連載小説
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王女と老騎士と少女の物語編
※注意
 フランツィスカ様が出てきますが、独自解釈等で皆さんの想像するキャラと違う可能性があります。
 それを踏まえた上でお読みください。

 何かありましたら、感想等でお知らせください。
 今回はあえて、ハートマークは使いませんでした。











 ここはレスカティエ城、フランツィスカ第4王女の部屋。
 と言っても訪れる者はごく限られている。
 姉達のように聖なる力も、魔力も、力もない彼女は、元々体が弱かったこともあり、ほとんど自室から出ることはなかった。

 しばらく、二人の少年と少女が頻繁に訪れていたものの、それも今は昔。

 しかし、そんな孤独の中の王女にも、ほんのひと時、支えていた男の話はあまり知られていない。


こんこん

「王女様、よろしいですか?」
「ゴホッ、ど、どうぞ」

 騎士が入室する。年は王女よりずっとずっと上、そろそろ現役を引退しても良い年ごろだ。
 老いても騎士は騎士である。ピンと伸びた腰、瞳には忠誠を誓った当時の輝き。手入れの行き届いた装備など、全く年を感じさせないものがあった。


「すみません。ご調子が悪いようでしたら、出直します」
 男はベッドで咳き込む王女を心配そうに見つめ、入室してしまったことにすでに後悔を感じているようだ。

「大丈夫ですわ。歓迎いたします。隊長さま」
「そんな……俺は、いえ、わたしは隊長などでは無く、この年になってもただの騎士ですよ」
 男は戦闘技術があまり得意ではなかった。それでも全く才能がないという訳では無く。多くの優秀で要領のいい同期に囲まれた為、埋もれてしまったものの一人。
 つまりの所、不器用な男だった。


「今日はどうされたのですか?」
「フランツィスカ様のご様子を伺いに参りました」

「嬉しいですわ。ねえ、二人しか居ないのだから、そんなに硬くならないでくださいまし」
「そんな、恐れ多いです」
「わたくしがいいと言ってるのです。お願いいたします」
 ベッドに寝ながらでも男に向かって優しく微笑む王女。

「では、フラン様」
「呼び捨てでもかまいませんのに……」
「それはご容赦ください……フランツィスカ女王様」
「なるほど、では、わたくしは、騎士団大隊長様とお呼びしますわよ?」

 どちらともなく笑い出す二人。
 こんなささいな冗談を言い合う。それでもちょっとした楽しいひととき。


 この二人が出会ったのは偶然だった。


 王女のお付きのメイドがほんの少しだけ離れた刹那、部屋から苦しむ声が聞こえた。
 たまたま部屋の前を通りかかった男が無礼を承知で王女の部屋に入室し、助けを呼んだのだ。
「くっ、なぜ誰もいない!! ご無礼を承知の上、失礼いたします。王女様」
 一向に誰も来ないことに痺れを切らした男は、赤い血を吐き、苦しそうな王女を背負いながら、それでも細心の注意を払って彼女を専属の医者の元へ送った。
 幸い彼女は一命を取り留めた。ほんの少しでも遅れていたら治癒魔法も間に合わなかった。
 

 男は王女の命を救ったものの、それは喜ばれるどころかかえって彼の立場を悪化させる結果になる。

(余計なことを……)
(ああ、やっとあのお世話係から、解放されると思ったのに)
(どうせもうもたない、価値なき命を救ってバカな男だ)

 貴族だけでなく、彼女の世話係のメイド達すらも彼を邪険にあつかった。
「わたしだけならまだしも、あの王女様になんたる無礼な……」

 しかし、男はそんなことは気にしない性格だった。そもそも、もう年だ。今更、自分の立場がどう変わろうが知ったことではない。逆に騎士団からの辞令は、城の警備。
 わかりやすく言えば、左遷だった。
 老年の騎士は前線からの任を解かれて、こうして王女の部屋にたびたび訪れることができるようになった。

 メイド達や他の者も見てみない振りをする。

 やれやれ嫌われたものだ。だが、また倒れられた時、わたしが居ればお救いできる。

 もちろん、それは許されることではないのだが、城の者はとにかく王女とは関わらないようにしている節がある。実際、王女が倒れた時、傍に誰も居なかったのが証拠だ。



「報告します。あの王女様を救った騎士がまた部屋に出入りしてます」
「それがどうした?」
「いえ、王女様の部屋に騎士が出入りするなんて……」
「くだらんな。貴様はそんなくだらない報告の為に、忙しい俺の元にきたのか?」
「す、すみませんでした」
 メイドや騎士が上に報告をしてもこのありさま。
「寝たきりで何にも使えない王女と、退役間近の老いぼれ騎士。全く実にくだらない。ほおっておいてもくたばる奴らがどうしたっていうんだ」
 ほとんどの者が出した結論だった。





「今日はどんなお話を聞かせていただけるのかしら」
「では、俺、いや、わたしがまだ兵士になりたての時の冒険話のつづきを」
 男は王女のベッドの横のイスに腰掛け、語りだす。

