読切小説
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鈍感なのは罪なのです
金曜の夜。
都会の喧噪に紛れ、駅前にいる男は左腕の時計に目を落とし心を落ち着かせる。

「時間にはまだ早いな。」

行動の主は巴丹 光(はに さかえ)である。彼は今、会社の後輩と待ち合わせをしていた。部署は違うが同じ会社に勤めている二人がなぜ外で待ち合わせをしているのか。
それは相手の望みであり光は従っただけなのでわからない。

「ここで大丈夫だよな。」

情報端末を開き連絡ツールでのやり取りを確認しようとした瞬間。

「先輩、すみません。遅れてしまったみたいで。」

後ろから声をかけられた。ぼわっとした揺らめく炎のような声だ。少し驚くが声から自分の待ち合わせた相手だとわかり返事をする。

「い、いや、良いよ。全然待ってないから。」

そう言って振り返ると女性が一人。服装は会社上がりなのでスーツである。光も同じだ。

しかし、それ以外一致するところは皆無である。
まず彼女、つまり相手は女性だった。
名を縛飼 深黯(はくかい みこく)という。
そしては深黯は人間でもなかった。

肌は青白く髪は白銀のロングでシャドーをつけたようなクマが目の下にある。普通の人間であればクマなどは良いものと捉えられないだろうが深黯の場合は不自然ではなく、むしろ美しさが際立つアクセントになっていた。


最大の特徴は腰の辺りが膨らんでおりスーツのスカートが中世ヨーロッパの貴族仕様になっている。
それは魔物娘、ウィル・オ・ウィスプてある証拠だった。
アンデットであるその種は自由自在形を変えられる檻が器官として備わってた。今はスカートの下に隠れるくらいの小さな大きさだ。

「そうですか?良かったです。」

ニコリと微笑む。そう表現して良いのだろうか。深黯の顔に浮かんだのは確実に笑みであるが、それは非常に残酷なモノ。暗くて見ていると背筋が凍るような、しかし非常に整った美しい笑顔。

「…あっ。それにしてもなんでここで待ち合わせたの?」

別に良いんだけど。
という光は一瞬そのゾクリとする笑顔に見とれていた。
深黯はその意図を伝えるべく光との距離を詰める。
女性特有の良い香りがふわりと鼻孔をくすぐる。

「私がしたかっただけなので気にしないでください。」

「そっか。じゃあ、ご飯いこうか。俺腹減っちゃった。」

ありきたりな提案に深黯は首肯する。
光はすぐに歩こうとするが…。

“ それじゃ、いこっか ”
“ うん!どこ食べに行く? ”
近くで楽しそうなカップルの会話が。二人は私服だがシチュエーションは光・深黯と似ているのだろう。
しかし、先の二人組は腕を組んでいた。
それを見た瞬間。

「光先輩!!」

歩きだしていた光を大きめの声で立ち止まらせる。

「はい?縛飼さん。ど、どうしたの?」

深黯はタッタッと隣まで駆けて腕を組んだ。目にしたカップルは片腕同士だったが、ここは両手で光の右腕にひっつく。

「は、縛飼さん。その…当たって。」

腕を取られ男はゴニョゴニョと口ごもる。自身の感覚細胞が深黯の控えめではあるが、しっりかとした胸の柔らかさにエマージェーシーをだしていた。

「ほら、先輩。行きましょう♪」

彼女は満面の笑みでうれしそうだ。
ならば仕方ない、役得役得と光は自分を納得なせる。

「ところで今日はなんの相談?」

この集まりは名目上、深黯が光へ仕事ないしはプライベートの相談をするというものになっている。
別に光は自分の意見や問題解決能力に自信があるわけではないが、大きくない企業で今年自分の部署には後輩が入ってこなかった。
それを考えればわざわざ自分を選んで頼ってくれる後輩を無碍には出来ない。

