連載小説
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家ではだらしない義姉さん
「姉さん、お願いだからその格好何とかしてくれよ」
「んん〜。どうしたんだ、突然」

 ソファに寝転んでテレビを見ながら、ぐでーんと伸びきった姉さん。下着から飛び出た黒い尻尾はだらりと垂れ、長い髪は造作もなくボサボサになっている。獣人特有の大きなモフモフの手で、器用にリモコンを操る姿はまるで人間のよう。これがヘルハウンド……魔界の猟犬と恐れられる、凶暴な種族の一人なのだからおかしなものだ。

「いや、その……大学生にもなって、いつもこんなだらしない格好ばっかりしてるのはどうかなって」
「ふん、だらしないとか。せっかくアパート借りて二人きりなんだし、別にいいだろ」
「よくないって! もう社会人なんだし、こういうところもしっかりしたほうが――したほうが、いいと思う」

 姉さんは上半身を起こし、そのままソファの上であぐらを掻いた。こちらに訝しげな視線を向けてきた瞬間、思わず恥ずかしくなり目を背けてしまう。そのエッチすぎる格好に昼間から前のめりになりそうなのを、目を合わせればすぐ悟られそうで……。
 よれよれの白いTシャツ一枚に、ノーブラという恥ずかしい服装。ずっしりしたおっぱいの形が、どたぷんっ、とシャツの裏から重量感を訴えてくる。大きすぎる胸に引き伸ばされてすっかり緩んだ襟首は、堂々と魅惑の谷間を強調するし、下はといえばぴっちりした水色の縞パンだけ。引き締まった木炭色の体躯とは対照的な、ちょっとした女の子らしさがにじみ出てつい意識してしまう。
 俺より数年は年上で、いち早く大学に行きはじめたしっかり者だというのに、姉さんはいまだにこんな格好で家をうろついているのだ。

「そんなに気にしてるなら、手伝ってくれてもいいんだぞ」

 姉さんはソファからぐっと身を乗り出し、ほぼ四つん這いの姿勢になると、無造作に床に投げ捨てられていたリュックを漁りだす。ガサゴソとかばんを掻きまわすたびに、重力に引っ張られるまま扇情的に弾むおっぱい。男の性か、気にしないと決意しようとチラチラと視線が吸い込まれてしまう。しばらくして姉さんは目当ての品を見つけると、勝ち誇った顔で戦利品をぽいっと投げつけてきた。その正体を確認する暇も無く、俺は小さくて軽い何かをパッと空中から掴み取る。

「じゃじゃーん。ほら、座れ」
「姉さん、これって」

 意味がわからず、唖然としたまま姉さんに聞き返す。手の中にあるのは、使い込まれたピンク色の折り畳みクシ。姉さんは隣のソファをボフボフ叩き、再び俺に座るよう催促した。

「だらしない格好が嫌なんだろ? 面倒くさいから髪を解いてくれよ。なあ、座れってば」
「えっ、あの、服装のほうが問題と言うか」
「……へ?」

 待て俺。だらしないのがどうのって言っただけで、別に目の行き場がなくて困ってるとか言った覚えはないだろ! とっ、とにかく、こんな真っ昼間から姉さんを意識してるなんてバレたら、いじられるくらいじゃ済まない。というか、それこそ夜まで絞られるような気がする。さっきまで文句を言ってた分ここで退くこともできず、言われるままに彼女の横に座り込んだ。

 ……うぅ、近い。すぐ隣にあるむちむちの肉体から意識を逸らそうと、姉さんの髪に櫛をつきいれる。が、突如激しい抵抗感に手を止められた。ボサボサした髪が櫛の歯をがっちりと咥え込んでいる。なるほど、これは面倒くさい。

「なんでこんなになるまでほったらかしにしたんだ……」
「うぅ、髪が長いと手入れが大変なんだって」
「……はいはい、わかったわかった。じゃあ髪を綺麗にしてあげるから、服装もなんとかしような」
「お、おお、着替えも手伝ってくれるのか? おまえも積極的になったじゃないか、ふふふ」
「そ、そういう冗談はよせって。からかうつもりなら髪を解いてあげないからな?」
「ははっ。なんで遠慮するんだ、アタシの裸なんて毎晩見てるのに。それとも、見たくないのか? 手伝ったお礼におっぱい揉ませてあげるかもよー?」

