連載小説
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雪茶屋
あっちー、あっちー、こうも暑くちゃやってらんねぇな。
お天道さんはなんかおいらに恨みでもあるんかね。
山ん中ってぇもんは、もっとこうヒンヤリしてるものなはずなんだ。木の葉の傘を抜けた日差しが、まるで矢のようだ。木陰でも、むっちり温ったまった風を運んできやぁがる。
こんなんじゃあ、峠一つ越えるだけでも、生物(なまもの)なんか保(も)ちゃあしねぇ。
乾物運んでんのはいいんだけど、こうも暑っちいと、おいらの汗で乾物も生に戻っちめぇう。
ああ、竹筒にたんまりいれて来たはずの水だって、もう空っからのオケラさんで、どっかに冷てぇ岩清水でも湧いちゃいねぇかねぇ。
着物はぐっしょり、端折って丸出しの脛がドロドロだ。
この山はなんども通ったことがある山だってのに、ここまで難儀すんのははじめてだ。

と、おいらが行李(こうり)をしょいしょい山を登ってた時ーー。

「あれぇ、こんなとこに茶屋なんてあったっけかなぁ?」

ここを通ったのはついぞ二週間前だ。そん時にゃあなかった気がする。おいらはコクンと首を傾げた。

そいつはちょうど峠に立っていた。
樫や椎の木々に囲まれて、こじんまりとだっけど、小綺麗ななりで、チョンと建っていた。まるで、急に戯作本から立ち上がったような佇まいでもあった。

「でもなぁ、茶は熱ぃからなぁ……」

だっけど熱いなら冷ましゃあいい。水を入れなけれあ、こっちが乾物になっちまう。
どうすっか……。
と、おいらが考えてれば、暖簾をくぐって店の女が出て来た。

おいら、暑さでイカレたんじゃあねぇか、って思った。もしくは狐に化かされたかーー、蜃ってぇハマグリが、幻を見せるってぇんだから、素破(すわ)そいつか、っともな?
おう、どうだい、おいらも博識だろ?
えぇ? ここは峠だ海じゃあねぇ? それに安易に公式じゃない妖怪の名を出すんじゃない?
うっせぇな、そんなことわかってだよ! 後の方はどう言う意味かわかんねぇけど。

「あら、どうぞ、寄っていかれませんか?」

その女の声は、この暑さも吹っ飛ぶんじゃねぇかってくらいに涼し気で、夏なのに可笑しな話だが、サラサラと雪華が擦れるような気がした。あと、こうシナを作った感じがいとも妖しくなまめかしく、どきどき、ってぇよりは、ゾクゾクってぇ感じの女だった。

スラリと伸びた体は楚々とした気品みてぇなもんがあって、どこぞのお姫さまじゃあないかって挙止玲瓏。だって言うのになよげに所作優美。切れ長の瞳の艶やかなこと、黒々と濡れた二つの目ん玉は、八つめの七宝か。真っ白い頬はまるで雪をまぶしたかのようにしらしらと、触らずともその柔らかさがわかりそうなぁくらいだ。
その中で真っ赤な唇がくねくね動くもんだからぁたまんねぇ。
もしかっすと、どこかの太夫が落ち延びてこの店を開いたんじゃあねぇか。
なんせ着物が上等だ。ツヤツヤと真っ白に輝いてる。帯留めだってぇ、なんだありゃ、まさか銀が使ってあるわけじゃあねぇだろうな。しかも簪(かんざし)だって、見たこともねぇような細工もん。

……拙い。こりゃあきっと、どこかのお妾さんに決まってらぁ。
迂闊に乗り込んだらぁ、どっかのお大尽さんに目ぇつけられるとも限らぁねぇ。

おいらは迷った。こんな女のいる茶屋で茶ぁ引っ掛けていきてぇのも確かだ。
だけど命は惜しい。
それにこんな女だったらぁやっぱ、狐か幻か。
そう言われた方が納得できるってぇもんだ。

