読切小説
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闇ニ咲ク花
「ふんふんふ〜ん♪ 今日もいい天気だなぁ♪」
 ぽかぽか陽気がそろそろ陰る昼下がり。鼻歌を歌いながら森の中を行く少女が一人。だがその少女は人間ではない。背丈は10インチほど。その背には薄い翅が生えている。額にはポチリと小さな角が二つ。小さな身体をレオタードのような不思議な服で包んでいる。
 そう、この少女はピクシーだ。森に住む、イタズラ好きな種族である。名前はイリカと言う。
 イリカは森の中を散歩している最中であった。ひらひらと背中の翅を動かしながら進んでいる。と、その進みが止まった。
「ん?」
 すんすんと鼻を鳴らす。何かの匂いを嗅ぎ当てたのだ。それは蜂蜜のような、クリームのような、あるいは果物のような……例えようもない、甘くて美味しそうな匂い……
 まだ味わったことのない男の精液の方が好みだが、甘いお菓子も大好物だ。にへらとイリカの顔が笑みを浮かべる。
「えへへ〜♪ なんだろう〜?」
 今まで進んでいた森の道から外れ、ピクシーは脇道に当たった。甘い匂いが徐々に強くなってくる。その匂いを嗅いでいくうちにイリカの頭がその甘い何かを食べてみたいという欲求でいっぱいになる。
 匂いの元は、森の道から100ヤードほど離れたところにあった。それはイリカの身体よりも大きい花だった。花弁はパンジーのような紫色だ。しかし、まだその花は開いていなかった。
「うーん、残念……お花が咲いていたら、蜜が吸えたのかなぁ? まだ蕾なのにこんなにいい匂いがするなんて……咲いたらどんな感じなんだろう?」
 初めて見る花だ。興味深そうに、イリカはしげしげとその花を見ながら周囲を飛び回る。観察しているうちに一つの考えがピクシーの脳に浮かんだ。
「もしかして花びらがいい匂いで、それを食べるのかなぁ?」
 試しにイリカはまだ固そうな花弁の一枚に手を伸ばしてみる。
 その時であった。その花が突然開いたのだ。それも一瞬のうちに。甘い匂いが強くなる。
「えっ?」
 驚きでピクシーは固まる。花が開いて中の蜜を吸えるという喜びがないわけではなかった。だがそれより突然の変化に対する驚きと、それに対する本能的な恐怖の方が上回っていた。
 果たして、イリカの漠然とした不安が正しかった。花弁の内側がぞわぞわと波打ち、瞬く間にひも状の何かが彼女の手足に絡みついた。
「きゃああっ!? な、何これ!? 離して、離してぇ!」
 イリカは翅を羽ばたかせ、もがいて逃げようとするがびくともしない。そのままじわじわと花の方へと引き寄せられる。
「いや、いやぁあ! 誰か……誰か助けてぇ!」
 ピクシーは悲鳴を上げるが誰も駆けつけてくれる様子はない。そしてついに、イリカの尻にねちょりと花の一部が当たった。次の瞬間、幾重もある花弁の何層かが曲がり、ピクシーを抱き包むかのように閉じる。
「ひっ……!?」
 もしかして、この花に食べられるのではないか……その考えがよぎり、イリカは声にならない悲鳴をあげる。だが、イリカは見ていた。その花弁一枚一枚の内側には、おびただしい量の絨毛が備わっていることを。そのうちのいくらかは伸び縮みしている。
『あのうねうねって……気持ちいいのかな……?』
 驚くは魔物娘の本性と言うべきか、死の恐怖にあってもピクシーは性の快楽に関することを考えていた。
 イリカが暢気にそのようなことを考えられているのは、彼女が魔物娘だからという理由だけではない。イリカを捕らえている植物から放たれる芳香にも原因があった。芳香が獲物の思考力と抵抗力を奪っていく。
「ふわわ……頭がふらふらする……それに、身体があつい……」
 イリカは花の中央で身体をぐったりと弛緩させた。あなや、このピクシーはこのまま食虫植物のような植物に食べられてしまうのだろうか。いや、そうではない。