「まあ、わたくし、つづきを楽しみにしておりました。……あと“俺”でよろしいですわよ?」
「では、失礼して、俺が他の仲間達と山越えの訓練に行った。そこで見つけた珍しい植物と動物、その続きから」
「そうですわ。隊長、その、お話のいい所で帰ってしまいましたもの、わたくし気になって夜も眠れませんでしたのよ?」
「それは大罪です。王女様の安眠を妨げた。私はどうしたら……」
「罰として、お話をお願い致しますわ」
「はっ、謹んで罰を受けます」
 また笑う二人。

「いやはや、フラン様にはこんな年よりの冗談に付き合っていただけてわたしも嬉しく思います」
「もう、早くお願い致しますわ」
「では、改めて……」

 本当に嬉しそうに笑う王女をみると老年の騎士も不器用ながらもほほ笑む。時間の許すかぎり二人の時間は続いた。




 しかし、そんな奇跡のような時間はすぐに終わりを迎える。ほんの数週間程度。
 とうとうこの城での任務、つまりの所、引退を迎えた。
 任期がまだあったはずなのだが、やはり退役前の騎士と王女の密会が誰かに報告されたか、それとも……男は考えたが命令書が出てはどうにもならない。

 不幸なことは重なり、時を同じくフランツィスカの病状が更に悪化し、とうとう別れも言えぬまま、元騎士は故郷へと行くことになってしまった。
 もう城に居場所は無い。

「……結局あのお話も最後までできず。申し訳ありません。フランツィスカ王女様……」
 城を去るときに王女様の部屋を見上げる元騎士。カーテンは閉められ、そもそも魔法の治療を受けている王女があの部屋にいるとも限らない。

「お世話になりました。どうか、どうか……生きてください」
 手紙等を託すこともできない。そもそもわたしにはそんな資格も無い。
 誰かに言う訳でもなく独り言のように言う。
 しばらく王女の為に祈りをささげる。そんなことしかできない男は悔しくもあり、無力な自分を嘆いたが、結局それ以上何もできることはなかった。



 男が城を去ってまもなく。レスカティエが魔界へと堕ちた。



「なんと、まさか……あのレスカティエが……」
 最初はどこかの者が流した噂だと思った。しかし、自分の故郷にもレスカティエより逃れた人たちが来た。

 噂は真実だった。

「しかし」
 男はひとりでは無かった。戦乱で親を失った子を養子として迎え入れたのだ。
 これでも騎士だったこともあり、退役の際にはかなりのお金を貰うことができた。妻と娘を病気でとうに亡くした男には使い切れない、いや、いっそそれならば、一人でもいい。誰かを助けたかった。

 頭の中にはあのフランツィスカ様のことが思い出された。
 あれから、ずっと気になっていた孤独な王女、罪滅ぼし、同情、妻や娘を病気で亡くし孤独だったこと。理由とも言い訳とも違う複雑な思い。


 そんな時に、娘に似た子を助けた。いや、実際は違ったのかもしれない。そんなことは目の前で起きていることの現実の中へと消え失せ。怒りへと変わる。
「恥を知れ!!」
 男は激怒した。
 魔物ではなく人間の男が少女を殴りつけていたのだ。

 元騎士だった男は剣などなくても遅れはとらない。相手は男の目を見た時にすでに戦意を喪失していた。
「く、そんな女、欲しけりゃくれてやる!!」
 吐き捨てるようにいった奴は逃げていく。

 わたしは少女を助けることができた。
 しかし、彼女はおびえ、目はすでに生きる希望を失っていた。騒ぎを聞きつけた者達がいたが、結局だれも少女に手を差し伸べる人はいなかった。

「こんな老いぼれだが、家に来ますか?」
 わたしはしゃがみ、ボロボロになった少女の手を取った。
 少女は弱々しく握り返してくれ、そして、こくりと頷いた。
 
 自己満足といえばそうかもしれない。元騎士としての血が騒いだかもしれない。
 とにかくだ。目の前で行われている非道に目を背けることなどできない。そんな当たり前のことに理由などない。


 フランツィスカ様……、とっさに思い出す光景、血を吐いて、床に倒れ伏した王女。
 重ねてはいけないとは思ったが、何度も時々夢に見てしまう光景。
 叫んでも誰も来ない。
 自分がやらなければ、この少女は………


 それでも……。

「おじいさま? どうされたのですか?」
「ああ、マリィ、帰っていたのかい」
「はい、マリィは戻りましたよ」
 瞳は輝き、以前のあの空虚な瞳はない。あちこち擦り切れていた体も白く、そして背も……
「また伸びたのかな?」
「おじいさま……、一日でマリィはそんなに伸びません」
 マリィは何も覚えていなかった。ただ、どこかの地で生まれ、戦火を逃れてきたのだろう。
 そういった者達がたくさん居た。彼女もその一人だった。
 いくつもの偶然がわたしと彼女をひき合わせた。

