連載小説
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3/5(月)
自分が泣き虫だと思っていた。だが、薄情者では無いはずだった。いや、そう思いたかっただけかもしれない。
卒業式で、入試の合格通知で、同窓会で・・・、泣いた。もう、中の良い友達ともう、一生会えないと言わんばかりに泣いてきた。

──なのに。それなのに。

どうして、泣けないのか。
本当に、もう二度と君と話すことも、その柔肌に触れることも、傷つけることも出来ない。
葬儀の中で、俺が堪えていたのは涙では無く、キミに対するヘドだったんだ。
「………………。」
「桧君・・・、ごめんね、こんなことになっちゃって。」
嗚呼、キミのお母様が泣いている。
何も知らないんだろうか、それとも知っていて、そう言っているのか?少なくともこの人は俺の為に泣いている。
やめておくれ、俺の為に涙を流さないでおくれ。こんな最低な彼氏なんだ。此処に居ることでさえ場違いなんだ。


──────
「こんなところに呼び出して・・・一体どうしたんだ?」
うん、来てくれたんだ♪やっぱりひー君は優しいなぁ。

「ひー君、ひー君、すきー。」
「俺は君が恐い。得にいま、この状況だと余計に。
繋がっていたいから○○ビルの屋上テラスに来てほしい。
なんて事をメールで送られて来てみたら、君が居て、終始笑いっぱなしと。」

「そう?うぇへへ、だって嬉しくてたまらないんだもん。ひー君が来てくれたんだから。」
「そりゃそうだ、俺だって行きたいなと思ったんだし。それで?昨日シたのは覚えてる?態々こんな回りくどいことをしなくても、シたいならそう言っておくれ───」

「ううん、違うの。それじゃもう感じられないの。」
鋭く、そして、重い口調で君の言葉を遮った。
「あれじゃ、繋がったなんて思えない。もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もぉぉぉっっと、ひー君を近くで感じていたいの。」

「わぁ、そんなに俺の事を思ってくれてるのかい?ヘヘッ、照れるな。」
「うん。ひー君が思っている以上に私はひー君が好きなの。loveじゃ伝えられない位、」

「love以上?間悲喜冷苗(マビキ レイナ)さんや、俺に教えてくれないかい?その隠した胸の内を。」
「えへへ〜、そう言ってくれるのは、ひー君だけだよ。じゃぁ…」

「二人で─
─永遠になろうね。」

鞄に隠していた包丁を突き立てて愛しの彼に向かって駆ける。
一歩一歩、歩みを進める度にキモチヨクなっていく。
私と彼の二人の世界で永遠に愛し合えるから。

届け、この思い。

「・・・。」ヒョイ

「あ、逃げちゃ───」
振り向いて避けないように言う。やっぱり怖かったかな?
でも、恐れないで。ユートピアはすぐそこなんだから。

なんだが、体が軽い。鳥みたいに空を舞ってるみたい。すごいや、好きな人と一緒になるために私は空を飛べるようになったんだ。

「冷苗ッ!!」
「ふぇ?──きゃぁぁっ!!!」

────

『次のニュースです。今日午後、○○ビルの屋上から女性が転落して死亡する事件が起きました。連絡をした交際相手の男性は───』

「つまり、杉桧(スギ ヒノキ)さん、貴方は刃物を持って襲いかかってきた交際相手所を避けた為にそのまま勢い余って転落したと言うことですね。」
「はい。」
「………、こちらで調べを進めさせてもらいます。また、進展が有れば知らせます。今日はありがとうございました。」
「こちらこそ、ありがとうございます。あと、その………………」
「なんでしょうか?」
「あ、いえ、何でもありません。ごめんなさい。」
18/03/05 07:38更新 / Mr.A
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