連載小説
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10:八百長試合[オーガ]
火事場の馬鹿力ってやつは、本当に存在したんだ。

フェンスを凄まじい速度で登りながら、拓実は思っていた。

普段なら恐怖を覚えるであろう高さから飛び降り、したこともない受け身を取り、素早く駆け出す。

ギリリ

パシン

パシ、パシ、パシ

背後で鉄製のフェンスが引き裂かれる音がする。

拓実は振り向きもせず、空き地を駆け抜けた。


パシ、パシ、グシャリ

「絶っっ対、捕まえるかんね...」




***


とあるメッセージ記録


  『妻にロリ物のエロ本が見つかったヤバい』

『なんでそんなの持ってるんですか』

『死んだな』

『ドンマイッス』

  『今逃げてる』

『無駄ッスよ』

『有給付けとくわ、課長も貧血らしいし』

  『そんな殺生な』


***


なんとか振り切った拓実は、ビジネスホテルに滑り込んだ。

受付のサキュバスが苦笑していたが、特に意味はないと願いたい。

11階の、1015室。

彼はエレベーターに乗り込むと、ほっと一息ついた。


***


  『なんとか逃げ切った』

『それで、明日以降どうするんです?』

  『ホトボリがさめるのを待つ...?』

『今どこなんです?』

  『とりあえずホテルに逃げ込んだ』

『あっ...』

『おい加藤のトラウマ再発したじゃねーか』

  『えっホテルは悪手だった?』

『まぁ...そのうち分かるッス...』

  『まってなにそれこわい』


***


"セキュリティ万全"

そんなホテルだった。

扉は厚みがあり、二重ロック。気密性もバッチリ。

窓は防弾ガラスを使っているらしい。

正直なところ、このホテルには似つかわしくない。

しかし、客寄せの話題として取り入れたのだろう。

ベッドで震える拓実は、神に感謝した。




ガタリ




外を見た拓実は、神を呪った。


「たぁ...くぅ...みぃ...くぅん?」


彼女は窓の外からこちらを覗いていた。

11階なのに。

その目は虚ろで、何も映し出していない。


ガタン

ガタ ガタ


窓が普段鳴らさないような音をたて始める。


「ちょっと、お話、しようかぁ...」


ガタン!


