読切小説
[TOP]
ラミアさんを酔わせたい
蛇はウワバミっていうじゃん?いや知らないけど。
どうやらある東の国ではそんな感じの言い回しがあるそうで、オーガ属ほどでなくてもラミア属は酒に強い娘が多いらしい。そっち出身の知り合いにそう聞いたことがある。かくいう僕も身の回りにそんな人が一人いる。

もうすっかり日が落ちて暗くなった道。職場からのいつもの帰り道を歩きながら、今日はいつもとは違う方向に脚を向ける。ある一つの小洒落たドアの前にたどり着くと、少し深呼吸して気持ちを落ち着けてからゆっくりとドアを開ける。
ここは最近僕が良く来るバーだ。マスターは魔物だけど彼女の趣味なのかクラシカルな雰囲気のバーであり、静かで落ち着いた雰囲気の中でお酒を飲むことができる。といっても、ここのことはあの人に連れてきてもらって知ったんだけど。
ともかく、そんなバーのドアを開けた先には、いつも通りのシックな装いのカウンターと、いつも通りパリッとした格好で佇むマスター。それから、いつも通りの端っこの席で微笑む彼女がいた。
その人は蛇の下半身を持っていて、すらりとした人間の上半身は白いシャツの上に深い色のベストに身を包んでいる。いつもの仕事着だから、彼女も仕事終わりにそのままこの場所へ来たのだろう。彼女は僕の方を見ると、手にしていたグラスをテーブルに置いて微笑んだ。

「来たね。お疲れさま。」
「は、はい。セレーヌさんもお疲れ様です。」
「ふふっ、さあ、座って?」
「あっ、はいっ。」

そう言って彼女―セレーヌさんはしゅるりと下半身を動かして、尻尾の先で彼女の隣のスツールをつんつんと指し示す。微笑みかけられて返事が少しどもってしまったけど、変に思われてないだろうか。少しドキドキしながら、誘われるままに彼女の隣に座る。
彼女は職場の同僚で、仕事では部署が違うから全然話をしないけど、数週間前にたまたま一緒にお酒を飲みに行くことになって以来たびたび仕事終わりに共にお酒を飲む関係を続けている。

「今日はいつもより遅かったね。残業?」
「あ、はい。ちょっと同僚がトラブっちゃって、それを手伝ってたら…。お待たせしてしまってすみません。」
「いいよ。待ってる時間も好きだから。」

そう言ってニコリとほほ笑む彼女に僕の心臓がドキリと鳴る。別に僕のことをそういったわけじゃないのに、"好き"という言葉につい反応してしまった。
そう、僕は彼女のことが好きだ。何がきっかけというわけでもないけど、度々こうして二人だけで過ごす時間がとても好きで、そのときの彼女の微笑みに魅せられてしまっている。でも、たぶん彼女の方は僕のことを飲み仲間くらいにしか考えてないと思うから、これ以上を望んでどうこうするつもりはない。決して、告白する勇気が湧かないとかそういうことではない。
ちょっとぎくしゃくした動きになりながらスツールに腰かけて、マスターに適当な弱いお酒を頼む。マスターはいつもと違うオーダーにも手慣れた動きで準備して、すぐにグラスをカウンターの上に置いてくれる。

「…いつもと違うお酒だ。もしかして疲れてる?」
「ああ、いえ。全然そういうわけではないですけど、たまにはこういうのも良いかなと思いまして…。」
「ふーん、ならよかった。あ、マスター、私も同じの。」

彼女は飲みかけのままなのにグラスを脇に置いて、間もなく提供された僕のと同じお酒のグラスを手に持った。彼女は物静かな人だから何を考えているかわからないところがあるけど、どうやら僕の企みには気づいていないようで良かった。

そう、実は今日の僕には目的がある――今日こそ、彼女を酔わせたい!

…というといろんな語弊があるけど、単純に彼女の酔った顔をちょっと見てみたいというだけである。彼女はだいぶお酒に強く、平均程度の肝臓の強さしかない僕はいつも彼女のペースに付き合ってると自分だけべろべろになってしまう。彼女のほうはほんのり頬を赤らめたまま、最初から最後までいつも通りの微笑み顔なのに。それが少し悔しいのか、あるいは好きな人のちょっと違った顔を見てみたいのか、とにかく僕は何回か前から彼女の酔った顔を見るために奮戦していた。
で、今日は自分だけ弱めのお酒をメインに飲むことで長く付き合えるってわけ。彼女も同じお酒頼んでるから既に作戦失敗してる気がするけど。

「じゃあ…乾杯♪」
「はい。乾杯!」

チン、とグラスが鳴って液面が揺れた。ぐいとグラスを呷ると、さわやかな果実の風味と微弱な炭酸の刺激が喉を楽しませてくれる。ただ、一度に口に含むのは少しだけにしておく。ふう、と一息ついてセレーヌさんのほうを見ると、彼女も同じタイミングでグラスを置いて、こちらに微笑みかけてくれた。

「それで、今日のお仕事はどうだったの。大変だった?」
「いやぁ、もう大変でしたよ。サキュバスの嫁さんがいる同僚が弁当箱開けたら爆発して、そこから出てきた煙を吸った人が皆仕事ほっぽらかしてどっか行っちゃって…。そのせいで終わらなかった仕事のしわ寄せが全部僕のとこに来たんです。こっちもいま手一杯なのに!」
「うふふっ、それは大変だったね。でも、全部代わりにやってあげたんでしょ?」
「もちろんですよ!放置するわけにもいきませんから…おかげで本来の僕の仕事が全くできませんでした。明日も頑張らないと…。」

そんな感じに今日も彼女ととりとめのない話をしながら、のんびりとお酒を飲みながら、ゆったりとした時間が流れていく。










…と思ってたじゃん?

「うふふ…顔真っ赤。もう、飛ばしすぎだよ?」
「ぅ〜〜、ぜんぜん飲んでないですよぉ。まだいけますぅ。」
「くすくす、無理しちゃだめだよ♪あたまフラフラしてる。」
「これはぁ、ぁ〜〜〜〜……。ぇー…頭を揺らしてぇ、お酒の香りをぉ味わってるんですよぉ。」
「ほら、お水のんで…?」
「んくっんくっんくっ」

あの後すぐに僕は酔っぱらった。いつもより大分遅いペースで大分弱いお酒を飲んでいたけど、会話の流れでセレーヌさんと同じお酒を頼んだらかなりきついお酒だった。それもまあちびちび飲んでたうちはよかったんだけど、思わずがぶ飲みせざるを得なかった。
なんだっけなぁ…。そこに至るまでの会話を酔った頭では思い出せないんだけど、彼女が「君って素敵だよね」って言ってくれたんだ。この僕を!素敵って!
…いや、僕のことだったかなぁ?なんか別のことだったかも。とにかくあんまり恥ずかしくってどうすればよいかわからなかったから、何とか平静を取り戻そうときついお酒ということを忘れてぐいっと呷って、それからこの始末だい、ちくしょう。

