読切小説
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はぐれたものどうし
 街から遠く離れた、森に囲まれた小さな村がある。
 子供たちのはしゃぐ声が村に活気を与え、老人たちの世間話が村に憩いを与える。
 数多くの冒険者たちがこの村の宿に身を預け、活力を取り戻して村を去っていく。
 そんな平和な村ではあるが、子供たちにとって自然に囲まれたこの場は、冒険心と好奇心をくすぐる絶好の場所であった。
 時折、『たんけん』と称して子供たちが数人で一組となって、朝から村の外へと駆け出していく。
 それでも遠く離れた場所までは行かず、遅くとも夕方までには戻ってくる事が常なので、彼らの親に心配する者はいなかった。むしろ後に語られるであろう、我が子たちの小さな武勇伝を楽しみに、笑顔で送り出すのである。
 そして、この日も。いつも通り『たんけん』に出かけた子供の一人が、はぐれてしまう事すら気付かずに。


 その少年は、まだ陽の光が届いていない、わずかに薄暗い森の中で一人ぽつんと立っていた。
 『たんけん』パーティを組んでいた残りの二人と、はぐれてしまったのである。
 辺りを見回しても、村のある場所など全く分からず、仲間の気配も感じない。
 彼は空を見上げた。しかし、生い茂る葉が邪魔をして空は見えない。
 耳を澄ましてみても、聞こえてくるのは穏やかな風が葉を揺らす音だけ――

「あれぇ〜? ふたりとも、どこ〜?」

 だと思っていたら、全く緊急性を感じない、のんびりとした女の子の声が聞こえてきた。
 しかし、今回の『たんけん』パーティに女の子はいない。
 万が一いたとしても、彼の記憶にある、どの女の子の声とも一致しなかった。つまり、村の女の子ではない。
 とは言え、その声を聞く限りだと向こうも同じ迷子だろうし、それなりに近い位置にいる。
 本来ならば知らない声に近づく事自体が危険なのだが、誰かと一緒にいた方が良い、と考えを結論付けてしまった少年は、声のする方へと歩を進めた。
 がさがさと草を踏み分けて行った先に、待ち受けていた者を見て、少年はしばらく驚いた。

「もう、どこに行ってたの――って、あれ?」

 向こうも、少年の足音を聞いて、仲間がこちらに来ていたと思っていたのだろう。
 二人は、しばし驚き固まる。
 その子は確かに女の子だった。
 少年とさほど変わらぬ背丈。肩にかかる程度の赤味に帯びた髪を下ろしながらも、顔の左右には結われた髪が一束ずつ揺れている。この森で歩くには肩や腹を露出しすぎた服装。そして、頭から二つの角が生えていて、耳は長く、自らの背丈と同じかそれ以上の大きさの木の棍棒を持っていた。
 何よりも、その身体にはアンバランスな程に発育した胸。少年が知る中で、友達の女の子にそんな子はいないが、問題はそこではない。

「えと、だぁれ〜?」

 人間には無い角や長い耳がある事から、目の前にいるのんびりとした雰囲気の女の子は魔物である、と彼は即座に悟ったのだった。


「そっかぁ、テオって言うんだぁ〜」

 迷子の少年――テオが、小さな木の棒で地面に書いた自分の名前を、女の子が読み上げる。
 魔物の女の子は、名前をミルルと言うらしい。ゴブリンではなく、ホブゴブリンであるという事も知った。しかし、ホブゴブリンとゴブリンの違いを理解していない彼には、あまりよく分からなかった。
 どちらにしろ、あの村は魔物に対して排他的ではなく、むしろ受け入れていると言っても良かった。冒険者ほど多くはないが、魔物も村で一夜を過ごしていく事は多いからである。その中でも、未婚の男性と添い遂げ、夫となった男性を連れて村から去っていく事は珍しくない。
 そんな村で育ち、魔物に対する恐怖的な知識を授かっていないテオ少年にとって、角が生えていたり耳が長かったり胸がとても大きい以外には、人間と大して変わりないミルルを恐怖し、拒絶する理由は一つも無かった。
 現在、二人は周りよりも比較的大きな樹に背を預け、隣り合って座っていた。

