連載小説
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(103)ウシオニ
行灯が照らす薄暗い部屋の中、男が一人布団の上に正座していた。
少年から青年にようやく移った頃ほどの、若い男だ。
彼は白い着物に袖を通し、緊張した面もちでちらちらと四方を囲むふすまをみていた。
行灯と布団、そのほかには何もない一室だからだろうか。
いや違う。明らかに彼は、誰かを待っていた。
「入るぞ」
不意に声が響き、男がびくりと身体を震わせた。
直後、ふすまの一枚がすうっと音もなく開いた。
ふすまの向こう、行灯の光に照らされたのは、異形の女だった。
一見すると、男と同じ白い着物に袖を通した、やや野生的な印象を受ける美女だった。
だが彼女は、灰色の髪の間から角を生やし、腰から下が蜘蛛のごとき姿の、異形の女だった。
女は、柔らかな毛に包まれた両腕で、何かを乗せたお盆を手に、部屋の中に入った。
そして蜘蛛足を屈めてお盆を畳の上に置くと、そっとふすまを閉じる。
「待たせたな」
異形の女、ウシオニが布団の枕元にお盆を置きながら、男にそう言う。
「いや、そんなに待ってないよ」
「へえ、じゃあ何でオレが来るまで、不安そうにきょろきょろしてたんだ?」
「うぐ」
男が漏らした声に、ウシオニはクスリと微笑んだ。
「カマかけただって・・・ま、準備に手間取ったのは謝る」
彼女はそう言いながら、お盆の上の徳利を手に取った。
「それは?」
「酒に、ゼンヨウやらダイオウやらエンシクやら・・・とにかく、薬草をぶち込んで作った薬用酒ってヤツだ」
「へえ、効能は?冷え性とか?」
「あのなあ、今夜みたいな時に、オレが冷え性の薬を用意すると思ったか?もちろんあっちの方だよ」
おかしくてたまらない、といった様子のウシオニの言葉に、男は会話をするうちほぐれていた緊張が、体を強ばらせるのを感じた。
そう、男は今夜、このウシオニと正式に婚姻を結ぶため、一緒に夜を過ごすのだ。
「何だ?緊張してんのか?」
小さく身を震わせる男に、ウシオニが問いかける。
「そんなに緊張しなくていいって。どーせいつもと一緒だろ?」
「で、でも・・・最後までやるのは、初めてだし・・・」
物陰や森の奥で、ウシオニと互いの体をいじりあったことはある。
だが、それはあくまでも好奇心やふざけあいの延長線上で、愛を交わしたわけではなかった。
「だから、今夜初めてをヤるんだろうが」
もじもじとする男に、ウシオニは笑いながらいった。
「ほら、始めるぞ」
「う、うん・・・」
ウシオニの言葉に、少年がうなづく。
まずは、何をすればいいのだろう。ウシオニの持ってきた酒を飲めばいいのだろうか?
男は枕元のお盆をみるが、そこにはもう何も乗っていなかった。
「あれ、杯は・・・」
「杯?ここにあるだろうよ」
ウシオニはそう言うと、徳利に直接口を付け、天井を仰ぎながらその中身を口中に注いでいった。
彼女ののどが上下し、薬酒が彼女の体内に入っていく。
(あ、飲むの僕じゃなかったんだ・・・)
男が、勢いよく酒を飲み干す彼女の姿に、そう頭の隅で考えた。
そうするうちに、ウシオニの持つ徳利は上下逆さまになっていき、ついに底が天井と向かい合う。
徳利の中身が空になったところで、ようやくウシオニは顔と徳利をおろした。
だが、彼女の口からは「ぷはぁ」などという声は漏れず、唇がすぼめられ、妙に頬が膨れていた。
直後、ウシオニは徳利を放り捨てると同時に、男に詰めよってきた。
「うわ・・・!」
男が声を上げる間に、その下半身はウシオニの蜘蛛足に押さえられ、頬を毛に覆われた両手で挟み込まれる。
そして、窄められたウシオニの唇が彼の唇に押し当てられた。
すると、彼女の口から大量の液体が、男の口内にそそぎ込まれる。
