読切小説
[TOP]
You & Gazer
【0。】
 きみはどこにでもいるような大学生だ。
 入学して一年が経ち、ようやく学業にも独り暮らしにも慣れ始めた頃、きみはある噂話を聞く。
 きみの通う大学にある図書館、そこに化物が現れるという噂だ。
 どこで聞いたかも覚えていないが、何故かきみはそれが心の隅に残っていた。

→ 【1】へ

【1】
 講義が終わり時間の空いたきみは、暇潰しになる本を探そうと思って大学の図書館を訪れた。
 三階奥の文庫本がある書庫にやってきたが、空調の音が鳴るばかりで人っ気はない。

 なぜ三階奥に来たかと言うと、人が寝転がれるほど大きな黒いソファが置いてあるからだ。
 不思議とそこに座る人を見た事はなかったが、それはたぶん図書館に人が少ないせいだろう。
 とりあえずきみはそのソファに座って本を読もうと、部屋の奥へ歩いて行く。

 すると、廊下を歩くきみの目前に誰かがすっと出てきた。
 きみとは頭一つ以上の差があるが、小さな女の子――なのか、きみには分からなかった。
 彼女はたしかに少女のような肢体をしているのだが、服の一枚も纏っていない。しかも、灰のような肌色と、隅のように真っ黒な手先と足先に、彼女の背中から伸びる虫の腹のような形をした黒い触手という、奇怪な姿。極めつけは、顔の半分を埋めてしまいそうなほどに大きな赤い一つ目だ。
 ぱっと見ただけで、彼女は人間ではないときみは理解する。
 きみが手にしていた本は床に落ちて、ばたん、と音を立てた。

 同時に彼女が、水の中にいるみたいにふわっと宙へ浮いた。
 声も出せずに驚いているきみに、ふふっ、と笑いながら少女がきみに話しかけてくる。

→ 【2】へ
 
【2】
「君は、本を読むのが好きかな」

 少女にしては低い声だが、きみにも分かる言葉を話した。流暢な日本語だ。
 そのまま彼女はきみの方へ、音もなくすーっと近づいてくる。どんな力かは分からないが、彼女は少しだけ浮いているのだ。
 
「だからここに来たんだろう。
 実はアタシも、すごく本が好きでね。ここらにある本は大体読んだよ」

 きみが手を伸ばせば届くほどの距離まで来た彼女は、きみの顔をじっと見上げる。
 その大きな赤い一つ目と、きみはばっちり目が合う。
 図書館を包む本の匂いと一緒にほんのりと、ペパーミントのようなみずみずしい匂いがした。

「それでね、ちょっと、試してみようと思って。
 君、話とか書ける?
 ……ああいや、そんな上等なモンじゃなくて、フツーの人間に出来る程度でいいんだ」

 よく分からない相手に、よく分からない事を聞かれたきみは返答に困る。
 きみはどう答える? 

