読切小説
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ゆめみがちなおふたりさん
 どこにでもある学校のとあるクラスには、とにかくよく眠る少年がいる。
「……ぐぅ」
 とは言え、彼も好きで寝ているわけではない。
 授業中であろうと、耐え難い眠気に問答無用で襲われ、従わざるを得なくなるのである。
「せんせー、カガミくんがまたねてま〜す」
「はいはい、起きなさいカガミくん」
 彼――カガミくんが寝ると、同じクラスメイトの誰かが告げ口をして、先生がやる気なさげに起こす。
 しかし、その程度でカガミくんの眠気を払拭できるはずもなく。
「むり……ぐぅ」
 彼の寝息は止む事を知らなかった。
「無理と言われましたので、諦めることにします」
「もっとちゃんとおこしてよー!」
「先生は神じゃありません。出来ることと、出来ないことがあるのです」
 先生は良くも悪くも現実的だった。
 大人になる事は悲しい事だという事を、子供たちにもしっかり教え込んでいるのである。
 しかし、子供たちがその事を受け入れるには、人生経験が足りなすぎていた。
「…………」
「はい、今”自分も寝よう”とか考えた子。みんな廊下に立ちなさい」
 先生のその言葉を聞いて、頭を伏せようとしたり、しなかったりしたクラスの子供たちがぞろぞろと廊下へと出ていく。
 カガミくんも寝息を立てながら出ていく。一応話は聞いているらしい。
 そして、このクラスは先生の一声で瞬く間に学級崩壊と化したのであった。

 授業が終わり、帰りの会も終わって解散となった放課後の事だった。
 みんな、思い思いに下校していく中、カガミくんも重すぎる瞼を必死に開けながら学校を出て行く。
「カガミくん、またねー」
「……ん」
「カー、オレんちでゲームしようぜー」
「…………また今度」
「カ・ガーミン、今日は俺と一緒に剣を振るいにいかないか」
「……………………嫌だ」
 別れの挨拶や遊びの断りや、意味不明な誘いの拒絶をそこそこに、家へと向かって歩いていく。
 しかし、その首は既に船を漕いでいて、限界が近かった。
 カガミくんの家はまだ見えてもいない。
 そんな状況では、家に辿り着くまでに間に合うはずも無く。
「……ぐぅ」
 残念すぎる事に、カガミくんの意識はその場で落ちてしまった――のだが。
 なんと、寝息を立てながら歩き出したのである。
 その歩調は意識があった時よりも、幾分かしっかりした足取りだった。
 そのまま、寝ながらにして家路を辿り始めた。


 しかし、やはり寝ながらにして帰宅するのは無茶があったのだろう。

「……ん」

 次に意識が戻ったころには、まるで知らない場所にいた。
 そこそこに生えていた森林の緑は、見慣れない色になっていて、積木のようなオブジェクトや、大きなおもちゃのようなものが、あちらこちらに散らかっている。
 知らない場所と言うよりも、知らない世界、と言った方が正しかった。

「……夢?」

 常に眠気に晒されているカガミくんであっても、常識的な知識は持ち合わせていた。
 こんな場所は近くの公園には無いし、例えどこかにあったとしても、彼の一眠りの時間で辿り着ける場所にはまず存在しない。
 ならば、この世界は自分の見ている夢だ、と結論付けるのが一番手っ取り早かった。

「…………ぐぅ」

 そして、例え夢の中だとしても、睡魔の脅威に逃れることは出来なかったようだ。
 夢であっても彼がすることには変わりはない。
 睡魔が襲ってくるのであれば、それに従いつつ散策するだけだった。
 そうして、一歩踏み出した時である。

「ねながら、あるいちゃ、らめぅ……」

 女の子の寝言のような声が聞こえた。
 重すぎる瞼を辛うじて開けながら振り返ると、そこにはカガミくんと同じくらいの女の子がいた。
 太腿の近くまで伸びた長い茶色の髪、頭に大きな二つの丸耳。
 首元に青いクローバーを模したブローチの付いた濃紫のリボン。
 白いトランプ柄の模様がある桃色のパジャマ。