顔中が熱く、赤くなってるのを感じる。ぼんやりする目でセレーヌさんを見てみると、彼女はほんのり頬を染めて微笑んでいた。いつもと同じ綺麗な顔だ。いつまでも見ていたい。でも、ずっと彼女のことを見つめていたいのに徐々に視界が暗くなってくる。はっとすると瞼が開くけど、またふらふらと暗くなったり明るくなったり。ぼくは酔うとだいたい眠くなってしまう。どうやら今日も彼女より先に潰れてしまいそうだ。

彼女はくすくす笑いながら、僕の方に身体を寄せて頬に両手をあててくれる。すこしひんやりした手が冷たくて気持ちいい。
目を閉じて彼女の手の感触を感じていると、くいっと頭を倒されて僕はカウンターにもたれ掛かった。

「もう、仕方ないなぁ…。ほら…。」
「はぃぃ、すみません…。」
「いいよ。疲れてるもんね。ゆっくりおやすみ…。」

そう言って彼女の手は僕から離れてしまった。さっきまで頬っぺたにぴったりと手のひらが触れていたのに、それがなくなって寂しい気持ちになる。でも、すぐに頭の上からその手で撫でてくれた。数秒ごとに訪れる優しい感覚に、僕の意識は自然と闇に落ちた。










ある晴れた日の昼下がり。暖かい太陽の陽気の下、幾多もの人と魔物が街の通りを歩いていた。
大きな荷物を抱えて走る仕事熱心な魔物。ちょっと遅めの昼食を取りにレストランに入る旅装の人間。ちょっと乱れた服装で路地から出てくる二人組の男女。今日もこの町にはいろんな人がいる。
でも、そんな光景は僕にはどうでも良かった。ばっと横にいる女性に向き直って、想いを込めて懇願する。

「どうか…教えてくださいっ!女性を酔わせる方法をっっ!!」

そう言って僕が頭を下げた先には、一人の女性。肌が真っ赤な魔物で、やたら露出度の高い服装だけど必ず小脇にはお酒の入った容器を携えている。彼女は僕の言葉を聞いて笑いながら、その容器の栓を開けて一口呷った。
彼女はアカオニという魔物らしい。らしいというのは、本来この地域にはあまりいない魔物のため伝え聞いた知識しかないからだ。だけど異国の魔物がこの街の酒場に入り浸って飲み代をタカる相手を常に探しているということはよく知られた事実である。ぼくも彼女とはあまり付き合いはないが、どうしてもアドバイスをもらうために話をしに来た。酒のことは酒をよく知る人に聞くのが良い。

「お前…アタシが言うのはなんだけど、そりゃ犯罪だぜ。一緒に衛兵のとこ行こか?」
「ちょっ、違いますって!別に酔わせた後におかしなことをするつもりはないんです!ただあの人の酔った顔見てみたいだけで…」
「やらかす奴はみんなそういうんだよ。な?大丈夫、初犯ならきっと示談で済ましてくれるよ…」
「だから違うんですってぇぇ!ってか初犯って、まだ未遂で…未遂じゃないですよ!そんなつもりはゼロです!!」
「え、ぇ〜…。本当かぁ…?」

僕の言葉を聞いた彼女はちょっと引き攣った顔をして完全に誤解している。いや間違ってはいないけど、決して正解ではない。衛兵にしょっ引かれて歩く僕をセレーヌさんがドン引きして見ている光景が一瞬頭に浮かんだけど、そんなことになるわけにはいかない。必死に説明を続けるとしばらくして理解を得られた。

「なぁんだぁ!そういうことかよお前!そうならそうと早く言えよ!」
「はぁ…誤解が解けて本当に良かった…。えー、それで、何かいいアドバイスないでしょうか?」
「それなら簡単だ!いいか?女は酒に酔うんじゃねぇ!雰囲気に酔うんだ!」
「なるほど、雰囲気…えっと、例えばどんなことをすれば?」
「二人っきりになって適当にロマンチックなこと言って尻でも撫でりゃ完璧だろ!ってかもう直球でヤりたいですって言えよ!」
「それはセクハラですよ!?」
「そんなの現代じゃ死語だぜ!」

そう叫んでお酒を呷り、豪快に笑う彼女。ロマンチックなことと言われても具体的に何を言えば良いのかわからないし、そもそも雰囲気に酔うなんてことあるんだろうか。最後のセクハラは論外だ。

「あの、もうちょっと具体的で普遍的で万が一にでもセレーヌさんに嫌がられない方法はないんでしょうか…?」
「はぁ?さっきのが駄目ってんなら中々難しいな…っとヤベ!今何時だ!?」
「え?一時を少し回ったくらいですかね。ってちょっ、どこ行くんですか!?」
「わりー用事あんだよ、話はまた今度なぁ!」

そう言って彼女はすごいスピードで走り去ってしまった。ただ誤解を生んで解いただけの時間になってすごく疲れた。
こちらも午後の仕事があるので職場に向かって歩き始める。ただあの人は豪快で適当だけど、わざと人を困らせるような趣味はない。ロマンチックな雰囲気、もしかしたら効果あるのかも…。

そう、例えば…

『セレーヌさん、貴女はどんな花よりも、夜空に浮かぶ月よりも美しいです。』

……だめだだめだ!セレーヌさんがどんなリアクションするか全く想像できない。それにこんな台詞恥ずかしくて言えるわけない!喜んでくれるかもわからないし、もしかしたら困らせるだけかも…!
しばらく悩んで頭を抱えたまま職場に着いた僕はその後同僚に体調を心配される羽目になった。











また幾ばくかの日を経て、僕はまたしてもあの酒場にいた。
当然、一人きりじゃない。隣の席にはいつも通り微笑んでいる彼女がいる。

「…それでね、三番街に新しくできたカフェのオムレツが美味しかったの。君、卵料理好き…だったよね?」
「ええ、好きです。それじゃあ今度行ってみますね。」
「あ、うん………。」

前回はうっかり強いお酒を呷ってしまって昏倒したけど、今回はいろんなところで得たアドバイスを元に対策を打ってある。
お腹が空いた状態で飲むと酔いやすいらしいので、今日はここに来る前に軽く食事をしてきた。それだけでなく、カウンターの上にはお酒のほかに水と適当なつまみ。つまみを食べながらお酒を飲む、または水を飲みながらお酒を飲むようにすると急に泥酔するのを防ぎ、しかも翌日に酔いが残りづらくなる…らしい。つまみはともかく水をお酒と一緒に飲むというのは初めてやったけど、口に残った後味を流して次の一口を新鮮な気持ちで再度味わえるのでなかなか気に入った。
つまみを口に放り込み、後味が残っているうちにお酒を少し口に含む。存分に味わった後に水を少し飲む。この繰り返しがルーティンとなって僕の中に定着しつつあった。そうしてまた水を少し飲んだ後に彼女の方を見ると、なぜだかさっきまでと違って微笑みがなくなっていた。なにか考えごとでもしてるみたいだ。

