連載小説
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Report.06 俺と皆と決戦前夜
〜交易都市・セレファイス〜
「…………」
俺、エヴァン・シャルズヴェニィは、ローラさんの執務室で難しい顔を浮かべつつ、机に広げられた地図を眺めていた。
俺を除いて、執務室に居るのはローラさん、フェラン、コラム、キーン、ボイド、エルザの七人で、ホーヴァスとフランシス様は別件で今は此処を離れている。
広げられたセレファイス周辺の地図には、矢印状の真っ赤な木片が乗せられている。
矢印状の木片が示すのは糞ガキ、オリバー・ウェイトリィ率いる『人類の護符』。
あぁ、そうだ……今、セレファイスは『人類の護符』の侵攻に晒されてる。

×××

『エヴァン君、悪い情報だ……『人類の護符』が、セレファイスに向けて進軍を開始した。数は目算でも二万以上の軍勢だ』
結婚式を挙げた翌日の事だ……スティーリィから報告書と一緒に渡された通信球が鳴り、『人類の護符』がセレファイスに向かって進軍してるっていう情報が飛び込んできた。
全く、幸福に浸らせてくれねぇのかよ、あのクソッタレ共が。
『また、報告書に記されていた『GE』を複数確認した。番号は01、02、04、05、06、08……まさに、全員集合という奴だ』
俺達が対峙した怪物共……『魔物娘捕食者』が何体も居るって事は、どうやら決着付けるつもりみてぇだな。

『人類の護符』の切り札・『魔物娘捕食者』は、ぶっつけ本番で戦うにはキツい相手だ。
飲み込んだモノを溶かす身体を持つ蚯蚓、『GE‐01』。
物量と火力の双方を兼備した蟲吐き巨人、『GE‐02』。
生きた爆弾をボロボロ産み落とす肉団子、『GE‐04』。
ウシオニも吃驚な自然治癒力を持つ蟇蛙、『GE‐05』。
魔物の死体を依代に半永久的に動く包帯、『GE‐08』。
『GE‐06』を見た事は無いが、報告書に因れば怪物蛙・『GE‐05』とは頭の触角が違うだけらしいから、ソレ以外同じと考えてもいいだろうな。
ドイツもコイツも特徴的な何かを持つ面子……多分、魔王軍の精鋭でも、ぶっつけ本番で戦うのは厳しいだろうな。

つまり、魔物娘捕食者を相手に出来るのは実戦経験のある俺達だけになる。
『魔物娘捕食者』だけで侵攻してきたなら、俺達で各個撃破するという方法もあるんだが、今回は少なくとも二万人以上は居る騎士の中に、『魔物娘捕食者』が混じってる状態だ。
即ち、『魔物娘捕食者』を相手してる時に横槍を入れられる可能性が高い……って、いうか、絶対横槍を入れてくるだろうな。
その逆も然り、騎士の相手をしてる時に『魔物娘捕食者』が乱入してくる可能性もある。
騎士と『魔物娘捕食者』、どちらか一方と戦ってる時に、残る一方が乱入してくる危険性が非常に高い状況下で、俺達は戦う事になる。
うっわぁ……向こうの数も含めて、凄い絶望的な状況だ。

だが、そんな絶望的状況であっても俺達は負けられない、負けを許されない。
俺達が負けるって事は、『魔物娘捕食者』に対抗出来るモノがいなくなるという事だ。
時間があれば、『魔物娘捕食者』を捕獲し、調査し、推論し、発案し、実践し、対策を練る事で対抗出来るモノも増えるだろうが、ソレを許すような連中じゃない。
不倶戴天の仇敵である俺達が負ければ、連中の思う壷……俺達を倒した事で調子に乗った連中は、残された親魔物派に対策を考えさせる時間も与えず、一気に攻め込むに違いねぇ。
つまり、俺達の敗北は『人類の護符』の天下到来を告げる狼煙と同義であり、この世界の滅びを意味する。

俺は親魔物派領であるセレファイスで生まれ育った、根っからの親魔物派人間。
現状、魔物夫婦の間じゃ男が生まれないっていう問題があるんだが、ソレも時間が経てば解決される問題だ。
何処の親魔物派領を見ても、其処に住む人達は心底幸せそうな顔で、愛する者と過ごせる幸福な時間を満喫してる。
そんな幸福をブッ壊そうとしてるオリバー・ウェイトリィを、赦せる筈が無い。

知らなければ、フェラン達じゃない誰かを俺は愛して―若しくは、誰かに愛され―、愛する者を理不尽な理由で奪われた憤怒と悲哀に暮れてただろう。
俺は知ってしまった、幸福の裏側で牙を研ぎ続ける強烈な悪意を。
知っちまった以上、俺は正義の英雄を気取りはしねぇが、傍観者になる気もねぇ。
だから、絶対に負けられねぇんだ!

