連載小説
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第三話
ウィン「着きました!冒険者の集まる町『ケインズ』!」

リエ「・・・」

ウィン「リエ?どうしたのさ?」

リエ「いや、本当に魔物がいっぱいいるぁ・・・」

ウィン「何を今更。キャロンの村にだって魔物はいたじゃんか」

リエ「あっちは小さな村だからあまり衝撃は無かったんだけど・・・このくらい大きな町に、普通に魔物が人間と仲良く暮らしてるのを見るとやっぱりというか、凄いインパクトを感じた」

ウィン「まぁ、なかなかこんな風景見られないからね〜。」








〜中央広場〜

リエ「さて・・・まずは宿屋確保だけど」

ウィン「この町の地図を見る限りは10近くあるけれど・・・どれにする?」

リエ「う〜ん・・・出来るだけ出費は抑えたいのだけど・・・とりあえず見て回ってみよう」



〜1つ目の宿〜

リエ「料金はっと・・・ゲッ!?」

ウィン「どれどれ・・・うわっ!高っ!?」

リエ「ここは無理だ・・・」

ウィン「次行こ次!」




〜2つ目の宿〜

リエ「ここの値段は凄く安いのだけれど・・・」

男1「うぇっへっへっへ・・・」

男2「くっくっく・・・」

ウィン「リエ・・・ここ怖い・・・」

リエ「ここも無理ね、さっさと次行きましょう」











〜7つ目の宿〜

リエ「次はここか」

ウィン「見た目は普通だし、周りは人通り多いから治安は良さそうだね」

リエ「問題は料金・・・お!」

ウィン「どんな感じかな・・・おぉ、これは良心的な値段」

リエ「時刻もそろそろ夕方・・・よしっ!しばらくはここの宿に泊まろう!」

ウィン「おぉー!」



リエ「おじさんこんにちはー」

おじさん「いらっしゃい嬢ちゃん達。この宿にお泊りで?」

ウィン「うん。あたし達、冒険者志望でしばらくはここに留まろうと思ってるんです」

おじさん「そうかい。・・・よし!可愛い嬢ちゃん達がここに居てくれるならこの宿も明るくなる。特別に3割引きで泊めてやろう!」

リエ「本当ですか!?」

ウィン「ありがとうございます!」






リエ「宿のおじさん優しかったね!」

ウィン「うん!それに夕食も美味しかったし、最高!」

リエ「・・・それで、明日の予定なんだけどさ」

ウィン「どうしよっか?」

リエ「午前中は町をぐるっと見て回って、ついでに必要な物も買って・・・」

ウィン「今日は宿しか見てなかったからねー」

リエ「午後は冒険者ギルドに行ってみたいと思うの」

ウィン「冒険者ギルドね・・・って、えぇ!?もう!?」

リエ「だって、神様から貰ったお金だって無限じゃないんだし。自分達で稼がなきゃ」

ウィン「それは分かるけど、もう少し経験を積んでから・・・」

リエ「大丈夫だって。何もいきなりリオ○イアに挑めって訳じゃないから。薬草調達とかそういう依頼だってあるでしょ?そういうのをしばらくはやろうと思うの」

ウィン「そういうことなら・・・」

リエ「よし!明日は早いからそろそろ寝よう!」

ウィン「え、もう寝るの?」

リエ「そうだけど?何かすることある?」

ウィン「いや、別に・・・ヒサシブリニリエト・・・」

リエ「ん?何か言った?」

ウィン「え、いや・・・なんでもない!オヤスミ!!」

リエ「お、おやすみ・・・」

ウィン(リエのバカーー!)






〜朝〜

リエ「さて、今日は冒険者ギルドで初仕事だ」

ウィン「その前に朝市行こうよ!なんかここの朝市は有名らしいよ!」

リエ「海にも山にも近い場所だから、いろんな物が集まるからかな?」

ウィン「かもね。さ、行こうよ!」

リエ「わ、ちょっとウィン押さないでよ・・・えと、おじさん行ってきます!」

ウィン「行ってきまーす!」

リエ「いってらっしゃい。気をつけてな嬢ちゃん達!」






〜朝市〜

ウィン「うわ〜、ホントに色んな物があるね〜♪」

リエ「魚、野菜、肉等の食材から服や装飾品まで・・・活気に溢れてるし、凄いなここは」

ウィン「おっ、このアクセサリー可愛い・・・いや、こっちのネックレスも・・・」

リエ「ウィンったら・・・今回の目的は食料や旅道具の調達だというのに・・・ん?」

露店の店主「・・・」

リエ(露店に小さな女の子・・・?お手伝いか何かかしら)

