叛逆
長い時間の口付け。そしてそれを包む静寂。
触手の森には、僕とレンディスの荒い息と、くちゅくちゅと舌を交える水音だけが響く。
時を止め、二人きりで永遠に味わっていたいと思える時間。しかし、そんな時間もいつかは終わってしまう。だから、今この瞬間に全てを注ぐ。
背に伝わる振動、すなわち、誰かの足音。遠くから響くそれがいずれ僕とレンディスだけの時間を終わらせると知っていてもなお、僕はレンディスと舌を交え、快楽を享受する。
なぜなら、今僕にできることはそれしかないからだ。
「んむ……♥ちゅっ♥れろっ……♥」
幸せそうに目を瞑り、レンディスが更に舌を絡めてくる。歯茎の裏を舐めるように激しく、僕もそれに応じる。
そして、また呼吸さえ忘れるような長い時間が始まる。
舌同士を絡ませ、舐り合い、お互いの唾液で相手の口を侵していく。
そこにあるのは、相手を自分のものにしたい、という、純粋な所有欲。
レンディスは僕を宝として求め、僕は性欲のアテとして、レンディスという女を求めている。
きっと僕がレンディスを求めているのはレンディスの魔力によるものなのだろう。でも、そう知っていたとしても、きっと僕は魔力の効果が切れた後もレンディスを求めてしまう。
そう思えるほどに、レンディスは美しいのだ。
態度が悪く素行不良なヤンキー生徒。学園の人たちはレンディスのことをそういうけれど、僕はレンディスの美しさを知っている。
その「美しさ」はなにも外見の事だけを言っているのではない。
廊下で初めて会った時、演習の前に会った時。
黄金色の双眸の奥にある彼女を僕だけが見た。だから、僕だけが胸を張って言える。
レンディスは美しい。
その姿も生き方も、髪から爪の先まですべて。
明確な根拠はない。なにせこれはすべて僕の感覚に基づくことだからだ。
だが、言葉にはできないけれど、レンディスの纏う雰囲気、言葉、そして容姿や彼女という存在のすべてに当てはまる言葉が「美しい」という言葉だった。それだけだ。
そして、今僕はそんな美しいレンディスに求められ、交わろうとしている。
舌を交え、愛撫することが終わればきっと僕とレンディスは一つになって嬌声と淫らな水音を愛とともに響かせ合うだろう。
こんなに嬉しいことはない。けれど、もうそんなことをする時間は残っていないようだった。
「…………? どうした? 我が宝よ。もっと求め合おう。それとも所有物の癖に主人には向かうのか?」
口付けをやめ、レンディスは不思議そうに僕の顔を覗き込む。
レンディスは気付いていない。だから、僕は知らせなければいけなかった。
「向こうに、誰かいる」
指を差した方向は僕とレンディスが来た方向。レンディスと一緒に振り向くと、そこには二本の足で立つ火を纏う少女が一人。
レクシア・エイリーンだ。
レクシアの尾から滾る炎は彼女の背丈を超え、触手の森を全て焼き尽くさんとばかりに轟轟と燃え盛る。
先ほどまで響いていた足音がしない。つまり、レクシアが足音の主だったのだろうか。
「なんだ、レクシアか」
レンディスはそう言って、また僕と唇を重ねる。
その時だった。
「レンディス、アンタ今お前コイツに何した?」
静かにレクシアが口を開き、レンディスを問い詰める。
その口調は淡々と機械のように紡がれた。しかし、その言葉の奥にあるレクシアの感情に、誰もが気付いていただろう。
「レンディス、アンタは神聖な戦いを魔物の情欲で冒涜した。違う?」
レクシアの問いに、レンディスはしばらく何も答えなかった。
ただただレンディスはレクシアを睨みつけ、拳を握りしめた。
「だったら……どうするんだ。レクシア?」
沈黙の中でレンディスが口を開く。小さくつぶやくような声だったが、レクシアが聞き逃すはずがない。そう思えるようなレンディスの静かな威圧。
僕やメリーアを脅した時のようなものとは違う。
明確な敵意が込められた威圧。
しかし、それに屈さず、レクシアは叫ぶ。
「なら! アタシは騎士だった曾祖母のために! 闘いを冒涜するアンタをここで倒すッッ!!!!!」
触手の森には、僕とレンディスの荒い息と、くちゅくちゅと舌を交える水音だけが響く。
