜んでくれるなら嬉しくもある。

「ま、ままままっ!? まずはしこしこぉお!! 皮を掴んでしゅこしゅこっとしごいて挙げるのぉおお!! そしたらそしたら、ぐひいいっ!!!」

雪華はその手で冬水のたるんだイチモツの皮を掴むとイチモツの根本へ、そして亀頭の先まで包むように上下にしごいていく。







『シュシュシュシュ!!』

「う、うわぁ!? そ、そこは!? ん、んん!!」




頬を赤らめながら感じる冬水の姿に雪華は心を奪われた。

「ぬほおおお〜〜〜!! 冬水ちゃんが喜んでいるううう〜〜♡ おちんぽをしごかれて喜ぶ姿すてきィいいい〜〜〜♡ もっとして挙げるうから感じちゃってえええ〜〜!!」






『シュシュシュシュ!!』





雪華の手での奉仕は激しさを増していた。
冬水のイチモツは天高くへとそそり立ち、冬水が痛いと感じるほど固く勃起していた。


「は、はああ♡ はああ♡ はああ!!」



余りの痛さに荒い息を吐く冬水に雪華は狂乱していた。

「ぐひい、ひいいい!! 冬水ちゃんが荒い息を吐いてるうう!! お、おおお!! なんて暖かい息なのぉ!! これだけでも熱すぎてぇ、私即死しちゃいそうなのお!!」


その息を浴びようと冬水の口元へと顔を近づけ、一心不乱に雪華はその息にあたっていた。
思う存分に淫らな姿を晒す雪華。
あの大人しく可憐な雪華がこれ程までに下品な姿を晒していると思ったら冬水はもう止まらない。
冬水のイチモツは爆発寸前でその亀頭からは透明な液が滴り落ちていた。


「ぎゃあああ、ひゃあああ!! もう漏れちゃうの溢れちゃうの出しちゃうのぉおおお!! しゅごい、しゅごおおいいいぃ!! さああ、出して射精してえええぇ〜〜!! 冬水ちゃんの一番搾りの初射精をこの場で私に見せつけてえええええぇええ!!! ぐひひいひゃあああ♡」 






そして冬水は雪華に導かれるがまま、欲望を吐き出した。











『びゅるうううぅううぅ〜〜〜〜!!!』


白濁とした精液が冬水の亀頭から放たれた。
冬水にとって初めてとなる射精。
それは冬水にとって未知への快感だった。
びくびくと体を痙攣させながら冬水は精を吐き続けていた。
そして雪華はその光景に狂乱していた。



「お、おほおおおっ!! 出たあああ、出たああぁああっ!! 冬水ちゃんのせーしぃいい!! 子種汁うううぅぅ〜〜〜!! なんて白濁としたお汁なのおおおぉ〜〜!!」



目を見開き、声を震えさせていた雪華。
雪華の手に冬水の精液がかかり、それを見た雪華は狂乱した。



「お、おおごおお!! なんて美味しそうなぁ、しゃぶりつくしたい精液なのおぉ!! ぷ、ぷるぷるのせーし頂きます頂きますうぅううう!!」



雪華は自身の手に付いた冬水の精液を舐め回した。
何度も何度も舐め回し、もう付いていないにも関わらず舐めている姿は狂っているの一言でしかない。
ここまで淫らな雪華の姿を見てしまった冬水は自然と興奮してしまし、萎えていたはずのイチモツをまた勃起させた。



「そ、そそおそ!! そして本日の主食、私の大好物ながっちんぽおおおぉおお!! 冬水ちゃんのおちんぽを私の濡れ濡れおまんこで包み込んでびゅくんびゅくうするのおお!! ぐひ、ぐひいいいい!! ひゃはああああぁああ〜〜!!」



そう言い雪華は自身の服を脱ぎ始めた。
紺色の帯を解き、地面へ垂らすと胸元の布地を引っ張り、そのまま脱ぎすてた。
そしてふくらはぎを覆っていた布地も脱ぎ捨て、股座を隠していた純白のふんどしも脱ぎ捨てれば、雪華は布をまとわない全裸となった。



