連載小説
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エピローグ
山中に開いた洞窟の中、2匹の魔物が折り重なって倒れていた…。

「うふ、ふふふふふえあへへへ………勝ったわ……」
「………。」

奇妙な笑い声と共に勝利宣言をしたのは上にのし掛かる桃色の人魚。下敷きになっている方は返事が無く…盛大にアヘ顔を晒しながら意識を飛ばしている。

一応、ローゼの勝利であった。


その後、事前に手配していた街のスタッフが3人を回収するに至って、事態は無事収束したのである。



そして数日後…



陽は晴天、正午の最も強い陽光が天空から射し込み、乱反射して辺りを柔らかく照らしている…
ローゼと、かの少年は共に海中に居た。


…洞窟から回収されてすぐ、彼女は少年に想いを伝え、少年もそれを受け取った。そして近場のシービショップを呼んで儀式を執り行ったのだ。二人とも異常に敏感になってしまった身体での交合は互いに苛烈を極めたが、それでもすぐにやってしまいたかったのである。一度互いを失いかけた二人はもう二度と離れ得ぬように、より強く結び付きたかったのだ。

そして今…
二人は抱き合ったまま身動きせず、ただ海中を漂っている。


「そろそろ…動いても大丈夫かな?」
「は、はひ…」
「じゃあ行くね♪」

言うやいなやローゼは尾びれを動かし、緩やかなスピードで泳ぎ出した。

「……ッ!?」

少年が小さな悲鳴を上げた。ローゼもまた小さく呻くが構わず進み続ける。やがて彼女に抱き抱えられその胸に顔を埋めさせられている少年の小柄な身体がビクリと震えると、一拍遅れてローゼのほうも身体を強張らせ、泳ぎを止めた。慣性により数メートル前進した後、二人は再び海に漂うに任せる。

「…ふぅ…中々進まないねー…」

「ぁ………ぁ、……」

「ま、時間は幾らでもあるんだし、ゆったり行こうか♪」

そんな陽気な提案に胸の中の少年がコクりと頷いたのを確認すると、彼女は先程よりも更にゆっくりな速度で泳ぎを再開した。


彼らは今、新婚旅行の真っ最中である。それもただの旅行ではない。「海中を渡っての世界一周、それを繋がったままやってしまおう」という頭のネジが彼方へ吹き飛んだかのような企画なのだ。
もちろん提案者はローゼであるが、それに若干怯えつつも乗った少年もかなりの猛者であった。今回の一件である意味鍛えられたのかも知れないが、むしろこのくらいでなければメロウの伴侶は勤まらないだろう。…もっとも、肉体のほうは性的に随分と弱体化されてしまったので、このようにしょっちゅう休憩を挟まなければ耐えられないのだが…彼女の言う通り時間は文字どおり無限にあるのだから気長にやればいい。

ゆったりと動いていたヒレの動きが、また少しずつスピードを上げ始めた。同時に、それに連動して複雑に蠢く膣内の蠕動も激しさを増して行く…。この方法ではメロウの泳ぐという動作がダイレクトに膣内の動きに連動する。つまりこうして繋がり合ったまま泳ぐだけで、ローゼの、内部に無数の柔突起を備えた肉筒が中に捕えた少年のモノを激しく、予測不能な動作で揉みしだきたちまち精を搾り取ってしまうのだ。
しかもその動きは泳ぎのスピードが上がるほど激しくなる。仮にローゼが全速力で海中を進んだ場合、彼女に捕えられた少年は数秒と持たず果て続ける事になるだろう。同時に胎内に愛しい相手の精を受けた彼女自信もまた同じことになるのであるが…

「んひゅぅぅぅ!!」

…やはり数分足らずで甲高い嬌声が上がった。しかし、今度は彼女は泳ぎを止めなかった。
そしてその顔には少々意地の悪い笑みが浮かんでいる。当然、少年の方は射精後の敏感なペニスに与えられる終わらない快楽に言葉にならない声を上げるが、