・「書ける」 → 【3】へ
・「無理だ」 → 【4】へ
・「そんなことよりセックスしよう」 → 【5】へ
 

【3】
 きみは一つ目の少女の質問に対して二つ返事で「書ける」と答えた。
 元々きみは、自分で物語を作ったことがあるのか、もしくは興味があったのだろう。

「おっ、そりゃあ良かった。中々自信がありそうじゃないか」

 機嫌を良くしたような声で彼女が言い、ふふん、と鼻を鳴らしながら言葉を続ける。
 
「期待してるよ。あ、ジャンルはきみに任せるから。
 手書きでもなんでもいいから、とりあえず読める形にして持ってきてね」

 一つ目の少女はきみの前で少し浮きあがると「頑張って」と耳元で囁いた。
 とてもくすっぐたくて、耳に残る不思議な感触だった。

 そのまま君の横を通り過ぎていった少女はその日のあいだ、図書館のどこを探しても見つからなかった。 

→ 【7】へ


【4】 
 きみは一つ目の少女の要求を無理だと断った。 
 すると彼女は細眉をひそめて、んー、と言いながら悩んだ顔をする。

「なに、自信ないんだ?
 別にここにある本みたいなしっかりしたヤツじゃなくていいよ、ちょこっと書いてみてって」

 しかし、ときみは渋ったような返事をする。
 何しろこんな訳のわからない少女からされた要求だ、たとえ自信があっても返事はしにくい。

「んまあ、いいよ、それならそれで、ね。君が断れないようにするだけさ」

 意味ありげな言葉を残すと、彼女はじっと赤い一つ目できみの顔を睨んだ。
 しかし怒っている様子もないし、今からきみを脅迫しようという風にも見えない。

「期待してるから」

 彼女がふよっと浮いたかと思うと、きみの横をすっと通り過ぎた。
 慌ててきみは振り返ったが、奇怪な彼女の姿はもうどこにもなかった。

→ 【7】へ 


【5】
「……え」
 「そんなことはいいからセックスしたい」ときみは自分から少女に詰め寄った。
 
「……その、聞き間違い、かな?
 さっき……せ、セックス、したいと、聞こえたような……」

 流石にそんな事を言い出すとは思わなかったのだろう、少女はきみから目を逸らして困った顔をした。
 背中にある黒い触手がそわそわしているみたいにうごめいて、彼女自身も顔を赤らめる。
 その仕草はまさしく女の子そのもので、外見のギャップと相反してより彼女の初心さが強調される。

「まさか、おびき寄せる為の暗示だけで……いやっ、でも、そんな、」

 少女が何かをぶつぶつと呟いて考え込んでいる間に、きみはそっと少女の肩へ手を掛けた。
 突然触られた野良猫のように、びくっと身体を跳ねさせて少女は飛びのく。

「ちょっ、ちょっと待って! 物事には順序ってものが……!」

・「冗談です」  → 【6】へ
・「我慢出来ない」 → 【8】へ


【6】
「……な、なんだ、冗談か。
 しかし、初対面の相手に言うことばじゃないと思うけど……」

 少女は一度深呼吸すると、最初にきみに話しかけてきた時見せていた、たっぷりとした余裕ある表情を取り戻した。

「まあ、君の言葉の是非はどっちでもいい。
 とりあえず話を戻そうか」

→ 【2】へ戻る


【7】
 夜になり、きみはとりあえず自宅のアパートへと帰ってきて、日常の家事を終えると一息つく。
 思い出すのは、あの少女が言った事だ。
 真っ赤な赤い一つ目は、まだきみの脳裏に焼き付いている。
 あまりに突然のことだったので白昼夢を見た心地だが、きみにはそれが幻覚に思えない。
 大学のレポートを書くためにパソコンを立ち上げ、ぱっぱとそれを終わらせたきみは、余った時間で全く別の文章を書き始めていた。
 彼女に言われたとおり、物語を書くために。

 さて、きみはどんな話を書くのだろう。 

→ 【9】へ


【8】
 きみは赤面してうろたえる一つ目の少女にためらうことなく近づいていく。
 音もなく彼女は後ずさりするが、すぐに背中が部屋の壁に当たってどん、と音を立てた。
 そこからまた別の本棚の列へと彼女は逃げ込んだが、その通路の先は両脇を本棚で塞がれていて行き場を失ってしまう。
 目の前に立ち塞がるきみへ、少女が話しかける。

「……ほ、ほんとに、その、アタシのこと……んっ」

 きみはこれが返事だと言わんばかりに、自分の顔と彼女の顔をぐっと突き合わせる。真っ赤な一つ目が目前にくると、まるで硝子玉のように見えた。
 彼女は反射的にきゅっと目を閉じる。その仕草は初々しい、幼い女の子そのものだ。
 これからきみがしようとする事を、おそらく察しているのだろう。

 たぶんきみは、彼女のような人外の少女を好む嗜好のはずだ。
 もしくは、獣のような性欲が溢れて仕方なかったのかもしれない。
 どちらにしろきみはもう二回も一つ目の少女を、ゲイザーである彼女を手籠めにする選択をした。
 しかしそれでいい。それもまた彼女が望んだことだ。
 
→ 【19】へ


【9】
 その日は土曜日だったが、大学の図書館は解放されている。きみは誘われるように三階奥の休憩スペースへと向かう。
 そこにはきみが思った通り、一つ目の少女がいる。黒いソファの上で、同じくらい黒い髪を下敷きにして寝そべっていた。
 真っ黒なソファに白肌はよく映えていて、どことなく神秘的だ。