 胸をよせあげて強調し、チョロいとでも言いたそうにフッと口元に笑いを浮かべる姉さん。一瞬、心が揺れそうになったのがよけいにムカついた。



 ……な、何か言い返したい。言い返さなきゃそのまま負けを認めているようなものだ。でもどうせからかわれるだけだろうし、俺は心の中で負けを認めて言われたとおりに髪を梳くことにした。比較的櫛が通りやすい髪の先端から、少しづつ上のほうまで解きほぐしていく。姉さんには何をしてもじっとあぐらを掻いたまままるで痛がらない。しかし引っかかるたびに自分の精神安定上よくないので、ゆっくりと丁寧に梳いていく。髪の量が多くて最初こそ進んでる気がしなかったが、時間が経つにつれふんわりとした触り心地が戻ってきた。

「んぅ…… お前に梳いてもらうとキモチいいな……」

 真っ黒な髪の根元まで櫛を這わせ、できるかぎり皮膚に沿って髪筋をなぞっていく。さっきまでのボサボサした感触は綺麗さっぱり消えていて、今では首筋まですんなりと櫛を通してくれる。指に触れる髪はまだ少し硬いものの、それなりにサラサラしていた。これが気持ちよくて、ついつい姉さんの髪を梳くことに夢中になってしまう。

「ん……♥ こっちも……♥」

 髪をなぞり続けてると、姉さんはうっとりと目を細め、惚けた表情で頭をこちらに傾けた。ウルフ属特有の尖った耳が無防備に差し出される。耳のほうをもっと、という仕草らしい。指先で耳の根元をカリカリと掻いてやると、深いため息が喉から漏れる。淫らなものとはまた違う、至福の表情。

 ああ、かわいい。こんなかわいい姉さんを久しぶりに見たような気がする。いつも強気に責めてくる姉さんが、何をとっても到底敵わない姉さんが、俺の手でとろとろになってくれてる。そのまま、多幸感に包まれながら時間のみが過ぎていく。気が付くと、姉さんは脱力して俺の肩によりかかっていた。

「ふふふ〜、好き」
「……」

 一瞬の間。姉さんがなんて言ったのかよくわからず、呆然と髪を梳いていたままだった。そして一歩遅れ、脳の処理能力が追いつく。かーっと血が頭に昇ってくる感覚が恐ろしいほど鮮明に感じられた。鏡を見ずとも、顔がトマトのように赤くなってるのだろう。

 ちょ、ちょっ、ちょっとまって、これ、なんて反応したらいいの? 気付くと、幼少期から姉さんにはいじられるものだと満遍なく刷り込まれた脳が警報を鳴らしていた。
 俺も姉さんが好きだ。うん、大好きだ。でも真面目に反応したらいじるつもりなんだろそうなんだろ、数週間はいつ何時でもお姉ちゃん大好きっ子にされるんだろうって心の声が言ってるし、ってうわあ姉さんなんでそんな期待した眼差しで俺を見てるの? 適当に「俺も好きだよ」と言ってあしらったほうがいいのか――いやそんなこと無理だし多分それでもいじられるし、ここは姉さんも軽い気持ちで言ってるんだろうから笑って受け流せば、いや本気で言ってるならひどいだろうし――

 ……そして散々迷ったあげく、俺は『集中してて聞こえなかったふりをする』にデフォルトした。わあ、髪を梳くって楽しい。
 ちくしょう最低だ、何を期待してたのかわからないけどごめんな姉さん。でも、いつもいじってくる姉さんが悪いんだからな、と心の中で弁解しつつ、俺はチラリと姉さんの表情を伺う。あっなんかニヤニヤしてる。

「ふふっ、やっぱりかわいいなあおまえは」

 姉さんが愛しそうに呟いた。か、からかわれてるだけだ。髪を梳くことに集中してれば問題ない。何か言い返せばそれだけ食いつかれて被害が大きくなる。反応を見せなければそのうち忘れてくれるだろう。

