連載小説
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番外編・アヌビスのエルダとアインの場合


 アヌビスと言えば、真面目でマメで、統率する側としてその頭脳を駆使するのを得意とするのが一般的だ。その姿は社会でもそうだし、学校でもそれは遺憾なく発揮している。
 クラスのまとめ役としてもそうだし、生徒会長としても活躍している、アヌビスのエルダ・アシュラフ。彼女のぴんと縦に立っている耳、ふさふさの尻尾、そして大きな肉球と愛らしい容姿なのだが、まさにアヌビスらしいアヌビス≠ナ、俺――アイン・ジャバードはいつも彼女に叱られている。彼女曰く『クラス、いや全校生徒一の問題児』らしい。
 確かによく遅刻ギリギリで登校するし、レポートの提出もそうだ。サボっていないだけマシだろ、と思うのだが、クラスをまとめて生徒会長として教師からも信頼されている立場からなのか、毎回そういう事に関してはお小言をありがたく頂いている。
 俺としてはそれが普通なのだが、こんな性格でよかったな、と思うのもある。何故なら、みんなのまとめ役、エルダ・アシュラフと話す機会が恐らくは一番俺が多いだろうから。つまりそれは彼女が俺の事を考える時間が少なからずあるわけで、俺としても彼女と話していると楽しくてしょうがない。
 そう、俺はエルダ・アシュラフに恋をしているのだ。
 なんと言っても美人だし、笑うと可愛い。特にそのウルフ種の特徴である尻尾と肉球がもうたまらん。モフモフしたい。モフってモフってモフりまくりたいのである。……そんな事を言ったらどんな呪術をやられるかわかったものではないが。
 ともかく、俺はそんなエルダの事が好きになってしまい、わざと遅刻してみたり彼女に怒られるような事をやらかしたりと、全く持ってガキみたいな事ばかりだった。おかげで、彼女が俺に向ける顔と言えば怒った顔ばかりだった。
 それはそれで面白いからいいのだが、日々積もっていく彼女への想いは、もう限界へと達していた。
 だから俺は今日……。彼女に告白をするのだ。



 彼女の机の中にちょっとしたメッセージを書いた紙を忍ばせて、放課後になった後校舎裏で待機。
 我ながらなんとベタな……と思ったが、最適な場所が思いつかなかったのだ。リャナンシーの漫画家が描いた恋愛エロ漫画は俺のバイブルなのだ。エロいけど女の子の魔物娘が超可愛い。性格も初心だし、男の心をよくわかっているなぁなんて思ったもんだ。髪も綺麗で、

 「先に待っているとは、お前らしからぬ行動だな」

 そうそう、エルダみたいに綺麗な黒髪で……ってやべ、もう来ちまった。告白の言葉とか考えてねぇよおい。

 「?」

 呼び出した俺が黙っている事に、エルダは首をかしげた。やべー可愛い。こういう頑固な女が見せる可愛い一面とかそういうのに弱いんだよ。

 「たまにゃ俺だってやる時はやるのさ」
 「……はぁ。そのやる気、いつも勉学に向けて欲しいものだ」

 呆れられてしまった。すいませんね、いつも不真面目で。

 「……そ、そうじゃなくて。今日は俺、エルダに話があるんだ」
 「話? そうか。だが話なら教室でも――」
 「人に見られたくないんだよ、察してくれよ」
 「――――そ、そうか。そう、なのか……」

 ……あれ? なんか、妙に尻尾が揺れてね? それに察してくれたのか、妙に顔が赤い……ような。お、おいおい。これはマジでひょっとするとひょっとしちまうのか。

 「あのーその、だな。んーと……」
 「あぁ」
 「なんて言えばいいんだ、その、うん……」
 「あ、あぁ」

 どうしよう。どうやって告白したらいいんだよ。まさか、エロ漫画みたいにがばーっと抱きしめてお前が好きだ、抱かせてくれ! ってやれと? 出来る訳無いだろ、常識的に考えて。つーかエルダにしたら思いっきり殴られそうだな。

 「いや、言いたい事はあるんだぞ? ただ、その……な?」
 「そ、そうか……」

 ああ、口を開いても言い訳ばかり出てくる。はっきりと好きだと言えばいいのに、その一言を伝えるだけで相当な勇気を振り絞らなけりゃならない。だが、もたもたしていたら言えなくなりそうだ。
 しかもこの後何か予定があるのか、ちらっと懐中時計を見ているし。そういえば、アヌビスというのは一日の予定を分単位で決めているらしいな……。

 「す……、す……、あの、うん」
 「す……なんだ?」
 「えと、俺は……お、俺は」
 「う、うん」

 俺は、お前の事が好きなんだ。
 脳内では言えても口に……出せない。

 「え、え、エルダ……が」
 「わ、私……が?」

 うお、尻尾がまた揺れてる。本人は気付いていないのか、かなり揺れている。もう告白とかいいからじっと見ていたい。

 「す」
 「す?」

 く、そんな、そんな綺麗な瞳で俺を……っ、俺を見ないでくれ! 可愛いけど! 可愛いんだけど!

 「す、す……す」
 「…………」
 「すす……す」
 「…………」

 極度の緊張で何度も何度もすすす、を繰り返す俺に、とうとうエルダは我慢できなくなったのか、若干涙目になりながらも、

 「男ならはっきりと言え――――ッ!!」

 と叱られてしまった。こんな時も叱られる俺ってだせぇ……。
 しかし、それで勢いがついてしまったのか、咄嗟に俺は口にしていた。

 「俺は、エルダが好きなんだぁぁ!」
 「――――っ!」

 ついに俺は想いを口にした。口にしてしまった。
 それを受け止めたエルダは両手で口元を隠して、もう揺れているというよりもぶんぶんと音が聞こえるんじゃないかってぐらい尻尾を振っていた。
 だが、ハッとした表情になり、懐中時計を見た。

 「お前がもたもたしたせいで今日の予定が狂いそうじゃないか!」
 「わ、悪かったな!」
 「よって、返事は明日の休息日にするからな! 明日の十三時に私の家に来い!」
 「今言えないのかよ!?」
 「こ、こちらにだって都合はある! いいか、明日絶対に来い! そして絶対に遅れるなよ!」

 そういい残して、エルダは走って行ってしまった。校舎へ向かったという事は、生徒会の仕事だろうか?
 人生初の決死の告白は、まさかの一旦保留という形で終わった。
 その場にぽつーんと残された俺は、時が止まったかのように立ち尽くしていたが、ある事に気がついた。
 エルダは一日の予定を毎日決めていて、時間ぴったりになるように計算しているはずである。放課後になってから清掃時間、その後に生徒会。と、こんな感じでみっちりと予定は詰まっていたのに、当日、突然俺からの呼び出しに応じたという事は……。予定を修正して時間を割いてくれたという事になる。
 それに気付いた瞬間、俺のテンションは鰻上り。もう鰻が登りすぎて龍になっちまうくらいだった。
 あれ? 鰻って龍になるんだっけ? ま、いいか。
 そういえばジパングに居る水神の龍ってなんか鰻と似てるな。……これ、龍本人には絶対に言っちゃいけない言葉だよな……。