×××

「エルザよ、ブリチェスターへの避難状況はどうなっておる?」
「う〜ん……避難民を受け入れる分の巣穴拡張も一緒だから、大体三割くらいなのさ」
ローラさんの質問にエルザが難しい顔をしながら答え、ローラさんも顰めっ面になる。
現在、俺達は『人類の護符』侵攻に備え、戦う事の出来ない一般市民の避難をどうするかで頭を悩ませてた。
肉団子の縁もあって、一般市民はエルザの故郷・ブリチェスターに避難させる事になったんだが、あまり避難が進んでねぇみてぇだ。
「悪いな、エルザ……いきなり、無茶言ってさ」
「気にしないのさ! エヴァンはボク達、ブリチェスターの恩人なんだし、恩人の頼みを断るつもりはないのさ!」
一般市民を巣穴に匿ってくれっていう無茶な頼みを快く引き受けてくれたエルザ達には、頭が上がらんなぁ。
事が無事に済んだら、後でセレファイスの独身男性をソッチに紹介するとしよう。

「待たせたわね。此方も、避難民の受け入れ態勢が整ったわ」
「はぁ、ひぃ……全く、年寄りを、コキ使うんじゃ、ないよ……」
無茶な頼みをして申し訳ない気分になってると、ホーヴァスと如何にも疲労困憊といったフランシス様が執務室に入ってきた。
ネフレン=カの墓所を統べるホーヴァスにも一般市民を匿ってくれと頼むと、ホーヴァスはその頼みを快諾。
フランシス様に協力してもらい、二人にはセレファイスとネフレン=カの墓所の屍人都市を繋ぐ超長距離転移魔法陣の構築を頼んでおいたんだ。
その二人が、此処にきたって事は……
「たった今、屍人都市に繋がる超長距離転移魔法陣が完成したわ。向こうには既に通達を出しておいたから、直ぐにでも避難出来るわよ」
ホーヴァスの言葉に、疲れ切ってるフランシス様には悪いが俺達は喜びを隠せない。
コレで、後顧の憂いは無くなったぜ!

「さて、後顧の憂いを断てたのは良いが……如何にして、彼奴等『人類の護符』の侵攻に対抗するかが問題じゃな」
市民の避難が解決して喜んでたら、ローラさんが一番の問題をどうするかで顰めっ面になった。
う゛、確かに……市民の避難は解決したが、『人類の護符』の迎撃をどうするかも考えんと。

『人類の護符』迎撃で一番の問題は、『まともに戦えるのが俺達しかいない』って事だ。
セレファイスにも、有志の市民で構成された自警団がいるんだが……正直な話、自警団は名ばかりの形骸と化してるんだよ、コレが。
ローラさんは市民の安寧、セレファイスの更なる発展を第一に考慮した政治を行っており、その結果、セレファイスは犯罪も不満も極めて少ない、治安の良い都市になってる。
それに犯罪―交易都市だから、非合法品や禁輸品の密輸が一番多い―が起きたとしても、大抵はローラさん『直々』の鉄拳制裁で解決される。
ローラさんの鉄拳制裁を恐れて犯罪を犯す連中も少なく、ソレに比例して自警団の出番も精々、夜の見回り程度しかないんだ。

「もう少し、自警団に頼るべきであったな……」
ハァ…と溜息を吐くローラさんだが、過ぎた事を後悔しても始まらないし、話も進まない。
兎に角、此処の自警団は戦力として当てにならん……ローラさん、フランシス様を含めた八人でセレファイスを守るのは、幾等何でも無茶過ぎる。
「なぁ、ホーヴァス……ソッチの自警団を此処に呼べるか?」
「一応、可能よ。だけど、墓守としての贔屓目を抜きにしても難しいわね」
有事に備えて演習を行ってたネフレン=カの墓所の自警団をセレファイスに呼べるかと、俺はホーヴァスに聞いてみるんだが、ホーヴァスも難しい顔をしてる。
「嘗て教団と結んだ不可侵条約もあって、一年前の襲撃以外の実戦は無かった。屍人都市の自警団は演習ばかりで、実戦に於ける応用力に欠けているわ」
うぅむ……戦闘は不測の事態が頻発すっから、状況判断力や応用力がモノを言う。
ネフレン=カの墓所の自警団は基本はしっかり出来てるが、不測の事態に対する柔軟性が乏しいって訳か。

「防衛戦力の方なら、安心しな。アタイに当てがある」
どうするかでウンウン唸ってたら、フランシス様が戦力に当てがあると言ってきた。
フランシス様は引退したとはいえ『偉大なる八人』、戦力の当てってのは、その人脈か?
「アタイのサバトに声を掛けておくよ。ざっと四〇〇人くらいだが、一人一人が一騎当千の猛者ばっかりさ」
「おぉ、『大蛮族』が来てくれるのか……数的には不利なままだが、コレは心強い」
フランシス様の言葉にローラさんが安堵するんだが……だ、『大蛮族』? 何だか、めっさ物騒な響きなんですが。
その『大蛮族』が言葉通りの働きをしてくれるなら、二万対(実質)四十万……実際には、そうはいかないだろうが、フランシス様の自信を見るに期待してもよさそうだ。