と、
女は、もし、と笑くぼを作って来た。

「私しかいなくって、寂しいの」
「はい悦んでー」

こんなん、男だったら騙されるっきゃあねぇじゃねぇか。
それに、万が一ってぇもんもある。

そうしておいらは鼻の下でへへと伸ばして、妖しい茶屋にお邪魔させていただいた。

で、だ。
そこでおいらはとんでもねぇもんに出会っちまったんだ。

「氷だ……。茶に氷が浮いてらぁ……。しかもこっちは氷菓子かぁ……」

おいらの前には、まさかおいらがお大尽さまになったような贅沢品が並んでた。しかも使ってる盆は漆塗りだし、氷の乗ってる皿も、どうにもこんな茶屋にあっちゃあいけねぇような、侘びや寂びってぇもんがある。って、おいらそんなんわかんねぇんだけどな? そう思わずにはいられねぇ皿だってぇことだ。
こんな夏に氷なんてぇ、富士の洞穴(どうけつ)とかにゃああるらしいが、こんな、ちょっと小高いくれぇの山ん中に、あるわけがぁねぇ。

素破(すわ)、おいらはやっぱ狐に騙されてんだ、って思った。
なんせ驚いて代金を尋ねれば、その女はコロコロ袖に手を当てて艶やかに笑った。まるで瑠璃玻璃の宝石が転がってくるんじゃあねぇかって有様で、おいらは氷を前にしたのにポーッと茹だっちまった。
代金を聞いて、普通の団子茶屋の値段と変わりがねぇってもんだからぁおっ魂消(たまげ)る。

しかもおいらがあんまりの仰天具合で、うんうん唸りはじめたら、女、溶けちまうのを心配したらしく、

「あーん」

と、
手ずから食わせようとして来た。
そりゃあもう、

「あーん」

「美味しい?」

「そりゃあもう滅法に」

「よかった。じゃあどんどん、あーん」

「あーん」

おいらもう、死んでたんだ。
極楽に行けるような善行を積んだ覚えはなかったが、ここは極楽で、女は天女さまだったに違いねぇ。ほら、女の周りにはキラキラと雪の結晶が舞ってーー。

「え?」

と一瞬思ったが、

「くぅおおお……。なんだいこりゃ、頭にキーンときた」
「あらあらごめんなさい、急ぎすぎましたね。かき氷を急いでかっ込むと、そうなるのに、私ったら兄(あに)さんの食べっぷりが可愛らしくって」
「お、おいらが可愛らしいなんて……」
「ふふふ、可愛らしいに決まってます。さっきから私のこと、ずっと顔を赤くして見てますから」

と、女突然おいらにしなだれかかって来た。

「ちょ、お、おい……」

女の柔らかさに、ゾッとするような妖しい目つき。おいら、くらくらーと来ちまった。
それに、これまでの暑さでかなりへたばってた。なんせ今日の暑さは、異じょ、う、だ……。

「ちょ、ちょっと、兄さん? 大丈夫ですか? あぁ、倒れて……」



とろとろと、冷やっこい餅……。
おいらが餡で、餅皮に包まれてる……。

「む、うむ……」

何かがおいらの体に絡みついていた。
すり、すり……。
ふにふにと柔(やわ)っこくって、ヒンヤリして気持ちが良い。

「気持ち良い……。ああ、ずっとこうしててぇなぁ……」
「それは良かったです。私も……」

大福の餡よりも甘っこい女の声。太ももにワサワサと海藻の乾物みてぇなものが触れた。
おいらはビックリしちまった。

「な、なんでぇ、おいら素っ裸でぇ。し、しかも姉さん……」

おいらは真っ裸で、これまた真っ裸の店の女に絡みつかれていた。障子紙を透かして夏の日差しが入って来ちゃあいるが、この部屋は不思議と涼しかった。小綺麗な部屋ん中、上等な布団に、女の匂いが絡みついていた。

もう、何がなんやら。

しかも腕に押し当てられた餅玉にはぽっちりと硬いもん。
女のしなやかな太ももが腹に回されて、くぃっ、くぃっと茂みを押し付けてくるもんだからぁ、魔羅がおっ立たねぇわけがぁねぇ。

「ここは極楽かぁ……」

「極楽に行くのはまだ。これからですよぉ……」

女が口を近づけて来た。蕩けそうになるくらいに甘ぇ匂いだ。魔羅だけじゃあなくって、全身が女の色香に硬くなる。だってぇのに、今にもおいらは溶けてぐにゃんぐにゃんになっちめぇそうだった。

「私はお冬、兄さんの名前は? なんと言いますか?」
「夏吉だ……」
「良い名前です。お冬は夏吉に溶かされてしまいます」
「と、蕩けそうなのはおいらの方だ」
「まぁ、嬉しい……」