「もう、おじいさま、スープが冷めてしまいます」
「ああ、ごめんごめん。年なのでね。はは、ボケているんだよ」
「もう、何を言ってますの! おじいさま、あなた様が居なくなってしまったら、マリィはどうすればいいのですか?」
「うむ、そのことなのだが、良い男を紹介しようではないか」
 少女と言っても、マリィはもう嫁に行っても良い年ごろだ。
 実際、美しい容姿を取り戻したマリィを見て何人もの男達が交際を申し込んでいるのに、一向に誰も家には連れてこない。

「冗談はおやめください。わたくしは、マリィは、おじいさまの元にずっとおります」
「やれやれ、育て方を間違ったようだ……」
 スープを飲みながらわたしは話を進める。まるで本当の娘と会話をしているようだ。
 実際、わたしはもう長くはないだろう。
 その前にどうかマリィには良い相手が見つかって欲しい。
「いいえ、間違いなどありませんわ。こうして、すっかりおじいさまを好きになりましたもの」
 悪戯っぽく微笑むマリィ、気持ちは嬉しいが、孫の顔が見たい。
 実際は違うのだが……。

「もう、何を笑っていますの?」
「いや、なんでもない」
 レスカティエ、……わたしが行くと行ったらマリィはどうするだろう。

「マリィ、少し食事の後で話がある」
「はい」
 わたしの顔を見てマリィはすでに悟ったようだ。勘の良い子だ。



「わたしはレスカティエに行く。どうしても確かめたいことがあるからだ」
「はい」
 やはりというか、マリィはわたしの話を真剣に聞いてくれた。隠す必要はない。わたしはすべてを話した。

「マリィも一緒に行きます」
「だめだ。マリィはわたしの知り合いの元へ行くのだ。みな良い人たちだ。わたしが保証する」
「嫌です」
 あの震えていた少女がこんなにも……。しかし、いかにわたしがマリィを大切にしているとしてもこれだけは譲れない。
 片道だけになってしまうかもしれない。いや、魔界へとなった地へと行くのだ。無事では済まないだろう。

「わかって欲しい。これはわたし一人の問題なんだ。ただ、あの王女様のことが知りたい。すぐに戻る」
「いいえ、おじいさまの問題はマリィの問題です。どうしてもダメとおっしゃるのでしたら、今この場で舌を…」
「バカな真似はよせ!」
 思わずマリィを抱きしめてしまった。
「頼む。マリィを危険な目に合わせるわけには行かない。もう、頭の良いマリィならわかるだろう」
「いいえ、わかりません。わかりたくなどありま……せん。嫌です……いや…おじいちゃん………マリィを置いていかないで……ひとりに……しないで」
「マリィ……すまない」
 ひどい話だとは思う。少しの間とはいえ、助けてから実の親子のように一緒にいたのだ。
 絶望しか待っていなかった少女の前に現れた「元騎士」の男。
 少女は出会った時のように、言葉も幼くなきじゃくる。
 たった少しの間、世話をした。マリィは驚くくらいに美しく、そして賢くなった。
 だからこそ、こんな老いぼれの我儘に同行させることはできない。それに……わたしが居なくなればきっとマリィもきっと良い男性と……。
 

「わかりました」
「そうか、わかってくれるか」
 よかった。それでいい、もうおじいちゃん、おじいちゃんと後をくっついて来る必要なんてない。もうマリィは大人だ。
 少しではあるがレディとしての教養も覚えたはず。どこに嫁にだしても恥ずかしくない。実際マリィには男の名前が付き、元騎士の娘として正式に家柄も退役の際の給金も手続きしてある。何も心配はいらない。
 せめて結婚式には出たかったが……。

 わたしという足かせがなければきっと幸せになれる。
 実はレスカティエ行きには別の理由もあった。マリィの自立だ。教養や容姿も申し分ない。


 わたしが傍にいればマリィは幸せになれない。
 それほどマリィはわたしに依存していた。


「絶対に戻ってきてください」
「約束はできない」
 わたしは正直に言った。
「いいえ、いけません。マリィと約束してください」
「……まったく誰に似たのか」
「おじいさま……自分の鏡をご覧になってはいかがかしら?」
「くくっ、あはは、そうだな。老いぼれの我儘と、その娘か」
「娘……」
 とたんマリィの顔色が変わったことに気が付く。
「すまん。真面目な話をしていたのだったな」
「いいえ、そうではないのです。わかりました。我儘者同士、マリィはずっと、待っております」
「……そうか」
 もうこれ以上何を言っても無駄だ。
 そうか、似たもの同士か…、嬉しくもあり、悲しくもある。

 しかし、わたしが戻らなければいずれわかるだろう。
 そして、マリィにはマリィの人生がある。

 どうか、どうか、わたしの分まで生きて欲しい。
 こんな不器用な男にはならず。幸せになって欲しい。随分と都合の良い身勝手な願いなどとは承知の上だ。
 だが、マリィは若い、希望もある。