リエ「ねぇ、ちょっと良いかしら?」

店主「ん?ワシに何か用か?」

リエ(ワシって・・・なんか古臭い女の子だな)

リエ「あの、このお店ってあなたが開いてるの?」

店主「うむ、ワシがこの店の店主である。さぁ、ボーっと突っ立ってないで商品を見ないか!」

リエ「え、えぇ。どれどれ・・・『精力酒』に『惚れ薬』、『媚薬』・・・」

店主「どうだ?どれも我が店の自慢の品じゃ。お主もなかなか良さそうな身体を・・・」

リエ「ねぇ、ここにあるもの全部こういう類の物かしら?」

店主「ぬ・・・ああ、確かにそうだが?」

リエ「・・・あなた、お父さんやお母さんは?あなたみたいな小さな女の子がこういう薬を売っちゃ駄目だと思うのだけど」

店主「・・・」

リエ「というか、ここにいる人たちも何で注意しないのかしら・・・さ、私と一緒にお母さんのところに・・・」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


リエ「な、何!?」

店主「お主・・・それはワシを魔界の覇王と知っての台詞か・・・?」

リエ「え・・・?」

店主「よかろう・・・無礼者にはワシが自ら罰を・・・」

ウィン「あ、リエこんなところで何を・・・って、この人は!?」

リエ「ウィンこの娘知ってるの?」

ウィン「リエ、この人バフォメット様だよ!」

リエ「バフォメットって・・・この娘が!?」

バフォ様「貴様・・・地獄の業火で焼き尽くして・・・」

ウィン「ば、バフォメット様落ち着いて!リエはこの世界に来たばっかでバフォメット様の事知らなかったんです!」

バフォ様「・・・この世界に来たばかり・・・だと?」

リエ「え、ええそうなんです!私この世界の人間じゃないんです!」

バフォ様「興味深い話じゃな・・・話してみろ」

リエ「はい。実は・・・カクカクシカジカ・・・」

バフォ様「うむ・・・お前面白い奴じゃな。良かったら我がサバトに」

ウィン「だ、駄目です!リエはあたしの恋人なんです!・・・魔女なリエも良いけど・・・」

バフォ様「クックック・・・冗談冗談。そうだな、ワシの薬は男と女を前提にしておるのであまりお主らにあうようなものはないが・・・そこらの薬屋も真っ青な傷薬、いるか?」

リエ「・・・なんか変な効果は?」

バフォ様「安心しろ、ただの傷薬じゃ。効果は保障するぞ。切れて間もなければ腕や足もくっつく優れものじゃ!」

ウィン「でも高いんじゃ・・・」

バフォ様「何、面白い話を聞かせてくれた礼じゃ。タダで三つくれてやろう」

リエ「え・・・良いんですか!?」

ウィン「ありがとうございます!」





バフォ「クックック・・・元気な娘達であったな。それに・・・リエとかいう娘、空間が歪んでおったのにワシを見つけるとは・・・魔女にすれば相当なものになったろうに。ま、あのハーピーが居ては無理じゃが」





〜冒険者ギルド〜







リエ「おぉ・・・いかにも冒険者や戦士って人がいっぱいいる」

ウィン「男の人ばっかだねー」

リエ「皆筋肉ムキムキ・・・っと、あの人が受付みたい」



リエ「すみません」

受付「なにかしら?」

リエ「あの、冒険者を目指してるんですけど・・・初心者でも出来そうな依頼ってありますか?」

受付「あら、あなたみたいな女の子が冒険者志望なんて珍しいわね。そうね、あっちの壁にある依頼は人探しや物探しが中心になってるはずだから、まずはそっちを見ると良いわ。決まったらあたしのところに持ってきてね」

