読切小説
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一発ネタ「もしも某宇宙最強のエンジニアがレスカティエにやってきちゃったら」

 時ははるか未来の西暦2511年! 
 土星の衛星タイタン巨大宇宙ステーション・スプロール。
 ここでは未曽有の惨劇が巻き起こっていた!
 人が化け物(重要:魔物娘ではない)に成り果て、人々を襲い食らう!
 家族だろうと親友だろうと、老人であろうと赤子であろうと関係なし!
 この異変はマグロ型の不思議物体「marker」によって引き起こされていた!
 しかし、この生き地獄を今、見事打破した男がいた!

 男の名はアイザック・クラーク!
 伝説の英雄でもなければ勇者でもない、CEC社に勤める一介のエンジニアであるっ!
 手術台のカッターと懐中電灯から即席の主力武器(工具)を作り出したり、コンピュータの基盤を引っぺがして中の回路を直接いじくりロックされたドアを開けるダイレクトハッキングをやってのけたりする、ただのエンジニアであるっっ!
 彼は過去に同様の事件に巻き込まれたが長くなるので省略する!


(圭)「やばい、突然ステーション内にネクロモーフ(元人間の化け物)が大量発生したり政府に追われて消されそうになったり、恋人の幻覚が襲ってきてやっとデレたと思ったら敵の親玉でそれを破壊しようと色々暴れすぎたらステーションが爆発しそうだ! 鬱だから死のうと思ったけど逃がした仲間のエリーがわざわざ助けに来てくれた! すぐに脱出だ!」

エリーさん「アイザック、訳わかんないこと言ってる暇があるんだったら早くガンシップに飛び乗って! ああもうデブリが邪魔!」

(圭)「ブースター全開でふかしてるけどデブリが邪魔! よしあと少しだ!」

エリーさん「アイザック、手を取って! ほら!」

(圭)「正直この場面で操縦席から離れるとか正気を疑ったのは俺だけじゃないはず! あとでオートパイロットだから大丈夫と無理矢理納得したけどな! よし、あともう少しで手が……」

スプロール「あひぃ、限界だから爆発するンゴ」

(圭;)「ぬああ、吹き飛ばされるっ!」

エリーさん「アイザーック!!」

(圭)「(ああ、あっという間にガンシップが遠くへ、いや俺が離れていってるのか。どっちにしろ助からないな……エリーすまん君だけでも生き残ってくれ、それから……今君の元へ向かうよ、ニコール)」

 そのとき、不思議なことがおこった!
 アイザックの身体を強烈な光が包み込む!
 光は一瞬にして消え、そこには無数に漂うデブリしか存在しない!

エリーさん「どういうことなの……」




 時は神暦18XX年!
 我々の今いる現実世界とも、アイザックのいた未来の世界とも違うここは魔物(重要:全部女の子です)と人間がともに存在する世界!
 簡単に言うなら中世を舞台としたファンタジーのような場所である!
 地上では創造神を崇める人間と魔物が日夜しのぎを削る苛烈極まりない闘争が繰り広げられている!
 空で、海で、地上で、砂漠で、森で、洞窟で、街中で、ベッドの上で、ありとあらゆる場所で人類は魔物と戦う!
 中には魔物とともに共存する国家が存在したりするが、人間にとっては種の存亡的な意味で窮地に立たされているのが現状だ!
 あまり気にしてないとか言ってならない、この世界最大宗教である主神教団からの刺客がやってくるぞ!
 魔物は男と交わらなければ子を為せない!
 だからこそ魔物は人を襲うのである、勿論そこには種を超えた愛が存在するからこそであるっ!
 決してSEX目的で襲っているわけではないのである断じて!!
 そして、ここ魔界国家レスカティエも魔物共存派の一角を担っている!
 元は主神教団の重要拠点兼最大の勇者育成機関であったレスカティエ教国、今では魔王の恐るべき子供たちの四女『デルエラ様』によって国民のほとんどが魔物化している!
 人類すべてを魔物化せんとする過激思想の持主である居城、そこでは……。