ぴりと舌を刺すような刺激は、酒のものだ。ウシオニがたっぷりと口の中に含んだ酒を、男に飲ませているのだ。
「ん・・・んぶ・・・!」
男はそそぎ込まれる薬酒を、驚き混じりの声を漏らしながらも受け入れ、飲んでいった。
薬草を漬けた酒だという割には、薬臭さや苦みはなく、たださわやかな甘みのようなものが感じられる。
だが、やはり酒だということもあり、男の口やのどは熱を帯び、徐々に全身に広がっていった。
「ん・・・んぅ・・・!」
ウシオニから口移しで酒を飲まされるうち、男の目がとろんと焦点をずらしていった。
酒が頭に回って、意識がぼやけ始めたのだ。
そして、ウシオニが口中の酒を注ぎ終え、唇をはなす頃には、男の緊張は完全に掻き消えていた。
「うぁあー」
「はは、すごい効き目だな・・・」
男を抱擁したまま、ウシオニがつぶやく。
無理もない。酒を飲ませるうち、男の下半身の一部が固さを帯び、彼女の蜘蛛腹の裏を押し上げているのだ。
その一方で、男自身は全身を強ばらせていた緊張を解き、彼女に身をゆだねていた。
意識までもがぼんやりしているのは、彼が酒を飲みなれていないせいだろう。
「さて・・・まずは軽く、いつもみたいに・・・」
男の頬を押さえていた両手をはなし、彼女は片腕を男の背に回した。
そして彼の体を抱き抱えるようにしながら、もう一方の手を股間にのばす。
白装束の裾をかき分け、太腿をなぞって両足の付け根に触れる。
そこには、固く屹立する肉棒があった。
「はは、元気元気・・・」
びくびくと手の中で脈打つ肉棒を感じながら、彼女は笑みを浮かべる。
そして、一度指をゆるめて屹立を握り直すと、彼女は上下に手を動かし始めた。
「あ、あぅ・・・」
酒によって意識のぼやけた男が、股間の刺激に声を漏らす。
普段ならば、ウシオニに抱かれながら彼自身もウシオニにしがみつき、彼女の手の動きに体を震わせていたが、今は脱力している。
彼のすべてを支配しているような普段の手淫も楽しいものだが、こうして反応を引き出そうとするのもいい。
「ほら、どうだ?こうか?」
手を上下させて肉棒をこすりながら、ウシオニは握る指を動かし、動きに緩急を付け、酩酊する男から反応を引き出そうとした。
「あ・・・あぅ・・・うぅ・・・う・・・!」
最初のうちは半分眠っているような様子だった男だったが、いつしか彼女の手技に体を震わせ、あえぎ声めいた吐息を漏らすようになってきた。
ウシオニの手の中の肉棒も、時折びくりと大きくふるえ、腰の奥にため込んだ白濁の迸りを予感させるような動きをする。
「ん・・・もうすぐだな・・・」
ウシオニはそうささやくと、布団の上にそっと男を横たえ、手を動かしたまま彼の腰に顔を近づけた。
行灯が照らす明かりの中に、びくびくと震える男の肉棒がそそり立っている。
彼女は亀頭の先端、薄く口を開く鈴口からとろりとした雫がにじみだしているのを認めると、口を開いて亀頭を咥えた。
「あぅ・・・!」
敏感な先端を包み込んだ、熱とぬめりと柔らかさ。ウシオニの口内の感覚に、男が声を漏らし、体を一瞬力ませた。
直後、ウシオニの口内に、白濁が迸る。
「・・・ん・・・」
熱を帯びた粘液が喉の奥を打つ感触に、ウシオニが小さく声を漏らす。
せき込みそうになるのを押さえ込み、喉を震わせながら彼女は白濁を飲んでいった。
いつの間にか肉棒を握る手の動きは止まっていたが、精の迸りを続けさせるには、ウシオニの舌と唇の感触で十分だった。
そして、数度に分けなければ飲み干せぬほどの白濁を放ってから、肉棒は射精を止めた。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・あ、あれ・・・?」
絶頂から引き戻され、男が声を漏らす。射精を終えて冷静になったおかげで、薬酒の酩酊から冷めたのだろうか。
「よぉ・・・気分はどうだ・・・?」
男の屹立から唇をはなしながら、ウシオニが問いかけた。