「ひ、ひィゃああああ〜〜〜♡ 冬水ちゃああああんん!! これが、これがぁ雪華ちゃんの裸でちゅうよおおぉ!! 思わず噛みついて跡残したい肌でちゅよねぇえ!! この豊満おっぱいでごしごしと、したいでちゅよねぇ!! もう我慢なんて出来ないでちゅう!!」


産まれたままの姿を晒した雪華の姿に、冬水は見惚れてしまった。
豊満で氷の様に青白い肌が雪華の美しさを強調させ両手で抱えられる乳房の先には藍色の乳首が目立つ。
そして下半身を見れば勿論、雪華の秘所があった。
綺麗な割れ目に桃色の肉壁が見え隠れしていて、既に濡れていて愛液を地面へと垂れ流していた。
こんなに綺麗な雪華を見るのは初めてだった。
興奮する冬水は自然と己のイチモツを滾らせ、びくびくと蠢かせていた。


「ぐひ、ぐひいいい!! ぐひいいひゃああ〜〜!! もう準備万端何でちゅかあああ!! じゃ今から一つにィ、がっちんとしちゃいまちょうねええ!!! おほおおおほ♡ 営みの開始でちゅう♡ 子作り戦争の幕開けでちゅうよおおぉ〜〜〜!!」


本能の赴くまま、雪華はそそり立つ冬水のイチモツを掴むと濡れてぐちゃぐちゃとなった秘所へと当てる。







『くちゅ♡』


亀頭が秘所の入り口へと触れた事で卑猥な音が鳴った。
たったそれだけでも冬水は気を失ってしまうそうだった。
そして雪華もまた気を、正気を失ってしまいそうだった。



「ぐ、ぐふう!? ぐふうほほほおおおお〜〜〜♡ 先っちょだけなのにィ、だけなのにこんなに感じちゃうなんてぇええ〜〜!! なんて魅惑的な音なのぉ!! こんなの中毒になっちゃう事確定なのぉ!! も、ももももっ、もう待てまちぇん!! 一気にィ、一気に私のおまんこに収めちゃうのおおおぉお♡」






雪華は腰を降ろし、冬水のイチモツを膣内に飲み込んだ―――






『ぐ、ぐちゅううぶうう!!!』



雪華の秘所は冬水のイチモツを一気に根本まで飲み込んだ。
その途端、雪華も、そして冬水も体に電流が走ったかの様な快感を味わった。



「ぬ、ぬほおお〜〜〜!! ぬほおお、ぎゃあああ〜〜〜!! 遂に合体しちゃったああ!! ぬ、ぬおお〜〜♡ 冬水ちゃんのおちんぽが私の未開拓のおまんこを開拓地にさえちゃったぁあああ〜〜!! ぎ、ぎいい!! 見てほら見てええ!! 血がぁ、鮮血が流れているううう〜〜!! しょ、処女を奪われた証なのおおお〜〜〜!!」



確かに雪華の秘所からは血が滴り落ちていた。
それは冬水との永遠の契りを交わした、という事だ。

「せ、雪華さん・・!! 雪華さんの中、気持ちいい・・・!! 暖かくて、たまりません・・!!」

「わ、私もぉ、私も気持ちィいい〜〜〜!! 冬水ちゃんのおちんぽを飲み込んで気持ちいいのおおぉおお!! ひ、ひいい!! ひぎいいい!? ず、ずっこんばっこんしなきゃああ〜〜!! 変態になるうううぅぅ〜〜!! おちんぽ狂いの変態さんいいぃいい〜〜!! そんな変態さんにならない為にはぁ、ぱこぱこしなきゃあああぁ〜〜!!」







支離滅裂な台詞を叫びながら雪華はその腰を振り始めた。




『パンパンパンパンッ!!』




雪華が腰を振るう度に肉壺とイチモツが叩きつけ合い、卑猥な肉音を立てる。
雪華の秘所からは愛液が止めどなく垂れ落ち、円滑剤となって雪華を楽しませていた。
それは冬水も同じで、快感によって冬水はだらしない顔を晒していた。