リエ「分かりました、ありがとうございます」



ウィン「なんだって?」

リエ「そっちの壁のが初心者向けだって。見てみよ」

ウィン「はーい」






リエ「なになに・・・『薬の材料になる薬草を三種類探してきて』か。ま、こんなもんかな?」

ウィン「こっちのは『商品の仕分けを手伝って欲しい』だって。これは冒険とは関係ない・・・かな?」

リエ「う〜ん、それはあまりやる気が出ないなぁ・・・と」

ウィン「何か良いのがあった?」

リエ「『山賊のアジトを探せ』・・・だって」

ウィン「それは危ないと思うな・・・」

リエ「いや、探すだけで地図に書き記したら自警団に持って行くっていう内容だね。これなら直接戦闘はない・・・と思う」

ウィン「でも、もし見つかったら今のリエじゃまともに戦えないよ?」

リエ「確かにそうだね・・・大丈夫、これは受けないからそんな心配そうな目で見ないでよ」

ウィン「あ、ごめん・・・」

リエ「良いって。それだけウィンが私のことを好きだと思ってるってことだからね♪」

ウィン「あぅぅ・・・////」

リエ「さて、さっきの薬草調達クエストをやろうかな・・・あ」

?「おいお前何いきなり私が取ろうとしている依頼書に手をかけてる訳?」

リエ「あ、すみません。でも、私もこの依頼を受けようとして・・・」

?「私もこの依頼を受けようとしているのだが」

ウィン「どうしたのリエ?」

リエ「いや、この人とちょっと・・・」

?「おいハんピーお前の連れが私がやろうとした依頼書を私と同時に取ろうとしたので私は深い悲しみに包まれた」

リエ「どうしよう・・・」

ウィン「う〜ん・・・そうだ!」

リエ「何か思いついたの?」

ウィン「うん。あの、一緒にこの依頼やりませんか?報酬は、より多く薬草を集めたほうに多く分配される・・・これなら依頼者さんも助かるしあたし達もそれなりに利益になる。どうですか?」

?「見事なアイディアだと感心するがどこもおかしくはない。それで良いだろう」

ウィン「ありがとうございます!私はウィンといいます。こっちはリエです」

リエ「よろしくお願いします。あなたの名前は?」

?「私の名前はロティスだ。種族は・・・んっと」

ウィンリエ「?」

ロティス「よっと」


カポッ


リエ「首が!?」

ウィン「あ、デュラハンなんですか」

ロティス「ああ」

リエ「うぃ、ウィン・・・この人首が・・・」

ウィン「あ、大丈夫大丈夫。この人は『デュラハン』っていう種族で、首が取れるのが特徴なの。皆騎士みたいな人でさりげなく王家直属の騎士団にいたりすることもあるらしいの」

リエ「そ、そうなのか・・・たしかにパッと見人間にしか見えないからな・・・」

ロティス「ということだ。よろしく頼む」

リエ「こちらこそよろしく」

ウィン「ヨロシクね♪」












〜町北西の山中〜

ウィン「見つかった〜?」

リエ「こっちは三つ見つけた。ロティスさんは?」

ロティス「二つ見つけた」

リエ「そうですか。依頼者は薬草を出来るだけたくさん欲しいと言ってるから、まだ集めなきゃ」

ウィン「でもここら辺はあまり無さそうだよ?」

ロティス「もう少し中に入ってみよう。ここいらは人が入りやすい場所だから、採り尽くされたのかも知れない」

ウィン「じゃあ、あたしが空からそれらしい場所を探してくるね!」

リエ「分かった。開けた場所に生えやすいらしいから、そういうところを見つけてきてね」

ウィン「りょーかい!」




リエ「ウィンはちゃんと見つけてくるかな?」

ロティス「あいつはちゃんとやれると思う」

リエ「でも、あの娘ちょっとおっちょこちょいだから・・・」

ロティス「あいつはお前のことが好きそうに思えた。お前の為なら頑張って見つけてくるだろう」

リエ「ロティスさん、恥ずかしい・・・////」

ロティス「しかし・・・お前なんか他の人間とは違u」

ウィン「お〜い、結構良さそうな場所を見つけたよ〜!」

リエ「ありがとう!・・・ロティスさん、なんか言いましたか?」

ロティス「いや、何でもない。さ、早く行かないとウィンが先に行ってしまう」

リエ「は、はい・・・?」

ウィン「はーやーくー!」








〜山の中腹・ひらけた場所〜

ウィン「ここだよ、見つけた場所」

リエ「ハァハァ・・・ウィン早いよ・・・こちとら歩きなんだから・・・」

ウィン「あはは、ごめんごめん・・・でも、ロティスさんは大丈夫そうだね」

ロティス「鍛えているからな。体力はあるさ」

リエ「ハァ・・・ふう・・・やっと落ち着いてきた。」

ウィン「大丈夫?」

リエ「何とかね・・・おぉ、なかなか良さそうじゃない」

ウィン「でしょでしょ!」

ロティス「これなら薬草がありそうだな。早速探そうか」




少女探索中.....