「テオも、迷子なの〜?」

 こくりと頷く。
 それを見て、そっかぁ、とため息を付くように言いながら、ミルルは空を見上げた。
 釣られて見上げてみるが、先ほどと同じく、樹の枝から伸びた無数の葉に覆われて空は見えなかった。
 迷子だと言うのに、全く危機感の無い空気が二人を包む――というよりも、そんな空気を二人が発する。
 どこか似た者同士であるこの二人が、共に仲間からはぐれ、そして出会うのは必然だったのかもしれない。
 とは言え、このままじっとしていても埒が明かない事は明白である。

「……あっ、テオ、立って〜」

 ミルルが立ち上がると、その身体に不釣合いに大きな乳房がぷるんと揺れる。
 恐らく村の誰よりも豊満なそれに目を奪われつつも、言われたとおりに立ち上がると、ミルルが距離を詰めてくる。
 顔が近くなる中、彼女の瞳に映る自分の顔を見ていると、彼女は急に頭上に手のひらを置いて、それを水平にこちらの頭を撫でるように動かし、また自分の頭上に戻した。
 どうやら探しに行くわけではなく、ただ背比べの為に立ち上がったらしい。

「うん、私の方が大きいねぇ〜」

 誇らしげな声色で言われて、少し納得が行かなかったのか、テオが先ほどのミルルと同じように自らの手で二人の背比べを行う。
 しかし、彼の手のひらがミルルの頭を撫でるように通り過ぎていく。
 何度かミルルの頭を撫で、手のひらの高さを調整する。

「んぅ……♪」

 ミルルは目を細めて心地よさそうにしていたが、やがて自分の頭上に手のひらの位置を戻す。
 テオは、彼女の結論に首を傾げざるを得なかった。
 その様子を見ながらも自分の中で答えは確定していたのか、ミルルは両手を腰に当てて威張るポーズ。

「ふっふ〜ん。それじゃ、今から私の方がおねえちゃんだからね〜」

 雰囲気とのんびりした声のせいで全く迫力が無かったが、それでも彼を――気持ち的に――見下ろした。
 背丈の大きさに釈然としないながらも、テオは頷いた。目の前の存在がおねえちゃんだろうが、こちらがおにいちゃんだろうが、その点に関しては割とどうでもよかったらしい。
 目の前のおねえちゃんが満足そうに笑ったあと、手振りでしゃがむように促された。素直に従い、大樹の背を預けて座り込む。

「私、二人のゴブリンからおやぶんって呼ばれてるんだからね〜」

 だから、あなたよりもおねえちゃんでとうぜん、と言いたげに頭を撫でられる。
 怪力であるゴブリンとは思えぬほどに、柔らかく優しい手付きだった。
 その手付きは、先ほどテオが彼女にしたものとほとんど同じような物であったが、彼自身は気付く事無く、ただその心地よい感触を堪能していた。
 ホブゴブリンとゴブリンの違いを未だに理解できていない彼は、ミルルが親分と言う存在である事に、単純にすごいと思いながら。


 それから、それなりに時間が経っていた。
 森の中の景色も、重なる葉の間から漏れてくる陽の光を受けて、少し明るくなっていた。
 そして、大樹に背を預けて寄り添って座っている、ホブゴブリンと人間の子供。
 未だにどちらの仲間も迎えには来ないが、二人の間に悲愴的な空気は無かった。
 仲良く談笑というよりも、ミルルがほとんど話したり聞いたりする事に、テオは頷いたりするだけではあるが、それでも二人は互いの状況を理解する事が出来ていた。
 ミルルとテオはフィーリング的に合致しているのか、テオが何も言わずともミルルには何となく意図や考えが読めるらしい、ということが分かった。
 そもそも、テオは物言わぬ少年であり、感情は人並みに存在するのだが、それを表に出す事が苦手らしい。表情では読み取りにくい自らの心の内を誰よりも把握してくれるミルルは、テオにとって心を許せる相手となる事は必然だった。
 この短時間でありながら、似た者同士で迷子同士という共通点が多い事も相まって、二人には固い絆が生まれていた。
 テオが一度空を見上げると、決心したように立ち上がった。ミルルもそれに続くように、立ち上がる。

