読切小説
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戦ううしさん
緑の丘の上にちょこんと立つ、チョコレート色の小さな小屋。私とご主人様の物語は、ここから始まります。

牧畜を営むご主人様の朝は早く、西の山からお日様の光で目を覚まします。
もちろん、妻である私はそれより少しばかり早く起きて朝ごはんの準備。
ご主人様が一日を豊かに過ごせるよう、まだ暗いうちから昨日買ったパンを焼き、昨日収穫した畑のお野菜で簡単な料理を作り、
そして、昨日たっぷり絞って頂いた新鮮な私のミルク…♥
…こほん。ミルクをコップになみなみと注ぎ、朝ごはんの準備が出来ると、そろそろご主人様の起床時間。

台所から寝室に向かい、ご主人様をお迎えします。
寝顔を見ていたいのに、規則正しいご主人様はもう起きていてちょっぴり残念。

「ミウ、おはよう」
「はい、おはようございますご主人様♥」

ご主人様は寝台から身を起こすと、そのまま私のおっぱいに顔を埋めました。
もちろん私も抱き返し、少し痛くなるくらいに締め付けます。
…あんまりやり過ぎるとご主人様が窒息してしまうので、十分堪能したら離してあげるのですが。

さて、朝食を食べたら朝のお仕事の時間です。
ご主人様は畑を回り、私は家畜の牛さんや羊さんのお世話。
お仕事はこの二つくらいしかないのですが、これらが終わるともう日は高く登っています。
皆さんのご飯を提供する農家のお仕事は、簡単なようで色々と大変なのです。

柔らかな日差しの下、ご主人様と一緒にお外でお昼を食べた後。
倉庫の小麦と、いくつかの雑貨を切らしていたことを思い出し、私は町へ出かけることにしました。

「ご主人様、買い物に行ってきます」
「ああ、いってらっしゃい」

よそいきのお洋服に着替え、身だしなみを整えて出発。
お気に入りの編み籠を片手に街道を十五分ほど歩けば、足元の景色は赤土から石畳に変わります。
おうちからほど近いドナウの町。決して大きな町ではないけれど、生活に必要なものは一通り揃うのどかな町です。

賑やかな表通りを歩き、小麦屋さんへ向かいます。
ご主人様が小さなころから面倒を見ていただいている、リッカおばさまのパン屋さん。
大きな看板が目立つそのお店のドアを開けると、カウンターにいた男の子がこちらへ顔を向けました。

「こんにちは、ラル君」
「あ……ミウ姉ちゃん」

ラル君はリッカおばさまのお孫さん。
おばさまももう高齢で、最近は息子やラル君にお店を任せてどこかへ出掛けることも多くなりました。
代替わりの時期を迎えているのでしょう。私はなんとなく寂しさと新鮮さを感じながら、カウンターに向かいます。

「小麦、お願いできますか?」
「あ、うん……」

言いながら、ラル君はどこかたどたどしい手つきで注文票にペンを走らせます。
ちらり、ちらりと、私のおっぱいに視線を向けながら。

年頃の男の子らしい可愛い視線に、なんだか背筋がむず痒くなります。
でも、あくまで視線には気づかないふり。それが大人の優しさなのです。

「で、出来たよ。明後日には配達するから」
「はぁい、ありがとうございます、ラル君♥」

ちょっぴり甘えたようなエッチな声で、ラル君に意地悪をしちゃいます。
案の定ラル君はふいとそっぽを向いて、真っ赤なほっぺたをよく見せてくれました。
わざとらしく足を組んでいるところを見ると、もしかして勃起しちゃったのかもしれません。

……もっと悪戯したくなっちゃう気持ちもありますが、ぐっと抑えてお別れです。
ラル君にも、近いうちにきっと素敵なパートナーが出来るでしょうから。
大切なご主人様がいる私がラル君食べちゃうのは、マナー違反というものです。

「それじゃあ、さようなら」
「あ……うん、また」

名残惜しげに言うラル君。
なんというか、私たち魔物娘からすると「襲ってください」と言わんばかりの子です。
目の毒、目の毒。幼馴染のハーピーちゃんとでも早くくっついてほしいものです。

さて、帰りに広場のあたりを通ると、地主さんのもとへ商人さんたちが行列を作っていました。
何事かと思いましたが、すぐに思い当ります。そういえば今日は三つ目の土曜日。
毎月三つ目の日曜日に行われる小さなお祭り、その出店を出す許可を貰っているのでしょう。

