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女性の○○ 大事です

ここは大陸中央部…傭兵団アルモニア本拠地…の近くの村…

「……………」

酷く寝にくい…そう思った……
まるで自分が海の中で鉛と共に沈んでいるようだ。

「コロロ……どいてくれ………」

「Zzz……らめだよ〜……えっちぃん……Zzz…」

ヴェンは重みで目が覚めた。仰向けで寝ていた彼の上に、コロロが寝ていた。

「まったく…」

ここまで幸せそうな顔をされたら起きるにも起きれないじゃないか…
そう思って暫くの間、コロロの寝顔を眺めていた。

(そういえばセシルは……もう、あっちに行ったのか…?)

彼は住む村が近くだったのでここからあの傭兵団に通っている。セシルも現在は住む場所もないので、本来なら傭兵団の寮にでも住むべきなのだろう。
しかし、ヴェンに付き従う以外の事を良しとしない彼女はヴェンの家にメイドとして住んでいる…

いつもなら、口付けやらなにやらで起こそうとするのだが…どうやら彼女もコロロの寝顔にやられたらしい…今回は何もしてこなかった。

「コロロ。そろそろ起きるぞ……ん?」

さっきまで幸せそうにしていたがその表情に苦悶が浮かぶ。

「お、おい?」

「う、うう〜……」

試しに額に手を当てる……その額は熱かった。

「昨日、水浴びでもして風邪でも引いたのか…?さっきまであんなに気持ちよさそうだったのにな…」

仕方がない、起こさないようにベッドから抜け出して…水枕で寝かせておこう。


コロロを水枕に寝させ、ヴェンが部屋を出ようとすると…

「おにいちゃぁん…いかないでぇ………」

そう言って布団を抱き、寝言を繰り返していた。
少し申し訳ない…

「静かに留守番してたら、甘えさせてやる。だから今は我慢しておけ」

起こさないように近づき、頭を撫でてた。
少し、彼女の表情が柔らかくなった気がする。

すやすやと寝息を立てるのを確認し、ヴェンは家を出た。





本拠地に着くと…まず、入り口付近にいる受付から始まる。

「あら?御主人様」

不意にセシルの声が聞こえた。

「お待ちしておりました。…コロちゃんは一緒じゃないのですか?」

「いや、いきなり風邪を引いたらしくてな。今は家で寝てる」

たくさんの書類を抱えている…いつも彼女は忙しくこの傭兵団のいろんな仕事を任されているらしい。

「ええ!?コロちゃんがですかぁ?」

「ああ、まあアイツのことだし心配は無いと思うがな」

ヴェンがそう言うと、セシルがムッとした表情になり、

「だめですよぉ…コロちゃんだって甘えたい盛りの女の子なんです。魔物だって風邪も引きますし病気で死んだりもします。心配無いなんてことはないんですよ?」

顔を近づけて本当に怒っている。それにはヴェンも戸惑った。

「あ、ああ…わかった。…しかし、子供の事になると別人のようだな…」

「ふふ♪いつものことですよ」

本当に子供が好きなのだろう。屈託なく笑ったあとはコロロの事を心配していた。

二人で本拠地の廊下を歩く。

「エルフィンとライムは?」

「あの二人はまだ寮で寝ているみたいですね。正直…いつ喧嘩するのかわかったものではないですが……」

「ははは…たしかにな…」

エルフィンはともかく、ライムもヴェンの家に居候したいと言っていた。ウチは宿屋じゃないときっぱり断ったが。それでもあのエルフィンと一緒の部屋にいるというのは不安が残る。

