連載小説
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1.想像してた結果と違う事になりやがしました
草木も眠る丑三つ時に鬱蒼とした廃墟。とある地方では最恐と恐れられ
地元住みの人はおろか不良ですら立ち入らないという心霊スポット。
そこで満面の笑みでゴソゴソと何かを拾い集める男が1人
「ひひひひ・・・・ココはいい邪気を出してるわ・・・・・
これならいい呪具の材料になるなぁ・・・・ひひひひひ・・・」
男の名は黒樹博信。科学が発展した現代社会で魔術を極めようとする
傍から見ればとち狂った男である。
時間も場所もとんでもない所に居るのだから心霊現象が
発生するのは当然の話である。案の定パシッピシッとラップ音が
鳴り響き始める。普通なら怖がり始める所だが黒樹は意に介さず
作業に没頭していた。そしてどう考えても動きそうにない板が
崩れ落ちた。が、それでも黒樹は作業に没頭している
更には汚れたコーヒーカップや割れたグラスが空を飛び壁に当たり始める
普通この状況なら大騒ぎして全速力で逃げるだろう。
が、黒樹はそんな事お構いなしである。そんな最中カップソーサーが
黒樹の頭に直撃する

「いてっ!・・・・・・・ふぅー・・・・・・・」

大きくため息をつきゆっくりと立ち上がる。

「 喧 し い ぞ 喰 わ れ て ぇ か 」

その場の空気より冷たい声を辺りに響かせる。
その途端、先ほどまでのポルターガイスト現象はピタリと止まった
「まったく・・・ビビるなら最初っから手を出してくんなっつーの・・・・・」
「さて・・・・陶器類30個、ガラス片大小含めて50枚、完品の鏡3枚
砂が土嚢袋1つ、2mの材木10本。こんな所かな」
敷地内に止めていた車に積み込もうとすると当たり前のように
沢山の手形が付いていた。
「・・・・・・・ったく、イタチの最後っ屁って訳か」
懐から棒状の何かとマッチを取り出し、おもむろに火をつけた
それを即座に消すと煙が濛々と上がり始めた。
「退魔香をくらいやがれ!」
廃墟の中に退魔香を数本投げ入れる。
その途端に

グ ェ゛ ェ゛ ェ゛ ェ゛ ェ゛ ェ゛ ェ゛ ェ゛ ェ゛ ェ゛ !

と、この世のものとは思えない叫び声が響いた
「ひゃっひゃっひゃっひゃっ!トリネコの葉と杉の葉に天日塩を
ブレンドした特製の退魔香の味はどーよ!ヘタ霊どもが!」
「あーあ。窓も車体も全部かよ・・・・仕方ねぇ
とりあえず窓だけ拭いてガソスタで洗車するか・・・
さっさと積み込まねぇとな」
手早く拾った物を車に積み込み窓を拭いて
その場を後にした。

なお、余談ではあるが。心霊スポットに繋がるルートに
あるコンビニにたむろしていた不良グループが
手形べったりの車に遭遇し、心霊スポット帰りでしかも
落ちてた物を大量に積んでいるのを知らずに因縁をつけた所
心霊現象を体験する羽目になり。座り小便必死で逃げたそうな


1時間ほど車を走らせて黒樹は自宅に戻る
1人で住むにはかなり大きい一軒家で
辺りには黒樹が作った呪具が置かれていた
「だっだいまっと・・・・ふぃ〜疲れたぜぇ
材料集めも大変だわ・・・・・・」
家の中のあちこちには藁人形や恨みを書いた絵馬
穴の開いたぬいぐるみ、動物の頭蓋骨、乾いた植物
といったあからさまに怪しげな物が所狭しと詰まれていた
「さぁて、風呂入ってから鏡1枚試してみるかな」
シャワーで汗を流し着替え先ほど拾った鏡を1つ取り出し
独特の図形を描きこんでいく。所謂魔法陣である
そしてロウソクに火を燈し六芒星の描かれた
台に置き呪文を唱え始める
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
唱え終わる寸前にロウソクの炎がフッと消える
「よし、術式の入力は成功したな
後は水晶をコップに入れてと・・・・」
水の入ったコップに水晶を入れて魔法陣の描かれた
鏡の上に置く。
「これで反応待ちっと・・・・ふぁぁー・・・・寝るかなぁ・・・」
材料集めの疲れも手伝ってかベッドに横になると
早々と寝始めてしまった。術式を施した鏡と水晶が
うっすらと輝き始める・・・・・・・・・・・


「ん・・・・・・・そろそろ起きるか・・・・・・ん?!」
黒樹は目を疑った。外の風景がまるで違うのだ
あわてて飛び起き外に出た。森の中だったのだ!
「え・・・・・・こりゃ家ごと時空間移動したってことか?!
えぇ・・・・・・・なんだ原因は・・・・・・あぁ・・・・昨日の鏡か」
魔術を専攻しているだけあって理解は早かったが
これからどうするかは別の問題だった。
「よし、まずは周囲感知してみるとするか」
パンと両手を合わせ印を組んで呪文を唱えはじめる
「『狂気により生まれし我が鎖よ、我が命に従い現れ出でよ。』」
その途端ジャラジャラと腕から鎖が伸びだしてくる
「うおっ!・・・・・鎖が具現化しやがった!元の世界じゃ
幻視でしか現れなかったのに!この世界は相当
魔力が濃いんだなぁ・・・・・・・・」
おもむろに鎖に意識を向けてみるとフワリと浮いて
自在に動かせている
「なーるほど。具現化してもいつも通りに動かせる訳だ
これならいけるな・・・・・『鎖よ走れ、辺りを探れ』!」
黒樹は鎖を四方八方に伸ばし辺りをレーダーの様に
探り始めた。「ん・・・・・こっから南南東に500mに魔力反応があんな。
ん?全部で5体。4体が1体を追っかけてる?」
「げっ!しかもこっちに向かってんぞ!?」
大急ぎで家に戻り呪具を色々持ち出し始める
「よし!何時でもこいや!!」
黒樹が外に出た時奥の茂みから何かが飛び出してきた!
それは赤いスライムだった。
17/12/23 12:52更新 / ultra食いしん坊
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■作者メッセージ
思いついた端から書いてみました^^;

エロもモチロン入れますがもうちょい先ってことで

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