「顔、真っ赤。意識してくれてたんだ、かわいい」

 指摘されて、既に真っ赤な顔がさらに赤くなっていくのを感じてしまう。ちくしょうやめてくれ。これ、もうあまり耐えられない。集中が乱されて、手の動きが雑になっていくのが実感できる。無論、されている側の姉さんには丸わかりなのだろう。でもやはり、ここまで来ると飲み込んで我慢するしか――。

「ほっぺたむにー」
「――姉さん、恥ずかしいからやめてくれえっ!」

 突然頬をつままれて、俺は初めて声を出した。ふわふわした被毛の感触にドキッとしたのは内緒。長い尻尾を元気よくバッサバッサと振りながら、姉さんがいじわるく声をかけてくる。弟をいじる時が一番生き生きしてるなんて相当性格が悪いぞこいつ。

「いや、どーぅもさっきから別のこと考えてたようだから、聞こえてるか知りたくて…… なあ? ふふふ」
「聞こえてるも何も、人に何か頼んでおいてずっとからかうのは人としてダメだろ!」
「へっ? か、からかってなんか…………むぅ……」
「邪魔するくらいなら自分で髪を――」

 俺が怒ると、姉さんは不意に言葉を濁し、静かになった。耳をぺたんと伏せ、元気にふっていた尻尾がだらりと下がる。あ、あれっ? キツイこと言った覚えはないのに、珍しくしゅんとしている。なんだか後味が悪くなり、言葉が続かなくなってしまった。

「アタシはただ、その、何か言ってほしかっただけで…… あ、あの、からかってたみたいだったらごめんな?」
「からかってないって、どの口が」
「そ、そりゃまぁからかうことはあるけどさ。お姉ちゃんは弟をいじるために存在してるようなもんだろ? それくらい大目に見てくれよ、なっ」

 うやむやにしようと、気さくに笑いながらポンポンと肩を叩く姉さん。こいつは謝ることこそあれ、反省することはないのだと俺は知ってる。ふん、好きなだけ言ってろ、と心の中で毒づく。今度こそ許さないからな。俺は櫛を置き、ソファから腰を上げた。

「な、なあ。本当に、怒ってるのか?」

 ……こ、今度こそ許さないからな。

「だ、だからごめんな? アタシはな、昔みたいに、おまえに好きだーって一言言ってほしいだけだったのにぃ……」

 俺が悪かったですごめんなさい。

「その、最近、なんだか無愛想で寂しいんだよ…… 昔のお前は素直で、いつもアタシに甘えてくれて――」
「ス、ストップ! 俺も、さっき無視してたのは謝る。じゃ、じゃ、じゃあ、一回だけ、す、すっ、『好き』って言ってあげるからそれで――」
「…………♥」

 露骨に尻尾がパタパタと振り出す。キラキラとした眼差しを向ける姉さんから、顔を背けずにはいられなかった。これだけ言わせておいて本当はからかうつもりだったら、もう二度と姉さんのこと信じないからな。

「だ、だから、言えばいいんだろ」

 今更、好きと言うのを戸惑うのもおかしな話なのかもしれない。ヘルハウンドである姉さんとは、子供の頃からずっとエッチな遊びにつきあわされてきた。無論、今も。でも、あの頃は恥ずかしいことだって俺は知らなかった。姉さんも俺も成長して、身体がすっかり大人になり、それでも昔と同じようにじゃれついてくる姉さんにどう接するべきかわからず、ずっと躊躇してきたことだった。二人でこんなことをして、本当にいいのかって。それに、……姉さんがどこまで本気なのか、わからないから。

「俺も、姉さんのことが、…………す、好き」

 どこか、サッパリしたような気分だった。それでも恥ずかしくて、自分からフォローをかけるように、俺はもう一度櫛を当てがう。

「ほ、ほら。言っただろ。残りも綺麗にしてあげるから、あっち向いて――」
「ん〜っ、アタシも好きだ〜! 好き、大好き」
「まっ、まだ解き終わってないから動かないでっ!?」