「……そろそろ、私たちも探そっかぁ」

 少年が頷くと、ミルルが片手に棍棒を、そしてもう片手にテオの手を掴む。
 そして、おねえちゃんとしての意地を見せんと、先陣を切ろうとして、相方である男の子の手を無意識に引っ張った。
 その無意識が行けなかった。この時、人間からすれば、ゴブリンの怪力が発動してしまったと思っていい。
 成人した大人であっても、このとっさの怪力に抗えるかどうかは分からない。それが、成人よりも非力な子供が、そんな怪力に抵抗できるはずもない。
 文字通り、テオの身体は浮き上がり、弧を描くようにミルルの元へと引っ張られていく。

「えっ?」

 ちゃんとその手を掴んでいるはずなのに、一切の重みが無くなった男の子を怪訝に思い、ミルルは振り返る。
 何だか凄い事になっていた。テオの身体が、自分より高い位置にあったのだ。
 その目はただただ驚いていて、こちらを見てはいるが、そこに助けを求めている色はなかった。
 この時、彼女ならば、まだ彼を抱き止める事も出来ただろう。そして何事も無く、互いに手を握りながらも仲間探しに明け暮れる事も出来たかもしれない。
 しかし、本能的に彼を助けなければならない、と思ってしまったのだろう。その手をまた、無意識に引いてしまった。
 さらにゴブリンの怪力が重なった結果、少年の身体は急速に、ミルルに向かって加速する。
 その速度は――人間が補助道具無しで経験していいような物ではなく、本能的な警鐘を鳴らす速度だった。
 とは言え、どうする事など出来そうもない。
 ただ、咄嗟に両手を前に出し、目を閉じた。
 片手が、とてつもなく柔らかい何かに当たった。思わず掴んだ。

「きゅふ――♪」

 激突し、ミルルもろとも吹き飛ばされながら倒れる。
 テオは幸い、顔面に柔らかい衝撃を受けただけで、傷一つ付かず無事に済んだ。恐らく咄嗟に掴んだものと同じものだろうと思う。
 しかし、自分の下敷きになったミルルは溜まった物ではないだろう。魔物とは言え、痛いものは痛いはずだ。
 顔を上げて見下ろすと自分を助けてくれた物が、ミルルの豊満な乳房であると知った。片手は未だにそれを掴んだままだった。緊急時のせいか握り締めるようにしてしまっていたせいか、彼の手には有り余るような大きさでも、形が変化していた。
 慌てて手を離し、ミルルの上から退いて顔色を覗く。
 彼女は荒く息を吐いていた。自分が無事なのに彼女が辛そうなのは、心が痛んだ。しかし、テオに出来る事は、それでもどうにも出来ない自分の無力さを呪う以外に無かったのだ。


 しかし、ミルルは痛みとは別の要因で息を荒くしていた。
 その息は甘く蕩けていて、甘美な余韻に浸っているものなのだが、申し訳なさに苛まれているテオが気付くはずも無かった。
 ホブゴブリンにとって、その大きな胸は性感帯である。特に男性に触られると耐え難いくらいに強烈な快感が襲ってくるのだ。
 彼女からすれば、テオは激突する寸前に胸を思いっきり揉んできたのである。その時、強烈な快感が電流となって駆け巡り、思わず声を挙げている最中に、彼が更に乳房に顔を埋めてきた。その瞬間、彼女の身体は大きく痙攣し、倒れながら声も無く絶頂に辿り着いた。

 ――おやびん、きょーこそニンゲンつかまえましょーよ!
 ――んで、男だったらさっくりヤっちゃいましょう!