女はうっとりとそう言うと、やましい肢体をよけい絡みつけて、おいらの口を吸った。舌が這入ってぇ……来た。
そうなりゃあもうこの女がなんだって良い。美人局だって狐だって、って言うか、もうそんなことは考えもできなくってぇ、おいらはお冬の舌を吸った。

ーーヒンヤリしてた。

だっけど、くねくねうねって絡みついてくるのはまさしく生きた舌で、唾も甘露なもんだから、おいらは夢中で舌を絡ませ、お冬の舌を啜ってぇ、唾を呑んだ。
お冬にもやりゃあ、この女、美味そうに呑んだ。
こんな、おいらみてぇな、しがない運び屋の唾をーー。

「おぉおおッ!」
「ふふ、太くってぇ、逞しくってぇ。兄さん、良いもの持っていますねぇ……」
「お、お冬ぅ……」

巻きついて来た女の指に、おいらはガキのように呻くしかなかった。辻女を買ったことはあったが、こんな、触られるだけで吹っ飛びそうになることは、今までにありゃあしねぇ。
まるで雪のように冷てぇお冬の指はとんでもねぇ気持ち良さで、おいらの熱さが赤面しちまうくれぇだった。

「お、おぉお……」
「夏吉さんの、私の手の中でピクンピクンしてますよ。血管もドクドクして、興奮してるのですね。ちゅ、ふちゅ……」
「くぉおおお……」

この女おいらの乳首をねろねろ舐めはじめた。冷やっこくってもねろりとした女の舌に転がされて、おいらはずっと唸りっぱなしだ。
だっけどおいらを苛めるお冬はお冬で感が昂ぶってるらしく、茂みには湿りっ気が出て来た。乾物が生物(なまもの)に戻ってきやぁがる。

もうおいらはたまらなくって、お冬の乳房に指を触れた。

「あんッ」

悦に入った女の声が、おいらの指を急かした。
着物の上からじゃあわからなかったが、この女、ちょうど男の手の平から溢れるくらいの乳をしてやがった。形もよくって、柔らかく指が沈み込むってぇのに、緩めれば追いかけるようにむんにょり膨らんできやぁがる。

つぷつぷ手の平を押すぽっちを捕まえてやった。

「あぁ、ご無体なぁ……」
「無体ってなんだぁ、こんな、おいらの魔羅を捕まえて、うぅ……」

自分でも情けねぇって思う声を出しながら、おいらはお冬の乳首をくりくりと擦ってやった。吐息が熱く湿って、おいらの胸がふやけちまう。潤んだ切れ長の瞳が妖しい行灯のように見上げて来て、もうこいつはあやかしの類でしかありえねぇ。

だっけど、魔羅をこうも気持ち良くしごかれちゃあ、逃げ出すこともできやしねぇ。ああ、乳も気持ち良いなぁ……。

「トロンとしてますね。可愛らしい兄さん。ちゅ。あぁ、おっぱい、気持ち良いです」
「くぅう……」

キュッと魔羅を握られつつ、乳首を吸われてみろ。もう逃げようなんてぇ気持ちは湧きもせず、もう好きにしてくれぇ、と思っちまう。

それにな、おいらはどっかで、こいつをあやかしの類だって思いつつも、おいらに悪いことはしねえなんても思ってた。だってよ、なんかするんだったら、おいらが眠っている間に何でもできた。肝ぉを引っこ抜くなりなんなり、弄ぶにしても縛りつけたりなんだりするはずだろ?
おいらだって運び屋として、それなりの体はしてんだ。
相手がお侍さまだったとしても、少なくともぉ、傘張り浪人の類にゃあ裸足で逃げ出すくれぇの体はしている。

その体を、お冬はねろねろと舐め回す。
チロチロと真っ赤な舌が、蛇のように蠢いて、おいらの汗のかいた体を、匂いを嗅ぎながら。こんな淫らなことをしてるってぇのに、お冬の真っ白い頬には愛らしい紅が浮いて、潤んだ、まるで初心な処女(おとめ)のよう。