リエ「ひーふーみーやーいつむー・・・うん、奥まできただけあってたくさんあったね!」

ウィン「こっちもたくさん〜!」

ロティス「これだけあれば依頼者も満足だろう。細かい選別は町でやるとして、そろそろ戻ろうか」

リエ「分かりました。じゃあ戻りましょうk」

?「誰だ貴様ら!」

ウィン「な、何!?」

?「誰だ貴様らと聞いている!・・・まさか、討伐隊か!?」

ウィン「え!?」

リエ「違う!私達は・・・キノコ・・・もとい薬草狩りの少女達だ!!」

?「そ、そうだったのか・・・だが、俺らのアジトが見つかったのなら生かしては帰さねぇ!」

ロティス「アジト・・・・・・お前、お尋ね者の盗賊か?」

盗賊「な、何故分かった!?」

ロティス「自分で『討伐隊』やら『アジト』やら言ってたじゃないか。そんなこと言ってたら誰でもわかるぞ。なぁ?」

リエ「ええ」

ウィン「う、うん」(そうだったのか・・・)

盗賊「ええい!とりあえずお前から死ねぇ!!」

リエ「・・・っ!?」

ウィン「リエ!?」

盗賊「とりゃあああああぁぁぁ・・・・・・あ?」

リエ「・・・?」(何も・・・起きない?)

