連載小説
[TOP][目次]
2 舞い降りた愛天使
ブリガンティン
マスト(帆柱)が二本で、前(フォアマスト)が横帆、後ろ(メインマスト)の一番下の帆が縦帆の帆船。
二本とも横帆ならブリッグ、縦帆ならスクーナーと呼称する。
エル・ヴァリエンテ号はメインマストが二枚の縦帆のみで構成されており、厳密にはハーフロマダイトブリッグと呼ぶ。










 ……窓から日が差し込み、俺はベッドの上でうっすらと目を開けた。寝慣れたベッド。船長室のベッドだ。

 昨日船を焼いたはずではなかったか、と記憶の糸を辿っていると、不意に頬へ柔らかな物が当たった。

「アマロ船長! 朝ですよ!」

 快活な声に目を見開き、そして息を飲んだ。
 信じられないものがそこにいた。純白の水兵服を着た、くりくりとした目の可愛らしい女。彼女は窓から差す光を浴びていたが、まるで彼女自身が光を発しているかのように見えた。褐色の肌に、桃色のふんわりとした短い髪、そして瞳もまた深い桃色。愛らしい童顔なのに、胸は服の上からでもわかる膨らみを持っていた。スカートから見える足はすらりとして、とても美しい。

 だがそればかりではない。彼女の美しさは、人間ではない故の美しさだった。袖から腰にかけて半透明な羽衣、または翼のようなものがヒラヒラと揺れている。そしてその頭上には、神族の象徴である光輪が見えた。ハートの形をした、淡いピンク色の光輪が。

「フー……リー……!?」

 書物で知っていた、異教の天使がそこにいたのだ。

「おはようございます、はじめまして!」

 元気良く挨拶をし、天使は花のような笑顔を見せた。

「私はメリーカといいます。エロス神のお導きにより、姉妹共々、今日から貴方のお側に……」
「ま、待て」

 頭が状況に追いつかない。ゆっくりと何が起きているか整理する。

「何故フーリーがここにいるんだ?」
「私たちは天界からアマロ船長の義挙を見て、お側でお仕えしたいと思ったのです! そして我らが主エロスも認めてくださいました!」

 愛の女神エロスの教団。人のみならず魔物からも信仰を集め、その勢力を拡大しつつある。性的にふしだらな面があるとされながら、何故か主神教団からは邪教認定を受けておらず、多くの国に信徒がいる。
 フーリーはエロス神の生み出す天使の一種。主神教団のエンジェルが勇者や聖人を導き、魔物と戦うために降臨するのに対し、彼女たちは善行を積んだ人間に『褒美』を与えるため遣わされるのだという。愛に恵まれなかった者が、それを望んでエロス教へ改宗することもあると聞く。

「待て。俺はエロス信徒ではないぞ?」
「存じております。しかし船長は昨晩、我らが主の声をお聞きになったはずです!」

 不意に脳裏を過ぎる、あの神秘的な声。嵐の中でも聞いた、不思議な優しい声だ。
 あれがエロス神の声だと言うのか。神と交信するなど、選ばれた力の持ち主でなくてはできないはずなのに。

「主は船長がこれからも義挙を続けることを願い、その手助けと『報酬』を兼ねて私たちを遣わしました。もちろん、私たちが船長にお仕えしたいと願ったからでもあります!」

 誇らしげに胸を張る天使メリーカ。その途端、思わずその胸に目を奪われた。服の下で揺れた、その二つの膨らみに。すると彼女は俺の視線に気づき、白い歯を見せて笑った。

「あはっ。アマロ船長、おっぱいに興味がお有りですね?」
「あ、いや、その」

 胸に視線を向けたことは誤魔化せまい。女はそういうことに鋭く気づく。どう取り繕うべきか、また天使の口から「おっぱい」という単語が出たことに頭が混乱する。
 あまりにも急激な流れに着いていけない俺の前で、メリーカはさらに過激なことを始めた。