「では、行ってくる」
「はい、おじいさま、いってらっしゃいませ」
 そしてわたしはレスカティエへと向かった。


  


 男が家を旅立ったあと、マリィの元に現れる影。
「マリィ……」
「はい、フランツィスカ様」
「お元気そうですわね」
「はい、早くおじいさまが……わたくしの愛するあのお方がレスカティエに……」
「御安心なさい。あの者はわたしの恩人の一人ですわ。決して誰にも傷つけはさせません」
「ありがとうございます」
「使いの者を送ります。もう少しの辛抱ですよ……マリィ、あの男の幸せとあなたの幸せ、心から願っておりますわ」
「はい……ああ…まちきれないのです……はやく、おじいちゃんと……ひとつに……えへへ、たっぷり愛してあげたいです。身もこころも……」
「美しいです……。ああ、わたくしもあなたに……わたしみずから魔物へと変えたあなたに合いたいですわ」
「フランツィスカ様………また……かわいがっていただけるのですね……あの時のように…」
「でも、マリィ……はやくあの男とひとつになりたいのでしょう?」
「はぁ……はぁ…はい、…おじいちゃん…と……溶けあって…ぐちょぐちょに……えへぇ…なって、たっぷり愛してあげたい…です」
「すっかり美しくなりましたわ」
「はい、全部……フランツィスカ様のおかげです」
「お礼ならあなたの大切な方に言ってください。こうしてわたくしが居るのもあのお方のおかげ、……二人の幸せはわたしの幸せでもあるのです……」
「はい、では後程……」
「待ってますわ……マリィ……」
 そして、マリィは一足先にレスカティエへと、黒い闇へと消える。






 時は遡る

 魔界国家レスカティエ
 女王の間

 マリィと男が出会った時、レスカティエの王座の間でフランツィスカはその報告を受けた。
 以前、少しでも世話になった者達の一人、例えレスカティエから離れた者であったとしても、あの男は恩人の一人、ずっと行方を捜していたが、やっと見つかった。
 しかも……
「変わりませんね。……ああ、そういえばあのお話の続き、楽しみですわ」
 マリィとあの男を幸せにして、そしてこの城でずっと、淫らで快楽に溺れて、このわたくしたちのように幸せになってほしい。
 まず、マリィという少女からだ。彼女をわたくしの仲間にしてあの男の世話をさせる。
 あの男がレスカティエに来るのは時間の問題だと思っていた。
「ふふ、ふたりとも歓迎いたしますわ」
 

「いかがいたしますか?」
「マリィをここへ」
「はい」
「いいですか? 決してあの男にはバレてはいけません」
「承知いたしました。女王様」


 数刻の後

「いや、離してっ!! おじいちゃん!! だれか!! うう……」
「ごめんなさい。怖い思いをさせてしまいましたね」
「え、……だれですか?」
「わたくしはこの国の女王です」
「え、お姫様!!」
 少女が驚き慌てて床へ伏せる。

「大丈夫です。そんなに緊張しないでください。マリィ」
「え、なんで名前を?」
「ふふ、あとあなたのおじいさまも、わたくし知っているのですよ」
「え、もしかしておじいちゃんがおはなししてくれた。お姫様!」
「はい、そうです。わたくしがフランツィスカですよ」
「おじいちゃんよろこぶ!! だってだってずっとお話してくれてて、いつもお姫様のこと心配していました」
「ああ、嬉しいです……覚えていてくれたのですね…」
「はい! わたしおじいちゃんが好きです!! もうちょっとおっきくなったらおじいちゃんと結婚します!」
「まあ、それはいいですわ! ぜひ、あなた達の結婚式にはわたくしも出席させてくださいまし」
「女王様!! やっぱりおじいちゃんはすごいんだ」

「ふふ………はい♪」
 突然目の前の女王の雰囲気が変ったことに気が付くマリィ。

「え、お姫様?」
「だから……ね。もっとこちらへ……」
「え……なんですか…ひ」
 女王様の美しいドレスがぐにゃりと歪む。無数の触手がマリィへとまとわりつく
「い、いや……お姫様……やめて……こわいです」
「大丈夫です……すぐにとっても気持ちよくなりますよ」
「ああああ!!! なにか、なにかが入ってくるの……いや…いやぁぁぁ!!!」
「さあ、こちらです。マリィ」
「……ぐすっ……おじいちゃん……」
「終わったらちゃんとあなたの大切な、愛しているおじいさまのもとへ送りますわ」
「……ほんとぅですか?」
「ええ、だから……ふふ…いっぱい気持ちよく……してあげます……ね」
「あ……あ……」
「ああ、やっぱりこの瞬間、素敵です……この可愛らしい子をもっともっと淫らに美しく……」
「あっ! あっ! ……」
 王女の前で無数の触手によって犯される少女。しかし、大切な所……処女膜は決して傷つけない。
 それはマリィがあの男と一つになる日まで決して誰にも触れさせない。
「あっ…なに…きもち……いい?」
「身を委ねてください……さあ、もっと…」