「それに、可愛いしね。」

「可愛い?」

あっ、と口を閉じる。どうやら声にでていたようだ。
しかし、深黯はしっかりと聞いていたようで追求する。

「な、何が可愛いんですか?」

「ほ、ほら、あそこの犬さ。可愛いなって。」

老夫婦が連れている犬を指差す。
なぜか深黯は慌てて聞いてくるので不味いことをいったかとお茶を濁したのだが。
彼女は不機嫌になった様であった。

「先輩…ペットショップ見に行きませんか?」

「えっ?ペットショップ?何か飼いたいの?」

「私も先輩とペット飼いたいんです!!」

突然の提案に混乱する。なぜいきなり、同棲もしていないのに“自分と”飼いたくなるのか。

「と、とりあえずご飯行こうよ。その後でまた考えよう。」

宥めようと頭に手を置き左右に動かす。所謂ナデナデだ。

「…あっ、ごめん!セクハラとかじゃなくて落ち着いてもらおうと!」

現代において服装のことを話題にする事すらセクシャルハラスメントとなることを考えると、これはかなりアウトな行動になる。
クビはなくとも社内で村八分を食らうのはイコール死を意味するため光は必死に謝る。

「…しょーがないですね。ご飯、行きましょう。」

どうやら収まったようだ。
というか少し機嫌がよくなっているように見える。
ほっと胸をなで下ろし決めていた夕飯処へと向かっていった二人であった。

ーーーーー☆ーーーーー

「今日も勝手に決めちゃったけど、天ぷらでよかった?」

既に何回か行われているこの集まりで今回は天ぷら。
店を決めているのは光である。

「もちろん大丈夫です。だって、同僚が恋人に選んでもらった店でデートをしたらしいので。」

「…?」

何の話だろうかと不思議に思うが深黯にはたまに意味の分からないセリフがあるのは知っていた。
気にせずに話題をふる。ちなみに、カウンターではなく対面席だ。

「縛飼さん、また何か悩み事?」

前回は恋人がいないこと、前々回は一人暮らしが寂しいと言うこと。
その時々の悩みを会社の、そして人生の先輩として相談に乗ることが目的であった。

「えーと、今回。今回は…。」

“だから、みっち。塩が良いって!”
“たーくんがそう言うなら”
深黯の後ろから聞こえてきた会話。
これを聞いてピンときたのはもちろん深黯だ。
嬉しそうに話題を提供する。

「私、皆から縛飼さんとしか呼ばれないんです…。名前で呼んでほしいのに。」

「そうなんだ…。皆とキョリがあるわけではないよねぇ。」

ならぁ、と光は少し悩むポーズをとる。
深黯の目的から別に何かを悩む必要なんて無かった。

「どなたかが先んだって呼んでくだされば…。おりませんかね、例えば…先輩とか。」

「お、俺?い、いや一人目が男だと変な噂が立っちゃうかもよ?」

純粋に深黯を心配したのだが本人は全く気にしないという。
ならば良いのだろうか。

「うーん、じゃあなんて呼べばいいかな?」
 
縛ちゃん?飼ちゃん?はっちゃん?
いや、何かおかしいだろうと自分の想像に待ったをかける。
ここは本人の希望に沿おうと考えたのだが全く予想していなかったところがくる。

「深黯なので…みーちゃん、って呼んでください。」

「…ごめんなさい。」

「何でですか!!!」

何でって、そりゃキョリの縮まり方が不自然すぎるからです。
親兄弟以外をそんなに下の名前で呼ばない光にはハードルが高すぎた。
というか、それを社内の友達に言えばいいのでは…。

