読切小説
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体を張った触手の森調査
ここは触手の森。
濃度の高い魔力漬けとなった土地に生息する触手植物がひしめきあい、まるで森の様相を呈することからそう呼ばれる。

そこに訪れるのは大体疼く体を慰めてもらいに来る独り身の魔物娘か二人で目一杯愉しもうとする夫婦のどちらかだ。
触手はそんな魔物娘に対して快楽を与え、魔物娘から魔力を吸って生きる生物である。
もし、人間女性が何かを間違えてここに来ることがあれば、土地の魔力でたちまち魔物娘化、つまり触手の標的となるだろう。
そして人間男性の場合、ここに来ても大体の場合は何ともない。
精を生成する能力を持っていることから人間女性ほど露骨に魔力の影響は受けないし、触手は触手でそんな人間男性からは魔力が得られないので何もしてこないのだ。

例外として、女性化願望著しい男の場合は土地の魔力がある程度体に蓄積した時点でアルプ化し、もれなく触手の餌食になるというが、それはまた別のお話。

ここに生息する触手植物というのは魔物とは共存関係にあり、おとなしいものである。よって、魔物が嫌がれば必要以上の責めをするようなことはしないし、魔物が望めばグチャグチャに犯して魔力を存分に吸い上げることもある。

ただ、森の奥深く。いわゆる深奥部に進めば進むほど触手は凶暴化し、そこまでやってきた魔物娘は皆例外なく徹底的に犯されてしまうという噂もある。
噂、と言うのは、事実を確かめた者が少ないのだ。

魔物娘がその噂を確かめようとしても途中で触手に捕まってしまい、最終的には記憶がこんがらがった状態で森の入口で発見されることが多い。そして人間男性が確かめようにも、途中で嬌声を上げる美しい女性の姿を目にしてスルーできる精神力を持つ人は少ない。

「―――故に、今まで噂でしかなかったが、筆者はようやくその触手の森の深奥部にたどり着くことに成功した…っと!」

独り言を呟きながらレポートにこれまでの観察記録と考察を少年は書き加えていく。
少年の名前はオレグ。反魔物領の貴族だったが、しきたりに囚われた生活を嫌がって外に飛び出して行ってしまった弱冠17歳の冒険家である。

今回の、触手の森に関する記録は結構いい感じにデータがとれているので、考察のしがいがある。これまで二人して愉しむ夫婦や一人で触手に慰めてもらう魔物娘なんかを何回も見かけ、そのあられもない痴態、もといありのままの真実をとったそのデータを元にした考察だ。

確かに森の深いところにまで来れば来るほど触手の責めは激しくなっているようにも見える。特に、こんな深奥部の近くになってくると白目を向いている者も珍しくはない。

そこまで考えて、オレグは首飾りに目をやる。

「これ、結構助かるもんなんだなあ」

首飾りは十字架の形をしていた。
反魔物領の貴族や一部の兵士が持つことができるこの高級品は主神教団が総力を挙げて開発した対魔力防護ペンダントである。旧魔王時代からあったというこのペンダントだが、新魔王時代になってからは簡単に発情しないようにする効果も付与されている。さすがに魔物娘からストレートに魔力や想いをぶつけられるとどうしようもないらしいが、こうして魔界を歩く分には特に何も問題はないのだ。
現に直接肌に触手の粘液を何度も浴びているがなんともない。
水たまりのような粘液に足を踏み入れてもなんともない。
数々の痴態を目にしたってなんともない。
性に対して大いに興味を持つ年頃であるオレグがこうなのだから、このペンダントは確実に効果があるのだ。

辿り着くことが難しいと言われるこの触手の森の深奥部。
彼は実に合理的な方法であっさり辿り着いていた。

「さて、今日も魔物娘はやって来なかった、と…。いい加減眠くなってきたなぁ…」

深奥部は暗い。とにかく暗い。日が差さないのでオレグは魔法による明かりを用いて辺りを見ていた。それでもやはりと言うか、ここまで来れる魔物娘もそういないため、彼はいつもの通り明かりを消して寝袋の中に潜り込もうとしていた。

その時だった。

「?!―――ぬぐっ!?」

頭と肩、そして太ももに突如、後ろから触手が伸びてきた。そのまま触手は男の身体に絡めて後ろに引っ張っていく。

「〜〜〜〜っ!?―――」

ぬるんぬるんと周りの触手に腕やら脚やらを撫でられながら勢い良く引っ張られていく。持っていたレポートやペンはその勢いで取り落としてしまった。
勢いが収まる頃にはオレグの身体は触手の粘液まみれになっていた。

「―――っ!!」

次に、触手はオレグを弄り始める。服の下に潜り込み、胸に触手を這わせ始める。頭に絡まっていた触手は口に突っ込み始め、下半身の触手はズボンを引きずり始めた。

「…。オイ、誰だよ、触手は女しか襲わないって言った奴」

初め、オレグは冷静だった。あまりに唐突過ぎてどう驚けばいいのかわからなかったからだ。一応十字架ペンダントのお陰で身体はそう反応を起こさずに済んではいる。しかし、そのおかしな様子も意に介さず愛撫を続けようとする触手に、オレグは今度こそ驚いた。

「オイいいいい!?触手は男は襲わないんじゃなかったのぉおおおお!?」

すると。がさごそと音を立てて緑色の少女が出てきたのだった。

「あ、はろーはろー♪私テンタクルのブレインです!最近魔物娘になるのがトレンドっぽいので私もなっちゃいました☆」

「……」

ブレインと名乗った少女は底抜けに明るく、オレグはしばらくどう突っ込めばいいのかわからなかった。

「なっちゃいました☆」

「……」

ニッコリと。少女は男に微笑みかける。魔物娘がここにいるのはまあ認めよう。だが、なぜその魔物娘は触手に身を任せずに突然襲いかかってきたのか。
オレグの身に襲いかかってきた触手はおそらくそのブレインとやらのものなのだろうが、こんな、触手植物のものに酷似した触手を持つ魔物娘などいたのだろうか。
男はあれこれ考えたがなんの結論も得られなかった。

