読切小説
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師匠とお前とオレと弟子
「998!999!1000!」

それは元々龍神の住んでいた神社でのこと。木々の生える山の方へと足を進めて辿り着く森の中。とある大木の前で拳を突き出す少女が一人立っていた。千回目の拳を木の幹に叩き込むと肩を上下させながらオレこと黒崎ゆうたの方へと向き直る。

「師匠!終わりました」
「ん」

声に応じて向き直るとその先にいるのは一人の少女。オレよりも頭一つ以上小さな体に幼さの残った顔からして歳は中学生辺りだろう。ただし、ただの少女ではない。
真っ赤なチャイナドレスに桃色の髪の毛。そして何よりも目につくのは両手足についた燃え上る炎―――のような体毛だろう。

『火鼠』

それはこのジパングとは違う大陸からやってきた妖怪らしい。まるで燃え上る炎のような体毛を生やし、鼠の耳と尻尾を伸ばした小柄な少女。竹取物語でかぐや姫が出した条件のうち一つ、決して燃えない火鼠の皮衣と同じ性質を持つというが、その分感情も性格も炎の如く熱いだとか。
そんな火鼠の少女、シャンヤオ相手にオレは空手の基礎を叩き込んでいた。というのも原因は数か月前の事。同心の先輩がどこからか拾ってきたシャンヤオをオレに押し付けたからである。



『ジパングに強い者を探してきたらしいぞ。言うだけあって悪くない逸材だ。だがまだ少し荒い所もある。それに精神面はまだまだ年相応の子供だな。どうにかできるか?』
『いや、どうにかって……同じ妖怪同士ならカラス天狗の先輩の方がいいんじゃ?』
『私には振るう拳はないからな。それに荒い所があると言っただろう?大海を知らない蛙…いや、巣穴しか知らない鼠とでも言うところか。外敵の恐ろしさを全く知らん。ここらで少し、猫の怖さを叩き込んでやれ』
『猫って……』



とのことである。
確かにシャンヤオは元々素質は有ったし、何より十分強かった。故にか最初に会った時はふんぞり返っていたし、オレが戦えると知ったら何度も戦いを申し込んできた。



『聞いたぞ!お前戦えるんだってな!』
『お前て…年上の相手に対して礼儀がなってないぞ』
『礼儀なんて気にしたところで強くなるわけじゃない。それよりもお前、あたしと勝負しろ!』
『勝負勝負ってうるさい子供だな。口調も女の子らしくなくて汚いし。こっちはおやつの団子食べてるんだよ、少し静かにしてくれる?』
『おやつがなんだ!そんなもん食べなくたって戦えるだろうが!』
『…先輩、どうにかなりません?』
『諦めろ』
『そんなこと言わずにどうにか』
『諦めろ』
『…ちなみに先輩の食べてるそれオレの団子なんですが』
『諦めろ』
『……ああもう、まったく』



その後先輩を立会人にして戦ったのだがその実力はまだまだ世界の広さを知らない粋がる子供。大海を知らない蛙である。リーチの差をも考えず大技を繰り返し、当たれば気分がいいというだけの戦法。それはもう幼いというか、経験があまりにも少なすぎていた。

「次は何をしますか?組手ですか!相対稽古ですか!?対人稽古ですか!?」

そんな少女でも数か月すれば大分丸くなった方だろう。依然として勝負ごとに積極的な面は変わらないのだが。

「全部同じじゃん。それに今日はいくつか型やって休む日だろ。あんまり稽古稽古やって無理してたら体壊すぞ」
「え〜…」
「嫌そうな顔すんな。返事」
「…はい、師匠!」
「…」

今までオレは師匠、シャンヤオは弟子という立場。そんな関係となったおかげか以前に比べその性格も大分柔らかなものとなっていた。
だが師匠と呼ばれるのは未だにくすぐったい。正直なところオレの実力もオレの師匠からしたらまだまだ未熟者。人に教えるなんておこがましい。それに、悪いものでもないなんて思ってしまうあたりオレはまだまだ師匠としての器ではないのだろう。
うっすらと浮かんだ笑みを自覚し、オレはシャンヤオの頭を撫でた。

「まったく仕方ないな…明日は組手の稽古するぞ。当然突き、型もやってからな」
「はいっ!!」

これだけでも嬉しそうな顔をする。なんだかんだで彼女は見た目相応に中身は幼いのだろう。何とも微笑ましいことだ。

「…」

スキップをしながら移動するシャンヤオを眺めてふと考えてしまう。彼女と共に稽古をして既に数か月。精神面も肉体面もどこへ出しても恥ずかしくないぐらいの実力と礼節を弁えている。その分何度泣かせることになったかは覚えていないが。
だが、それくらいならば…もう十分だろう。

「師匠!絶対ですからね!」
「わかってるって」

まるで欲しいものを買ってもらえる前日の子供の如く。シャンヤオは遠く離れた位置でも大声でオレを呼ぶ。
そんな姿にどことない愛らしさとわずかな寂しさを感じながらオレもまた足を進めるのだった。