「どうしました?」
「ううん、なんでもない。気をつけて行ってきてね。それより、この前オフィスですごい怒られてたけど、大丈夫だった?」
「ああ、あれはちょっとミスしちゃいまして。全然大丈夫です。」
「ほんとに?」
「本当ですよ。」
「…なら良いけど。」

そう言ってグラスを傾ける彼女を見ながら、今日は大分長い時間飲めているなと思う。いろいろなところからアドバイスを仕入れた甲斐があった。けど彼女はまだいつもと同じ様子で、少し頬を赤くしてるだけだ。もう一手何かしないと彼女には追いつけないだろうか。
そこでふとあのアカオニさんのアドバイスを思い出す。セクハラはともかく、ロマンティックな雰囲気作りというのは的を得ているかもと少しは思った。でも結局どのタイミングで何を言えばいいんだろう?"綺麗ですね"?…"ぴんと長い睫毛が美しいです"?…"控え目に舌なめずりする唇が艶やかで素敵"?…どれもこれもなんか違う気がする。

「なに?このお酒きになる?」
「あ、いや、それはちょっと僕には強すぎるかな、と…。」
「そう。」

僕の視線に気づいた彼女は首を傾げたが、僕の言葉を聞いて納得したようにまた一口お酒を飲む。あやうく変なことを考えているのがバレてしまうかと思った。内心冷や汗をかきながら僕も自分のグラスから一口飲み、一息ついてまた彼女のほうを見る。
しかしこうして見ていると本当に綺麗な人だなと思う。物腰も柔らかいし、仕事ぶりも丁寧で親切だと聞いたことがある。きっと優しくて清純な人なんだろう、そんな人のお尻を揉むなんて絶対嫌われるに決まってる。いつものタイトなスカートに包まれた臀部はスツールの上で柔らかな曲線を描いているけど、果たしてその布の向こうはセレーヌさんの頬っぺたみたいに柔らかいのか、それとも尻尾のように艶やかなんだろうか。

「…なぁに?ずっと見つめたりして…」
「あっ、いやっ、えー…そう、セレーヌさんお酒強いですよねぇ!って思ってて…」

またしても僕の視線に気づいた彼女は首を傾げて自身の身体をちらりと見下ろした。やばい、本人の前で何を考えているんだろう僕は。慌てて口から出たのは常々思っている事だった。

「そう?よくわかんない。そういう君はどうなの?」
「いやぁ、強い方かなとは思ってたんですけど、魔物娘の皆さんに比べると全然で…」

彼女は今度は僕の言葉に首を傾げた。とりあえず彼女の身体を無遠慮に見回してしまったことはごまかせたみたいでよかった。

「ふーん、まあよくいろんな人と飲みに行ってるもんね。こないだもお昼休みに職場抜け出してアカオニさんと二人っきりで飲んでたって聞いたけど、どうなの?」
「えっ!?いやっ、あれは別に飲んでたわけではないです。さすがに昼からお酒は飲みませんよ。あの人は飲んでましたけど。あはは…。」

セレーヌさんの口から飛び出したのが思わぬ言葉でドキッとしてしまった。別にやましいことをしていた訳ではないけれど、今目の前にいる人を酔わせる方法を聞きに行ってたなんてとても言えない。平静を装って適当に返答する。きっと流してくれる。

「じゃあ何をしてたの。」
「え?」
「だから、二人っきりで何をしてたの。私以外の…んんっ、ごく…。…独身の魔物と二人っきりで何してたの。」
「ああいや、それは、まぁ別に大したことじゃないですよ。ちょっと話してただけで…」
「どんな話したの。どれくらいの時間?私の知らないこと?何の目的で?いつからそんな関係だったの?」

話していると急にセレーヌさんがずいと身を乗り出して矢継ぎ早に質問を投げかけてきた。いつもより近くに彼女の顔があってドキリとするけど、目はなんだか据わっているように半目で、いつもの微笑みが無くなって別の意味でドキリとする。なんだか詰問されているみたいで少し怖い。しかしなお彼女は止まらずに距離を詰めて来るから、うっかり互いの唇がぶつかってしまいそうでこれまた別の意味でドキドキしてしまう。

「ちょ、ちょっと怖いですセレーヌさん、落ち着いて…言いますっ、言いますから。」
「…怖かった?…ごめん。」
「いや、本気で言ってないんでそんな落ち込まないでください。怖かったのはちょっとだけですって。」

僕がのけ反りながらそう言うと彼女はしゅんとしてすぐに椅子に座りなおしてくれた。眉を寄せて目を伏せて、これ以上ないほどわかりやすく落ち込んでいる様子に慌ててフォローを入れたけど、普段とは違う彼女の表情を見れて少し得をしたような気持ちにもなる。思わずにやけてしまいそうになるのを、グラスを傾けることで誤魔化した。

「………………それで、何を話してたの。」
「…えっ。えーと、大した話じゃないですよ。」
「いいよ。教えて。聞きたい。」
「えー、あー…わかりました。ちょっと…その、まあくだらないというか、特に変な意味はなくて…。」
「いいから。続けて。」

グラスでニヤニヤを隠していた僕は一転して頬が強張ってしまった。彼女にしてはいつにもまして強引というか、何としても聞き出すという強い意思のようなものを感じる。断ろうかとも少し考えたが、先ほどのようにまた落ち込ませてしまったらとても我慢できない。まあ、別に言えない話じゃないはずだし、ちょっと僕が恥ずかしい思いをすればいいだけだ。そう決心して、息を深く吸ってから白状し始める。

「えー、つまり、セレーヌさんってお酒強いよなぁ、って話をしてて、一緒に飲んでいても全然酔わないから、どうやったら酔うんだろう、とか、たまにはちょっと酔っぱらったセレーヌさんも見てみたいなぁ、みたいな…?そんな感じの、えー、与太話です…。」
「………それはあのアカオニさんがそう言ってたの?」
「いや…僕のほうからあの人に相談、いえ…話題を振りました。」
「………………ふふ、そうなんだ。私のいないところでわたしの事考えてたんだぁ…♪」
「え…えっと…すみません。別に悪口とかではないんですけど、自分のいないところで話題にされるのって困りますよね。」
「ううん、全然?」
「そうですか…?なら良かったです。」

恐る恐る企みを告白して、彼女の顔を見ると嫌悪の表情はなかった。いつも通りの微笑みで、グラスに口をつけて何口か飲み干して次の一杯を注文する。よくわからないけど、機嫌が直ったみたいで良かった。僕も一安心してグラスを傾ける。

「それで、あの人はなんてアドバイスくれたの?」
「えーっと…ロクなアドバイスじゃなかったですよ。"女は酒に酔うんじゃない、雰囲気に酔うんだ"とかなんとか。あとはちょっと下ネタ的な感じなんですけど…その、とにかくいろいろやれって感じです。」
「ふーん。」