「あ、あああ〜〜!! き、気持ち、いいっ!? す、すごい!! 分からないけど、気持ちいいです!!」


呂律が回らない程、冬水は快感に酔いしれていた。
勿論、雪華もまた快感によって元より崩れていた表情が更に崩れていた。
両目は白眼を剥き、舌は獣の様にだらりと垂らし、頬は緩んでいた。
それはこれ以上にないくらい淫らであった。


「ひ、ひゃああああ〜〜♡ 気持ちイイでしょおおぉ、冬水ちゃあああんんっ!! そうなの、これが愛する人との交わりなのおおぉ!! 私も気持ちよすぎて馬鹿になるのおお!!」


雪華の腰はもう止まらない。
絶頂へと向かう為、雪華は腰を振る速度を挙げた。












『パンパンパンパンパンパン!!』



更に激しくなる腰振りに冬水はがくがくと体を震わせていた。



「ぐ、ぐひいい・・・!! せ、雪華さん!! 雪華さんっ!!」


堪らず冬水は腰を突き上げ、雪華の秘所を犯し始めた。
雪華が腰を振っているにも関わらず、冬水もまた必死で腰を振っていた。


「ぬおおお〜〜!! 犯し返されているうう〜〜〜♡ なんて反則技なの冬水ちゃあああんん〜〜〜!! こんなの私にとっては効果抜群なのおぉ!! お、おごっ!! ひぐううううぅうう〜〜!!」


冬水の腰つきによがる雪華。
それに釣られて雪華も腰つきを加速させる。
そうすれば再びまた絶頂が訪れるものだ。
冬水のイチモツは爆発寸前で、再び透明な液体を垂れ流し、今度は陰茎が何本も青白い血管を浮き出させて亀頭が一回り大きくなっていた。
雪華の秘所もまた、その膣肉からは愛液が止めどなく溢れ出て、子宮が冬水の精液をねだるかの様に何度も蠢いていた。







「ん、んん!! せ、雪華さんもう!? もう、もう出るぅ!! 雪華さんの中にっ!!」

「来てえええ!! 一滴残らずぶちまけるのおぉ!! 私のおまんこ穢してせーし塗れにするのおぉ!! いか臭くて仕方ない淫乱なおまんこ奥さんにさせるのおおぉおお!! い、いぎィ!! いく、いくぅ!! イくうううぅううう〜〜〜♡」










そして二匹の獣は絶頂へとたどり着く―――







『びゅく、びゅるうううううう〜〜〜!!』




冬水の精液が雪華の膣内へぶちまけられた。
その瞬間、雪華はとてつもない幸せに包まれた。



「お、おほおっ!! おぎゃああ〜〜♡ 赤ちゃん部屋にせーしがぁ、精液が注がれていくうううぅうう〜〜!! ぱ、ぱんぱんに漏れそうになっても私、私欲しいぃいい〜〜!! 冬水ちゃんのぉ精液いい〜〜〜!! せーしがあああぁ♡」



魔物娘にとってこの上ない幸せ。
それは愛する人と交わり、そして精液をこの子宮にて貰う事だ。
雪華はその幸せを今、味わっているのだ。
そして冬水もまた幸せを味わっていた。


「あ・・・!! あああっ・・・・・!!」



絶頂へと至った冬水はもう何も考えられなかった。
ただ雪華との交わりがとてつもなく気持ち良いものだった。
もっとこの快感を味わいたい。
そう思ったら冬水はまた腰を動かし始めた。








『パンパンパンパン!!』


「んんんぎい!!! またしたいのおぉ、冬水ちゃああん♡ うひ、うひいい!! 雪華はうれちいでちゅよおおぉ〜〜♡ 初めてぱこぱこの、愛の営みが気持ちイイのおおお!! もっともっと、もっ〜〜〜〜としてちょうだい〜〜〜♡」