「…あのー?」

「…はい」

難しい顔をし始めたオレグに対し、ブレインは問いかける。それに対し、思考を中断したオレグがブレインの方を見ると、ブレインはこのジメジメした場所に全く似合わない晴れやかな笑顔を浮かべた。

「なっちゃいました☆」

「なっちゃいましたじゃないよ!トレンドって、自由意志でなれるもんじゃないでしょそれ!」

一応何かに魔力が宿り、意志が宿って魔物娘となる例というのは結構ある。おそらく、このテンタクル(触手)という、ひねりも何もない種族名を名乗ったブレインという少女も似たような事例なのだろう。だが。

「だいたい魔物娘だって言うんなら何でこんな所にいるんだ!ここ誰も来ないぞ!?」

そういうわけである。触手に襲われない魔物娘がこんなところに居続けるのにメリットも何もあったものではない。

「それなんですけどもー、ちょっとした深ーい事情があってですね〜」

「……」

「あ、その前に貴方の名前を教えて下さい!」

「…教えなきゃダメ?」

「はい!」

「…。オレグ。一応冒険家やってて、今回は触手の森の深奥部の噂を確かめに来たんだけど」

「はいはい、オレグさんですね。分かりました〜。では、ちょっとお話しましょう―――」

◆◆◆

ぐちゅぐちゅ。ぐちょぐちょ。

「んはっ、あ、あ、あひっ、あぐぅっ!!」

一人の魔物娘が全身を触手に絡まれて獣のような声を上げている。

ぐちゅぐちゅ。ぐちょぐちょ。

淫らな音を立てて魔物娘の秘所に入るだけの触手が出たり入ったりしている。

「あ、あ゛、あ゛っああ゛ぁああ゛あ゛ああ゛っ!!」

乳首も陰核も膣も口も首筋も脇も何もかもが触手にとってご馳走と言わんばかりに魔物娘の全身を刺激していき、

がくがくびくびく。

「〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」

ぷしゃっ!ぷしゃぷしゃっ!!がくがくがくがく。

と、ついには白い魔物娘は潮を吹き出して気絶してしまった。

そこには、全身を満遍なく犯されて赤い目が裏返り、漏れだすものを全て漏れ出させられた魔物娘と、一仕事終えたような様子でその魔物娘を解放する触手生物がいた。
魔物娘が地面にそっと横たえられると、しばらく秘所を隠すことさえ忘れて痙攣し続ける。その白い髪と白い翼も触手と己の体液で濡れていないところはない。
そんな様子の魔物を見て、触手植物のコアと言えるテンタクル・ブレインは満足そうだった。
それは当然である。今回の魔物はとてつもない量と最高の質の魔力を有していたからだ。それに、これまでブレインが味わった魔物娘の魔力と違ってなぜかは分からないが、余計なものが一切混じっていないような味だった。ここまで来る魔物はなかなかいないため、数えられるほどのものしか味わってはいないが、それでもそうと呼べる確信がブレインにはあった。

ここは触手の森の奥深く。浅いところとは違って人間も魔物もなかなかやってこない。故にこの辺りの触手は常に飢えている。しかし、飢えていてももっと食糧のあるところに移動することができるかといえば答えはNOである。
一応魔界の土地であるため、生きるために必要最低限の魔力は土壌から得られるが、だからといって飢餓感や空腹感を解決できるわけではない。そのため、飢えをなかなか解決できない深奥部の触手植物はどうしても凶暴化する傾向にある。
具体的には頭の中でいくら何を考えても、体がどうしても魔力を搾ろうと必死になるのだ。

そして今搾りきった魔物娘を入り口に帰すか帰さないか迷っている触手生物、ブレインもそんな深奥部に生息するテンタクル・ブレインの一つであった。

多分最初に秘所から漏れた血が一番美味しかったが、さすがにそれは一度限りなのかも知れない。そうだったとしても、血以外にも愛液も潮も汗も涙も唾液も、何もかもが美味しく、それに混じっていた魔力はブレインの腹を満たすのに十分なものであった。

こんな最上質の魔力を持った魔物娘なんてそうそういる訳がない。もったいない。

そう考えたブレインはこの魔物をどうやって確保しておくかを考え始めた時、度が過ぎた快楽によって失神したはずの白い魔物娘が起き上がった。

「ふ…、ふふ…。いい度胸ね…。この私を、こんな目に遭わせるだなて…!」

ブレインがびくっと固まる。何か只ならぬ気配が魔物娘から漂ってきたのだ。

「あ、こんなでも私の言葉わかるのねえ?あれほど私がやめてって言ってたのを無視していたのにねえ?まあいいわ。言葉わかるなら、私が何でこんなになっているかも分かるわよねえ?」

ブレインはその魔物娘の言葉を分かっていた。しかし、搾っている時はとにかく美味しくてがっついていたため、そんな言葉は聞いていなかった。

「私は…。私はぁっ…!!」

つい先程までぐったりしていたのが嘘のように、ズンズンと音を鳴らして迫ってくる魔物娘は、血の涙を流していた。
その血の涙は果たして美味しいのか。ちょっとしたグルメ気分になっていたブレインは魔物娘の顔に向けて触手を数本向けたが、

「私はぁっ!!」

怒鳴る魔物娘に殴り飛ばされてしまい、動きがフリーズしてしまう。

「初めてぐらいは好きになった男の人に捧げたかったのよぉおおおお!!」

ブレインがその発言にしばらく呆気に取られていると、魔物娘は触手を何でもないようにかき分けてそのまま根っこの部分を掴む。ここに来てようやくブレインは、自分が魔物娘の怒りを買ったっぽいことを悟ったのだった。