「皆かれし…男性で名前を呼んでくれる人がいるんです!!なのに私だけないのはダメなんです!」

今日は少し強気というか、何か強情なモノを感じた。これは仕方がないかと折衷案を提する。

「なら、深黯ちゃん…で良いかな?」

「…分かりました。」

むぅ、と少し頬を膨らませて考えるがすぐに了解を出す。しかし、それでは終わらず追加の条件を出してきた。

「その代わり私も光さんを“こうちゃん先輩”と呼ばせてもらいます。」

「こうちゃん…?どんな風に呼んでも良いんだけど、由来は?」

自分の名前は“さかえ”だ。純粋な疑問。

「お名前を音読みしただけです。こうちゃん、可愛い響きです。」

深黯は少し照れたように微笑む。光も異論はないので良いのだが。
そうしている間に天ぷらの盛り合わせと飲み物が来た。

「乾杯。」

「頂きます。」

黄色の液体が並々と入ったジョッキあわせ、二人は串に刺さった天ぷらをとる。
光は蓮根、それを見て深黯も同じモノを取った。
運ばれてきた天つゆにつけ口へ。

「ん〜、旨い。」

「美味しいです。」

ウィル・オ・ウィスプは名前の通りのルーツは西洋の魔物娘だ。
日本食の代表とも言えるものとのコントラストは言葉にできない異様さだ。

「こうちゃんは天ぷら好きなんですか?」

いきなりのニックネームに少し違和感を覚えるが返事はする。

「そうだね。一人暮らしだと中々やろうとも思わない料理だしね。」

「そうなんですか?」

「縛飼さんは料理するの?」

「…」

元々暗めの表情が多い深黯は座った目で光をみる。
怖いので何事か必死に考えると名字で呼んでいたことがわかる。

「み、み、深黯ちゃんは料理するの?」

普通に考えて噛みすぎだがまぁ、良しとする深黯。
質問を返しつつ栄えは鶉の卵をとると、深黯も同じ小さな丸をとる。

「します。スーパーの総菜などは口に合わないんですよ。」

「やっぱり、女の子は違うね。何作るの?」

「何でもいけますが、強いて言えばハンバーグとか鮃のムニエルとか多いかもです。」

「んー!俺も、ゴクン。鮃のムニエル大好き。」

「そうなんですか!?じゃ、今度家に絶対きてください。絶対ですよ!!!」   

「う、うん。分かったよ。」

いきなり、目が爛々と輝いた彼女の押しに約束をしてしまった。
しかし、光は別にやることもないのだから良いかと流す。

「縛…深黯ちゃん、好きなの食べていいんだよ。俺と同じのとってばっかだけど。」

「い、いえ。私がちょうど食べたいものをこうちゃん先輩も取ってるだけですから。」

「そっかそっか。あっ、抹茶塩おいしからさ。ほら、試してみて。」

今更ながら敬語にちゃん付けのニックネームは本人が使っていて気持ち悪くないのかと光は感じる。
そもそもは悩み事がある後輩が先輩に相談するという構図はすぐに崩れ、なんとない世間話に花を咲かせるのがいつもであった。

そんなこんなで夜は更けていく。

ーーーーー☆ーーーーー

「御馳走様でした。美味しかったです。」

「いやいや。美味しそうに食べてくれたからそれだけで十分だよ。」

光はほろ酔い、深黯はアルコールの強くほとんど変わらない。
じゃあといって駅まで歩いていく。
ここまではいつものこと。

しかし、一つだけいつもとは違った。
 
「…深黯ちゃんさ。俺の同期でよかったら同姓の子紹介して上げようか?友達になれるんじゃないかな?」

二人ほど、同期というたけで話すくらいの関係の女性がいた。
いつもは光にはどうしようもないことが相談内容なのだが今日に関しては力が貸せそうだったので言を発したのだ。

「!!!」

全く他意のない、先の言葉通りの意味だが深黯はそうは受け取らなかった。
鬼、ではないが非常に暗く陰鬱な表情で光を睨む。
目の前の男は、わざとやっているのだろうか。
そう感じるくらいに朴念仁な光。

「ど、どうしたの?深黯ちゃん。具合悪い?」

「…はい。もうダメみたいです。近くで休んでいきましょう。」

少し棒読みだがいきなり元気がなくなった後輩を眼前に、慌てて休めるような場所を探す。
すると、深黯は先行して場所を指定しきてたため光はすぐにそこへ向かったのであった。