「むにゃ……れんじゃらぅ……」

 眠そうな目を擦るその片手は、白い顔と違ってとても赤い。また、パジャマの袖から伸びている手首は、モコモコした毛皮のようなものに覆われていた。
 彼女の後ろ側で、揺れている尻尾も見える。

「……かぜひくよ」

 何よりも、パジャマのボタンを一つも付けずに、身体の前面を全開にしているという、風邪引き上等な格好であった。
 お腹だけではなく、下着のドロワーズすらも開けっ広げにしながら、カガミくんの前に立っている。
 この夢の世界がいくら暖かいとはいえ、それでもお腹を晒しながら寝るのは風邪を引く元となる。
 四六時中寝ている彼だからこそ、何よりも体調管理に重きを置いているのである。
 頭にネズミのような耳が生えているだの、手足が人間とは異なり、さらに尻尾が生えていて、自分たち人間とは違うことなど、”風邪引かせてください”とでも言わんばかりの格好の前では、あまり重要なことではないのである。

「んん……らいじょうぅ……」

 しかし、女の子はパジャマのボタンを閉めようとはせず、チーズのクッションをお腹に当てて応急処置を施した。
 その様子をボーっと見ながら、カガミくんは、どうやってこの子にパジャマのボタンを閉めさせようか、と思考する。

「ねながら、あるくの、らめ……れったい」

 いつの間にか、目の前には女の子が来ていて、こちらの手を取ってきた。
 相変わらず、チーズのクッションをお腹に当てている。
 その姿がとても印象的だったので、カガミくんは、この子を"チーちゃん”と勝手にあだ名を付けることにした。

「チーちゃんがボタン閉めたら……考える」
「!」

 あだ名と言うのは即使うのがカガミくん流だった。
 しかし、その名前に反応したのか、眠そうにしていたチーちゃんが驚きに目を少しだけ見開いていた。

「なまえ……しってぅ……の?」

 どうやら、彼女の名前に絡んでいる名前らしい。
 少しだけ嬉しそうに身体を寄せてきた。
 しかし、カガミくんは残念なお知らせをお伝えしなければならなかった。

「……知らない」
「…………ふみゅ」

 チーちゃんはちょっとだけ残念そうに鳴くと、しょげるように俯いてしまう。
 ただ、その際に目も閉じているので、夢の中に逃げ込んだようにしか見えなかった。

「んゅ……カーくん」
「!」

 と、いきなり呟かれた言葉に、カガミくんは身体に電撃が走るような衝撃を受ける。
 その言葉は、カガミくんのあだ名の一つでもあった。
 この場には彼とチーちゃんしかいない。
 つまり、チーちゃんはカガミくんを呼んだと見て間違いなかった。

「名前……知ってるの?」

 思わず聞き返す。
 彼女と繋いでいる手がひどく熱い。
 そして、今度はチーちゃんから残念なお知らせをお伝えされることになる。

「むにゃ……しらない」
「…………ん」

 そう言われて、体温が平熱以下へと下がっていく。
 当たり前だった。二人は初対面なのである。
 となると、どうやら彼女も、カガミくんに対するあだ名を勝手に付けていたようだ。

「えへへ……あたってた」

 嬉しそうに言いながら、チーちゃんはカガミくんと繋いでいる手にきゅっと力を込めた。
 お互いがお互いの名前を知らずにあだ名を付け、そのあだ名が共に名前に絡んでいたのである。