 服の裾を捲り上げ、褐色の胸を露出させたのだ。

「あれこれ考えるよりも、先に体で受け止めてくださいませ。このメリーカからの愛を……」

 胸が大きく高鳴った。チョコレートを溶かしてミルクを混ぜたような、艶やかな褐色の肌。その盛り上がりが柔らかく揺れ、その下には小さく可愛らしいへそがある。背徳的だと思いながらも、俺はその光景から目を離せない。
 メリーカは水兵の服を脱ぎ捨て、それどころかスカートまで脱いでしまった。女性の最も神聖な部分には一切の毛がなく、太ももの合間に慎ましやかな恥丘が見えるのみ。甘い香りが船長室に立ち込めた。

「さあ、船長っ」

 メリーカがベッドの上に登ってくる。天使が、俺のベッドに。小さな手が優しく俺の手を握り、膨らみへと導いた。触れた瞬間。指先が褐色の双峰に沈み込む。
 子供のような笑顔に対し、その膨らみは大人の女そのものだった。掌からこぼれ落ちそうになるそれを、俺はいつのまにか一心不乱に揉んでいた。柔らかな乳房に指先が沈み込んでは、弾力で押し返される。何という心地よい感触だろうか。

「ひゃ、あんっ。お上手です♥」

 俺の触り方が気に入ったのか、嬉しそうに頬へキスをしてくれた。目を覚ました直後に感じたのと同じ柔らかさだ。どうやらこれが二度目のキスだったらしい。
 同時に、小さな水音が聞こえた。ぼーっとしたまま視線を落とすと、メリーカは片手で自分の股を弄っていたのだ。

「……ほら、濡れてきました」

 股間から手を離し、指先に絡んだ粘液が糸を引くところを見せながら、可愛らしく微笑む愛の天使。その倒錯した光景に、俺の理性はもはや虫の息だ。

 俺は酔ったような心持ちで、一度彼女の胸を揉むのを止めた。その手を自分の下半身へと持って行き、ズボンと下着を下ろす。

「わっ♥ 素敵です!」

 極限まで勃起したそれが飛び出すのを見て、彼女は歓声を上げた。

「爽やかな朝ですものね。おちんちんも元気いっぱい……♥」

 うっとりとした声と共に、すべすべとした手で肉棒を撫でられる。それだけで快感が走り、体がぴくんと震えた。
 メリーカは俺の反応を楽しそうに見つめている。その表情がとても可愛くて、愛おしさがこみ上げてきた。我慢できずに彼女の頭を抱き寄せ、唇を奪う。

「んっ♥」

 突然の接吻を受け入れて、俺に合わせ舌を絡めてくるメリーカ。天使の口腔はほのかに甘い味がした。初対面の女性、それも神族と濃厚なキスを交わしているという背徳感に、股間のそれはさらに疼く。もっとも乳房を揉んだ後で、そんなことを考えるのもおかしな話だが。
 唇から唾液が垂れ、熱い快感を味わいながら、空いた手で再び胸を揉む。いつまでも味わいたい柔らかさだ。絹糸のようにさらさらとした髪も心地よい。

 恍惚としていると唇が離れた。「ぷはっ」と可愛く息継ぎをして、メリーカはうっとりと微笑む。唇から少し唾液が垂れていた。

「船長とお口同士でのキス……メリーカ、とても幸せですっ」
「ああ、俺もだ……胸も柔らかい」

 ぼんやりと答えると、彼女は嬉しくてたまらないというような笑顔で、俺の頬へキスの雨を降らせた。唇の感触がぷるぷると頬をつつき、くすぐったい。
 それをしばらく続けたかと思うと、彼女はベッドに座る俺の腰を跨ぐようにして、自分の股間を俺の股間の上へ持ってきた。つまり、天使の神聖な女性器が男根の真上にきて、熱い愛液を滴らせているのだ。