ふと振り返ると、町の中心に建てられた大きなコロッセオが目に入ります。
明日、あそこで行われる健闘祭。魔物と戦う勇ましい人間の姿を見るために、この町にはたくさんの人が訪れるのです。

まあ、とある事情から今ではその催しを見られるのは、
魔物娘か、魔物娘と人間のカップルしかいないわけなんですが。

コロッセオを眺めるうちに、ぞくり、と背中に悪寒が走ります。
性感帯をなめくじが這うような、じわじわとした快感。
先月の出来事を思い出し、私の秘所は僅かに水気を帯びていました。

──きゅん。

思い出すだけで、子宮が疼きます。
私はそれ以上コロッセオを眺めることをやめ、急いでおうちに帰りました。



さて、おうちに帰れば夕ご飯です。
野菜とお魚のつつましく、けれど暖かなお夕食をご主人様に食べていただきます。
お食事の最中、ご主人様は明日の予定についてお話しされました。

「明日は、早く出なきゃいけないからね」

牛さんたちには申し訳ありませんが、明日のお世話は必要最低限。
一か月の一度のお祭りを楽しむため、私たちは日が昇り切らないうちから町に赴かなければならないのです。

その日はそれからお風呂に入り、体力を温存するために別々のベッドで眠りました。
とはいえ明日のことを考えると私はまるで眠れず、
ワーシープ百二匹めを数えてようやく眠りに落ちることができたのでした。



そして翌朝。日が出て間もないうちからお仕事をはじめ、いつもよりだいぶ早い時間に終わらせます。
せっかくのお祭りです。私はお気に入りのお洋服に着替え、いつもは着けない空色のリボンで髪を束ねます。
ご主人様もおろしたてのシャツを身につけ、準備は万端です。

「……じゃ、じゃあ…行きましょうか」
「ああ」

おずおずと差し出した手をしっかり握り返してくれるご主人様。
手のひらから感じる暖かな体温。
私は大切なパートナーがいる幸せをかみしめながら、ご主人様と二人で赤土の上を歩きました。



「あ、兄ちゃん、姉ちゃん」

広場でラル君と会いました。ハーピーの子としっかり手をつないでいるのが微笑ましいです。
お祭りを楽しんでいるのでしょうか。二人の手にはおっきな飴とアツアツの串焼き握られていました。

「よう。楽しんでるか?」
「まーな。パパがこいつと遊んでやれっていうから、仕方なく」
「えー?ラルだって私とお祭り楽しみにしてたくせにー」
「ふふ、仲良しさんですね」

素直になれなくてすぐケンカしちゃうラル君。
いかにも子供な感じで、とってもかわいいです。

「そんで、兄ちゃんたちも出店巡りか?」
「いや、俺は健闘祭をな」
「ふうん……」
「っ!…け、健闘祭?へー、見に行くんだ…」

興味なさげなラル君。
隣のハーピーちゃんはどうやら健闘祭の内容を知っているみたいで、
その言葉を聞いた瞬間、ぽんと顔を真っ赤にしてしまいました。

「ラルは見に行かないのか?」
「いや、健闘祭って魔物とカップル専用だろ?
 もう長いとこ祭りやってるけど今でも何やってるか分かんねーし、あんまり」
「そうですか、残念ですね」
「……」

見られてもよかったんだけどな、と内心思っていると、
不意に、隣のハーピーちゃんがラル君にぎゅっと腕をからめて言いました。

「ラル…健闘祭、見たくない……の?」
「だから、俺じゃ入れないんだって。そりゃお前なら入れるかもしれないけど」
「……ラルでも入れる方法、あるんだよ」
「え?なんだそれ」
「知りたい?ねえ、じゃあこっちに来て。すぐ終わるから」
「なんだよ…あ、悪い。兄ちゃん俺行くわ。また今度な。ミウ姉ちゃんも!」

そう言い残すと、ラル君は裏路地のほうへと消えていきました。
おそらくハーピーちゃんは知っているのでしょう。健闘祭のカップル判断基準は、えっちの有無であると。
さらば童貞ラル君。次に麦を買いに行くときには、素敵な奥さんを見せてくださいね。