「これこそ、うんめい……れすてにぅ」

 チーちゃんがそう呟くのも無理はなかった。
 しかし、カガミくんにとって、これは夢なのである。
 夢ならば、この都合の良い展開も簡単に納得出来てしまう。

「…………」
「んにゅ……カーくん?」

 気を引くように、握っている手をくいこくいこと引っ張るチーちゃん。
 彼女も眠いのである。故にその力は限りなく弱かった。

「ねぅなら、いっしょ……」

 彼女の手から伝わる体温は、眠気を誘発させるにはちょうどいい温かさだった。
 身体に電撃が走るような衝撃を先ほど受けていても、それでも眠気が消え去ったわけではない。
 それはチーちゃんも同じようで、チーズのクッションを抱えながら目を擦るその姿はとても眠そうだった。

「むにゃ……らんれぅ」

 そんな彼女の仕草や表情がカガミくんとシンクロし、眠気として大量に襲い掛かってくる。
 そうなる前から襲ってきていた睡魔たちに、抗えるはずも無く。
 むしろ、抗おうともせず。

「ん……ぐぅ」
「んにぅ……えへー……」

 手を取られたまま、カガミくんの意識は睡魔へと飲み込まれた。
 チーちゃんもその寝息を聞いてか、一度だけ耳をぴくんと動かすと、嬉しそうに笑いながら目を閉じる。
 二人は手を繋ぎ、夢の世界でさらに深い夢へと落ちていく。
 横にならず、立ったままで。

「…………ぐぅ」
「すぅすぅ……」

 静かに寝息を立てる二人。
 しかし、カガミくんは大事な事を見落としていた。
 チーちゃんはただの女の子ではなく、ドーマウスという魔物さんなのである。
 この魔物さんは、睡眠中にその魔力を大放出して、男性の理性を剥ぎ取ってしまう恐ろしい魔物であった。

「はぁ……はぁ……ぐぅ」

 そして、例外なくその魔力を容赦なく浴びせられていたカガミくんは、寝ながらにして息が荒くなってきていた。
 彼女に取られた手もじっとりと汗ばんできていて、立ちながら寝ていることに目を瞑れば、悪夢にうなされていると勘違いされてもおかしくない状況である。
 しかし、実際はチーちゃんから放たれる魔力の影響で、どうしようもなく興奮しているだけであった。

「むにゃむにゃ……」

 すぐ近くには、そんなに年の変わらない女の子。
 というよりも、彼女こそが興奮の元凶であるが、そんな子に対して理性がお出かけしてしまった彼の身体がする行動は、一つだけであった。

「んにゅ……ふにゃぁ♪」

 立ちながらにして寝ているチーちゃんを押し倒すと、どこか気の無い、それでいて嬉しそうな悲鳴が聞こえた。
 しかし、ここで緊急事態が発生する。

「……うぅ」

 彼女を地面に押し倒したことで、意識はわずかに覚醒したのだが、身体は完全に眠ってしまっているのか、言う事を聞いてくれないのである。
 これでは押し倒したというよりも、チーちゃんの上に覆いかぶさる形でただ倒れた、と言った方が正しかった。

「ふにゅ……わからなぅ……?」

 チーちゃんが寝言のように呟いた。
 一向に動かない、もとい動けないカガミくんを、『この先どうすればいいかわからない』故の硬直だと考えたらしい。

「むにゃ……しょうが、ないにゃあ……」

 そう呟くように言うと、自分を押し倒している彼の身体に抱き付いて、ごろ〜んと半回転する。
 立場が入れ替わり、今度はカガミくんが地面に寝かされ、チーちゃんが覆い被さるように抱き付いてくる形となった。

「んにゅ……して、あげぅ……」

 そして、器用にも身体を密着させたまま彼の上着をずり上げられ、すり……すり……と身体を動かしてきた。
 元々、彼女の素肌はさらけ出されていたので、実質的に肌と肌が擦れあうことになってしまっていた。