そこでちょっとまた下ネタ…じゃなくてセレーヌさんの下半身に目がいきそうになったので慌ててグラスに視線を落とす。もう解けた氷しか残っていなかったので、もう一杯同じものをマスターに注文する。程よく冷えたグラスを受け取って邪念を振り払うようにぐびりと飲み込んだ。企てが本人に露呈してしまったわけだし、もうなんかどうでもいいや。
半分ほどを一気に飲み干すと酒精のせいで喉が熱くなるけど冷えた液体にぶるりと身体が震えた。そんな僕の横でセレーヌさんは宙に視線を向けてなにか考え事をしているかのようだった。

「…まぁ間違ってはないかもね。」
「…アカオニさんのアドバイスがですか?」
「うん。もしかしたら酔わないんじゃなくて、最初から酔ってるのかも。」
「…?お酒を飲む前からですか?」
「うん。聞きたい?君にだけ、なら…教えてあげるよ。」

考え事から意識を戻した彼女は、いつもより笑みが深くなっているように見えた。彼女の言うことの意味がわからず首を傾げてしまうが、彼女はどこか楽しそうに僕の方に身体を寄せて声を顰めて話す。

「聞いてもいいんですか?」
「…いつもね、このバーのこの席に座って、いつも同じお酒を飲んでるけど、その時は全然酔ってないの。」
「なるほど、そうなんですね。」
「いつも…キミがお店のドアを開けたくらいからね、すこし身体が熱くなってくるの。君と話しているときなんかもう、くらくらしちゃって…でもキミの姿とか、声とか、ふとしたときに感じる匂いとかは、はっきり感じるの…。」
「……。」
「ふわふわして夢みたいなんだけどね、キミと話すのが楽しくて、嬉しくてしょうがないの…♪…ここだけの話ね、たまにお昼に職場でキミと話すときなんかも、いつも同じ感じになっちゃう…♪」
「そ、それって…。」

そこまで言ってセレーヌさんは身体を離してこくりとお酒を飲んだ。心無しかいつもより頬の赤みが増しているような気がする。お酒を飲み干したセレーヌさんは僕のほうに向きなおると、先ほど以上にずいっと距離を詰めてきて真っ赤な顔で囁く。

「…ねぇ、キミは私のこと好き?」
「えっ!?なっ…なにを!?」

僕にとっては爆弾にも等しい質問をぶつけられて、身体ごと心臓が跳ねてしまった。咄嗟に何も言えずにどもって彼女の顔を注視してしまう。赤く染まった頬、きらきらと潤った目、喋る度に動く瑞々しい唇。見ることでさらに心拍数が上がりちゃんと言葉を発せられなくなってしまうのだけど、それでも目を離すことができない。

「すき?」
「そ…それは…っ…」
「…嫌いなの…?」

より距離を詰めながら再度問いかけて来るが、僕が答えあぐねていると今度は一転して、眉尻を下げて悲しそうな表情をした。うるうるとした目から今にも涙が零れ落ちてしまいそうで、またも心臓の鼓動を意識せざるを得なくて、僕の理性は削られていく。

「そっ、そんなわけ…」
「じゃあ好き?どうなの…?」
「え、っと……その…それは…」
「すき、って言ってよ…おねがい…。」
「す、好きです…。」

一言ごとに近づいてくるセレーヌさんの顔と、煩くなる心臓の鼓動に僕の防衛線は簡単に瓦解した。ぽろりと零れ落ちるように僕は彼女への想いを告白した。

「………くふっ、うふふ、ふふふふっ♪ねぇっ、もういっかい♪もう一回言ってよ?」
「す…好きですっ!」
「うふ、ふふふっ、ふへ、やった、やったぁ♪やっちゃったぁ♪好きだって♪私のこと好きだって♪ふふふっ♪あははっ♪」

僕の返答を聞いた彼女はにんまりと笑い、いままでに見たことのないくらいテンションを上げてはしゃいだ。真っ赤な頬を釣り上げて小刻みに跳ねるように喜び、何度も言葉を口の中で反芻する。普段まったく想像もしていなかったその姿に呆気に取られていると、彼女はまた僕に身体を密着させて、僕に囁きかけてくる。

「じゃあっ、じゃあじゃあ、好き合ってるならやることがあるでしょ?うふふっ♪ね?」
「え、好き合って…え…?」
「ほらっ、ん〜〜……ん、ちゅ…♡」
「〜〜〜〜っ!!???」

自分に起きたことが信じられなかった。彼女がなにかとても重要なことをさらっと言ったけど、その直後に彼女の唇が僕の口と重なった。とても熱くてとても柔らかいその感覚に何も考えることができなくなって、動くことができなくなった。
でも彼女はそれだけで終わらなかった。

「んん…♡んふ…♡んむ…あむ…♡んちゅ…♡んふふっ♡んん〜〜〜〜っ♡♡」

暖かくって、柔らかくって、いい匂いがして、それだけでもうどうにかなってしまいそうだったのに、彼女はあむあむと僕の唇を食べるように唇を動かしたり、ちろちろと細く長い舌を差し入れて僕の歯や舌に手当たり次第に絡ませて嬉しそうに微笑んだ。
彼女の舌が僕の舌を撫で上げる度にぞわりとした感覚が身体中を走って身体が跳ねてしまうけど、いつの間にか彼女が両手で僕の頭を押さえていて唇は離れない。何度も何度もじゅるりと互いのベロが触れ合って、絡み合って、その度に身体が震えて何も考えられなくなって、彼女の唾液の甘さに脳髄が溶かされていくようだ。
たっぷり数十秒キスを愉しんだ彼女は、最後にちゅうと強く吸いついた後にようやく顔を離した。その顔は今までで一番真っ赤に染まっていたけど、たぶん僕も同じだろう。口の端から垂れる唾液を舌なめずりする彼女はとてつもなく色っぽかった。

「ふぁ…♡うふふっ、キス、しちゃった…♪」
「はぁ…はぁ…。はい…。」
「ふふ、気持ち良かった…?…ぁっ…♡」

熱い吐息を漏らしながら彼女は尋ねてきた。けれど僕が答える前に何かに気づいたように視線を落とした。釣られて視線を落とすといつの間にか彼女が僕の身体に巻きついていて、密着していた彼女の下腹部に僕のモノがズボンを押し上げて、スカート越しに柔らかいお腹に食い込んでいた。

「ねぇ…私、もう酔っちゃって限界みたい…♡一緒に、休めるところいこ…?」
「は、はい…」

彼女はそんなことを言いながら僕の飲み残したグラスを取って飲み干し、いくらかのお代をカウンターに置いて席を立った。巻き付いた彼女の尻尾に引かれるように僕も店を出る。
外はいつにもまして冷たい空気が流れていたけど、セレーヌさんがぴったりと身体を密着させてくるせいでドキドキして気にならなかった。今までの酒場を出たらすこし歩いて別れるだけだった関係とは比べ物にならないくらい彼女の存在が近く感じる。

セレーヌさんに連れられるままに歩いた先はなにやら暗い路地裏にある怪しげな雰囲気のお店だった。ここは確か魔物の人たちがよく利用する施設で、男女の二人組が入っていくのを何度も見たことがある。
ということは、僕とこれから、セレーヌさんと…?