 息を落ち着かせていると、ここに来る前に、子分というよりも家族に近い二人のゴブリンが意気込んでいた事を思い出した。
 人間を追い掛け回すのは日課だった。しかし、自分のせいで、捕まえる事が出来た事は無かった。あの二人のゴブリンは、転んでしまう自分を優先してしまうからだ。
 それでも、鬼ごっこ自体が楽しかった。人間と一緒に遊べているみたいで楽しかった。むしろ、大好きな人間と遊ぶ方法は、それしかないと思っていた。
 捕まえる事が出来ればご褒美に交われる。そう思って、人間相手に本気で追い掛け回していた。
 でも、さっき会ったばかりの彼は逃げない。むしろ歩み寄ってくれた。頭を撫でてくれたし、撫でさせてもくれた。近寄っても離れない。今だって、こんなに心配してくれている。
 それが何より嬉しかった。こんな嬉しい事を教えてくれる人間は初めてだった。
 考えている事は何となく分かるけど、何も言わないしボーっとしているような彼だから、自分が付いていないとダメな気がする。

 ――違う。

 自分が彼と一緒にいたいのだ。だから、ずっとここで一緒になって過ごしていたのだ。探しに行こうと決意したのも、彼がそうしたがっていたから。彼がそんな事を望まなければ、自分はいつだって彼と一緒にここに居られた。
 どうしようもなく、気に入っていた。
 人間を追い掛け回す理由も、その必要も、彼の存在で全てが消え去った。
 だって、彼は逃げないから。捕まえなくても、きっとご褒美をくれるのだ。
 いや、既にご褒美は貰っているのだ。身体はまだ火照っている。
 まだ足りない。
 もっと欲しい。
 そのために、彼と交わりたい。
 いま、すぐに。


 ミルルが突然、むくりと起き上がった。
 身体に異常は無いか、と心配げな表情のテオに、ミルルはにんまり笑ったかと思えば。
 いきなり押し倒された。
 テオが目を見開いて、ミルルを見る。何が、どうして、と考える間もなく、彼女に唇を唇で塞がれた。

「んぅ……ちゅぅ……♪」

 唇を押し付けられ、啄ばむように何度も吸われる。その度に、唇からピリピリと電流が走り、それが背筋に伝わって小さく跳ねる。
 普通に過ごしていれば、まだまだ知るはずの無い甘美な感触。
 それでも未知の感覚には変わりなく、思わず恐怖で顔を背けたくなる。
 しかし、ミルルに両手で顔を抑えつけられて、それすらも許されない。
 残された方法は、ただ無抵抗に享受するしかなく、身体をビクビクと跳ねさせながら快楽に溺れていくのみだった。

「ちゅ……んっ……ちゅる……ふふっ……♪」

 キスの快楽に溺れ、自分からも見よう見まねでミルルにやり返すと、嬉しそうな声が聞こえた。
 やがて、ミルルはテオから唇を離すと、上気した頬に彼女らしからぬ色っぽい笑みを浮かべていた。
 その表情に、鼓動が早くなるのを感じた。

「えへへ〜捕まえたぁ〜」

 押し倒した時の事を言っているのか、それとも、キスによりあっさりと魅入られてしまった心の事を言っているのか。どちらにしろ、既に彼女自身に見も心も囚われてしまっている彼にとって、それを否定する権利は無かった。
 ミルルが身体を押し付け、擦りながら顔を近づけてくる。
 熱い吐息が顔をくすぐる。身体に押し付けられてる柔らかい部分に顔を向けると、彼女の双球が大きく歪んでいた。
 胸を覆っていたチューブトップは腹側にずり落ち、先端の突起が露わになっており、さらにはその乳首ごと押し付けて身体を擦りあげてくる。
 つい先ほど性を知った脳は、その行為の淫らさを理解出来てしまう。
 その光景と気持ちのいい感触に頭が煮えたぎり、くらくらしてくる。

「はぁ……んぅっ……ふぁんっ!」

 甘く蕩けるような吐息が耳をくすぐり、時折漏らす嬌声が脳を溶かしていく。
 あまりのくすぐったさに耳を逃がすように、すぐ横の顔を見れば、彼女は熱に浮かされてとろんとしたような目でこちらを見つめてきていて。
 気恥ずかしさに視線を下ろせば、自分と彼女の体の間で、ふにゃりふにゃりと見るたびに形を変えるおっぱいがある。
 柔らかく気持ちよさそうなそれに両手を伸ばす。