「……っ」

 擦ってくるその身体が、とても柔らかくてくすぐったい。
 チーちゃんによって性的興奮を引き出されたカガミくんには、それだけの刺激すらも快感だった。
 無意識に漏れそうになる声を抑えていると、チーちゃんは少しだけ目を開けてこちらを見る。
 眼が合った瞬間、えへーっと頬を綻ばせた。

「ふぁ……んぅ……ちぅ……」
「……!」

 次の瞬間、チーちゃんに顔を寄せられ、唇を塞がれてしまう。
 唇を押し付けるだけのキスだが、彼女から漏れ出す吐息が鼻腔を刺激し、唾液が口内に直接入り込んでくる。
 その匂いも、その味も、どちらもとてつもなく甘ったるかった。

「ぷぁ……はぁ……むちゅ……ふにぅ……♥」
「…………ん」

 場違いにも、虫歯になりそう、と思ってしまうくらいだった。
 まるで、砂糖を溶かしただけのような液体を飲まされているようである。
 彼が特別甘党というわけではないのだが、チーちゃんの甘い蜜は、ずっと口に入れていても飽きが来そうになかった。

「ちゅぅ……んゆぅ♪」

 眠気に苛まれている時とはまた違う感じで、頭が鈍ってきていた。
 それでも、擦りつけられる素肌の感覚は、敏感過ぎるほどに感じてしまっている。

「……っ……」
「んむぅ……ちぅ……ちぅ……」

 ゆっくりと唇を啄まれながら、唾液の蜜を流し込まれる。
 身体の自由はわずかに利くようになっているはずなのだが、頭が鈍っているせいでどう動かせばいいのかすら分からなくなっていた。
 それでも、唇を動かしてチーちゃんを求めることだけはできるらしい。

「……っ……ちゅ」
「んくむぅぅぅ♪」

 お返しに啄み返し、蜜を求めて出来る限り唇を吸うと、チーちゃんが嬌声を上げた。
 びくびくと身体を震わせ、甘い匂いが強くなる。

「んちゅぅ……ちぅぅぅ♪」

 そして、彼女のキスが心なしか激しくなった。
 啄ばみ方が少しだけねっとりとしたものになり、先ほどよりも甘い唾液が大量に増して流れ込んでくる。

「はぷぅ……ちゅむぅ……カーくん……カーくぅん……♥」
「……ん……く……んく」

 彼女からもたらされる快感も、言動も、全てが甘く感じてしまう。
 チーちゃんの唾液が喉を通るたび、まるで砂糖の塊が溶け落ちるように、脳が甘く溶かされていく。
 それすらも、心地よくて気持ちいい。

「ぷぁ……ん……そろそろ……」

 キスを中断すると、ずりずりと身体を動かした。
 また素肌を擦り合わせる愛撫かと思っていると、なんとズボンはおろかパンツまでもズリ下げられていく。

「……!?」

 あまりに器用すぎる身体さばきに驚き、下半身を見やる。
 チーちゃんの下着も一緒に脱げていた。

「んゆぅ……はずかしぅ……」

 頬を赤く染めながら、くねくねと身体を動かして、大事なところが晒された恥ずかしさに悶えるチーちゃん。
 そうやって身体を動かしつつも、下着はどんどんずり下げられていく。
 しかし、彼には言わねばならないことがあった。

「……やったのチーちゃん」
「…………うみゅ」

 冷静に指摘すると、頷かれた。どうやらチーちゃんも分かっていたらしい。
 そんな事言うなんて野暮、とでも言うように素肌の擦り方を変えてきた。

「んぁぅ……おちんちぅ……♥」
「……っ、うぅ!」

 未熟にも屹立しているおちんちんを集中的に狙うように、チーちゃんのアソコと直に擦られた。
 今までとは違う、くちゅくちゅという生々しい音と直接的な快感に、身体を震わせることしか出来ない。