ふと思いついたその事実に顔が熱くなり、また心臓の鼓動が早くなりくらくらとしてきてしまう。僕がそうして勝手にのぼせていると、セレーヌさんは受付の人と二、三言交わした後にこちらに向きなおって僕の腕をくいと引く。

「ほら、いこ?」
「は、はい…。」

うきうきと楽しそうなセレーヌさんに手を引かれ尻尾で背中を押されある部屋に入る。そこは落ち着いた雰囲気の調度品が揃えられた何の変哲もない寝室だったけど、部屋の中央にあるベッドは2人並んでも余裕なほどに大きなもので、真っ白で皺ひとつないシーツがかけられていた。
セレーヌさんは僕を部屋に押し込み、自身も部屋に入るとドアの鍵を閉めて振り返った。赤い顔でにっこりと微笑みながら、蛇体をくねらせて僕のほうへ近づいてくる。合わせてゆらりゆらりと動く腰が艶めかしくて目線を奪われる。

「あ、あの、セレーヌさん、もしかして…」
「んふふ、もしかして、なぁに?ほら、キスしよ…?恋人同士なんだからぁ…♪」

そう言いながらセレーヌさんは僕を囲むようにしゅるりと蛇の身体を這わせて、僕の目の前で立ち止まると両手で僕の顔を捕らえてぷるぷるの唇を押し当ててきた。
最初のキスと同じように、ちゅるりと僕の口の中に舌を差し入れてきて僕の舌と絡ませてくる。いろんな方向から舌を押し付け合って、一通り終わるとちゅっと音を立てて唇を離した。腕を僕の首に絡ませてより距離を詰めて、蠱惑的に微笑むとまたちゅっと唇を合わせてきた。ただ今度はあむあむとついばむようにソフトなキスを繰り返し、何度目かのキスが終わると、今度は頬や額や瞼にキスを浴びせてきた。一回唇が離れる毎にはにかむように笑うのがとんでもなく可愛くて心臓のドキドキが止まらない。
最後にもう一回唇を合わせて、ゆっくりと味わうように舌を絡み合わせてから、口を離して彼女は喋る。

「ねぇ…アカオニさんが言ってた下ネタってどんななの…?どんなこと想像シちゃったの…♡」
「えっ…えっと…っ…」
「ああっ♡もしかしておっぱい?んふふ、いつもちらちら見てるのわかってるよぉ?うふふ、このおっぱいを見てどんなこと想像しちゃったのかなぁ〜〜?こうやって、おっぱい押し付けちゃったり?それとも、こうやって…両手で触ってみたり…?」

僕の手を取って自分の胸に押し付けるセレーヌさん。ふにゅりと沈み込むその感覚に思わず僕の手が強張る。そんな僕の指の動きにもふるふると柔らかく形を変えて反応し、少し力を込めて握るとどこまでも柔らかく淫靡に歪んだ。

「うわ、やわらか…っ」
「あ、ンっ…♡んあ、いいよっ♪もっと触ってっ、もっと撫でてぇ♪」

さわさわと確かめるように彼女の胸を揉んでいると、彼女の吐息が段々熱っぽくなって来ているのに気づいた。そこでまたふと目線が合うと、彼女は舌なめずりをしながらプチプチと衣服のボタンをいくつか外して、僕の手を誘い込むように服の隙間から差し入れた。先ほどと変わらない柔らかさに、より一段と感じる熱い体温。それに、肌がしっとりと吸いつくように滑らかで、その感覚を求めて夢中になって指を動かしてしまう。自分の身体の中に制御できない熱が湧き上がるのを感じた。
僕が指を動かすと、彼女が身体をくねらせて静かに喘ぎ声を上げる。全体を優しく揉むと長く息を吐いて快感に目を細め、ふと指がぷくりとしたしこりに触れると彼女はびくりと身体を震わせて喉の奥から喘ぎ声を漏らした。自分の手で彼女を悦ばせている事実に興奮で息が荒くなり、下半身がぎちりと窮屈になる。
しばらく彼女は、遠慮も忘れ不躾に動き回る僕の手に服の上から手を添えていたけれど、僕の窮屈感が限界に近づいているのに気づいたのか、手を下ろして服越しに僕のモノを擦ってきた。服越しとはいえ彼女の柔らかな手付きに思わず震えてしまう。

お互いの身体をゆっくりと高め合い、互いにもたらされる快感より先を望む興奮のほうが大きくなってきたとき、セレーヌさんはすっと僕の胸に両手を当てて押し倒してきた。当然僕の身体は倒れてしまうけど、巻き付くように僕の背中に触れていた蛇の部分が支えてくれた。ゆっくりとベッドの上に押し倒され、僕の上にセレーヌさんが覆いかぶさってくる。セレーヌさんは重力に任せて僕の身体に自分の身体をぐいと密着してきて、下腹部を僕のモノに押し当てながら、僕の手の上から自分の胸を愛撫しながら、僕の唇に自分の唇を重ねてきた。
ぐいぐいと下腹部を僕に押し付けながら、じゅるじゅると僕の舌を吸い上げて絡みつき、手は休むことなく這いまわっている。いつの間にか彼女のシャツのボタンはすべて開けられており、僕の手は彼女の手と胸に挟まれたまま彼女に快感を与え続ける。

彼女の長い蛇の身体は滑るように動いてベッドの上を這い、僕たちの身体を囲うように円を描く。ふと頭の下に感じたものは枕ではなく彼女の蛇のお腹だった。表面は少し冷たい艶やかな鱗で覆われているのに、彼女がキスでびくりと震える度に鱗の向こうにぴくりと動く筋肉と血の通った暖かさを感じる。身体中彼女と触れ合ってそれどころじゃないはずだけど、ふとこの蛇の身体も彼女の一部なんだなという考えが頭に浮かんだ。

「んん…♡んふ、んむ♡んぁ…♡ちゅ…ぷあっ。ふふ♡もしかして、こんなコトも考えちゃった…?」

唇を離した彼女はするすると身体全体を滑らせるように動かす。僕の身体と少しの隙間も作らずピッタリ触れ合ったまま、蛇の部分がシーツの上を滑り、セレーヌさんのヒトの上半身は僕の上で体勢を変えて頭とお腹の位置を逆さまにする。
そうして体勢を変えた彼女は両手で僕のベルトをかちゃかちゃと外そうとするけど、興奮のせいかその手付きは若干震えてもたついていて、彼女の熱い吐息がズボン越しに僕のモノに当たるたびに、どうにももどかしい気持ちになって我慢できない。やっとのことで金具が外れると、ブルンと空気に晒される。彼女の吐息をより鋭敏に感じて、それだけで達してしまいそうだった。
真っ直ぐ立ち上がるモノを目前にすると、彼女ははぁぁ、と一際熱い吐息を吐いた。そして少し身体を起こすと、僕のモノにのしかかるように覆いかぶさり、あの柔らかな胸で挟み上げた。