メイド(ローパー)「今日もいい天気♪」箒シャカシャカ
メイド(スライム)「雑巾がけしなくちゃ(使命感)」窓ふきふき
 
 年末に向けての大掃除が行われていたっ!
 それは国民総出の一大イベントであり、無論……。

「はいそれじゃあ、各自清掃場所の班分けするよ」
ウィルマリナ「はーいっ! 私は貴方と一緒がいいです!!」
ミミル「だめー! おにいちゃんはわたしと一緒にそうじするの!」
サーシャ「最近教会の梁に埃がたまってるんですよね……背が高い人にやってもらわないと、それこそ隅々まで……♡」
プリメーラ「掃除だっつってんのに汚してどうすんのよ。ま、まあアンタがどうしてもっていうんなら一緒に手伝うけど……♡」
フラン「ナニを手伝うんですかね……そんな貴女たちに一家に一匹お掃除触手ロンパちゃん。これさえあれば穴という穴すべてを綺麗に、フフフッ」
メルセ「ル●バみてぇにいうなよ王女様。それよりお前はアタシと一緒に兵舎の掃除だ、兵士どもが所構わずヤリまくったままにしてるせいであちこちベトベトなんだよな」
今宵「せやかて旦那様、ウチの魔力を送る回路施設が最近あちこちガタついてるんよ。ウチひとりじゃそろそろ面倒見切れんぐらい大きゅうなってしもうたし、見てくれへんかなぁ……勿論ウチもメンテの範囲やで(チラッ」

 この国の中枢を担う者たちも例外ではないのである!

デルエラ「フフ、これは掃除が長引きそうね……それじゃ、私は」
「はい待った。忘れ物ですよ」
デルエラ「えっ、なにそれは……」
「何って、箒と塵取りに雑巾とバケツですよ」
デルエラ「残念ね、自分の周りの掃除は常にやってるのよ。それにこのあと色々とヤることが」
「ありとあらゆる用事よりも優先して掃除しろって触れ回ったのデルエラ様でしたよね。あとこの玉座の間と自分の部屋は私が担当だとも言ってましたよね」
デルエラ「うっ……でも私掃除とかあんまり」
「さっき自分の部屋は常に掃除してるっていいましたよね?」
デルエラ「ううっ……」
「やってくださいね」
デルエラ「あぁんひどぅい(泣)」

 例外はないのであるっっ!!


 場所は変わりここは城の最上階に位置する倉庫。
 いわゆる物置という場所で、ここでは使用人やトップの娘たちと夫がときどきプレイに興じて賑やかなここも、不気味なほど静まり返っている。
 ここで、一人のメイドが木箱の角に股を押し付け前後している最中であった!

メイド(ダークスライム)「んっく、せっかく一人になれたこの機会、活かさない手はない、んっ、わね……」

 普段は同僚たちとの絡み合いやトップの一人フランツィスカの触手プレイに興じている彼女。
 そのせいか自慰行為の回数もめっきり減っていた。
 この薄暗く防音設備もバッチリ―――関係ないがここは人間時代に捕虜を尋問する拷問部屋として機能していたのである―――の、自慰行為には最適のこの環境に、一人掃除を行っていた彼女は久方ぶりに催してしまったのである!
 年中発情期であるダークスライムの哀しき性といえよう!

メイド(ダークスライム)「あっ、うっん……そろそろ……♡」

 前後するスピードが増していくたび、木箱は彼女の身体の粘液でどんどん変色していく。
 もうすぐでオルガズムに達しようとした、そのときであるっ!

ズバッゴオォォォォオォォォォンッッ!!