 この植物はフェアリー・ハグ。触手植物の一種であり、今のピクシーにしているようにその身体にある精や魔力を求めて襲いかかる。ピクシーの他にも名前の通りフェアリーや、リャナンシーを襲い、捉えるのだ。
 そしてフェアリー・ハグは触手植物だ。捕まえた後、どうするのか。言わずもがなである。
 シュルシュルと花弁から無数の触手が伸び、イリカの身体に這わされる。触手の何本かが服の隙間から潜り込み、それを破いた。あっという間にピクシーは生まれたままの姿にされてしまう。
「ひゃああ!? んもぅ! 何するのよエッチ〜!」
 ピクシーは叫んで弱々しく身体を攀じる。だが自分の身体が揺れただけでフェアリー・ハグからは抜け出せない。ぱたぱたと翅を動かしたことで鱗粉が散ったくらいだ。その抵抗できていない身体に触手が群がる。髪、顔、腕、腹、脚……そして胸に。
「やだぁ、あ、はあっ……ぬめぬめして……んぅう」
 抵抗の声をあげたピクシーだったがすぐにその声に嬌声が混じり始めた。男がいる魔物娘であれば触手の愛撫に感じることはなかっただろう。だがこのピクシーは男を受け入れたことがなかった。触手による刺激にピクシーはあえぐ。
 触手がぬめぬめと幹で柔肌を撫で、甘い香りのする粘液をなすりつける。すぐにイリカの身体は粘液まみれになってしまった。彼女をおびき寄せたこの粘液には催淫作用も含まれている。粘液を肌に刷り込まれ、さらに匂いを嗅いで、イリカの顔がさらに緩む。そして彼女の秘密の花園が、フェアリー・ハグから出る粘液とは異なる蜜に潤み始めていた。
 だが、肌からだとその催淫効果はやや薄い。せいぜい、官能の炎の火種になる程度だ。
 その火種を掻き立てるべく、触手の愛撫が激しくなった。胸に伸びている触手の先端がくぱっと開く。その中にはさらに触手が、まるでブラシのように生えていた。
「ひ……そ、それで何するの……? まさか……ふわああああっ!」
 イリカが嬌声をあげる。ブラシ状の触手がぴたりと、ぽちりと立ち上がっている胸のいただきに押し当てられていた。そしてその形状の通り、わしゃわしゃと乳首を擦り始める。びりびりと電気のような快感がイリカの胸から脳へと駆け上がった。
「ひゃあ、ああっ! だめ、おっぱいそんなにしちゃ……はぅうん!」
 いやいやをするように顔を左右に振るが、フェアリー・ハグは容赦なく胸を攻め立て続ける。擦るだけではない。吸い立てる動きまで加わっていた。ただでさえ勃っている乳首をさらに起立させられ、それをブラシによってしごき立てられる。たまったものではない。
「い、いやだ……んふぅ、このままじゃ……んぅう! おっぱいだけでイッちゃう……! イッちゃうよぉ!」
 友だちのピクシーやフェアリーなどと一緒に触りあいっこをしたことはある。自慰でオーガズムも経験した。だがこのような形で自分の意志とは無関係に、強制的に絶頂に導かれたことはない。純粋に気持ちいいと思う反面、恐怖のような物はまだ強い。身体を震わせるイリカの口からは拒絶の声があがっていた。
 しかし触手は容赦なくピクシーを絶頂に導こうと攻め立てる。そしてその狙い通り、イリカの身体に蓄積された快感が閾値を超えた。
「ん、んくぅううう!」
 イリカは絶頂した。歯を食いしばり、押し殺した声を漏らしてはいたが、身体が痙攣していることからそれが見受けられる。
 ひとしきり激しい快感の山が去った後、イリカは身体を弛緩させた。彼女の股間からは快感の証の粘液がとろりとこぼれ落ちている。その粘液に平べったい触手が伸び、拭った。舌が舐めとったかのようだった。
「んあっ!? な、何しているの!? ……もしかして……あたしのおまんこの液……欲しいの?」
 触手の行動に、恐怖は覚えながらも淫らな魔物娘は、その意義を察する。返事はないが、そのとおりだ。ピクシーの顔が快楽以外で赤く染まる。