そもそも、ライムも大人しく寮に入れられるのを良しとするタマではないだろう。いつ襲ってくるのかわからないのが最近の彼の悩みだ。

「ん?」

そんなことを考えていると、見覚えのある人物が廊下の奥から現れる。

「あら、ヴェンではありませんこと?」

高飛車、高貴…その二つを連想させる口調と声音だ。

その女性の下半身は蛇…つまりラミア種なわけだが…

「リノアさんではないですか?御主人様に何か御用で?」

リノアと呼ばれた女性はセシルの言葉を無視して、

「お久しぶりですわね。一日千秋の想いで待ち続けておりましたのよ…」

「リノア……だからそういう冗談は……少なくとも周りに人がいないとこでやってくれ…注目される…」

ヴェンは周りを見る…リノアはこの傭兵団では有名だ。親衛隊(いろんな意味の)まで出来るぐらい……そんな彼女が男に近寄ってると…親衛隊の男に知られたら…

「ワタクシは本気ですわよ?貴方が一番、ワタクシの見た男の中で素晴らしいのですから…」

「リノア・シュテンリヒさん!!」

さすがに無視されたのがいただけないのか、セシルは強めに名前を言った。

「……セシルではないですか…あら、ワタクシったら…ヴェンに夢中で貴方のちっぽけな存在に気がつきませんでしたわ…」

「エキドナ様はとても偉いんですねぇ。でも、もう少しその態度を改めないと、すぐに生き遅れますよぉ?」

「既に生き遅れたオバサンに言われたくないですわぁ…せっかくの整った顔がいずれシミやしわで台無しになりますわよ?」

まずい…このままエスカレートすると……

「と、言うのは冗談でして、ワタクシ…少し貴方達、つまり第6部隊にお願いがあってきましたの」

そこで話の腰を折ったのが、意外にもこの人だった。

「お願い…?」

「後で貴方達の部屋で依頼として話します。ですので、少し出歩かないでもらえません?」

ヴェンが頷くと…では、また後で。そう丁寧に礼をし、どこかに行ってしまった。

「しかし、あのリノアが俺達に依頼だなんて……なあ、セシル」

「……わたくし……しわとかしみとか…ありませんよね…?」

気にしていたのか…
















「「……はぁ?」」

「アーーーーーッハッハッハッハッハッハッハ!!!!」

「………プッ…」

「だから、あまり他人に言いたくありませんでしたのに…」

いつもの5人…と言いたいところだがコロロは病欠だ。

リノアの依頼…それにヴェンとセシルは唖然…ライムは大笑いし、エルフィンも含み笑いをした。

「い、言っておきますけど…この問題はいずれこのアルモニア全体の女性を巻き込む大事件に発展しますわよ!!」

「だからって……ねぇ……ぷっ……あーーーっはっはっはっはっは!!!」

「ま、まあ女性には大問題かもしれないが…」

「……クククッ…」

三人がこの依頼の内容にリアクションしている中…セシルが口を開く。

「たしかに、その事件は噂ながら聞いていますよ。下手をすれば確かに隊全体の女性の士気に関わると思いますが………正直…ウチは便利屋じゃないので乗り気では………」

「そうだな……なんでもやってくれると思ったら大間違いだぞ…それなりの報酬があれば俺はやる気はあるのだが…男の俺が関与するわけにも…」

この隊をまとめる二人が首を縦に振らない。
それは依頼を受けない…ということだ。

「まあ、依頼を受けるとは思っていませんでしたわ…でも、気をつけなければ…この場にいる貴方達もいずれ被害を受ける事になりますわよ?」

そう、言い残し…リノアは出て行った。

「お気をつけて……♪」









夜…


「御主人様もコロちゃんも寝ましたね…」

お二人は本当に兄妹のようです……御主人様もコロちゃんも血の繋がりなんて意識してはいないですし、コロちゃんは御主人様に拾われる以前の記憶が曖昧らしいですから、御主人様を本当に兄のように…