天井「ひぎぃ!」
木箱「あわげっ!」グシャァンッ

メイド(ダークスライム)「ひああぁぁぁぁぁっっ!?」ビクビクッブスッ

 突如天井をぶち破り、何かが木箱の上に落下してきたのである!
 アワレにも木箱は四散し、メイドは破片が刺さってイクという猟奇的オナニーで達してしまった。
 もうもうと埃が立ち込める中、木箱があった場所に人影が見えた。
 人影はゆらりと立ち上がる。

(圭)「ムウ……ここはどこだ? 確か俺はスプロールから脱出しようとして、爆風で宇宙のデブリになりかけた筈じゃ……」
メイド(ダークスライム)「へっ!? だぇっ、誰ですか貴方!?」
(圭)「ん? ああすまない人がいたのか俺は……」

 突如現れた男(?)にメイドは思わず声が上ずる。
 男は肩についた木くずを払い落とし、メイドのほうへと顔を向ける。

 このときすでに、埃は晴れてお互いが視認できるようになっていた。
 男は言わずもがな、アイザック・クラークである。
 彼は人が異形と化した元人間・ネクロモーフを手に持った工具(重要:決して兵器ではない。ただしプラズマライフルは除く)でもって屠ってきた。
 相手が赤子だろうと子供だろうと、容赦はしない。
 やらねば死ぬ、というか猛スピードでどこまでも追ってくるのだから容赦などしている暇などないのである。
 常人ならば気が狂っているであろう経験は、アイザックに天性ともいえる条件反射を構築した。

(圭)「!」ガシャッ
メイド(ダークスライム)「ふぇっ?」

 アイザックはどこからともなく取り出したプラズマカッターを右手に握る。
 銃身を横向きに回転させ、レーザーサイトをメイドの足にあわせる。
 そして引き金を引いた。

ズバァオンッ!

 プラズマで構築した刃がメイドの足を切断する。
 メイドは重心を失い、地面に倒れ伏した。

メイド(ダークスライム)「ぴぎゃっ! な、なにを……」
(圭)「……」ズバンッズバンッ!
メイド(ダークスライム)「ぴぎいっあ、いやあっ! 私の腕がぁっ!」

 顔から地面に着地しもだえるメイドに向けて二発、アイザックはカッターを発射する。
 二発ともメイドの肩口をすっぱり切断した。
 断面は高熱で焼け焦げており、地面に投げ出された足や腕は再生しようとあちこちでもがいている。
 この程度でスライムは死にはしないのだが、突然攻撃されたのとカッターによって焼き切れた猛烈な熱さでパニックに陥っていた。

 三秒の間にアイザックは『異形のメイド』をダルマにした。
 かつて最初にネクロモーフに遭遇したUSG石村、今回惨劇の舞台となった宇宙ステーション・スプロールでの経験が、彼に無意識ともいえる行動をとらせたのである。
 即ち、異形(ネクロモーフ)を見たらすぐ手足を奪え。
 ネクロモーフの脅威は獲物にすぐさま接近する機動力と、装甲に覆われたスーツさえもたやすく切り裂く二対の爪である。
 これさえなくしてしまえば、ほぼ脅威はなくなるのだ。

 アイザックは無言でメイドに近寄る。
 メイドは必死にもがいて逃れようとするが、すぐに頭上まで迫ってくる。

メイド(ダークスライム)「あっ、いあぁっ、誰か助けてぇっっ」
アイザック「っ……」

 アイザックはマスク越しに顔をしかめる。
 ネクロモーフは大抵理性が吹き飛んでいるが、中には人の意識をもったままであるものもいた。
 彼らはもれなく全員、アイザックの目の前で死に絶えていった。
 そういうものを見るたびにアイザックは心に不快なざわめきを覚える。
 余計なことを考えてはならない、考える前に行動しなければ。
 アイザックはメイドの頭上に向けて足を上げる。

メイド(ダークスライム)「な、なにを……」
(圭)「ンヌアァァッッッ!!」

 怯えた顔のままのメイドの頭を踏みつぶす。
 人とは違ってグシャリというよりはベシャッといった水っぽい感触がブーツ越しに伝わる。
 未知の感覚にアイザックは益々顔をしかめながらも、ストンピングを続ける。