「はぅうう……恥ずかしいよぉ……」
 性を楽しむ魔物娘ではあるが、やはり羞恥心はある。膝を寄せてイリカは股間を隠そうとする。しかしすぐに触手によって引かれ、広げられてしまった。一度オーガズムに達し、ひくひくと物欲しそうにうごめいている秘裂が露わになってしまう。そのピクシーの性器に、触手が迫る。快感にとろけていたイリカの顔が引きつる。
「だ、ダメ! お願い! 舐めたりなでたりするのはいくらでもいいから、挿れるのは……そこは大事な人に……!」
 幸い触手はイリカの膣に挿入することはなかった。もっともそれはイリカの声が届いたわけではなく、フェアリー・ハグにそもそもその意志がなかっただけなのであるが。
 その昔、魔王が代替わりした直後……大きな争いが触手と魔物娘の間であった。きっかけは触手が魔物娘とその番の男を傷つけたことだった。結果、怒り狂った魔物娘とその軍団によって触手は十分の一まで生存数を減らされる。そのような過去があった。
 以降、触手は魔物娘および男を傷つけないようにしている。このフェアリー・ハグも獲物の身体を大切に扱うように気をつけていた。挿入しないのはそのためであった。純潔を奪わないように。
 だが快感を与えるのはやめない。触手の幹を秘裂にこすりつける。陰唇を割り、膣口や尿道口、そしてクリトリスをずるずると触手は攻めた。
「んひぅうう!? 何、なにこれ……あつい……ふあああっ! アソコがあついよぉお!?」
 突然、叫び声にも近い嬌声をイリカは上げた。股間を攻める触手の動きはまだ穏やかなのに、先ほど胸を攻められた時より激しい喘ぎ声だ。
 理由は塗りたくられている粘液にあった。先ほどの通り、粘液の催淫作用は肌からだと効果は穏やかである。だが粘膜からだと話は別だ。その効果は強さも発現速度も段違いである。
 今、イリカは媚粘膜に粘液を塗られていた。当然、催淫作用がそこから回る。イリカは粘液によって下肢が燃えるように火照っていた。しかしそれだけでは終わらない。
「ん、んむぅ!」
 イリカの小さな口にまた別の触手が一本ねじ込まれた。その触手がどくどんと脈打ち、何かをピクシーの口内に注いでいく。
『なにこれ……甘くておいしい……』
 味の良さにイリカは躊躇わず口の中に出されたどろりとした物を飲み下していく。とろんと目を閉じて、母乳を飲むかのようにこくんこくんとピクシーは飲み続けた。たっぷりと飲み下してからその目がハッと見開かれる。自分が何を飲んでいたか、触手の粘液が何なのか分かったのだ。
『こ、これ……媚薬だ……! そんな!』
 性器に塗られている粘液と同じものを口の中に出されたのだ。口腔粘膜、胃……そこから取り込まれた粘液はあっという間に彼女の全身に回る。
 これ以上粘液を摂取しているとおかしくなる……そう思ってイリカは粘液と触手を口から出そうとする。しかし触手はイリカの口を完全に覆っており、粘液は吐き出せない。首を振ってみても触手は口から出て行かない。粘液はもうどくどくとは出ていなかったが、おかげでイリカは媚薬を延々と受け続ける羽目になった。
 その間も、下半身への攻めは止んでいない。せっせとイリカの股間を触手で撫で上げている。胸も最初にイリカを絶頂に導いたのと同じような愛撫が繰り返されていた。
『ヤダ……こんなの……またイッちゃうよぉ!』
 快感からなんとかして逃れようとイリカは身体をくねらせる。だがその動きは本人も無自覚のうちに、男と自分を絶頂に導くような、淫猥な動きになっていた。
 不意にピクシーは身体をくねらせるのをやめた。代わりに身体を細かくびくびくと震わせる。触手によって塞がれている口からはくぐもった悲鳴が漏れていた。また達してしまったのだ。どぷりと粘度の高い愛液が秘裂から溢れ、触手を濡らした。そのピクシーの愛液を触手が吸収する。乾いた大地に水が染みこむかのように。