「……行こうか」
「はい……」

とんだ前試合を見せつけられてしまった私達は、興奮だがドン引きだか分からないテンションでコロッセオに向かったのでした。



私たちが向かうのは、たくさんの魔物娘でごった返しているコロッセオの正門……ではなく、人の少ない裏門。
関係者以外立ち入り禁止の看板を難なく押しのけ、事務用の簡素で小さな扉を開きました。
東洋から来たという丸っこいたぬきさんが受付です。ご主人様は懐から巻紙を出し、たぬきさんに手渡しました。

「んむ、おんしら先月の二人か。印紙は……確かに。
 分かっとると思うが、男の控室は右、女は左の突き当りじゃ。衣装は名前の書いてある箱の中。
 おんしらの出番はもう少し先じゃな。四半時前には準備しとれよ」

つらつらと説明を受け、しばしご主人様とはお別れ。

「じゃあ、また」
「はい。……今日も、たっぷり可愛がってくださいね♥」

そんな風にして別れると、私は一人重たい胸を抱えて控室に向かいました。

コロッセオは文字通りの晴れ舞台。いつもとは違う雰囲気に、自然と私の心も跳ね上がります。
控室のドアを開けると、そこには顔なじみのサンダーバードさんやオークさんが既にくつろいでおりました。
寝っ転がったり、座ったりと態勢は様々ですが、みんなの視線はただ一か所、白く塗られた壁に映し出された水晶の輝きに夢中です。

「こんにちは」
「おっ、来たね。今月も来ると思ったよ」
「ぶふ、今ちょうどいい所だよ。ほら、クラーケンの姐さんが」

そう言って蹄を指し示す先はやっぱり水晶。
ここからコロッセオの内部の様子を見ることができるのですが、その光景はいかにも凄まじいものでした。

コロッセオの中央にでんと置かれた超巨大な水槽。その中でもがく人間さんが一人と、それを弄ぶクラーケンさん。
……いいえ違います。もがいているのはクラーケンさんの方。人間さんは弄ばれているように見せかけ、その何本もの触手の動きを読み、絡ませていたのです。
触手をいいように縛られてしまったクラーケンさんは立つことすらままならず、水底にころんと転がります。
それを勝機と見た男性は一直線にクラーケンさんに向かい、秘所を守るにはあまりに頼りないビキニの紐パンツをむしり取るように払うと、
自らも下履きを脱ぎ、大きく勃起した立派なおちんちんをレイプするように捻じ込みました。客席から黄色い声援が飛びます。

≪うああああっ!やめっ…イイッ、ああんっ、ダメっ、やだぁ、気持ちいいのぉっ!!≫
「うわぁ……す、すごい…」
「姐さん、今日こそは勝って逆レイプだーって息巻いてたのにねえ」
「あの旦那さん、水中戦めっちゃ強いよねー。本当に人間なのかな…」

クラーケンさんは快感にわななきながらも、力ない抵抗を繰り返しています。
やがてたっぷり膣内を味わったのちに男が射精し、水中に白いものが浮き出すとようやく試合は終わりを告げました。

さて、ここで健闘祭について改めて説明しておきましょう。
健闘祭とは、まだ魔物娘が魔物だったころ、人間によって行われていた武勇を示すお祭りです。
捕らえた魔物をコロッセオに放ち、力に自信のある町の者がそれを打ち倒し賞金を得るというとっても危ないお祭りだったのです。

しかし魔物が魔物娘になり、この町が親魔物領になるまでなんやかんやあり、お祭りの内容もちょっぴり変わりました。
まずお祭りに出場できるのは、魔物娘とそのパートナーのみ。
出場権を得た二人は日頃のいちゃいちゃした関係を忘れ、コロッセオで真剣勝負の犯しあいを始めるのです。

犯しあいの内容はカップル同士の打ち合わせで決めるのですが、意外と勝負の幅は広いもの。
先ほどのクラーケンさんのような水中戦や、オークさんのような力比べ、
サンダーバードさんに至っては地対空セックスバトルというあまりにアクロバティックな事をやりだす始末。
そうした幅広いプレイは一種のショーのような楽しさもあり、祭りは人間の時代よりもずっと多くの魔物娘に親しまれるようになったのでした。


さて、クラーケンさんの試合からしばらく経ちました。
その後の試合では、オークさんは筋力で勝っていたものの、旦那さんの言葉責めに勝てずレイプされ、
サンダーバードさんは旦那さんを攫い空中に連れ出すことに成功するも、
背後を取られまさかの空中後背位をキメられあえなく敗北しました。すごかったけど真似したくないセックスです。

