読切小説
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旧種魔物使いのとある夜
魔王の交代により魔物が姿を変え、人と魔物の戦い方は様変わりした。
とは言うものの、人間同士の争いに大きな変化はなかった。
今日も辺境の国同士がぶつかり合いで、一方がもう一方の都市を攻め落とした。
そして俺は攻め落とされた都市の端っこで、お供を引き連れて見回りをしていた。
俺の側にいるのはサイクロプスだ。
だが、魔王の交代により姿を変えた、可愛らしいサイクロプスではない。
見上げるほどの巨躯を備えた、魔王の交代以前の旧種のサイクロプスだ。
その首には金属製の首輪が巻きついており、首輪に繋がれた鎖が俺の手に伸びている。
詳しい理屈は知らないが、コイツは何でも古いサイクロプスの骨から再生した、一種のゾンビらしい。
そしてその技術により生まれた無数の旧種オークや旧種サイクロプスが、わが国は快進撃をもたらしている、というわけだ。
だが、いくら賞賛されたところで、コイツの口から漂う胸の悪くなるような臭いが消えるわけではない。
俺は臭いを堪えながら、お供を引きつれつつ廃墟の間を歩いていた。
「ぅが・・・」
不意に、旧種サイクロプスが喉が潰れたような低い声を漏らし、足を止めた。
「どうした?」
「が ぅが」
旧種サイクロプスは白い濁りがかかった目玉で廃墟の一つを見据えながら、声を上げた。
どうやら壁にあいた穴の向こうに、何かいるらしい。
俺は旧種サイクロプスを引きつれて穴に歩み寄り、中を覗いてみた。
「ひっ・・・」
闇の中にうずくまる人影が目に入ると同時に、小さな声が俺の耳に届く。
どうやら生き残りのようだが、ここは今日攻め落とされた都市だ。別に生き残りなど珍しくもない。
だが問題なのは、俺に向けられる恐怖の宿った瞳が、一つしかないということだった。
「お前・・・サイクロプスか・・・」
建物に開いた穴から差し込む月光の中、青みがかった肌に包まれた単眼の少女が、俺から少しでも距離を取ろうとするかのように後ずさり、壁に背中を押し付けていた。
「なんでこんなところに・・・」
サイクロプスの住処は山のはず、と自問するが、すぐに俺は答えに行き着いた。
この都市には、兵士達のための武器を打っていた大きな鍛冶場があった。
恐らくコイツは、武器を打つために山奥から連れ出されたのだろう。
そしてこの辺りが戦火に包まれた際、足を怪我して逃げ遅れた、といったところだろう。
最近は国同士の取り決めのせいで、戦場で軍関係者以外に手を出すと罰せられる。
だが、敵国軍の鍛冶場で働いていた彼女なら、問題は無いだろう。
「へへへ、丁度いい・・・おい、捕まえろ」
俺は下卑た笑みを浮かべると、お供の旧種サイクロプスに短く命じた。
ヤツは難なく廃墟の壁を引き裂くと、サイクロプスの少女に腕を伸ばした。
「ひ・・・!」
恐怖のためか、彼女は身を縮こまらせ、ろくな抵抗もせず捕らえられた。
「よしよし、いいコだ・・・」
声も上げないサイクロプスの少女に、俺は笑みを浮かべた。
繰り返しになるが、戦場といえども軍関係者以外に手を出すと、後々罰せられる。
その代わり、基地には常に兵士達の世話係の女が居て、俺たちの相手をしてくれるのだ。
ただ、ろくにその恩恵を受けられない連中も居る。
新入りの兵士だとか、捕虜だとか、俺のお供のような旧種の魔物がそうだ。
旧種の魔物もゾンビのようなものとは言え、いっちょ前に性欲があるのだ。
一応旧種の魔物にも世話係の女は宛がわれているが、ごく少ない人数しか居ない。
そのため彼女らの多くは過労か、全身を使っての世話中に死んでしまうことが多い。
軍関係者の、魔物の女ならばコイツらの世話係に丁度いいだろう。
「よーし、一旦戻るぞ」
俺は鎖を引き、旧種サイクロプスと共に道を戻ろうとした。