「まだだったのよ!?まだ婿探しやってたのよ私!?それを、まだ誰の、私の指ですらも入れたことのない私の中に、グッチョグチョに侵入して!気持ちよかったですよ。ええ、それはもう気持ちよかったですよええ。アナタ相っ当のテクニシャンなのね。それとも魔物である私の身体が感じすぎなのかしら。不思議よねえ!でもね!!」

純潔だったリリムは声を荒らげてまくしたてながら触手の本体をがっしと掴んで持ち上げる。まるで胸ぐらを掴むように。勢いで地中に埋まっていたブレインの根っこが土から残らず引きずり出される。
言葉にこそ出せないが、ブレインは焦った。土から引きずり出されてしまえば本当に魔力が得られなくなって死んでしまうのだ。

「私はアリスじゃないの!私は!!アリスじゃないのよ!!!私はリリム!ええ、処女膜再生の方法ぐらい覚えてますよ!!でも私は生憎と記憶力がいいの!!必死に守り続けてきた初めてを、こんな形で奪われたなんて、姉上にも、母上にも、父上にも何て言えばいいの!?ねえ!?こんなこと忘れようにも私忘れられないの!!ねえ!!?記憶を消す魔法だって抗魔力が私高すぎるから効かないの!!リリムだから!!ねえ!?!?性欲に襲われても膣だけはと思ってクリだけでぜえええんぶ済ませてたのにいイイイイ!!!」

怪鳥のようにけたたましい声が響き渡る。耳はないはずなのに、テンタクル・ブレインはそのまま頭の中にガンガン轟音が響き渡る感覚に襲われた。とっても壁に頭をぶつけたい。なんとか触手を使って振りほどこうとするも、全然効かないリリムさん。そのうちリリムさんは手に魔力を滲み出させてしまうぐらいには考えるのをやめていた。

「責任取って責任取って責任取って責任取って責任取って責任取って責任取って責任取って責任取って責任取って責任取って責任取って責任取って責任取って責任取って責任取って
責任取れ責任取れ責任取れ責任取れ責任取れ責任取れ責任取れ責任取れ責任取れ責任取れ責任取れ責任取れ責任取れ責任取れ責任取れ責任取れ責任取れ責任取れ責任取れ責任取れ
取れ取れ取れ取れ取れ取れ取れ取れ取れ取れ取れ取れ取れ取れ取れ取れ取れ取れ取れ取れ」

まるで呪詛のような言葉。
同時に、テンタクル・ブレインも考えるのをやめた。引きずり出された根っこはまた触手使って埋め直せばいいし、どうせリリムは今、ブレインの体を掴んでいる。その手から魔力もらえてるんだからまあいいかという邪な考え付きでもある。
もしブレインが人間の体を得ていたならば。確実に目から明かりが消え失せる状態だっただろう。
そんな状態から、乱暴にブレインの本体を地面に投げ捨てるリリム。

「そぉ〜だぁ!責任とってもらう方法思いつーいーたぁ!!あぁはははは!?あなたもおん、なじ存在になればいいんだぁ!!そういうことなら話はっ、エグっ、早いわよねぇ!?うんうん!根っこ土から引っこ抜いちゃったんだし、ひぐっ。私もちょっとだけ寛大な措置にしてあげる!!」

魔力が図らずも追加で注入されて腹12分目になっていたテンタクル・ブレインだったが、リリムが何をやるのかが分からなかった。そもそもリリム自身正気を失ったような叫びで語りかけており、ブレインも聞き取れるかどうか怪しい発音だったのだ。何しろ涙も鼻水もよだれも垂れ流しなのだから。
そんな鬼気迫る様子で文字通り迫ってくるリリムは、先程までの乱れに乱れていた魔物娘とはとても思えない。

もともと自分で動く能力を持っていないブレインが必死に上を見ると、

「他の触手と魔物娘のみなさぁ〜〜ん!!私に元気を頂戴!!!」

と狂った叫びを上げながらリリムが両手を上に上げ、
その上に黒い禍々しい何かとしか形容できない塊を作っていた。

◆◆◆

「…で、目覚めたらその姿になっていたと」

「ええ」

思わず頭を抱えようとして、拘束されていることを思い出すオレグ。ええ、じゃない。全然深くない。

というか。

「そのリリムって、アルテイシアって名前じゃなかった?」

「ん〜?んー…」

問われて考えこむテンタクル。そのまま考えてとある記憶に行き着く。

「あ、あー!確か、『アルテイシアの初めてがぁ〜』なんてこと言ってたような〜…」

確定。オレグは自分の中の予感が的中し、いろいろな歯車が噛み合うのを感じた。嘆きの部屋事件。この間、自分の滞在している親魔物領の管理人であるリリムのアルテイシアが、突然部屋に引きこもり、そのまま一切の外出を控えられるようになってしまった。
一応姉であるキャスベラがちょくちょく部屋に入ってるようなので生きてはいるらしいが、入るたびにとてつもない負の怨念を込めた魔法で押し返されるのだとか。部屋に近づくだけで恐ろしい泣き声が頭に直接響き渡るような有り様なのでそう日を待たずに彼女の部屋は『アルテイシアの部屋』ではなく、『嘆きの間』と呼ばれるようになったとの曰く付きである。
今後、アルテイシアの旦那になれる男性がいるとすれば、その悲しみを受け止めてあげられるぐらいの包容力を持った男性か、さもなくばその一切合財を無視して快楽で忘れさせてしまうようなツワモノぐらいだろう。

