連載小説
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第一章 Beginning of the end
体の芯まで凍る寒さ、肌を切るような風、白銀の世界、鉛色の雲。もうすぐ冬が来る。
ここ、反魔物派大陸アルファ地方は、まもなく冬が来る。
アルファ地方は山々に囲まれていて、反魔物国が三つある。
聖パライソン教国・オルゴン王国・サーヴァント共和国。
ちなみに俺が住んでいる国は、最初の国、聖パライソン教国だ。

この時期なら、新年の準備や祝日の準備で忙しいはず。
だが、今はそんな事をしている場合ではない事は100人中100人がそう答えると思う。

俺の名前は、ハロルド・A・ウィルオン
職業は、聖騎士団・・・のはずがいつの間にか、聖騎士団の師団長になっていた。
多分俺の記憶が正しければ昨日だったような気が・・・。
最近物忘れが酷い、これも年かな。

何でも教団が、人員不足のため、幹部候補生の中から選んで俺になった。
全く困るぜ・・・。そもそも俺はこれ以上、昇進するつもりは無いし、幹部候補生つっても教団が勝手に俺を候補生に入れたことだし、何よりも仕事が忙しいのと、悲願の「アレ」を達成することが出来なくなる・・・。

「おい、さっきから何をぶつぶつ言ってんだ?」
はっ!と我に返る。
しまった、また独り言を・・・。
「・・・何でもない」
「ならいいが「サキュバス殺し」の異名が泣くぜ?w」
・・・ちっ、舌打ちをした。
こいつの名は、ジェフリー・ワーン、俺と同じ聖騎士団。
25年間、幼馴染兼親友兼悪友、ただし男だがな。
いい奴なんだけど、冗談がキツイ上に面白くも無い。たまに面白い冗談を言うけどな。
「・・・それ言うの止めろ、ジェフリー」
「はいはい、師団長殿w」
「・・・はい、は一回で充分だ」
ったく、むかつくぜ・・・。
そう思いながら、俺とジェフリーは歩きながら教団本部へと向かった。
昨夜めずらしく雪が降ったため積もっている。歩きづらい、なるべく慎重に、尚且つ迅速に移動しなくてば・・。

本来ならとっくに俺は、ジェフリーより先に本部に居るのだが、寝坊した。
寝坊したところをジェフリーが起こして来てくれたのだ。
恥ずかしい///
こんな非常事態の時に寝坊とは・・・。それも今日は作戦会議で、もしかすると戦闘開始かもしれない、緊張感が足りていないのか?俺は?
聖騎士になる前は、幾つもの修羅場を乗り越えてきて異名を得てしまったが、その時の緊張感や恐怖は忘れもしない。なのに寝坊・・・。昨日徹夜してまで新たな魔法を覚えなければよかった・・・。

現在世界の9割が魔界へと変貌した。
当然、魔王軍の侵攻によるものだ。
ここ、アルファ地方も魔界へ変貌するのも時間の問題だ。
幸い、今の所変化はない。だけど本当に時間の問題だ。
この大陸は、反魔物派&国が多かったのだが魔王軍の侵攻により現在の反魔物国家は、ここアルファ地方のみとなった。他の国は魔界になったか、新魔物国になったか、いずれにせよ許しがたいことだ。それに俺は魔物を許せない、特にサキュバスは絶対に・・・!
それはともかく教団は一体、今後どうするつもりだろう・・・。
教団が、何もしない訳が無いと思うのだが・・・。

聖パライソン国
人口20万人の国、教団発祥の地
この国は宗教国家であり、教団が主に信仰対象で多くの勇者を排出した。
もちろん正治関係は教団の幹部が行っている。
元々は王制の国だったが、俺たちが生まれる前に反乱が起きた。
確か「サンノゼ戦争」だったような・・・?