「んっ、だめぇ……」

 ミルルに手を掴まれて阻止された。
 自らの欲望を止められて不満げに口を尖らせていると、ミルルは身体を下半身へと移動していく。
 自分に胸を触らせない為に逃げられたのかと気落ちしていたら、ズボンを下着ごとずり下ろされた。
 想定外の事に焦り、求めていた物を阻止されて宙に浮いていた両手が、今度は股間の防衛に出る。
 しかし、それもミルルに阻まれて、彼は何だか自分が彼女の体の良い玩具になってしまった気がしていた。

「顔、真っ赤だよ〜?」

 いつものようにのんびりとして、且つ楽しげな口調で言われて、さらに顔が熱くなるのを感じる。

「テオのおちんちん、ほーけーさんだね〜」

 何を言っているのか分からないが、局部の事を言われている事は分かる。
 外の世界から守るように包皮に覆われている事には変わらないが、それは自分でも見た事がないほどに大きくなっていた。いつも重力に従って下向きに垂れていたのに、今は我を見よと言わんばかりに天を向いてミルルの目の前でそそり立っている。
 とは言え見られて恥ずかしい事には変わりなく、かと言ってどうする事も出来ず、ただ顔を背けるしかなかった。

「それじゃぁ、気持ちよくしてあげるねぇ〜」

 そんな言葉が聞こえて顔を戻すと、ミルルが自分の乳房を持ち上げていた。
 陰茎の上で、その柔肉を真ん中に寄せる。
 ゆっくりと下ろしていき、包皮の先が下乳に当たる。
 それだけでも、こそばゆい感覚が大きく走ると言うのに。
 蕩けた顔で、えへへ〜、と笑うミルルと目が合った瞬間。
 ぱちゅんっ、という大きな音と共にペニスが乳肉に埋もり、彼の腰が大きく跳ねた。

「ひぁん!」

 続いて、ミルルが可愛く悲鳴のような物をあげたが、それどころではなかった。
 未知なる快感に、処理が追いつかず脳内回路のいくつかが焼き切れたようだった。

「ぁ……はぁっ……あれぇ……? おちんちんの皮、おっぱいの中で剥けちゃったぁ?」

 彼女が身を捩る。その時、乳内の肉が蠢き、埋没した彼の陰茎を揉み捏ねる。
 その度に刺すような刺激が身体中を駆け巡り、腰が痙攣する。
 事実、少年の亀頭は、ミルルが乳内に勢いよく男根を埋めた際に、外気へと露出していた。
 敏感過ぎる亀頭が初めて触れた外の物が、汗でしっとりと湿り、まとわり付くように吸い付いてくるような柔肉なのだから、耐えられるはずもなかった。

「そっかぁ剥けちゃったんだぁ〜」

 恐らくどちらであっても、彼女の行動に変化は無かっただろう。
 うっとりした表情で、自分の双房をむにむにと揉みこねながら、内部にある彼を責めてくる。
 許容量を超えた知らない感覚が雪崩のように押し寄せて来て、肺の中にある酸素を全て吐き出しながら、身体を痙攣させる。
 すぐに、股間の根元辺りから、むずむずと何かが湧き上がってきた。
 慣れている感覚のようで、何かが違う。自然に来るものではなく、ミルルがその乳を使って強制的に押し上げてきているものだという事は感覚的に把握した。
 だが、そこからは出るものは尿以外知らなかった。だから、これも尿意であると結論付けていた。
 さすがに他人にかけるのは良くない――身体を支配する感覚を快感だと知らず、恐怖か別の何かに震えながら、顔を上げて彼女に懇願する。

「身体もおちんちんもビクビクさせて気持ちいいんだぁ? 可愛い〜♪」

 しかし、ミルルは止めてくれなかった。
 そもそも、この感覚は気持ちいいのだろうか。確かに嫌な感じはしないが、分からなかった。
 ただ、既に限界が近いこの尿意のような物は、抑えなければならない気がしていた。
 とは言え、性を現在進行形で知っている少年に、抑え方など分かるはずもなく、容赦なく責めたててくる双乳からの刺激に、あっけなく白い尿を漏らす事になった。