 翌日、休息日の十三時。一方的とは言え、約束どおりにエルダの家へとやってきた。
 エルダの家へ来るのはこれが初めてではない。定期試験の度に無理やり連れて行かれては勉強をさせられているのだ。おかげでエルダのご両親とも顔見知りだし、晩御飯までご馳走になるし。
 しかし今日は違う。今日は勉強の為にではなく、昨日の告白の返事を聞く為にここに居る。心臓は昨日のようにばっくんばっくん言ってやがるし、何となくだがエルダも俺の事……なんて思っても緊張はする。
 待てよ、昨日のあのエルダの尻尾の振り方は、もしかして時間が押していてイライラしていたからだったのではないか? だとすると、会いづらいな……。とは言えもうエルダの家は目の前で、ノックをするだけだ。あの時の勇気をあれ勝手に扉が開い――――

 「いてっ!?」
 「ん?」

 確かに人の家の前であーだこーだ考えていたりすれば、中から人が出て来る事もある訳で。開ける人もまさかこんなに扉の近くに俺が居るなんて分かる筈がない訳で。
 思いっきり額、打った……。だせぇ……。
 額を押さえてしゃがみこむ俺に、聞き慣れた女性の声。

 「アインか。ここに居たら危ないぞ」
 「今、身をもって知りました……」
 「うむ。気をつけるように」

 エルダのお母さんだった。その後ろからひょこ、と覗き込んでいるのはエルダのお父さん。この二人の仲の良さは語るまでもないが、この二人は会社の上司と部下だったらしく、夫婦関係もそれに似ている。頭がキレて統率力のある上司のような妻とその妻のサポートや身の回りの手伝いをする夫という感じだ。結婚する際も、寿退社したのはエルダのお父さんだというから面白い。

 「大丈夫かい? 結構いい音、したけど」
 「あ、大丈夫ッス。これくらい、何ともないんで」
 「そうかー。若いね」
 「時間が押している。行くぞ」
 「はい、ただいま」
 「あれ? お二人ともお出掛けで?」
 「あぁ。少々用があってな。アインもエルダに用があるのだろう?」
 「僕達が居ない間、エルダとよろしくね」
 「え、あ、はい……」

 あっという間にアシュラフご夫婦は出掛けていき、とりあえず任されたので家に入ってから施錠。他人なのに施錠を任されるって凄いな……。それだけ信頼されていると思っていいのか。
 さて、成り行きで入ってしまったが、ここからが本番だ。目指すべきは二階のエルダの部屋――――。
 深呼吸をひとつして、ノックを三回。

 「俺だ、アインだ」
 「ようやく来たか。入れ」
 「し、失礼しま――――」

 部屋に入った瞬間、その光景に唖然とした。
 いつも学校の制服を着ていたエルダしか知らないが、今は金を使った装飾がある、水着のような格好で腕を組んで立っていたのだ。そういえばこの格好、資料にあるアヌビスの格好と同じだな……。
 そして愛用の懐中時計を見てから、開口一番に、

 「遅いッ! 約束の時間から二分三十四秒も経過しているではないか!」

 と怒鳴られてしまった。相変わらず、時間には厳しいですねエルダさん……。

 「いや、その、な? こっちも緊張をしていてですね」
 「言い訳は無用!」
 「……はい」

 約束の時間通りに来なかったことに対してエルダはかなり機嫌を悪くしているようだ。その性格は既に理解しているのだが、こちらにも葛藤はあったのを理解して欲しい男心。まぁ、そう訴えたとしても即却下されるだろう。
 エルダはその堂々とした姿勢を崩さずに、さらに堂々と宣言した。……関係ないが、その腕を組んでいる姿勢がエルダの胸を上げていてやたらエロい。

 「アイン、お前は私に告白をし、恋人になりたいと言ったな」
 「あ、あぁ」
 「その気持ち、今も後悔はしていないな?」
 「勿論……だ」

 俺の返事に満足したのか、頷くと紙とペンを持ってこう言った。……いつ見ても、どうやって持ってんのか気になるな。

 「これから、アイン・ジャバードが私、エルダ・アシュラフに相応しい男かどうかの試験を行う!」

 …………。
 なんだって?

 「すまん、もう一度頼む」
 「もう一度言う。アイン・ジャバードがエルダ・アシュラフに相応しい男かどうか、その試験をこれから行う。そしてその結果を吟味し、告白の返答とさせてもらう!」
 「…………えー」

 アヌビスという種族は、とにかく自己管理や夫の生活の管理をするのが好き、というのが有名な性質だ。エルダにもそのアヌビスらしい性格をしているのはもう知っていた。知っていたのだが、まさかこんなところでもアヌビスらしさ≠発揮するとは…………。
 予想外すぎる展開に、俺は着いていけずに唖然としたまま。
 そんな俺にエルダは不敵な笑みを浮かべた。

 「怖気づいたか? 情けない」
 「…………」

 その言葉が、妙に引っかかった。
 俺の心の、ある部分だ。

 「アヌビスの恋人になりたいと言うのだから、これぐらいの試練は乗り越えて貰わなければ話にならん」
 「…………へぇ」
 「アイン、既にお前の事はある程度は知っているが、それでもこの試験は必要だ。私に相応しい男であるか、のな」
 「…………そう、なの」

 このエルダの口調は相変わらずだし、いつもならはいはいと軽く受け流すのがいつもの俺だった。
 だが、今回は状況が違う。俺はエルダに告白をしたのだ。明日のテストがわかんねーから勉強を教えてくれとお願いしたんじゃない。
 だから、引っかかった。

 「これからのお前の一挙一動は全て試験の結果に反映されると思え。わかったか?」
 「…………」
 「返事をしろ。既に始まっているのだぞ」

 俺の、プライドという部分に思いっきり引っかかったのだ。
 故に。何処かからかぶつん、という音が聞こえた。そして俺の頭に血が一気に上っていき……。

 「舐めんじゃねえッ! 上等だコラァッ! 受けて立ってやろうじゃねーかァッ!!」
 「ひぅっ。――――こほん」

 殆ど絶叫に近い怒鳴り声を上げてしまった。それにはエルダも驚いたのか、尻尾がぴーん、となっている。かわいい。

 「ま、まずは、アインの学力をテストする」
 「それ本当に必要なのか?」
 「必要だ。私の男が馬鹿では困る」
 「遠まわしに俺の事馬鹿って言ってね?」
 「それはこのテストの結果でわかる」

 そして渡された紙に目を通すと、一般常識や魔物娘に関する問題、数学や文化など、本当にごちゃ混ぜな問題ばかりだった。
 ……こいつ、あえて俺が苦手な所を突いてきやがったな。どれもこれも実際に定期試験で間違えた問題ばかり。

 「制限時間は今から一時間。空欄は認めない。必ず記入する事」
 「お、おい待て」
 「では、始め!」
 「くそ、やってやるよもう!」

 ――――第一問。夫婦の果実は赤い実と青い実、どちらが大きいか答えよ。
 ……出たよ、こういう暗記するタイプの問題は苦手なのだ。
 ええっと……確か雄の樹と雌の樹があって……。どっちが赤い実だっけ。

 「んー……」
 「…………」

 あの、エルダさん。いつまでそんな仁王立ちなんですか。あとじっと見ないでください。気になります。

 「どうした」
 「いや、何でも……」

 も、問題に集中集中……。
 えーっと、選択肢は二つだ。どちらかが正解なんだから。ええい、当てずっぽうだ。

 「赤い……実……と」
 「…………」

 あれ? なんか、よく見たらエルダの尻尾が元気よく動いているんだが……。
 ……いや、まさかな。

 「いや違うな……青い実……か」
 「…………」

 ……尻尾がだらん、と元気を失った。なにこれかわいい。
 つーか、これわかりやすいな……。

 「待てよ……雌の樹なんだから赤か」
 「…………」

 おお、尻尾が復活した。フッフッフ。これでこのテストは楽勝だな!