「あれ、今・・・何を・・・」
「薬酒を飲んで、効果覿面だったお前の息子と、ちょっと遊んでやってたところだよ・・・ほら、まだ元気だ」
未だ固く大きくそそり立つ肉棒を挟んで言葉を交わすと、ウシオニは彼の肉棒を軽く指で撫でた。
「あ、あぁ・・・!」
「イったばっかりだから、敏感で辛いんだな」
男の漏らす声に、ウシオニはそう笑みを浮かべながらつぶやいた。
「んじゃ、今度は優しく気持ちよくしてやる・・・」
そう言うと、ウシオニは一度身を起こして肉棒から顔をはなし、纏っていた白い着物をはだけた。
布の中に押し込められていた豊かな乳房が、行灯の明かりの中で揺れる。
たぷたぷとした、軟らかな肉の塊二つを、ウシオニは両手で舌からすくい上げるように持ち上げた。
「ほーら、お前の大好きなおっぱいだぞ」
彼女はそう言いながら、軽く手を動かし二つの乳房を揺らして見せた。
乳房はウシオニの手の動きにあわせ、右に左に揺れ、左右でぶつかり合ってはたぷんと揺れる。
大きさと柔らかさを見る者にありありと伝えるその動きに、男の目は乳房に釘付けになっていた。
ウシオニは、男の目が自分の乳房を追って右に左に揺れる様を微笑みながら確かめると、再び上半身を倒し、屹立に近づいていった。
だが、肉棒に近づけるのは顔ではなく、その豊かな乳房だった。
「ふふ・・・」
「ああ・・・」
二人の短い声が響いた直後、ウシオニの乳房が肉棒を挟み込んだ。
柔らかく温かな肉が、屹立の根本から先端近くまでを包み込む。
「うぁ、あぁぁ・・・」
男は、乳房の感触に声を漏らした。
ウシオニの乳房を肉棒で味わうのは初めてではなかったが、今日の彼女の乳房はいつもより熱かった。
薬酒の効能で、彼女の体温が高まっているからだろうか?
いずれにせよ、肉棒と乳房の温度が変わらぬため、軟らかな肉と自分の分身の境が曖昧になっていくようだった。
「まだ挟んだだけだぞ?ほら、ほら・・・」
ウシオニが、声を漏らす男にそういうと、彼女は両手で乳房を左右から挟み込みながら、軽く軟らかな肉の塊をこねた。
二つの乳房は、ウシオニの手によってグニャグニャと形を変え、二つの隙間に挟み込まれた肉棒への圧力を、自在に変える。
「うぁ、あぁ、あぁぁ・・・!」
右に左に、圧迫され、緩められ、屹立で乳房をかき回しているような、あるいは乳房で肉棒をこねられているような、そんな甘い快感が彼の股間から背骨を這い上っていく。
びくり、びくりと男の四肢が震え、着物の袖口を彼はぎゅっと握りしめた。
ともすれば、容易に絶頂に追いやられてしまいそうな快感をこらえ、少しでもこの桃源郷のごとき谷間を長く楽しみたいという無意識の現れだろうか。
「ふふ、そんなに気持ちいいのか」
袖口を握りしめる男の手に、彼の心地をウシオニが察した。
「だけど、いつまでもこうしちゃいられないからな・・・少し急いで、次に行くぞ」
ウシオニはそう男に告げると、乳房の間に顔を寄せた。柔らかな肉と肉の境目からは、膨れた亀頭が半ばほど顔をのぞかせていた。
ウシオニは唇を窄め、乳房の動きにあわせて揺れるそれに、接吻した。
「っ!?」
柔らかく包み込む快感に加わった、吸われる感触に、男の全身がこわばる。
だがウシオニはかまうことなく、彼の屹立に二度三度と接吻を繰り返し、ちゅっちゅと敏感な粘膜を吸った。
肉棒が蕩かされるような甘い快感に加わったやや強めの刺激は、飽和状態にあった男の快感を、より強く、より大きくしていった。
そして、最後にウシオニが唇を屹立の先端に付け、鈴口を軽く吸った瞬間、彼に限界が訪れた。
「うぁ、あぁぁ・・・!」
彼が声を漏らすと同時に、再び白濁が尿道をかけ上っていく。
脈動にあわせて大きく揺れるはずだった肉棒を、ウシオニは乳房の圧迫を強めて押さえ込み、迸る白濁を唇で受けた。
そして、屹立の脈動と精液の噴出する周期にあわせ、彼女は屹立を吸った。