「あふっ、出てるぅ〜♪」

 びくんびくんと震わせながら、乳内に精を吐き出すペニスの律動に合わせて、ミルルがぎゅぎゅぅっとリズムよく胸で締め上げる。その度に、喉を反らしながら息を吐き出すテオの身体が大きく震える。
 やがて、初めての精液を吐き出し終わった彼は、荒い息を吐きながらその余韻に浸る。
 彼女に押し倒されてから、何もかもが初めてだった。魔物はこんな事を知っているのか。魔物ってすごい。
 しかし、まだ終わりではない。ミルルが、男根を乳肉から解放すると、腹側にずり落ちていたチューブトップとショートパンツを脱ぎ去った。首飾りと両腕の袖を除いて、ほとんど全裸に近い状態だった。
 そして、彼の下腹部に跨り、彼女自身の下腹部と密着させ、腰を振り始めた。
 その姿がとてつもなくいやらしく、擦れ合う性器からはくちゅくちゅっと言う粘液音が漏れ出している。
 この間にも全く萎える気配の無かった男根は、その刺激に喜々として応える。

「はぁん……♪ 今度は、一緒に気持ちよくなろうねぇ」

 あの行為はあれで終わりではないのか。まだ続くのか。
 果ての見えないこの行為に、不安と恐怖を感じてしまう。
 そんな表情のテオに、ミルルは優しく頬を撫でる。

「女の子も、男の子と同じで、ここで気持ちよくなるんだよぉ?」

 そう言いながら、わずかに腰を浮かして、自らの秘所を片手で広げて見せる。
 自分のそれとは全く違う、女性器。くぱぁ、と開かれたその場所はヒクヒクと蠢いていて、蜜が滴り落ちる。その様はご馳走を目の前にした生物のようだった。
 ミルル自身も、その目が情欲に染まっていて、だらしなく開いた口から荒い息を吐いている。
 上から降る愛液を受けて震える肉棒を掴まれ、秘部に宛がわれる。
 あそこに挿入れられる――それだけで、喉がからからに渇き、心臓の動悸が激しくなる。
 それが期待感に震える興奮だとは、快楽を知ったばかりの少年にはまだ理解できなかった。

 ――くちゅり。

 亀頭が、陰唇に飲み込まれる。
 その瞬間、身体に電撃が走り、思わず腰を浮かして突き上げてしまった。

「あぅっ!」

 蜜壷にずっぷりと入り込み、ミルルも予想だにしていない快感に力が抜け、腰を一気に落としてしまう。

「はぁぁぅっ♪」

 その結果、さらに二人の間には強烈な快感が身体中に駆け巡る。
 一気に入り込んできた男根を、媚肉は歓迎するように締め上げてくる。
 まだ、性を知って間もない彼が、そんな連続的に送られてくる強烈な快感に耐えられるはずもなかった。

「ふわぁ、もうっ、出てっ」

 二回目の射精はあっけなく訪れた。
 びゅくびゅくと白濁を吐き出すペニスを、膣肉は喜びもっと搾り出そうと脈動する。
 彼は口から涎を垂らして、陶酔感に喘ぐしかなかった。

「あはぁ……テオ、可愛いよぉ」

 そんな様子をミルルは、淫靡な表情で見下ろしてくる。そんな彼女の姿に背筋がぞくりと震えた。
 このむせ返るような精の匂いは、そんな彼女から発されている気がして、脳内までもが麻痺していく。
 精を出し終わっても、彼女がゆるゆると腰を振って快感を送ってくる為に、勃起が収まる事はない。
 ふふっと、ミルルが笑うと、腰を大きく上下に動かし始めた。
 乳房で擦られるのとはまた違う、痺れるような快楽に苛まれる。
 その快楽を否定する理由などもう無くて、ただ、気持ちよさに陶酔する。
 彼女の腰が上下する度に、たぷんたぷんと身体に不釣合いな柔乳が暴れまわっていた。
 見ているだけで劣情を催す乳房の動きに、たまらず手を伸ばす。