「ふにぅ、きもちいぃ……♥」

 身体の力を抜いて、体重をカガミくんに預けながら、にちゅにちゅと陰部を擦り合わせる。
 先ほどよりも強い快感に翻弄され、自然と息も荒くなっていく。

「おちんちん、びくびく、してぅ……♥」

 チーちゃんも息を荒くしながら腰を浮かし、おちんちんの先端をアソコに宛がいながら、身体を動かしていた。

「んひぅ……♪ きもちいぅ……♥」

 先端は既にアソコに飲み込まれかけている。
 最早、擦られているというよりかは、食べられている、という表現の方が正しかった。

「うみゃぅ……♪ えっちなおと、してぅ……♥」

 ぐちゅぐちゅと、いやらしい音を立てながらおちんちんの先が食べられてしまっている。
 チーちゃんの声も、どんどんと淫らな色が増していく。
 陰部から聞こえている水音と共に、耳からも甘く犯されているようだった。

「あぅ……♪ はぅぅ……♪ カーくん……カーくん……♥」

 その時である。
 それまで、カガミくんの身体は気持ち良さにびくびくと震える事しか出来なかった。
 しかし、その身体はおちんちんの先端だけの刺激では物足りなかったのか。
 突然、カガミくんの腰が高く突き上がった。

「……っ!?」
「カーくぅ――!?」

 チーちゃんも、突き上げた本人も、予測していない事態であった。
 ずぷり、とおちんちんはアソコに飲み込まれ。
 次の瞬間、尋常ではない量の快感に身体を支配される。

「……うっ……!」
「うにぁ♥♥」

 チーちゃんの腰が、がくんと落ちる。
 さらに、深くアソコの中におちんちんが入り込んでいく。
 立て続けに強い快感に見舞われ、耐えられるはず。

「……うぅ、あぁ!」
「ふにぅぅぅぅぅ♥♥♥」

 深い深いアソコの中で、盛大にお漏らしした。
 チーちゃんにぎゅっと抱き締められ、おちんちんもアソコにぎゅっときつく抱き締められる。
 精液を吐き出すたびに、その身体はびくんびくんと反応し、飲み込まれているおちんちんにもその振動が伝わってきた。
 先ほどまでとは比にならない快感に、一度出してしまった白いお漏らしは中々止まらない。
 頭を真っ白にしながら、チーちゃんのアソコの中も真っ白に染めていった。

「ふぁぁぅ……♥」
「…………」

 ようやくお漏らしが終わり、チーちゃんが恍惚としたため息を吐く。
 その吐息を耳元で受けているカガミくんは、ぼーっと空を眺めていた。

「おちんちん、いれたらけで……イッひゃったぅ……♥」

 口から甘い涎を垂らし、ふにゃりと身体を脱力させながら、チーちゃんが全体重を乗せてくる。
 重そうに落ちていた瞼は、さらに重そうに落ちていて、今にも目を閉じてしまいそうなほどである。

「……もっかい」
「むにゃ……ふにぁん♥」

 しかし、カガミくんのおちんちんはまだまだ元気だった。
 一度お漏らししたことで身体の硬直が解れたのか、もぞもぞと動かしてチーちゃんの中を刺激する。

「カーくぅん……♥」
「……もっかい」

 お漏らしに相当体力を使ったのか、身体が動くようになっても、それ以上動かすのは億劫だった。
 チーちゃんにねだる形で、腰を動かして膣内を刺激する。
 女の子にやらせるのは、男としてどうかという話ではあるが、カガミくんにそんなプライドは無いのである。

「ふにゃ、ん……♥ つぎ、カーくん、がんばぅ」

 チーちゃんもチーちゃんで体力の限界らしく、身体を完全に脱力させて、動いてくれそうにない。
 むしろ、その瞼は完全に閉じられていて、その意識は夢の中に完全に入っていると言っても良さそうだった。

「…………」
「すぅすぅ……♥」

 完全にチーちゃんから寝息が聞こえたところで、カガミくんは腰を揺らすのを止めた。
 しばらく何もしないでいたが、やがて自分の両腕をチーちゃんの背中にゆっくりと回す。
 そして、瞼を閉じると――腰を前後に動かし始めた。