話はそれてしまったが。要するに。

「魔界の様子が順調かどうか見て回る役目を頑なに純潔を守り続けてきたリリムのアルテイシアに何故かやらせ、そのアルテイシアが触手の森の結構奥なところに来た時に、ただの触手だった頃のブレインに見つかり、ちょうどお腹が空いていたことと、アルテイシアが魔力溢れるリリムだったという不幸が重なり。その後は処女を奪われたショックで正気を失った彼女が腹いせにこの触手を魔物娘にしてしまったということかぁ…」

結構ドン引きである。まず何故処女を守ってた者にこんな役目を押し付けたのか。
そして次に魔物娘に快楽を与える触手植物であるが、自分の見てきた限りでは
膣に対して刺激を与えるのは非処女か、処女であっても希望するもののみであり、それはこの深い所に来ても変わらなかった。なのにブレインはお構いなしに貪ったという。
極めつけにあの魔物娘としては珍しく、清楚でたおやかとして有名だったアルテイシアの狂いっぷり。

考えれば考えるほどオレグにとって結構異次元の出来事が起こっていると実感できる。

「うわぁ…」

もっと話を聞けば、魔物娘になって外から魔力を吸収できなくなったので空腹で仕方ないとのことでもあるそうだ。
自業自得としか言えない。

「とにかく!魔物娘になったはいいんですけど!人が全然いないので私はすっごくお腹空いているんです!!」

そうブレインが力説すると、オレグの肩やら太ももやらに巻き付いた触手に力がこもる。ついでに乳首も締めあげられるが十字架ペンダントのお陰で性感にはならない。痛いだけである。

「…土食べればいいじゃん。魔力たっぷりだ」

「土なんていくら食べても美味しくない!!」

ダメだ、とオレグは悟った。もうこの触手は名実共に魔物娘になっている。土から魔力を吸い上げることができなくなり、さては他の魔物娘からも魔力を貰えなくなっているのかもしれない。完全に彼女の食糧は精だけだ。それも人間女性ならこんな場所に来た時点で魔力に中てられ、魔物娘化してしまうので、供給元は人間男性に限られる。

「だから!私はもうずっとお腹がすきっぱなしなんです!!」

そう言うブレインの目にはうっすらと涙のようなものが浮かんでいた。
それはそうだろう。人間男性の精だけが食料となってしまったまでならまだしも、ここは触手の森の奥深くだ。魔物娘はここに来るよりも前の段階で触手で愉しみ、普通の人間男性はそんな魔物娘に対して、花の蜜に誘われる虫が如き勢いで飛びついてしまう。そうなれば必然的にこの奥深くへはなかなか人が来なくなる。

アルテイシアがそこまで考えていたかどうかは分からないが、ここは触手の森の奥深く。歩いても歩いてもなかなか出口どころか日の差すところさえ見つからないということを考えると、ブレインにとってかなりキツイ罰と言えた。

だが。尚更オレグとしてはこのお馬鹿に捕えられるわけにはいかなくなった。
おそらくは、テンタクル・ブレインだった頃でさえもアルテイシアを、処女守っていることを知らなかったとはいえ、恐れず手を出してしまい、あまつさえ美味しい美味しいと何日も嬲ってしまう程の食いしん坊ぶり。
その触手の標的が今、こちらに向いてしまっている。
オレグにとってぐるぐる巻きにこそされていたものの、まだ愛撫の類をされていないのが不幸中の幸いか。

「すまん!まだ俺には帰れる所がある!分かってくれるか!?」

「いいえ!帰れる場所というのならオレグさん、今からここがあなたの帰るべき場所ですっ!!」

意味のない問答。だが、男にはまだやることがあるのだ。それを、こんなお馬鹿に捕らえられた挙句、ずっとこの森に監禁されるというのでは一体何のために自由を求めて冒険家になったのか分からない。まだまだ見たことのない世界を求めて、反魔物領の貴族の家を飛び出して、そうしてまで叶えたい夢はまだ叶えきっていないのだ。

「そんなわけにはいくか!!フンゴォオオオオ!!」

肩に力を込め、オレグは触手の抵抗を振りきって上着のポケットからナイフを取り出す。かわいそうだがこれで触手を切り落とし、逃げてしまおうとオレグは考えていた。

「甘いっ!!」

「しまったっ!」

ナイフを目ざとく見つけたブレインはナイフを取り上げてしまう。だが、それすらもオレグは計算済みであった。魔物娘を相手取って逃げる以上、あらゆる状況を想定しなければならない。冒険家の常識だ。

焦ったふりをしながらオレグは今度は手のひらに仕込んだ魔法陣に魔力を通す。すると、今度は手のひらから炎を吹き出す。

「甘いですっ!!」

しかし、その努力も虚しく、ブレインが吹き出した触手粘液によってかき消されてしまった。

「こんなものっ!!」

「あっ!」

そう言うと今度はブレインが取り上げたナイフで十字架のペンダントを切り落とした。服も肌も何も傷付けずにペンダントだけを切り落とすその妙技にオレグが一瞬釘付けになったのも束の間。ペンダントはブレインの触手によってあっという間にどこか遠くへ投げられてしまった。

「ふっふっふ〜。貴方がこんな奥深くまで来れた理由を私が見通せないとでも思ったのですかぁ〜?」

「くっ…!」

ニヤニヤしながら迫ってくるブレイン。そうこうしているうちに、触手でオレグの服を剥ぎ取り始めた。

まずい、とオレグは今度こそ焦った。
十字架のペンダントが失われてしまった。これがどういうことかといえば、抗魔力がなくなってしまったこと、そして相手が責めを始めてしまえばもはや為すがままになってしまうということを意味する。どうすればいい。そう考えても答えは出てこない。一言で言えばこの状況は詰み、であった。