 たっぷりと媚薬混じりの粘液を飲ませた触手が、ずるりとイリカの口から抜けだした。
「あ、あへぇ……」
 だらしのない、言葉にならない声がイリカの自由になった口から漏れる。目は焦点が合っていない。二度の絶頂とたっぷり身体に流し込まれた媚薬によって身体がバカになってしまっていた。怖がっていた心もほとんど融け、桃色に染まっている。男を知る前にこのような快感をその身体に叩きこまれたのは幸か不幸か……
 触手がイリカの股間から離れていく。とろけた顔に彼女は怪訝そうな表情を浮かべる。
「ふぇえ? どうしたのぉ? もう、おしまい?」
 燃え盛った官能の炎は治まっていない。今も彼女の身体は火照り、花弁からは触手の物とは異なる粘液を垂らしている。その愛液を受け止めるかのように、イリカの背後の肉壁から彼女の股下を通って触手が伸びた。イリカの目が見開かれる。
 自分の脚の間にある触手は、表面に細かな突起がびっしりと備わっていた。突起はそこまで長くはないが、ひとつひとつが意志を持っているかのようにぴこぴこと蠢いている。そして全ての突起からあの催淫効果のある粘液が分泌されていた。
「ひっ!? やめてぇ……そ、そんなの……おかしくなっちゃうよぉお……」
 口ではそう言うが身体はそうは言っていない。とろりとまた白濁の女汁が触手にしたたり落ちた。そして彼女自身も理解している。自分がこれからされる攻めに心の何処かで期待していることを。
 触手がじわじわと持ち上がってきた。あわわと言いながらイリカはその様子を見つめる。
 最初にぐっと、触手の幹が尻の割れ目にねじ込まれた。アナルにまでぴたりと柔突起が押し当てられる。
「お、お尻にも!? や、あ、ああああ……!」
 ぶるぶるとイリカは身体を震わせた。触手がさらに彼女の股間に密着した。ショーツのクロッチのように、イリカの股間は触手によって完全に包まれてしまった。肛門、会陰、膣口、尿道口、陰核……触手に触れていない部分はない。
「あ、あ、あああ……」
 口を半開きにして舌を突き出し、身体を細かく震わせながら熱っぽい吐息をつく。触手から分泌されている粘液が触れている部分をさらに敏感にする。しかもヴァギナは粘膜であるため、効果も大きい。さらに細かく動く突起がクリトリスをこね回している。押し当てられただけでもアクメに達してしまいそうであった。
「ふわああ、だめぇ……んあ、ああああ……」
 ピクシーは自分でも何がダメなのか分からないまま懇願する。今動かれると快感で壊れてしまいそうで怖いから駄目だと言いたいのだが、快感で混濁した頭では上手く言葉が紡ぎ出せない。
 フェアリー・ハグはそれが分かっているかのように、股間に当てた触手は動かさなかった。だが快感の炎が途切れることがないように全身への刺激は止めない。腕や背中、腹、尻の膨らみ、太ももなどを触手の先端や幹が粘液を塗りたくりながら愛撫する。
 その愛撫は確かに心地よい。だが絶頂に導くには程遠く、もどかしい。その「もどかしい」と言う感情は理解はできていなかったが、身体は知覚していた。そして行動に出る。
 イリカの腰がぴくりと前後に動いた。我慢ができなくなったのだ。
それに呼応するかのように、股間にぴったりとくっついている触手がとうとう動き始めた。もう遠慮はしないようだ。ずるずると触手が前に出て、ピクシーの股間を擦り上げる。
「ひぅううん!?」
 快感に対して反射的にイリカは腰を浮かせる。だが触手はぴったりと股間について離れない。敏感なクリトリスを通り過ぎるイボで擦り立てられるのは、電気が走ったかのような快感だった。膣口を撫でられる感触も、クリトリスと比べると弱いがまた独特の捨てがたい甘い快感だ。そして出すための器官である尻穴を突起で圧迫されるのも、例えようのない快感があった。
 前に出た触手が再び後ろへと引っ込んだ。今度は逆方向にイリカの股が擦られる。
「うあ、あ、あああああっ!」