「だけど、あの怪物はどうするの? あの怪物と戦えるのはアタシ達だけだし、オリバーとか言うガキンチョの相手はエヴァンにしか出来ないよ?」
フェランの一言で、執務室が一気に暗くなった。
確かに、二万人居ても所詮『人間』でしかない騎士の相手はフランシス様の『大蛮族』に任せるにしても、あの糞ガキと『魔物娘捕食者』の相手は俺達にしか出来ない。
『大蛮族』は猛者揃いだが四〇〇人程、二万人の騎士全てを抑えるのは無理だ。
抑えきれなかった分の騎士が、糞ガキか『魔物娘捕食者』と戦ってる俺達に乱入するのは間違いないし、どうにかして両者を分断させねぇと。
「ぬぁぁ――――はっはっはっはっはっはっ! 話は聞かせてもらったのであぁぁる! そういう時こそ、この我輩の出番なのであぁ―――る!」
どうしようかと皆で相談してたら、扉を蹴破り、高笑いしつつゲイリーが執務室に乱入してきた。
って、オイ! お前、ブリチェスターに避難したんじゃねぇのかよ!?

「我輩が開発した魔道具を取りに来たついでに、貴様等の様子を見にきたのであ〜る」
何でも、市民を受け入れる為の巣穴拡張が滞ってるのを見たゲイリーは、自分が開発した魔道具が役に立つんじゃないかと思って、ソレを取りにきたそうだ。
そのついでに俺達の様子を見にきたら、丁度俺達がどうやって連中を分断させようか、と相談してた所だったそうな。
「ふむ、ゲイリーよ……汝の出番と叫んだという事は、汝には彼奴等を分断させる良案があると判断して良いのだな?」
「ぬははははっ! まっかせるのであぁ―――るっ!」
ローラさんの怪しむ視線に臆さずに、ゲイリーは連中を分断させる方法を自信満々に話し、その方法に俺達は
『それだ(ね)っ!』
と満場一致で、その方法を採用する事にした。
凄いぞ、ゲイリー! その方法を使えば、俺達は戦いに専念出来る!

×××

「…………」
市民の避難、『人類の護符』の迎撃……この二つの問題を解決した俺達は解散、暫くは各自の判断に因る自由行動をとる事になった。
自由行動をとる余裕があるのは、『人類の護符』の本拠地・ゴーツウッドからセレファイスまでの距離がかなり離れてるからだ。

巨体揃いの『魔物娘捕食者』は馬車で運べない―『身体縮小』を使えば別だが、そもそもゴーツウッドは山岳地帯だから馬車を使い難い―以上、徒歩だと最速で四ヶ月は掛かる。
一直線に進軍すれば半分程で到着するが、ゴーツウッドからセレファイスまでの道程には、幾つも親魔物派領があり、親魔物派領を無視する連中じゃない。
絶対に進路上の親魔物派領を攻撃し、攻撃された親魔物派領も抵抗するだろうから、幾等二万人以上の騎士と『魔物娘捕食者』が居ても、流石に損害無しで済む筈が無い。
俺がオリバーなら、決着を付ける前に余計な損害が出る事は避けたいから、親魔物派領を避けるように進軍する。
そうなれば、迂回だ、何だで最速で四ヶ月は掛かる道程で進軍するしかない。

転移魔法陣を使うにしても、転移対象と対象数に見合った転移魔法陣を転移元と転移先に構築する必要がある。
転移魔法陣の設置を、セレファイスとネフレン=カの墓所の屍人都市を転移魔法陣で繋ぐまでを例に話そうか。
先ず、ネフレン=カの墓所の屍人都市まで、ホーヴァスとフランシス様が転移。
小規模な転移魔法陣を複数設置後にセレファイスへと転移、設置した転移魔法陣と同数の転移魔法陣を設置して、屍人都市の転移魔法陣と連結する。
因みに、俺達は転移先から転移元の順で設置したが、軍事行動の一環で設置する場合は、転移元から転移先の順で設置するのが通例だ。
フランシス様がヘトヘトに疲れてたのも、設置から連結まで一人でやってたからで、転移が使えないホーヴァスはフランシス様を屍人都市へ案内しただけだったりする。

小規模な転移魔法陣を幾つも設置するにしても、超大型の転移魔法陣を設置するにしても、転移先となる魔法陣を設置する場所は必然的にセレファイス近辺。
だから、俺達がこまめに偵察し、転移魔法陣を設置しようとしてる魔法使いを捕まえれば、それだけで連中の進軍を遅らせる事が出来る。
ソレは向こうも分かってるから、転移魔法陣は使えない。
故に、こうして自由行動がとれるくらいの余裕が出来たって訳だ。