そして、私の出番です。
用意された衣装は牛柄のビキニ水着。サイズが小さくて食い込むそれを無理やり身にまとい、
一応顔が分からないように支給されている目元を覆う赤いマスクを装着。この衣装は、いつもと違う自分になったようでなんだか新鮮。
それから最後に、衣装箱に入れられた赤いサングラスを手に取ります。

「ん…しょ」

いつも大事に胸の谷間に潜ませている、大好きなご主人様のお写真。
それをたっぷり眺めてから、私は覚悟を決め、サングラスを目元に運びました。

途端に、私の視界は一面が真っ赤に染まります。

手元には、真っ赤になったご主人様。
心臓が早鐘を打ち、体がご主人様の愛撫を求めて火照り始める。
早く、早くしないと。
早く大好きなご主人様と交尾してセックスして種付けして受精して子供を作らないと。
だって私はそれが好きでご主人様と触れたくてご主人様を感じたくて
ご主人様がご主人様をご主人様とご主人様でご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様

あっ────♥










用意された衣装は今回も赤一色のスーツだった。動きやすさの中に民族調の意匠が取り込まれたこのデザインは嫌いじゃない。
……そろそろ時間だ。
俺は控え室の同僚達に見送られながら部屋を出て、門を目指す。

柵が上がり、大歓声に迎えられる。客は魔物娘が中心のためその声は割と甲高い。
俺はその声に応えるように一礼する。そのタイミングを見計らったかのように。向かい側の門が開いた。

「はーっ、はーっ……ごしゅじんさまぁ…」

牛柄ビキニに赤い仮面に身を包んだミウの姿は、いつもとは似ても似つかわない淫卑な雰囲気を孕んでいる。
乳首は舐りやすいようにぴんとそそり立ち、豊かな太ももは絶えず内股気味に擦り合わせ貞淑さの面影はすっかり消え失せていた。

「ふふふ……今日は、負けませんよぉ…押し倒してひん剥いてスーツ越しに分かるくらい勃起したその立派なおちんちん、たっぷり可愛がってあげますからぁ…」

発情した雌としての本性を隠しもしないその姿に、俺のペニスは既にいきり立っている。
どうあがいてもセックス以外のあらゆる行為を拒絶するようなこの雄と雌の姿に、会場からは興奮の声が上がった。

かーん、と、試合開始を告げる鐘が鳴る。

さあ、犯し合いが始まった。
俺は手早く懐から赤い旗を取り出し、横にしてミウの前にひらひらと振るう。

「あ……あ…ごっ、ご主人様ーーーっ!」

発情色をひけらかされ、たまらずミウは何のひねりもなくその旗のもとへタックルをかます。
俺は旗を翻すとともに、紙一重でその攻撃を回避する……成功だ。
もちろん、回避だけでは彼女に勝てる筈もない。
ミウが俺の真横を弾丸のように突き抜けるその刹那、俺は一瞬のタイミングを狙い右手を大きく振りあげた。

「ひうっ!」

ぱしん、と肉同士がぶつかり合う音が響く。
ミウの子供を産むのに適した安産型の大きなお尻を、ビキニ越しに思いきり引っ叩いたのだ。
会場から歓声が上がり、ミウは赤い手形のついたお尻をどこか恍惚と眺めそしてさする。

「やだぁ、乱暴しないでくださぁい…♥」

こちらを振り向いたミウに、俺はもう一度赤い旗を挑発的に振りぬく。
ミウの視界は即座に赤く染まり、淫欲に満ちた目で俺を射抜いた。

「ご主人様もシたいんですよね? ね? ミウの雌牛おまんこにでっかいおちんぽ突っ込んで精子びゅーびゅーって出したいんですよね?
 だから、早くしましょ? 私がどかーんって押し倒したら、たっぷりぐちゃぐちゃに犯してあげますから、ね?」

そう言うとミウは地面を蹴り、ついに両手を地につき四足歩行になる。
元々が牛の化生である彼女がこうなれば、その速度は二足の時の比ではない。

「ん〜〜〜っ、それーーーーっ!!」

たっぷり溜めると、ミウの二度目の突進が襲い来る。
しかしタイミングは掴めた。俺は旗を振りミウを誘い出すように進路をズラす。
真横を通過する際、またしても大きなお尻が誘うようにふりふりと揺れているのが見えたので、俺は通りすがりにミウの尻を揉んだ。