 ぱぁっとした笑顔でスリ、スリ、と身体を密着させてすりよる姉さん。木炭色のほっぺをむにむにとこすりつけ、俺の胸に大きな黒い身体を預けてくる。もはや懐いた黒い犬みたいだ。だが、犬なら犬でこいつは超大型犬。一見すると俺と同じ程度の身長なのだが、ヘルハウンドの姉さんは鍛えずとも全身筋肉のようなものなのだ。もうすりよるよりはのしかかるといった感じで、その図体にずっしりと圧迫されて後ろに大きく揺らいでしまう。
 重い。そしてすごく暑苦しい。座って髪を梳かれていただけなのに、すぐさっきまでストーブで暖まっていたかのように、木炭色の肌が、そして手足の毛並みが火照っていた。訂正しよう、こいつを大型犬どころじゃない。もはや抱きついてくる熊をなんとか阻止する感覚だ! かろうじて倒れないだけで精一杯だが、後ろに倒れて乗っかられでもしたら、経験上解放してもらえるのがいつになるかわからない。すりよる姉さんを全力で支えつつ、なんとか声をかけて正気に戻そうとする。

「ね、姉さん! じっと、じっとしてないと髪梳けないってば」
「がんばればできるだろ…… ふふふーっ、どうしてそんなにテンパってるんだお前は」

 重いのもあるけど、他の問題もある。姉さんの大きな胸が、薄いTシャツの生地を隔てて俺の肌に押し当てられてるのだ。ブラさえつけて無い、姉さんの張りのある乳房がスリスリと擦りつけられ、変形する感触のが、直に意識へ侵入してくる。とにかく恥ずかしくて心を無にしようとするが、密着した姉さんを振りほどこうとする中それさえもままならないのだ。

「できないって、あと姉さん重い! すごく重いからどいて!」
「お、重いとかひど……!? ふんっ、じゃあいいや」
「え? 結構あっさり――」
「後でまたお願いするからな? あ、尻尾もお願いなー」
「えっ、ちょっと待って、そこはどいてくれよ!?」
「ふふふっ、素直になれない子はこうしてやる。ほ〜ら、ぎゅーっ」

 相変わらず激しく尻尾を振りながら、今度は俺をぐいっと強く抱きよせた。ああんモフモフ――じゃなくてっ、続いて窒息の危機が襲い掛かる! Tシャツから零れんばかりの胸元が、タップリとした重量感で顔を圧迫してる。そしてたてがみのような毛並みに視界を遮られ、フワフワと鼻先をくすぐられていた。もごもごと放して欲しいと哀願するが、胸に阻まれて声が出ない。
 お、重いって言ったのが悪かったのか? というか気にしてたの? 姉さん、謝るからちょっと力を緩め――

「こら、じたばたするな♥」

 ほとんど息ができない。逃がれようとじたばたもがく中、むんとした姉さんの匂いが鼻腔に広がった。どういうわけなのか、胸の谷間の汗が、着古されたTシャツの匂いが、甘酸っぱくてとってもエッチな匂いだった。息ができないまま、暑苦しさと姉さんのフェロモンに翻弄され、ぼんやりとした多幸感が力を奪っていく。
 ……あれ、意外と、気持ちいい? さっきまでの猛烈な恥ずかしさもいつの間にか薄らいで、どういうわけか抵抗する気さえ起きない。

「ん、素直になった。おちんちんもすっかりおっきくなってる。やっぱりおっぱいには逆らえないんだな、エッチな奴め〜」

 ニカッと微笑む姉さんは、いつの間にか温かい手が俺の頬にかけていて、くいっと上を向かせる。姉さんの火照った顔がすぐ近くにあった。荒い吐息が、直接肌に感じる距離だ。興奮で文字通り燃えあがるオレンジ色の瞳で、俺の目を覗き込んでいる。このままキスを受け入れれば、きっといつもみたく流されてベッド入りだろう。いけないことだとわかっているのに、これから絞りつくされるのだと思うと早鐘のように胸が高鳴っていた。

「準備、いいか? ……じゃあ早速……♥」

 ちゅっ、と優しく唇を奪われる。そのまま流れるように舌が侵入し、口の中を這い回って味わっていく。再び引き締まった腕に抱きよせられ、二人の身体がいやらしく擦れあう。次第に熱が入っていく接吻を、ぼーっとしながら受け入れた。口の粘膜を丹念に刺激され、次第に下半身に神経が集中してくる。