「やあ、早かったな。それじゃあ見せてもらうよ」

 彼女が姿勢を正してから催促すると、きみは自分が書いた話を纏めたコピー用紙を差しだす。
 そのままきみは突っ立っていたが、それに気づいた少女に「一緒に座ってくれるかな」と言われ、遠慮がちにソファの端へ座った。

「なんだ、もっと近くに座ってもいいのに。まあいいか」

 そう言って、彼女はソファで体育座りをしながら、膝に紙を置いて君の渡した紙に目を通し始める。
 さて、きみが書いた話は、

・絵本のような寓話 → 【10】へ
・甘酸っぱいラブストーリー → 【11】へ
・赤い一つ目の少女を犯す話 → 【12】へ


【10】
 きみは昔読んだ本を思い出しながら、覚えている場面のオマージュを取り入れた物語を作った。
 どちらかというとあらすじが簡単なお話で、絵本にもできそうなお話だ。

「……ふぅん……へえ、……なるほど……」

 自分の書いた話を読まれるというのは、緊張するし、どこか気恥ずかしくなるものだ。
 先生に作文を提出した子供のような気持ちで、きみは彼女が読み終わるのを静かに待つ。

「思ったより出来がいいよ。
 なんであれ最初は見るに堪えないものになるかと思ったけど、そうでもないらしい。
 もしくは、君にそういうセンスがあったのかもね」

 にやにやと少女が笑い、ソファから立ち上がる。
 彼女の意図はさっぱり掴めないが、その言葉に嫌味や偽りはないようだ。きみも素直に嬉しくなる。

「でもねえ、ちょっとアタシが求める物とは違うみたいだ。
 ま、何を書いてほしいか言わなかったアタシにも問題があったな」

 彼女はコピー用紙をソファの縁に置いて、きみの方へ向き直る。
 ソファに膝をついた少女は、ゆっくりときみを柔らかいクッションの上に押し倒した。
 吐息が当たるほど近くに寄り添われ、君の上に乗った少女の一つ目が君の顔をじっと見据える。
 
「二回目なら、君も要領が掴めてくるだろう。
 だからね、次は……恋愛の要素も入れてみたらどうかな?
 物語を彩るには、とてもいいスパイスだから。
 もちろん強制はしないけどね。じゃあ、頑張って」 
 
 顔を更に近づけられ、とっさに目を閉じたきみの唇にふわっと温かい物がくっつく。
 何が起こったのか理解する前に、少女の姿は浮かび上がってどこかへ飛んで行ってしまう。

 そしてきみの気のせいでなければ、一瞬見えた彼女の顔は、りんごの様に赤く色づいていた。

 → 【16】へ


【11】
 きみが書いたのは、精一杯の甘酸っぱさを込めた恋愛小説だった。
 
「へえ、恋物語を書いたのか。これはこれは楽しみだ」

 にやにやしながら彼女は紙をめくっていく。
 きみは自分が書いた物を読まれることにまだ慣れておらず、そわそわとしてしまう。たとえ読んでいる相手が人間でなくてもだ。

「ふうん……なるほど……叶わない恋の切なさ、って感じだね」

 大部分を読み終えたらしい彼女は、そんな言葉を口にする。

「退屈しない展開だし、恋に弱気な少女の心情もよく書けていると思う。
 ……けれど、最後が救われない結末なのは何故なのかな」

 彼女は横目でちらっときみを見る。

「特に深い理由は無かったのかもしれないけど、アタシは気になったな。――暗い話なんて作らなくても、周りを見ればそんなもの、ごまんとあるんだから。
 ……それにこの話、大事な所が抜けてるよ。
 物語の二人は終盤、体を重ね合ったらしいのに、その描写がないじゃないか」

 どう答えていいか分からず、きみは目線を彼女から逸らした。
 クッションの沈む音がしたかと思うと、きみの身体はふわっとした重みに押されてソファへ倒される。
 顔を上げると、少女の柔らかい体が君の上にまたがっていた。