「ひゃあん!」

たわわな肉の果実をもぎ取られそうになり、ミウは甘い声を上げる。
客席が沸き立つ。いよいよ辛抱堪らなくなったサキュバスの観客が、隣で見てた夫を押し倒したのが視界の端にちらりと映った。

「もーっ、お尻ナデナデばっかり…ご主人様はお尻がお好きなんですか?
 ……じゃーあー、私がご主人様を逆レイプする時は、たっぷりお尻でいじめてあげますね……?」

発情色と会場の雰囲気、そして中途半端なスキンシップを経ていよいよミウの体は辛抱堪らなくなる。
四足でがっちり地面を掴み、土煙を上げてじっとこちらへ狙いを定めた。

「絶対、ぜぇったい、逃がしませんから……私の、私だけのご主人様ぁ♥」

咽返るほど甘い声色に、観客席から黄色い声援が沸く。
ミウは二本の角を剣先のようにこちらへ向け、二、三度地面を蹴る……。

ミノタウルス種──特に発情状態の彼女らの突進は、初速とその馬力はケンタウロスをも超える。
広いコロッセオとはいえ俺とミウの距離は極めて近い。
二度の突進で本気になった彼女の突撃など、まかり間違って食らってしまえば受け止める事など不可能。
一瞬で腰回りにタックルを食らいそのまま強烈なヒップアタックを食らうだろう。

「てやーーーーーーっ!!」

──来る。タイミングは読んでいたが、目で追えない速度のタックルはやはり面食らう。
しかし、ミウとのこうしたバトルも一度や二度ではない。俺はミウの呼吸を読み、突進する直前の呼吸を止める瞬間を読んですっとタックルを回避した。

「うわっ、っと、っと……?」

避けられるとは思っていなかったらしく、あるべき場所にいる人がいないミウは思わずよろける。
その隙は見逃さない。俺は円を描くようにそのまま反転、ミウの背後に忍び寄り、彼女が振り向くより早くバックを取った。

「ひゃわっ、後ろ…!?」

客席からどよめきが起こる。そのまま腕を伸ばし、狙うはミウの急所。
両胸を包み込むように手を回し、薄い水着の上から痛いくらいに乳首をつまみ上げた。

「くふうううっ! や、やぁ…そこダメぇ、そこ弱いんですぅっ!」

指先に力を込め、ぷっくりと膨らんだミウの乳頭をこりこりと撫でまわしてやる。
しかしあくまでまだ序の口。スタミナ温存も考え、ある程度弄り回した所で解放し定位置に戻った。

「あっあっあっ…あう…ふーっ、ふーっ……はぁ……も、もう、人の弱い所ばっかり狙って…
 怒っちゃいましたよ、もう、おちんちん痛くなるまで許してあげませんからねっ!」

ミウはそう言うと大きくいきり立ち、姿勢を整えて反撃に移る。
流石魔物だけあり、ダメージを受けてからの立ち直りも早い。が、幸いまだ俺にも余力がある。
四度目のミウの突進を軽くいなし、もう一度胸に手を──。

「…えい!」

ミウの口元が僅かに笑う。しまった、と思う暇もなく、胸に伸ばされた手を待ちうけていたミウの両腕に絡め取られる。
元々が力あるホルスタウロス種、おまけに体勢もよくない。俺はなすすべなく力の赴くままに倒され、地面に身体を打ちつけた。

「まだまだ、それっ!」

ミウとて、この程度で油断はしない。俺が立ちあがる前に体重を乗せたプレスをかます。
御丁寧に、その豊かな胸の位置がちょうど頭に来るように。
俺はミウの胸に顔を塞がれ、視界を奪われる形になった。

「うふふ、つーかまーえたー♥」

客席からどよめきが起こる。
ミウはやっと手にした俺と言う温もりに感激し、豊満な胸に溺れて死ねと言わんばかりに押し付けてくりくりと撫でまわす。
一旦組み敷かれてしまえば、重量のあるミウの身体を押し退けるのは容易なことではない。俺は驚きつつも冷静に、体勢を持ち直しうる機会を伺った。

「えへへ、うふふ、それじゃあ早速えっちしましょーねー。
 優しくしてあげますからねー、大丈夫ですよー」

まるで看護婦か保母のような言葉を吐きつつ、ミウは俺の全身をわきわきと撫でまわす。
つまりは弱者に対する接し方だ。ミウはマウントを取った事で完全に勝利を確信していた。
勝機があるとすれば、ここだ。