「次は下のお口でも、愛しちゃいますね♥」

 宣言すると同時に、今度は彼女の方から唇を奪ってきた。同時に腰を沈め、男根の先が入り口へ当たる。

 温かい。そう思った途端、ずぶずぶと音を立てながら肉棒全体が飲み込まれた。

「ん、う……!」
「ふみゅぅぅぅ♥ ちゅっ♥ んちゅっ♥」

 根元まで飲み込まれた瞬間、メリーカは歓喜の声を上げた。それは唇を重ねる俺の口へ注ぎ込まれ、さらに熱いキスを交わす。
 天使の膣内はとても温かく、優しく蠢いて男根を咀嚼してくる。単に脈動するだけではない。まるで膣内に舌があって、上の口がキスを交わすのと同じように、愛おしげに俺のものを舐めしゃぶっているかのようだった。彼女の中が別世界、天上界に通じている……そう思ってしまうほどの快楽だ。

「はみゅっ、むぅ♥ んんぅぅ♥」

 メリーカの方もしっかりと感じているのがわかった。俺の背中に手を回してしっかりと抱きつき、腰をぐりぐりと動かして肉棒の感触を楽しみつつ、合わせている口の隙間から艶かしい声が漏れる。
 俺は彼女の胸を揉んだり、すべすべとした背中を撫でて、臀部の膨らみも愛でた。彼女は全裸になっても羽衣だけは身にまとっており、その布とも羽毛とも違う朧げな感触も不思議と快感を高めた。そうしているうちに熱い物がこみ上げてきた。この可愛らしい天使の子宮へ迸らせたいという欲求に抗えなくなってくる。

「はぁ、はぁん……船長♥」

 再び唇が離れ、メリーカは天使がこんな顔をしてもいいのかと思うほどの蕩けた笑顔を見せた。

「我慢、しないで、出して……♥」

 その言葉と共に、膣がきゅっと締め付けられた。途端に歯止めが効かなくなり、神聖な膣内で肉棒が激しく脈打つ。

「で、出るっ!」
「ふあぁぁっ♥ きたぁ♥」

 歓喜の叫びと共に強く俺に抱きつくメリーカ。褐色の肌がとても熱くなっている。その体温が余計に俺を感じさせ、射精の快感を増幅させる。その間も彼女の『下の口』は肉棒を舐め回し、吸い立てて、迸ったものを膣の奥へと飲み込んでいく。同時にぷしゅっと音を立て、天使の吹いた潮が下半身を濡らした。

 どくどくという脈打ちがいつまでも続いた。彼女の華奢な体を抱きしめ……いや、互いにしがみつきながら、快感に酔いしれる。俺の耳元で「好き、好き」と繰り返すメリーカが、こちらも愛おしい。ベッドの上でいつまでも抱き合っていたい。

 射精はゆっくりと止まり、俺とメリーカは互いに見つめあって、笑った。彼女の膣はあれだけ貪欲に吸い上げたにも関わらず、飲み込みきれなかった白濁と彼女の愛液が混ざって、シーツの上に小さな水たまりを作っていた。

「とても気持ち良かったです、アマロ船長♥」
「俺もだ……ありがとう、メリーカ」

 礼を言う俺の頬にまたキスをくれて、メリーカはゆっくりと腰を上げた。肉棒が女性器からぬるりと引き抜かれる。しかし今しがた人生で最も気持ちいい射精を終えたばかりだというのに、男根はまだ上を向いてそそり立っている。
 そして俺の中の性欲も大人しくならず、まだまだ目の前にいるフーリーを求めていた。

「ふふっ♥ ……これもエロス神の恩恵です。お好きなだけ気持ちよくなれますよ!」

 にこやかにそう言いながらも、彼女はベッドから降りてスカートを履き、上着を羽織ってしまう。それでも俺の出した白濁が褐色のふとももを伝っていくのを見て、獣欲は抑えられなくなった。

「メリーカ、もう一度……!」
「あっ、待って」

 肩を捕まえると、優しい声で制止された。

「まずは甲板へ行きましょ? みんなも船長と愛し合いたくて待っていますから♥」

 メリーカに手を引かれて、言われるがままに船長室から出る。


 甲板へ上がった俺が見たのは、天国だった。


20/02/15 21:38更新 / 空き缶号
戻る 次へ

■作者メッセージ
お読みいただきありがとうございます。
何気にコートアルフのSSってまだ無かったようですね。
趣旨としては海戦&フーリーハーレムで、野鍛冶共々書いていきます。

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33