時を止め、二人きりで永遠に味わっていたいと思える時間。しかし、そんな時間もいつかは終わってしまう。だから、今この瞬間に全てを注ぐ。
背に伝わる振動、すなわち、誰かの足音。遠くから響くそれがいずれ僕とレンディスだけの時間を終わらせると知っていてもなお、僕はレンディスと舌を交え、快楽を享受する。
なぜなら、今僕にできることはそれしかないからだ。
「んむ……♥ちゅっ♥れろっ……♥」
幸せそうに目を瞑り、レンディスが更に舌を絡めてくる。歯茎の裏を舐めるように激しく、僕もそれに応じる。
そして、また呼吸さえ忘れるような長い時間が始まる。
舌同士を絡ませ、舐り合い、お互いの唾液で相手の口を侵していく。
そこにあるのは、相手を自分のものにしたい、という、純粋な所有欲。
レンディスは僕を宝として求め、僕は性欲のアテとして、レンディスという女を求めている。
きっと僕がレンディスを求めているのはレンディスの魔力によるものなのだろう。でも、そう知っていたとしても、きっと僕は魔力の効果が切れた後もレンディスを求めてしまう。
そう思えるほどに、レンディスは美しいのだ。
態度が悪く素行不良なヤンキー生徒。学園の人たちはレンディスのことをそういうけれど、僕はレンディスの美しさを知っている。
その「美しさ」はなにも外見の事だけを言っているのではない。
廊下で初めて会った時、演習の前に会った時。
黄金色の双眸の奥にある彼女を僕だけが見た。だから、僕だけが胸を張って言える。
レンディスは美しい。
その姿も生き方も、髪から爪の先まですべて。
明確な根拠はない。なにせこれはすべて僕の感覚に基づくことだからだ。
だが、言葉にはできないけれど、レンディスの纏う雰囲気、言葉、そして容姿や彼女という存在のすべてに当てはまる言葉が「美しい」という言葉だった。それだけだ。
そして、今僕はそんな美しいレンディスに求められ、交わろうとしている。
舌を交え、愛撫することが終わればきっと僕とレンディスは一つになって嬌声と淫らな水音を愛とともに響かせ合うだろう。
こんなに嬉しいことはない。けれど、もうそんなことをする時間は残っていないようだった。
「…………? どうした? 我が宝よ。もっと求め合おう。それとも所有物の癖に主人には向かうのか?」
口付けをやめ、レンディスは不思議そうに僕の顔を覗き込む。
レンディスは気付いていない。だから、僕は知らせなければいけなかった。
「向こうに、誰かいる」
指を差した方向は僕とレンディスが来た方向。レンディスと一緒に振り向くと、そこには二本の足で立つ火を纏う少女が一人。
レクシア・エイリーンだ。
レクシアの尾から滾る炎は彼女の背丈を超え、触手の森を全て焼き尽くさんとばかりに轟轟と燃え盛る。
先ほどまで響いていた足音がしない。つまり、レクシアが足音の主だったのだろうか。
「なんだ、レクシアか」
レンディスはそう言って、また僕と唇を重ねる。
その時だった。
「レンディス、アンタ今お前コイツに何した?」
静かにレクシアが口を開き、レンディスを問い詰める。
その口調は淡々と機械のように紡がれた。しかし、その言葉の奥にあるレクシアの感情に、誰もが気付いていただろう。
「レンディス、アンタは神聖な戦いを魔物の情欲で冒涜した。違う?」
レクシアの問いに、レンディスはしばらく何も答えなかった。
ただただレンディスはレクシアを睨みつけ、拳を握りしめた。
「だったら……どうするんだ。レクシア?」
沈黙の中でレンディスが口を開く。小さくつぶやくような声だったが、レクシアが聞き逃すはずがない。そう思えるようなレンディスの静かな威圧。
僕やメリーアを脅した時のようなものとは違う。
明確な敵意が込められた威圧。
しかし、それに屈さず、レクシアは叫ぶ。
「なら! アタシは騎士だった曾祖母のために! 闘いを冒涜するアンタをここで倒すッッ!!!!!」
18/12/22 03:41更新 / (処女廚)
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