窓枠そのものが引っこ抜かれる。

所詮、話題作りの"セキュリティ"。

『窓枠そのものを引き抜かれる』など、想定の範囲外でしかなかった。


とん


絨毯に降り立つ、透き通るような緑の脚。


嗚呼。


『良い子だから、ね...?』


明日は有給だろうな。


***


「あっくっ...フィオ...っもう...っ」

「ほら、ほら、もう出すなんて言わないよねぇ?...拓実君は、ちっちゃいおっぱいが好きだもんねぇ?」

拓実のペニスを、新緑の双峰が容赦なく飲み込み、刺激する。

腰を逃がそうにも、彼女の力の前には無力に等しい。

がっちりと、固定されていた。


「私のおっぱいなんかじゃ、イけないよねぇ?だって、こーんなおっきなおっぱいなんて、拓実君にとっては勝負にもならないんだしぃ?」

不定期に脈打ち始めたペニスを感じとると、刺激をやめる。

そして熱が引き始めたところで、動きを再開する。

もうかれこれ一時間はずっとこの調子だ。


「し、勝負は敗けだよ!敗けだから!ごめんなさい!もう、許して...!」

「んんー?拓実くんは強いねー?わたしみたいな年増のおっぱいじゃ、物足りないのかなー?」

絶対わざとだ。

どんなに懇願しても、最後までシてくれない。

普段の彼女は、それこそ激しく求めて来て、「イったら敗け」と言いつつ、勝てた試しがないぐらい、搾り取ってくるのに。

「ほーら、私のじゃイけないよーって、おちんちんも泣いてるよぉ」

彼女の胸の中で、粗相でもしたのかのような量のカウパーが粘っこい水溜まりを作っている。


「じゃあ、こっちなら、私でも勝てるかなー?」

彼女は手で拓実の腰を抑え、自身のナカにペニスを飲み込んだ。


入れ方がいやらしい。

少しずつ、少しずつ。

既に限界スレスレの状態のペニスに、限界を超える刺激は与えない。

拓実が腰を動かそうにも、彼女の腰を抑える力が強すぎてどうにも出来ない。


根本までズッポリと入って尚、拓実は解放されない快楽に悶え苦しんでいた。


「あーあ。私の熟したおまんこじゃ、拓実君を満足させてあげられないのね」

反対だ。

普段から何度も絞り取ってくるそこの、その気持ちよさを、拓実は嫌というほど知っている。

腰を動かそうとするたび、彼女の抑える手の力が強まる。


「も、もう、ずっと、敗けてるか...ら...っああ!?」

ナカがきゅうっと締まる。

それは普段の激しい"勝負"の中では経験したことのないような、強烈な締まりだった。

「あっあああ!出るっ出るぅ!!......ぐあ!?なん、で!?」

「ほら出ない。拓実君は、もっと柔らかい、ロリまんこの方がいいんだぁ...」


露骨に残念そうな顔をしているが、彼女の仕業だ。

オーガの強靭な肉体は、彼女のナカでも健在だ。

まさか、締め付けで精液を出ないように出来る程とは、思っていなかったが。


「あああっ!う゛あああっ!!だ、出せないっ!苦じいっ!!」

「私が負ける時が来るなんて...無念だよぉ」

タン、タン、タン

彼女は締め付けをそのままに、情け容赦ないピストンを繰り返す。

締め付けられる位置がスライドするたび、強烈な扱きによる痛みに近い快楽が襲い、

精液が込み上げては押し戻され、を繰り返す。


「あ......が......っ!」

「敗けないね〜、強いね〜、拓実くん...私なんかじゃ、満足できないよねぇ?」


もう、拓実はマトモな思考すらままならなかった。

チカチカと、頭の中が明滅していた。


「も......なんでも...いいから...敗けで...いいから......」


ずい、と、彼女は顔を寄せてきた。


「なんでも良いわけ、ないよねぇ?」


吸い込まれそうな瞳に、悲哀に満ちた自分の顔が見えた。


「フ、フィオが...一番だから...!」

「いいの?もう、私以外の身体に欲情したりしない?本とか買わない?私だけ見て、私に負け続けてくれる?」

「やくそくするから...!」

「うーん、イマイチ信用できないなぁ?」

「そ、そんな...!!」



正直、彼女の方が我慢できなくなると、甘い考えを抱いていた。



拓実は絶望の表情を浮かべる。

「私の身体をしっかり覚えるまで、もうちょっと、"強い拓実君"で居てもらうね...?」




それから更に一時間。

「...っ!...っ!!」

「あはは!もういくつ限界を越えたんだろうねー?」

ひたすら、射精出来ない苦しみを味わった拓実は、目は虚ろ、涎は垂れ流し、体は腰以外常にピクピクと痙攣する有り様だった。

「ねーえ?拓実君。もう、私以外見えなくなった?」

拓実は声も出せず、ただただ頷いた。

「んふふ、そっかそっかぁ。...じゃあ、他の女の子じゃ出来ないような敗け方、しちゃおうねー?」


ぐにゅり

ナカが一気に柔らかくなった。


ビシュッ


極限まで圧縮されていた精液が、勢い良く飛び出す。

ドバっと、鈴口を限界まで拡げながら、彼女のナカにぶちまける。

ゴポリ、ゴポリと、一回毎にとんでもない量の精液を吐き出しながら、全身の筋肉を収縮させる拓実。


「あはぁ、負けちゃったね〜♥️...でも、今までちっちゃい子に欲情した分も、ぜーんぶ、出しちゃおう、ねぇ!」

ブチュン!

「......!?...!?!?」

今更、普段のような激しいピストンを始める妻に、声を上げることも出来ない。

ビシャリ

衰えかけていた射精感が、休む間もなく襲いかかってくる。

「ぜんぶ、ぜーんぶ。あんな弱っちそうな娘なんかに渡す精液なんて、ないんだよ?そうだよね?拓実君♥️」

拓実は、やっと、彼女の瞳に光が宿ったように見えた。



それが、欲情に満ちた桃色の光だと知って、絶望する余裕もなかった。



彼女にとって、勝負はまだ始まったばかりだった。
19/03/13 14:05更新 / スコッチ
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■作者メッセージ

「ホテルは駄目だって...」
「ホテルぅ...?誰と行ったのぉ...?むにゅ」
「ヒッ いや、そういう訳じゃなくて」
「...今夜もいっぱい、マーキングしなきゃだねぇ♪」
「夢の妄想で嫉妬しないでくれよ!?」


***


ご希望:名無し様
物理を活かす、というのは、私には中々難しい事が判明いたしました。

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