(圭)「フンッ! ヌウッ! ヌウアァッ! Fu●k!」

 グシャッベシャッ、と踏みつけるたびメイドの身体から紫色の粘液が噴き出る。
 気づけばメイド服だけが地面に横たわっていた。
 元々白地に紫の粘液で薄く染まっていた服は、踏みつけられてズタボロになりまるで血に染まったように粘液で色濃く染まっている。
 アイザックは相手を仕留めたと確信し、長く息を吐く。

(圭)「まさか出合い頭に遭遇するとはな。とはいえ見たこともないタイプだな。まさか新種か……聞き間違いでなきゃ俺に何者かとも聞いてきたな」

 アイザックは辺りに飛び散った粘液とメイド服を見る。
 なりたてのネクロモーフは生前着ていた服のまま襲ってきたことがある。
 理性が消えている以上、服など着ることはない。
 しかし、アイザックは確かにこのネクロモーフらしき異形から言葉を聞いた。
 攻撃している最中、抵抗の声も聞こえた。
 ネクロモーフに痛覚があるのか不明だが、奴らは手をもごうが頭を吹き飛ばそうが突進してくる。
 そういった攻撃性が、この子には一切なかったのである。

(圭)「妙だな……ネクロモーフとは違うのか? それにこの場所は……どうみても宇宙で使われてるような代物じゃないな」

 石を切り上げて積み上げた壁。
 床も同様の素材でできている。
 宇宙空間においてわずかな壁の隙間でも命取りなのである。
 現に、ネクロモーフに追い詰められたアイザックは、窓ガラスを割ってネクロモーフごと周囲の物や酸素を宇宙に輩出させたこともあった。
 石で壁を作るなど、古代もいいとこだ。
 つまり、ここはアイザックがいた宇宙ではない。
 かといって、アイザックの背に内蔵されている酸素ボンベは起動していない。

(圭)「まさか……どこかの惑星にやってきちまったのか」

 その可能性は否めない。
 まずはここがどこなのかを早急に知る必要がある。
 そして、救助が呼べるかどうかも。

(圭)「今の俺に助けが来るかも怪しいがな……さて、まずはここから離れるか」

 アイザックは部屋から出ようとして、しばしドアの前で呆然とする。

(圭;)「……木製かよ。しかも手動か」

 アイザックの時代、故郷の地球であってもドアはすべて自動が当たり前である。
 日本では未だに木造が残っていると聞くが……。
 ともあれ、アイザックはドアをゆっくりと押し開き、廊下の左右を見渡す。
 派手な音を立てた割にはまだ誰も来ていないようだ。
 廊下は床に赤い絨毯が敷かれどこまでも続いている。
 壁は大理石を使用しているせいか表面は綺麗に加工され、一定間隔で明かりとして燭台がゆらゆらと火を灯している。
 アイザックは、宇宙を席巻している巨大宗教・ユニトロジーの施設がこんな感じだったことを思い出し、げんなりとした気分になる。

(圭)「それとも、また奴らの施設だったりするのか……」

 ユニトロジーはアイザックから言わせれば『狂人の集団』である。
 アイザックの母はユニトロジーにどっぷりとはまり込み、家財道具を売り払ってまで教団の高い地位を買い取ったのだ。
 そのせいで著名なエンジニア養成学校に入学できず、マイナー校に進まざるを得なかった苦い経験がある。
 とはいえ、その恵まれた才能と腕前でもって前の職場の海兵隊では主要航路に近い部分を任されるぐらいの地位になった。
 しかしUSG石村での事件以来、ユニトロジーはアイザックの『ある秘密』を手に入れるため執拗に追いかけ、スプロールでは精神病院から脱出させるとアイザックを騙して捕まえようとしたのだ。
 それに、彼らはネクロモーフになりたがった。
 現にそうなろうと試みた痕跡として、施設のあちこちに磔にされたネクロモーフや集団自殺した者たちを見かけた。
 ユニトロジーの信者(ユニトロジスト)は、ある意味ネクロモーフよりも厄介であった。

(圭)「何にしても探索してみるか……気は乗らないが」

 複雑な心境の中、アイザックは廊下へと出て、右の道へと進んでいく。
 こうしてアイザックは、この世界の中でも過激かつ危険で淫靡な国に舞い降りたのである!


