翌日…。

「…朝か。」

『おはよう〜。』

「あ、ああおはよう。」

『まだセレナは寝てるみたいね。』

「まあヴァンパイアなんだ、朝が弱いのは仕方ないかもしれない。」

『起こして来るわね。』

「頼んだ。」

ブランはセレナを起こしに行った。

『そういえば。』

「ん？」

『貴方が課題レポートで作ったものって結局何なの？』

「護身用のアイテムだ。」

『護身用？』

「魔物娘が世界に進出してきてからと言うもの、人間男性は襲われないか常に周りを気にしなければいけなくなった。」

『間違ってはいないわね。』

「それを解消するのがこれだ。」

『？』

「普段は双眼鏡か単眼鏡として使える。」

『ふーん。』

「護身用としてはショックを与える電撃棒に変形する」

『私達の意見は！？』

「いきなり襲う方が悪い。」

『なるほど…そうかもしれないわね…。』

と話していると、ブランがセレナを連れて出てきた。

『眠い…。』

「だろうなぁ…。」

『とりあえず朝ご飯にしない？』

「お、おう。」

とりあえず朝食を食べ、部屋に戻った。

『今日は晴れてるから泳ぎに行けるわね♪』

「だな。」

『？』

「いや、日焼け止め塗らないとなって。」

『あ、肌弱いんだったわね…。』

「ああ。」

『まあ、とりあえず着替えて来るから、覗きたいならどうぞ♪』

「二度も突っ込むほど俺は突っ込み役じゃない」

『残念…。』

俺は早く着替え終わったので、先に行くことにした。
「水分持った、日焼け止め持った、先に行くから。」

『なら海でまた♪』

とブランの声がドアの中から聞こえて来た。

「さて、行くか。」

俺は海に向かった。

「後どのくらいでブラン達来るかな、っていうか日差し強いな…。」

5分ほど経って、ブラン達が来た。

『似合うかしら？』

「…。」

俺は無言で頷いた。

『？』

『私のはどうかしら？』

「…。」

俺はまた無言で頷いた。

『ずいぶん顔が赤いぞ、大丈夫か？』

「…目に毒だ、刺激が強すぎる。」

『…慣れろ。』

「多分無理。」

『まあ魅力的には思ってくれてるみたいね♪』

「もはや目の毒だ。」

『ふふふ♪』

ブラン達が着てきたのは普通のデザインの水着だった、とは言っても元々が男性を堕落させる淫魔、ましてや最高位の淫魔達だからすごく危ない、精神的に。

「さて、潜るかな。」

『素潜り？』

「ああ。」

『なら待ってるわね。』

「お、おう。」

俺は海に潜り、生き物達を見た。

「…(精神が落ち着くな、静かな場所は。)」

それから出ては潜りをしばらく繰り返し、俺は海から上がった。

「水分取らないと。」

俺は3人の近くにある自分の水が入ったボトルの中身を飲んでいるとブランが話しかけてきた。

『ジュン、もし良かったら。』

「？」

『オイル塗ってくれないかしら？』

「ぶっ！がはっ！げほっ！げほっ！」

『大丈夫！？』

「いきなりびっくりさせるな、蒸せた…。」

『ごめんなさい…。』

「で、何で俺なんだよ…。」

『貴方に塗って欲しいからよ♪』

「あのなぁ…。」

俺は呆れながらブラン達を見た。

『？』

「勘違いさせるようなこと言うなよ。」

『？』

「ブラン達にとってはコミュニケーションのつもりでも男がそんな事言われたら勘違いするぞ。」

『そうかもしれないわね…。』

「だからもう少し自分の言うことを考えて欲しい。」

『そうね、考えないといけないかもしれないわね…。』

「…？」

『もう隠しておいてもいずればれるから言うわね。』

「何を！？」

『貴方、私達からしたら競争率結構高いのよ？』

「？」

『鈍いわね、貴方を狙ってる娘達が結構居るのよ！』

「マジすか…？」

『本当よ〜。』

「なら俺を目の届く場所に置くためにモンハンを？」

『貴方に会う前からモンハンは好きなゲームだったわ、私達みんなね。』

「つまり趣味をしながら競争率を下げるために俺を誘ったのか。」

『まあそういう事よ♪』

「…(訳がわからないYO…)」

『私達は3人とも貴方を狙っていたのよ〜。』

「逃げ切れる気がしない…。」

『とは言っても諦めては居なさそうだな。』

「何でそもそも俺なんだ？」

『簡単に言えば貴方の精は、ほとんど全ての魔物が好む感じなのよ♪』

『特に高位の魔物には一生に何度も見つけられないものなのよ。』

「なるほど、全部分かった。」

『？』

「俺みたいな変な奴の側にわざわざ居たいと思う変わり者かと思ったら、好意を持っていたからか。」

『そういう事よ♪』

「納得した、だけど俺には…。」

『大丈夫、選べなんて言わないから。』

「？」

『お前の意志を尊重する。』

「今すぐに答えを出すことはできない、それでもいいなら。」