ーーーーー☆ーーーーー

「はい、水。飲めそう?」

「すみません。」

「いや、良いんだけどさ。その…なんでラブホに?」

深黯の指定した場所は駅前の休憩所、休憩以外にも色々可能な場所であった。
深黯をベットに寝かせすぐに水を用意した。
それをコクコクと飲み干し、光を見据える。

「こうちゃん先輩…。なんで私に友達なんて紹介するといったんですか?その女性はなんなんですか?」 

「何って…同僚だけど。友達が欲しかったんじゃないの?」

アピールじゃダメなんだ、この人には直で伝えないとダメなんだと深黯は確信する。

「大した悩み事なんてないんですよ!私はこうちゃん…光先輩が好きなんです!!」

今日最初の腕をくんでるカップルから、犬を連れてる老夫婦、ニックネームを使っている男女。
光の知らない同僚との会話。

全てに嫉妬し、もう深黯は限界だった。
だから、手をつなぎ、ペットを望み、呼び方を変える。
同僚との恋バナで待ち合わせのエピソードから今日も待ち合わせを望んだ。

とにかく自分たちが一番でなければならないのだ。
それにはもう会社の先輩、後輩では明らかに足りていなかったのだ。

それでも何人かの知り合いが告白されたと聞き待っていた。
光に告白されるのを。

「先輩、鈍感ですから…もう知りませんよ。」

深黯は男の手をぐっと引っ張りベッドに引き込む。
いつの間にかマウントを取られ焦る光だが腰辺りに感じられる深黯の太股の柔らかさはしっかりと感じてしまう。

「先輩、私のこと嫌いですか?私じゃ、ダメですか?私、重いですか?」

もちろん、キログラム的話ではない。
相手が好きすぎる故に多くを望み、愛が重くのしかかる。それを自覚してしまうと様々な場面で臆病になるものだ。

「先輩は私をどう思っていますか?」

じっと顔を見下ろされる。深黯はどんな答えが返ってこようとこの会話が終わったら襲い、自分のモノにしようと考えていた。
魔物娘らしく自分の虜に出来ると確信していたのだが、やはり最初の相手の気持ちが許容か拒絶かによって対応は変わる。

「僕は…」

まだ気持ちが整理できていないのか、ゆっくりと話し始める。

「みく…縛飼さんは凄く綺麗だと思うし話せば凄く可愛く感じるよ。僕なんかのつまらない話にも乗ってくれてさ。」

深黯は知っている。こういう切り出し方の場合は良くない方向に話が行くことを。
案の定、次の言葉は逆接だった。

「でもさ俺で良いのかなって。たぶんだけど縛飼さんは好意的に思っていてくれるのも相談に乗ってる先輩がたまたま男だからだよ。」

「それは違います!!先輩は最初に暗かった私を気遣ってくれて、少しずつ飲みに行ってくれて。それだけで十分なんですよ!!」

誰でも良いわけないでしょう…。
語気が震えるのを必死に抑えるが、それでも感情が漏れ出す。

「なのに、先輩は私に女性の友人がいる、仲が良いととれることを言うんですから…。」

言わずもがな光は言ってないが嫉妬の炎が深黯の頭を支配している。

「先輩、ここからはイエス、ノーだけです。私じゃダメですか?」

「…」

じっと深黯を目を見据え六徳。
光は口を開く。

「ごめん。あっ、いや、先のことを考えずに自分の欲に従えば…好きだよ。それで良いのか…」

「先輩っ!!」

言葉が続く前に深黯が胸に飛び込んできた。
フワッと女性特有の匂いが立ち込めて光はまた少しトギマキする。

「言っちゃいましたね?言っちゃいましたね?私、もう逃がしませんよ?良いんですよね?」

早口でまくし立ててくることに若干恐怖を感じるが男に二言はない。

「俺なんかで良ければ。」

その言葉に甘えるようにまたキツつめに抱きつく深黯であった。

ーーーーー☆ーーーーー

「どうしても今じゃないとダメかな?」

「ダメです!!!」

既に下着姿の二人。なぜならお分かりであろうが深黯が求める繋がり≠ヘ精神的なモノだけでは無かったからだ。
ちなみに相変わらず深黯がマウントをとっている。
 
「先輩は鈍感さんなので私がマーキングしないと他の泥棒猫、犬、ハムスター諸々に誑かされる可能性があるんですから!」

本音ではなしたところから明らかに押しが強くなっていることを感じつつ、しかし先ほどからやけに映えている深黯の下着に目がいってしまう。
黒を基調として縁が金で彩られているそれは本人の肌の色と合い非常に良いコントラストを生んでいた。