 結局、エルダの尻尾で正解を解いていたのがバレて叱られ、それまでに答えた問題が無効になってしまった。
 そして頭を悩ませて問題を回答していたら、
 ――――最終問題。一週間で何度自慰をするか答えよ。また、一度の自慰にかかる時間も答えよ。
 ……さ、最後の最後でブッ込んできやがった。つーかこれセクハラだろ!? 何でこんなもんに答えなきゃいけないんだ。必ず書けと言っていたのはこれが目的か……。

 「…………なぁ」
 「どうした?」
 「この最後の問題、マジで書かないとダメ?」
 「書け。嘘偽りなく、かつ正確にだ」

 一瞬、目がきらーんと光ったような気がする。そして尻尾のテンションはそれはそれが高かった。ぶんぶん言ってるがな。
 いやまぁ、男の精を搾り取るのが好きなのが魔物娘だからこの問題があるのもおかしくはないかもしれない。だが、この羞恥プレイは正直キツい。
 何度も『勘弁してくれ』と目で訴えても、顎で『書け』と促されるばかり。
 ええい、そんなに知りてぇなら教えてやるよ俺のオナニー事情をッ!!



 ……なんか、色々と失った気がする。主に最後の問題のせいで。
 何とか制限時間内には終わったので、ぐったりしながらもエルダに渡すと、解答用紙を見ながら何かメモを取っている。
 そして書き終えると、ため息を一つついてからこう言った。

 「まず、カンニングは感心しないな。発覚した時点で失格だ」
 「……返す言葉もございません」
 「あれだけ威勢を張ったというのにこの結果とは……やれやれ」

 なんか、職場の上司に嫌味たっぷりに叱られている気分だ。それに引き換え、エルダのお母さんは社長だとかそういう管理職で余裕のある言い方なのに。こうも違うのか。

 「どうした、何か言いたい事でも?」
 「いえ、別に」
 「しかし……、最後の問題はしっかりと答えた所は評価する」
 「さいですか……」

 フォローのつもりだろうが、俺からしたら全然嬉しくない……。

 「さて、次は体力のテストだ。体力がなければすぐに体調は崩すだろう。アヌビスの恋人ならば身体はいつでも健康体で居てもらう」
 「で、何をしろと?」
 「簡単だ。フェリーチェを一周し、その時間を計測する」
 「お、おま……。どんだけ広いと思ってやがる」
 「今回はどれだけかかってもいい。とにかく一周する体力と気力を見たい」

 という事で家を出てから、エルダの後を着いていき――――おい、何処まで行くんだ。おい、城門出ちゃったぞ。

 「よし、スタートだ」
 「だから、どんだけ広いと思ってるんだよ! ついこないだまた街の領地が広がったっつってたぞ」
 「たかが約五平方キロメートルだ」
 「すいません、魔物娘基準でモノを言うのやめてもらえませんか」
 「つべこべ言うな! 私も一緒に走るから」

 地獄のマラソンの始まりだった。



 「ジョギングに来たんじゃないぞ、もっとやる気を出して走れ」
 「こっちにはこっちのペースがあるんだよ!」



 「まだ半分も走っていないぞ。もうへばったのか」
 「だから……ぜぇ、魔物、より……、人間の方が……、はぁ、はぁ……弱いんだって」
 「軟弱者め」



 「ま、まだ、まだ、なの、か? もう、走ったろ? はぁ、はぁはぁ」
 「もうちょっとだ、頑張れ」



 そんな感じで、走っていた時はまだ日が高かったはずなのに、やっとこさ一周して城門の前まで戻ってきた頃には既に日が沈んでいた。俺はもう全身汗まみれで、すぐに座り込んでもう一歩も歩けない。対して、エルダは汗をかいてはいるものの、「いい運動になった」と余裕の感想を言える位には体力が残っているらしい。あぁ、ウルフ種だもんな……。
 エルダの肩を借りて、彼女の部屋へ戻ってきてから、エルダはまた紙に何かを記入してから、内容を読み返し、頷いてからぐったりしている俺に、

 「まずは汗を流せ。立てるか?」

 と俺の頑張りを認めてくれたのか、優しい声で言った。しかしまともに返事が出来ない俺は頷く事しか出来ない。確かに全身が汗まみれで気持ち悪い。服も肌にべったりとくっついているし。
 しかし、その場から動けない。立ち上がろうとしても、足が棒のようになってしまってどうしようもないのだ。
 そんな俺を見かねたエルダは「ちょっと待っていろ」と言い残して、部屋から出て行った。
 しばらくしてから、戻ってきたエルダが持っていたのはタライとタオル。あぁ、なるほど……。それで身体を拭けって言いたいのか。ご丁寧にどうも、と手を伸ばしたが、エルダはそれを手で制した。

 「くたくたに疲れたんだろう? 私が拭いてやる」
 「いや、出来る……から」
 「そんな状態ではまともに出来る訳がないだろう」

 という事で強引に服を脱がされて、ぬるま湯で濡らしたタオルで丁寧に拭いてくれた。そんなもふもふの手なのに、タオルを絞るなんてよくそんな器用な事が出来るなぁ……なんて呑気な事を考えながら俺はされるがまま。
 いつも手入れをしているからか、エルダの毛皮がもふもふだ。しかしそれと同時にくすぐったくもある。毛皮が俺の脇腹をくすぐると、思わずびくっと身体が震える。

 「ん、どうした?」
 「……なんでもない」
 「ふふ、おかしな奴め」

 ……なんか、嬉しそう? 学校でこんな表情をしているのを見た事がないんだが、それを指摘したらもう拭いてくれなさそうなので言わないでおく。好きな女に身体を拭いてもらえるという絶好のシチュエーションを壊したくはない。

 「いい身体をしているな、お前は」
 「そうか?」
 「あぁ。鍛えればさらに良くなるだろう」
 「面倒臭いなぁ」
 「何、私が考案したプランなら効率良く出来るさ」
 「あれ、俺いつやるって言ったっけ」
 「やらないのか?」
 「鍛えたほうがいいのか?」
 「質問に質問で返すな。私は、なよなよした奴よりも鍛えている方が好みだぞ」
 「ふーん……まぁ、考えておくよ」

 会話をしながら身体を拭いてもらい、残る場所は下半身になり、エルダからタオルを取ろうとしたらまたも手で制した。

 「まだ拭き終わっていないぞ」
 「いや、だって下半身は流石に……」
 「何を言っているんだ。それこそ自分でやるよりも私がやった方が綺麗に出来て効率がいいだろう」
 「恥ずかしいんだよ」

 頑なに拒否する俺に、エルダの眉がぴくっ、と動き、俺のズボンを掴んでから一気にずらした。

 「いいから脱げー!」
 「いやぁ犯されるぅっ!」

 容赦なく晒された俺の股間を、エルダは目を逸らすどころか片時も目を離していなかった。

 「あの、エルダさん……」
 「…………」
 「そんなに、じっくり見ないでくれ……」
 「はぁっ❤ …………これが、お前の……」
 「っ!? ちょ、待って――――」

 熱の篭った吐息の後、エルダはタオルも持たずに俺のモノを両手で包み込んだ。人間の……いや、正確には俺の手しか触った事がないのだが。人間の手のひらとは全く違った感触に、俺は思わず身を震わせた。