「ま、ず、はぁ、いっぱいちゅーしましょー。お口の中、ぴっかぴかにしてあげますねー」

そう言うとミウは垂れかけたよだれを拭い、薄く紅を引いた赤い唇を僅かに開けて俺の口元と合わせる。
魔物らしい、唇の重ね合わせなどに収まらない食らうためのキス。俺はそこに勝機を見いだす。

「ん、ちゅ………へう、れろ…んっ、んっ、んっ…」

口内を割って侵入してくるミウの舌を俺は自分の舌で迎撃する。
ミウは割とじっくり時間をかけてセックスに及ぶタイプだ。キスも、始めたては舌の動きも探り探りになる。
こちらは初っ端から全力投球で舌をねじ込み、的確にミウの口の中の性感帯を舐り上げていく。

「うあ…ご、ご主人様、激しっ……んっ、んーっ、んーっ!」

ミウは執拗な俺の舌攻めに対抗心を燃やし、イニシアチブは私だと言わんばかりに舌を差し返す。
そうしてミウの動きを口元に集中させる事で、ボディのガードが甘くなる。それこそが俺の狙いだった。
一つの生き物のように密着したミウの体を思いきり抱き返し、不意打ちの愛情を食らわせる。

「んぷっ……ふあ!? や、やあ、そんな急にぎゅっとされちゃ、私、私っ……!」

ミウはホルスタウロス種ゆえ…かどうかは分からないが、ひたすら快楽を貪るプレイや種付けを第一にしたプレイより、愛情を確かめ合うようなイチャラブプレイに惹かれる傾向がある。
特に豊満な胸に顔を埋めるような強い抱擁は彼女の大好物だ。狙い通り、ミウの全身からは明らかに力が抜けていた。
その一瞬を狙い、俺は地面を蹴ってもんどりうつ。組み敷かれていた体勢は一転し、上下が完全に入れ替わった。

「ひょっ!? …ちょ、ちょっとご主人様ぁ、ダメです、ダメ、私が上になりたいんですぅ!」

イヤイヤと駄々をこねるように体を揺するミウ。その度に上下左右に跳ねる胸がなんとも悩ましい。
とはいえ馬力のあるホルスタウロスである。俺は本気を出される前にミウの跳ね回る両胸を痛い位に揉みしだき、
まるで生娘をレイプしているかのように強引に攻め立てた。

「や、あ、う、しょ、しょんな乱暴にしないでぇ…! わた、私おかしくなる、無理矢理なのに、感じちゃう、
 …だ、だめ、駄目なんですっ! 今日は私がご主人様を犯したいんですーっ!」

普段の夜の営みでは味わえない、コロッセオならではの犯し合い。
俺の強引な責めにミウの隠れた被虐体質が顔を出しかけたが、ミウはこれを抑えると力ずくで馬乗りになる俺を突き飛ばす。

その力には逆らわず素直にミウの上から退いてやる。ミウも追ってすぐに立ち上がり、仕切り直しとなるが、
執拗な攻めによりミウの体は既に限界を迎え始めていた。
股を絶えず両腿でこすりつけ、片手で切なそうに胸を抑え込む。俺は次の一撃が最後の勝負になると踏み、心を決めた。

「はーっ、はーっ……」

ミウもそれを察したらしい。度重なる生殺しで完全に体は発情しきっており、もうこれ以上赤布を見せる意味もないだろう。
少し動かせば絶頂に達してしまいそうな秘部を必死に抑え、荒く息を吐き、そしてミウは四つ足を付くと野生の瞳でこちらをじっと睨みつけた。

「うー、え、えーーーーーいっ!」

最後の一撃──だが、それはあまりに鈍い。
当然と言えば当然だろう。蓄積した性的ダメージはパフォーマンスにも十分に影響を与える。
子供のように両手をふりふりと揺らし、ランニング程度の速度で俺に迫るミウ。既に勝敗は決したも同然だった。