 一方、突如降って湧いたエンジニアによって解体されてしまったメイドさん。
 彼女はどうにか生きていた!
 危うくコアを踏みつぶされかけて漏らしちゃったのは内緒だ!

メイド(ダークスライム)「スライムじゃなければ即死でした。ていうかいきなり攻撃してくるなんて乱暴な人……」

 ボロボロになったメイド服を見下ろして嘆息し、しばしあの謎の鎧男を想像する。
 妙にエコーはかかっていたが声色は渋く、力強い凄みを感じる。
 鎧に覆われていたものの、その下はきっと鍛え上げられ筋肉質で引き締まっていることだろう。
 表情はどうだろうか……おそらく薄っすら髭の生えた、白髪交じりのダンディーなオジサマだ、そうに違いない。

メイド(ダークスライム)「はうっ……いいかも♡」

 次に彼女は、アイザック(妄想)が仕えるべきご主人様になったことを想像してみる。
 日差しの良いバルコニー、白いイスとテーブルに腰掛けるアイザックの下へ彼女は一生懸命作った紅茶を淹れる。
 しかし彼女は湯加減を間違ってしまっていることに気づかないのだ。
 アイザックは猫舌であるため(実際のところは不明)、人肌に冷まさなけばならないものをおっちょこちょいな彼女は熱々で持って行ってしまうのだ。

メイド「お待たせしましたご主人様、お茶をお淹れ致しますね」
アイザック「ああ、ちょうど喉が渇いていたんだ。いただこう……あつっ!」
メイド「きゃあっ!」

 アイザック(妄想)はあまりの熱さにティーカップをメイドに投げてしまう。
 見る見るうちに不機嫌になるアイザックに彼女の顔は紫から藍色に染まっていく。

アイザック「貴様、どういうつもりだ! こんな熱い茶をもってくるなど!」
メイド「ひいっ! 申し訳ありません、すぐに淹れ直し……」
アイザック「待て! お前の熱い茶で私の足が汚れてしまった、拭き取れ」

 見ると、アイザックの履いているブーツ(黒革)は辺りにぶちまけられた紅茶によって濡れてしまっている。
 メイドは慌ててナプキンを持って拭こうとする。
 しかしアイザックは鬼のような剣幕でそれを止める。

アイザック「待て、なんだその布は。そんなもので私の足を拭こうというのか貴様は!」
メイド「すみません! でもどうやって」
アイザック「決まっている、せっかくの紅茶がもったいないではないか。綺麗に舐めとれ」
メイド「えっ、舐め……」
アイザック「嫌なのか? ならば今日をもって貴様は解雇するが」
メイド「い、いや! それだけはっ」
アイザック「ならば、やることはひとつだろう?」
メイド「うう……」

 メイドはアイザックの足元に土下座のような形で屈みこみ、その口元をブーツのつま先へと持っていこうとする。
 しかし、そこに足はない。
 彼女は慌てて探すが、ふと頭上に影がさしているのに気づく。
 上を見上げようとして彼女は……。

アイザック「フンヌアアアアッッ!!」
メイド「ヒギュッ!」

 思い切り踏みつぶされた。
 アイザックは嘲笑いながらぐりぐりと彼女の頭を蹂躙する。

アイザック「ははは、相変わらず貴様の頭は踏みつぶしやすいな!」
メイド「うぐゆ、ふうう……♡」
アイザック「なんだ貴様、踏まれて感じているのか? まったくとんだ淫乱屑メイドを雇ってしまった、なっ!」
メイド「ぴぎいいっ♡ ひああっ♡」