「父さん、母さん、久し振り。セーラが産まれた時以来か?」
自由行動になった後、俺は手桶と布を片手にセレファイス郊外の『ある場所』に向かった。
その場所はセレファイスの墓地……俺の両親が眠る場所なんだが、俺は二人が死んでからは探検ばかりで一度も墓参りしてなかった。
俺が初めて墓参りをしたのは半年前、俺とローラさんの娘・セーラが産まれた事の報告を兼ねてだったんだ。

「ちょいと大変な事になっちまって、さ……花を持ってこなかったのは、勘弁してくれ」
眠る二人に花を持ってこなかった事を謝った後、俺は水を入れた手桶に布を浸し、濡れた布を絞ってから二人の墓石を拭き始める。
「父さん、母さん……俺、結婚したよ。ローラさん、フェラン、コラム、キーン、ボイド、ホーヴァスの六人と」
墓石を拭きながら、俺はフェラン達と結婚した事を眠る両親に報告する。
多分―というか、絶対―、父さんと母さんは天国で盛大にコケてるだろなぁ……なにせ、一気に六人の奥さんを娶ったんだし。
盛大にコケた後、父さんは苦笑して、母さんは『この女誑しっ!』って怒るだろうなぁ。

「結婚の報告だけじゃないんだけど、な……」
綺麗になった墓石を見下ろし、俺は墓標の下で眠ってる二人に告げる……セレファイスが戦場になる事を、セレファイスで起こる戦いが世界の命運を担ってる事を。
今回の墓参りは誓い、絶対に勝つと誓う為だ。
「決着付いたら、また来るよ。勝利の報告を持ってくるから、さ……」
その一言を最後に、俺は二人の墓を後にした。

×××

「う〜ん……」
自由行動になった後、フェランは自室のベッドの上に胡坐をかいて座っていた。
どうやら、何かを考えているらしく、目を瞑って首を左右に振っている。
「うひょいっ!?」
目を瞑って集中していた所為か、肩を叩かれたフェランは奇妙で間抜けな声を上げた。
「……以前、似たような事があったのは気の所為かしら?」
肩を叩かれたフェランが振り向くと、其処には呆れた表情を浮かべるホーヴァスが居た。

「それで? フェラン、貴方は何を考えていたのかしら?」
「えぇっと、必殺技!」
「……そう言えば、貴方とエヴァンの二人で『ダークマター』だったわね」
何を考えてたのかを問うたホーヴァスは、フェランの答えに眉間を押さえるしかなかった。
ホーヴァスの言葉通り、エヴァンとフェランは二人で『ダークマター』であって、二人の思考回路が似ているも当然、か?
「何故、貴方『まで』必殺技を考えるのかしら?」
「アタシ『まで』? 『まで』って、どういう事なの?」
その言葉に首を傾げるフェランに、ホーヴァスは以前エヴァンも必殺技で悩んでいた事を話し、そのついでに話し掛けた時のエヴァンの反応も話した。
「話し掛けた時の反応も、エヴァンとソックリだったわよ」
「えへへ♪」
「どうして、其処で照れるのよ……」

フェランが必殺技で悩んでいたのは、コレから起こる決戦を見据えてだった。
二万人以上の騎士と共に進軍してくる『魔物娘捕食者』には、フェランが生まれた遺跡に居た『GE‐08』、獣の吼える森で遭遇した『GE‐01』が居る。
『GE‐08』は死体を依代にする包帯である故に、急所と呼べるモノが存在しない。
粘液で構築された肉体を持ち、臓器らしき物が見当たらない『GE‐01』も同様だ。
現状、両者への対抗策は以前エヴァンが行ったように、膨大な魔力をぶつけて存在自体を消滅させる事だけである。

だが、エヴァンはオリバーの相手をしなくてはならない以上、残るフェラン達の誰かが、両者のどちらか一方を相手にしなければならない。
残されたフェラン達の中で、ソレが可能なのは魔力を純粋な破壊力へ変える闇属性魔法を行使するフェランだけである。
故に、フェランはエヴァンの必殺技……『星間駆ける皇帝の葬送曲』、若しくは『狂気齎す黄衣の王の触腕』に匹敵する魔法を編み出そうと頭を悩ませていたのだ。

「成程、ね……だから、必殺技を編み出そうとしていた」
「うん……アタシが、何とか」
「大丈夫よ、フェラン」
自分が何とかしなければ……その悲壮な言葉を遮るようにホーヴァスは優しく抱きしめ、抱きしめられたフェランはキョトンとした表情を浮かべる。
「確かに、初めて遭遇した時と同じ状態なら、対抗出来るのは貴方だけよ。だけど、今は私達も居る……貴方一人で、背負う必要は無いわ」
「あ……」
耳元で囁かれたホーヴァスの言葉に、フェランは静かに喜んだ。
そう、確かに初めて遭遇した時なら、対抗出来るのはフェランだけだが、今は違う。
キーンが、ボイドが、ホーヴァスが居る……何も、自分一人で背負う必要は無いのだ。