ロティス「いきなり女子に刃物を向けるとは関心せんな。ま、お尋ね者だから当然かもしれんが」

盗賊「な、ナイフが・・・掴まれて動かせない!?」

ウィン「よ、良かった・・・」

リエ「ロティスさん、ありがとう!」

ロティス「何、仲間を助けるのは当然だ。・・・おい盗賊」

盗賊「ぐっ・・・何だ!」

ロティス「お前・・・ハイスラでボコるわ・・・」

盗賊「な、何言ってやが」

カカッ

ロティス「ハイスラァ!!」

盗賊「ぎゃあああああ!!」

ロティス「お前調子ぶっこき過ぎてた結果だよ?」

リエ「・・・殺しちゃったの?」

ロティス「いや、こんな奴殺す価値もない。町の自警団に引き渡そ」

盗賊A「おい、今見張りの声が聞こえなかったか?」

盗賊B「ん、誰だ貴様ら!?」

盗賊C「敵襲ー!!」

ロティス「・・・どうやら敵に本格的に見つかったらしい」

リエ「ど、どうするの・・・?」

ロティス「カカッっと行ってぶっ潰してくる。お前達はここにいるといい」

ウィン「あ、あたしも手伝う!」

リエ「ウィン!?」

ウィン「あたし、少しくらいなら戦えるもん!風系魔法は対多人数に効果的だよ!」

ロティス「そうか、助かる」

リエ「ウィン、あなた平気なの?」

ウィン「あたしリエと会うまでは1人で暮らしてたんだよ?自己防衛くらい出来るって♪」

リエ「そ、そうなの・・・?」

ウィン「そうなの!だからリエは安心してて。大丈夫、無理はしないから」

リエ「・・・分かった。あなたを信じる」

ウィン「♪」

ロティス「よし、行くぞ!」

ウィン「ラジャ!」

カカカカカカッ

リエ「・・・どうか無事でいてね」








ロティス「ハイスラァ!!」

盗賊s「ぐわあああああ!」

ウィン「風よ切り裂け!『ウィンドスラッシュ』!」

盗賊s「ぎゃああああ!」

頭「ええい、たかだか魔物2人に何をやっている!」

盗賊「だって頭、あいつら連携すげぇよ!」

頭「んなこたぁ見てれば分かる!とにかくガンガン攻めろ!!」

ロティス「ウィン!私が活路を開く!一気に頭を潰せ!」

ウィン「オッケー!!」

ロティス「生半可なナイトではマネできない『ホーリー』!」

盗賊s「うわああああぁ!」

ロティス「今だ!!」

ウィン「うん!」



頭「ひっ!?」

ウィン「お別れです!『ЯМИДОКОКУ(やみどうこく)』!!」

頭「ぎゃあああぁぁぁぁ!!!」







ロティス「こんなものか」

リエ「盗賊達、しめて12人か」

ウィン「ちょっと運ぶのは大変だね・・・」

リエ「しょうがない。こいつらはここにほっといて、町に戻りましょ」

ウィン「え?・・・平気かな、ほっといて」

ロティス「こんだけ頑丈に縛っとけば大丈夫だ。さっさと町に帰ろう」

リエウィン「はーい」
















〜町へと続く街道〜

リエ「・・・ん?」

ロティス「どうした?」

リエ「あれ・・・あっちから馬車が来てる」

ウィン「ホントだ。しかもたくさん」

リエ「もしかしたら、自警団の人かも!」




リエ「あの〜」

騎士「なんだ?」

リエ「この先の山中で、手配中の盗賊を退治して、縛ってあるので事後処理をお願いしたいのですが・・・」

騎士「そうか、それはお手柄だ。さっそく報酬の用意を・・・」

リエ「・・・どうかしましたか?」

騎士「おい、あっちにいるのはお前の仲間か?」

リエ「は、はぁ。そうですが・・・」

騎士「そうか。あいつらは・・・魔物だな」

リエ「え、えっと・・・一体どうしたので」

騎士「魔物は・・・滅するべし!!」


ドカァ!!


リエ「がっ!!?」

ウィン「リエ!?」

ロティス「チィッ!あいつら教会の騎士か!」

騎士「魔物は滅するべし・・・それに加担するものもまた滅するべし!!」

リエ「ひっ!?」

騎士「死ねぇ!」


ガキィ


ロティス「大丈夫か!?」

リエ「な、なんとか・・・」

騎士「なんだ貴様は!」

ロティス「デュラハン、とだけ言っておこう」

騎士「ほう、なかなかの強さをもつ魔物か・・・だが、我が剣技の前では!セェイ!!」


ギィン


ロティス「くっ・・・こいつ、強いぞ!」

ウィン「援護するよ!『ウィンドカッター』!」

騎士「っ!魔法か・・・だが!」

?「『マジックバリア』」

ウィン「もう一回!『ウィンドカッター』!」

騎士「ふん、効かんよ!」

ウィン「なんで!?」

魔術師「俺がいる限り、魔法はこいつには効かんよ。・・・消え去れ魔物共。『ヘルフレア』」

ウィンロティス「うわあああああぁぁぁぁ!!!」




騎士「これで最期だ」

魔術師「あっけなかったな。ま、汚らわしい魔物共をさっさと消し炭に出来るから良いか」

ロティス「うぅ・・・強い・・・」

ウィン「あっつぅ・・・」

騎士「おいおい、トドメを刺すのは俺だろ?」

魔術師「たまには俺にもやらせろよ」

騎士「・・・たまには良いか。さっさとやれよ」

魔術師「分かってる。5秒で済むさ」



リエ(何で・・・何でこうなったの・・・?)



魔術師「特別に最高の炎を喰らわせてやるよ」



リエ(私が・・・弱いから・・・弱いから2人を傷つけて・・・)



魔術師「これで・・・」



リエ(私のせいで・・・2人が・・・死ぬ?)



ウィン「・・・リエ」



リエ(!!)



魔術師「終わりd」

リエ「あああああああああ!!!」

魔術師騎士「!!?!?!」



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



魔術師「な、何だこの魔力は!?」

リエ「力が・・・欲しい・・・」

ウィン「リエ・・・?」

リエ「ウィンを・・・皆を守る力が・・・」

騎士「な、何が起こっている!?」

リエ「そのためなら・・・人間なんか・・・辞めても良い!!」


ドグォォォォ


魔術師「す、すさまじい魔力・・・」

騎士「ええい、あいつが何をするか知らんがさっさと殺してやる!『ホーリースラッ』」

リエ「・・・『ザ・ワールド』」


ドォォォン


騎士「」

魔術師「」

ウィン「」

ロティス「」

リエ「ナイフを・・・せぇい!」

ビタァ!

リエ「もう一つ!!」

ビタァ!