 「もっと、良く見せてくれ……」
 「か、勘弁してくれよ」

 そりゃ、好きな女に自分のモノを触ってもらえるのは嬉しい。正直、そんな想像何度したかわからないほどだ。それが現実になるとこんなにも気持ちのいい事だとは知らなかった。
 だが、俺とエルダはまだ、そういった関係ではない。嬉しいのだが、身体だけの関係になど、なりたくはなかった。それだけの関係には、絶対に。男心も、複雑なのだ。

 「何を言っている。これも予定していた試験の項目に入っているぞ? 私に相応しい男は、ペニスも私に相応しくなければならない」
 「そっちこそ何言ってるんスかマジで……」

 そういう事を大マジに言うのがアヌビスという種族の怖い所だ。品行方正なアヌビスでも魔物娘なのには変わりなく、勉学に真面目なら性的な事にも大真面目なのである。人間からすれば普段のエルダとのギャップに驚くのだろうが、魔物娘からすれば勉学にも性にも真面目で素敵だと言うのだろう。

 「五月蝿い。お前は私の恋人になりたくはないのか?」
 「……それを言われたら、何も言えなくなる」
 「では、始める。お前は何も気にせず、気持ちを楽にしろ。力を抜け。私のされるがままにしろ」
 「…………了解」

 自分のモノを好きな女に握られて、軽く赤みが差してきた頬と熱が篭った視線を向けられて、そんな言葉を言われてしまえば、先ほどまでの俺の決意も揺らぐ。これもまた男心なのだ。相手が見ず知らずの魔物じゃなくて、惚れた女なんだから、その辺は大目に見て欲しい。
 直接的な感触から得られる快感と、好きな女性に触られる幸福感で次第に俺のモノには血液が集まりだしてくる。ああ、なんて素直な俺の息子。だがエルダはパッと手を離してしまった。

 「待て。勃起させるな」
 「はぁっ!?」

 唐突に無茶な事を言われた。俺のモノはもう、エルダの肉球と雰囲気に飲まれて半勃起状態だというのに。突然のおあずけに思わず声を上げてしまった。

 「非勃起状態のお前のペニスを観察したい」
 「ンな事まで必要なんですか」
 「重要だ。お前の試験なのだ。お前の事は全て知りたい」
 「……っ。でも、そんな器用な真似は……」

 くそ、エルダの言葉でまた俺のが反応した。半勃起状態から、完全な勃起状態にどんどん変化していく。

 「馬鹿者、誰がもっと勃起させろと言った」
 「……男は、そんな簡単に制御できないンだよ」
 「仕方あるまい……。非勃起状態の観察は後回しだ。勃起状態のペニスを観察する事にする」
 「もう、わかったから……」

 これ以上の言葉責めはもはや拷問だ。エルダは自分のやっている事がわかっていないのだ。どれだけ俺の心を刺激すれば気が済むんだ全く。

 「では、始める。…………ふむ、皮は完全に剥けている。亀頭部分の弾力……なるほど。固さ……うん、うん……。では、長さを……」
 「それまでするのかよ……」
 「重要な事だ」
 「へぇ……」

 エルダは俺のモノを指先でつついたり揉んでみたりと、とても生殺しな行為を繰り返してから物差しで俺の長さなどを計りだした。数字は見たくないので視線を逸らす。

 「根元から先端までの大きさ……。ふむ。太さが……なるほど、な。ふふ……っ」
 「なんだよ、何の笑いだよそれは」
 「気にするなと言っただろう? お前は勃起状態を保つように努力しろ」
 「それは、大丈夫だ」

 緊張はしているが、ばっちり興奮もしている。好きな女にここまで観察されて、興奮するとは……、俺の隠された何かが顔を出しそうだ。

 「それならいい。続けるぞ。今度はこっちだ……」

 そう言いながらエルダは俺の玉を手のひらで転がしながら、ふむふむ、と観察している。というか、これ……観察とエルダは言っているが愛撫、だよな……。無自覚なのか、エルダちょっと微笑んでるし……。
 と、いうか。

 「うっ、く」
 「ん?」
 「いや、なんでもない」

 玉撫でられるの、気持ちいいんだが……。ぷにっとした肉球に転がされる俺の玉が――――ッ!!?

 「きゅふぁっ?!」

 刺すような強烈な痛みが駆け巡る。足が痙攣するほどの痛みだった。

 「おおっと。そうか、これぐらいだと痛みを感じるのだな」
 「マジ……あの、マジで……そこ、急所なんで、マジ……」
 「そんなに痛かったのか? すまん。だが、力加減は覚えた。今後はこうならない筈だ」
 「あぁ、そうなの……」
 「ん? どうした、先ほどよりもペニスの固さと形が縮んでいるぞ」
 「痛くて、ね……」
 「そうか。しかしこれでは正確に調べられないな」

 優しく宥める様に玉を転がしていたエルダの耳がぴん、と立ち上がる。

 「そうだ。一つ大事なものを忘れていた」
 「な、なにさ」
 「これだよ。……すぅー……はぁ」

 突然エルダは俺のモノに顔を近づけて、ゆっくりと鼻で…………!?
 え、あのっ、エルダさん、あなたは一体何を……。

 「なにを、していますか、あなたは」
 「何をって、見て分からないか? お前のペニスの臭いを嗅いでいる」
 「いや、それはわかっているんだけどさ、そういうんじゃなくって」

 嗅いでいる(キリッ)、じゃなくてだな。ああもう、こういうのも躊躇いなくやるってどういう神経なんだよ魔物娘ってのは!
 そんな俺などおかまいなしにエルダはうっとりとした表情で俺のペニスの臭いを嗅ぐ。そういえばウルフ種って鼻がかなり利くんじゃなかったか? だとしたら余計に……恥ずかしい。

 「すぅー……はぁぁ……❤ 何だ? 自分のペニスの臭いに自信が無いのか?」
 「違うよすげぇ恥ずかしいって事だよ! せめてシャワー浴びてから……」
 「それでは意味がない。汗をかいた後のにおいが重要なのだ。すぅぅぅー……❤ はぁぁぁ……❤」

 縦にぴんと立った耳は忙しそうにぴくぴく、と動いて、ふさふさの尻尾は右から左へ、右から左へと忙しない。この人は本当に真面目にやっているのだろうか。試験と称して自分の趣味に走っていたりしてないか? その辺どうなんだ。

 「なぁ、試験とお前は言うがな」
 「すぅぅ……❤ なんだ?」
 「実はお前の趣味趣向なんじゃないだろうな」
 「すぅー……❤ どういう意味だ」
 「つまり、臭いフェチ」

 びくん、と耳が跳ねる。お、図星か?