そして次の日。型、突きの稽古を終えたオレとシャンヤオは一定距離を開けて立っていた。彼女は念入りに体をほぐし、何度も拳を握り直している。

「今日こそ師匠に勝ちますからね!」
「はいはい、だったら何度も跳ねるようなことするなよ?」
「わかってますよ!もう何度も師匠に蹴り倒されてますから!絶対に負けませんよ!」

シャンヤオが何よりも好きなのはこうした対人格闘。一対一の稽古を好み、何度もオレに戦いを挑んでくる。以前に比べれば落ち着いているし、冷静さもある。ただ、その見た目のように燃える性格は変わらないのだが。
だが成長は成長。彼女はしっかりと経験を積み、そして日々進んでいる。なら、もうそろそろその確認をすべきだろう。

「それ本当か?ん〜それじゃあ、オレに片膝でもつかせたら何か一つ言うこと聞いてやるよ。そうだな……この前作ったオムライスでも作ろうか?」
「おむらいす!?本当ですか!」

オレの言葉にシャンヤオの目が光った。オムライスごときにつられるなんて微笑ましい。なんだかんだでまだまだ子供ということだろう。

「ただし、片膝だぞ?ちゃんとここが地面につかないと勝ちにはしないからな。それじゃあ…正面に、礼!」

大きく開けた庭先にて、オレの声が響き渡る。その声に応じるよう姿勢を正したシャンヤオは頭を下げた。

「構え」

ゆっくりと拳を握り、左を前に、右を顔の傍に添えるシャンヤオ。それに対し、オレは右を腰に引き絞り、左を胸の前でかばうように添えた。
そのまま互いに動かずわずかな呼吸を繰り返す。徐々に研ぎ澄ませた集中を放つ瞬間を今か今かと待ち望んで。
一陣の風が吹く。シャンヤオの燃える体毛を揺らし、オレの帯が揺れ動く。そして、風がやんだその瞬間オレはハッキリと言い放った。





「―始め―」





先行は――シャンヤオだった。
頭を狙った上段突き。飛び込んできた勢いも相まってそれは鋭く、オレの顔面を貫こうとしてくる。

「っ」

後ろ足へと体重を移動させ、上体を逸らすことで容易く避けた。だが、シャンヤオはまだまだ止まらない。続いて右拳が突き出され、さらに左拳が頬をかすめる。それだけでは終わらず今度は右拳が腹部を狙い、左拳は肩を狙う。
スピードに任せた突きの連打攻撃。威力はなく脅威の欠片も感じない。それ故、狙っている。この連撃でオレが疲弊、はたまた油断して隙が生じることを。

「…へぇ!」

以前ならオレの顔面狙って大技ばかりを使っていたシャンヤオだ。体格差を埋めるために常に飛び跳ね、一撃必殺に頼っていたせいでなんど泣きっ面を見せたことか。だが今は確実に隙を狙い、強烈な一撃を打ち込む用意をしている。もうオレに泣かされるような考えなしの子供ではないらしい。

「…ったく!」

思わず笑ってしまう。その微笑ましい成長ぶりに。
これだけの成長を見せつけられては嫌でも高ぶるもの。彼女の纏う炎の如く、熱くなってしまってもそれは――



「――仕方ないよなぁ!!」



まるで、あの女性のように。
オレの先を進んでいた彼女のように。
共に同じ師匠の元で学び、そして去って行った先輩のように。

燃え上る炎のように、激情に駆られてしまっても仕方ないことだ。

本気で殴り抜くつもりで拳を振るう。
まずは腹をめがけて一撃。続いて顔を狙って一撃。どちらも身を反らして避けられる。
続いて頭を狙った上段回し蹴り。しゃがんで避けられ、代わりに拳が返ってくる。掌で弾くとさらに攻め込もうと前進し、拳を叩き込んでくる。
スピードに任せた拳撃の応酬。突き出された拳を側面で殴りつけ、打ち出された一撃を拳で受け止め、急所を狙った拳撃を肘で叩き落とす。
どちらも一歩も引くことのない拳撃の嵐。誰も入る隙のない豪雨のような打ち合いだった。

「はっ!」
「…ふ、んっ」

体の奥で燻る何か。闘争心とはまた違う、どす黒くて本能に関わるそれが何だかわからない。呼吸が荒くなる。鼓動が激しくなる。体力は余裕だというのに明らかに体調がおかしくなっている。
だが、それ以上に嬉しさが胸の内を塗りつぶしていく。

「はぃいっ!」

体を回転させ、遠心力を加えた裏拳を指先で押しのけ、軌道を変える。続いて、止まらぬ勢いに乗せた蹴りを足の平で受け止めた。

「まだまだっ!」

小柄な体を活かし、スピードに乗って拳、足、肘、膝と連続で攻撃を仕掛けてくる。どれも素早く、的確で、何よりも焦りの見えない表情に笑みが深くなる。
叩き込んだ武術をここまで練り上げ、完成させる。オレよりも幼いというのにその技術は一流と呼ぶに相応しい。元々素質は有ったがこうもすぐさま適応するとは驚かされる。