 クイーンローパーとなったフランツィスカはやさしくマリィを抱き締め、ベッドへと導く、決して傷つけないよう。
 

 ああ、まるであの時みたいです。騎士がわたしを背負って医者まで連れていってくれた時。

 『今度はわたくしがあなたとあなたの大切な人を幸せにいたします』

 ベッドにマリィを横にするとフランツィスカが同じように隣へと、美しいドレスは溶けて、スライムのような物が触手となって二人を包み込む。
「何も痛いことはありません。より美しくなれます。おじいさまを驚かせてあげたいでしょう?」
 震えているマリィの耳元で囁く女王、だんだんとマリィの瞳がトロンとしてくる。無数の触手に愛撫され、既に服も溶かされていた。
 一糸まとわぬ姿の彼女達、しかしフランツィスカは正確には違う。体のあちこちが変化してマリィを触手で優しく丁寧に、まるで愛おしいものを撫でるように。

「かわいいですわマリィ」
「こわい、んぅ。ちゅ…はぁ、はぁ、お姫様ぁ、キス、だめ」
「ああ、かわいいですわ、マリィ、ごめんなさい、キスはおじいさまにとっておきたかったのですが、我慢ができません。んぅ、もっといたしましょう、ちゅ、舌を出して」
「ん、んぅ…、ちゅ…わたしなんかへんだよぉ…ちゅ……」
 触手が小さな胸に絡み乳首をこすりあげる。まだ毛もない秘所に触手があつまり、ゆっくりと優しく音をたてながらほぐす。
「ひゃう! そこだめ……です…」
「ふふ、あなたのここ、濡れてますわよ? そうですわ。すべておじいさまの手でされていると思いなさい」
「え、おじいちゃん…」
 マリィがぶるっと震え、とたんに淫らな顔になる。
「はい、その表情ですわ。愛する男を考えてください」
 触手が少女の全身に、そして、女王も体を動かしお互いの快感を分け与える。ベッドで美しい女性と少女が絡み、ひとつへなっていく。
「おじいちゃん…おじいちゃん! 好きぃ………もっとぉ…マリィを……」
「マリィ、いまあなたに卵を植え付けます、安心して、処女膜は傷つけません。あなたもわたくしと同じくなるのです」
 マリィがまた震えると触手が秘所へ入っていく。
「あ、あああ、入って…くるよぉ……じょうおう……さま……おじいちゃん……んんぅ!!!」
 フランツィスカはマリィに抱き付き触手で頭やお尻をなでる。
「大丈夫ですわ。さあ、身を委ねてください。んんっ……」
 そしてとうとう卵が少女の中に植え付けられる。

「あああああああああ!!」
「ふふ、喜んでくださいませ。これであなたも仲間ですわ。ちゅ…
、かわいいですわマリィ、もっと気持ちよくしてあげます」

「あ…え、なひこれぇ…なにか動いて、あ、ひもひいいよぉ、え、なに、だめぇぇぇぇぇぇ!!!」
「はぁはぁ、ほら、大丈夫、ん、もっとしましょう! 大好きな……おじいちゃんにされていると思って……」
「おひめ…しゃまぁ…からだがぁぁぁぁ、わたしがぁ、とけひゅ、あは、しゅごい……」
 だんだんと少女の見た目が変化してゆく、消えなかった傷も癒され美しい肌へ、下半身はドロドロに溶けて液体へ、やがて全身が触手で見えなくなる。それらはいつの間にか、少女の下半身から伸びてゆく。
「えへ、わたし、魔物にぃ……でも、気持ちいいよぅ……」
 マリィがまだうまく動かせない触手を自分の胸に添える。
「ひゃぅ!! えへ……すごい…きもちいい……おじいちゃん……しゅき……あは……」
 なおも触手があちこちにやがてフランツィスカにも伸びていく。
「あらあら、もう、扱いが上手ですわ。ああっ、わたくしのも絡み合って、ああっ!!」
「おじいちゃん……えへへぇ」
 触手が暴れるが、それをそっと抱きしめるフランツィスカ。
「ふふ、これは……、あの男、こんな少女に……ああ、想像しただけで楽しみですわ。きっときっと喜んでいただけますわ」
 フランツィスカはうっとりとした表情で見つめる。これまでも城のものを魔物へ変えてきたが、マリィはその中でも幼くそしてあの方に恋する少女だ。
 もっと美しく、淫らに、あの男を誘惑できるようにしなくては、だがそんな心配は杞憂に終わりそうだ。

「ちゅぅ……マリィ、とても素敵です。ではあの者の所へ戻します」
「はぁい……えへ、まってておじいちゃん」
「ふふ……、少し我慢してください。きっとあの者はこちらに来ます。それまで正体がバレないよう過ごしなさい」
「……はい、女王さまぁ」
 今は魔物になったばかりで、その快感でとろけきっているマリィ。しかし、この短時間でわかった。いかにマリィがあの男を愛しているか、そして彼女には素質があった。
「運命を感じます。また時が来たら呼びます」
「はい、女王様、ありがとうございました」
 連れて来た時の格好へと擬態する。それも一瞬で。