リエ「・・・そして時は動き出す」

騎士「『シュ』・・・ぐあああ!」

魔術師「がっ・・・!?」

騎士「腕に・・・ナイフが・・・!?」

魔術師「い、いつの間に攻撃を・・・!?」

リエ「私が時を止めた・・・止めた時間は認識出来ない。だから気が付かずに攻撃を受ける」

魔術師「時を止める・・・だと・・・!?馬鹿な、そんなこと出来る筈が無い!出来てたまるか!!」

リエ「別に信じなくて良い・・・だって、お前らは死ぬんだから」

魔術師「何を!」

騎士「・・・わ、悪かった!ちゃんとあの2人は治療する!金も出すし必要なものがあればやる!だ、だから命だけは・・・」

リエ「・・・フンッ!」

ドゴォ

騎士「ぎゃあああああ!う、腕がぁぁ!」

魔術師「ちっ!使えない騎士だ!・・・焼き尽くしてやる!『インフェルノ』」

リエ「『ザ・ワールド』」

魔術師「」

リエ「・・・無駄ぁ!!」

ドゴォ

リエ「そして時は動き出す・・・」

魔術師「かはっ・・・!?」

リエ「お前は特に許さない。死なないギリギリのところで殴って・・・殺して欲しいと思ったときに殺して・・・」

ウィン「リ・・・エ」

リエ「ウィン・・・安心して。もう少しでこいつら殺してあげるから」

ウィン「リエ・・・もう・・・やめて・・・」

リエ「・・・え?」

ウィン「もうやめよ・・・?あいつらなんかどうでもいいよ」

リエ「でも!あいつらはウィンやロティスさんをひどい目に・・・」

ウィン「リエ・・・人を殺したら、例えその人が大悪党でもそのことに負い目を感じる・・・リエはこんな奴らの命を背負わなくていいんだよ・・・」

リエ「ウィン・・・分かった。こいつらは殺さない」

ウィン「うん。それがいいよ」

リエ「ウィン・・・ありがとう・・・」

ドサッ

ウィン「リエ!?ねぇ、大丈夫!?」

ロティス「・・・安心しろ・・・気絶しただけだ」

ウィン「・・・良かったぁ」

ロティス「だが・・・こいつらどうするか・・・」

騎士「うぅ・・・いてぇよ・・・」

ウィン「こっちの騎士はもう大丈夫そうだけど・・・」

魔術師「ブツブツブツブツ」

ロティス「あっちの魔術師が不気味だ・・・ちょっと気絶させてくる」

ウィン「気をつけてね・・・」



ロティス「・・・」

魔術師「ブツブツブツブツブツ」

ロティス「とりあえず当身を・・・」

魔術師「近づくなぁ!!」

ロティス「っ!」

魔術師「俺に近づく奴・・・いや、周りのものすべて壊してやる!!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


ロティス「ぐぅ・・・すさまじい魔力だ・・・こいつまだ力を残して・・・!」

ウィン「なんかやばそうだよ!早く逃げよう!」

ロティス「そうしたいのだが、さっきのダメージのせいで上手く動けないのだ。お前だってそうだろ?」

ウィン「そうだけど・・・じゃあどうすんの!?」

ロティス「大丈夫だ・・・そろそろ来る筈」

ウィン「そろそろ来るって・・・!」


ドドドドドドドドドドドドドド


魔術師「うわぁぁぁぁぁぁ吹き飛」

?「おっと兄ちゃん、そこまでだ」

魔術師「!?」

ロティス「やっと来た・・・」

ウィン「こ、この人たちは・・・?」

?「俺たちゃケインズの自警団さ」

ウィン「自警団の人たちがなんで・・・?」

ロティス「さっき派手に爆発があったからね。町に届いてればきっと来るだろうとは思ってたよ」

自警団「やけにでかい爆発音がしたから来てみりゃ、気絶した嬢ちゃんと傷だらけの嬢ちゃんが2人、もがいてる騎士様に危なさそうな魔術師ときたもんだ。鎧や服なんかから教会の奴らだと一発で分かったよ。大方、お前さん達を殺そうとして、返り討ちにあったんだろ?」