「たまんねぇ……」

おいらはお冬の手を先走りの汁でべとべとにしながら甘美な呻きをあげた。
おいらを這い回った女の舌は、そのまんま、股間にたどり着いた。

まさか、と思った。
そんなこたぁ、辻女にもされたこたぁ、ねぇ……。

ちろり。

女の舌が先っぽに触れた途端、おいらの体を雷さまが駆け巡った。へそを隠す暇なんてありゃあしねぇ。

「おぉおおおう……。あぁあ……」

おとがいを仰け反らせて布団を握り、ぐぐぐ、と腰に力を入れながらお冬に愛撫された。
魔羅に赤っかいナメクジが這い回った。冷たいナメクジだ。先っぽをくすぐったかってぇ思うと、こんだぁ、裏スジを下がってく、根元をねろねろ舐め回し、涎が垂れた陰嚢(ふぐり)は揉まれた。

「はぁッ、うぉおおお。こんなん、知らねぇ。こんなことする奴ぁ、自分でもこんな気ン持ち良いのはしたことねぇ……」

っておいらが言えば、お冬は唇をつけて来た。口ン中に、玉ぁ吸われた。

「おふぁあああ……。く、喰われるぅ。おぉう……」

はむはむと女の艶やかな唇が玉を食んで、おいらの体を脳天まで快感が突き抜けた。だっけどそりゃあ序に過ぎなかった。女の唇は吸いついたまま、魔羅を弄り出した。咥えられた中でもレロレロと舌が舐(ねぶ)る。
角張ったカリ首まで丁寧に啄ばまれて、女は鈴口に口続けてちゅるちゅると吸い出した。

「うぉお、はぁあッ……」

と、お冬はおいらの魔羅を舐って、扱きながら恨めしそうな上目遣いをして来た。

「私がはじめてではないのですね。あやかしの気配はありませんが……。残念。ーーはぷン」
「くっはぁあ……」

冷たい口がかぶさって来た。唾液が被さって、これまた冷たい舌がねろねろ這い回る。丸っこい先っぽも、角張った雁も、血管も漲る竿も、ぜぇんぶ、お冬に舐め回された。

おいらは気ン持ち良いやら、なにやら怨み骨髄とばかりの勢いで舐め回すお冬の舌に、目を白黒させて呻いて、好き勝手された。しかもお冬はワザといやらしい音を立てながら貌を振り出した。魔羅を滑る女の唇、窄められておいらの精を精を啜ろうとする口。なによりも婀娜っぽく、情欲と悦楽を含んで見上げてくる切れ長の眸(ひとみ)には、生きた心地がしなかった。
心の臓をシッカと鷲掴まれて、極楽と地獄が一気にやって来たような心地で、おいらはお冬に絡め取られながら魔羅を吸われた。玉ぁ、転がされた。

じゅっ、じゅっ、じゅぽっ、じゅぽっ。

こ、こんな綺麗な姉さんがおいらのものをしゃぶってくれてる。しかもその舐め方はネットリとして、おいらの精をはやく寄越せと言っていやぁがる。
むき出しの白い肌が、障子紙を透かしたお天道さまに、しらしらとうねっていた。ツンと突き上げられた丸っこい尻は、男を誘うように振られていた。

「おぉ、おおお……」

冷たい口ン中で、グツグツとおいらの子種が煮立ってきた。お冬はシッカとおいらの肉根を掴んで、激しく貌をふっていた。
おいらの魔羅は、もう我慢ができなかった。

「お冬っ、出る。出るぅううッ」

その瞬間、お冬は深々と根元まで咥え込んだ。

「ンっ、んぐぅっ……」

苦しそうな呻きが聞こえたが、おいらもそれどころじゃあなかった。
お冬の中で爆発した。
びゅぶびゅぶと女の咥内(なか)で魔羅は暴れ、粘っこい精汁を吐き出した。

「お、あぁあ……」

気持ちよ過ぎて、おいらはただ呻くしかできなかった。だっけど、魔羅を喉まで飲み込んで、シッカと押さえつけて精を受けるお冬は苦しかったに違ぇねぇ。ってのに、細っこい花の茎のような咽喉をんくんくと動かして、この女、おいらの精を呑んでやがった。
しかも中に残ったもんまで吸い出しやがる。

そいで口を離して美味そうに咽喉を鳴らした。

「はぁあ、兄さんの精、とっても美味しい。とっても熱くって、私、お腹の中から兄さんの灼熱に蕩かされてしまいそうですぅ……」

あんまりにもウットリとした女に、果てちまったすぐってことだけじゃあなくって、おいらは呆然としちまった。
だって、お冬は精を呑んだ妖女ってなだけじゃあなくって、おぼこな乙女とも言える気色があったんだから。