 罵倒され踏みつけられ、彼女は苦痛どころか真逆にゾクゾクとした快楽を感じていた。
 あまりの快感に彼女は達してしまう。

アイザック「床がみるみる汚れていくぞ! 何をしてるんだこの汚物め!」
メイド「ああごめんなしゃいぃぃ♡ わたしは、どうしようもなく変態な雌汚物なんですぅぅ♡ 踏まれて罵られてイッちゃう淫乱なんですぅぅぅっ♡」
アイザック「ハッ! そうかそうかならば!」
メイド「はぐっう♡」
アイザック「お望み通り、何度でも踏みつけてやろうではないか! フンッヌウッセルアアアアアアッッ!!」
メイド「ひいいいあああああっっ♡♡」

 バルコニーは紅茶と彼女の体液に塗れていく。
 アイザックはズボンが汚れていくのに一切気にしていない。
 メイドはグチャグチャになっていくほど興奮していき、やがてオルガズムへと達した。


 そして、その快感は現実世界の彼女にもリンクしていたのであった!

メイド(ダークスライム)「あふぁああぁぁんっ♡ 私ったら、まさかこんな変態だったなんて……私の身体開発した責任、とってもらわないと♡」



メイド(ローパー)「その前に壊した天井と備品の修理責任はとってくれるんですかねぇ……」
メイド(スライム)「またオナニーかよ、壊れるなぁ(呆れ)」

 開けっ放しのドアから二人のメイドが呆れかえった表情で悦に浸る彼女を見ていた。

メイド(ダークスライム)「うひゃあああ!? 貴女たちどうしてここに!?」
メイド(ローパー)「こっちの掃除すんだから手伝いに来たんすよ」
メイド(スライム)「あーもうめちゃくちゃだよ」
メイド(ダークスライム)「いやっ、これはその……そう、空から全身鎧姿のオジサマが落ちてきてですねっ」
メイド(ローパー)「落ちてんのはお前の思考だろいい加減にしろ!」
メイド(スライム)「あのさぁ……(嘆息)」
メイド(ダークスライム)「いやいやいやホントなんですって! ってスライムちゃんそのご立派なモノ♂で一体ナニを」
メイド(スライム)「†悔い改めて†」
メイド(ローパー)「よかったな、一回戦で許してやるってよ」
メイド(ダークスライム)「いやいや待って私さっきイったばっかりで……」
メイド(スライム)「よし、じゃあブチこんでやるぜ」
メイド(ダークスライム)「アッー!」
メイド(ローパー)「(名前表記的に)これもうわかんねえな」

 なんだかんだで、レスカティエは今日も平和であった!



 今から10分ほど前。

デルエラ「くっ、まさか貴様ら如きがこの私を……ここまで追い詰めるとは」

 デルエラ様はかつてないほどの強敵を相手にしていた。
 過去に教団から送り込まれた勇者パーティー(入ってきて二秒で堕としました)よりも極めて厄介で。
 教団が密かに創設した造魔軍団(今は良き家族)よりもはるかに強大。
 教団の生み出したキメラ(魔物娘登録済み)よりカオスなモノ。

 己の部屋に広がる、数多のガラクタ群である!

 姉妹の中でもとりわけ片づけ下手で知られる彼女は、過去に片づけ上手の姉と実家の自分の部屋掃除を手伝ってもらおうとした際、入って二秒で気絶させた実績をもつ!
 夫との情事以外で気絶したのはこれが初めてと、倒れて1時間後に目覚めた姉は語った。
 もちろんそれはレスカティエであろうと変わりはしない。
 掃除を始めてから2時間以上が経過するが、未だに床が見えてこない有様である。

デルエラ「こうなったら、片づけ上手の姉様を召喚……いやダメだ。今度部屋が汚くなってたらウメボシ本気ぐりぐり小一時間の刑に処すと言っていた。ならば他の娘たちに……いや、この部屋を見られたらいままで築き上げたカリスマが一気に『かりすま(笑)』になってしまう……クソッ! なぜこうなるまでほっといたんだ!」

 もはや八方ふさがりであった。
 為す術のなくなったデルエラ様は腹いせに近くの丸テーブルをコツリと蹴り(タイのプロキックボクサー並)入れてしまう。

ガシャーンッ!