だがヤツは俺の命令に従わず、その場に立ち尽くしたままだった。
その理由は、振り返ると同時に分かった。
ヤツが腰に巻きつけた布の下から、それはそれは立派なものがそそり立っていたからだ。
そういえば思い返してみればコイツの世話係の女は、数日前に別の旧種サイクロプスに無理矢理ぶち込まれて死んだんだったな。
「戻るまで我慢できないか?」
「ぅが」
溜まっているところに同族のメスが現れたのだ。我慢できるわけがない。
俺は駄目もとでの問いへの返答に苦笑いを浮かべると、短く命じた。
「分かった分かった・・・いいぞ」
旧種サイクロプスは、手の中のサイクロプスの少女を両脚を広げるように握りなおした。
彼女も手足を縮こまらせてはいたが、旧種の力には叶わなかったようだ。
「ひ・・・!や、やだ・・・やだ・・・!」
彼女がヤツの屹立を目にするや否や、声を上げて暴れ始める。
太さも長さも俺の太腿ほどはあろうかという逸物の上、張り出したカリ首の下には黄緑がかったカスが大量にこびりついているのだ。無理もない。
「やぁ!やだぁ!!」
必死に逃れようとする彼女をものともせず、旧種サイクロプスは亀頭の先端を彼女の両足の付け根に当てた。
そこでヤツは動きを止めると、許可を求めるように俺に濁った目玉を向けてきた。
人間の世話係が、ヤツのそれにほぼ抱きつくようにしながら扱いていたのを見たことがある。
だが、彼女にそんな技術があるとは思えず、ヤツも彼女で扱くぐらいで満足するとは思えない。
まあ、サイクロプス同士だし問題は無いだろう。
そう判断すると、俺はヤツに許可を出した。
「よし」
サイクロプスの少女の身体が、一気に下がった。
「っぎぃぃぃっ!?」
踏み潰された蛙の鳴き声のような声が、彼女の喉から響いた。
やはり同じ種族とはいえ、大きすぎたのだろうか。
サイクロプスの少女の腹は、衣服越しだというのにねじ込まれた逸物によって膨らんでいた。
「いだい・・・!いだいぃ・・・!」
大きな一つ目からボロボロと涙をこぼしながら、彼女が声を漏らす。
だが、旧種サイクロプスは構うことなく、彼女の身体を揺すり始めた。
サイクロプスの少女の身体を持ち上げて、張り出したカリ首が彼女の狭い膣壁を押し広げ、ゴリゴリと削りながら引き抜いていく。
そして亀頭が膣口に達すると、今度は子宮口に逸物を叩きつけるような勢いで押し込む。
「ぎぃっ!?いがっ!あがっ!」
旧種サイクロプスの肉棒の出入りにあわせ、濁った苦鳴が彼女の喉から漏れ出た。
大きすぎる逸物が、直に神経を焼くような痛みを彼女に与えているのだろう。
だが、ここ数日の禁欲生活のおかげか、彼女の苦痛もそう長くは続かなかった。
「ぅが、ぅが・・・!」
旧種サイクロプスの半開きになった口から、涎がだらだらと漏れ出し、呼吸が荒くなっていく。
そして、手の中の同族の少女に深々と逸物を付きこんだ瞬間、膣からはみ出たヤツの肉棒が大きく脈打った。
「あがっ・・・っかはぁぁぁあぁああああああ!!」
あっという間に限界を迎えたヤツの肉棒から迸った精液が、サイクロプスの少女の腹をぼこりと膨らませ、直後膣口と屹立の隙間から迸っていった。
地面に黄土色の固形物混じりの粘液が降り注ぎ、辺りに強烈な臭いを放つ。
「あづいぃぃぃ!あづいいいいい!!」
胎内に注ぎ込まれる精液から逃れようとするかのように、彼女は声を上げながら身体を揺すった。
だが、彼女の力では旧種サイクロプスの拘束から逃れることは叶わず、ただ胎内の肉棒に刺激を与え、注ぎ込まれる精液の量を増やすだけだった。
やがて、ヤツの射精が収まる頃には彼女は抵抗はおろか声を上げる気力すら失い、ぐったりと旧種の手に身を委ねていた。
「満足したか?帰るぞ」
「ぅが」
臨月というほどではないが、妊婦のように膨れたサイクロプスの少女を見ながらの俺の言葉に、ヤツはそう応えた。