「ひた、だひて……? んむ、れろっ、ちゅぅぅぅううっ」

 唾液を吸われ、卑猥な水音が周囲に響く。姉さんはさりげなく俺の股間に手を伸ばし、ズボンの上から勃起した陰茎を撫で上げる。肉球のぷにぷにとした柔らかさで、さっきからずっと興奮状態だったペニスを包まれ、しごきあげられて、ジーンズの上からでも腰が浮いてしまうほどの快感が俺を襲った。

「んふぅっ…… こんなに、ん、ちゅっ、んむっ…… かたく、してる。そろそろ、我慢できないか?」

 股間をまさぐり続けながらも、姉さんの口付けはまだまだ終わらない。さすがに苦しくなってきた。早く楽になりたいという、そんな焦燥感を煽られて心が揺らぐ。その気持ちをを見据えたかのように、姉さんはニヤニヤしながらジーンズの止め具を外し、下着ごと膝まで引っ張りおろす。そして、彼女は緩いシャツを脱ぎ捨てると、色黒く健康的なおっぱいがぷるんと飛び出した。欲望のままに、思わず食い入るように見つめてしまう。
 なごりおしそうに軽く唇をついばむと、姉さんはソファから降りて床に跪いた。興奮で荒い吐息が急所をもどかしく刺激する。そして姉さんは、真っ黒な頬にほんのりと赤みが差した顔で、愛おしそうに俺の反りたった肉棒にむしゃぶりついた。

「ん、れろ、れろぉっ…… ぢゅるるるぅ」

 口に含んだまま、舌使いで亀頭を刺激する姉さん。ずっとおあずけされていた直の刺激が震えるほど気持ちいい。でも、今にも射精しそうなのに、亀頭ばかりを刺激されてなかなか到達できない。もどかしい快感で腰が砕けそうな俺をよそに、姉さんはとめどなく溢れだす我慢汁を夢中でちゅるちゅると吸い上げていく。

「れろ、ちゅるぅ、ちゅぱ、ちゅぅ…… お前のえっちなお汁が、飲んでも飲んでもまだまだ出てくる……♥」

 鈴口を舌先で刺激され。更なる快感を求め腰が浮きそうになるが、姉さんの毛むくじゃらの太い指に根元をぎゅっと締め付けられ、どう動こうと姉さんの思うがままに悶えさせられるばかり。あらがえない。ペニスを口に含まれるだけで姉さんに前面降伏し、まるでまな板の上の鯉だった。上目遣いで反応を確かめられ、射精以外何も考えられなくなるまで高まった快感をキープされて、じりじりと忍耐力を削られる。

「じゃあ、いじめるのはこれくらいにして…… 今度はおまえの濃いミルクを飲ませてもらおうか♥」

 姉さんはとろんとした表情で、今度は喉奥まで咥え込む。根元周りを指でしごきあげ、竿に吸いついて射精を促す。ねっとり激しく刺激されて、既に限界まで高まっていた快感が一気に爆発する。我慢なんて言葉は既に頭の中から綺麗さっぱり消えていた。目が眩むほどの快楽に負け、どろどろした精液を喉奥に注ぎこむ。姉さんは目をつぶり、それをさもおいしそうにごく、ごくと喉を鳴らしながら飲み干した。

「んぅ…… 濃くて、強い味…… これ、最高だ。 ……それに、まだ大きいぞ?」

 目つきがとろんとしていて、姉さんは強気に見えてすっかり発情していた。余韻に浸る暇も与えず、姉さんは覆いかぶさるように俺を柔らかいソファに押し倒す。残りの服もひん剥くと、人並み外れた力で俺の手を固定した。彼女の熱い女陰がピトッと押し当てられて息を呑む。これからどうなるか、想像がついてしまって再び股間が疼きだす。姉さんは興奮すると手に負えないのは、俺が一番わかってるだろう。