だが、欲しいのは教え込んだ技術の模倣ではなく、応用。



稽古としては及第点であっても、実戦では半分以下。



例えば体の小ささを利用して懐へと飛び込んでくる。突きも蹴りも満足に出せない至近距離へと。だが、それは拳が、蹴りが当たらないというだけであって―――攻撃ができないわけではない。
オレは容赦なく膝をシャンヤオの腹部へと突き刺した。

「がっ!」
「懐に入れたからって有利になると思うな!誘われてる可能性も考えろ!」

すぐさま距離をおくシャンヤオに言い放った。以前よりも動きも判断もよくなってはいるが、だがまだまだ甘いところがある。
さて、次はどう出るのか。
先に仕掛けたのはオレだった。
足を狙った下段蹴り。まともに当たれば容易く転がせる一撃をシャンヤオは避ける。
それも、上に飛ぶのではなく後ろへと飛んで。

「へぇっ!」

以前は上に飛んだところを注意していたがようやくそこらにも気を回せるようになってきたらしい。学習してきたか。
だが、その学習がどこまでついてこれることか。その実力がどこまで伸びてくれたのか。
楽しみで楽しみで仕方ない。

「行きます!」

そしてシャンヤオは下がった位置からすぐさま飛び込んでくる。脇には握りしめた拳を構え、目線はオレの顔を捕らえていた。顔面を狙った飛び込みの上段突き。それは鋭く、早く、凄まじい。あたりどころが悪ければ昏倒しかねない。
だが、真っ直ぐ向かってくるからこそ別方向の力に弱く、とんっと、下から拳を突き上げて軌道をそらせば容易く外れた。続いてオレの番、近づいたシャンヤオの体を殴り抜こうと拳を握った次の瞬間。

「がっ!」

しなる細長いものがオレのこめかみを捕らえた。



「なん…!?」



一瞬視界の端に映るそれは――――尻尾。



人間の体にはない部分であり、オレが今まで相手をしたことのない戦術。良いタイミングで叩き込まれた一撃は脳を揺らすには十分な威力を持っていた。

「…っ」

視界が揺れる。頭が揺れる。平衡感覚が消え去り眩暈にも似た感覚に支配される。だがここで倒れればオレの負け。それは避けねばならない。

「が、ぁっ!」

辛うじて片足で踏みとどまる。体勢は崩れてしまったがこれで終われるほどオレは軟じゃない。そう意気込んで前を見るとさらに攻撃を仕掛けようとするシャンヤオの姿が見えた。宙返りをするように体を回転させる。頭を下に、足を上に。



そして目に映るのは―――――振り上げられた踵だった。



「―っ!!」





『胴回し回転蹴り』





空手の技の中で隙の大きく、威力も高く、当たり所によっては危険な大技。確かに教えたが実戦で使うにはあまりにも経験がなさすぎると思っていたのに。
ぞくぞくする。無謀とも言える技をこの局面で出すというのは本気でオレを倒す気でいるということだ。嫌でも伝わってくる闘争心がこれ以上ないほど高ぶらせてくる。

「ああ…まったくっ!仕方ないな!」

その技を受け止めようとオレは両腕をクロスさせ、振り下ろされる踵へと突き出した。
空手における受けの型。最も固く、最も強く、相手の攻撃を受け止め、流し、耐えきるための技。



二本の腕がシャンヤオの一撃を受け止めた。



「く、ぬぅっ!」

そのまま一気に蹴り抜こうと足に力が籠る。だが、地面に足のついていない、しかも体重差体格差が大きいシャンヤオだ、今の状態では恰好の的でしかない。

「そらっ!!」
「あ?!」

足に、膝に、腰に、腕に力を伝えて受け止めたシャンヤオの踵を思い切り跳ねのけた。突然の事で彼女はバランスを崩し受け身をとることも出来ず地面に転がる。

「っ…まだまだっ!!」

それでも、燃え上る闘争心は留まることを知らない。すぐさま体勢を立て直して再び立ち向かってくるシャンヤオへ掌を向けて一言。





「負けた」





「…え?」
「オレの負けだよ」

素っ頓狂な声を上げるシャンヤオに見せつけるようにオレは膝を叩く。先ほどの一撃を受け止めるために地面についた右膝を。
受け止める際に思い切り膝をついてしまった。ぶれた平衡感覚とよろけた体勢からあの一撃を受け止めるには仕方のないことだったからだ。

「そういうわけで試合は終了。シャンヤオの勝ち」
「え…で、でも私はまだできますし師匠ももっと」
「シャンヤオ。負けは負けなんだって。ほら、姿勢を正して」
「は、はいっ!」

オレはその場で足を揃えて立ち、シャンヤオもまた同じように姿勢を正す。

「正面に、礼」
「ありがとうございました!!」

しぶしぶ頭を下げるシャンヤオだがこれにて試合は終了。
結果はオレの負けであり、シャンヤオの勝ちである。















「…はぁ」

試合を終え、夕食を終え、風呂にも入って後は寝るだけとなったオレは縁側に座ってため息を吐いた。思い返していたのは昼間の試合の事。
慢心していたつもりはない。十分警戒して戦っていた。負けるつもりなんて毛頭なかった。だが結果はオレの敗北。片方とはいえ膝をついたのだから負けは負け。