デルエラ「あっ」

 テーブルは壁にぶつかると爆発四散、上にのっていたものは辺りに飛び散ってしまう。

デルエラ「ああもう余計な手間を私は! ってあれ?」

 そのとき、飛び散ったものの中の一つが青白い光を放っていることに気づく。
 それは白い地球儀に魔界で使われる変形ルーン文字が横一列にびっしり彫られているものだった。
 文字の部分が青白く光り、やがて文字は左右にそれぞれ回り始める。
 それをしばらく呆然と見ていたデルエラ様だが、慌てて球体を手に取る。

デルエラ「うわわわわ! やっちゃった、どうしよう! 確か止め方は……うおっまぶしっ」

 球体の文字はどんどん加速していき、光も増幅していく。
 そして……勢いよく上空へと吹っ飛んでいった。
 天井を轟音とともに突き破りながら、それは魔界の暗闇空の彼方へと飛んで行った。

デルエラ「やべぇよ、やべぇよあれって確か……まあいっか。必ずしもやってくるって訳じゃないしね」
「何がやってくるんです?」
デルエラ「おわっひょ! って、なんだ君か」
「何なんですかこの惨状は。片付くどころか天井崩壊してるじゃないですか」
デルエラ「フフ、ちょっとばかり戯れが過ぎてしまったようね。でも大丈夫、この魔法をつかえばありとあらゆる生物が堕落の道へと誘われ」
「適当言って誤魔化そうとしないでください。ご両親に言いつけますよ」
デルエラ「君最近私に対して風当りキツくない? 実をいうと、さっき机の上を片づけようとしたらある魔法具が落ちてね。その衝撃で誤作動を起こしちゃってこうなったのよ」
「その机というのは壁に一部めり込んでるそれですか」
デルエラ「……」
「こっちを見てください。片づけに定評のあるお姉さんに連絡して来てもらいますよ」
デルエラ「やめろ! 実はその魔法具、私が幼き頃からコツコツと魔力を貯めに貯めた宝玉でな……」
「エラくとんでもないブツ暴発させてよく天井崩壊で済みましたね。咄嗟に防御結界張った今宵に感謝ですよ」
デルエラ「(あとで彼女に褒美を上げよう、稲荷寿司100年分とか)まあ、攻撃的な魔法じゃないからな。どっちかというとテレポートとかの空間移動系統のものだ。とはいえ私がコツコツ地道に暇さえあれば貯めてきた魔力だからな、そんじょそこらの魔法使いの持ってる宝玉とは訳が違う。アレは次元を超えるための道具だ」
「次元を超える……そりゃまたとんでもないものを作りましたね。というかそんな五百円玉貯金みたいな感覚で作ったんですかそれ」
デルエラ「だって暇なときは暇だったんだもん、やること他にないし。最初はただ貯めるだけだったんだけど、貯めてるだけじゃなんかつまらないと思って。次元空間操作に定評のある3つ下の妹に頼んで魔法を仕込んでもらったわけ」
「デルエラ様の姉妹って大分バラエティに富んでますね。世界を創造する娘とかもいそうですし」
デルエラ「あ、それ末っ子。そんでこの宝玉は自分が行きたいとおもった場所を強く念じればそれに近い世界に自動的にワープしてくれるのよ。帰りたいときは自分の良くいる場所とかを想像すれば好きな時に帰ってこられる。でも一つだけ問題があってね……」
「(いるんだ……)何です、その問題って?」
デルエラ「強い衝撃を加えると暴走しちゃうのよ。なんでも私が魔力の属性度外視して貯めたもんだからあまりにも不安定な状態で、そこに無理矢理魔法の定義付けをやったもんだから不安定に拍車がかかっちゃってるのよ。言うなれば波しぶきの打ちつける崖っぷちに立たされたヤジロベエね」
「ヤジロベエよりも船越英一郎がいそうですけどね。ていうかそういうものって本来倒れたり落っこちたりしないよう厳重に保管するべきですよね」
デルエラ「めんどくさくって」
「……妹さんも呼ぼうかな」
デルエラ「やめて! 昔喧嘩して石の中に閉じ込められて以来、あまり波を立たせたくないのよ……」
「ちなみにその宝玉は暴走したらどうなるんです?」
デルエラ「そうね……考えられるのはどこかの別の世界と繋がることかしら。といってもその規模がどのくらいの程度かは想像もつかないわ。下手すりゃ灼熱の世界と繋がって地上の生物が全てローストされる可能性も否めない」
「でも、今僕たちはこうして生きている。ということは……」
デルエラ「まあ吹っ飛ぶ直前に開く範囲を最小限に抑えたから、さっきの話はあり得ないわ。やってくるのはせいぜい隕石ぐらいじゃない?」
「隕石でも十分危ないですよ。はあ、今宵に防御結界の範囲広めてもらわなきゃ……」
デルエラ「ごめんなさい、迷惑かけちゃったわね。もし今回の件で何かあったら私自らが対処するわ」
「反省してくれるなら大丈夫ですよ、僕たちがついてますから。あとのことは任せてください」
デルエラ「フフ、頼もしいわね……お礼に私の身体、じっくりと味わってみる? 次元の彼方まで意識がトんじゃうかもしれないけど」
「その前にまずは散らかった部屋の掃除と天井の修復です」
デルエラ「(´・ω・`)」