先ほどのように、単にウシオニの口内に精を放ったのとは違う、文字通り肉棒から直接精液を吸い上げられているかのような感覚が、彼を襲った。
「あぁぁ・・・!あぐ、うぅ・・・!」
射精しているのは自分だというのに、精液を無理矢理搾り取られているような、被虐的な錯覚が男の背筋をぞくぞくとくすぐる。
そして錯覚とウシオニの吸引に、彼はますます射精の勢いを強めるのだった。
やがて、一度目の射精よりも多くの精液をウシオニに啜り上げられてから、男はようやく全身を弛緩させた。
「はぁはぁはぁ・・・」
絶頂が収まり、いくらか冷静になった彼の意識に、立て続けの射精の疲労感が染み行っていく。
だが、布団に四肢を投げ出し、けだるさに身をゆだねる彼とは裏腹に、彼の肉棒は屹立したままだった。
「これだけ出せば、本番も少しは楽しめるな・・・」
男の肉棒を乳房から解放し、蜘蛛足をのばして立ち上がりながら、ウシオニがそうつぶやいた。
彼女は布団と畳を踏みながら蜘蛛足を操り、その場でぐるりと回転した。
ウシオニの人型の上半身を支える、巨大な蜘蛛のような下半身。その、大きく膨れた楕円形の蜘蛛腹が男の足の上に乗るように、ウシオニは男に背を向けた。
「ほら、見えるか?」
ウシオニの呼びかけに、男はどうにか頭を持ち上げ、自身の足の方を見た。
男に見えるのは、まるまると膨れた蜘蛛腹と、その向こうで身をひねり、彼の方を見るウシオニの姿だった。
蜘蛛腹のとがった先端は、よく見るとすぼまりになっており、雫のような物が滲んでいる。
「ん・・・」
ウシオニが低く声を漏らすと、窄まりが音を立てながら開いた。
穴の奥にあるのは、鮮やかな赤みを帯びた肉で、折り重なる襞は粘液に濡れている。
「入れるぞ・・・」
薬酒の効能か、彼女自身が興奮しているためか、妙に震えた声でそうつぶやきながら、彼女は濡れそぼつ肉壷を、男の屹立向けておろしていった。
開いた肉穴が、彼の肉棒を咥え、口を窄める。
屹立の根本への締め付けと、屹立全体を包み込む柔肉の感触に、男は声もなく仰け反った。
手と口や、乳房の谷間とは異なる、ひしめき合う肉襞が肉棒を包み込み、ざわざわとなで上げる感触。
肉棒に塗りたくられる粘液と、股間を包む熱に、男は身悶えした。
「・・・ぅう・・・ぁ、ぁ・・・!」
口を開き、苦しげに声を漏らしながら、男が身悶えする。
ウシオニは、男の方を振り返りながら、彼の快感にゆがむ表情を見て、満足そうに笑みを浮かべた。
「ふふ・・・そんなに、ん・・・いいか・・・ふっ・・・」
男の身悶えする様子に、ウシオニが時を混ぜながら漏らす。
指で軽く触れたことはあるが、その奥まで異物を挿入したことのない、蜘蛛腹の生殖器への刺激が、彼女に快感をもたらしているのだ。
破瓜の痛みなどはなく、ただ肉壷を押し広げられる感覚だけが心地よかった。
呼吸にあわせ、蜘蛛腹の奥に力を込めてやれば、彼女の胎内がもぞりと蠢動し、男の肉棒を愛撫する。
波打つ襞が裏筋を撫で上げ、緩い締め付けが亀頭をぐにゅぐにゅと揉む。
「あぁぁ・・・うあ、ぁあ・・・!」
扱く手の動きや、挟む乳房、そして吸ったりする唇とは異なる、包み込まれる感触に、男は興奮の炎を燃え上がらせていった。
屹立を包み込む粘膜の感触は、男の興奮をあおるよう、快感をそそぎ込んでいく。
蠢く肉壁が、男の体奥から白濁を搾り取ろうと波打つ。
そして、男はついに限界を迎え、三度目となる精の迸りを、ウシオニの蜘蛛腹に向けて行った。
「あぁぁぁ!」
「・・・っ!」
男が声を上げると同時に、ウシオニがびくんと体を震わせた。
蜘蛛腹の奥をたたく精液の熱が、敏感な粘膜を灼いたからだ。
ウシオニの体を支える蜘蛛足が、不規則にびくりびくりと震え、男を振り返っていた顔が正面を向く。