しかし最後まで気を抜いてはいられない。
俺は手早くミウの突進もどきを避け、後ろに回るとその両手を拘束する。

「きゃあっ!?」

後ろ手に回させて両肘で固め、自由に使える肘から先でミウの秘部をなぞる。

「あっ、やぁ、ふあああああっ!」

初めから容赦などしない。右手で右乳首をコリコリと弄りつつ、左手で秘部を優しく包むように揉む。
更に首は無理矢理こちら側を向かせ、その舌に俺の舌をねじ込んだ。

「んーっ!ふーっ、ふーっ、んにゃ、やっ、やっ、あっ、ああああああーっ!!」

やけに静かなコロッセオに水音が響く。ミウの股からは透明な汁が溢れんばかりに漏れ、辺りに黒い影を落としている。
性感帯三ヶ所を同時に責められた彼女は耐えきれず即座に絶頂し、潮でコロッセオを潤してしまったのである。

と、ここで俺は拘束を解く。
絶頂直後で力が入らず、支えを失ったミウは頼りなくそのまま崩れ落ちる。これで、完全に決着はついた。

「あ…ああ…あう……もう…だめ…私…負けましたぁ…」

身体を震わせ未だ止まらぬ絶頂の余韻に身を浸すミウ。俺は彼女に敗者としての務めを果たさせるため、無傷の赤いズボンを手早く脱ぎ捨て、陰茎を露出させる。
会場の興奮はいよいよピークに達し、あちこちで我慢出来ずにセックスを始める先走った夫婦の姿が見られた。

俺は外気にさらされぶるりと脈打つそれを、へたり込むミウの口元へ近づける。

「あ……♥」

敗者がレイプを意識するよう、出来るだけそっけなく「舐めろ」と告げる。
俺が仁王立ちし、ミウがひざまずいて陰茎を咥え込むこの体勢は力の上下関係が分かりやすくこうした場では好んで使用されるやり方だ。

しかしミウは自分が敗者である事など意にも介さず、目にハートマークを浮かべる。

「はぁい、戦いに敗れたいやらしい魔物娘は、人間様のためにい〜っぱいご奉仕しまぁす…♥」

先程まで逆レイプだと息巻いていたミウだが、こうなったらこうなったで楽しんでいるらしい。
まずは屹立したそれの匂いを味わうように鼻を鳴らして嗅ぎ取ると、遠慮なく一口で飲みこむように咥え始めた。

「ぢゅっ、ぢゅるっ、ぢゅるる…ちゅぽ、くぷ、ぢゅるるるるる…んはっ、ああん…イクっ、またイッちゃう…」

食い千切るようなフェラチオに早くも射精感が込み上げる。が、流石にまだ早すぎる。
ふと見れば、ミウは陰茎を咥え込みながらもちゃっかりと秘部に手を伸ばして快感を得ようとしていた。
腕を取り、頭の上で拘束する。何一人で気持ちよくなってるんだ、とサディスティックに俺は告げた。

「ふぁっ…ご、ごめんなさぁい…うう、こんな美味しいチンポ咥えてオナニーも出来ないなんて、生殺しですぅ…」

明らかに不満面になりながらも、ミウはフェラを再開する。
辺りは興奮による汗で湯気が出るほど蒸し始め、またその情景は二人の空気をより桃色に染めた。

「んっ、じゅぼっ、じゅぼっ…れろぉ、れろっ…ちゅっ、ぺろ…」

舌を絡ませる熱心なフェラに、いよいよ俺は辛抱堪らなくなる。
ガチガチな下半身を悟られぬよう高圧的に、尻をこっちに向けろと短く告げた。
ミウは待ちわびたようににっこりと答える。

「はぁい! ……よいしょっと。
 さあ、ご主人様ぁ。早くミウの発情淫乱妊娠準備完了おまんこにちんぽ突っ込んで屈服させてくださぁい。ミウはご主人様に勝てっこないって、ご主人様の大好きなおちんぽが無いと生きていけないダメな雌牛なんだって、この欲しがりなおまんこに思い知らせてくださぁい……!」

家畜のように腹這いになり、ミウは俺の陰茎を今か今かと待ちわびて尻尾をふりふりと振るう。
俺は射精直前の限界状態まで膨張した水風船のような陰茎をミウの肉の穴にあてがった。

「あ…ああ…あああああああああ!! きたっ、きたっ、来たぁぁぁぁぁぁっ!!」

とろりとした液にまみれたミウの秘部に押し当て、一気に貫くように差し入れる。
一番奥を亀頭が叩いたその瞬間、ミウの膣穴は急収縮し俺の陰茎に射精を促す。
今やミウの体は頭からつま先に至るまで、子宮に精子を注がれるという行為だけを求めていた。