 やはり……。マリィ、この娘はあの男にふさわしい。







「ようやく、レスカティエか変わったようで変わらないな」
 妙だった。確かに衰えはしたが、何日もかかる距離、新魔物国家も点在しあちこちで足止めをくらう覚悟をしていたが、不思議なほど早くついてしまった。
 まあいい。どうやって潜入するかだ。


「おい、そこのお前!」
「なんだ」
 く、やはり魔物に見つかったか、ん、なにやら紙を見ているようだが?

「ご無礼を失礼した。“隊長”殿!」
 確か、リザードマンとか言った魔物、しかし、立派な装備によくみると形こそ変わっているがレスカティエ騎士団によく似た紋章が鎧についている。しかも
 今、あの魔物は確かにわたしのことを隊長と呼んだ。

「ま、まさかフランツィスカ様が!」
 男は魔物など気にしないように詰め寄る。
 一瞬驚いた魔物だが、彼女も騎士である。
「そうだ。歓迎するぞ。隊長殿こちらへ」
 拍子抜けだった。どうやって町の様子をみるか、そもそもどうやって城に行き、王女様の安否を確認するか様々な策を考えていたのに……。
「さあ、どうぞ」
「ふ、フランツィスカ様!!」
 案内された豪華な馬車にはなんとあの。
「お久しぶりです。隊長様!」
「ああ、良かった。………」

「では、城まで」
「はっ! 女王様」
 奇妙なことが続く、魔物が王女、いや今確かに女王様と言った。いったい何がどうなっているんだ。魔物に侵略されてレスカティエは滅んで……。

「くすくすくす、驚いているようですね。説明いたしますわ」
「はい、でも、とにかくご無事でなによりです」
 進む馬車からレスカティエの町を見ることができた。な、魔物と人間が一緒に居る!
「レスカティエは魔物と人間が暮らす国へと変わりました。この景色が何よりの証拠ですわ」
「はい、驚いております。最前線で戦うことはなかったので、魔物達のことは主神教のことを鵜呑みにしてました」
「そうでしょう。それは仕方のないことですわ」
 目の前にいるのは間違いなくフランツィスカ様だ。
 話し方、雰囲気、些細な表情の変化。男は戦闘には向いてなかったが、人を見る目だけは確かだった。
 つまり、彼女の言っていることは紛れもない真実。

「あと、女王様に即位されたのですね。おめでとうございます」
「あら、もう気が付きましたか、さすが隊長様ですわ」
 さっきから、町の魔物や国民達がこの馬車に向かって手を振っている。フランツィスカも微笑ながら手を振り返している。
 ああ、なんて幸せな光景なんだ。

「もう、わたしには何があってどうなったなどどうでもいいです。こうしてお会いできて、国民が幸せに暮らしている。馬車を止めて下さい」
「え? 隊長様どうされたのですか?」
「実は故郷にわたしの養子ですが、一人残してきているのです。その者を連れてまた来てもよろしいでしょうか?」
「いいえ、それならなおのこと城にいらしてください」
 止まらない馬車、一瞬だけ見せた女王の表情。
 何かがおかしい。でも、こうして王女、いや、立派な女王へとなったフランツィスカ様がおっしゃるのだ。城に寄ってそれから……。



「はい、着きましたわ」
「女王陛下、どうぞ」
「いいのです。隊長さまには以前のようにフランでよろしいですわ」
「そ、それはご勘弁ください」
「だめですわ。女王として命令です」
 笑い出す二人。
 ああ、なんだろう。たったひと時だったのに、こんなやり取りも冗談も覚えてくれているなんて。

「では、フラン女王様」
「むぅ、ちょっとかたいですけど、よろしいですわ。閣下様」
「なにか、よりかたくなりましたが……」
「ふふっ、では閣下さまということで」
「ご容赦を」
 城は以前とほとんど変わっていないようだった。とてもここで争いがあったとは思えない。
 変ったことと言えば、人間も魔物もいる。みな女王を見ると驚き床へと。
 なんだか、緊張してきた。
 こんな老いぼれが多少後ろとはいえ、女王様と共に城を歩いているなんて信じられなかった。

「こちらへ」
「なつかしいですね。この部屋も変わらない」
 そこは以前男が訪れていた王女時代の部屋。
 あの別れた時から何も変わっていない。
 途端に青ざめる男。

「女王陛下様」
 膝を折って男が床へと伏せる。
「ど、どうしたのです。顔をあげてください」
「以前は別れの挨拶もせず、突然居なくなってしまったことをお詫び申し上げます」
「いいのです。話はすべて伺っております。どうか頭を上げてください」
「ですが」
「お願いします。顔をあげてください。あと閣下さまには……」
 とたん部屋の雰囲気が一変する。