「はぁっ、はぁーっ、……それじゃあ、下のお口でもいただくか。たっぷりキモチよくしてやるから覚悟しろ♥」

 姉さんは繋がった部分を俺に見せつけるようにゆったりと腰を下げ、亀頭の下辺りまでをぬるりと咥え込む。ひくひくとミミズのように蠢く姉さんの粘膜が、先っぽにじっくり焦らすような気持ちよさを送り込んでくる。いじわるな笑みを浮かべたまま、しばし征服を堪能した姉さんは、前触れもなく腰を落とし、俺のペニスを根元まで飲み込んだ。
 ゾクゾクとした快感が身体を駆け巡る。姉さんに包まれてもみくちゃにされ、まるで急所が溶かされるかのような、そんな凄まじい快感。ヘルハウンドの膣内はまるで溶鉱炉。全方向からせめぎあう、激しい熱を帯びたぬめぬめの肉壁に擦りあげられ、ペニスが、身体が、思考が、一寸残らずどろどろになっていくよう。浮かせた腰を幾度もグラインドさせる姉さんに、深く深く繋がったまま締め付けられて、抗うことなんて到底敵わない快楽に全てを上書きされてしまう。

「ねえ、さんっ……!」

 腰を上下にうねらせるたび、ハッ、ハッ、と浅い息が漏れる姉さん。多分、俺も似たような状態なのだろう。姉さんは大きく柔らかい前足を俺の両手にねちっこく絡ませ、行為に合わせてぎゅっぎゅっと締め付ける。肉球がむにむにと潰れる感触が心地よくて、姉さんの手を何度も強く握り返す。上も下もわからなくなるほどに、全てをあやふやにさせる快楽の中で、姉さんの手だけが唯一確実な感覚だった。自分の手よりずっと大きくて、あったかくて、力強い手に包まれているという安心感。激しく打ちあう腰の音と、締め付ける手のリズムに狂わされながら、姉さんへの愛おしさを手に込めて握り返し、そして姉さんの思いのままに昇り詰めていった。

「ねえさん……! 俺、もうっ……!」
「はあっ、はあっ…… ふふっ、いいぞっ、イけっ、我慢せずに全部出せえっ!」

 間近な絶頂を予期し、淫猥な肉のうねりがより一層吸い付いてくる。変幻自在に締め付ける膣肉に根元まで執拗にしごかれ、わけがわからないまま気持ちよさの頂点へ達する。そして、絶頂。あまりにも強烈な快感に腰が浮き、求めてくる姉さんの中に、灼熱の楽園に、熱い快感が放出される。びゅく、びゅくとキモチいいリズムで姉さんの子宮に白濁を注いでいく。

「あっ、あ……っ」
「んっ、来たあ…… いいぞ、素敵だ……♥」

 何秒、続いたのだろうか。最後の痙攣が終わるまで、姉さんはピンと張った背筋を震わせ、注がれる精液を身体の奥深くに受け入れていた。そして全てが終わって、しばしの間、手を繋いで放心したまま二人で見つめあう。姉さんが力を緩めると、悩ましくもつれあった二人の手が脱力し自然に解けるのを、俺はぼんやりとした思考の中で感じていた。

「……ふふふ、まだ顔がとろんとしてる。そんなにキモチよかったか?」
「姉さんの、中…… すごく、よくて」

 姉さんが俺の頬をそっと撫でながら尋ねた。黒い皮膚から滲む汗がてらてらと光り、上気した彼女をやけに色っぽく見せる。むんと色気を放つ、メスの匂いが鼻をついた。おなかにたくさんの精液を注がれ、姉さんは発情しきっているのだ。しかし同時に、今ではもはや息すら上がっておらず、体力は有り余っているように見える。いつも動いてるのは姉さんのはずなのに、消耗した様子を見せないのが本当に不思議だ。長い尻尾をゆっくり左右に振りながら、子供の面倒を見るかのような、そんな余裕の表情でひたすらなでてくれた。

「喜んでくれて嬉しいぞ♥ じゃあ、今度もその調子で出せるよな」
「え? いや、待って、ちょっと休ませて――」
「ふふっ、ごめん。お姉ちゃんエッチだから待てない」

 言うが否や、繋がった腰を前後左右にぐにぐにと動かして、俺のモノをむりやり勃たせようとする。さっきの射精で敏感になったペニスを、姉さんは締まった下腹部に力を込め、不定期にきゅっと吸いつく膣肉でペニスを圧迫し搾りあげる。いじわるな腰使いが、刺激に慣れてきた頃に違った快感を与えてくるのに耐えられず、あっという間に俺のペニスは姉さんの中で膨れあがり、反り返って、再びピストンを受け入れる準備が整っていた。