ウシオニの顔にはいつの間にか赤みが差しており、何かをこらえるように唇を横一文字に結んで、瞳を涙に潤ませていた。
そして、腹の奥を白濁が打つ度、彼女の握りしめた拳に瞬間的に力がこもる。
「ん・・・ぅ・・・っ・・・!」
断続的に、ともすれば漏らしそうになる声を押し殺しながら、彼女は静かに己の蜘蛛腹を苛む快感と、絶頂の快感を味わっていた。
つい先ほどまで、文字通り手玉に取っていた男相手に、ほぼ同時に絶頂を迎えさせられる。
その事実に対する気恥ずかしさが、彼女を快感を隠すような真似に走らせていた。
「あぁぅ・・・う、ぁ・・・」
やがて、男が三度目の絶頂を終え、くたりと全身から力を抜いた。
腹をの奥を打つ精液の感覚が弱まり、ウシオニは快感の山が通り過ぎたことを悟った。
後に残るのは、薬酒の効能で堅く勃起し続ける肉棒の、穴を広げる感覚ばかりだった。
「ふぅ・・・ふぅ・・・ふふ、なかなかたっぷり出したな・・・」
密かに呼吸を落ち着かせてから、ウシオニは自身の絶頂の残滓を悟られぬよう、男に向けて振り返った。
「ほら、わかるか・・・腹の奥で、こんなに・・・ぃ・・・!?」
男の反応を楽しむため、軽く体奥を操り、今し方放たれた白濁をもてあそぼうとしたところ、ウシオニの蜘蛛腹を不意の快感がおそった。
精液が彼女の腹を叩く快感でも、予想以上に固く濃厚だった精液が粘膜に絡む快感でもない。
生殖器の入り口を、肉棒が膨張して押し広げる快感だった。
「くは・・・!は、ぁ・・・!」
「はぁ・・・はぁ・・・」
手首よりも細い肉棒が、ほんの少しだけ膨張した感覚に、息苦しささえ感じながらウシオニがあえぐ一方、男が呼吸を乱れさせながらも身を起こした。
「はぁはぁ・・・もっと、もっと出したい・・・」
「ま、待って・・・今、動いたら・・・ぁ・・・!」
布団の上で仰向けになり、ウシオニに肉棒を挿入させられていた男が、上体を起こして自分の分身を咥え込む蜘蛛腹に、自ら抱きついていった。
「あぁ・・・ふわふわ・・・」
「うぁぁ・・・ぁぁ・・・!」
大きく膨れたくも腹を抱きしめられ、蜘蛛腹を覆う柔らかな毛に体をこすり付けられる感覚に、ウシオニが目を見開きながら声を漏らす。
蜘蛛腹を抱きしめられ、柔毛と表皮に包まれた肉が変形し、生殖器に加わる圧力が変わる。
外部からの圧迫感に、肉棒を包み込む肉壷が形を変え、屹立への圧迫を変えた。
それは、男に対して圧力の変化という心地よさをもたらしたが、同時にウシオニに対しても胎内の膨張感の変化という快感をもたらした。
「ひゃ、あぁ・・・!」
胎内で肉棒が変形しているかのような感覚に、ウシオニが声を漏らす。
同時に、彼女の生殖器がひくひくとけいれんし、断続的に男の分身を締めた。
「ひぅ・・・!」
男は、不意に股間を襲った締め付けに、そう声を漏らしながらぎゅっとウシオニの蜘蛛腹に抱きついた。
「ひゃめ・・・そんな・・・!」
強まる男の腕の力に、ウシオニが声を上げる。
だが、その声は男には届かなかった。彼の中で、数度の射精を経て快感になれた情欲の炎が、さらなる刺激を求めていたからだ。
こうして抱きついているだけでも心地よいが、射精に至るには快感が足りない。
ならば、自ら快感を得るため動かねば。
男は、本能の名ずるまま、ウシオニの蜘蛛腹に抱きついたままで腰を動かし始めた。
ゆっくりゆっくり、前後に左右に。ぎこちない動きで、ストロークも小さかったが、折り重なる膣襞が肉棒を撫でていく。
「・・・っ!?う、うごか・・・っ・・・!」
男の子市の動きに、ウシオニが声を上げようとするが、半ばから言葉が失われた。
彼女の口からあふれるのは快感のあえぎばかりで、もはや意味のなす言葉は紡がれていなかった。
ごりごりと、肉の棒が彼女の柔らかな胎内をこすっていく。
蜘蛛腹の奥、生殖器の奥底にも届けとばかりに、男が屹立を突き入れていく。