「折角だから、私も必殺技を考えてみようかしら? 貴方だけに背負わせないように、ね」
「……うんっ!」
そして、フェランとホーヴァスは迫る決戦に備え、必殺技を考える事にした。
愛するエヴァンが、オリバーとの戦いに専念出来るように……

×××

―コンコンッ
「ん? 誰だ?」
自由行動になった後、ローラは執務室に残って書類を書いていると扉がノックされ、彼女は書類を書き進める手を休める事無く、扉の向こうに居る者に誰だと問う。
『私です。今、時間は大丈夫ですか?』
「コラムか……入ってきても良いぞ」
ローラが入室の許可を与えると扉を開けてコラムが執務室に入り、コラムの姿を確認してローラは漸く書類を書く手を休ませる。

「ふむ……して、何用か? その様子では、何か思案しておるようだな」
「あ、分かりますか?」
「分かるさ……伊達に八〇年という、それなりに長い時間を生きてはおらぬ」
何か思案している事を見抜かれたコラムは、年の功には敵わないと苦笑したものの、直ぐにコラムは真剣な表情を浮かべる。
「ローラさん、お願いがあります……私に攻撃魔法を教えてください」
「攻撃魔法を教授してほしい、だと? 我ではなく、フランシスにでも……そうであった、フランシスは今は此処を離れておったな」
フランシスに教われば、とローラは言い掛けるが……その肝心のフランシスが、『大蛮族』招集の為にセレファイスを離れている事を、ローラは失念していた。

「私は防御・治癒を重点的に指導を受けましたが……ソレは、一人ではまともに戦えないという事でもあります」
「うむ……」
バイコーンであるコラムは天性の素質を活かす為に、防御・治癒魔法の体得及び行使の指導をフランシスから受けていた。
その指導が仇になった……味方の援護に優れている分、攻撃魔法を未だに体得していない事もあって、コラムは単独での戦闘技術が致命的なまでに未熟なのだ。
体得した魔法で戦うにしても、相手の攻撃を跳ね返す事が基本になり、相手からの攻撃に依存している以上、積極的に攻撃する事が不可能である。
その欠点をコラムも重々理解しており、付け焼き刃に過ぎなくても決戦に備えて攻撃魔法を体得しようとローラの元に訪れたのだ。

「コラムよ、汝は治癒魔法を一通りは体得しておるのか?」
「え? えぇ、フランシス様から一通りは教わりました」
攻撃魔法を教わろうとしているのに、何故治癒魔法が話題に上がるのか?
ソレを疑問に思いながらも、コラムはフランシスから教わった治癒魔法を挙げる。
自然治癒力を促進させる『癒光』、体内の毒性物質を中和・浄化する『解光(リカルメン)』、魔法に因る幻覚・混乱等の精神異常を回復させる『浄光(メタルメン)』。
魔法防御を飛躍的に高める魔法付与『魔法抗体』も本来の用途上、治癒魔法に分類される。
本来、『魔法抗体』は魔法に因る精神異常の予防に使われる魔法であり、『GE‐02』に付与された『魔法抗体』は本来の用途から外れている。

「あの、ローラさん? 治癒魔法と私のお願いに、何の関係があるのですか?」
ローラに体得した治癒魔法を挙げるコラムだが、何故ローラが治癒魔法を話題に挙げたのかが分からず首を傾げるしかない。
首を傾げるコラムに、ローラは答える。
「結論から言おう。汝は『既に、攻撃魔法を体得しておる』からだ」
「えっ!?」
ローラの意外な答えに驚いたコラムは、ローラから詳しい話を聞く事にした。

「……と、いう事だ」
「成程……態々、付け焼き刃の攻撃魔法を体得する必要はなかったのですね」
ローラから詳細を聞いたコラムは、納得するように頷く。
既に自分が攻撃魔法を体得していた事にも驚きだが、その攻撃魔法が意外な魔法であった事も彼女を驚かせた原因である。
「ありがとうございます」
「だが、心得よ。状況が状況故に我は教授したが、此度の決戦以外で行使する事は認めぬぞ」
頭を下げて礼を言うコラムに、ローラは言外にソレを公で使えば魔法使いの免許証を剥奪されると忠告する。
その言外の忠告を悟ったコラムは頷き、もう一度頭を下げて執務室から去った。

「さて、続けるとするか」
コラムが去った後、ローラは書類仕事を再開させる。
ローラが書き進めているのは、セレファイス復興の計画書……ソレはローラなりの勝利の誓い、絶対に勝つという鋼鉄の如き意思の表れである。