ウィン「え、ええ・・・。あの、聞いて良いですか?」

自警団「ん?なんだ?」

ウィン「あたし達・・・どうなるんですか?」

自警団「ああ・・・それなら心配すんな。お前さん達には非は無いからな。お2人には丁重にお帰り願うさ。さ、馬車に乗りな。医者のところまで連れてってやるよ」

ウィン「あ、ありがとうございます!」

ロティス「では、お言葉に甘えて乗らせてもらうよ」












〜翌日・宿屋〜

リエ「それで・・・私の体はどうなっちゃった訳?」

ウィン「えと・・・簡単に言えば、『ヴァンパイア』になってる」

リエ「はぁ・・・要するに吸血鬼ってこと?」

ロティス「まぁそうなるな。黒いショートカットが銀色のロングヘアーに」

ウィン「黒い瞳が紅くなって、牙が出来てる。どっからどう見てもヴァンパイアだよ」

リエ「そうか・・・やっぱり人間じゃなくなったか・・・いや、悲しいとかは無いんだけどね。寧ろ2人と同じになれたことが嬉しいし」

ウィン「あたしも嬉しいんだけど・・・なんか複雑だなー」

ロティス「・・・なぁ、リエがヴァンパイアになったきっかけってなんなんだ?ただの人間が何もなしに魔物になれるとは思えん」

リエ「あー・・・たぶんあの時だ」




〜回想〜

リエ「お、このジュース美味しい!」

ウィン「あ、それここら辺の特産品のフルーツらしいよ」

リエ「ふ〜ん・・・よし、もう一杯貰って」

ドンッ

ガシャン

リエ「痛っ」

ウィン「リエ大丈夫?」

リエ「大丈夫、指切っただけだから」

?「すまん、こちらの不注意だった」

リエ「あ、大丈夫ですよ。こんな傷舐めてればすぐに・・・」

?「ふむ・・・お前なかなか上手そうだな・・・」

リエ「は?」

?「どれ、指を見せてみろ」

リエ「いえ、そんな良いですよ・・・」

?「まぁ遠慮するな・・・んっ・・・ちゅぅ・・・」

リエ「え、ちょ・・・」

?「ん・・・ぷはっ・・・ふふふ、なかなか上手い血だったぞ。あと、詫びに少し魔力を注いで傷を治しておいた」

リエ「あ、ほんとだ・・・」

?「では、私は用があるので帰るとするか。じゃあな」

リエ「え、あ・・・はい、ありがとうございました」













〜回想終わり・再び宿屋〜

ウィン「それだ」

ロティス「それだな」

リエ「これだよなぁ・・・」

ウィン「やっぱりあの人ヴァンパイアだったんだね」

リエ「何となく分かってたけど・・・ま、おかげで死なずに済んだしあの人に感謝かな?」

ウィン「そうだろうね」

リエ「・・・さて、そろそろ寝ようかな?ロティスさんは?」

ロティス「・・・私はお前達が好きなようだ。だからこれからもお前達と旅やら依頼やらをこなしたい・・・駄目か?」

リエ「そんな!ロティスさんがいれば戦いとか百人力ですよ!」

ウィン「それに旅は人数が多いほうが楽しいしね!」

ロティス「・・・ありがとう。これからヨロシクな。あと、私のことはロティスでいい」

リエ「分かった。こちらこそよろしく、ロティス」

ウィン「ロティス、ヨロシクね♪」






続く







10/04/11 02:41更新 / SIN
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■作者メッセージ
作者「おまたせいた」
リエ「ザ・ワールド!」
作者「」
リエ「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!」
リエ「そして時は動き出す・・・」
作者「ぎゃあああ!!」
リエ「お前が!死ぬまで!殴るのを!やめな」
ウィン「リエ、もうやめて!作者のライフはもう0よ!」
リエ「・・・」
作者「ウィンさんナイスです・・・ああ!その羽で癒して!」
ウィン「ウィンドスラッシュ!」
作者「ぎゃあ!」



リエ「おい作者。」
作者「な、なんでしょう・・・」
リエ「パクリ過ぎ」
作者「・・・」
リエ「特にジョジョ。お前、三部までしか呼んだことないだろ」
作者「こ、今度5部と7部読むもん!」
リエ「・・・私が何故ヴァンパイアになった?」
作者「好きだから。でも一番は雪女かなぁ・・・」
ウィン「雪女にすればよかったのに」
作者「もう書いた。せっかくだからリエさんに書きたいナーって思ってたヴァンパイアになってもらいました」
リエ「次回の予定は・・・」
作者「無 い で す」



リエ「貴様にはもっとも残酷な死を送ろう!!」
作者「うわあああああぁぁぁ!!」







ロティスさんはブロンティストにする予定だったけど挫折したんだze






ウィン「リエがやっと魔物に・・・これから夜が待ち遠しいなぁ・・・♪」

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