「はぁ、はぁ…♡どう?気持ち良い?」

彼女がぎゅっと手で胸を左右から押し付けたり、弱い力でゆるゆると胸を上下させて擦り上げる。先ほど手のひらで感じたあのしっとりやわらかい感触を敏感な部分に感じて、否応なしに興奮が高められる。

「んふふ〜♡ねえ、どうなの…?ね〜え♡」
「は、はい、とてもっ、良すぎるくらいで…んああっ!?」
「んちゅっ♡♡」

セレーヌさんは数秒ほど肌と肌の擦り合いを楽しむと、突然に頭を屈めた。その瞬間に僕のモノの先っぽが熱くぬめったものに包まれた。それだけでなく、どこか覚えのある細長いぬるぬるしたものが這いまわる感覚が下半身を突き抜ける。きっと、あの長く真っ赤な舌で舐められてしまっているのだと直感した。
彼女はそのままぺろぺろと僕のモノのあちこちを舐め回したり、巻き付くように舌を這わせて上下したり、ちゅぽんと音立てて吸い上げては指先でつんつんと突いたり、顔を近づけて匂いを嗅いだりしてくる。

「んふ…♡れろ…ちゅぽっ…♡ああ…っ…美味しい…♡んふふ、ぴくぴくしてる…♡つんつん…ふふ、かわいい…♡」
「はぁ、はぁ、そんな、かわいいなんて…むぐっ!」
「すぅぅぅ……はぁぁぁんっ…♡すごい、くらくらキちゃうぅ…♡あぅ…はぁ…っ♡おなかの奥ぞくぞくしてとまらないっ♡」

セレーヌさんは僕のモノに鼻先をつけて深く息を吸うとぴくぴくと身体を震わせて、ギュッと蛇の身体で抱きしめてきたために声が遮られてしまう。そして、触れ合っている肌と肌の体温をより感じとるかのように全身を僕の身体にすりすりと擦りつけて、柔らかい下腹部を僕の顔に押し付けたまま左右に動かした。
顔に押し付けられる胸とはまた違うふんわりした感触と、彼女の甘い匂いで胸がいっぱいになって思わず恍惚とするけれど、彼女が僕に抱き着くのに夢中なため息ができない。やっとのことで顔を逸らして呼吸を繰り返すと、ふと彼女の匂いの中になんだかとても惹かれる香りを感じた。なんだろう、と思ってみると、その匂いは彼女が腰を揺らすたびに彼女の濡れたスカートの奥から漏れてきていて、僕は我慢できずに布地をたくし上げた。
布地を少し上げると艶やかな蛇の鱗が美しく並んでいて、さらに上げていくと鱗はふんわりとした女性の柔肌へ変わっていく。そしてそのつなぎ目のところに、粘液で濡れた女性器があった。スカートの布地との間に粘液の糸を引いていて、それが見えた瞬間にむわりと濃密な彼女の香りが鼻に染み込んできた。彼女が声を漏らして悶える度にそこはひくひくと震えて、彼女が腰をくねらせる度に彼女の香りが僕を誘惑する。それに我慢できずに僕は思わず口を付けた。

「ひゃうっ!?な、なにして…あっ♡ちょっ♡もうっ♡♡おしりっそんなにがっしり掴んでぇっ♡逃げられ…んんっっ♡♡」

熱くてぷるぷるのひだに口付け、その感触を楽しむように唇で甘噛みする。彼女の粘液の味を唇の隙間から感じて、それをもっと感じたくてついぺろりと舌で舐めあげてしまう。甘酸っぱいような不思議な味が広がって、ねっとりとした粘液に乗っていつまでも舌に余韻が残っていると錯覚するけど、ふっとその味は消えてしまい、我慢できずにまた舌を彼女の肉に這わせる。
舌を這わせる度に彼女の味を感じて、夢中で粘液を舐めあげていくと、彼女は艶やめかしい声を上げて秘所を震わせた。ぼくは彼女が快感を感じていることに気づくと、もっと彼女を気持ちよくさせたくてたまらなくなり、めちゃくちゃに彼女の秘所を舐め回した。肉ひだに舌を押し付けると彼女の身体が震え、表面をべろりと舐めて小さな突起に舌が当たれば彼女がびくりと跳ね、つぷ、と襞をかき分けて舌を差し込むときゅうきゅうと軟肉が健気に締め付けてきた。

「や♡あっ♡んんっ♡♡気持ちいっ♡キミのベロっ、暖かっ♡ああっ…♡はぁ…っ…♡わ、わたしも…あむっ!」

彼女はまたぱくりと僕のモノを加えてちゅぽちゅぽと抽送を再開する。けれど僕の舌が彼女の小さな突起をかわいがるように注力してしゃぶると、すぐに肩を震わせて手を止めた。もしかして痛かっただろうか、と頭をよぎったけど、とろとろと垂れて来る愛液を貪るのを止めることはできず、そもそも彼女がびくんびくんと腰を押し付けてくるせいで舌をどけることができない。だから僕は呼吸も忘れて舌を動かして彼女を味わう。

「はぁんっ♡や、まって♡まってっ、それっ、以上…はっ…♡ぁ…っ…ああああっっ!!!」

彼女がぴくぴくと震えたかと思うと、今までで一番強い力で全身をぎゅっと巻き上げてきて、艶の混じった叫び声を上げた。彼女の秘所も奥の方からひくひくと痙攣し、ぷじゅりと甘い液が漏れ出してくる。しばらくすると痙攣が収まってきて、彼女は何も言わずに僕の下半身に抱き着いて肩を上下させて息をしていたが、未だに秘所は誘うように震えていた。
ぐったりとしてしまったセレーヌさんが心配になり、なんとか身をよじって彼女の顔を見ようとする。当然、肩越しに赤くなった耳しか見えなかったけど、蛇の身体すらも力が抜けていて心配で思わず声をかける。

「あの、セレーヌさん…?大丈夫ですか…わっ!?」

僕の言葉にセレーヌさんは答えることなく、むくりと身体を起こすとしゅるりと素早く身体を滑らせて体勢を変えた。力強い蛇の動きに釣られて僕の身体が浮くけど、直後に両肩を掴んでベッドに押し付けられた。いつもの彼女らしからぬ強引な動きに彼女の表情を窺うと、頬を紅潮させて、目尻に涙さえ浮かべているのに蕩けるような笑みを浮かべていた。