「…ちょっと鍛えよっか?今後の為にも、ね♪」

無情にもそう言うと、再び彼の頭をその豊乳に埋めて黙らせ、更にスピードを上げた。

メロウの息が上がる。…この、男性の陰茎を膣にくわえたまま泳ぐという行為は膣内を激しく蠢かせ、その摩擦で快楽を生み出す為、魔物の側も耐え難い快感を楽しむ事ができるのだ。しかもローゼの場合、先の魔水を使った自爆攻撃により身体の性感が以前とは比較にならない程上がってしまっていた。故に今この時も、彼女は繰り返し訪れる絶頂に晒され続けているのである。しかし、元から魔物であることの能力的優越と、さらにその中でもとりわけ好色なメロウという種族の特性と矜持が、彼女に行為の主導権を握らせていた。
先の「鍛える」という言葉は彼女自身に対しても向けられた言葉だった。

…一気に1キロ程は泳いだだろうか、腕の中の少年は序盤は強制的に与えられる快楽に身体を強張らせつつも耐えていたが、中程からかは逆に力が抜け、為されるがまま、その拷問のような快楽をそのまま受け入れる事となった。
そして今は彼女の胸の中で気持ち良さそうに失神している。

「ふふ…」

その髪をいとおしそうに撫でながら、彼女もまた連続絶頂の余韻と心地よい疲労感に包まれ眠りに堕ちるのだ。少年の頭にはメロウの夫の証である赤色の帽子が貼り付いている。彼はそこから供給される魔力により、またローゼは彼から直接注がれた精によって、目を醒ます頃にはすっかり体力を回復させているだろう。

彼らの1日はこうして終わる。



―――――――――――

一方その頃、とある街の教会にて…


荘厳な外観と内装をもつ地上の協会、その最奥に地下へと続く階段がある。その階段を下った先には広大な地下空間が広がっていた。長大な通路の壁面には、無数の扉が等間隔で連なっており、その先は人間の目では確認出来ない。まるで何処までも無限に続いているかのような錯覚すら覚える。
そしてそれらの扉から続く部屋の1室に「彼女」は居た…。



狭い室内に熱気が立ち込めている。そしてその中央に鎮座する物体…

「いひっ!ひひ…あっ、あは…!!」

それは肉色をした巨大な椅子の様なモノだった。まるで地面から生えているようなそれは時折有機的に蠢き、脈動している。

「あひっ、ひひいぃぃぃーーっ!!」

そして、その奇妙な肉の塊に座ら「されて」いるのは例の、誘拐犯のサキュバスであった。
彼女の両手両足は椅子から伸びる触手により拘束され、身動きひとつ出来ない。そして彼女の座高より高い背もたれから足の裏が接する床に至るまで、彼女の座る面にはびっしりと毛糸程の太さの触手が埋め尽くし、椅子に捕えたその肢体を徹底的にくすぐっていた。

「まったく…惚れた相手とはいえ他人の恋人を誘拐して洗脳だなんて流石に乱暴過ぎますっ!…まぁ、気持ちは分からないでもないですけど、あの子可愛かったですからね。でももう少し平和的な方法でですね、そうでなくても二人で一人を愛するという選択肢だって………って!、聞いてるんですかっ!?」

「あははっ!、い゛、い゛ひひぃぃっ!!…!」

その隣では彼女を担当するダークプリーストの拷問官(?)がくどくどと説教を続けている。

「…そうですか、聞く耳持ちませんか。…ならそんな耳は塞いでしまいましょうかね…」

…話を聞ける状態ではないとかそういうことは一切考慮されないらしい…。
拷問官の声に反応するように、頭をあずけている背もたれの部分が両側からせりあがり、両の耳を側頭部ごと包み込んでしまった、…もちろん内部は繊毛触手により蹂躙されている。

「お゛!おほぉっ!!」

敏感な耳の中、そして耳朶の裏側まで舐めしゃぶられ、さらに脳を直接犯してくるかのようなぐちゅぐちゅという湿った音が彼女を襲った。痺れるような快感が全身を駆け巡り、力が抜けてゆく…。

しょおおおぉ……

辺りに水音が響いた。脱力と共に尿道まで弛み、ついに失禁してしまったのだ。

「あぁ…粗相をしてしまいましたか……これはお仕置きですね…」

おもむろに拷問官は右手の中指を虜囚の秘所に突っ込むと指の平を上に向け、膣内のあるポイントを優しくマッサージした。すると、出したばかりだというのに再び尿意が急速に沸き上がり膨らみ始める。