「あっ、あっ、ねえさんっ、はげしっ、すぎっ……」
「ふん。たった二回で音を上げるなんて、そんな情けない子に育てた覚えはないぞ。泣き言言ってもまだまだイけることはわかってんだ、ほらシャキッとしろシャキッと」
「そんなこと、言われ……っ!」
「んっ、ちゃんとおっきくなってる。アタシも遠慮なくいくぞ」

 勃起したことを確認し頷くと、姉さんは腰を打ちつけ始めた。さっきほどの激しさはないが、その代わり姉さんは意地悪く微笑みながら、緩急をつけて巧みに腰を使っている。反応を楽しんでいるのだ。幼少期からずっと繰り返されたこの行為で、どう動けば俺が感じるのか、どう締め付ければ恥ずかしい声が出るのか、姉さんは既に体感で覚えていた。

「キモチよかったら、声、我慢しないでいいんだぞ? ほら、もっともっと感じて、アタシにかわいい声を聞かせろよっ」

 俺の乳首を摘み、優しくくりくりと転がす。ブラシのような指にさわさわと刺激され、淫らな脳内物質がどっと湧きだした。姉さんとのエッチの度にいじめ抜かれてきた乳首は、まるで絶頂のためのスイッチ。身体中電気に犯されるような、わけのわからない快感が全身を暴れまわり、一気に射精感が込み上げてくる。気づくより早く、姉さんの中で快感が爆発し、再び精液が搾りとられていった。

「ふぅ、……はっ、はぁっ。ふふふ、やっぱり乳首いじられるのが好きなんだな」
「姉さん、も、もう、無理、ちょっと、ちょっとだけ休ませ―― ひゃあぁっ?」

 俺の言葉を最後まで聞かず、姉さんは後ろにぐぐっと身体を倒すや否や、俺の玉袋をその大きな前足で包み込み、もにゅもにゅと揉みしだいた。全方位から柔らかな毛に包まれ、満遍なくくすぐられて、すぐにペニスがむくむくと立ちあがる。扱き使われた玉袋に鈍い痛みが走った。だけど痛みを上回って、睾丸からゾクゾクと快感が背筋をかけあがり、手足の神経を震わせる。快感が待ち遠しくて、腰が浮きあがる。勃起さえ苦しいのに、姉さんにいじられればいじられるほど、自分のものじゃないみたいに身体が反応してしまう。いや、もはや自分の身体は姉さんのものなのかもしれない。

「ふんふん、まだまだ溜まってるじゃないか。アタシとしてはもう三、四発は出して欲しいところだな?」
「あと、あと四回ってそんな、もう……」

 その先は言えなかった。無理だろうがなんだろうが、姉さんの手にかかれば何度だって射精できるのだから。まだまだ絞られると聞いて、不本意にも期待が膨れ上がる。射精して敏感になったペニスを何度も無理やり勃たさせられて、わけのわからない快感と苦痛に心が揺れている。これ、ダメだ。少しでも休みを取らないと、感覚が歪んでしまいそうでこわかった。

「ん…… そうか、つらいのか。わかった。お前をめちゃくちゃに犯しちゃうのも楽しいけど。今日は素直になってくれてて嬉しいし、アタシからがんばれるように、っと」

 繋がりあったまま身体を倒すと、軽く唇を重ねて再びレロレロと舌が絡み合う。さっきから腰の動きが緩くなり、焦らすようにくちゅり、くちゅりと音を立て上下に動いていた。その甘い感覚が、激しくされるよりも思考をとろけさせる。短いキスを終えて、ぷはっと息を吐き出すと姉さんは言った。

「エッチするまえからずっと、アタシのおっぱいをチラチラっと見てたんだろ? たくさん出したご褒美に、満足いくまで揉ませてあげよっかなーって思ってさ」
「え゛? ……み、見てなんか……!」
「バレバレな嘘をつくなって。ちょっとシャツをずらすだけで真っ赤になるの、すごくかわいかったんだからなー。 ……で、どうだ? 揉みたいのか? それとも別のことしたい?」