こうなったらもう止まらない。
雪華も冬水も、本能のままに性欲を貪るのだった。










♢♢♢♢♢♢♢♢









「・・・・丸く収まった、って事か・・・?」


冬水に3枚の札を渡した男―――雪華の父は複雑な表情をしながら二人の卑猥声を遠くから聞いていた。
彼がここに来た理由は一つ、雪華の手紙を見たからだ。
送られてきた雪華の手紙に『恋人が出来ましたぁ♡』という文面を見た時は冷や汗をかいた。
その冷や汗は雪華に恋人が出来た事ではなく、雪華に狙われた冬水の身を案じてだ。
見ての通り雪華は、思い人が出来れば暴走して周りが見えなくなるという一面があった。
旦那が欲しいので一人暮らしをしたいと言い出した時は絶対におしとやかで下品な言葉を使うなと釘を刺しておいた。
念には念を入れて人里から離れた山に暮らす事、そして万が一にはお札を冬水に渡しておいたが。
どうやら要らぬ心配だったようだ。



「・・・・けど、やっぱり母ちゃん譲りだな・・・」



雪華の父は遠い目をしながらあの日の事を思い返した。
振り返って見てもあれは恐ろしい出来事だった。
僧侶として修業していた頃、たまたま草履の縄が切れて困っていた氷柱女――後の雪華の母に対して、自分が草履を直して助けたのだ。
だがそれがまずかった。
その日の夜、自分が寝ている所を彼女が襲ってきたのだ。



『旦那様ぁ・・・♪ 私とハメハメじゅぼじゅぼ、しまちょうねぇええ♪』



そう言い口づけをしようと顔を近づけてきたのをよく覚えている。
雪華の父は思わず逃げ出したが雪華の母は何処までも追いかけてきた。
堪らず雪華の父は持っていたお札で洪水を起こしても、大火事を起こしても、雪華の母はその中を突き進んでいった。
そして疲れ果ててしまった所を取り押さえられ、そのまま初夜を過ごしたのをよく覚えている。
その後は不埒な事は厳禁である僧侶を続ける事が出来ず、辞めるしかなかった。
別に後悔はしてないし妻との愛の営み、その『性』活は楽しいのだが。




「っ・・・!!」




雪華の父は身を震わせた。
後ろを振り返っても誰もいないが、その視線は感じてくるのだ。



「・・・・これは搾り取られるな・・・」



そう、これは妻の視線だ。
痛いほど肌へと突き刺さり、鳥肌が立ち冷や汗を噴き出してしまいそうな程の視線だ。
妻のいる家は一山越えた先だというに、この場所にいても感じるとは恐ろしい。




『旦那しゃままあああああ!! 早く私の所に戻ってくるのよおおおぉ!! 私の子宮に精子をぶち込むののおおおぉおおお!! 満たしてくれないとぉ、私がそこに行っちゃうのおぉおおお!!!』



口をいっぱいに開け、涎をまき散らしながら叫んでいるのではないか。
そんな光景が思い浮かべられる程の熱い視線であった。


「・・・・分かったから、もう帰るからな・・・」


そう言い、雪華の父は帰っていった。
その足取りは何処か重かった。









♢♢♢♢♢♢♢♢






むせ返る様な匂いと汗が部屋一面に充満していた。
それは獣の啜りあいをしていた証であった。
あれから3日、雪華の家で昼夜問わず冬水は雪華と交わっていた。
それも服を一切まとわない裸の姿で。


『パンパンパンパンッ!!!』

「っはあ♡ っはあ♡ っはあ♡」

布団の上に仰向けとなって寝転がっていた冬水は一心不乱に腰を突き出し、そのいきり立つイチモツで雪華の子宮を攻め立てていた。
最初の小さく頼りない冬水のイチモツは既に巨根となっていて雪華の膣肉をえぐるには十分な大きさだった。

「ぬうおおお!! お、おほおお!! 冬水ちゃんのおちんぽが私の赤ちゃん生産場所を攻め立てるぅううう♪ い、いぎい♡ そ、そこなの!! 私が孕むにはそこに何十回も何百回も種付けしなくちゃならないのおお!! お願いいい、おちんぽせーしをぶっかけてええぇ!!」