「はぁ…っ…♡だめ、もうだめ♡がまんできないよぉぉ♡」
「す、すみません…大丈夫で…うあ…っ!?」

彼女は僕の下腹部の上に彼女の同じ部位を押し付ける。むっちりとしたそこに僕のモノが押しつぶされて快感がせり上がる。彼女はぐいぐいとそのさらに奥の部分を左右に押し付けながら、余裕の欠片もない様子でスカートの後ろに手を伸ばしてホックを緩め、力任せに引き上げて秘所を露出させる。

「いくよっ♡いいよね♡いれるよ♡いれるからね♡んあぁっ♡さきっぽっ、あたってっ♡ぁっ♡」
「っ…すごっ、ヌルヌルで…熱くて……!」
「はぁ、はぁ、きもちいい…♡♡でも、もっとっ♡もっとっナカに♡♡……んんんっ……んああぁぁぁぁぁっ♡♡♡♡」
「うあああっ!?」

そしてそのまま騎乗位のような体勢で彼女は腰を上げてぴとりと秘所を密着させる。
ありえないくらい柔らかくぷにぷにのそれに男性器の先端が咥え込まれ、そのままにゅるり、とあっけなく彼女のそこが割り開かれて僕のモノが膣内に入っていく。
ごくわずかしか入っていないというのに、その瞬間に彼女のナカはきゅうきゅうと締め付けてきて、それなのに柔らかくて、ぬるぬるの粘液のせいで締め付けて来る快感が僕の粘膜全体に広がって、それらの相反する感覚のすべてが気持ち良くて頭がどうにかなりそうだった。セレーヌさんもそうかはわからないけど、悦楽の篭った声をあげて身体中ぴくぴくと小さい震えを繰り返しながら、ゆっくりゆっくり僕のモノを飲み込んでいく。

「ああぁっ♡は♡キミのが、入って、くるぅ♡ふうう…んっ♡」
「はぁ、はぁ、せ、れーぬさん…!」
「あっ、キミのが、ちょっと大きく…♡気持ちいい…っ♡」

ようやく僕のモノの頭くらいまで入ったけれど、彼女の膣から与えられる快楽が多すぎて今すぐにでも出てしまいそうに思えた。限界まで押しやられた僕のモノは勝手に充血して膨らみ、わずかに大きく張り詰めた。そのせいで柔らかい肉をかき分けて、快感をより鋭敏に感じ取ってしまう。
そしてかき分けたことで彼女の膣は更にぎゅうぎゅうと締まり、さらに快楽が送り込まれて、と繰り返しになってしまう。
正直なんでまだ絶頂していないのだろうと思うくらいに気持ちが良い。お酒に酔いすぎたせいか、快楽が強すぎて本能が戸惑っているのか。けれど下半身からは途切れることなく快楽が送り込まれ、疑問に思う余裕もない。

ただただ僕が快楽に翻弄されていると、セレーヌさんの奥へ奥へと誘う動きがこつんと止まる。モノの先端がなにかにつっかえたように押しつぶされて、気持ちが良くって思わずびくりとしてしまう。一番奥まで入ったのだろうか?見るとまだモノは半分以上収まっていない。
セレーヌさんを見ると、もどかしそうに眉を八の字にして、腰をぐねぐねと動かしてくる。ぐりぐりと膣襞が先端の薄い皮膚をなぞり上げて声が漏れてしまう。

「うっ、セレーヌさ、それ、ヤバっ…ああっ!」
「んんんっ…もうちょっと、だから…っあ♡ここ、ここかな…?あ、っ…♡」

そのうちに先端に感じる肉の感触のうちに、少しのくぼみというか切れ目のようなもののを感じた。まるでそこに押し込めばもっと深いところまで繋がれそうな感触だった。
セレーヌさんはそこを探り当てると、にんまりと笑ってよりずぶりと押し込んだ。

「ん…あああんっ♡♡」
「うああっ!」

一瞬の引っ掛かりの後、ぶつりとした感触が性器を通して伝わり、そのままの勢いで性器が中ほどまで膣肉に包み込まれる。今までと比べ物にならないほどの早さで急に入り込んだことで、二人して悲鳴を上げて快楽に震えた。

「いぃぃ…っ♡ジンジンする…ぅ♡でも、気持ち良い…♡♡」
「ああぅぅっ、これ、もしかして…っ…?」
「あ…♡ごめんね、まだ入りきってないね…。いま、いれるからね…♡はぅぅ♡」
「あぐ、っ…!」

セレーヌさんは止まっていた腰に再び力をいれ、ずぶずぶと肉に飲み込まれていく僕のモノ。ぱんぱんに張り詰めた竿がどろどろの肉で絡み付かれながら飲み込まれていく。

先ほどの皮膚が薄い所だけを飲み込まれていたでも信じられないくらいの刺激だったのに、うねる膣肉で全体を包み込まれていく感覚に、これが本当の交合だと本能が理解してしまった。決して先ほどまでの感覚が劣っているものではないけれど、彼女の奥深くまで繋がり合っている感覚が思考を犯し、そこに子種を撒き散らすことしか考えられなくなる。

「……っ…!!」
「きゃ、ああっ、急に奥まで、〜〜っ♡♡♡」

積み重なった快楽と処理できないほどの強烈な本能に腰が勝手に突きあがる。それはセレーヌさんにがっしりと身体中でホールドされていたせいで素早いものではなかったけど、そこに辿り着くまでに受けるはずだった快感すべてを早回しで感じ取れてしまうくらいの絶妙な早さで、彼女の最奥までずぶりと入り込んだ。
そして彼女の一番奥のぼってりと分厚いところに僕のモノの先端が埋まり込んだ瞬間、とうとう限界が訪れた。

「――ああああっ!!!」
「ぁ――、あああああんっっ♡♡♡♡」

彼女は喉を反らして喘ぎ声を上げ、僕は気持ち良すぎて一瞬意識さえ失いながら達した。

押し付け合った先端から精液が湧き出し、最初の一拍が彼女の最奥に触れた瞬間に膣がぎゅうっと締め上げてきた。
僕の腰はびゅるびゅると吐精する度に勝手に浮き上がってより深くまで入り込もうとし、それを受ける度に彼女のナカは吸いつくように締め付けて来る。尿道を欲望の塊が昇り上がって視界が真っ白になるほど気持ちが良い。僕が身体を強張らせて快感に翻弄されている間、彼女の上半身はぴくぴく痙攣し、下半身は強く巻き上げて来る。

「ぁぁ…っ、ぅああ、ああっ、ああっ…!」
「〜〜〜〜〜〜〜〜っ♡♡♡」

普段じゃ考えられないほど長い時間射精を繰り返した。あまりの快楽量に長い時間だったと認識してしまったのかもしれない。何十回も僕の性器が脈動して、漏れ出る子種の量もほぼ無くなってきたはずなのに、未だに突き抜ける快感が身体中を駆け巡って、ただ手を握り締めて耐えるしかなかった。