「そうか。その反応を見ると、きみはまだそういう事に慣れていないらしいね。
 今からたっぷりと教えてあげてもいいけれど――どうだろう?」

 きみの答えは、

・黙って頷く  → 【13】へ
・彼女を突き飛ばす →【14】へ
 

【12】
 きみが書いたのは、
「へえ、この物語に出てくる女の子は一つ目なのか、親近感を感じるね。
 どれどれ……」

 目の前にいる赤い一つ目の少女を、勢いのままに押し倒し、

「……えっと、」

 目の焦点が合わなくなるほど、声も出せなくなるほど、犯して、犯して、

「もしかして、これは……私への願望、ということかな?」

 獣のような欲望を、彼女の中に注ぎ込む話だ。
 彼女の問いに、こくりときみは頷く。

「ほんの少し暗示を掛けただけなのに、ここまでとは。
 ううん……どうやらきみは思った以上に、アタシに……ふふっ」

 彼女の口元から笑みがこぼれるのと同時に、きみは上目遣いで彼女に睨みつけられる。

「いいよ。予想よりはるかに早かったけど、それでいい。どうせもうきみは、アタシを犯したくて堪らないんだろう?
 心配しなくていい、私達以外は誰もここに来ない。
 きみが幾夜も掛けて考えてくれた愛撫を、好きなだけ試してほしい」
 
 彼女の言葉が終わるのと同時に、きみは彼女の唇を奪った。

→【15】へ


【13】
「……ふふっ、」
 目を閉じたきみの上で、おどけるような声がした。
 しかしきみが予想していたような、期待していたような、何かが唇に触れる感触はない。

「とても。とても残念だけど、今日はここまで。
 ――けどきみの表情、とても良かったよ。
 怖がるような目のつむり方と、ほんの少し期待するような口元の動き。
 アタシも少し、どきどきしたよ。ガマン出来なくなりそうで……ね」

 彼女はまたにんまりと笑ったかと思うと、すぐに浮き上がって飛び去ってしまう。
 追いかけてもどうしようもないと思ったきみは、ソファに寝転がったまま少しだけまどろんでいた。

→ 【21】へ


【14】
 きみは身体の上に伸し掛かってきた彼女の身体を、勢いよく突き離す。
 見た目よりも軽い彼女の身体は吹き飛ぶように――いや実際に空を飛ぶかのように、彼女は君から離れた。まるで、きみがそうするのを予想していたかのように。
 彼女はふわっと浮いたまま、空中から君に話しかける。

「おっと、これは失礼。少々からかいすぎたね」

 言葉では謝っているが、彼女に悪びれる様子は一切ない。 
 それどころかとても楽しそうな表情で、またきみの目を見据える。
 そのとき何故か君は、赤い一つ目が輝いたような錯覚を覚えた。

「でもね、これはきみの手助けをしようと思っただけなんだ。
 あんまり気を悪くしないでほしい」

 すっと彼女が床に降り立つと、きみの話が書いてあるコピー用紙の束を拾い、手渡してきた。
 きみはソファの上で仰向けになったままそれを受け取る。
 
「それじゃあ。
 次こそは、そろそろ、期待しておくからね」

 彼女はまたにんまりと笑ったかと思うと、ふわっと浮いて飛び去ってしまった。
 追いかけてもどうしようもないと思ったきみは、ソファに寝転がったまま目を閉じる。

→ 【21】へ


【15】
 きみと少女は黒いソファの上で、体温を共有しあえるほど身を寄せ合う。
 手始めに唇を奪いながら、彼女の身体を両手でなぞっていく。するとお返しのように、彼女の黒い触手がきみの背中を撫ぜた。
 半眼を開けて困ったような顔をする少女に、きみは容赦なく舌と手の愛撫を繰り返す。
 舌を彼女の熱い口内に滑りこませると、二人の唾液が混ざってほんのりと甘い味が広がる。
 膨らみを主張する小さな胸に触れるとマシュマロのように柔らかい感触が伝わり、彼女が少しだけ息を荒くした。

「っ、んむっ、」

 まだほんの少し絡み合っただけなのに、少女の体温は驚くほど熱い。
 我慢出来ないとねだるように少女は体をよじらせ、荒っぽくきみのズボンを降ろしていく。
 下着まで脱がされ、精一杯に勃起したきみのペニスが外に出されると、少女は愛おしそうに自分の股間を擦り付ける。
 柔らかく、濡れそぼった膣がきみのペニスをゆっくりと撫で、心地いい膣肉の感触と共に愛液を塗りつけていく。
 恐る恐る腰を動かすような少女の奥ゆかしさが、さらに情欲を駆り立てさせた。