 引かれた触手が再び前に出る。出たかと思ったらまた後ろに行く。また前へ、後ろへ。触手が動くたびにイリカの股間は擦り立てられる。
ぐじゅ、ぐじゅぐじゅ、ぶちゅ、ぐちゃ……
 淫らなサイクルが繰り返されるたびにイリカの下肢から行儀の悪い咀嚼音のような音が響いた。他の身体も触手と粘液によってにちゃにちゃと音が立っていたが、性器を攻める音は格別であった。
「いやぁああ! あ、ふああああ! そんな音……ひぃあああ!」
 聞こえてくる嫌らしい音に耳を塞ぎたくても手が縛られているため叶わない。快感と羞恥心にイリカの顔はりんごのように赤かった。
 獲物が抵抗できないことをいいことにフェアリー・ハグの攻めはヒートアップする。触手の動きが速くなった。もうこうなると音のことなど気にする余裕もない。また絶頂の予感が迫ってきた。高い所へ釣り上げられていうかのような、恐怖に似た感覚。
「ダメ、ダメぇ! そんなにされると……ひぅう! また……また……!」
 膝と太ももを寄せて触手を挟み込んでなんとかして触手の動きを抑えようとするが、快感で力が入らない上に粘液で滑って上手く行かない。そのまま容赦なく、イリカは絶頂へと導かれる。
「イクっ! イクぅううう!」
 イリカの身体が硬直する。翅だけが唯一激しく動いていた。
 がくりと、糸の切れた人形のようにイリカの身体が弛緩する。
「あうぅ……またイッちゃったぁ……」
 しかし意識はまだあり、快感を肯定する言葉を口にしている。触手による愛撫が快感なのは事実であった。
 恐怖はまだ少しあった。もう触手が自分に害をなす存在ではないことは分かっているのだが……それでも漠然とした恐怖があった。この快感を知ってしまうことで、もう今までの自分には戻れなくなるような……男が現れて快感の上書きをされるまで、この触手なしではいられない身体と心にされてしまいそうで。そして、そうなるまでこの触手にさらに快感を叩きこまれて調教されてしまいそうで。徹底的に、何も考えられなくなるくらいに、気絶するくらいに……
「ひあっ!?」
 触手が再びずるずると動き始めた。触手に備わった突起がクリトリスを始め、イリカに触れている部分をこねくり回す。女体でもっとも敏感な部分を転がされ、ピクシーは身体を跳ねさせる。
「それ、それぇ! 気持ちいい……気持ちいいのぉお……!」
 この時すでにイリカの身体は持ち主の言うことをほとんど聞かない状態であった。無意識のうちに腰が前後に動き、自ら積極的に股間を触手に擦りつける。獲物の動きに呼応するかのように、フェアリー・ハグの動きも激しくなった。あの淫らな音が再びピクシーの股間から沸き起こる。
 イリカの身体は、二度目の絶頂ですでに制御が効かなくなり、さらに三度目の絶頂で既にタガが外れていた。四度目の絶頂が先ほどより遥かに早く、彼女の身体に迫る。これ以上イッてしまったらどうなるか……不安はあった。しかし……
「う、あ……気持ひ良くて……とまんないよぉお!」
 不安とは裏腹に身体は快感に正直だ。イリカは腰を振るのを自力で止めることができなかった。そして触手と自らの動きにまたアクメに達してしまう。
 ピクシーの絶叫と共に、ぷしゃっと破裂音が触手植物の花の中で響いた。イリカのクレヴァスから愛液が間欠泉のようにほとばしったのだ。撒き散らされたピクシーの婬汁をフェアリー・ハグは吸収していく。
 その間も股間に這わされた触手はせっせと前後に動いて獲物の股間を攻めていた。イリカの目が驚愕に見開かれる。
「いっ!? あ、んぁあああ!? い、今はダメっ……! イッたばかりだから感じ過ぎ……ィイううううう!」
 だがイリカの叫びなどどこ吹く風、フェアリー・ハグは獲物を嬲るのを止めない。快感の山の頂点から降りてこようとした身体は再び頂点へと煽られ、追い上げられる。数秒もかからなかった。
「ダメぇ、またイク……イッちゃうぅううう!」