『もちろんよ♪もう3人とも選んじゃえばいいかもしれないわよ♪』

「いろいろマズいだろそれは。」

『魔界なら大丈夫よ♪』

「え、あ、はい…。」

結局、オイルを塗ることになった…。

「前は自分で何とかしろよ。」

『え、えぇ。』

2人に塗りおわり、悶々としたものを頭の隅に追いやるのに結構な時間がかかった。

「さて、モーターボートにでも乗るか、水上ボードやる？」

『ならやってみようかしら。』

「なら水上ボードの道具借りて来ればいい。」

『わかったわ♪』

ブランは水上ボードの道具を借りに行った。

「そういえば。」

『何かしら〜？』

「好意を持ってるって言ったけど、具体的にはどんな感じなんだ？」

『私は、お前を人間で人生を終わらせるのが勿体ないと思っている。』

「？」

『お前の価値は人間のままでは完全に無駄にしかならない。』

「つまりとっととインキュバスにしてしまいたいと。」

『そうした方が余計な心配も消えるからな。』

「余計な心配、なるほど…。」

『これ以上相手を増やす必要もないだろう？』

「確かに、っていうかずいぶん素直な貴族だな。」

『あまり隠しても、鈍感なお前にはわからないだろうからな。』

「その方がいいな、ミーアは？」

『貴方への思いに気づいたのは、私が携帯を落としたときよ〜。』

「あの課外学習の時か。」

『貴方が私の携帯を拾ってくれてストラップのボールチェーンが壊れ欠けになっていたのも直してくれた。それからいろいろなところで貴方を見たけど自分より弱いものに見せる優しさを見て想いに気づいたのよ〜。』

「そんな小さな事か。」

『きっかけはそんなことよ。』

『何の話かしら〜？』

「お、ボード借りられたか。」

『で、何の話？』

「俺みたいな変な奴にいつから好意を持っていたかだ。」

『私は、貴方が前に傷ついた子猫の手当てを優しい言葉をかけながらしていた時かしら。』

「あれ見てたのかよ。」

『えぇ♪』

「結局あの猫は俺の猫好きな知り合いに飼われた、後日談だけどな。」

『良かったわね♪』

「まあ元気なら何よりだ。」

『そうね、貴方は可愛いもの好きなの？』

「まぁ来るもの拒まず去るもの追わずだな。」

『なんとも積極性がないわね…。』

「あまりがっついてもマイナス面しか見えないからな。」

『そう…。』

「なら行こうか。」

『そうね♪』

それからブランとミーアは水上ボードで滑っていたが、とても楽しそうにしていたので何よりだった。

「そろそろ戻ろう。」

『そうね…。』

「はしゃぎ過ぎたか？」

『そうかもしれないわね。』

俺達は部屋に戻り、着替えて夕食を食べに部屋から出た。

「ブラン、大丈夫か？」

『何が？』

「なんかフラフラしてるけど。」

『実はエネルギー切れなのよ、ご飯じゃない方の。』

「なるほど、なら俺の身体に手を置いてくれ。」

『？』

ブランは手を俺の肩に置いたので、俺は気功の1つを使った。

『エネルギーが満ちて行ってる！？』

「俺の気をブランに流した、これで大丈夫なはず。」

『貴方の気は大丈夫なの！？』

「食って寝たら治る。」

『体力とリンクしてるの？』

「まあそんな感じだな。」

とりあえずブランも回復したので夕食を食べに行った。

『いつもよりたくさん食べるわね〜。』

「減った分身体が求めてるんだ。」

『ありがとう♪』

「いや、搾り取られて腎虚寸前になるよりはいいから。」

『確かにまだインキュバスじゃないしね…。』

「まあそう遠くない未来になるのかもしれないけどな。」

夕食を終えて、俺はまた3Dプリンターで作るための型を作り始めると、セレナが話しかけてきた。

『何を作ってるんだ？』

「後期の下準備。」

『これは、一体何だ？』

「人間用強化スーツの一部だ。」

『なるほど、スペックはどのくらいになるんだ？』

「まだわからない、作ってみないことには。」

『そうか。』

「とりあえずアタッシュケースのデザインはこれで大丈夫だな。」

『作ってたのはそれを入れるためのアタッシュケースだったか。』

「ケースも大事。」

『だな。』

と雑談しているうちにそろそろ寝た方がいい時間になったので、俺は寝ることにした。

「んじゃ寝る。」

『そう、お休みなさい。』

『おやすみ〜。』

『良い夢をな。』

と3人から言われ俺はベッドに入った。

「鈍いのは認めるけど、俺はどうしたらいいんだろうなぁ…。」

と考えている内に俺は眠っていった。

■作者メッセージ
どうも、サボテンです。

第6話、いかがだったでしょうか？

果たしてジュンはこれからどうするのか、誰かを選ぶのかそれとも…。

エロありを期待されている皆様、エロありはかなり後になると思います、期待されていた皆様は(どのくらい居るかは分かりませんが)もうしばらくお前下さい。