「貴方の魔法に込められた精、ちょっとだけ味わいましたよ〜。すっごく美味しかった…!」

しまった。と、ここに来てオレグは自分の失態を悟った。
人間の使う魔法の原動力とはつまり、精である。教団など、反魔物領の人たちはあまり区別しないが、魔物が使う魔法の原動力となる魔力とは別物である。
そして、先ほどオレグは炎の『魔法』をブレインに向けて放った。結局炎はかき消されてしまったが、わずかに残ったのかもしれない原動力である精を彼女はドサクサに紛れて味わったのだろう。

密かに抱いた、このテンタクルと自分との相性が合わず、そのまま森の入口にでも帰してくれるかも知れないというオレグのささやかな希望は見事に打ち砕かれた。

「…!!」

「あはっ、感じ始めましたねー」

十字架のペンダントが失われたことで、オレグの身体に性感が灯り始めた。
触手がリズムよく、締め上げる力を強めたり弱めたりする。それだけで、オレグの体は反応し、ゾクゾクとした感覚が全身を這いまわる。
こうなってはもう遅い。先ほどの触手が動きを止めていたのは、オレグの身体に痛み以外の何の反応もなかったからだ。

「ほ〜れほ〜れ、ここがええんか?ここがええのんかぁ?」
「ひっ…!んくぅ…!」

オレグの身体に這わせていた触手がまた勢い良く動き出す。
それに呼応してオレグの身体が反応し、触手の動きから逃れようと身を捩りだす。

「うふふふ、楽しいですねえ、たぁのしいですねえ!ねえ、なんで声出してくれないんですかあ?」

「だ、出せるかぁっ!あぐっ!ひゃぃ…」

オレグはあくまでも感じていることを知られたくなく、また、女性のように声を上げてしまうことがものすごく情けないことのように思っていたため、声を我慢していた。しかし、触手の動きが思いの外激しく、声はどうしても漏れてしまう。

「触手にゅるにゅる、身体びくびく、私どきどきわくわく〜♪」

「ばか、やめっ、ひうっ!」

何故か少年の胸と乳首だけをいじりながら妙ちきりんな歌を歌うブレイン。
どこかの団体から訴えられそうな気もしたとか、ネタが古すぎるとか、そういうことが頭に浮かんだが、すぐに胸と乳首の快感でオレグはそのことも考えられなくなってしまう。

あまりにしつこく触手で責められすぎて、オレグの頭は真っ白になりつつある。その中でも何とか声だけは出すまいと抵抗するが、それもだんだんと陥落しかけている。

「ほらほら〜?声出してくださいよ〜?せっかくかわいい反応しているんですからぁ」

ブレインがますますヒートアップする。触手の動きもますます激しくなっていく。胸を這いずりまわる触手の動きも乳首をくりくりとこねる動きも更にねちっこくなる。オレグは必死に耐えるが、だんだん目の前がチカチカしてくる。それを見てブレインがまたヒートアップし、オレグは何も考えられなくなった。

「うあ゛、あ゛…!」

搾り出すような声が一瞬。
それを境にオレグの身体がガクガクと震えだした。

「あはっ、イッちゃったぁ…!」

ブレインも身を震わせる。彼女もオレグを責めることに快感を見出していた。オレグが達したことにより、もともと責め気質だったブレインも同時に快感を得ていたのだった。

「あ…!」

身体の震えとともに、オレグの肉棒から白濁がどろりと漏れる。
上半身への責めに夢中になっていたブレインがそれを目ざとく見つける。
そこで、初めてブレインは今回やっていることが女性に対する責めとは少し違うことに思い至る。

「せー、えき…」

ブレインはそれを今まで見たこともない。しかし、魔物娘になってから刷り込まれた本能により、それが何なのかが分かった。触手で掬い、ペロリ、と舐めてみる。

「……!!?」

すると、ブレインに衝撃が走った。頭から胴体を通ってつま先まで。まるで稲妻か何かが通ったかのような衝撃だった。

「…!、あっ…!やっ…!」

知らない。こんなの知らない。
まるで身体の何から何まで作り替えられてしまうような感覚。
外側ではなく内側。身体のあちこちにゾワゾワとしたものが這いまわる。決して不快感はなく、感じているのは快感だった。
ふと、ある感覚が、3つほどブレインの中に芽生え始めた。
さっきのような、嬲ることで精神的に悦楽を得るだけではなく、もしかしたら触手から直接快感を得ることができそうな、そんな感覚。
触手とは別に、自分の下腹部のところにじゅん、と疼くようなそんな感覚。
そして目の前のこの男を、食料を提供してくれるとかそういうもの以上に愛しいと思う感覚。

「あ…、ァ…」

ブレインの目は惚けていた。先ほどまでの楽しむような余裕はどこかに消え去り、顔はすっかり赤らめ、悦楽を叩きつけられたようなそんな表情だった。

「…あはっ」

ブレインの顔が、快楽に歪んだ笑顔となった。
いつもの自慰によるそれとはまるで違う絶頂の余韻に未だに浸るオレグの身体を地面に横たえる。地面に潜っていた触手を持っていることを思い出したので、ブレインはオレグの身体を地面から触手を生やして完全に拘束する。

「…!?」

ここでオレグはようやく自分が置かれた状況を思い出した。肩や太ももどころか、腰や指の末端に至るまで触手で完全に拘束されている。これでは逃れるどころか身を捩らせることすらもできない。

「ちょ、ちょっと…、ブレイン…?何だ、これ…?」

「あ、目が覚めましたか。これから貴方を本格的に搾ってあげるんです〜」

惚けたブレインが放つ言葉にオレグは戦慄した。悪い冗談、としか思えない。もしかして本当にここでブレインは陵辱でも始めるつもりなのか。そんなオレグの予感は的中した。

ブレインが四つん這いになる格好で、頭をオレグの肉棒に向けて覆いかぶさってきたのだ。ちょうど69の形になり、ブレインはオレグの棒をキラキラした目で、そしてブレインの完全に濡れた秘所をオレグの顔に向ける。