「お願いです。私に、お情けをください……」

お冬はおいらの前に膝を立てて座ると、右手の二本の指で女陰(ほと)をおっ広げた。くにゅりくにゅりってぇ蠢く桃色の貝肉に、おいらは目眩がした。見てるだけで濃厚な牝蜜の香りがわかるようで、お冬はそんな媚態を見せてるってぇのに、初花のように頬を染めて、潤んだ切れ長の瞳を逸らしていた。

「おぉう……」

おいらはまるでケダモノのようになって、お冬の股座に顔を近づけた。四つん這いで、マジマジとぉ、見た。

「ああ、夏吉さん、恥ずかしい……」
「なに言ってるんだ。おいらの精を啜ったクセに。やい、おいらにも啜らせろ。べろっ、べろべろっ」
「あぁあんッ」

お冬の乳房が弾んだ。おいらは土手肉もいっしょくたにして口ン中に収めると、ビラもいっしょに舐め回した。舐めまくった。
お冬は女陰まで冷やっこくって、甘くって、極上の氷菓子を舐めてるみてぇだった。舐めれば舐めるほど、甘蜜が溢れてきた。

「じゅるっ、じゅるじゅるじゅる」
「あはンッ、あぁあッ、吸われて、るぅ……んぅ……」

おいらは舌も突き入れて、中の肉も味わった。
冷やっこい。
うめぇ……。

夢中になって啜っていれば、女の声音は甲高かった。逃げ腰になるのも、しっとりと雪が積もったような肉つきの太腿を捕まえて、逃さねぇ。
いいや、お冬はむしろ腰を突き出してきた。
この、淫乱女め。

「あっ、あぁああッ。気持ち良い、気持ち良い、夏吉さぁん……」

お冬の雪のような肢体が、まるで蛇のようにくねった。おいらの前には一匹の淫らな白蛇がいた。膨れ上がった肉マメを剥いて、爪弾いて擦ってやる。捻っていけば、ガクガクと乳を揺らしてふるえた。

「あっ、くぅうッ……。あぅッ。もっとぉ、もっとぉ……」

ぐちゅぐちゅ、ぐちゅぐちゅ……。

おいらはお冬の女陰に蛭のように吸い付いたまま、舌と咽喉を動かし続けた。鼻ん中もお冬の淫らな香りでいっぺぇだった。

「あぁあああ〜〜〜〜ッ、あぁあああ〜〜〜〜ッ!」

この女、淫乱の気が強ぇえのか、おいらの口に蜜を吹きながらなんども果てた。乳の向こうに見上げる切れ長の美貌が真っ赤に染まって、涎を垂らして息を荒げてた。眉を寄せて、トロンと目尻を垂らして、全身が桜色にポッと染まっていた。
もとが雪のように白いもんだから、まるで雪ン中に桜が咲いているような妖しさと、神秘的な綺麗さだった。

おいらはお冬に覆いかぶさった。
魔羅の先をあてがった。

「お、おい、いいんだな? い、いれるぞ」

あんまりにも昂ぶって、おいらは呂律が回っちゃあいなかった。
コクンと喘ぐように言った女に、おいらはぐぃい、と腰を進めた。

「うぉおお、キツ……。どうなってんだ、中まで冷やっこいじゃねぇか……。しかも、うぅむ、名器……」

切なそうに喘ぐ女の壺に収まったまま、おいらもたまんねぇ肉の締め付けに喘いだ。細っかいヒダヒダが魔羅で押し伸ばされて、みっちりと絡みついてぐねぐねザワついてくる。まるで別の生き物がそこに潜んでるンじゃあねぇかってな具合で、動けばすぐに果てちまいそうだった。

と、おいらは太腿に触れたぬめりに気がついた。
まさかぁ……。

「お冬、おめぇ、初めてだったのか……」
「はい」

コックリと恥じらいを含んでいわれちゃあ、おいら、もう我慢できなかった。

「う、動くぞ」
「はぃい、あぁん! すごい、私、夏吉さんの夏魔羅で、溶けてしまいますぅ」
「おっ、おぉおっ」
「アっ、あぁあああッ」

おいらにお冬を気遣う暇なんて、ありゃあしなかった。ヒンヤリと、みちみちと締めつけてくる蛭壺が、男をたまらなくさせた。
太腿にゃあお冬の初めての証がぬらついたが、それ以上に淫水が溢れていた。お冬はおいらの背に手を回して、腰をしゃくりあげてきた。
腰をくねくね動かして、魔羅が襞肉にむっちょりと喰い回された。