 ちょっと待て。最近だらしないと思ったら、実はずっと誘惑されてたのか……? 姉さんに手玉にとられてたと知って、どこか複雑な気分。でも、止まらない腰の動きに心が甘く溶かされて、考える余裕なんてなかった。だから、姉さんの乳をむにむにと押し付けられると、考えるより先に手を出してしまう。

「ふふふ、おまえも男の子だもんな。いつまでもお姉ちゃんのおっぱいが大好きな子で嬉しいぞ♥」

 手の平全体に収まるか収まらないかほどの、姉さんの大きな乳房を鷲掴みにする。ほどよい筋肉にささえられた、決して脂肪だけじゃないおっぱいの手触りが信じられないくらい心地いい。たっぷりとした重量感を味わうように、下から強く揉みしだいてやると、姉さんの喉から恍惚のため息が漏れる。気付けば俺はその健康的な弾力の虜にされていた。

「ん、激しい、っ。もう夢中だなっ、現金な奴め。ふふっ、この分はしっかりがんばってもらうからなっ」

 そういいながらも、姉さんは物足りないといった感じにぐいぐいとおっぱいを押し付け、より激しい愛撫を求めてくる。乳首に指を這わせ、膣壁をきつく締め付けて四度目の射精を促す。限界まで射精させられてるのに、不思議と苦しさを感じなくなっていた。ああ、俺ってこんなに単純なんだなと自覚させられる瞬間だった。

 ……その後もずっと、時には優しく、時には意地悪に。日が沈み、何もわからなくなるまで姉さんに絞られ続けた。

***

 外が真っ暗になって、姉さんはようやく俺を解放してくれた。二人の体液でぐちょぬれのソファが、生臭い交尾の匂いが、壮絶な行為を物語っている。俺を抱きよせ、よくがんばったと頭をわしゃわしゃ撫でまくる姉さん。子供扱いされることが悔しいのに、素直に受け入れるくらいの余裕しかなかった。それに比べると姉さんは元気いっぱいで、尻尾を左右に振りながら耳をピンと立ち上げ、むしろ前より生き生きしてるような感じさえする。こんな時だけでも姉さんに男らしいところを見せたいのに、正直ついていける気がしてこない。

 今、何時なんだろう。不意に腹が減ったことに気付いた。

「あ。そういえば、食事当番俺だったっけ」
「こら、休んでろって。アタシをおなかいっぱいにしてくれたんだし、食事当番くらい代わってやる。ハンバーグ、なんてどうだ?」

 ぐう、と腹が期待の音を出す。姉さんの料理はちょっぴり味付けが濃いけど本当に美味しいのだ。

「ふふっ、わかりやすい答えだな。よしよし、がんばって作るから待ってろよ♥」

 姉さんに心を見透かされ、彼女の愛に溶かされて。淫らに翻弄されつつ、優しく甘やかされる。小さい頃からいつもそんな感じで過ごしてきた。
 本当に姉さんを好きになっていいのかどうか、そんなこと俺にはわからない。それでも姉さんがいてくれるだけで、俺は心の底から幸せだった。
15/04/04 06:08更新 / 灰色
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■作者メッセージ
「姉さん、あのさ」
「ん、どうした? ハンバーグの味付け、おかしかったか? 焦げてる? おいしくない?」
「えっ? いや、すごくおいしかったよ! ただ、聞きたいことがあって。あの添えられてたキノコもかなり美味かったんだけど、あれは何だったんだ?」
「ああ、あれか。あれはな…… うーん、どう説明するか」

ぶつぶつと呟きながら、考えをまとめる姉さん。

「んんー、まあいいや。多分、もうすぐわかると思うぞ?」
「え、え、どういうこと? ちょっと待って、まさか」
「ふふん、おかわりはまだまだあるぞ? さぁさぁ、明日は日曜日だしいっぱい食べて二回戦に備えようなっ♥ ……ほらっ、あーん(ハート)」

結局、あーんに負けてこのあと滅茶苦茶おかわりした。
……え、そのあと? そこらへんはご想像にお任せします。



義姉さんの素敵な押し絵は我慢さん(http://www.pixiv.net/member.php?id=423320)に描いていただきました。投げ出さずに書き終えられたのも、我慢さんがずっと助けてくれてたおかげです。ありがとうございます!

……そういや俺、貧乳派のはずだったんだけどなぁ……。

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まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33