「…まったく」

ごしごしと顔を擦って縁側に寝ころんだ。
おかしなものだ。悔しいなんて欠片も感じていない。むしろ、勝ってくれたことに悦びすら覚えてる。ようやく追いついたなんて呆れではなく、とうとう来てくれたかという達成感すら抱いてる。
オレの師匠もまた、こんな気持ちだったんだろうか…。

「…師匠」

それはオレの口から出たものではなく、背後から聞こえるものだった。頭だけを動かして見てみれば寝巻用の赤い浴衣姿のシャンヤオの姿がそこにあった。

「ん?ああ、シャンヤオ。こっち」
「はい」

両手足の体毛は若干白く染まっている。先ほどまで風呂に浸かっていた証拠だ。初めて見た時はうちの風呂に漂白剤突っ込んだかと驚いたけど。
おずおずと隣に腰を掛けた彼女は起き上がったオレの顔を真っ直ぐに見つめてきた。

「隣失礼します。それで師匠、話ってなんですか?」

本当なら既に就寝時間。だが今日は話しておくべきことがあってここへと呼び出した。
淡い月明かりがシャンヤオの顔を照らし出す。初めて出会った時とは比べ物にならないくらいに凛々しく、慢心のない確かな自信に満ち溢れた表情だ。少女らしいあどけなさを残してはいるがやはり美少女、浴衣姿も相まってくらりとする。
そんな彼女を見て微笑むとオレはぽつりと言葉を漏らした。

「いや、なんだかんだでシャンヤオがここにきて大分経つよなーって思ってさ」
「え?ええ、はい。もう師匠の元で修業しはじめて数か月ですね」
「色々あったなぁ。初対面の数時間後に大泣きしたり」
「あれは師匠が悪いんですよ!私の話を一向に聞こうとしないでそれでっ………街中で…その…私のお尻を……叩くから…」
「人様が食べてる団子蹴飛ばすってことがどういうことかわかってないからだろうが。料理一品にかけた料理人、作物を育てた農家の人、流通に携わった人、その料理を食べるために銭をためる苦労、その他もろもろをわかりもしないで怒鳴り散らす餓鬼だったくせに」

今ではこうして慕ってはいるが以前はもっと荒々しく自信家だったシャンヤオ。不確かな実力と見合わない態度、裏付けのない傲慢さにちょっとお灸をすえたのはいい経験だったらしい。
ぷぅっと頬を膨らませる彼女を見て笑うとさらにむくれたので頬で突いて空気を抜く。

「まぁ、それで本題なんだけど……もう『十分』だったよ」
「…え?」
「今日の試合でもうわかった。お前にオレが教えることはもう何にもない」

今日の試合を通じてはっきりと分かった。もうオレが教える必要はないだろう。同心としても十分にやっていける。実力も、それから精神面も。
なら、オレはもうお役御免。ここで教える必要もなくなったわけだ。シャンヤオを住まわせる意味もなくなり、稽古をつける必要もない。

「だから明日から正式に同心として迎え入れるから。その時に先輩に頼んで新しい家とか用意してもらったり手続きしたりといろいろ忙しくなるから覚悟しとけよ?」
「…え、でも……」
「返事」
「…っ」
「?」

どうしたのだろうか。いつもなら元気いっぱいな返事をするというのにその声は小さく、かすかな物。体の炎が消えかかっているからだろうか。
白く変化する体毛。それは精神面にも大きく影響するらしく風呂上りは大体素直だ。だから今の声もきっとその影響だろうと結論付ける。

「…ん」

僅かな夜風が吹き抜けた。季節は冬ではないもののそれは冷たく、長い時間当たっていると風邪をひきかねない。
話はもう終わったのだし、あとは寝るだけ。なら、もう寝てしまおう。明日は手続きとかで厄介になりそうなんだし。
そう思って立ち上がろうと床に手をつくとシャンヤオに袖を掴まれた。

「どうした?」
「なら、師匠……私からも話があります」

その声に座り直す。だというのにシャンヤオの手は変わらずオレの袖をつかんだままだ。

「試合を始める前に言いましたよね。自分にできることなら一つだけしてやるって。それなら私は…いえ、私に…!」

握られた手にさらに力が込められた。真っ直ぐ向けられる赤い瞳には一切の迷いもない。そして、続けられた言葉には確かな覚悟が宿っているものだった。



「私にもっと稽古をつけてもらえませんか」



ただ、それが何の覚悟かはわからない。何を決めてそんなに真っ直ぐなのかもわからない。ただ迷いは欠片も見当たらない視線に一瞬言葉に詰まった。

「…さっきもう十分だって言っただろうが」
「ですが、私はまだまだ未熟です!だからその…また、稽古をつけてもらってもよろしいですか?」

生意気な傲慢さ、裏付けのない自信、まだまだ世の中を知らなかった故の慢心も消えればこうも丸くなるものか。少しばかり真面目すぎるようだがまぁ、以前よりもずっといいだろう。
くすくすと笑いながらオレはシャンヤオの頭を撫でた。