「でも…俺そんなに′o験ないよ?」

「…はぁ。」

どこまでデリカシーがないのか。好きだからこそ、愛してしまっているからこそ感じる黒い感情を抑え次に進む。

「私は、は!じ!め!て!なので良いんです。先輩の好きなようにして下さい。」

若干の怒りを感じはするがその理由が分からない光にはそれ以上言葉がなかった。地雷を踏みそうだと第六感が警告していたのだ。

「じゃ、じゃあ。キスから…かな。」

そういった途端に頬が赤らむ深黯を見て失敗ではなかったと安堵する。

半身を起こし深黯と顔を近づけていく。

「先輩…。」

20センチ程になったところで既にメスの顔をなっていた。そのまま目を閉じたため光も勢いにまかせ唇を重ねた。

その瞬間。

「んんっ!!」

深黯の体は電撃が走ったかのようにビクビクと跳ね、慌てて光は口を話した。

「だ、大丈夫?」

何かマズいことがあったか、まさかウィル・オ・ウィスプとの接吻に特殊な条件が必要だったのか。
様々な考えが頭を巡る中ようやく深黯は言を発する。

「す、好きな人とのキスってこんなに気持ちいいんですね…。」

うっとりしていた。
杞憂で済んだことに焦りは消え、同時にそんなにも自分を好きでいてくれたことをしっかり認識する。

さらにその娘が今とてつもなく色っぽかった。

「もう一回、良いかな?」

「先輩の好きにして下さい。」

口づけ。最初とは違うアダルティなもの。
光が文字通り貪るようにしていたが深黯もすぐに貪り返す。
お互いの舌が触れ、一瞬躊躇ってまた絡み合う。

脳がとろけるような快感に二人とも溺れていく。
しかし、それとは逆に早く繋がりたいという欲求もあり、少ししてから口を離した。

「先輩、私もう欲しいです。」

精一杯誘惑した、艶やかな声。光もそれを聞いて断ることなど出来ない。

「俺も同じ、我慢できないや。でも前戯は十分なの?」

本人に促されたためショーツを脱がすと割れ目とのアーチができる。どうやら準備は万端のようだ。

「入れる…よ?」

「はい、来て下さい。」

入れようとするがうまくいかない。
問題は男の方にあるようだ。

「もう先輩ったら。」

そう言うと深黯は肉棒を掴み挿入を促した。メリメリと膣壁を分けて異物が侵入してくるのが分かる。

「んっ、もう少し。あっ!」

ズブッ。
全て入ってしまった。苦悶の表情を浮かべる深黯を見て光は慌てて抜こうとする。

「ごめん、初めてだったよね!」

が、待ったがかけられる。出先はもちろん深黯で痛みに耐えながらも優しく言付ける。

「だ、大丈夫です…。痛みより幸せの方が大きいですから。」

でも、と心配はますばかりで安心出来てない。やはりと思い直し腰を引いてペニスを抜きかける。

「ダメです!!!」

その瞬間、光は後ろへ下がれなくなった。そして目の前を何かが通ったかと思えば、それは檻。
気づいたときには丸い檻の中に飲み込まれてしまっていた。

「えっ、なにこれ?待って待って。」

露骨に混乱し出してほしさ満載な慌て方をする光。未だジュクジュクと響く痛みに耐えつつ深黯は説明に入る。

「先輩、逃げないで下さい。あなたは私のモノなんですよ。もう絶対逃がしません。これは私の種族、ウィル・オ・ウィスプ特有の器官です。」

愛する人を自分だけのモノであるというアピールする器官、決して逃げられない用にするソレ。
端から見れば一発でウィル・オ・ウィスプの夫であり手を出したら最後、底なしの嫉妬と共に何をされる分からないという威嚇。

「でも!縛飼さんが!」

「私は良いんです!!先輩は私だけを見て思いの丈を言葉にし、その気持ちを欲に任せてぶつけてくれれば良いんです!!!それが私の幸せですから!!」

普段、少し変なところを除けば、可愛らしい年下なのに今の迫力は何にも例えられない。
それが魔物娘、精を貪り男を愛することを生業としたモノ。

「…ごめん、俺もう逃げないよ。」

深黯へと覆い被さり三度度目の口づけ。

やはり心のどこかで遠慮していたのを全て葬った全力の愛し合い。
二人とも息も荒く、それ故今日一番でお互いの気持ちが繋がった時であった。

段々と動きも緩やかになり、唇を離すと光はしっかりと相手の目を見てこう発する。

「ごめん、正直俺は何も分からない弱小者で。それでも、そんな俺を頼って来てくれる後輩に逆に甘えてしまってた。」

「そんなことは…」

「いや、そうだよ。でも分かったんだ。さっきは流れで言っちゃった感じもあったけど。人を愛するってのは一歩間違えれば傷つけることにもなるし下手すると壊してしまうかもしれない。本当にごめん、こんな感じに後輩に色んなこと言わせちゃって。」