×××

「…………」
自由行動になった後、キーンとボイドは申し合わせたようにセレファイスの商店街の中心にある広場に向かい、人気の無くなった広場で二人は鍛練に励んでいた。
キーンは石畳に突き刺した銛を掴んで逆立ちしており、極限まで集中している。
その集中力は凄まじく、非常に不安定な体勢ながらもキーンの身体は微塵も揺らがない。

「ふっ! せいっ! はぁっ!」
一方、ボイドはジパングから伝わった武術の型を、何度も繰り返している。
鋭い風切音と共に繰り出された拳足は、ドラゴンの膂力もあって、人間なら掠るだけでも致命傷と成り得るだろう。
尤も、魔物は人間の殺傷を本能的に嫌う為、その拳足が人間に振るわれる事は無いのだが。
微動だしないキーン、飽きる事無く何度も型を繰り返すボイド……動と静、二つの鍛練が人気の無い広場で行われる。

勿論、二人が鍛練しているのは決戦に備えてである。
キーンが行っているのは魔力練成……エヴァンかフランシスが今の彼女を見れば、彼女の魔力が高まっているのを感じ取ったであろう。
キーン唯一にして最強の魔法・『武装錬金』は、使い手の魔力保有量に比例して複製出来る武器の最大数が決まり、魔力保有量が多ければ、その分長時間の操作が可能となる。
因みに、現在のキーンの魔力保有量なら、最大三〇本の銛が複製可能であり、操作可能な時間は三〇本全て操作した場合なら最長三〇分である。
然し、キーンはソレに満足せず、こうして決戦まで魔力練成に励むのである。

ボイドは只管に、己の体得した武術の型を繰り返している。
ブリチェスターを統べる女王にはジパング人の夫がおり、ボイドが繰り返している武術の型は女王の夫から教わったモノである。

鴉地(アチ)流……ジパング固有のハーピー種・カラステングが編み出した武術を、カラステングの夫が人間、若しくは人型魔物でも扱えるように改良した亜流だそうだ。
鴉地流の支流である『九爪震天(キュウソウシンテン)流』は『一人の魔物が武器を持った複数の人間に囲まれ、且つ、魔物は無手の状態』という、絶望的な状況を打破する為に編み出された武術だ。
如何に身体能力に優れた魔物でも囲まれている状態を単独で打破する事は困難であり、大抵は囲んでいる側が武器を持っている。
故に、その骨子は一撃必倒。
速く鋭い一撃に因る対象の迅速な無力化を目的とした、発祥地であるジパングでは有名な護身術である。

女王の夫から鴉地流を学んだボイドは一日も欠かさず、型の練習を繰り返している。
決戦が迫りつつある今も、日常の一部と化した鍛練を怠ける事無く、ボイドは繰り返す。
繰り返される鍛練が愛するエヴァンの助けになると、ボイドは信じて。
無論、その想いはキーンも同じである。
故に、二人は黙々と鍛練に励んでいるのだ。

×××

〜四ヶ月後・セレファイス〜
「…………」
とうとう、この日がやってきた。
市民はブリチェスターとネフレン=カの墓所の屍人都市に、半分ずつ避難させた。
残された俺達は、四ヶ月という猶予の中でやれる事をやってきた。
後は、全力を尽くして挑むだけだ。

「うっわぁ……分かってたけど、改めて見ると凄いな」
空を飛んでいる俺は眼下で広がる光景に、溜息を吐いた。
騎士、騎士、騎士、騎士、『魔物娘捕食者』、騎士、騎士、『魔物娘捕食者』、騎士、騎士、騎士、騎士、騎士、騎士、騎士、『魔物娘捕食者』、以下略。
偵察として空を飛んだら、所々に『魔物娘捕食者』の混じってる騎士の群が、一糸乱れぬ動きでセレファイスに進軍してた。
ざっと見た限り、『魔物娘捕食者』の中じゃ、怪物蛙が多い……元々、怪物蛙改め『GE‐05』と『GE‐06』は量産前提の『魔物娘捕食者』だから、ソレも当然か。
さて、と……見つからない内に、さっさと戻るか。

「エヴァン、どうだった?」
「大量発生した蝗の群を見てる感じだった」
ローラさんの屋敷に降りた俺の元へ、フェランが駆け寄ってくる。
外はどうだったと聞いてきたフェランに、俺は思った通りの感想を述べる。
度々大量発生しては、農家に大打撃を与える蝗……セレファイスに迫る『人類の護符』の軍勢を見た俺は、嫌味も籠めて連中を蝗と称する。
尤も、連中は農作物じゃなくて、無辜の民衆の命を貪り喰らうんだけどな!
「あぁ、戻ってきたのか! 何とか、間に合ったみたいだね」
フェランに外の様子を話したら、今度はフランシス様が俺の元に駆け寄ってきた。
フランシス様の手には、小さな小瓶……小瓶の中には、綺麗な金色の液体が入ってるんだが、何だこりゃ?