「むっ」
「別に頼まれなくとも何時だって来たときに稽古つけてやるよ。だからもっと別の事頼めよ。オムライスつくれとか、」
「な、なら…師匠の傍に、いてもいいですか!」
「んん?」

その発言に撫でる手が止まった。シャンヤオは何を言ったのか、その言葉の意味を考えようと首をかしげる。
傍にいて。それはつまり今みたいにオレの隣にいるということだろう。それを頼むということはどういうことか。その言葉をこんな状況で言うことはどういうことか…。
ふと見つめるシャンヤオは真っ直ぐこちらを見つめ続けている。心なしか頬を朱に染めている。

それはまるで告白でもする乙女のような表情で。

「…いや」

ない、と思う。
師匠と弟子。その一時の関係であって、羨望と憧れの対象であるだけのオレにそんなことは言わないだろう。せいぜい年頃の女の子故のもの。なら一時の過ちくらいあっても仕方ないことだ。

「いやって…ダメってことですか!?」
「いや、そう言うことじゃないけど…どういう意味なのかちょっと分からなくて」
「だから、もっと傍に居てよろしいですか?」

ずいっと体を寄せてくるシャンヤオ。いつの間にか白くなっていたはずの体毛は燃え上る様な炎の色に変化していた。それに伴ってか感情もいつも通りの熱く激しさを増していく。

「師匠、言うことを聞いてくれると言いましたよね?」
「そりゃ言ったけどでも。ただ、別にそんなことしなくとも街から通ってくればいいだろ?」
「言いましたよね?」
「…」

ふーふーと荒い呼吸を繰り返しオレの方へと四つん這いで迫ってくる。ゆっくり背後へ、部屋の中へと逃げるのだが手が何かにぶつかった。一瞬見ればそれは布団。きっとシャンヤオが敷いて置いた者だろう。

「えいっ」
「っと!?」

小柄とはいえ勢いの乗った体を受け止めきれずベッドに押し倒された。急いで体を起こすがシャンヤオのせいで立ち上がることはできそうにない。結果、上体だけを起こした姿で向き合うこととなる。

「師匠」

オレの上に跨っているシャンヤオの体。小柄で軽く、重さなど気にならないが一人の少女。男の上に軽々しく跨っていいものではないだろう。

「ほら、どけって」

退けようと両手を伸ばす。だが、それよりも先に体重を掛けられ、バランスが崩れかける。畳から手を離せば倒れてしまうことだろう。

「おい、シャンヤオ」
「師匠は、嫌ですか?」

オレを見つめる赤い二つの瞳。いつもは自信に満ち溢れ、燃え上る様な闘志を宿しているというのに今は不安に揺れている。

「…何が?」
「私と一緒にいるのは…師匠は、嫌なんですか?」
「嫌じゃないけど…だからっていきなり人の上に乗るなよ」
「嫌、ですか?」
「…」

嫌ではない。
だからこそ自重し、尊重すべきものがある。
だがシャンヤオは変わらずオレの上から退こうとはしない。

「もっと傍に居ても…いいですよね?」
「いや、まず離れてから…」

そうはいってもシャンヤオは徐々に顔を近づけてくる。逃げようにも布団の上、押しのけようにも傷つけないか心配でできない。

魅力的ではある。

年下と言えど美少女であることに変わりない。胸は大きく育ってるし晒された太腿は健康的な魅力を醸し出している。もしも彼女が年上だったら余裕なんて全くなかったことだろう。
華奢な手足から繰り出される一撃は凄まじいが、それでもやはり女性らしい曲線が悩ましい。普段から見ているチャイナドレス姿には正直くるものがある。今の浴衣姿でも十分綺麗だ。

だけどオレは師匠であってシャンヤオは弟子。

一時寝食を共にした程度の関係でこれは流石にいきすぎだろう。ちょっとした憧れと恋愛は違う……と思う。何よりそういうことはもっと互いを知ってからでも遅くはないし、そういうことだからこそもっと知っていくべきであって――

「ちゅ♪」
「――んっ!?」

無理やり重ねられた唇はとても柔らかく、わずかに開いた隙間から甘い吐息が感じられる。離れようにも体の上に跨られ、肩を掴まれては逃げられない。突き飛ばすことも出来るだろうが稽古外で少女へ暴力を振るえるわけもない。
されるがままにしていると小さな舌がちろちろと唇を舐めてくる。まるで子犬のような仕草が愛らしい。ただそれ以上の経験がないのかぎこちないながらも一生懸命唇を突き出してはオレの唇を舐めていく。頑なに口を閉ざしているのだが抉じ開けようと何度も舌でなぞられた。

「ん…はぁ…っ♪」

ようやく離れた時には口から互いの混ざり合った唾液でべたべたになっていた。ゆっくり拭ってシャンヤオを見やると蕩けた表情でこちらを見つめている。肩は上下に動き、荒い呼吸をしながらもオレの服を離そうとはしなかった。