「アタシだって、ガマン、してたんだ。いつきみが、こんなふうに……愛してくれるのかって。
 だから少しずつ、少しずつ、きみの気を引こうとした。
 でも今はそんなの、どっちだっていい」

 きみはペニスの先端をぷっくり膨らんだ膣肉の間にくっつける。ぴったり閉じた少女の秘部は小さく、強引に入れようとすると壊れてしまいそうにも見える。
 その事をすこしきみは心配したが、少女は「だいじょうぶ」とねだる様な甘い声で鳴いた。
 膣口にきみは自分の分身を押し当て、先端を少しずつその狭く熱い穴の中へと挿し込んでいく。たっぷり濡れた秘部はよく滑り、多少の抵抗とともに、きみのペニスは少女の中へにゅるんと飲み込まれていった。
 熱湯のように熱い膣の中でぐにぐにとペニスを締め付けられながら、きみは彼女にピストン運動を繰り返す。
 奥までペニスを滑りこませる度に、濡れそぼった秘部からぐちゅっ、ぐちゅっと卑猥な音が溢れて、彼女が吐息と声を漏らし、きみをぎゅっと抱きしめる。
 絡ませた舌の上でよだれが滴り、きみの頭の中をびりびりと痺れさせていく。
 そして次第に腰を振る速度は増していき、彼女の嬌声もそれに伴って高くなる。
 
「もっ、だ、だめっ。あたま、まっしろに、なるぅ……!
 な、中に、はやくっ、出してッ……!」
 
 ペニスに少しずつ精液が昇っていき、強烈な射精欲に駆られる。
 きみが彼女の膣奥へ突き入れた瞬間、きみの背中に回った彼女の両足がぎゅうっときみを引き寄せる。さらには黒い触手も一緒になってきみの背中を覆っていく。
 少女に全身で絡みつかれ、がっちり密着されたまま、びゅくん、ときみは彼女の膣奥に精液を注ぎ込んでいく。
 射精の勢いが収まってもなお精液を絞り出そうと、彼女の肉壺がうねって、きみのペニスをまたぐにぐにと刺激していく。
 子供の頃、初めて射精した時のような凄まじい快感がきみの全身をかけめぐった。

「――っ、はぁっ、はぁっ。
 すごく濃くて、おいしいよ……きみの、セイエキ。
 でも、まだまだアタシ、物足りない……もっといっぱい、欲しいっ」

 必死で息を整えながら、彼女は自分から腰を動かそうとする。
 しかし疲れか快感のせいか、少女の身体はゆっくりとしか動かない。その動作がまるで焦らすようで、興奮の冷めないきみはまた激しくペニスを秘部にぱんぱんと打ち付ける。

「あっ、だ、だめっ、まだそんなに、はげしくっ、ぅっ!」

 絶頂の余韻がまだ残っているらしい彼女を、きみは容赦なく責めたてる。がむしゃらに激しいだけの動きだったが、彼女をまた快感の波に戻すのには十分だった。
 
「いっ、あっ、うぅ、んぅぅっ! ま、また、まっしろ、にぃっ……」

 彼女の小さな秘部にペニスを突き入れ、こみ上げる精液を吐き出す。
 膣の中が白濁液で満たされるまで、自分の欲望が空になるまで、何度も何度も。
 可愛らしい喘ぎ声が声にならなくなり、目の焦点が合わなくなるまで、きみは彼女を犯し続けた。

 眩む視界の中、一つ目の少女が意識を失うころ。
 やがてきみも体力が尽き、心地よい眠りの中に誘われる。
 
→ 【18】へ


【16】
 彼女に物語を見せたその日のこと。
 また夜がきて、ぼーっとした様子できみは帰宅し、すぐにパソコンのモニターに向かった。
 きみが彼女に怒りや疑念を持っていたとしても、何故かきみはまた物語を書こうとしてしまう。
 それが何故かはわからないが、きみはどうしてもその思念に抗うことができない。 
 そう、それでいい。

 真っ赤な赤い一つ目が、前よりも深く記憶に残っている。気が付くと彼女の顔を思い出しそうになる。
 何故彼女がきみに話を書かせようとするのか、その理由がきみには分かるだろうか。
 察しの良いきみなら、気付いているかもしれないけど。