 「我らアヌビスは元々嗅覚が鋭い。私はお前のペニスが私にとって心地のいい臭いであるかどうかを調べているのであって、私は――」
 「つまり、臭いフェチなんだな」

 ぎろりと睨まれてしまったが、自分のアレを握りながら頬を赤く染めているから、可愛いと思える。ほら、尻尾も嬉しそうにぶんぶんって。

 「もう知らんっ! 次に移る!」
 「次って、まだあるのか……」
 「もちろんだ。視覚、触覚、嗅覚と調べたのだ。最後に重要なものが残っているだろう?」
 「…………もしかして」
 「その、もしかしてだ」

 ふふん、と笑ってからエルダは紅く瑞々しい舌を出して、俺のペニスの筋の裏から先までぺろっ、と一舐めした。肉球のぷにっとした感触もよかったが、こっちの生暖かい感触は思わず快感の吐息が出てしまう。一瞬だったが、それほどの快感があった。
 足りない。もっとして欲しいと思う。手では絶対に味わえないこの感触は病み付きになってしまいそうだ。それも、してくれるのがエルダなのだ。この言葉にするのも難しいこの気持ちは……。
 そうか、フェラチオってこんなにも……いいんだ。

 「……ふむ。汗の味が混じっているが、それだけではないな」
 「――――て、――れ」
 「うん? 今なんと言った?」
 「もっと……、続けて、くれ」

 フェラチオがこんなにもいいものだと知ったら、もっと、もっとして欲しいと願うようになってしまう。
 喉が渇いて一口水を飲んだ時、もう一口飲みたいと思うその心理と似ている。だが、こちらの場合はもっともっと舐め続けて欲しい。最後の最後まで……。
 そんな俺の欲望を読み取ったのか、エルダは淫靡な笑みで答えた。

 「もちろん。お前のペニスを、もっと味わうつもりだ……❤」
 「あぁ、頼む……」
 「ふふ、気持ちが良かったのか?」
 「正直、たまらん」
 「……❤ いいぞ、もっと、してやるからな……❤」

 エルダの瑞々しい舌が、俺のペニスの根元から先まで丁寧に舐め上げられていく。全体的に満遍なく、焦らす様に味わっていく。もっともっと、と俺の脳が命令信号を発するが、それを歯を食いしばって止める。下手に動いてはいけない。心配しなくても、エルダはきっと最後までしてくれるだろうから。
 次第に俺のペニスはエルダの唾液で濡れて、痛みで縮んでいた形も、完全に勃起状態になった。それに気を良くしたのか、エルダは満足そうに鼻息を鳴らして、見せ付けるように舌で俺のペニスを舐め続ける。

 「んっ、はあぁ……❤ お前の汗と、腺液が混じって、とても美味しいぞ❤」
 「腺液、って……?」
 「カウパーの、事だ❤」
 「あ、あぁ……」

 どうやら、俺のペニスはしっかりとエルダのフェラチオに感じているらしい。エルダの舌先が根元から亀頭へ達する時、無意識に跳ねるのが証拠だろう。それに、好きな女性に自分のペニスを舐めてもらうというこの、高揚感と支配感は俺の中の男をどうしようもなく刺激してくれる。呼吸が荒くなり、与えられる快感を貪欲に求める。

 「そこ……、先の部分が……」
 「ん? ここ、か?」

 俺のペニスを横笛のように見立てて、舌全体でねっとりと舐め上げるエルダ。分泌され続けるエルダの唾液が床に滴り落ちる。
 思わず、生唾を飲み込んだ。

 「あぁぁ、そこ、気持ちいい……」
 「ふふっ、そうか。ではこの部分も……どうだ?」

 そう言ってエルダはカリの部分を舌先でくすぐる。すると、びくんと腰が跳ねた。
 先の部分が落ち着いた快感ならば、こちらの場合は刺激のある快感だった。

 「う、ああっ!?」
 「……はぁ❤ 見つけたぞ、お前の弱点……❤ それに、いい声で鳴いてくれる❤」
 「く、そういう事、言うな……」
 「いいんだ、ここには私とお前しか居ないのだ。私に全てを委ねろ……❤」

 甘美な言葉で俺を誘惑するエルダは、本当に文字通り全てを捧げてしまいたくなる。そんな俺のだらしのない顔に気を良くしたのか、エルダは甘い言葉を囁きながら俺のペニスに舌を這わせる。

 「初めてフェラチオと言うものをしたが……」

 先から根元、根元から先へ。首を横に振りながら舌で俺のペニスを磨いていくエルダ。

 「これは、私も病みつきになりそうだ……❤」

 上気した頬、潤んだ瞳、だらしなく出した舌、ウルフ種特有の鋭い犬歯。エルダの全てが扇情的で、学校で見るエルダとは正反対の表情だ。なんというか、エロすぎる。これが本来の彼女の本質なのかもしれない。魔物娘だしな。エロくて当たり前だ。
 …………今のこの状態をエロダと命名しよう。ほら、エルフをエロフと呼ぶのと一緒だ。

 「なんつーか、エルダ、エロいよ……」
 「ふふ、私にエロスを感じるか。良いぞ。存分に、興奮するといい……❤」

 俺の発言に気分がよくなったのか、エロダ……もといエルダは胸の装飾が綺麗な服、というかもはや水着にしか見えないが、それを上へとずらし、ぷるん、と胸を惜しげもなく晒した。

 「エ、エルダの、おっぱいが……」
 「どうだ? 私の胸は、綺麗か?」

 綺麗な形のお椀型の胸は、エルダがペニスをしごくたびに形を変えて柔らかそうだ。そして褐色肌でも乳首は違うらしく、ピンク色でつんと立っている。ああ、なんて、無性に触りたくなるおっぱいなんだ……!

 「綺麗だ……。そうか、こんなおっぱいだったのか……」
 「む? どういう意味だ?」
 「運動をしているエルダのおっぱい、隠れて見てたからな」
 「スケベめ。他の女にもそんな色目で見ているのではないだろうな?」
 「うっ、それは……その」

 正直、魔物娘は誰もが美人でスタイルはいい。ロリ系の魔物娘は例外だが、大抵はいい身体のラインなのだ。そりゃあ、胸を武器にしている魔物娘は多いのだから、男である俺は自然と目がそこへ――――。

 「全く、惚れた男が浮気性では苦労するな」
 「う、すまん…………え?」
 「ふふ、今更か?」

 余裕の表情でエルダは笑う。快感に流されてしまっていたが、考えればすぐにわかる事だ。エルダは簡単に男のペニスに触ったり舐めたりはしないだろう、と。

 「惚れた男でなければ、こうやって……」

 エルダはわざとらしく、まるで水を飲む犬のように亀頭を舌で弄んでから、

 「フェラチオなど、しないぞ……。お前だから喜んでするのだ」
 「そ、そうか。そうだったのか」
 「嬉しそうだな?」
 「お、おま、嬉しいなんてもんじゃ……」

 下半身を晒しておいて喜ぶというのもなんだか間抜けだが、自分の恋が両思いなのだと知れば誰だって嬉しい。

 「ん? ……ふふ、私の胸を見た時も硬くなったが、さらに硬く大きくなるとはな……。気持ちの表れか?」

 素直すぎる俺のペニスに、エルダは何度も何度も愛でるようにキスを繰り返した。そしてゆっくりと口の中へと含んでいき、奥まで咥えたかと思うと先端まで戻り、また奥まで。適度な吸い込みと口内の柔らかさはまるでペニスが溶けてしまいそうなほどだった。

 「ん、アイン、ペニスが震えているぞ。感じてくれているのか?」
 「感じてるなんてもんじゃ、ねぇ……。やべぇ、溶ける」
 「そうか。……そうか❤」

 お世辞抜きの感想にエルダはよりねっとりとしたフェラチオを始める。今度は舌も駆使し、裏筋をくすぐるように舐めたり、亀頭全体を舐め回したり。射精させるような急速なフェラチオではなく、徐々に快感を高めていく、愛撫のフェラチオ。決して一人では味わえないそれに、いつの間にか俺はだらしなく口を開けていた。
 口内がこれほどまでに気持ちが良いと、いざ本番となるとすぐに我慢出来なくなって出してしまうのではないだろうか。というか、初めてな筈なのになんでこんなに上手いんだ……。