基地に戻って、見回りの報告の後すぐに向かったのは、お供の待機所だった。
「あ、お帰りなさい」
「おう、サイクロプス様のご帰還だ」
待機所のテントの前で見張りをしている、顔見知りの兵士が俺に声をかける。
同時に、彼は俺のお供が握っている少女に気が付いた。
「その子は?捕虜ですか?」
「ああ、鍛冶場の辺りに居たサイクロプスだ。ここで働かせるように大尉殿から言われてる」
「なるほど、ではどうぞ」
見張りの兵士は一歩退くと、テントの入り口を開いた。
同時に、テントの中から熱気と臭気が溢れ出す。
「・・・・・・行くぞ」
深く息を吸うと、俺は手の中の鎖を引き、旧種サイクロプスと共にテントに入っていった。
テントの中にはいくつかのランプが掲げてあり、地面に打たれた杭に繋がれた旧種の魔物と、その世話をする女達の姿を照らしていた。
直立した豚といった様子の旧種オークに、筋骨逞しい巨躯を誇る牛頭の旧種ミノタウロス。
そして、今俺が連れている旧種サイクロプス。
「はぁはぁはぁ・・・」
「ぐぅぅぅ・・・うぐあぅ・・・!」
「いぎっ・・・いだ・・・い・・・っ・・・!」
女の嬌声と苦鳴、そして旧種魔物の唸りとうめき声が俺の耳に入ってくる。
俺はテントの中を軽く一瞥すると、旧種魔物たちの間を走り回っている小さな影に声をかけた。
「おい、そこの」
「あ、はい!」
彼女は何かの作業を中断すると、慌てた様子でこちらに走り寄ってきた。
「何の御用でしょうか?」
「新入りだ」
鎖を揺すり、旧種サイクロプスが掴んでいる少女を差し出させる。
彼女は、ぐったりとした少女の姿に一瞬顔を曇らせたが、大人しく受け取った。
「綺麗にしてやって仕事を教えとけ」
「はい・・・」
そう命じると俺は二人から視線を外し、今連れているお供の場所に向けて足を進め始めた。
鎖に繋がれた旧種魔物と、人間や魔物の女達の絡み合いが俺の左右を流れていく。
「はぁ・・・はぁ・・・あぐっ・・・!」
右側で、地面に四つんばいになったミノタウロスのメスが、旧種オークに後ろから突かれながら喘いでいた。
上体を支える両腕はぶるぶる震えており、今にも崩れ落ちそうだ。