→ 【21】へ


【17】
 きみは赤い一つ目の少女と突然出会って、言われるまま動いた。
 「話を書いてほしい」というわけのわからない要求を呑ませて、そこまでは彼女の――いや、アタシの計画通りだった。
 時間と手間を掛けて、君が違和感を覚えない程度に毎回、暗示を掛けて、君をアタシの物にする。
 そういう予定だった。
 そう、きみは初めからアタシに誘導されてたんだよ。 
 もっとも、新しい話を読んでみたかったのも事実だから、君の話は興味深く読ませてもらったけどね。

 けれど、君のほうが早かった。
 アタシが少しずつ掛けていた暗示なんて、君の想いとは比べ物にならなかったよ。
 恥を忍んで言うけれど……アタシは、心の底からもうガマン出来なくなった君に激しく犯されたかったから、こんな回りくどい事をした。
 でも、どうやら君はそれを良しとしなかったんだね。
 性欲に直結させた暗示でさえ、君を無理やり動かすことはできなかったんだから。

 だから……君には暗示なんて、最初から必要なかったのかもしれない。
 もしかしたら、ただ自然に声を掛けるだけでも、いつかはアタシを愛してくれたのかもしれない。
 それを思うと、ほんのちょっとだけ後悔してしまう。
 でもね。
 君が見せてくれたその想いは、何よりも嬉しかった。

 だからこれからも、君と一緒に居たい。
 アタシと一つに、なってほしい。

→ 【15】へ


【18】
 きみと一つ目の少女が一緒に暮らすのはすぐだった。
 自分がどんなことをして、どんな風に彼女と接してきたのか、きみはハッキリと覚えている。
 彼女が打ち明けた『暗示』の力も、きみにとってはどちらでもよかっただろう。
 たとえそれがあってもなくても、二人は仲睦まじく暮らしていけるだろうから。

「……んっ。なんだ、もう起きたのかい」

 きみが横を見ると、眠そうに潤んだ真っ赤な一つ目がきみの顔をじっと見つめる。
 どちらからでもなく、きみと彼女は唇をそっと触れさせた。

・おわり。(ED:1)


【19】
 獣のような欲望で、貪るように彼女の肉体を求め続けたきみはふと自分の家で目が覚める。
 今まで自分が何をしていたのか、ほとんど記憶がない。
 たしか図書館に行って、本を探して、その時にある女の子と会って――何をしただろう?
 きみは必死で自分の記憶を振り返ってみる。

 たしかきみは少女に、「話を書いてくれ」と頼まれる前から会った事があった。
 ――いや違う、もっと前から一つ屋根の下で暮らしていたような気もする。
 何故か思い出そうとすると曖昧になるが、とにかくきみと一つ目の少女は親しく付き合っていた。
 それはきっと、間違いない。きみにはそう思える。

→ 【20】へ


【20】
「……んっ。なんだ、もう起きたのかい」

 きみが横を見ると、さっきまで考えていた疑問の答えになった気がした。
 眠そうに潤んだ真っ赤な一つ目が、きみの顔をじっと見つめる。
 そのままきみと彼女は、またまどろみの中に落ちていった。

・おわり。(ED:2)


【21】
 週が変わって土曜日。
 今日も大学の図書館は解放されており、きみはいつものように三階奥の休憩スペースへと向かう。
 黒いソファの上に座っている赤い一つ目の少女は、きみを見つけると嬉しそうに、にこっと笑った。