冬水のイチモツに歓喜の声を挙げる雪華。
雪華は股を大きく開き、その両足で冬水の腰回りをがっちりと掴んでいた。
それは冬水を絶対に離さないという表しだった。

「は、はい・・・!! 僕は、もっと攻めます!! 攻めていきますっ!!」

冬水は雪華の声に答えると腰を更に突き上げ、雪華の子宮奥深くを責めた。

『パンパンパンパンッ!!!』


「ひぎいい!! お、おぎょおおお!! おちんぽがぁ、おちんぽが子宮の奥深くに攻めてえぇええ!! お、おおお!? 壊れちゃうかもおお!! でも気持ちいい♡ 気持ちいいいぃいい!!」

あれから雪華の家に帰ってもこの調子だ。
朝から晩まで冬水は布団の上で雪華との交わりを繰り返していた。
食事も寝る事もせずに、ひたすら雪華と。
そこはまさに色欲狂いというやつであった。


「ぼ、僕はもう出します!! どうか、どうか受け取ってください、雪華さんっ!!」
「来てぇ、来てえええぇ!! 冬水ちゃんのせーしが欲しいのおぉ!! この荒れ果てた大地みたいに干からびた雪華の子宮を潤わせてええぇ!! んぎい!! い、いく!! イくくくうううぅうう!!」


獣にも似た嬌声を挙げ、2匹は絶頂へと達した。



『びゅく、びゅる、びゅるううううう!!』 



雪華の子宮に冬水の精液が注ぎ込まれていく。
雪華にとってそれは、天にも昇る心地だった。

「お、おおおごお〜〜〜♡ 来るる、来るクるうううぅ〜〜!! 冬水ちゃんの命がああ〜〜〜♡ ひ、ひぎい、ひいいい!!! 私の子宮を満たしていくうぅ〜〜♡ あ、あは!! あひゃ!! あひゃあああぁああ〜〜〜!!」

涎をまき散らしながら叫ぶ雪華の姿に、『なんて美しい姿なんだ』と冬水は思ってしまった。
冬水はもう雪華に身も心を奪われていた。
絶頂へと達した余韻と共に冬水は雪華の体を抱きしめ、自分の方へと寄せた。
それは丁度雪華の胸が冬水の顔に当たる形となっていた。



「あれぇ〜〜!! 冬水ちゃんどうちたのおぉ〜〜? 私の柔らかにゃ、おっぱいに埋もれたいのおおぉ〜〜!!」


そう言い雪華はよしよし、と冬水の頭を撫でていた。
すると冬水は口を開けた。


「僕、雪華さん無しでは・・・生きていけない・・・よぉ・・・・。もうずっと一緒にいたいよぉ・・・」



それは雪華へと懇願するかの様な声色だった。
離れる事なんて出来ない。
冬水は例え、自分が死んでも雪華といたい。
それほどまでに雪華の事が大好きで仕方ないのだ。
すると雪華は顔をぐっと冬水の方へと近づけ、冬水の耳へ口を向けた。






「・・・私も・・・冬水君・・・・・無しじゃ、生きていけない・・・。冬水君が・・・いない世界、なんて・・・考えただけでも・・・死んじゃう・・・。私にとっては・・・地獄なの・・・」





最初の頃に聞いた、あのぼそぼそとした雪華の声が冬水の耳元で囁いてくる。
それを聞いた冬水は心が満たされていく。
冬水にとって雪華の言葉はもう母親の様に安らぎに近いものなのだ。
そして雪華が唱えた台詞もまた心が満たされるのだ。







「・・・だからぁ、私と一緒にィ♪ ぱこぱこすぼすぼの、気持ちいぃ一生しまちょうねぇ♡ 冬水ちゃんん!! うひひひいい♪  ぐひいいい♪ ひい、ひゃああああぁあああ〜〜〜♪」








まるで悪役かの様な高笑いを挙げながら、雪華は再び腰を動かし冬水のイチモツをその肉壺で搾り取っていた。
これからも2匹の獣は愛し合い、そして性欲を貪り続ける事だろう。
永遠に。




19/12/04 23:15更新 / リュウカ

■作者メッセージ
という訳でお楽しみ頂けたでしょうか・・・?
はい、氷柱女の雪華さんは冬水君に(生涯の伴侶として)気をかけて、冬水君の(使用済みの服という)贈り物を大切にして、そして(周りが見えなくなる程に暴走する)一途な人でした。
これからも二人は愛の営みを続ける事でしょう・・・

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