 「すげ、気持ち、いい……練習でもしてたの、か?」
 「……ぷぁ。練習はしていたぞ。ねぶりの果実があるからな……」
 「あぁ、あれか。あれ苦くて食えたもんじゃないんだが」
 「それは果汁の方だな。果肉はとても美味しいぞ?」
 「いや、そうかもしれないんだがな。なんかあれ、男のアレみたいだろ?」

 食べ方も舐めてしゃぶって果肉を出すという行為が完全にフェラチオだ。どう考えてもあれは女性用のフェラチオ練習の果物である。

 「まぁ、そうだろうな。しかしそれのお陰でこうやって……」

 水音を立ててエルダは俺のペニスを口に含んでいく。思わず吐息が漏れて腰が震える。

 「しっはりと、おまえに、かんじへ、もらへるらろ?」
 「あぁ、そうだ、な……くっ」

 咥えられたまま喋られると息が直接当たってくすぐったい。いつの間にかそれほどまでに敏感にさせられていたようだ。すごいな、ねぶりの果実。もしかしてこの街で生まれた魔物娘は全てねぶりの果実を……? ねぶりの果実を作っている農家はウハウハだな。……その嫁さんがグールだったら面白いのだが。

 「……くっ」

 ああくそ、無駄な事を考えられなくなってきた。それもエルダによる緩やかなストロークのせいだ。じっくりと刺激を与えて感度を高めていくそのテクニックは、情けない事に甘んじて受け続ける事しか出来ないだろう。男は女と違って一度絶頂を迎えてしまえばもう一度射精するのに時間がかかる。強制的に連続で発射も可能だろうが、それだけ負荷も多くなる。インキュバスになってしまえば問題は解決だが。
 それともう一つ、男と女の絶頂の違いは男の場合は区切りで女の場合は通過点で大きさも違うという事。男は絶頂すれば射精する。だが女は絶頂してもさらに快感が高まる事でさらに上の絶頂を迎える。その違いは大きい。急斜面の山かなだらかな山かの違いだ。
 しかし、男でもなだらかな山のように徐々に高めていくのは可能だ。セックスでも可能だが、オーラルセックスならより簡単に可能になるだろうが、問題点はある。それは、とてももどかしい≠ニいう点。何もかもがご褒美ですというダークエルフのパートナーじゃあるまいし、俺はまだ一般的な人間だ。それにいつもは一人でしているから、自分なりのペースもある。故に、とろけるような緩やかな快楽がずっと続くのは天国のような心地であり、かつ拷問を受けているかのような地獄でもある。……ほんとマジ、ダークエルフのパートナーは完全に調教が行き届くまでしんどそうだな。
 ともかく、俺はエルダによる焦らしのフェラチオに我慢できずに腰を前へと動かしてしまった。

 「……こら。腰を突き出すな」
 「あ、あぁ、すまん。無意識にやっちまった」
 「どうした? もしかして我慢出来なくなってきたか?」
 「わかってて続けていたのか?」
 「それもあるが、どれだけ快感に耐えられるかの検証も兼ねている」

 ……何処までもアヌビスは真面目だな。いやまぁ、フェラチオは気持ちいいからいいんだけども。

 「それで……その検証はまだ続くのか?」
 「可能ならばあと三十分ぐらいは続けたいが」
 「無理。無理だから」

 あんな天国で地獄のような溶けそうになる快楽が三十分も続いたら、意識が何処か遠くへ行ってしまいかねない。それだけはなんとしてでも止めなければならない。
 俺の必死の説得にエルダは溜息をついてから、渋々頷いた。

 「わかった。それはまたの機会にしよう」
 「出来れば来ないで欲しい」
 「まぁ、機会はいくらでもある。それはそれとしてだ。次の検証を始めたいのだがいいか?」

 今度は何の検証なんだか……。もう焦らしの検証は勘弁してもらいたい。今にもエルダの頭を掴んで強引にしてしまいそうなのだから。

 「わかった。でももう焦らされるのはやめて欲しいんだが」
 「なに、心配するな。次は……」

 そう言ってからエルダは俺のペニスを深く咥えてから、にこ、と微笑んだ。何故かその微笑みに嫌な予感がした。

 「ふひは……しゃへぇのけんしょうら」
 「あー……射精?」
 「そうら……。はひめふろ」
 「了解……ぃぃぃぃっ!?」

 俺が頷いたのと同時に、エルダは両手で俺の腰を固定し急激な吸引を始めた。そしてそのままわざとらしいまでに大きな水音を立てながら激しいストロークを始めたのだ。さっきまでの緩やかなフェラチオが嘘のように早かった。自分でする時もこんなに早くなんかない。あまりの強烈な刺激に萎えてしまうのではないかと思ったが、エルダの素早いフェラチオに俺のペニスはしっかりと対応していた。と、いうか、そんな事を考えていたら。あ、あ、やべ、もう、出、出、る、出ちま、う……ッ!!

 「エルダ、エルダ……っ、もう、出る!」

 もう射精する事を伝えてもエルダは止まらない。余りの速さに本当は俺が腰を振っているのではないかと錯覚してしまう。
 感度を高める為のねっとりとしたフェラチオによって蓄積した快感が一気に爆発しようとしている。腰ががくがくと震えて、足は痙攣する。苦しそうな声を上げてもエルダはフェラチオを続ける。このまま出してもいいと、行動で示している。
 ああ、もう本当に我慢できない。
 学校では品行方正なエルダの口内に。ずっと好きだったエルダの口内で。俺の欲望の塊を、ぶち、撒ける――――ッ!

 「…………ッ!!!」
 「うぶっ!?」

 どくん。
 どくん。
 どくん。
 大きく三度、俺のペニスから精液が発射されたのを感じた。マジで、本当に根こそぎ吸われ尽くしてしまうのではないかと思う程の大量射精。
 今までこんな風に出した事などなかった。頭の中が真っ白になり、だらしなく口を開けて俺のペニスを咥えたまま口内で精液を受け止めるエルダを眺める事しか出来ない。
 エルダはというと、口内に出された精液を吐き出す事も飲む事もせずに、呼吸を整えていた。苦しくても決して止める事をしなかったからか、目からは涙が零れている。

 「お、おい……はぁ、はぁ、どうしたんだ? 咥えたまま止まって……」
 「…………」

 エルダは返事をせずに、ゆっくりと吸いながらペニスを吐き出してから、なんと俺の精液を咀嚼し始めた。もしかして、これも検証の内?
 目の前で自分の精液の味を確かめられるというのは、気まずいというかなんというか。どう考えても不味いと思うのだが。
 そして十分に味わったらしく、一気に飲み込んだ。

 「……はぁ❤ ……はぁ❤」
 「お、おい……」
 「アインの子種汁、とても美味だったぞ❤」
 「そう、ですか」

 ……滅茶苦茶に恥ずかしい。精液と呼ばずに子種汁とか言われて余計にだ。俺の反応を見てあえてそんなエロい言葉を使っているんじゃないだろうか。エロダさんマジエロダ。
 大量に射精して身体が動けない俺に、エルダはタオルで俺のペニスを綺麗に拭いてくれた。一応これで全身を拭いてもらった事になる。途中エロ漫画みたいな展開になったけど。まぁ、今日は身体的にとても疲れた日だったが、俺とエルダは両思いなのだとわかったからよしとしよう。それにしても、いっつも俺に怒ってばかりだったエルダが俺の事を好きな理由はなんだ? 先日の告白なんか玉砕覚悟だったのに。気になって、軽い気持ちで聞いてみたのだが。