「師匠…♪」

焦点の合わない赤い瞳がオレを見つめている。蕩けた表情は少女なんて言えないほど艶っぽく、思わずくらりときてしまう。

「もっと…師匠と、ちゅー…」
「ちょっとまっ…んっ」

二度目ともなれば先ほどよりも抵抗も薄れていく。気づけばオレからも合わせるように顔を動かし、唇を擦りつけるように重ねていた。
小さな舌を舐め上げるともっとしてほしいと言わんばかりに突きだされる。ざらついたその感触を楽しむように擦りあげると小さな体がびくびく震えた。

…可愛い。

なんて考えながら布団の上に倒れ込み、小さな体を抱きしめながらもっと激しいキスをする。
まるで映画で見るようなフレンチキス。何度も啄んでは舌で舐め、離れては再び重ねあう。繰り返すごとに頭の奥が痺れ、視界に靄がかかっていく。
理性が蕩け、欲望が燃え滾る。先ほどの試合中にも抱いていた感情が体の奥から湧きだした。

「んちゅ…♪ししょぉ…っ好き、好き、なんです…♪」

離れた唇が紡ぐ言葉に胸が締め付けられた。上目遣いで涙目で、頬を朱に染め熱い吐息が頬を撫でる。少女でありながら妖艶な女の魅力を惜しげもなく振り撒くシャンヤオの言葉に背筋がなぞられたようにぞくぞくした。

「もっと…ずっと傍にいさせてください…っ」
「…ああ、もう。仕方ないな」

据え膳食わぬは男の恥。ここまで求められ応じないのはシャンヤオに対しても失礼だろう。
小柄な体を抱き上げると布団の上に転がし、その上に覆いかぶさるように体を寄せる。

「止まらないぞ?」
「はい…はいっ♪」

受け入れるように両手を広げ、蕩けた笑みを見せてくれる。そんな姿に欲望を刺激され、オレの手はシャンヤオの浴衣に添えられた。

「ん」
「あっ♪ん…ひゃ…あぅっ♪」

襟を広げて首筋へ、鎖骨へ、肩へ、胸へと何度も口づけていく。その度に感じているのかシャンヤオは聞いたことのない甘い声を漏らした。ここまで反応されてはもっと感じてもらいたくなる。そんな感情の赴くままに浴衣をさらに肌蹴させた。
露わになったのは歳相応とは言えないほど実った胸。つんと上を向いて形もよく、柔らかに揺れ動く。男なら誰もが揉みしだきたいと思うことだろう。そんな胸にオレは舌を這わせた。

「はぅんっ♪」

ゆっくり、じっくり、丹念に。先端をなぞりあげ、周りを撫で、唾液で湿った舌先で執拗に愛撫する。もう片方の胸は指の腹で擽るように弄ぶ。
本当なら無理やりにでも押し倒し、欲望のままに突きこんでその体の中へと注ぎ込みたい。だが相手はオレよりも年下の少女。人外だろうと火鼠だろうと力任せにして壊れないか心配だ。
だから、痛みを与えないように慎重かつ丁寧に。柔らかな肌を傷付けぬように注意しながら撫でていく。

「ししょうぉ…♪」

甘く蕩けた声色でオレを求めるように両腕を伸ばしてくる。快楽に歪んだ表情は少女とは思えないほど色っぽく、そしてとても淫らだ。
ああ、まったく…本当に可愛いな。美少女だってわかってるけどこんな顔して、こんなに求められたら止まれない。
思うがままにオレはシャンヤオの首筋に口づけた。

「んっ♪」

そしてゆっくりと口づける位置を下げていく。胸から脇腹へ、腹へ、臍へ、下腹部をなぞりながら帯を解き、下着を脱がしていく。

「あぅぅ…っ」

恥ずかしげに両手で顔を隠すシャンヤオを見ながら下着を取り払った。布地は湿り、糸を引きながら剥いだそこは触れずともわかる程湿ってる。鼻孔をくすぐってくるのは癖になる雌の匂い。
ぴっちりと閉じているのは未だ穢れを知らないからか。毛の生えてないそれは幼さを感じさせるが漂う色香は紛れもなく一人の女。
そんな女の部分へと口づけた。

「はぅんっ♪」

今まで以上に跳ねたシャンヤオの体。やはりここが一番敏感なのだろう。ちょっと擦れただけでも面白いほど反応を示してくれる。
ならば、もっと見たいと思うのが男の性。相手が美少女ならばなおのこと。

「あっ♪はっ♪やぁあ…♪」

小さな手がオレの頭を押しのけようとするが力が籠っていない。それをいいことに何度も何度も舐め上げる。なぞるたび、舐めるたびに甘い声を漏らすシャンヤオを見ながら今度は舌を突き入れるように力を込め、肉芽の表面を思い切り撫で上げた。