「すぅ、んぁ……♥」

 ゆっくりと、おちんちんをアソコの中で前後させる。
 ずっ、ずっ、と動くだけで中の膣壁に擦られ、射精したばかりの敏感なおちんちんを刺激する。

「……っ、きもち、いい」
「ふにぅ♥ カーくぅ……ん♥」

 彼の漏れた呟きに反応したのか、幸せそうな声を漏らしながら、ぎゅっと抱きしめる力が強くなる。
 さらに気持ちが昂り、もっと強い快感が欲しくて腰の動きを早くしようとするが、身体が重すぎて動いてはくれなかった。

「んぁ……むにゅ……ふくぅ……ぁ……♥」

 それでも、耳元から聞こえるチーちゃんの喘ぎ声で、性感は高められていった。
 ぬぷっ、ぬぷっ、と粘っこい水音も混ざり、彼の興奮をさらに刺激する。

「ふぁ……んぅ……ふにゃ、あぅ……♥」
「……っ……」

 それでも、もどかしい。
 求めているものよりも、実際に流れている快感の量が少なすぎるのだ。
 もっと激しく動きたかった。しかし、身体は思い通りに動いてくれない。
 もどかしさと切なさに、チーちゃんを抱き締める力が少しだけ強くなる。

「ん……♥ んんぅ……」
「……うぁ、ぁ!」

 少しだけ強く抱き締められた事に反応したのか、チーちゃんがわずかに身じろぎした。
 すると、アソコの中がうねりだし、さらなる快感を引き出してくる。
 腰が歓喜に震えた。

「……チー、ちゃん」
「すぅすぅ……んぁっ……♥」

 求めている快感に近づき、股間がさらに疼きだす。
 その疼きを満たすように、自然と腰の動きが小刻みとしたものに変わっていく。
 彼の意志ではなく、身体が本能的に動いているようなものだった。

「ふぁ、あぅ……んぁ、ひぅ……はげ、しぅ……♥」

 ぱちゅぱちゅ、と水音が大きく聞こえてくる。
 もはや寝息とは言えないほどに、チーちゃんの息も荒くなっていた。
 疼きはさらに大きくなり、それを埋めるようにチーちゃんの奥深くへと腰を突き上げる。
 その先で、ずりゅずりゅと小刻みに膣内を擦り立てる。

「ふにぁ、あ……ぅ、はぅ、いぅ、んぅぅ……♥」
「……っ!?」

 疼きが、何か別の物へと変わり、おちんちんの根本から駆け上ってきていた。
 それは先ほどと同じ白濁のお漏らしの予兆である。
 しかし、さっきはその予兆すら飛ばしていきなりお漏らししてしまったので、その感覚に戸惑うのも無理は無かった。

「んぁ、ぁ、うみゅぅ……♥ カーくん、はげし、すぎぅ……♥」

 そんなカガミくんの戸惑いなどお構いなしに、チーちゃんがさらにぎゅっと抱き付いて身体を密着させてくる。
 それと同時に、ざわざわと動き始めた膣壁が、おちんちんに絡みついてきた。

「ふぁ、ぅみゅ、んぅ、ひぁ、あぅ、カーくん、カーくん……♥♥」

 チーちゃんからも抱きしめられる力が強くなる。
 こちらの動きに呼応するように、チーちゃんのアソコが、ぎゅるぎゅると激しく収縮し、快感を限界まで引き出していく。
 おちんちんの先から何かが溢れだしそうになり、堪えるように歯を食い縛る。
 しかし、彼の意思とは逆に、腰は強くチーちゃんの中アソコを突き上げていた。

「ふ、みぅ――っ♥♥」

 それに反応して、チーちゃんのアソコがぎゅっと強く締まった。
 突然の締まりに、意識が飛びそうなほどの快感。
 そんな物の前に、彼の我慢など小さなものでしかなかった。