「くふぅぅぅん!」

 力を込めると、ミルルが一際高い嬌声を上げ、膣内で締め上げられる。
 手が吸い付くように胸の中に埋まっていく。その感覚が、とてつもなく気持ちよかった。
 理性すらも溶かされるような快感に、溜まらず息を吐き出しながら、むにゅむにゅと揉みしだく。

「ふあぁぁっ、だめっ、おっぱいはぁっ、感じすぎちゃ……ひきゃぁんっ♪」

 性欲に従いながらも、どこか自分より余裕のあった彼女の顔が、恍惚に染まる。
 その言葉どおり、本当に気持ちよすぎるのか、ミルルの腰の動きがぎこちなくなる。
 膣内が脈動して与えてくる快感が物足りなくなって、彼女の膣中を下から突き上げる。
 もはや、彼は幼くして覚醒した獣欲に従い、ただ快感だけを貪欲に求めるケダモノになっていた。

「んはぁっ、ひぅっ、あぅん、テオっ、テオぉっ♪」

 名前を呼ばれて、思わず上体を起こし、ミルルの胸に顔を埋めて乳首に吸い付いた。
 ミルルは大きく喘ぎながら、彼の頭を抱きしめる様に両手で抱えて、胸の奥へと沈み込ませてくる。
 彼女の痴態以外、何も見えない。
 彼女の喘ぎ声以外、何も聞こえない。
 彼女がもたらす快感以外、何も感じない。
 より深く、より強く彼女を求めて、最奥に向かって小さき怒張を突き上げ、母乳を求めるが如く乳を、歯を立てながら吸い上げる。

「いっひぅぅ――」

 その時、ミルルの身体がビクンと震え、胸を突き出すように弓なりに反らす。
 息が詰まるほどに膣内の媚肉が収縮し、その中で暴れている肉幹 から精を搾り出すように激しく脈打ち始めた。
 そんな動きに、身体の奥底でまだ燻っているだけに止まっていたはずの快楽の塊を、成す術も無く迸らせる。

「ふぁっ、ぁぁぁぁぁん♪♪」

 ほぼ強制的な搾精にも近いが、その射精量は挿入時に暴発したときよりも遥かに多い。
 前回よりも勢いの増した白濁の発射に、膣内が喜び打ち震えながらも、貪欲に精を求めて動きを激しくする。

 快感に快感が積み重なり、まだ生成されたばかりの精すらも白濁となってミルルの中へと吐き出していく。
 止め処なく続くと思われたそれは、彼の精が打ち止めになるまで続いた。


 事が終わり、二人は服を整えた後、再び大きな樹に寄り添っていた。
 先ほどの性交で発された匂いが未だに残っているせいか、この場に漂う空気はどこか甘ったるい。二人が肩を密着させて、指を絡ませるようにして手を握り合っているのも原因の一つだろう。
 その気に充てられているのか、ミルルの顔はまだわずかに上気していて、時折密着している肩を擦り合わせたり、握っている手をにぎにぎと力を込めてくる。テオがお返しと言わんばかりにやり返すと、嬉しそうに喘ぐような声をあげる。
 やがて、ミルルがテオに体重をかけてくるようになる。テオも、ミルルに体重をかける。そうして、二人は更にお互いを感じ合う。

「ふふっ、テオ〜……♪」

 そんな、ミルルの幸せそうな呟きを聞きながら目を閉じる。
 目を閉じる寸前の景色は、生い茂る葉の隙間から差し込んでくる光で、茜色に染まりかけていた。


 そうして、この後ゴブリンたちと合流し、『たんけん』パーティとも合流して計六人で村に戻るまで、二人はここを動く事は無かった。
13/01/10 03:28更新 / edisni

■作者メッセージ
はじめまして。お初になります。
稚拙な文章ですが、最後まで読んでいただきありがとうございます。
表現力と、ネタの引き出しの少なさに四苦八苦しながら、暇があれば書こうかと思います。
また、機会があればよろしくお願いします。

ホブゴブリンのおっぱいもみもみ

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