連載小説
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あとがき『もう一つの理由』
「ちなみに、なんだけどなあ…。」
「うん?どうかしたの?」
「あの花火にはアタシの魔力が飽和する寸前まで、普段の花火とは比べ物にならない位の魔力が火薬に籠められているんだ…。」
「本当に綺麗だよ…まさに名前につけられている蛍みたいで。」
「ありがとよ。お前にそう言ってもらえて本当に嬉しい。難しい仕掛けだったが…やってよかった。」
「ごくろうさま、お客さんも喜んでくれてるよ。」
「…ありがとう。」

「で?」
「あん?」
「魔力がぎりぎりまで籠められていることに何かあるの?」
「実はな、もうすぐこの『雪螢』の仕掛けが終わるんだよ。そろそろ火薬が燃え尽きてしまうんでな。」
「もったいない、いつまでも見ていたい気分だ。」
「で、アタシの魔力がたっぷり込められた仕掛けが終わったらその魔力はどうなると思う?」
「……え?」
「どうなると思う♡?」
「火や火薬をコントロールするのに魔力は消費されるんじゃ…ないの?」
「答えは否!!」
「え、じゃあどうなる、の?」


「それではここでクエスチョン!!」
「はあ?」
「アタシ達ウシオニはどんな魔物娘でしょう、か?お答えください!!」
「えっ…………凶暴?」
「………ウフッ。」
「そ、そんな風に黙って笑ったら怖いよ!!」
「じゃあ真面目に答えな。」
「…さっきのも真面目…ってごめんなさい今度こそ真面目に答えますから暴力は勘弁を!ヒント、そうヒントをちょうだい!!」
「ヒントだぁ?じゃあ…ウシオニの特徴として凶暴、粗野、頑丈以外のものをあげるとしたら?」
「なんだ自覚あるんじゃ…ゴホン。好色、とか?」
「そうさな、変態的にエロいと定評のあるジパングに住む魔物娘の中でもウシオニは好色で有名だな。」
「毎晩、身を持って体感しております。」


「ここで続けてクエスチョン!!」
「また!?」
「普通だと直接触れたりなんてことは無いくらい上空で散るはずのウシオニであるアタシの魔力をたっぷり含んだ火薬の火をあんな風にがっつりと肌に触れたり、残り香を吸いこんじまったら…どうなるでしょうか?」
「再度聞くけど、どうにかなるの!?」
「普段、人前では善良で、淑やかで、教養あふれる輩たちが…このジパングには多くいるよな〜。」
「…稲荷や白蛇、雪女とか?」
「ああ、普段そういう奥ゆかしく夫をたてる様な奴らが…。」
「奴らが…?」
「旦那様の精液を絞り尽くし、それを糧に生み出したアタシの魔力にあてられたら…。」
「………。」
「かなり下品に乱れるだろうなあ〜。アタシ達ウシオニみたいに、よ☆」
「!?」

「ほら、見ろ…。さっそく我慢できずにおっぱじめてるやつらがいるゾ♪」
「じゃあ、まさか…順番を最後にしてくれって言った理由は…」
「ああ、こんな乱痴気騒ぎになったら花火どころじゃあ…ないだろ?」
「もしかして主催者側はこうなるってことを知っていて?」
「?ああ、勿論。仕掛けはあのリリムにあの時詳しく説明したさ。アタシが作り披露しようとしている花火やその花火の副作用としてこうなる可能性もきっちりとな〜。セオリーのように上空で火薬が尽きれば施された魔法によって散漫した魔力は空気と共に換気されるんだが、この仕掛けではそんなこと出来ないからな。」
「…。」
「どうした、黙って。」
「なんで容認されたんだろって思うのは変なのかな?」
「快楽や欲望に素直なアタシ達魔物娘がそんな楽しそうなことを辞めさせると思うか?」
「……。」

「さて、ここで最後のクエスチョン!!」
「最後!?」
「あるところにぃ〜会場の熱気にあてられて興奮冷めやらぬぅ…最高潮にテンションの高いウシオニさんがぁ、そしてその目の前には愛する旦那さんがいますぅ。さて、その旦那さんは次の瞬間どうなるでしょう、か!?」
「スーパーヒ○シ君は使えますか、草○さん!?」
「スーパーヒ○シ君を使えば正解後のポイント(セックスの回数)が倍になりますが、よろしいですか黒○さん!!」
「なら使わなくていいです。答えはええっと……………………生贄?」
「HAHAHA、面白い冗談だ。だが本質は外れてない。まあ…そう言う事だ。ぎりぎり正解ってことで、ポイント二倍で決定だな♡」
「え!?スーパーヒ○シ君は使ってませんよ!?」
「あーもう、五月蠅いなあ。そんなのはいいから…そろそろアタシも我慢の限界だから始めようぜ。早速アタシの体で…幸せにしてやる♪」
「あーーーー!!」

「たっぷり犯してやるよ、旦那様♡」


その場にいたジパングの中でも名士とされる魔物娘たちや招待された海外からのゲスト、そして多くの観客、さらには魔王さえもが葵の魔力や異空間に充満した淫気にあてられ、次々にその場でまるでウシオニのように苛烈に夫や男を犯していった。

競技会は混乱を極め、ウシオニのように夫を犯す魔物娘の嬌声が響くばかり。


その歴史的な乱交騒ぎは『銅島花火工房』の名前と共に後世に語り継がれるほどのものであったと言う。



おしまい。
13/08/05 12:19更新 / 松崎 ノス
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■作者メッセージ
もったいぶらせた割に実にくだらない理由ですみません(笑)。

図鑑の方では血に含まれた強烈な魔力を浴びた人間はあっという間にインキュバスかウシオニになってしまうとありますが、この花火の場合はそこまで強力ではなく、空中に霧散していることもあって吸った者を発情させる媚薬くらいの様なものとして考えています。

花火一つでウシオニだらけになってしまったら大変ですしね(笑)。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!

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