「あ、あは、あはは、いただきますぅ!」

「や、やめ―――!?!」

「声出したいなら出しちゃってくださいねぇ!」

そう言って、ブレインはその口の中にオレグの分身を含んでしまった。ブレインの口内で亀頭に舌が這い回る。そのまま亀頭をこねくり回しながら徐々に口の奥深くへと進めていく。

「ん、ちゅる、ずぶぶ、んはっ、ぢゅるるるるっ!」

「っ、―――!」

いわゆるディープスロートでオレグの分身を責めていく。苦しいはずなのに、ブレインの頭のなかでは幸せが一杯になっていく。愛しい人の味、愛しい人の匂いが頭の中の思考を侵略していく。そして更なる幸せを求めてオレグの分身をより激しく味わう。

そんな加速する責めにオレグは触手に包まれる中で声ならぬ声を上げた。頭の中がまた真っ白になっていく。また、イカされる。
オレグの目の前ではブレインの秘所が蜜を垂れ流しにしていた。白く染め上げられる意識の中、オレグは半ば本能でその蜜をすすり始めた。

「あひゃいっ!?オ、オレグさん!?」

思わずブレインが口からオレグの肉棒を放す。それぐらいの快感がブレインの身に走った。構わずにオレグは秘裂に舌を這わせ、挿入し、中から溢れる蜜をすすっていく。

「あ、あは、んあ、オレグさん!すご、い、これぇ!」

初めて味わう快感に翻弄されながらブレインが前を見ると、先ほどよりも大きなものがそそり立っていた。

「あはぁ…!!」

一も二も無く飛びつき、喉の奥にまで突き刺さることも厭わずに口に怒張を含めた。それでオレグは再び限界を突破した。

「〜〜〜〜〜!?」

「っっっ!!」

先程よりも明らかに勢いと量のある射精。それがブレインの口内に叩きつけられる。オレグが身体を捩らせて快感を逃がそうにも拘束されているためかなわない。怒張が痙攣し、ブレインが一瞬驚いて口を離しそうになるが、瞬時に何が起こったのかを把握し、口の中から決して離さず白濁を吸い上げ始めた。

「んく、んぐぐぐ、ずずず、ずず、ぷはぁっ!」

いくら吸っても出なくなった頃にようやくブレインは口を離す。

「あ…、う…」

オレグは再び放心していた。度重なる刺激から、もはや触手で拘束するまでもなく、動くだけの体力はすでに尽きている。そしてブレインは口の中の精液の味と匂いに夢中になっている。

「あ、おいし、あは、すご、んくっ、こく。こく」

喉を通るたびに身体が痺れたようになる。
この感覚がすっかり気に入ったのか、ブレインは口の中の精液がなくなるまで舌を転がし、ひと通り味わったら喉に通すというのを繰り返した。

口の中から精液がなくなってもブレインの興奮はまだ冷めない。
そしてブレインの蜜の影響からか、2度出して間もないのにオレグの肉棒はまだ限界まで張ったままだ。
お互い頭に霞がかかったようになり、ブレインは中腰になってオレグの亀頭と自らの秘所を合わせる。未だに拘束されていたオレグが思わずその様子を見るが、自分でも何が起こっているのかよく分からなくなっている。

ついに、二人の生殖器が合わさり。ブレインは腰を一気に下ろした。

「―――〜〜〜〜〜っっ!!」

「あっ―――、かはっ……!」

イッた後の敏感なソレが、温かいものに包まれ、きゅうきゅうと締め付けられる感覚。オレグが感じることができたのはそれだけだった。
そして、初めて男性のものを受け入れたにも関わらず、ブレインは気持ちいいという事と、オレグと一つになれた幸せを一身に感じていた。

騎乗位の格好のまま、ブレインが腰を動かし始める。
膣壁でゴリゴリと敏感な箇所を削られるような感覚がオレグに送り込まれ、
肉棒でゴリゴリと膣を削られるような感覚がブレインに送り込まれる。
ずちゅずちゅと淫らな音を立て、結合部から蜜が溢れていく。
ブレインもオレグもこの淫靡な空間にすっかり中てられており、気持ちよくなることだけ考えるのに精一杯だった。

「あ、あっ、あっ、あ、あは、あははっ、素敵です、オレグ、さんっ、あっ」

しかし、そのまま許容外の快感に翻弄されるオレグと異なり、自分のペースで責めていたブレインは少しだけ余裕を取り戻す。気持ちよくなることだけしかしたくないという点だけは変わらないが。

「あはは、ほら、ほら、気持ちいですよね!そうですよね!?」

「ひぐ、ああ、あっ、あくっ、あ゛っ!」

自分の感じる快感がもっと増えるように、そして相手に出来るだけ激しい刺激を与えるように膣を締めたり緩めたり、それでいて腰の動かし方は速めたりと完全に主導権はブレインのもの。
オレグはブレインに一方的に責められ、声を出すまいとしていたことも忘れて快感に翻弄されていた。

「私で、気持ちよくなってください!ずっと感じていてください!私の中で、私の触手で一杯イッてください!!」

そう言ってブレインは腰を振りながら手と脚と地面からありったけの触手を伸ばし始めた。
大小様々な触手がオレグの身体にまとわりつき始める。
地面からびっしりと生えた細かい触手が横たわる背中を刺激していく。
ブレインの手から伸びてきた触手がオレグの首筋や胸を這いまわっていく。
ただ触手でなぞるだけに終わらず、その触手はブラシのように細かいつぶつぶのようなものが伸びている。
結果、ゾリゾリと表面を優しく磨くその刺激がオレグに襲いかかる。