 きみは彼女に催促されるよりも早く、自分が書いた話を纏めたコピー用紙を差しだす。
 そして、ゆっくりと彼女の隣に座った。

「ふふっ。さあ、今日はどうかな。楽しみでしかたないよ」

 そう言って、彼女はソファの上で体育座りをしながら、膝に紙を置いて君の渡した紙に目を通し始める。

 さて、きみが書いた話は、

・一つ目の女の子と遭遇する話  → 【22】へ
・赤い一つ目の女の子を犯す話 → 【12】へ


【22】
 きみが書いたのは、赤い一つ目をした魔物の女の子と出会う話だ。
 言うまでもなくそれは実体験から書かれている。つまり今のきみと彼女のことだ。

「……なるほどね。なるほど。アタシのことを、書いてくれたわけだ。
 きみがどんな風に思ってるかも、これだとよく分かるよ」

 彼女は紙ときみの顔を見比べながら、ぺらぺらとコピー用紙をめくっていく。
 時折きみが書いた文章を読んで、きみがどんな反応をするかを確かめる、ようなこともした。

「でも残念な事に、これには――そう、アタシの欲しいものがない。
 そろそろ分かってくれていると思っていたけど……いや。なんでもないんだ」

 少女が何を言っているのか理解できないきみは、首を傾げる。
 しかし彼女の一つ目に視線を戻した瞬間、びくっと全身が震えるような刺激が走った。さっきまでは何ともなかったのに、急に。

「もう十分すぎるくらい、きみを染めたつもりなんだけど」

 彼女の真っ赤な一つ目を見るだけで、動悸が激しくなって意識がぼんやりとする。図書館の冷房は効いているはずなのに身体が熱い。
 同時に、抑えがたい欲望が頭の中に浮かんでは消える。 
 少女の幼い体つきが、白い肌が、黒い触手が、赤い一つ目が、どれもこれも魅力的に見える。
 元々彼女は裸体に近い姿だけれど、その肢体が艶めかしく思えて仕方がない。

「……ま、それでも足りないのなら……アタシも、限度があるからね。
 だから次を、待つよ」

 そう言い残して、少女はそっと廊下のほうへ歩いて行ってしまった。
 きみはその小さな少女の背中に襲い掛かってしまいたい衝動を抑えるのに必死だ。
 ――ああでも、無防備な今なら、彼女を、きみの好きなように出来るかも――?
 
・彼女を押し倒す  → 【24】へ
・思いとどまる → 【23】へ
・彼女を抱きしめる → 【25】へ


【23】
 きみは深呼吸をして、必死に自分を取り戻そうとする。
 少女が見えなくなって数分後、きみの欲望は風のようにどこかへと消え去ってしまった。
 精神を落ち着かせ、きみはおぼつかない足取りで自宅へ帰ることにする。

→ 【26】へ 


【24】
 自分でも驚くほどの速さで、きみは彼女の背中に抱きついた。
 ほとんど抵抗なく彼女はきみに押し倒され、その場にあったソファへどさっと背中をつく。 
 そのままくるりと体を捻らせ、彼女は仰向けになる。押し倒したきみを見る彼女の表情に驚いた様子はない。

「……もう。ようやく、その気になってくれたね。
 そろそろホントに、ガマンできなくなるところだったんだよ。
 アタシはきみに、……その、されたくて……堪らなかったのに」

 彼女の声が耳に入っているのかどうかも分からないほど、きみは興奮している。
 溜まりに溜まった欲望を、わたしにぶつけたくて、仕方がない。
 ――さあ早く、君のセイエキで、アタシをめちゃくちゃにして。

→ 【15】へ


【25】
 きみは黒い触手の上から、彼女の小さな背中を抱きしめる。
 ふんわりとした温もりがきみに伝わり、少女の身体の小ささをはっきりと認識する。
 たとえ人間ではなくたって、きみが乱暴にすればすぐに傷ついてしまいそうな幼い身体だ。

「……何のつもり、かな。
 ただ抱きしめて、それで終わり……だなんて。そんなんじゃ、許さないよ」

 顔は見えないけれど、嬉しそうな声だった。
 きみの腕の中で彼女はくるっと回り、君の顔を見上げる。

「力任せに押し倒したってかまわないのに、きみは本当に奥手だね。
 だけど……それはアタシのコトを想ってくれてるからなのも、分かってる」

 頬の染まった彼女の顔と、目が合う。
 一つ目がそっと瞼を閉じて、きみはその意図を理解する。

「そっか。もう少しだけ、踏み出せればよかったんだね。アタシも、君も」

→ 【17】へ

 
【26】
 なんとかきみは自宅へ帰ってきたが、熱があるみたいにぼうっとする。
 帰ってすぐベッドの上で横になっても、思い出すのは一つ目の、彼女の事だけ。
 そしてまた、彼女に対する性欲が間欠泉のように溢れ出てくる。

 たまらずきみは自慰を始めてしまう。
 けれど、どれだけペニスを刺激しても、時間を掛けても、絶頂にはたどり着けない。
 きみはぼんやりする意識の中、行き場のない欲望をまとめようとしている。
 さあ、どんなふうにされたい?