「女王様っ!? これはいったい」
「わたしはここで見ています。どうぞあとは“二人で”」


「おじいちゃん♪」
「なっ!! マ、マリィ!! どうして、ここに」
「待ちきれなくて、先に来てしまいました」
 女王様はそんなわたし達の様子を笑顔を見ている。
 いったいなにが

「えへ……じょうおうさま…もう……いいですかぁ……」
「はい……もう我慢できないのでしょう?」
「はい……おじいちゃん…を見て……はぁ…はぁ……だめ…」
「マ、マリィどこか苦しいのか?」
 あわててマリィを抱きしめて様子を見ようとする男。
「ちゅぅ……」
「な、んん!!!」
 そして男の唇がマリィに塞がれ男は気を失った。

「あらあら、ちょっと刺激が強すぎたかしら」
「おじいちゃん……ちゅ…ん…すきぃ……」
 尚も口付けをやめないマリィ、姿は大人と言えど魔物化して若干幼い性格へと変わったようだ。そう、男と出会った時のように。

「女王さまぁ……」
「ふふ、何事もあわててはいけませんよマリィ。その者はもう年なのです。ゆっくりゆっくり交わって、そうすれば、インキュバスへとなりきっと……ふふ」
「はぁい……わかりましたぁ……おじいちゃん……こっち…」
 体全体から触手を伸ばし優しく気絶した男をベッドへと運ぶマリィ、実はこの部屋は王女の部屋ではなくマリィと男の為に用意させた部屋だった。
「さあ、ゆっくり優しく犯してあげなさい」
「はい……えへへ、おじいちゃん……ぬがせるね……」
 触手を器用に使い、男を裸にしていくマリィ、溶かすこともできたがあえてそれはしない。

 やさしくする。
 ゆっくりする。
 そして繋がる。

「やっと、やっと、ひとつになれるんだぁ……うれしい」
「ああ、あんな少女に……ふふ…いいですわ…マリィもあの者も……」

「おじいちゃん……きすぅ……ちゅぅ…マリィのたっぷり……」
「ん……ここは……」
「あはぁ…おきたぁ……んちゅ……ちゅぷ…」
 わたしは、え? マリィがわたしにまたがって口付けをしている??
「ま、マリィ……んっ…やめ…」
 体が動かない、なんだ、このねばねばした。そんなマリィからこれが伸びているのか?
 いったい……ぐ…
「おじいちゃん…マリィね……ずっと、ずぅぅぅぅっと、我慢してたのです。ほらぁ…こんなに濡れて…ます……愛してます…」
「ば、ばかな真似はよせ! 早く拘束を解くんだ」
「だめです」
 淫らに微笑みながら、触手で尚も男の体を抱きしめる。絶対に逃がさないというように。
「じょ、女王様…これは……」
「マリィの望んでいたことですわ」
 にっこりとほほ笑む女王様、よく見るとフランツィスカ様のドレスもまるで………そんな……そんな。
「もう、おじいちゃん……マリィだけをみてぇ……ほらぁ……こんなに綺麗になったんですよ。全部全部おじいちゃんのため……ちゅぅっ…ちゅぱ……」
「あっ、ひっ……や、やめ…マリィ……なんでこんな」
「だから愛してるのです……あの日……ちゅ……マリィを…ん…助けてくれた……あは……ずっと……ずっと…ちゅっ…こうしたかった……」
「そんな、マリィにはもっと……んん!!!」
「マリィにはおじいちゃんしかいらないの、他の男なんていらない。……ね……だから……」
 触手が男の肢体をがっちりとベッドに固定する。
「ま、まさか……」
「えへ、ひとつになりましょう」

「ああ、素敵ですわ。マリィ……それに隊長さまも……心より祝福いたします!」
 触手が部屋の中を暴れまわる。

「じゃ……入れるね……んんっ!!!」
「や、やめる……ああっ!!」
 マリィの下半身が女性のそれへと変化すると毛がまったく生えていない女性器へと男のペニスが沈んでゆく。
「やったぁ……ん、もうちょっとです」
「ま、マリィ……やめてくれ」
「だめです。わがままなマリィはやめませんっ!! んんんんぅぅぅ!!!!」
「あああーーーー!!」
 ぐちゅりと完全に男のペニスが何かを突き破ってマリィの中に完全に消える。
 それを嬉しそうに眺める女王。
 マリィも歓喜に震え、より触手が男へと愛おしそうに巻き付いてゆく……。
「……ぜったい逃がしません……おじいちゃんはマリィのもの……マリィはおじいちゃんのものです!」
「ぐっ……動かしたら」
 ぐちゅぅ…ぐちゅぅ……
「大丈夫です。ゆっくり犯してあげます。たっぷりとマリィの体を味わってください……えへへ」
「く……、耐えてみせる……」
 騎士だ。娘同然のマリィの中に出すなんてそんなことは出来ない。
「ちゅぅっ、……さすがおじいちゃん……あはぁ……かっこいいよぉ……でも…いつまで……耐えられますか?」

 ぐっちょぐっちょぐっちょ!!