ブレインの脚の触手がオレグの脚や内股に絡みつき始め、撫で回し始める。
股下辺りで小さい触手が地面から飛び出し、鼠径部や蟻の門渡りなどを刺激していく。

「ほら、私の蜜ですよぉ!目一杯味わってくださいねえ!」

「むぐっ!?」

そしてブレインの右手の触手の中で、最も蜜に濡れていた一束がオレグの口の中に進入する。オレグの口の中で触手は細く分解し、舌や歯茎に頬を目一杯蹂躙する。その過程で溢れ出す蜜が唾液と混ざって喉を通る。すると、オレグの身体が更に熱を持ち、お互いにもたらす快感が増していく。

「はいっ、下の、お口もおっ!」

「〜〜〜〜っ!!」

ブレインの右手同様に、左手の触手の中で表面が濡れている一本が、今度はオレグの肛門に伸びた。抵抗を無視するように菊門をこじ開け、中に侵入すると触手を拒むように締め付けていく。

「あっ、締め付け、すご、ひゅいっ!!」

しかし、それは逆に触手から蜜を搾り出すことになる。オレグの直腸がその蜜を吸収し、熱が増す。そのことに快感を覚え、肛門への責めを更に激しくしていくブレイン。
そのうち、オレグの中の一つの部分を刺激すると締め付けも怒張の張りもよりきつくなることに気づいたブレインはそこを重点的に責め始めた。

「あ、すご、す、すて、きっ、!あ、あ、あ、あ、あ!」

「んぐっ、!!うぐぉ、んご、ぐぐ、んぅ!!」

また新手の快感がオレグに襲いかかる。既に何重にも責め上げられていた中でのこの快感は、オレグを絶頂させるのに余りあるものだった。
勢いの衰えぬ射精が起こる。そうして飛び出た精液がブレインの子宮を満たしていく。その感覚に幸せを感じ、ブレインは釣られてイッた。

「あ、また、イッた!またイッた!あははっ!気持ちいいんですね!私も!気持ち、いいっ!」




責めはまだまだ続いていく。
ブレインも、オレグも、もうずっとイキっぱなしだった。
ブレインが触手を使ってオレグの全身を撫で上げることで快感を得て、オレグはそんなブレインのありったけの触手に責められて逃げられない快感に晒される。

ブレインが身を震わせながら達すれば、オレグの肉棒が膣に締め付けられてオレグも達し、オレグが達すれば直腸が触手を締めあげ、未だ勢いの衰えない精液がブレインの子宮を叩きつけてブレインも幸せの絶頂へと導かれる。

ブレインは未だに止まろうとせず、オレグはそんなブレインから強制的に快楽を叩きこまれる。外が夜になり、そして日が登り始める頃までこの責めは続いたのだった。

「あっ、あっ、すきぃ、好きぃ!!オレグさん、好きですぅ!!あ、またイク…!あはっ…!」

「――――――」

◆◆◆

「―――、ん…」

オレグが目を覚ます。しかし、起き上がることが出来ない。何だか身体の節々が痛い。ものすごく気怠い。全身がものすごくヌルヌルしている。
一体何があったのだろうと辺りを見渡すと、まず自分が触手の上で横たわっていたことに気付く。

「ペン、と服にレポート用紙は…、あった…ん?」

近くにペンと書きかけのレポート用紙が転がり、それらが無事であることを確認し、服が何故地面に転がっているのだろうと考えていると、上に何か乗っかっていることに気付いた。

「…げ」

オレグは自分の上で緑色の少女が幸せそうな顔で眠っているのを見て、気を失う前に何があったのかを思い出した。

「〜〜〜〜!」

すぐにゾワゾワとした感覚が身体を昇った。
あれだけ一方的に責められ、恥ずかしいところを見られていた。そして最後の記憶が曖昧になっている事がこの少女の責めの激しさを物語る。

「ん、あ…。おはよー、ございますぅべっ!?」

恥ずかしさやら情けなさやら何やら、色々と綯い交ぜになったオレグがわけも分からずに軽くブレインの頭を叩く。

「いたぁい…」

「やり過ぎだ…。死ぬかと思ったぞ全く」

「死にはしませんってばー…」

一応、どれだけの快楽を叩きこまれたとしても。魔物娘との交わりにおいてはどちらかが力尽きて死ぬということはない。だが、オレグから見てあれは廃人になる一歩手前の刺激だったことは言うまでもない。

「でも、あれは私も気持ちよかったですよ。触手もあそこも全部すごかったです。こう、この手(触手)とかがオレグさんの身体撫でるたびに私ゾクゾクゾクッてしちゃいましたし、オレグさんが声上げてずーっとイカされているところ見るのも最高でし――」

「わーわーわー!やめろやめろそれは!」

慌ててオレグが止めさせる。あんまり生々しい話は聞きたくないのだ。
でも、とまた何か口走ろうとするブレインの口を塞いでオレグはまくしたてた。

「とにかく!俺はまだやることがあるんだからここで幽閉されるなんてことはゴメンだ!」

強引に話題を変える。このままあの痴態を思い出させられるようなことはオレグは勘弁して欲しかった。

「いいですよー」

「えっ」

そうして咄嗟に出した幽閉監禁はやめてしばらく自由に活動させて欲しいというオレグの要望に対してブレインはあっさり了承した。
てっきりこのまま断られてまた触手で犯され続ける日々でも送るのかと思っていたオレグとしてはかなり意外な反応だった。