「ふふっ、いえ、それでこそ先輩って感じですし。私もそんな先輩だから好きになったんです。」

にっこりと微笑む深黯の顔は紅潮していた。先程までは焦りや痛みが思考を支配していたが今は違う。
光を、目の前の男を愛していると再確認していた。

「うっ、手厳しいな。でも縛飼さんが、いや、深黯が良いって言っても俺は君を傷つけたくないし出来れば…。幸せにしたい。」

だから、もう一度言葉にする。

「縛飼深黯さん、俺と付き合ってください。もちろん、結婚も視野に入れて。」

深黯の答えは上半身を少し上げて抱擁。少し泣き声だ。

「遅いです。先輩はもう私だけを見てて下さい。」

「分かったよ…んっ!締まりが強くなったね。もう痛くない?」

挿入したままのやりとりであったと思い出す。それくらい真剣な話をしていたということであるが、その間も深黯の膣は射精に導き続けていた。

「少しでも動いたら出そうなんだけど。どうしようか。」

「先輩、どうしたいかは先輩が言って下さい。」

どうやら光の欲望はもう分かっている深黯だが自身からの申し出を望んでいた。

「そうだね。俺は深黯の中に出したいけど良いかな?」

「…やっと、この時が来ました。」

イエスの代わりに軽くキスをしてまた寝転がる。すでに痛みはなく熱いくらいの光を受け入れ興奮していた。

「動くよ。」

根本まで入っていたモノをゆっくり抜き始める。ゾリゾリと膣壁を抉り深黯に凄まじい快感を生み出す。
また入れようと押し込むので自身をこじ開けられている感覚に気持ち良さを覚えた。
流石は魔物娘、初めてであっても挿入をもう快楽に繋げている。

「んんんっ!はぁはぁ、気持ちいいです。」

「可愛いよ、深黯の反応見てると嬉しくなるよ。」

「そ、そうですか?」

素直な言葉が心に響く。すると連動と言って良いのか、中もグネグネと必死に動き精液をねだってくる。
光も深黯も限界であるため思案一致でラストスパートに入った。

「深黯、気持ち良いよ。最高!」

「嬉しいっ!もうイっちゃうから!出してっ!!」

「出すよ!深黯の中に!!!」

ビュク!ビュク、ドプッ!!
光は腰を一番奥まで突き出し自身のモノとして深黯にマーキングする。それと同時に深黯も大きく体を震わせ絶頂を迎えた。

「先輩、先輩。」

またキスねだってきた深黯に愛を込めて唇を重ねる。

「大好きだよ、深黯。」

「もう絶対どこにも逃がしません、私のモノになって下さいね。」

まだ繋がったままで抱き合い、いつまでもお互いの体温を感じているのであった。

ーーーーー☆ーーーーー

「呼び方どうしよっか。俺は深黯で良いのかな?社内ではアレだけど。」

二人は入浴後また一戦交え、流石に体力が限界であるため隣り合って布団に臥していた。

「ダメです!!別部署ですし恋愛禁止でもないです!!!絶対絶対、ぜぇったい深黯とお呼び下さい!」

「わ、分かった分かった。」

明らかに自信のある声に良かったと安心する一方こんなに押しが強い彼女への接し方が分からない。
顔を近づけてヒソヒソと話している今もどぎまぎしてしまっていた。

「深黯は俺をなんて呼ぶの?」

「当分は先輩でいきます。しっくりくるのを考えるのは時間が必要そうです。」

「なんか、ズルくないか?」

「…先輩。知ってるんですよ?さっき先輩はヤったことあると言ってましたがアレ嘘ですよね?」

「お互い初めてで深黯を心配させたくなかったんだけど。やっぱり見破られてたか。流石に俺のことは分かってるね。」

うりうりと頬を弄ると深黯は擽ったそうに笑う。

「先輩…もう私以外の女性とは仲良くしちゃダメですからね。」

「えっ…そうなの?」

軽い沈黙。
しかし、それがいけなかった。

深黯が動いたと知覚する頃にはマウントを取られ檻がまた自身を囲んでいた。

「先輩、どうやらまだしたりないようですね♪」

「俺またマズいことを…。仕方ない、バカな俺をいっぱい躾てくれ。」

「その言い方だと変態っぽいですが。それもまたオツですね。」

二人は笑い会ってまた肌を重ねるのであった。

18/05/06 00:00更新 / J DER

■作者メッセージ
難しかった…。
まず、鈍いってのは悪いことですね。主人公をウザくかきたかったので少しでもイライラされた方がいれば良かったです。

そして自分が悪いのですがランダムに魔物娘を選んで書いたため一ヶ月弱かかりましたか。ヤンデレ系統は振り切った方が楽なんですが、それは他の方が書いていると思いますし自分しか書けないものをかくことを目標としているので仕方ないですね。
無理矢理書いた為、つまらないのは自覚、承知の上です。ご容赦をば。

次はご要望が多く嬉しかったので約束シリーズを上げたいです。
すぐにあがると思います。
それでは今回はこの辺で。

宜しければ、以前の物もお読み頂けると幸いです。

では最後に皆様の余暇のお供になれることを願いましてー。

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