 「なぁ、エルダが俺の事を好きだって、本当なのか?」
 「私が嘘をついているとでも? 私が本当は相手を選ばずに男の精液が飲みたいが為に試験だと偽り、自分の恋心をも偽りにしてお前の精液を飲もうと画策しているような女に見えるのか。そうかそうか。よくわかった」
 「あ、あの、エルダさん」

 それが大間違いだと悟るには余りにも遅すぎた。

 「アヌビスは代々親から子へ数々の呪術を伝える。中でもマミーの呪いは特別でな」

 口角がニィィィ、と上がり、鋭い犬歯が光り輝く。背筋がぞぞ、と悪寒が走った。エルダは今、とても怒っている。何を言っても時既に遅しである。

 「お前の素肌がマミーのように敏感になるのだ。そんな状態になったお前をこの手で責めたらどうなってしまうだろうなぁ……?」
 「ひ、ひぃぃっ」
 「快楽に悶え、快楽に溺れ、快楽によって私の愛を知るがいい……」
 「ちょ、待っ――――!!」



 そこからの記憶は、すっぽりと抜け落ちている。



 深い眠りから目覚めた俺は、爽やかな朝を迎えていた。ふかふかで温かいベッドに小鳥のさえずり。目覚めには最高のシチュエーションだった。それがなんだか嬉しくて、上機嫌の俺は起き上がりあくびを一つ。
 と、そこで今自分が覚えている最新の記憶が蘇った。それは激昂したエルダが俺に向かってマミーの呪いを……。
 だが俺の身体はなんともない。今からジョギングを始めても良いくらいに調子は良好だし、ベッドは体液でドロドロ、ではなく綺麗だ。……というか、俺、エルダの部屋で一晩を過ごしたのか……。どうせ俺の親は心配してないし、休息日なのだから構わないはずだ。
 さて、肝心のエルダは何処に行ってしまったのだろうか? 部屋を見渡しても居ないし、もしかしたら一階に居るかもしれない。早速降りてみよう…………と、思った俺の視界に、ある一枚の紙があった。
 アイン・ジャバード適性試験≠ニ書かれた紙は、間違いなく、昨日エルダが書いていたメモだ。一体どんな内容なのかと手を伸ばそうとしたら、部屋のドアが開き、可愛いエプロン姿のエルダが入ってきた。

 「漸く目覚めたか。お前の寝ぼすけっぷりにはほとほと呆れる」
 「そりゃすんませんね。ところで――」
 「身体の調子はどうだ?」
 「んぁ? まぁ、なんかすこぶる好調だな」
 「そうか。それならよかった。私の作った料理の効果が出たな」
 「……?」

 俺、いつエルダの手料理なんて食べたんだ? そもそも俺はマミーの呪いをかけられてそれどころじゃなかったのではないだろうか。覚えていないからわからんが。

 「私も反省しているんだ。まだ人の身体のお前に呪術をかけてしまったなんて。いつも冷静な生徒会長が聞いて呆れるな」
 「それに関しては、俺も悪いっつーか、俺に原因があるっつーか」
 「いいんだ。私もそれについカッとなってしまった。ここは両者ともに原因があり、反省もしているのだし、不問としよう」
 「あぁ。それがいい」

 記憶にはないが、恐らく俺の身体をエルダは一晩中愛してくれた。しかもその後身体を綺麗にして服も着せてくれた。眠っていたベッドもふかふかだったし、何から何まで完璧だ。

 「それにしても、昨日のお前は凄まじかったな」
 「ん?」

 一緒に一階へ降りていると、エルダが恥ずかしそうにそう言った。頬を赤くして尻尾は左右にゆっくりと揺れている。

 「マミーの呪いをかけた瞬間、お前は飢えた獣のように……その……私、を……」
 「……ん? ん?」

 なんだか、様子がおかしい。記憶がないのでてっきり俺はずっとエルダにヤられっぱなしなのだと思っていた。それで俺は気絶して……と思ったのだが。

 「覚えていないのか? 私の中に、溢れ出すほど精液を出したというのに……」

 エルダはますます恥ずかしそうに俯く。可愛い。可愛いが、聞き捨てならない事を聞いたぞ。
 今、私の中に、と言ったか? それはつまり、その。

 「なぁ、エルダ」
 「な、なんだ?」
 「俺、エルダとセックス、したのか?」
 「だからさっきそう言ったではないか。私を羽交い絞めにして後ろから何度も何度も……ううっ」
 「…………」

 こちらを責めるような視線だったが、まんざらでもなさそうだ。だが、その記憶は全くない。エルダは覚えていても俺が覚えていないのだ。

 「初めて……だったのだからな……❤」

 ぐああああああああああ!!!! なんという、なんという事だ! 俺は、俺は、自分の童貞を捨てた記憶もエルダの処女を奪った記憶すらも失ったというのか!! しかも、俺から襲い掛かったとか!
 さらに俺の愚息はエルダの話と可愛い仕草に戦闘態勢である。朝勃ちではなく、れっきとした発情からの勃起だ。

 「ん、こほん。それよりも、朝食にしよう。腹は減っているだろ?」
 「…………」

 出来立ての朝食をテーブルへ運んでいるエルダの後ろ姿を、俺はじっと見つめる。昨日の露出の高い衣装のままで、引き締まっていて形の整っているお尻から、目が離せない。それにこちらを誘っているのかと疑うほどに揺れるふさふさの尻尾。俺は思わずその尻尾をぎゅ、と掴んでしまった。

 「んああっ!? ど、どうしたいきなり尻尾なんか掴んで」

 案の定、エルダは驚いて困惑した表情で俺を見る。だが、俺は何も答えずに今度はぴんと立った立派な耳を指でなぞり、さらさらで艶のある黒髪を撫でた。

 「ん、くふっ、どうしたんだ、黙って私に触るなど……きゃんっ!?」

 ぐい、と引き寄せてその耳を口に含む。するとエルダの腰が面白いようにびくびくびくっ、と動いた。可愛い。

 「ふぁああっ❤ みみ、耳はっ、やめてくれっ❤ それに、私とお前はこれから朝食を、だな、きゃっ!?」

 もう我慢出来ない。俺は素早く勃起したペニスを出してエルダのアソコに服の上から押し付けた。
 と、ここである事を思いついた。エルダをテーブルに突っ伏す形にさせて、お尻を寄せて俺のペニスを挟むようにしたのだ。所謂、尻ズリである。

 「やめ、やめてくれっ、こんな事、私の予定にはっ❤」
 「…………」

 エルダの言葉を聞き流して、腰を前へと押し付ける。ハリのあるエルダのお尻は、水を軽々と弾いてしまうほどだろう。気持ちいい。エルダのお尻は最高だ。いつも学校の体育で見ていた、ブルマのエルダのお尻を見ていた時からこうして触りたかった。ああ、エルダのお尻。エルダの、お尻……っ!