「あ〜!もしかして、私の事強姦魔か何かと思ってるんじゃないでしょうか!」

ちょっとむくれた様子で問い詰めるブレイン。

YES or はい or Exactly(その通りでございます)。

だが、まさかそんなことを自分と同じぐらいに見える少女に言うわけにもいかずオロオロとしているとブレインがまたあの時と同じように触手を広げた。

「そんなこと言ってると!また犯しちゃうぞ☆」

「ごめんなさい、割とマジで勘弁して下さい」

震えながら謝るオレグ。しかし、心の何処かでまたあれをしてくれるのかなと期待しているような気がして、そんなことはないとすぐに振り払う。
オレグはごまかすために、ブレインには見えないようレポートに『なお、触手が魔物娘になっているケースが確認されたため、人間男性のみが森に入っても絶対安全とは言えない模様』と書き留めた。

「全く!あれは私がものすごくお腹が空いていたからああなっただけです!でも、またシテ欲しくなったらいつでも言ってくださいね〜。私、いつでもどこでも歓迎ですから〜」

そう言って触手を引っ込めるブレイン。その様子を見てオレグは内心ホッとしていた。

「でも、貴方は触手の森の深奥部に何を調べに来てたんですか?」

話を変えてふと疑問に思ったことをブレインは言う。

「ああ、噂でね。奥深くの触手は入口付近のものと比べて凶暴化しているっていうらしいから、こうして調査しに来たんだよね」

「ああ、なるほど、そういうことですか。それならお答えしましょう。ズバリ空腹によるものです」

「うん。どうせそんなこったろうと思ってたよ」

「…貴方ひどい人ですね。そんなスパッと言っちゃうなんて」

「だって…ねえ」

触手がまたズバリと広がり、オレグがまた謝る。正直に言えば彼女が口走った強姦魔なイメージがまだ拭えていないが、それを正直に言うと恐ろしい目に合うだろう。

「話を戻そう。次の質問だ」

深奥部へと目指してみた魔物娘曰く、奥深くでの記憶が曖昧で気づいたらグチャグチャの状態で寝ていて、森の入口で軽く触手に絡まれていたとか何とか。果たして森の中でこうなっていたのかそれとも浅いところでこうされたのか、記憶がこんがらがっていてよく分からないらしい。

「そういうことなら、やっぱりこの辺りでちゃんと犯された後だと思いますよ。騒ぎになっても困りますので、一旦愉しんでもらい、ご馳走になって頂いた魔物娘さんは他のテンタクル・ブレインさんにおすそ分け…げふん、色々と協力してもらって頑張って入り口に送り返しているんです」

「成る程…」

実は深奥部の触手のみに犯されているわけではないらしい。意識が曖昧なうちに徐々に浅いところの触手におすそ分けされていく。そのうち意識を失って目が覚めたら森の入口にまで戻っている。だから記憶がこんがらがる。

「よし、それじゃあ実際にそれ観察したらこの森の調査も終わりかな」

調査終了の目処がある程度立ったのでオレグは持ち込んだタオルで体を拭き、早速レポート用紙とペンを持ち、荷造りを始める。するとブレインが触手を伸ばし、オレグの服の裾を引いていた。

「ん、どうした?」

「やっぱり、その、調査終わったらここからいなくなっちゃうんですか?」

その表情はどこか寂しく見えた。そんな表情を見てしまっては、オレグもこのまま放っておくわけにもいかず、やっぱりやり逃げも良くないと思ってペンを懐にしまい、触手を握った。

「だったら、今度からは一緒に活動してみるか?冒険家として」

「!! 本当ですか!?」

オレグの勧誘はブレインにとって何よりも嬉しいものだった。最初はここがオレグの帰る家だなんてメチャクチャを言ったものだが、やはり自分が好きになった人の邪魔はしたくない。でもそうなるとここで別れることになってしまう。そんなジレンマを抱えていたブレインは嬉しくなり、オレグに飛びついた。

「とわっとと」

オレグはそんなブレインを抱きしめる。その格好が、何気に交わっていた時には一度もしていないものだとお互い気づくのは少し経ってからだった。

「さて、行こう」

「はいっ!」

「お、ちょうどいいところに魔物娘がやってきた。サキュバスっと」

「ですね。よく辿り着いたものですねー。あ、早速犯され始めてる」

多少おかしな過程を経て結ばれた二人は、冒険家としてまた別の場所に赴き、様々な記録を残して世に売り出すことになる。

それはともかく。

「あれ…?何だか、身体が熱くなってきましたー…」

「…奇遇だ。実は俺も…って!?」

がさごそがさごそ。

「おいぃぃいい!?俺の十字架ぁあああああ!!?」

「ああっ!!ごめんなさあああああい!!!!」

「やべぇよ、やべぇよ、なかなか売りに出されないから実家からくすねてきたやつなのに!!」

「あっ…!ごめんなさい…!私、もう我慢できません…!」

「え、ちょ、あああああああああああああああああああああっ―――!?!」

とりあえずこの後二人はサキュバスの痴態をもろに目にし、オレグの持っていた十字架型の防護ペンダントが何処かへ行ってしまっていたことから二人共いとも簡単に発情してしまい、今度は周りの触手を巻き込んでの大陵辱劇を繰り広げたせいで調査が遅々として進まなくなったのだがそれはまた別のお話。
14/02/25 23:31更新 / 一波栄

■作者メッセージ
この後滅茶苦茶セックスした。

エロパート初挑戦のSSです。
触手による全身責めって一回書いてみたいかなーなんて思ったので書きました。
でもなんで男性受けで書こうと思ったんだろう…。ここがそういう場だからでしょうか。
まあ、すでにシチュエーション自体は他の人もたくさん書いているようなので、
アレかもしれませんけども。やっぱりエロパートって難しい。

設定と違ってテンタクルさんが男の人をいきなり襲いかかっているんですけれども、そこはアレです。深奥部で凶暴化した触手がテンタクルになったからということで大目に見てやってください。

果たして17歳ぐらいって少年に入るんでしょうか。

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