「あぁあああっ♪」

今までで一番の反応を見てそのまま行為を続行する。何度も何度も執拗に撫で、溢れだしてくる粘液を啜り上げ、粘っこい音を響かせながら刺激した。

「や、ししょ、あっ♪あぅ、ああああ…っ♪」

一際大きく跳ねる小さな体。弓なりに背を反らしてはびくびくと断続的に震わせる。開いた口から発された艶やかな嬌声を聞きながら震えが収まるまで舐め上げた。

「ひぅっ♪ぃぃああ…♪」

どれだけ絶頂の最中にいたのだろう。ようやく震えが収まるとゆっくりと口を離し、塗れた粘液を指で掬って舐めとった。するとそれを見ていたシャンヤオがどことなく嬉しそうに一言。

「ししょお…やらしぃ♪」

蕩けた顔で何を言うか。鏡を持ってたら見せつけてやりたいほどいやらしい顔をしているくせに。
これだけ湿っていれば十分だろう。着ていた浴衣を脱ぎ捨ててこちらも肌を晒す。隠すもの一つない姿でシャンヤオに身を寄せると先ほどから怒張しきったものを押し当てた。

「入れるぞ?」
「はい…っ」

真っ赤な顔で何度も頷くのを見てから先端を押し当て、ゆっくり腰に力を込めていく。ぎっしりと詰まった柔肉の中を無理やり割り開いて突き進み、異物を押し返さんばかりに締め付ける肉壁に体を震わしながら一気に突き込んだ。

「あぁああっ♪」
「く…ぅ…っ」

僅かな抵抗を無理やり突き破り、先端に周りとは違う感触を持ったものに突き刺さる。そうしてシャンヤオの中に全てを収めた。初めて突き入れた女性の中。あまりにもきつく、そして何よりも熱かった。
燃え上る様に熱く、蕩けてしまいそうなほど熱く、溶けてしまいそうなほどに熱い。炎を纏う火鼠だからだろうか。
異常な熱を味わいながらせり上がってくる欲望を押さえつけようと布団を固く握りしめる。歯を食いしばってなんとか堪えると甘ったるい声が耳に届いた。

「ししょぉ…♪」

うわごとのようにオレを呼び、求めるように両腕を伸ばす。浮かべている表情は蕩けきり、力の入らぬ手が服を掴んだ。

「ししょ…が中に…♪」
「辛くないか?」
「は、いぃ♪とっても、熱くて…ぽかぽかして、ますぅ♪」

そうはいっても結合部からは純潔の証が伝い落ち、真っ白な布団に赤い花を咲かす。ぎちぎちと締め付けてくるシャンヤオの中は張り裂けてしまうんじゃないかと思えるほど小さく、ここまでしているのに不安になってしまう。その不安も女体の感触に削られていくのだが。

「ゆっくり、動くから」
「ん…♪」

小さな手を握りしめると嬉しそうに頬を緩める。そんなシャンヤオが愛おしく、そっと額に口づけを落とした。

「あぅ、ししょう…♪」
「無理するなよ?」
「だい、じょうぶ、ですからぁ…うご、いて…♪」
「ん…痛かったら言えよ」

傷みを与えないように腰を引き、シャンヤオの中からゆっくり引き抜く。きつく締め付けてくる肉ひだを無理やり引きはがす快感は凄まじく、お互いに声が漏れた。

「んぅ…っ」
「あ、ふぁぁ…♪」

たった一擦りで頭の中がおかしくなりそうだ。このまま欲望に任せて我武者羅に突き入れたい。気遣いを混ぜたもどかしい快感に燻った欲望が燃え上る。本能を滾らせ徐々に意識が昂ぶっていく。
だが、抑え込まなければ。必死に途切れそうな理性を握りしめ、本能を無理やり押さえつけながら再び腰に力を込める。
今度は同じ速度で突き入れた。やはりきつく、抵抗を感じながら最奥へと突き入れる。蕩けそうな熱を持つ肉壁は押し戻そうと強く抱き付き、潰さんばかりに締め付けてくる。
そして、一番奥へと到達する。肉壁とはまた異なる感触のそれは触れただけでも吸い付き、射精を促すように周りが震えあがった。

「あ、ぅあ♪奥っおくぅ…当たってます♪」
「シャンヤオっ…」

相当敏感なのか恍惚とした笑みを浮かべて何度も艶やかな声を漏らす美少女。その顔が興奮を高め、さらに激しく乱れさせたいと思ってしまうのは男なら仕方のないことだった。
ゆったりとした動きで腰を引き、ゆっくりとシャンヤオの中へと突き進む。
慣れてきたのか肉壁が奥へ奥へと誘うように蠢いた。まるでオレをもっと欲する様に、これ以上入る隙間はないというのにだ。だというのに相変わらずの締め付けと燃え上る様な熱。これでは我慢が焼き切れるのも時間の問題だった。

「…んっ」
「ふ、むっ♪」

気を紛らわせようとシャンヤオに覆いかぶさり、小さな口を貪った。
啄むように重ねれば小さな舌は一生懸命オレの舌を舐めとってくる。唾液を注げば喜んで飲みこみ、啜り上げれば甘く喘ぐ。そして、応じるように膣内も震え、背筋に悪寒にも似た快感が走った。
ああ、ダメだ。こんなんじゃ気を紛らわせるどころか逆効果だ。
頭の中は霞がかかり、こちらまで蕩けていく。辛うじて残しておいた理性は指の間から零れ落ち、気付けば徐々に動きが早くなっていた。