ミノタウロスは体力に秀でていると聞くが、流石に昼も夜も旧種魔物の相手をするのは堪らないようだ。
体格が良く、連中の逸物を受け入れられるのが災いしたな。
一方ミノタウロスから通路を挟んだ向かいでは、サキュバスがその立派な胸で旧種オークの肉棒を挟み、乳房の間からはみ出した亀頭を舐めていた。
「ん・・・ぅぶ・・・ぅぇ・・・」
彼女は吐き気を堪えながら、カリ首は無論亀頭全体にこびりついた黄土色のカスに舌を埋め、その奥の粘膜を刺激する。
旧種オークはサキュバスのもたらす快感に、うめき声と共に臭う先走りを漏らしていた。
「うぇ・・・うぇぇ・・・」
カスと先走りの放つ臭いにえづきながらも、彼女は懸命に愛撫を続けている。
このままでは顔面に旧種オークの精液が浴びせかけられるのは必至だが、彼女は止めようとしない。
肉棒を無理矢理ねじ込まれ、胎内に注ぎ込まれるよりはましだからだろう。
噂によると、彼女は多数の兵士を相手が出来ると聞いて志願したらしいが、馬鹿には相応しい末路だ。

数歩進んで右を見れば、今度は地面に座り込んだ旧種ミノタウロスをゴブリンが相手をしていた。
彼女は胡坐をかいたミノタウロスの膝に座り、自身の胴ほどはある肉棒にしがみ付くようにして擦り上げている。
成体とはいえ女児のような体格では、無論旧種魔物の逸物を受け入れることは出来ないからだ。
先端から溢れだす先走りに塗れながら、彼女は両手両脚で肉棒を抱きしめ、薄い乳房の小さな突起を擦り付ける。
「ぅっ・・・ぅっ・・・!」
限界が近いのか、旧種ミノタウロスが小さくうめき声を漏らしながら身体を震わせ始めた。
ゴブリンは腕の中の脈打つ肉棒を更に強く抱きしめると、先走りを漏らす鈴口に唇を当て、吸った。
「ぅ・・・!ぅ・・・!・・・ぅおおおおっ!」
同時に、旧種ミノタウロスの身体がびくんと仰け反り、雄叫びめいた嬌声と共に精液が噴き出た。
「・・・!・・・・・・」
ゴブリンの口と亀頭の隙間から精液の大部分が迸るが、彼女は口中に注ぎ込まれる粘液を受け止め、嚥下していく。
そしてミノタウロスの射精の勢いが弱まり、完全に止まったところで、彼女は尿道に残った精液を吸い上げてから唇を離した。
「・・・・・・」
口の端や頬についた精液を拭うゴブリンの目は、どこも見ていなかった。

そして、俺はゴブリンとミノタウロスの向かいのスペースに入ると、手にしていた鎖を地面に打たれた杭に繋いだ。
普段ならば世話係の女がする仕事なのだが、コイツの担当が先日死んだばかりのため、俺がやっているのだ。
「座れ。今日も一日お疲れさん」
「ぅが」
俺が引き連れていた旧種サイクロプスが、応えるように声を漏らす。
俺はヤツが地面に腰を下ろすのを見届けることもなく、身を翻して通路を戻った。
そしてひしめく魔物たちの間を抜けてテントの出入り口をくぐると、夜空が俺を迎えた。
「・・・ふぅ・・・」
ひんやりとした清浄な夜の空気を肺一杯に取り込み、テントの中の臭いを追い払う。
旧種魔物を引き連れる任務についてから結構経つが、未だにあの臭いには慣れない。
それに、旧種魔物たちの相手をする女や魔物たちの声や表情も・・・
「・・・いかんな・・・」
どうやら俺は疲れているようだ。
捕獲した魔物たち相手に同情しそうになるなんて。
俺は軽く頭を振ると、宿舎の方に向けて歩き出した。

10/04/28 14:02更新 / 十二屋月蝕

■作者メッセージ
前回象に踏まれた偉大なる生物学者でしたが、入院中の出来事だけでは短すぎるので、今回はあらすじに出張してもらいました。
次回から、生物学者と助手のどたばた珍道中が始まるかも知れません。
どうか、あまり期待しないで下さい。
ですが、その前に本編を埋めなければなりません。
という訳で前にリクエストがあった話の続きを書いてみました。
頑張りました。
とても頑張りました。
でも慣れない事はあまりするなということが分かりました。
いつもの逆をやればいいだけなのに、結構難しいものです。
とりあえず次回は、今回の反省も踏まえていつも通りにやろうと思います。
十二屋でした。

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