「ぁ…、はぁ、はぁ、はぁ……。」
「……っ…♡♡♡」

そうして数分か、数十分か、どれだけ立ったのかもわからなくなったころ、ようやく送り込まれる感覚が落ち着いてきて視界がクリアになっていく。思い出したかのように肺が呼吸を再開して、自分の呼吸をとても煩く感じながら、ぼやける視界の中セレーヌさんの姿を見ようとする。

彼女は最初と同じようにぴんと身体をまっすぐに起こしたまま、数秒おきにぴくぴくと身体を震わせていた。そのたびに突き出された胸がぷるりと震える。依然として背筋を反らして天を仰いだままの彼女の表情は見えなくて心配になったけど、快楽の余韻で喉がうまく動かなくて彼女の美しい身体を見つめることしかできなかった。

またすこし経って快楽が落ち着いてきたころに、セレーヌさんがゆっくりと身体を倒してきて僕と上半身を重ね合わせてきた。汗ばんで火照った彼女の肌がぴったり貼りついて、目の前で吐かれる吐息がとても熱く感じる。彼女の表情は先ほど以上に蕩けていて、顔は赤く、口の端からは涎さえ垂らしている。なのに、今までで見た彼女の表情で一番美しいと感じた。

蕩けきった彼女の目は何度かゆっくりと瞬きをして、僕の顔を見つめながら彼女はくすりと笑って口を開いた。

「………すごかったね♡」
「は、はい…。」
「あ、ごめん。私たぶん言ってなかったかも。」
「なにをですか?」

そこまで言って彼女は身体を少し起こして顔を寄せて来る。
部屋の明かりの逆光で少し暗い彼女の表情は、頬を赤くしながらもどこかすっきりとさわやかな笑顔を浮かべていた。

「…私も好き♡んちゅ♡」
「………!」

その言葉と共にセレーヌさんは唇をぴったりと密着させるだけのキスをしてきた。僕の心臓はこれまでにないほど一際大きく跳ねるけど、彼女も僕を好きでいてくれたという事実に胸の奥からじんわりと暖かいものが広がってきた。

「んん…ぷはぁ♡…ぁ♡いまわたしのナカでぴくってしたぁ……♡まだかちかちだね…♡…ね、つぎはもうちょっとゆっくりシてみようよ……♡」
「ええ、ぜひっ…!」
「やった♪ん、しょ…♡ぁ…ふぅ♪きもちいぃ…。…んっ、そのつぎは、蛇のお腹でぎゅーってしながらシてみたいなぁ♡それでそれで、その次はキミにも動いてみて欲しい…♡あ、あとそれから、んっ♡それからっ、今度はキミが上でっ、さっきみたいにっ、おしりぎゅって掴みながら強めにシてほしいっ♡♡それからそれからっ…♡♡」
「う、ふぅ、く…は、はい、おてやわらかに…んあっ!?」
「んふふ〜〜っ♡♡」



















ある日の昼下がり。良く晴れて空は青く澄み渡り、街は行き交う人々の活気にあふれている。
数多の荷物を抱えて運ぶ熱心な魔物。少し遅めの朝食を取ったのかレストランから出て来る旅装の人間。なにやら落ち着きのない様子で路地裏に入っていく二人組の男女。今日もこの街には様々な人や魔物がいる。
そんな中、大通りから少し離れた用水路に掛かる橋の上。いつもの"密会"場所で一人の男と肌の真っ赤な魔物が話していた。

「んで、あの後結局どうなったよ?」
「よくもまあそんなのんきに聞けますね。あんな適当なアドバイスしてたくせに。」
「なんだよ、うまくいかなかったのか?」
「……付き合うことになりました…。」
「そいつぁ良かったじゃんかよ!!え??」

頬を少し染めながらも不満げに"作戦"の結果を報告する男性と、それを聞いて豪快に笑いながらバンバンと男性の背中を叩く女性。彼女はゲラゲラと笑いながらも二人の縁を取り持てたことを喜ぶ。

「…確かに結果オーライですよ?でも、あんなの状況が悪ければ嫌われてもおかしくなくって、そもそも酔わせてどうこうするってのが…ブツブツ…」
「くははっ!やっぱそうだろ?(魔物の)女は男にケツ撫でまわされりゃあ即腰振るって決まってんだよ!よーし今夜は祝杯だ!丁度いい酒が…」

と、そこに件の女がやってくる。

「あ、アカオニさーん!」
「お!セレーヌじゃねーかぁ!コイツの精液は美味かttdごぶっ!??」

にこやかに笑い手を振りながら蛇行してきた彼女は、割と早い速度で二人の元に迫ると二人を引き剥がすように蛇の身体で男の身体に巻き付き、流れるような動作でアカオニに一撃を食らわせた。

「…こぉんにちわぁ??おかげさまでダーリンと仲良くできましたよぉぉ。」
「ぐがgっ、なんで怒ってんだよ!」
「ひとの夫連れ回して下ネタ吹き込んで困らせてたら誰だって怒りますよぉぉ〜?それに私のことを誰でも腰振る淫乱みたいに言い回ってるのも知ってますからねぇぇ??私が腰を振るのは彼だけで…あと彼のせーえきは全部わたしのものです。」
「別に横取りする気はnっんごごごごご」
「せ、セレーヌさん、落ち着いてくださいっ!この人は別になにもしてないですから!」

それは彼女もわかっている。わかってはいるが、自分の夫に近づく他の雌を遠ざけようとしてしまうのは彼女たちの本能だ。決して、決してアカオニが何か余計なことを言う前に会話を終わらせたい訳ではない。

「ま、ダーリンはわたしにぞっこんですから?別に浮気とか心配してないですけど。ね、ダーリン♡」
「へっ、"彼とセックスしたいけど嫌われたらどうしよう〜"なんて泣きついてた奴が良く言うぜ!」
「んなぁぁっっそれっそれは言わない約束で…っ///それにっ正しくは"彼とお近づきになりたいけど迷惑じゃないかしら"で〜〜///」
「変わんねぇだろ、どうせおれたち妖怪はオスとずっこんばっこん交尾するのが目てkぎゃああっなにしやがるいっでででで!!」
「身もふたもない言い方は止めてください!!!//////」
「アカオニさん!セレーヌさんが本当にそんなこと言ってたんですか!?」
「おうともよ!!ほかにもよ、"彼巨乳好きだったらどうしよう!?"とか言って豊胸マッサージ始めたかと思えば、次の日にゃ"彼が今日サバトの魔女に優しくしてた!!"とか言って胸にサラシ巻いてたりしてありゃあ笑っちまって…」
「アカオニさん〜〜〜それ以上は許しませんよぉぉぉっ!!!!/////」





23/10/29 02:48更新 / パスタリアン

■作者メッセージ
形にするのに時間かかりましたが楽しく書けました!
もしネタ被ってたらすみません。

あとアカオニさんにも名前はありますがこの地域では珍しい存在なので種族名でアカオニさんと呼ばれてる設定です。名前考えるのが間に合わなかったとかじゃないです嘘です思いつきませんでしたごめんぬっ(ここで手記は途切れている)

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33