 そう叫ぶと同時にイリカは雷に撃たれたかのように身体を反らせた。そのまま、陸上に打ち上げられた魚のようにばたばたと、身体と翅を暴れさせる。五度目のオーガズムだ。
 しかし、絶頂で暴れまわっている身体に、まるで衣服のように触手はぴたりと股間について離れない。それでいながら前後に滑って性器を愛撫し続けている。人間でも魔物娘でもない、人外ならではの攻めであった。
 今まではされなかった、エクスタシーの最中の愛撫という容赦のない攻めにイリカは獣のように吠え声のような嬌声をあげる。
「ほあっ、あぐあ……らめっ! やめ……やめてぇえ! イッてる! イッてるからぁああ! うお、あ、おあああああ!」
 絶頂に次ぐ絶頂。またイク。すぐにイク。さらにまたイク。もはや何度イッたか分からない。フェアリー・ハグによってピクシーはイキ狂いの渦に放りこまれていた。その渦に身体と心がもみくちゃにされる。
 アクメ地獄に陥っている獲物に、とうとうフェアリー・ハグは総攻撃に出る。まずは、最初に彼女を絶頂に導いた胸への愛撫だ。乳首を吸引し、さらにブラシのような突起で擦り立てる。下半身への愛撫に夢中になっていたイリカにとって、忘れていた胸からの刺激は不意打ちであった。
「やっ!? またおっぱいを……うあ、ああっ! んがぁああああ!」
 胸への愛撫が再開されてわずか一秒。その一秒の愛撫でイリカは達してしまう。身体が戦慄く。だが胸に吸い付いて攻め立てている触手も、獲物が絶頂の最中だというのに愛撫を止めなかった。
「ひぉおおおっ!? そんな……おっぱいもおまんこもおしりも……灼ける! とけちゃうよぉおおああああっ!」
 言葉がエクスタシーの嬌声で遮られる。
 胸以外の愛撫も再開された。四肢に絡みついていた触手も、背中や腹や尻を這っていた触手も、顔や頭に優しく添えられていた触手も、一斉に甘くうねってピクシーの身体を愛撫する。
 それらの普通であれば撫でられてちょっと身体が竦んだり、官能の火がこれからの行為のために静かに燃え上がり始めるだけだ。だが今、イリカは度重なる絶頂と媚薬漬けの影響で、全身が性器になったかのような感覚だった。
 そして総攻撃が始まった。フェアリー・ハグはその名の通り、抱きしめるかのように触手で獲物のピクシーの身体を包み、激しく愛撫した。
「おっほぉおお!? おぁっ! あぁあああああ! イクっ! またイクッ! んおぉぉおあああああ!」
 逃げ場のない快感にイリカは悶える。頭の中は打ち上げ花火が炸裂し、暴発しているかのようだ。その爆発に合わせるかのように身体が痙攣した。
「た、たしゅけて……きもひよすぎて……あへぇ、あっ、また……イッちゃう……ああああっ!」
 股間の触手の動きは激しく、フェアリー・ハグの粘液とピクシーの秘花からの蜜が交じり合い、泡立つほどであった。全身愛撫とその刺激によってピクシーは昇天し、そして花に包まれたまま意識を失った。



 全てが橙に染まる夕時……森の道をハニービーの二人組が進んでいた。二人は姉妹だ。長い髪の毛でグラマラスな体つきをしていて柔らかな印象があるのが姉のポミエ、ショートヘアーでスレンダーな身体つきをしていて姉と比べると鋭さが伺えるのが妹のリラだ。
 二人の腰にはたくさんの植物の蜜やアルラウネの蜜が入ったツボがぶら下がっている。背中の翅を羽ばたかせながら二人は帰り道を急いでいた。
「あら? 何かしら、この匂い……リラ、ちょっと一緒に来てもらえる?」
「姉さん? どうした?」
 急に脇道に逸れた姉を妹が追う。100ヤードほど進んだところでポミエは進むのを止めた。
「あらあらぁ、これは……」
「これは、フェアリー・ハグか……」
 二人は頬をくっつけながら一つの物を見る。ポミエの言うとおり、それはフェアリー・ハグだ。しかし、ただのフェアリー・ハグではない。普通のフェアリー・ハグは花を閉じて蕾の状態で獲物であるフェアリーらを待っている。だがそのフェアリー・ハグは開花していた。それだけではない。