「あっ♪あんっ♪ぅああ♪あ…っ♪」

互いの肌に汗が浮かび、荒い呼吸が部屋に響く。
淫らな水音が徐々に大きくなり、甘い嬌声がさらに響く。
もはや優しさなんて欠片もない。本能のまま力任せに腰を打ち付ける。肉と肉のぶつかり合う音を響かせて、これ以上ないほど淫らな水音を奏でてシャンヤオの体を貪っていく。
膣内を擦るたびに喘ぎ、子宮を叩くたびにのけ反って乱れる。その度胸が上下に揺れて、桃色の髪の毛が布団の上で妖しく乱れ、むせ返るような雌の匂いが興奮に拍車をかけた。

「…っ」

高みへと押し上げられた意識は限界へと近づいていく。ぞくぞくと背筋を駆け上がってくる快感の波。絶頂へと押し上げてくる快楽にたまらず腰を引きぬこうと力を込めたその時だった。

「や、ぁあっ」
「あぅっ!?」

細い二本の足が腰へとまわる。それだけではなくさらに細い尻尾が絡みついた。

「シャン、ヤオっ!離せ…っ!」
「や、ぁ…っししょ、ぉっししょぉっ♪」
「…ああ、もうっ」

離れぬ足に観念し、オレはシャンヤオに覆いかぶさるように体を倒すと彼女の両手も背中へとまわされた。小柄な体でも人外のもの、手足を解くことはまず不可能だ。こっちだって必死に耐えていたというのにこの弟子ときたら…!
そのまま離れることは許されず、堪えることもできぬまま欲望をシャンヤオの中へと注ぎ込んだ。

「あぁああああああああああああっ♪」

びくびくと大きく体を震わせて彼女は弓なりにのけ反った。開いた口からは艶やかな悲鳴が漏れ、爪が背中に食い込んでいく。痛みなど感じる暇もなくただ快感一色に染め上げられていく。唯でさえきついシャンヤオの膣がさらに締まって根元から先端へ、うねうねと搾り取るように纏わりついて抱きしめてくる。まるでもっと欲しいと言わんばかりの動きにオレはただ翻弄されるしかなかった。

「あ、や…っ♪」
「おわっ」

離れようと腰に手を添えると気づいたのかシャンヤオの足がさらに強く抱きしめてくる。それだけではなく子宮口がさらに押し付けられ、蠕動が再開された。

「ししょぉが、びくびくしてる…♪」
「っ…っ……!」

射精を促す妖しい腰の動きに声すら出すことができなかった。徹底的に搾り取るつもりなのか。少女と思えない女の仕草にオレは震えるしかなかった。
絶頂の波が引くまでしばらくの時間を要した。震えが止まり、意識が下りてくると結合部から白濁した液体が零れ落ちるのが目に留まる。わずかに混ざった赤色はシャンヤオの純潔だろう。
…いやらしい。

「あはぁ……ししょぉが、お腹いっぱいです♪」
「大丈夫だったか?」
「はぃ…♪」

とても満足そうに下腹部を撫でるシャンヤオにオレはそっと頭を撫でた。それだけでも嬉しそうに微笑みされるがままになっている。それじゃあ終わりにしようかと思って腰を引こうとしたその時。

「もっとぉ…♪」
「え?」
「もっと、ししょぉとしたい、です♪」

真っ赤な顔で心底嬉しそうに、それでいて誘うように熱のこもった視線を向ける。回さた足に力が籠り、撫でていた手は掴まれ、二つの膨らみへと押し付けられた。真っ直ぐに、オレの目を見つめる赤い瞳に欲望が再び灯っていく。

「ししょぉ…もっと、しましょ♪」
「シャンヤオ…」
「もっと、いっぱい…ずっとしましょう♪」

こんな顔をされては出て行けなんて言えるはずもなく、明日先輩に報告しにいけるはずもなく。どうすればいいのかと頭を抱えることになりそうだ。

「ししょぉ…♪」
「………ああ、もう、仕方ないな」

甘い声色に真っ直ぐオレを求める瞳。そんなシャンヤオに考えていたことを中断し、応じるように腰の動きを再開させるのだった。


                         ―HAPPY END―
15/03/19 22:29更新 / ノワール・B・シュヴァルツ

■作者メッセージ
ということで今回はジパング、火鼠編でした
弟子であった主人公が今回は師匠となったお話でした
実は連載にしてじっくりするつもりでもあったのですがもろもろ省いて一話にまとめました
今回わずかに出てきましたが彼の先輩にあたる女性もまたシャンヤオ同様に燃えるような熱い人です

それからピクシブにあげた挿絵のお話はまだ先になりそうです
申し訳ありません

ここまで読んでくださってありがとうございます!!
それでは次回もよろしくお願いします!!

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