次回予告!

次々とアイザックの前に立ちはだかる異形たち!
だがどういうわけかみんな女性であることに気づく!
さらに妙に絡んでくる!

(圭;)「くそ、離れろ!」
メイド(スライム)「暴れるなよ……暴れるな…」
メイド(ローパー)「いいゾ〜コレ」

そしてついに、彼女がエンジニアの前に立ちはだかる!

ウィルマリナ「彼を傷つける奴は絶対許さないっ……お前の精神を木っ端微塵にして堕としてやるっ……!」ざわ……ざわ……
(圭)「なあ、頼むから話をまともに……聞いちゃくれんか」
ウィルマリナ「問答無用っ……私の剣は一切の慈悲なくお前の心を切り裂くっ……! さあ、仮面の下のイキ顔を暗日の下に晒してやるわっ……!!」ざわぁっ……!

圧倒的理不尽の前にどうなるアイザック!

メイド(ダークスライム)「ダメッ! このお方は私のご主人様! ……に、なるかもしれない人なのです!」バッ!
ウィルマリナ「退けい小娘、儂はこの無礼者を切り捨てねばならぬ。寄らば貴様も切り捨てるぞ……」チャキッ
メイド(ダークスライム)「それでもいい、むしろ本望です! ご主人様のために死ねるなら!」
(圭)「……生きてたのか、お前」
メイド(ダークスライム)「はうっん、そんな……そ貴様には毛ほども興味はない這いつくばって踏みつけてやるなんて……はあぁぁん♡」
(圭;)「そんなこと一言もいってないんだが……」

彼女の未来はどっちだ!?

次回、もしも某宇宙最強のエンジニアがレスカティエにやってきちゃったら

第二話「愛とメイドと無明逆流れ」!

今宵は、めでたき日に御座る……

続くか知らんけどお楽しみに!
15/12/12 05:56更新 / 小林プラスチック

■作者メッセージ
元ネタが知りたい人はDEADSPACEでググってみてね。
ちなみにこの作品では2終盤を基準にしてるよ、興味を持った方は1からやってみよう!
あと私はミミルちゃんが好きです(迫真)

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