「なんてぇこった。こりゃあ処女の腰使いじゃあねぇ……。おぉお……」

おいらの体からどっと吹き出た汗が、ポタポタとお冬に落ちた。お冬は喘ぎ、快感に顔を蕩けさせ、恍惚(ウットリ)していた。艶やかな声音が甲高く部屋に響いた。
信じらんねぇ。これが、これが処女なんて。
おいらが、もらっちまった。

「おぉおおおっ」

おいらは雄叫びをあげながらケダモノのように腰を振った。

ぱんぱんぱんぱん。

お冬の女陰に容赦なく打ち込んだ。

「あっ、あっ、あっ、あっ、あぁあああああッ、あぁあああああッ」

よがり狂い咽び泣く女がたまらなかった。むっちりとした雪饅頭を捕まえて、ベロベロ舐め回す。揉んだ、吸った、歯を立てた。お冬は乱暴なくらいの愛撫を、ぜぇんぶ気持ちいと感じていたらしい。
お冬はおいらの後ろ頭に噛り付いて、胸に押しつけてきた。腰の動きも止めねぇ。

おいらの体は欲情に燃え滾っていた。擦り合う男根は燃えちまうんじゃあねぇかって思った。だってぇ言うのにお冬の体はヒンヤリとして、中までヒンヤリだ。
これはおかしい。異常だ。
だけどそんなことは関係ねぇ。
なんせ、こんなにも気持ちが良い。

奥まで突き入れた時には子宮の入り口がむちゅっと吸いついてきて、引き抜く時にはお冬がくねり、突き入れれば跳ねる。乳の感触も言うこたぁねぇ。
この女の体に夢中だ。

膣が、キュンと締まった。
ケダモノなのはおいらだけじゃあなかった。
搾られる。吸い出される。

「おぉおおうッ!」

おいらはぐんっと力強く押しつけて、そのまんまお冬の中で男の灼熱を放った。
どくどくと抜けていく子種は濃くって、量も多くって、止まんねぇんじゃねぇかってぇ思った。
擦り合って、おいらの魔羅は燃えに燃えていた。
だってぇのに、お冬の中は、やっぱりずっと冷やっこいままだ。
お冬はガクガクと、陸(おか)にあがった鮎のように跳ねて、白い肢体をくねらせた。

「あぁああああ〜〜〜〜ッ、燃える。燃えてしまいます。夏吉さんの熱い精液で、ゆきおんなの私は、溶けてしまいますぅ〜〜〜〜ッ!」

な、なにぃいいい〜〜〜〜ッ!?

おいらは目を剥いたが、もう情交の虜になった女は止められなかった。おいらをシッカと抱きしめ、口を吸いながら腰をやっぱりしゃくりあげてぇきやぁがる。

「あんっ、あんっ、気持ち良いです。夏吉さん。もっと、私に、私に精をください。そうして孕ませてください。私と、夫婦(めおと)になってくださいぃ……。あっ、あんっ」

「お、おめぇ、何を言って……。うぉおお、気持ち良い……。だ、だけどお前、ゆきおんなったら、こんなところにいたら溶けて……」

「私は大丈夫なのです。大丈夫になるくらい、修行しましたから」

おいらはゴクリと唾を呑んだ。
こんな炎天下でも大丈夫ってなゆきおんなは、どれだけ修行したってぇのか……。そいつはそこらの坊主でもどうにもできねぇ化け物なんじゃねぇのか……?