それからは、ただひたすら交尾。
牛の種付けのように俺はミウの背後からぴったりと張り付き、腰を落として大きく抜き差しする。

「あぁんっ、はあっ、はあっ、激しっ、やぁん、だめっ、だめっ、んっんっんっんっんっ…!!」

一刺しごとに嬌声が漏れる。ふと観客席を見ればすっかり空気は爛れており、あちこちで肉のぶつかり合う音が聞こえている。
健闘祭のクライマックスはだいたいこんな感じだ。人間が一人では入れないのもこの辺りに理由があったりするのだが──今はどうでもよい。俺はミウの脇腹に手を差し込み、豊満なバストを絞るように握った。

「やぁぁぁんっ! おっぱい、おっぱい一緒に弄っちゃダメですご主人様ぁっ!
 気持ちっ、よすぎてっ、私、おかしくっ…ん〜〜〜〜っ♥」

胸を掴んだ瞬間、これ以上はないと思われてた膣穴の収縮が更に激しさを帯びる。まるで食いちぎらんばかりの勢いだが、雌肉の柔らかさのおかげで陰茎に対する痛みはない。
そうしていよいよ俺は辛抱たまらなくなり、一度胸から手を離すと美羽の腕を取り、馬を嘶かせるように強引に立ちあがらせた。

イクぞ、と張り裂けんばかりの声で宣言する。

「はいっ! 来て下さいご主人様っ! ミウの欲しがりおまんこにたっぷりザーメン直撃ちしてくださいっ!!」

瞬間、体が硬直する。
全身を稲妻のような快感が駆け抜けたかと思ったその時、俺は陰茎の先から熱いものが迸るのを感じていた。

「あっ…あ〜〜〜〜〜♥♥♥ きたきたきたきたぁっ! ご主人様のこってりチンポミルク、ミウのお腹でびゅーびゅーって暴れてますぅぅぅっ!」

たっぷり焦らされた反動か、ミウは快感のあまり舌を突き出し細かく痙攣してしまっている。
発情しすぎたあまり、高級品の筈のミルクも乳首から流しっぱなしだ。
こんな時になんだが妙にもったいなく思え、俺は未だ痙攣するミウを強引に振り向かせてその乳首にしゃぶりついた。

「あーっ、あーっ、あああああ…♥ だめぇ…射精全然収まんないのにお口から精子補給しちゃだめですぅ…このままじゃ、私の赤ちゃん部屋が精子プールになっちゃいますからぁ…」

ミウはそう言って俺を引き?がそうとするが本能には抗えず、結局俺の頭を抑えなでなでする程度に留まる。
それから少しして、ひょっとしたら数分に及んだかもしれない長い長い射精がようやく終わると、ミウはぐらりと倒れこんだ。
もちろん受け止めてやる。俺は大歓声と拍手を受けながら、ミウを抱えて会場を出た。

「えへへ…ご主人様ぁ…精子いっぱい…気持ちいいですぅ…」

快楽のあまり気絶のような眠りについたミウの顔は、どこまでも幸せそうなものだった。





少しして。
私は女性更衣室で目を覚まし、オークさんやクラーケンさんに冷やかされながら、たぽたぽのお腹を抱えて部屋を出ました。
もちろん、私のお腹には数億、数兆のご主人様の赤ちゃんの素…♥
女の子を孕ませるために生まれた彼らは、きっと今、お腹の中で私を孕ませるために頑張っているのでしょう。
私はすりすりとお腹を撫でると、頑張れ、なんて変な応援をして出口へ歩きました。

「んむ、今回も大盛況じゃったのう。ほれ、賞金じゃ」

ご主人様と受付で合流し、たぬきさんからお金を受け取ります。
毎回思うのですが、素敵なパートナーと情熱的な犯し合いをして、その上お金までもらえるなんて、なんだかいい事ばかりで怖いです。
ご主人様はそんな事を気にする風もなくお金を受け取ると、私の腰に手を回して歩き出しました。

「さて…まだ時間もあるし、ちょっと祭りを見てこうか」
「はい♥」

私もそれに答えるように、ご主人様の腕にぎゅっと絡み付きます。
今夜の二回戦をこっそり心待ちにしつつ、私はうたかたの喧噪を楽しむのでした。
13/08/17 23:00更新 / はなかる

■作者メッセージ
バトルセックスはもっと流行ってもいいと思うんだ。

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