「なあ、ウィル」
「・・・ん?どうした」
「この戦いが終わったらさ、俺・・・騎士辞めようと思う」
「・・・え?何故、騎士辞める?」
またつまらん冗談か、最初にそう思ったがジェフリーの顔が真剣だ。
「いや、詳しい事は後で話す。それに・・・」
「・・・それに?」
「急がないと時間がねえぇ!」
ジェフリーは俺をおいて猛ダッシュした。
「ちょ、おい!待てぇぇ!」
ダッシュしようとしたが雪のせいで足が上手く動けない。
「・・・!なっ!」鎧の重みで足元が深く沈んでいたのだった。
ジェフリーの姿はもう見えない。なぜなら。
「くそ!向こうは騎士のくせにチェーンメイルを着ている。鎧はどうした!寒くないのかアイツは!俺なんか毎回、鎧を着ながら帰って、手入れしているのに・・・!」

また独り言を言ってしまった、仕方ない魔法を使うか、俺は呪文を唱えた「アギ!」すると俺の手から火が出た。
そしてそのまま俺の周りの雪を溶かして、ようやく動けるようになった。
「・・・ふう疲れた・・・」動けるようになった足を再び動かし本部へと向かう。ちなみに俺は寒くない。なぜなら鎧が重いから、動くのに大変で汗が大量に出るから。一応この鎧、冬専用の鎧だ。正確には、儀式または正装用の鎧だ。夏にこんなの着たら茹で上がってしまう。
夏は夏でまた別のやつがあるのだが・・・。
なんで教団はこんな物を俺に渡すんだ?機能性がなさ過ぎる。
俺がいつも使っている鎧の方が100倍マシだ。
師団長に昇進と同時に、渡してきやがった。多分昨日な。

あれ?ってことはいつも着ている鎧は・・・?
一瞬フリーズしたが思い出した。ああ、そうだそうだ、本部に置いてあるんだった。やれやれ本当に物忘れが酷い。

さてアイツは今頃着いた頃だろう、全く俺を置いて行きやがって・・・。
「・・・アイツ後で覚えてろ」
だけどアイツは寝坊した俺をわざわざ起こしてくれたんだ。そこは、感謝しないとな。
とりあえず急ごう。まだ間に合うはずだ、運が良ければな。
ちょっとだけ急ぎ足になった。

だが彼は知らなかった。
既にアルファ地方の一部が魔王軍に侵攻されている事
そして彼自身の人生も終わりが近づいていようとも知らずに・・・。

11/07/09 21:34更新 / Weapon
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■作者メッセージ
なるべく連載を続けるように頑張りますw
感想等などありましたらお願いします。
タイトル名の、Until the end of the worldの意味は
「世界が終わるまでは」のはずですが、翻訳してみると少し意味が違いますw

この作品には、パロディネタ要素が含まれております。
お楽しみ頂けたらなによりです。

登場人物の設定

ハロルド・A・ウィルオン
職業:聖騎士団→聖騎士団師団長
年齢:25歳

聖パライソン教国に住む元聖騎士団。
現在は師団長に昇進。
聖騎士団になる前は勇者だった。
性格は寡黙だが無愛想ではない。戦いになると性格が変わる。
「サキュバス殺し」の異名を持つ。
元々は母と父と妹の4人家族だったが数年前
「とある事件」に巻き込まれて以来1人ぐらし。
ジェフリー・ワーンとは幼馴染で家は目の前にある。
最近物忘れが酷い。

ジェフリー・ワーン
職業:騎士
年齢:25歳

聖パライソン教国に住む騎士。
ハロルド・A・ウィルオンとは幼馴染。
性格は明るく、冗談のセンスが全く無い。
たまに、おもしろいのがあるくらい。
意地悪な所もあるが悪気がある訳ではない。
頭の良さは中の下。
だが、窮地に追い込まれると、予想以上の力を発揮し
頭の回転もウィル以上になる。
既婚者で、妻と二人暮らし。




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