読切小説
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アニル・オフリカ
 おや、お客様、どうしたんです?そんなに息を切らして…

ははぁ、異世界に迷い込んだ挙句、魔物に追いかけまわされて、逃げ込んだと…わかりました。

…そうですか。では、行くあてが見つかるまで、このホテルを利用してもかまいませんよ。このホテル「アニル・オフリカ」は、何時でも誰でも歓迎いたします。あ、そうそう、申し遅れましたが、私、当ホテルの従業員の、バストリアスと申します。以後、宜しくお願いします。


 さて、今から当ホテルを案内させていただきます。まず、正面に見えますのが、当ホテルの中庭です。この中庭は、この街の地下と繋がっているので、マーメイドやネレイスと言ったお客様もご利用いただけます。え?人魚が実際にいるのかですって?そりゃいますよ。ほらあそこ。あなたのいた世界では信じられないでしょう。ここは、魔物と人間が共存する世界。マーメイドぐらい、普通ですよ。さて、話を元に戻しましょう。この中庭にある噴水は、この都市の王、ナンシ―王自身が設計されたと言われます。その噴水の美しさ、花壇に植えられている花々、ここがファラリカ一淫らな所ととは思えないでしょう。



 では、次のところをご案内しましょう。ここは、当ホテルの食堂です。ここで、時間になったら、お食事を御出しいたします。ここの料理は、どれも絶品です。スープにステーキ、デザートからジパング料理まで、なんでもござれです。あ、一人になりたい方は、ちゃんとお部屋まで食事を持っていくサービスもございますので、ご安心を。


 次にご紹介いたしますのは、大浴場です。ここは、男女混浴になっており、何時でも自由に入る事が出来ます。どうです、この大理石をふんだんに使用した浴場は?素晴らしいでしょう?…え、あそこでセックスしているカップルが気になる?お固い。当ホテルでは、お客様に迷惑をかけない限り、何をしてもかまいません。その為、ああやって、風呂場でセックスをしても問題ないのです。え、そういう問題じゃない?気にしたら負けですよ。


 さてさて、ここが当ホテルの名所であります、バー「ハナビ」でございます。ここでは、お客様が、どなたとでも、時間を忘れて仲良くなる事が出来る社交場となっています。ほら、あそこにいらっしゃいますハーピーのカップル。あの二人は、ほんの数時間前に出会ったばかりなのですが、それが今ではあんなにイチャイチャしちゃってます。このバーには、ちょっとした噂がありまして、このバーで出会ったカップルは、必ず結ばれ、死ぬまで離れることは無いとされています。ね、ロマンテックでしょう?…何、もう疲れたから部屋で休みたい?残念。もっと紹介したいところがありましたのに…いいでしょう。では、これがお部屋の鍵です。511号室ですね。…はいどうぞ。では、ゆっくりおくつろぎください。そうそう、もし部屋の中に誰かいても安心してください。いたとしても、気さくな方ですので大丈夫です。そして間違いなく、必ず1人になりますから。…大丈夫です、あなたが食われるわけでも、幽霊でもありません。では…





…やぁ、いらっしゃい。君は誰?…うん、中々いい名前だね。私はシェリー、セイレーンのシェリーって言うの。ここで歌手として雇われてるの。で、何で君はここに来たの?…ふーん、気が付いたらここに迷い込んだんだ。にしても、よくオーガから逃げ切れたね。普通なら、捕まってるところだよ。あ、もしかして、これって私と出会う運命だったりしてね。なんて。…え、歌手なんだから歌を披露してほしい?いいよ。じゃあ、君の為に一曲歌ってあげる。じゃあ、いくよ…



♪〜〜〜〜




え、この歌知ってる?ホント?わ―すごい。この歌知ってる人、はじめて知った。この歌、私達の知らない言葉の歌だから、歌詞とかよくわからないの。…え、知ってるって?じゃあ、教えて、教えて!



…ふーん、この歌、そういう歌なんだ。何だか、歌詞も物哀しいね。じゃぁ、景気付けで、もう一曲ノリがいい奴歌っちゃうよ。じゃぁ、いくね…




♪♪〜〜〜〜〜〜〜♪〜〜〜



…どう…だった?…すごく良かったって?きゃあ、嬉しい。…え、ちょっとエッチな気分になっちゃってって?…いいよ、私、君とエッチしちゃって。だって、あなた、顔付きもいいし、優しいし…え、向うの世界ではあまりかっこいいって言われなかった?そんな…君の魅力に気付かないなんて、あんまりだよ。…え、私の事、優しいって…あ、ありがとう…じゃぁ…キスしよっか…




んっ…チュッ…あはぁ…君のキスって、とっても美味しい。これって、君と相性がいいからなのかなぁ?

…やっ、そんなにおっぱいいじらないでよぉ♥…私のそんなに大きくないし。…え、女性の魅力は胸の大きさじゃないって…君ってすごく優しいんだね。何だか嬉しくて涙が出てきちゃったよ。…うん、いいよ、私のはじめて、君にあげる…

…あっ、やっ…ああん♥…えへへ、君のおちんちって、すごく大きいんだね。もう、そんなに動かしたら、私、壊れちゃう♥…うん、いいよ。中に出して。
全部受け止めてあげる。…あっ、もう、そんなに、突いたら…・やぁあああっ♥

…えへへ、中にいっぱい出されちゃったね。…もう、私、君からずっと離れないよ…






















 おはようございます。昨夜は、お楽しみでしたね。…何、仕事があるからすぐ帰る?それは無理な話ですな。何せあなたは、もうこのホテルから出られませんから。…え?どういう意味かですって?それはですね、あなた、昨晩部屋の中にいたシェリーと交わったでしょう。その時既に、あなたは一人になったのです。つまり、夫婦一体と言う事ですな。後、あなたはもう二度と元いた世界には戻れません。何でかって?私も戻れなかったからですよ。ですから、ここのお客様方は、このホテルで暮らし、この街で働いています。そうしなきゃこの世界で生きていけませんから。ですが、お客様全員、「このホテルは良かった」とおっしゃいます。ですから、あなたも、シェリーと共に、この世界で暮らすことになるのです。…え、何で出れないかって?それは、当ホテルの名前をご覧ください。「アニル・オフリカ」…これをひっくり返してください。…そうです、ホテル「カリフォルニア」です。だからもうあなたは出れないのですよ。例え、このホテルをチェックアウトしたとしても、この世界からは出ることは出来ません。そう言う事なのです。では、もう朝食の用意が出来ていますので、是非、シェリーと共に来てくださいね。では…

13/05/28 23:22更新 / JOY

■作者メッセージ
 まず、元ネタとなった『夢之楽園』の作者であります、コジコジ氏に、今この場をお借りいたしまして、感謝いたします。

都市の一角にある、娯楽区で起こったちょっとしたドラマを書いて見たのですが、どうでしょうか。ちょっと魔物成分が少なかった気がします。

この作品の元ネタは、イーグルスの楽曲「ホテル・カリフォルニア」ですが、この他にも、音楽に関連するネタがちらほらございますので、興味があればぜひ検索してみてください。

ご意見、ご感想、お待ちしております。

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