「って、締めるな、腰を動かすな。ま、また出ちまう。うぅうッ……」
「出して、出してください。私を、孕ませてくださいぃ……」
「ま、待て。そんなにして、俺を吸い殺すつもりか?」
「そんなことはしません。どうして愛しい旦那さまを殺さなくてはならないのですか。アンっ、それではこうして抱きしめてもらうことも、できなくなってしまうではないですか……」
「ーーーー。おめぇ、本当に……。おいらと夫婦に……」
「だからそう言っています。私と、生涯の契りを結んではくださいませんか?」

潤んだ、懇願するような眸(め)がおいらを見上げてきた。
こんなん断ったら男がすたるってなぁもんだ。
おいらはガバとお冬を抱きしめて、口ン中滅茶苦茶舐(ねぶ)ってやった。お冬の舌も嬉しそうに絡みついてぇ、来やがった。

「はぶっ、んぅうッ」

おいらは腰も滅茶滅茶に振りたくる。

「お冬、お冬ッ。おいらの嫁になってくれ。可愛い子っこ、たくさん産んでくれぇ」
「嬉しいっ、夏吉さん、もっと、もっとついてぇ……」
「おっ、おぉおおおっ」
「あぁっ、あぁあああ〜〜〜〜っ」

ヒンヤリとした身体に熱がこもったみえてぇだった。そいつはおいらがこの女に宿した熱だった。暴れまわるまんまの魔羅から、お冬の子袋にびゅっびゅと子種が噴き出していく。

「アンっ、んぅうッ。無体な暴れん棒……。素敵」
「はっ、おぉおお……」

お冬だけじゃあなくって、おいらの方だって、ふるえちまう。
なんだってぇこの女、こんなにも気持ちが良いんだ。ゆきおんな、魔性の快楽(けらく)たぁこのことだ。

「ふっ、ふぅ」とおいらが荒い息を吹けば、お冬はコロンとおいらを引っくり返して、繋がったまんまぁ腰に跨った。

「今度は私が上で……」
「ま、待て。ちょっと待ってくれ」
「待てません」

濡れた女の眸(ひとみ)に、おいらは背筋を凍えさせられた。
そのあんまりな迫力と、迸る淫気の凄まじいこと。さすがはあやかし。男はびびぃんと俎板の鯉みてぇになって、魔羅をおっ立たせておくしかねぇ。

お冬はゆるゆると腰を振り出し、腹を波打たせながら魔羅を回す。

「おふっ、おふぁああ……」
「アンっ、はぁ、逞しい。もっと、もっとください。お冬の子袋をいっぱいにするくらいまでぇ。あぁん……」

ウットリと白い頬に桜を咲かせ、なまめかしい白幹をくねらせる。氷でできた魔性の桜。魔羅を咥え込んだ魔洞から蜜を垂れ流す。おしべに選ばれたおいらぁ、もう精を吐くしかねぇ。この淫乱な雪女に、大輪の雪華を咲かせて胤を実らせるために。

「ふふ、可愛らしい顔をしています。私の中は気持ちが良いですか? さっき召し上がられた氷に精力剤をたっぷり入れましたし、それに、私の妖力を交(まぐ)わらせていますから、尽きることなく、枯れることなく精を吐けます。私の注いだ妖力が、あなたの精となって戻ってくる……」

陶然と言うお冬だが、

「それってぇ、おいらも妖怪になるってぇことじゃあ……」

「…………」

「おい! なんとか言ったらどう、ぉぉおおぅ……。アッ、出、出るぅうう……」

おいらはお冬に吸い上げられた。

あやかしと夫婦(めおと)になるってなぁそう言うことらしい。
まあ、それはこのお冬といっしょになれるんならかまわねぇが、
おいら、この尻の下からは出られねぇんだろうなぁ……。

膝を立てて胸を弾ませながらおいらの魔羅を絞る、美しい冷貌に、おいらはしみじみと思う。

「あっ、あぁっ、あっ」

玲貌からは想像もできねぇくらいの淫らな腰使いで、お冬は跳ねた。おいらに繋がってるところを魅せつけるようにして、だっけど頬に恥じらいの紅を浮かせて。
うぉお、なんていい嫁っこなんだぁ……。

真夏に立った雪の茶屋。
そいつはお天道さんの日差しにゃあ溶けず、おいらに跨って、女の身体を蕩けさせていた。まるで猛烈な吹雪のはずなのに、どうにも粉雪が降り積もってくるような、甘美な快楽とともに、もう何度目になるかわからない精を、おいらはお冬の中に放つ。

夏の暑さでも涼しく熱く、おいらは魔性の快楽(けらく)を味わうーー。
18/08/10 09:56更新 / ルピナス
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■作者メッセージ
ゆきおんなさんでなく、もうちょいただの雪女さんにしてから、ノクターンさんにもアップするかも。

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