「あ、あへぇ……」
 花の中心でピクシーが一人、ぐったりと粘液まみれの身体を弛緩させていた。顔もだらしなく緩んでおり、頭が快感でいっぱいになっていることを伺わせる。開かれている脚の間にはピクシーの秘花が咲いており、そこから彼女の蜜が溢れて出ていた。言うまでもなく、このピクシーはイリカだ。
「咲いているフェアリー・ハグを見つけるとか、ラッキーだわぁ♪」
「このピクシーは災難だったようだが……いや、気持ちよさそうだからいいのか?」
「ふわぁ〜……」
 二人のハニービーの会話を、脳内まで桃色に染まっているピクシーは聞いていない。
 ちなみにこの状態の獲物の前に男が現われ、囚われの魔物娘が官能の炎に突き動かされるがままに交わりの誘いをしている状態を「実が成っている」と言う。あとは目の前の男にフェアリー・ハグの果実という魔物娘を収穫してもらうのを待つばかりと言うわけだ。
 男としては魔物娘を娶ることができる、超小型種の魔物娘は男を得ることができる……両者にとってこの上なく都合のいいことだ。では、現れたのが男ではなく、別の魔物娘である場合は何もないのか。そんなことはない。もし何もないのであれば、ポミエは「ラッキー」とは言わないだろう。
「私が採取する。姉さんはこの子を……」
「はいは〜い、任せておいてぇ……おおよしよし。気持ち良くしてもらって良かったねぇ」
 フェアリー・ハグから引き離されたイリカはポミエの手に抱かれ、あやされる。その間にリラが指を使い、フェアリー・ハグの花弁の内側をこそいで粘液を採取し、開いている小瓶に入れた。粘液は砂金が混じっているかのようにキラキラと光っている。その光の正体は……ピクシーの翅の鱗粉だ。
 フェアリー・ハグが、フェアリーやピクシーを襲った後は、その魔物娘の鱗粉が花弁の中に大量に付着しているのだ。これらは広義に"フェアリー・パウダー"と呼ばれており、魔法薬の材料やルーンの染料になる。また、この粉を男性が被ったら、妖精系を始め幼い姿の魔物娘に好かれるという効果もある。それゆえ、フェアリー・パウダーは魔物たちの間でかなり高値で取引されているのだ。
 なお、ひとくくりにフェアリー・パウダーとは言われているが、細かく言えば今二人が採取しているのはピクシーの鱗粉であるので、ピクシー・パウダーとなる。
「ふんふんふ〜ん♪ これを人食い箱さんに売ればいくらになるかしらぁ?」
「結構な量だから……丁寧に粘液を洗って乾かせば……小金貨三枚は堅いかもね」
 小金貨三枚となると日雇い労働二日分ほどのお金だ。小さくはない。思わぬ収入にリラは涼しげな顔をしていながらも目はどこか嬉しそうな光があった。ポミエもニコニコと笑っている。そして彼女に抱かれながらピクシーのイリカはまだぐったりとしながら、快感の余韻に浸っているのだった。


二日後……


「ふんふんふ〜ん♪ 今日もいい天気だなぁ♪」
 ぽかぽか陽気がそろそろ陰る昼下がり。鼻歌を歌いながら森の中を行くピクシーがいた。イリカだ。
 あの日、フェアリー・ハグの陵辱から保護されたイリカはポミエとリラによってハニービーの巣に連れられた。許されるものならいつまでも男と繋がっていたがる魔物娘だが、さすがに触手の陵辱は体力的に厳しい物があったらしい。イリカはハニービーの巣にて一晩、ぐっすりと眠った。昨日の昼に起き、ポミエやリラを始めとするハニービーたちに世話になった礼を言って、自分の住処に戻っていった。そして今日に至る。
 さて、二日前と同じ道を進んでいたイリカであったが、あの日とは違うことがある。それは……
「ねーねー、イリカ。本当なの?」
「イリカぁ、まだつかないのぉ?」
「はぅう……私、疲れちゃいました……」
 イリカの後ろにピクシー、フェアリー、リャナンシーがいた。皆イリカの友だちだ。