「アタイ特製の魔法薬、『黄金の蜂蜜酒』だ。あ、言っとくけど、本物の酒じゃないよ」
そう言いながら、フランシス様は『黄金の蜂蜜酒』という聞いた事の無い魔法薬の入った小瓶を俺に渡し、渡された俺はコレが何なのかを尋ねた。
「まぁ、簡単に言っちまえば、一発で魔力を最大量まで回復させる魔法薬さ」
何でも、稀少且つ最高品質の素材を惜しみ無く使って作られたフランシス様特製の魔法薬で、飲めば一発で魔力を最大量まで回復してくれる代物だそうだ。
オマケに一時的だが魔力保有量の最大量を底上げして、肉体も並大抵の衝撃なら平気な程に強化してくれる、まさに至れり尽くせりの逸品。
但し、必要な素材が素材だけに、調達と精製に時間が掛かるのが欠点だそうな。

「取り敢えず、アンタ達六人分の蜂蜜酒は出来た。それにしても、ゲイリーは凄いねぇ」
「何がですか?」
何故に、其処でゲイリーが出てくる?
「調合自体は簡単だけど、この色になるまで一年は熟成させないといけないのさ。だけど、ソレをゲイリーは間に合わせたんだ」
どうやったのかは知らないけどね、と締め括ったフランシス様は感心するように頷く。
レシピを渡したのが、作戦会議の直後だと言うから……うおっ、本来の三分の一の期間で完成させたのか、ゲイリーは。
フランシス様に凄いと言わせたのも凄いが、完成までに一年掛かる代物を四ヶ月で完成させたゲイリーが問答無用で凄いな。
「まぁ、アンタ達は兎に角作戦を成功させる事に専念しな。騎士共はアタイと『大蛮族』、ローラで何とかしてやるよ」
ペッタ……ゲフンッ、将来性のある胸を叩くフランシス様からは、自信と闘志に溢れてる。
コレなら、俺達がいなくても大丈夫そうだな。

「んじゃ、行くとするかぁっ!」
俺は気合を入れるように腕を振り上げ、フェランとフランシス様も腕を振り上げる。
さぁ、決着を付けようじゃねぇか! オリバー・ウェイトリィ!

×××

「あの糞ガキは、何処だ……?」
フランシス様から黄金の蜂蜜酒を受け取ってから、一時間後……ムナールの時みてぇに、連中は宣戦布告も無しにセレファイスを攻撃してきた。
周囲からは金属音やら、爆発音やら、咆吼やらが、ひっきりなしに聞こえてくる。
あっという間に戦場と化したセレファイスを、俺は地面スレスレの低空飛行で駆ける。
今の俺の役目は糞ガキ……オリバー・ウェイトリィを見つけて、分断させる事。
フェラン達も俺と似た役目―『魔物娘捕食者』と騎士の分断する事―を背負って、戦場と化したセレファイスを走り回ってるだろうな。

「ヒャッハァァ―――――――――ッ! 見つけたぜぇっ、エヴァン・シャルズヴェニィ!」
糞ガキを探してたら上から糞ガキの声が聞こえ、俺は殆ど条件反射で『障壁』を張る。
『障壁』を張った瞬間、案の定というか……俺の真上に転移してきた糞ガキが、俺を叩き潰さんと魔力で作られた巨腕を振るう!
「はっ! 少しは腕が上がったみてぇだなぁ!」
「テメェの生み出した怪物のお陰でなぁ!」
以前の俺の『障壁』なら巨腕の一撃で罅が入ったが、生憎とテメェの『魔物娘捕食者』のお陰で腕が嫌でも上がったんでなぁ!
糞ガキの巨腕を俺の『障壁』は罅一つ付かずに防ぎ、糞ガキは『障壁』を砕こうと双巨腕で俺の『障壁』をタコ殴りしてくる。

「さぁ、さぁさぁさぁ! さっさとくたばりやがれぇ、クソッタレがぁっ!」
「そりゃ、コッチの台詞だ! 糞ガキィッ!」
糞ガキは巨腕を滅多矢鱈に振り回し、俺は『障壁』で巨腕の猛攻を防ぎつつ消費魔力を抑えた『風刃』で牽制する。
熱くなるな、まだ本気で戦う時じゃない……本気で戦うのは、俺の役目を果たしてからだ!
「ヒャァハハハハァッ! どうした? さっきからチンケな攻撃しか、してねぇじゃねぇかっ!」
チンケで悪かったなぁ! なら、コイツはどうだ!
俺は剣指を組んだ右手を突き出して、糞ガキを包むように竜巻を発生させる。

「あぁん? また、あの半端な結界かぁ? んな半端結界、飛び越え」
「残念、無念の、また来年……ってかぁ!」
一度はボロボロになるまで抜け出せなかった『風刃牢』、その弱点を知ってる糞ガキは竜巻に触れようとせず、中心部の真上から飛び出そうとする。
だが、そうは問屋が卸さないぜ……俺は魔力の流れを変え、『風刃牢』を真上ががら空きの普通の竜巻から、『球状の竜巻』へと変える!
「んがっ!?」
飛び出そうとしたら、球状の竜巻と化した『風刃牢』の天辺に糞ガキは頭をぶつけ、頭をぶつけた衝撃で『風刃牢』の中に『風刃』が乱れ飛ぶ!
「だぁぁぁっ! クソッタレェェェッ!」
乱れ飛ぶ『風刃』で転移に集中出来ないのは前回の戦いで知ってるし、今回の『風刃牢』は逃げ場無しの改良型、見事に糞ガキの足止めは成功した。
うしっ、今が好機!