「……っ、ぅ、わぁぁぁ!!!」

 なす術も無く、再びチーちゃんの中で白いお漏らしを噴き出した。

「みゅぅぅぅぅぅ♥♥♥」

 チーちゃんがさらに強く抱き付いてきて、アソコをぎゅぅぅぅっと強く締め上げてくる。
 その中でも、おちんちんをさらにお漏らしさせようと、膣壁がうねりを上げて刺激してきた。
 それでも、無意識的に腰を突き上げ、チーちゃんの奥へ奥へと子種を吐き出していく。

「ふぁぁ……♥ また、らされてぅぅ……♥♥」

 一回目よりも長く、そして盛大なお漏らしだった。
 自分の全てを吐き出しているような、そんな途方も無い射精の快感。
 それを身に感じながら、身体を震わせていた。

「はぁ……はぁ……」
「ふぁぅ……はぁ……んぅ♥」

 長いお漏らしが終わると、おちんちんは満足したように、あるいは反省でもするかのように小さくなっていく。
 カガミくん自身もひどい脱力感に襲われていて、思い通りに身体を動かせるようになるまでには、まだまだ時間が必要そうだった。
 チーちゃんも、恍惚とした声を漏らしながら、カガミくんに全体重を預けたままでいる。
 そうして、二人は動くことなく、ただ抱き合っていた。

「……おもらしした」
「ふに……しってぅ」
「……ごめん」
「うみゅ、らいじょうぅ……もぅまんたぅ」
「…………ん」

 ピロートークにしては、あまりムードの無い会話だった。
 もっとも、カガミくんには、これがピロートークという認識すらないので、仕方がないことなのである。

「むにゃ……つかれたぅ」
「……ぼくも」

 お互いに、眠気と戦いながら始まった性体験である。
 その疲労感は、カガミくんが未だかつて味わったことのない、心地の良いものだった。

「……いっしょに、ねぅ」
「…………ん」
「……♥」

 この状態で眠ることが出来れば、良い夢が見れそうである。
 その言葉に従うようにチーちゃんに顔を寄せると、彼女もだらしない笑みを浮かべながらカガミくんに頬擦りしてきた。
 元々、初めは一緒に寝ようとして、カガミくんが押し倒して始まったえっちなので、ようやく本来の目的に戻ったとも言える。
 しかし、チーちゃんはドーマウスであり、寝ている間に自分を男性に襲わせる魔物である。
 内容はともかく、この流れは全て彼女の計画通りなのかもしれない。

「ふにぅ……カーくん……♥」
「チーちゃん……ぐぅ」

 最初の時とは違い、立ったままではなく、横になった状態で眠る二人。
 もちろん、チーちゃんに覆い被さられた状態で重なり合ったままである。
 しかもその格好は、二人ともお腹どころか陰部丸出しで、その陰部が白く汚れているという、ある意味ではむしろ最初よりもひどい状況であった。
 これではカガミくんも風邪引き一直線だろう。

「すぅすぅ……んんぅ……♥」
「ん…………ぐぅ」

 それでも、二人一緒に寝れる幸せに比べれば、些細な問題でしかないようだった。
14/12/30 02:43更新 / edisni

■作者メッセージ
 次に目を覚ました時、カガミくんは自分の部屋のベッドで寝ていた。
 身体を起こしてベッドから出ようとするが、窓の外を見てまだ暗いことに気付く。
 しばらく、何も考えずに虚空を見つめていたが、再びベッドの中に潜り込んで、夢へと帰ることにした。
 眼を閉じて、現実から離れていく。
 自分がある女の子の名前を呟いていることに、気付かないまま。





「眠っている女の子から、ゆるゆると襲われる話を書こう!」
と、思ったんですが、やっぱりいろいろと無理がありました。

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