「もうちょっとだよ。ほら、ここを曲がって……」
 二日前にも嗅いだ甘い匂い……蜂蜜のような、クリームのような、あるいは果物のような……例えようもない、甘くて美味しそうな匂い……その匂いがしたところでイリカは今まで進んでいた森の道から外れ、脇道に当たった。イリカの友だちがひらひらと翅を羽ばたかせながら彼女に続く。
 ほどなくして一行はある所に辿り着いた。そこにはイリカたちの身体よりも大きくて、パンジーのような紫色の花の蕾があった。先日のフェアリー・ハグだ。
「何これ、いい匂い〜♪」
「わ〜、美味しそう〜♪」
「こ、これが私たちを気持ち良くしてくれるんですか?」
 イリカから話は聞いていたが見るのは初めてだ。ピクシーとフェアリーとリャナンシーは興味深そうにフェアリー・ハグを見る。
「そうだよ〜、見ててね〜♪ 服は汚れちゃうから……よいしょっとぉ!」
 ためらいもなくイリカは着ていたワンピースを脱ぎ捨て、全裸になる。そして触手植物の蕾の前にその無防備な裸身を晒した。
 あの日、気を失うまでフェアリー・ハグの触手によって蹂躙されたイリカだったが、悪い気はしなかった。むしろその快感の虜になっていた。そのため、またこうして同じフェアリー・ハグの元を訪れたのだ。また、ここで淫らな姿を晒していれば、男に見つかった時に彼を魅了できる。一石二鳥だ。
 だがこの快感を独り占めするのはもったいない。気持ちいいことが大好きなのは魔物娘共通だ。イリカに限ったことではない。そこでイリカは友だちの妖精たちにこのフェアリー・ハグのことを教え、連れてきたのであった。
ぐぱぁ……
 淫らな触手植物の花が開き、自ら身を捧げている獲物を捕らえ、引き込む。リャナンシーがハッと息を飲むが、当のイリカは涼しい顔だ。いや、涼しいと言う表現は正しくないかもしれない。その顔は先日味わわされた快楽を思い返したことで、またその快感を味わえるという期待にとろけていた。
 リピーターとなった獲物の期待に答えんとばかりに、さっそく触手が粘液を滴らせながらイリカの身体に絡みつく。イリカもまた、自ら積極的に甘い粘液を舐め、官能の炎を燃やし始めた。身体が火照り、早くも熱い吐息が彼女の口を突いて出る。
 ふと、六つの瞳が自分を見ているのを感じて、イリカは笑ってみせる。幼い姿をしているピクシーであるが、その笑みは淫らなことを楽しむ妖艶さがあった。
「んあっ♥ ほら、見て……すごく……ふぅん♥ 気持ちいいわ……♥」
 イリカの様子と声に、彼女を観察していた三人の妖精は足をもじもじとさせる。

 その日、四つの嬌声が森の中で代わる代わる響いたのであった。
14/03/16 20:09更新 / 沈黙の天使

■作者メッセージ
「姉さん、見て……またあのピクシーだ」
「あらぁ、しかもお友だちまでいるじゃな〜い♪ いい副業見つけたわ〜♪」



というわけで、触手やスライム姦が好きな割にテンタクルSSを書いていない沈黙の天使です。
この通り、フェアリー・ハグで触手陵辱SS書いたので、何卒ご容赦を……え? 容赦も何も最近は他にクオリティが高い人がたくさんいるから沈黙の天使なんかいらないって? まあまあそう言わずに♪
何? フェアリー・ハグなのになんでピクシーかって? そこは沈黙の天使仕様でございますw
ちなみにクロスさんに伺ったところ、フェアリーの鱗粉、ピクシーの鱗粉、リャナンシーの鱗粉はそれぞれちょっと効果が違うようです。どう違うのかまでは聞けませんでしたが。

さて、外でも欲望の赴くままにSSを書いているのでここの投稿頻度は少なめになりますが、見捨てたりせずに何卒よろしくお願いします。
次こそはマキナ様へのアンサーSSを書きたいな……

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