体全体と比較してもごく小さな突起にすぎないはずなのに、ウシオニはもはや自分の脳を直接勃起が突いているような錯覚を覚えていた。
がくがくと、男の子市の動きにあわせ、ウシオニの全身が不規則に震える。
そして、ウシオニの蜘蛛腹にしがみつきながら、男が小さくうめいた。
腰を蜘蛛腹の奥深くに突き入れ、全身をこわばらせたまま、四止めの射精が始まる。
尿道を駆け抜けた、変わらぬ濃さと量の精液が、蜘蛛腹の奥へ、先ほどより最寄り奥を目指して放たれる。
「・・・っはぁっ・・・!」
ウシオニが仰け反りながら口を開き、そう呼気を搾りだした。
ぶるぶると、男とウシオニの全身が震え、射精が続く。
そして、男がたっぷりと彼女の胎内の奥不覚にまで精液をそそぎ込んだところで、ウシオニが全身を弛緩させた。
布団の上に倒れ込むように、背筋と蜘蛛足が力を失い、ウシオニはうつ伏せに横たわった。
「はぁーっ・・・はぁーっ・・・」
ウシオニは小さく呼吸を重ねながら、潤んだ瞳で虚空を見つめていた。
そして、絶頂のあまり脱力しきったウシオニに遅れ、男もまた四度目の射精を終えていた。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
しがみついていたくも腹から体を離しながら、男が呼吸を重ねる。
そこに射精後の疲労感は宿っていたが、屹立は固いままだった。
むしろ、四度の射精を経てもなお、彼の分身は自己主張を続けていた。
まだ放ち足りない。薬酒の効能だろうか?
すでにぐったりと全身を脱力させているウシオニを見下ろしながら、男は胸中で疑問符を浮かべた。
だが、そのような疑問も、あっという間に彼の胸の中で膨らむ情欲の炎に包まれていった。
「はぁ、はぁ・・・」
男は一度、蜘蛛腹の生殖器から肉棒を引き抜くと、ウシオニの蜘蛛足と腰を抱えながら、彼女を仰向けにした。
「うぅぅ・・・」
ウシオニが赤い顔で、快感に蕩けた瞳で虚空を眺めながら、呆然とつぶやいた。
仰向けになったことで、上体に押しつぶされていた彼女の乳房が主さから解放され、自身の重さによって体の左右にわずかに垂れている。
乳房の下、引き締まった腹では興奮と絶頂によって滲んだのか、汗が彼女の腹をてらてらと輝かせていた。
そしてへその下、蜘蛛腹との協会のあたりに肉の亀裂が刻まれており、そこから透明な液体があふれている。
半人半馬の魔物などは、前と後ろに生殖器を備えているという。
どうやら、ウシオニについても二カ所に生殖器があるようだった。
男は、ウシオニのへその下の女陰に軽くふれた。
普段ならばきつく閉じているのであろう肉の筋は、興奮と絶頂によって弛緩し、男の指を緩く受け入れる。
その内側はあふれ出す粘液によって、とろとろに蕩けているようで、挿入の際の心地よさを男にたやすく連想させた。
「はぁ、はぁ・・・」
男は、自分の内側で情欲の炎が燃え上がっていくのを感じながら、仰向けになったウシオニに覆い被さり、その女陰に屹立の先端を押し当てた。
そして、ウシオニに抱きつきながら、彼は腰をつきだした。
「うぁぁぁ・・・!」
「・・・あぅ・・・うぅ・・・うぁ、あ・・・?」
挿入と同時に漏らした男の声に、ウシオニの目が商店を結ぶ。
「あ、前に、入って・・・うぅ・・・!」
ウシオニが、前の生殖器に挿入されているのを自覚すると同時に、彼女の胎内を快感が駆け抜けた。
蜘蛛腹の先端から、上半身と蜘蛛腹の継ぎ目へ。脳に近づいた空か、快感は大きく感じられた。
「あぁぁ、うぁぁ・・・!」
一方男の方も、魂を引き抜かれているような、長い悲鳴めいたあえぎ声を漏らしていた。
無理もない。蜘蛛腹の先端の生殖器と異なり、こちらの女陰は狭くて締め付けが強く、同時に折り重なる襞に加えてざらつく粘膜が備わっていたからだ。
亀頭を、粒粒とした突起の並ぶ軟らかな肉がこすり、竿の根本から先端までを重なる襞が撫でていく。