 だんだんとマリィの触手の動きが激しくなり、男も強引にそれによって快感を送り込まれる。口には絶えずマリィの甘い砂糖のような唾液が流し込まれ、耳にも触手が……
「ああっ!!!」
「すごいです。そんなに耐えるなんて」
 女王も男の様子に驚くばかりだ。でも、二人の邪魔はしない、今日は大切な二人の記念日になるのだ。それを見届ける。

「わたしが変えたマリィ…、わたしを助けた隊長様……、ああ、絶対に幸せにしてあげます」
 淫らに微笑みながら、でも、彼女の人間だった記憶は確かに存在する。この男はマリィによって必ず幸せになる。ただ、わたしはマリィの背中を押しただけ。


「おじいちゃんっ! おじいちゃんっ!! ほら……無駄ですよ……マリィの中に出して……ね………ふふ…もう限界ですね」
「く……ふぅふぅ…」
 マリィの言う通りだった。
 拒絶する必要はもうないのでは? マリィはこんなにもわたしを求めてくれている。例え姿が変ったとしてもマリィはマリィだ。間違いない。
 さっきの町の光景が、フランツィスカの想いが伝わってきた。

 ああ、そうか……。

「マリィ……わかった」
「おじいちゃん!」
「うん、わたしはもう限界だ……」
 優しくマリィへとほほ笑みかける男。
「ちゅっ……すき……すきぃ…おじいちゃん!!!」
「ま、マリィっ!!」
 二人の腰がぐっと重なる。
 大量の精がマリィの中へと入っていく……。
「すき……すきです……ちゅ…わたしの騎士さま……」
「マリィ……さびしい思いをさせた…ゆるしてくれ……」
 抱き合う二人、マリィの拘束はもう無かった。男の腕の中で涙を流す少女、マリィ……。
 元騎士であった男も涙を流す………。
 しばらく、抱き合って、触手が二人を再び包み込む……。



「良かったです……二人とも……、これでまた二人も助けられました」
 ゆっくりと部屋を出ていくフランツィスカ、かつての恩人が愛するものと結ばれた瞬間を見ることができた。
 もう大丈夫だろう。
 この城で二人は永遠に幸せになる。



「マリィ……」
「なんですか、騎士さま……」
 返事の代わりに口を合わせる。
「ん、嬉しい……マリィも…ちゅ」
 またどちらともなく動き出す二人……、ゆっくりするはずだったが、マリィの注ぎ込んだ魔力は思いの他多かったようだ。すでに男はインキュバス化へと進んでいる。


「マリィっ! マリィっ!!」
「えへぇ……おじいちゃん……しゅき……だいすき……ちょうだい…もっとぉ……」
「はぁ……はぁ……」
「嬉しいです……やっと夢がかないました」
「わたしもだ……もう、色々と理解した………女王様には後でお礼を…う」
「もう、おじいちゃん、それは後でいいです。今はもっともっと、一つになりましょう……」
「マリィ……ちょっと、いや、やはり育て方を間違えたか?」
「んふふ……間違えてません……」

「そうか……はは…そうだな!」
「うん! だからこれからも……ずっと一緒です…」
 再び流し込まれる精。
 マリィも男へと魔力を流し込む。





その後
 城では女王様により、大規模な合同結婚式が執り行われた。
 これはレスカティエではもはや恒例の行事のひとつとなっている。レスカティエで結ばれた魔物娘と人間の男。かつてのフランツィスカに少しでもかかわり、女王自らが魔物娘を紹介し男との中を取り持つ、女性はマリィのように魔物化して………とこんな具合だ。

 そして、かつての老騎士は、正式に魔界国家レスカティエ女王殿下の直属の近衛部隊へと配属がきまった。マリィと何度も交わった結果、身体能力は向上し、遅咲きではあったが、男は新たな騎士としての頭角を現した。

 大勢の魔物と人間が本日正式に結ばれた者達へと祝福を送る。

「マリィ……」
「はい、旦那さま……いえ、やはり騎士様」
「愛してる」
「マリィもです……ちゅ…」

 また歓声が上がった。
 微笑み何度もキスを交わす二人。
 

 





「ああ、そうでしたわ。あとでマリィと共に昔話を聞きませんと……」
 まあ、いいでしょう。今はこの時を楽しみましょう。





 魔界国家レスカティエ、そこを治める女王は慈悲深く、そして、魔物、人間を問わず多くの命を救ったものとして………。
 いや、終わりではない。

 まだまだ、レスカティエはこれからも続く。
 美しく淫らで幸せで堕落した国へと。
18/07/27 23:46更新 / ロボット4頭身
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■作者メッセージ
以前から書いていた話をようやくまとめました。
色々と時間軸の調整があやふやになってますが、そこはご勘弁を


ここまで読んでいただきありがとうございました。

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