・彼女の幼い身体に蹂躙されて、好きなようにされたい  → 【27】へ
・黒く柔らかい触手に巻き付かれながら、激しく犯されたい → 【27】へ
・赤い綺麗な一つ目を眺めながら、彼女の顔を精液で汚したい → 【27】へ


【27】
 そう。そうだよね。
 きみの頭の中は、もうアタシに犯されることでいっぱい。その体を捧げたくて、仕方がない。
 どうして? さあ、どうしてだと思う? それはね、君のせいなんだよ。
 本当の意味で、君を虜にする暗示はまだ掛けてなかったんだ。この意味が分かるかな?
 え? 【暗示】が何か分からない、だって? ……もう。またそんなふうにごまかそうとするんだ。
 ちゃあんときみに分かるようにしてあげてたんだ。本当は気づいてたんだろう?
 アタシの誘惑に気づいてて、それでもここまでアタシに付き合ってくれてたんだろう?
 だからアタシはいつ君に襲われてもいいように、ずーっと準備をしていたのに。

 君がアタシの想いに意地悪しないで応えてくれていたら、ここまで手荒にする気はなかったんだ。 

 でも、もうだめ。君がアタシのコトしか考えられなくなるまで、犯してあげる。
 もしヤだったら、ここで止めてあげてもいいけど……どうかな?

・「犯されたい」 → 【28】へ


【28】
 ほら、やっぱりそうなんだ。
 なに? そんなこと言おうとしてなかった? ふーん……?
 でもそんなに股間を大きくさせているんじゃ、説得力がないよ。
 ふふ、ちょっと指でツンツンしてあげただけなのに、ぴくぴくさせて苦しそうだね。
 次は……そうだなぁ、「はやくぼくのおちんちんを、えっちなおまんこに入れさせてください」って言ってよ。
 どうしたんだ、恥ずかしくて言えないのかい?
 だけどきみが口に出して言うまで、アタシはずーっと焦らし続けるからね。
 ――だめだめ、もう自分の手でどれだけしごいたって、きみは出せないんだから。
 そんな事したらますますもどかしくなって、頭の中がおかしくなっちゃうよ。

 ……おちんちんを……何かな? もっと大きな声で言ってくれないと聞こえないなあ。
 ほらほら、こうやって手で先っぽを擦ってあげたら言いやすくなる?
 あー、今度は最後の方がよくわかんなかったよ。
 残念だなぁ、すぐに言えたら、もうトロトロになってるおまんこでずぽずぽしてあげようと思ったのに♪
 あと一時間はガマンしてもらうからね。君が、君のほうがアタシをもーっと焦らしたんだから。

 ふふっ、うふふふ。
 おまんこで君のペニスを食べてあげるその時のカオが、今からすっごく楽しみ……♪ 

→ 【29】へ


【29】
 ゲイザーである彼女の欲望の火に油を注いでしまったきみは、満足するまで彼女に犯され続ける。
 もっとも、それは一晩では終わらないだろう。
 一週間?一か月間?一年間?
 そして犯され続ける間も、きみは彼女の【暗示】を受ける事になる。
 そうなれば時間が経つにつれ、きみは心の底から彼女が愛おしくなって、もう彼女なしでは居られなくなる。
 ――だが彼女もまた、きみなしでは居られなくなるだろう。

 きみと彼女は、時間さえあればお互いを愛する生活を営み続ける。
 はじめに彼女をきみがどう思っていたかなんて、もう愛欲の中に溶けていって、見えなくなってしまった。

 ただ……納得がいかないのなら、きみはもう一度初めからやり直す事も出来る。
 次は、どうなるかな……ふふっ。
 
・おわり(ED:3)
・はじめからやり直すなら… → 【1】へ戻る


14/06/22 00:47更新 / しおやき

■作者メッセージ
最後まで(?)お読みいただき、ありがとうございます。

今回はゲームブック(というより選択式ADV?)にして、ちょっと嗜好を変えてみました。
いちおうエンディングは3つで、ゲイザーちゃんを愛したり犯したり犯されたりします。
読みにくいことこの上ないですが、お楽しみいただければ幸いです。

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33