「あぁ、も、もう・・・!」
男は、そう声を漏らしながら腰を引こうとした。だが、肉棒がウシオニの女陰から引き抜かれる前に、彼女の蜘蛛足が男の尻や腰に巻き付き、動きを止めた。
「ぬ、抜くなぁ・・・!」
腰を揺するのとは異なる、完全に女陰から屹立を抜き去ろうとする男の動きに、ウシオニがそう声を上げた。
「そのまま、中・・・に・・・!」
蜘蛛足の締め付けが強まり、引き抜かれかけていた肉棒が、女陰の奥へと押し込まれていく。
同時に、ウシオニの両手が彼の肩に回り、彼女が抱きつくような姿勢になった。
蜘蛛足と両腕による完全な抱擁。
男の体を、ウシオニの温もりが包み込む。
「あぁ、う・・・ん・・・!」
肉棒と全身をウシオニに包まれながら、彼はどうにか顔を動かし、彼女の唇に自身のそれを重ねた。
さっきは薬酒の味しかしなかったウシオニの唇だが、今は自分の精液の残滓なのか、かすかな苦みを感じる。
だが、不思議と不快感はなかった。相手がウシオニだからだろう。
「ん・・・!」
ウシオニは、男の接吻に対し負けじと彼の唇を吸い返した。
互いに貪りあうような激しい接吻が続き、唇の間から濡れた音が響く。
そして、下半身でも男根と女陰が互いに食らいつき、与えあう快感に両者は同時に限界を迎えた。
言葉はない。
ただ、吐息と体の震えだけが二者の間を駆け抜け、ウシオニの胎内に白く濁った液体があふれる。
粘つく男の情欲は、彼の興奮を表すように熱く、勢いよく迸っていった。
腹の奥を打つ粘液の刺激に、ウシオニは男の体を両腕と蜘蛛足で抱きしめながら、ぎゅっと目を閉じた。
強烈な快感が頭の中を荒れ狂い、意識の底が白く焦がされていく。
やがて、男が白濁の迸りを収めたところで、二人の絶頂は終わりを迎えた。
「・・・っ・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・」
重ねていたままだった唇を離し、荒い呼吸を重ねながら、二人は全身からくたりと力を抜いた。
ウシオニの女陰から屹立する肉棒が引き抜かれ、男の体がゆるんだウシオニの肢体から彼女の傍らに転げる。
「はぁ・・・はぁ・・・」
行灯の明かりが照らす天井を眺めながら、二人は荒い呼吸音だけを、室内に響かせていた。
睦言も、視線を交わしあうこともない。
だが、二人の手はいつの間にか握られていた。
肉棒に残る、ウシオニの胎内のぬめり。
女陰に刻まれた、男の屹立の熱と固さ。
そして、互いに抱きしめあった際の相手の体の形と温もり。
手を握り、つい先ほどの交合を思い出すだけで、二人は相手を感じることができていた。
「・・・・・・」
ウシオニが、軽く男の手を握る。
男は、その指を握り返した。
二人が夫婦になったと互いに自覚するのには、それで十分だった。
13/01/26 15:35更新 / 十二屋月蝕
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■作者メッセージ
幼なじみからそのまま結婚っていいですよね。
こう、互いに相手の好き嫌いだとかを知り尽くした上で、生活をともにする。
一つ屋根の下で暮らすようになって初めてわかる、相手の新たな一面とか、胸がときめくじゃないですか。
特に布団の上では以外としおらしいとか、そういう方面で新たな発見があるととても素敵です。
特に、結婚初夜でドキドキしながら一緒の布団に入って、以外と体の相性がよくて、「およめさんっ!あなたのおよめさんにしてぇ!」って絶叫しちゃうとか最高です。
一通り終わって落ち着いてから、もうお嫁さんなんだけどとかつっこみ入れると、顔を赤くしながらぷいと横向いちゃうとかかわいい。
そういう幼なじみください。

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