 「あ、ああっ❤ こんな、こんな変態的な行為っ❤ 私、昨日の晩に処女をお前に奪われたばかりだと言うのにっ❤」
 「…………」

 それは魔物娘の無意識なのか。男の征服欲を満たすような、劣情を煽る様な言い方をしてしまうのは。ああ、また俺のペニスが硬くなった。

 「ひゃ!? そんな、また大きくなるなんて……❤ お尻から伝わる、お前の、アインのペニス……❤」

 このまま一度出してしまってもよかったが、折角だ。気分も最高に盛り上がっているし、エルダも戸惑っているが抵抗する様子はない。昨晩にエルダを襲ってしまったなら、もう同じだ。……もしかしたら、まだ俺の中にマミーの呪いが残っているのか? ああ、でも。

 「きゃんっ!? いやっ、いきなり下にずらさないでくれっ」

 もうそんな事どうでもいい。目の前に居るこのアヌビスを。エルダを。

 「あぁあっ❤ アインの、アインのペニスが、私のアソコに当たって……❤ い、入れてしまうのか……? こんな朝から、私、犯され……❤ 犯されて、愛されてしまうのか……❤」
 「……ぐがぁあっ!!」

 ――――犯す事しか考えられない。

 「ふああぁぁああ――――っ❤ 入ったぁ❤ アインのおちんちん、きたぁ❤」

 犯す。犯す。犯す。犯す。

 「あっ❤ あっ、あっ、あっ、あっ、あぁぁあぁぁーっ❤」

 犯す。エルダを犯す。

 「後ろからっ❤ こんなに、激しくっ❤ あぁぁあっ❤ すごいのぉ❤」

 エルダが喘ぐ。今まで、怒った表情しか見た事がなかった生徒会長のエルダが、今ではだらしなく舌を出して俺に犯されるがままだ。
 それが何よりも興奮する。

 「きゃふっ❤ 気持ち、いいっ❤ 乱暴にされているのにっ❤」

 そうだ、彼女は。エルダは、俺の、俺専用のアヌビスだ。
 俺の、俺だけの、可愛い、可愛いワンちゃんだ。

 「や、やぁっ❤ そんな、私は、アヌビスだっ❤ そんな、ワンちゃん❤ なんて、言わないでぇ❤」

 ワンちゃんだ。後ろから犯されてされるがままに感じている。それの何処が違うというのか。

 「私は、アヌビス、だぁ❤ ウルフ種のっ、誇り高い、アヌビス、なのにぃ❤」

 誇り高いアヌビス様は、こんなにおまんこを濡らして俺のペニスを美味しそうに咥えるのか? 離したくないってきゅうきゅう締め付けているのに?

 「そ、それはっ❤ 相手がアインだからだぁ❤」

 俺だけか? 俺にしかこうはならないのか?

 「当たり前だぁっ❤ お前以外になんて考えられない❤ お前の、アインの、おちんちんしか欲しくないっ❤」

 まさに忠犬だな?

 「――――っ❤ ちが、ちがうっ❤ そうじゃなくって❤」

 ほら、わんこみたいに鳴いてみせてくれよ。

 「や、やだぁ❤ そんな、はしたないっ❤ あ、ああ、あぁンッ❤」

 しつけのなっていないワンちゃんだな、そんなワンちゃんには、こうだ!

 「あっ!? やぁあっ!? そんな、お尻、叩かないでぇっ❤」

 お? 締め付けがまた強くなったぞ。もしかして気持ちいい? そんなに強く叩いたつもりはないが、もしかしてワンちゃん、マゾっ気ある?

 「そんなはずはっ、きゃあんっ❤ きゃふっ❤ あ、あ、あっ❤ きゃいぃぃんっ❤」

 ああ、可愛いよその声。すっげぇ興奮する。

 「か、かわ、かわいいなんて❤ はしたない、のに❤」

 それが可愛いんじゃないか。今のワンちゃんの表情、すげぇそそる。

 「っ❤❤ かわいい? わたし、かわいい?」

 可愛いよ。俺のワンちゃん。大好きだ。

 「〜〜〜〜〜〜っ❤❤❤」

 うおおおっ!? すげ、締まりが……。それに足ががくがく震えて……。もしかして、イッてる?

 「〜〜〜〜っ❤ わふっ❤」

 お?

 「わ、わふっ❤ もっと、もっと欲しいわんっ❤ アインのおちんちんっ❤ もっと、もっとくださいっ❤」

 認めちゃったか。可愛いよ、俺のエルダ。ほら、ご褒美だっ。

 「きゃいぃぃぃんっ❤ きたぁっ❤ またピストンきたぁ❤ わんっ❤ わんっ❤ ワンちゃんセックス気持ちいいわんっ❤」

 ははは、気に入っちゃったかぁ。いいよ、もっともっとしてあげよう。

 「わふぅ❤ いいっ❤ いいっ❤ このまま、このままいっぱいいっぱい、ごしゅじんさまのはらませせいえき、ほしいわんっ❤」

 く、なんていやらしいワンちゃんなんだ。これだけよがってまだ欲しがるか。

 「だって、だってだってぇ❤ わたしのおまんこっ❤ ごしゅじんさまのこぉぉいせいえき、ほしがってるんだもんっ❤」

 いいぞ、このまま、このままだ! スピード上げるぞ!

 「わふっ、わふぅっ❤ はげしいわんっ❤ また、またわたしのおまんこがぁ❤ い、いくぅ❤ いっしょにイきたいって❤ ふぁあああぁぁんっ❤」

 よし、一緒だ。一緒に仲良くイこう。イくぞ、エルダ!

 「きゃひぃぃ❤ きてきてきて❤ エルダのごしゅじんさませんようおまんこにっ❤ きてきて❤ にんしん❤ あかちゃん❤」

 うお、おおおおおおおお――――ッ!!

 「あ、あ、あぁあぁあああぁぁんっ❤ イクぅぅぅ――――っ❤❤❤」

 あ、く、うう、すげ、射精、止まらねぇ……まだ、出る……。

 「わ、わふっ❤ たくさんっ❤ きてるぅ❤」

 はぁ、はぁ……。エルダ……。

 「わふ……?」

 好きだ……もう、離さないからな。

 「わふぅ❤ わたしも、だぁいすきぃ……❤」






 アイン・ジャバード適性試験

 学力テスト:それ以前の問題。カンニングという手段を使うその性根は要修正。だが、正直に自慰の事を記入した点は評価したい。学力向上の為に、これから毎日勉強を見てやろう。

 体力テスト:まだまだ足りないが、最後までやり遂げたその気合は評価出来る。

 男性器:匂い、味、共に良好。持続力は意外とあるようだ。精液の量も質も申し分ない。しかしマミーの呪いをかけた後の暴走は想定外だ。正直、何度絶頂したかわからない。

 総合評価:B

 ぎりぎり合格といったところか。これからの私の教育で伸びる事を期待する。私ならやれる。アインもそうに違いない。






 (一番下に小さく書かれている……)

 もう、離さない❤
13/07/25 05:20更新 / みやび
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■作者メッセージ
と、言う訳で。
本編とは離れてこんなのをこっそりとこしらえていました。擬音縛りだったのですが、最後の喘ぎ声でぶっ壊れたような気がします。まぁいいか。
登場人物は「サバトが街にやってきた!」と「しあわせの街その2」で市役所役員として登場したアインと、同じく「しあわせの街その2」で登場した図書館受付のアヌビスのエルダです。
時系列的には……マンティスのレオナのお話よりもちょっと後ぐらいかな(適当)

本編ですが、またゆっくりとおまちくださいませ……。

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