「さぁ、一対一に付き合ってもらうぜっ!」
俺は長外套のポケットに仕舞っておいた、『ある物』を取り出す。
取り出したのは、小振りなジャガイモ程の大きさの紅い宝石……俺は、その宝石を地面に叩きつけ、叩きつけられた宝石は見事に砕ける。
砕け散った紅い宝石、その叩きつけられた部分を中心に転移魔法陣が描かれる!
「んなっ!?」
糞ガキが驚く声を聞きながら、俺と糞ガキは転移した。

×××

「おっ? ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ、ごぉ、ろぉ……反応が六つ、上手くいったみたいだねぇ」
セレファイスを駆け回るフランシスは転移魔法陣の発動を感知し、笑みを浮かべる。
六つの転移魔法陣の反応……ソレはエヴァン達の作戦が成功した事を示している。

『コレを使うのであ〜る』
どうやってオリバー及び『魔物娘捕食者』と騎士を分断するかで、頭を悩ませていた時。
乱入してきたゲイリーが見せたのは、先程エヴァンが地面に叩きつけた紅い宝石。
その宝石が何なのかで首を傾げるエヴァン達に、ゲイリーは紅い宝石の事を説明する。
『コレは簡易転移魔法陣展開装置、一方通行の転移魔法陣を展開する事が出来るのである』
紅い宝石はゲイリーが作った魔道具……この宝石を地面に叩きつけると、叩きつけられた部分を中心に一方通行の転移魔法陣を展開するそうだ。
一回限りの使い捨てだがその分、転移魔法陣内に居るモノを質量・物量問わず、まとめて転移させる事が可能であり、更に砕く前に予め転移先を指定する事も可能だそうだ。

『コレを用いる事で、主力と有象無象の雑魚共を分断する事が可能なのであ〜る』
ゲイリーが提案した策とは、セレファイス側の主力であるエヴァン達に、予め転移先を指定した紅い宝石を持たせておく。
そして、『人類の護符』側の主力―オリバーと『魔物娘捕食者』―と接敵した際、この紅い宝石で接敵した主力諸共転移するという単純な策である。

だが、単純といえども有効な策だ……転移先をセレファイスから離れた場所へと指定すれば、残された騎士達と合流する事は難しい。
また、オリバーはエヴァンへの憎悪で燃えており、エヴァンを見つけたらオリバーは決着を付ける事に専念するだろう。
魔物を滅ぼす為に生み出された『魔物娘捕食者』ならば、その本能のままに目前の獲物を狙うに違いない。
故に、セレファイスに残された騎士と合流する事は無いと断言出来る。
そうなれば、身体能力に優れた魔物と人間でしかない騎士……どちらが勝利するのかは、自明の理である。

「作戦成功、っと……漸く、アタイも本気で戦えるってもんだ!」
フランシスと彼女率いる『大蛮族』は、エヴァン達がゲイリー提案の作戦に成功するまで、時間稼ぎの牽制に専念していた。
勿論、エヴァン達よりも早く目標を発見した際は、エヴァン達の通信球に通信して目標の位置を知らせたが。
作戦が成功した以上、時間稼ぎの牽制をする必要は無い……フランシスの幼さの残る顔が、闘志と歓喜で歪む。
そして、フランシスは『念話(テレパス)』―他者と思念で会話する、所謂テレパシーだ―で、牽制に専念していた『大蛮族』達に叫ぶ。

《さぁ、時間稼ぎは終わりだよ! 此処からは楽しい愉しい、アタイ達の待ち侘びたデカい戦争の始まりだ! さぁ、今まで鍛え抜いてきた強さを見せつけろ、野郎共ぉっ!》

Report.06 俺と皆と決戦前夜 Closed
To be nextstage→Report.07 我とアタイと防衛戦
12/10/25 14:37更新 / 斬魔大聖
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■作者メッセージ
お待たせしました、魔物娘捕食者更新です。
オリバー率いる『人類の護符』との決戦、いざ開幕です!
ここからの構成を少しだけネタバレすると、ヒロイン達の戦い、エヴァンとオリバーの決戦、そしてエピローグという順番で物語を進行します。
次回はローラ、フランシスの戦いを第三者視点で執筆します。
それでは決戦の行方を楽しみにしていてください。

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