「はあ゛っ!?や、やめへぇ…もれる…またもれちゃううぅ…ッ!!」
「あらあら…、こっちは別にいいではありませんか、尿とは違うんですから…それとももう区別が付かなくなっちゃいました?サキュバスである貴女が、まるで初体験に怯える生娘みたいに?」

サキュバスにとってはかなり屈辱的な言葉で言いたい放題な拷問官、…もっともそれを聞かされる筈の当人は触手で耳を塞がれたままの状態なので実際伝わっているのかは疑問であるが…、どちらにしろ彼女の指は止まらない。

「ほらほら…がっつり潮噴かせてあげますからちゃんと楽しみなさい!」
「ふひぃーーっ!いひっ、ひぃぃぃーー!!」

対する誘拐犯の方はその間も全く容赦されないくすぐりと、そこに混じり始めた快楽に前後不覚で悶え狂った。やがて…

ぶしゅぅっ

「あ゛ーっ……あ゛っ……あ゛…」
勢いよく股間から飛沫を上げるとぐったりと身体を弛緩させた。
しかし、これだけではただ彼女を悦ばせだだけ…彼女に対する「お仕置き」とはここからが本番なのである。

「はひっ!?」

変化はまず足元から始まった。それまで足の裏を覆うのみだった触手の絨毯がまるで成長するかのように拡がりを見せ、足の甲から足首の上までを包み込んでしまったのである。それはまさに触手で出来た決して脱ぐことの出来ない靴か靴下を履かされてしまったような感触だった。土踏まずや指の付け根、指の間、そして足の甲と敏感な箇所は特に徹底的に舐めしゃぶられ、まさぐられる。それ以外の場所もまた、硬さの違う大小の柔突起が休むことなくマッサージが続けられ、さらにたちの悪い事には、それらの責めは不規則にパターンや触手の形状を変化させ、決して刺激に慣れさせてくれないのだ。この「靴」に足を突っ込めば、人間なら10分と待たずに笑いながら泣き出すだろう…そんな過酷な責めであった。
…しかし、それすらあくまで足だけの話…今拷問にかけられている彼女はその上で体の背面全てを、この触手の絨毯に預けているのだ。しかも絶頂に達した直後の敏感な体で、である。

「あ゛、あ゛は、あがっ…!!」

今のこの状態こそが、拷問官の言う「お仕置き」であった。その状態がしばらく続き、そしてようやく、それまでずっと耳を覆っていた肉塊が引っ込んだ。暴れていた触手群も皮膚の上を柔らかく撫でるような、優しい動きへとシフトする。先程までとは打って変わって、うっとりするような心地良さだ。まさに地獄の後の極楽であった。

「もしもし〜聞こえてます?」
「……。」
「…ちゃんと返事をしてくれないとまたお仕置きですよ〜?」
「…ハヒィッ!?」

その心地良さに、疲労も相まってつい眠りに落ちそうになるが不意に混じったその悪夢のような言葉に叩き起こされた。その様子を見て、拷問官は柔和な顔に慈愛の笑みを浮かべる。

「ふふ…、一旦お休みにしましょうか。刑期(さき)は長いんですから…明日には「それ」が膝くらいまで成長するでしょうし。」

希望と絶望の両方を孕んだそんな言葉が室内に響いた。

拷問官の言う「それ」とは今足を覆っている肉塊のことである。成長という言葉が示す通り、この拷問椅子は魔界の触手植物を改良した、人工生物であった。文字どおり地面から生えており、捕らえた者の体液等を養分にして成長する。つまりそこに捕らえられた獲物は日に日に身体を覆われてゆき、同時により苛烈に進化してゆく責めに恐怖しなければならないという、極めて意地の悪い設計なのである。

「そんな…むりぃ……!!」
「大丈夫ですよ、最低限の手加減はしてくれるようにこの子は出来てますから。それにそのうち新たな性癖が目覚めてくるかも?」
「目覚めるかぁっ!!」
「やっぱり続行ね♪」
「ふぇぇぇー!?」

彼女が娑婆に出られる日は遠い…
12/09/25 03:56更新 / ラッペル
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■作者メッセージ
半年もかかっていしまいましたがとりあえず完結です。

…くすぐりは魔物娘への残虐な行為には含まれ…ないですよね?

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