少々…羨ましいですね…


私は……自分でも自覚しているぐらい、コロちゃんを可愛がっています…
まるで…母のように……

…未だに未練があるのでしょうか……

あの子達を忘れたわけではない…でもいつまでも引きずるわけにもいかないのに…

「…いえ、そんなことを考えてはいけませんね……そんなことより、お召し物を…」

タンスを覗くと…決定的に何かが無いことに気付く…

「…あら?」

どれだけ探してもない…わたくしのものだけ…





先にアルモニア本部に行っています…




手紙を置いて、わたくしは夜中……本部まで走った…








翌日……


「ヴェン!」

「ヴェン……」

「御主人様……」

今日もコロロは病欠だ…ヴェンが仕事部屋に入ると、既に入っていた三人が口を揃えて彼を呼んだ。

「お、おい?どうしたんだ三人共?」


「「「…………」」」


空気が重い……

「盗まれたのよ!!ヴェンとアタシでおそろいで着る為の下着とか!!」

ペアルックで着る下着なんて聞いたことはないが。

「私の………」

エルフィンも信じられないという表情だ。

「わたくしも…不覚でした……」

「し、下着……まさかっ!?」

先日……リノアの依頼の内容は……

『下着泥棒を捕まえて欲しい』

という内容だった。

最近、女性ばかりを狙った下着泥棒の事件。

人間女性や普通に下着を穿いている良識のある魔物達に被害をもたらしていた。私、下着穿かないから別にいいも〜んなどという魔物もいるが。

「……というか俺は、ライムが下着を穿いていたということに驚きだな」

「アタシをどんな痴女だと思ってるのよ……下着がないと変化した時に揺れて肩凝るし蒸れるしで大変なんだもん!」

まあ確かにそうだ。そういう理由もあるし、戦闘で揺れて邪魔になるという理由もあって、実は下着を着ている魔物も多い。

……ライムは変形できるから必要ない気もするが…女のプライドというやつだろうか…

「わたくし……リノアさんに依頼を受けると伝えてきますね…」

セシルはそれだけ言って部屋をでた……
その右袖にはナイフをチラつかせ……左袖からは微妙に鎖が見え隠れしている。

「アタシも探すわ!!ヴェンとアタシのペアルック下着ぃぃぃぃぃ!!!」

そのままライムも出てしまった…

エルフィンも黙って……

「お、おい…お前も探すのか……?」

「見つけたら………」

彼女からはまさに……殺気があふれていた……

「剥いで吊るす……そして晒す………」

彼女なら本当にやりそうだ。
そのまま出て行く………

ヴェンはどうするべきか迷った…
これは女性の問題だ……男であるヴェンが関与するべきではない。
いや、それよりも彼は危惧しているのは…

解決しようと自分も動くが、その結果自分が泥棒と勘違いされるかもしれないというお約束的な展開である。

(まあ、空想話ではないんだし、そんなこと起こるわけはないが…)

だが、この世の中だ…魔物にいつハメられるかわかったものではない。

(大人しく…コロロの看病でもしているか…)

もし、あの三人が手こずる様であれば手助けをしよう…そう思ったのだった。
無難な判断だなと思い、本拠地を後にする。







一方…その頃……




「ライム……何が悪かったか言って……」

「アタシがやっと見つけた犯人っぽいやつを追ったらアンタが前から来てぶつかってきた…」

「逆よ。私がやっと見つけた犯人を追ったら貴方がぶつかってきたのよ…」

「なにそれ?アタシのせいだって言いたいの?」

「ええ、貴方のせいだけど?……それより、早くどいてくれない?ずっと乗られてるのは気分が悪いわ…」

「ああ〜もう、わかったわよ!」

もぞ…

「んっ!?」

「へっ?」

「ば、馬鹿!!変なとこ動かさないで!!」

「…ふ〜〜ん♪へぇ〜〜〜…なぁるほどぉ〜〜♪」

「ひゃっ!?く……だ、だから、やめなさいって言ってるっ……の…」

「ほぉ〜〜♪ここが弱いんだ〜。エルフィンの弱点はっけ〜〜ん♪」

「やめ、ふあ……あひ…ん!?」



結局犯人は捕まえられなかった…
数時間後、スライムの体だったので平気だったが、体をバラバラにされたライムが発見された…

余談だが、バラバラになった彼女の手の近くでは…

C…敏感…

と書かれていた。









「おにいちゃぁん…お帰りぃ〜……」

コロロはふらふらとおぼつかない足取りで家に帰ってきたヴェンを出迎えた…

「コロロ……お前…自分が病気だってわかってるのか…?」

らって〜〜…と…おそらく「だって」と言いたくて呂律がまわらないのだろう…
顔も上気して……どこか宙に浮いている危なっかしい感じがする……

「おにいちゃんが…いないんらもん……」

はぁ…そうヴェンは溜息を一つし、

「風邪……俺にうつすなよ?」

「………うん!」

ヴェンの意図がわかったのか、コロロは元気良く返事をした。
そういえば、セシルはまだ例の犯人を捜しているのだろうか……コロロを部屋に連れながらヴェンはセシルが不在なことに気付く。

(そういえば…アイツも盗まれたとか言ってたな…ということは犯人はウチにも不法侵入してるのか……そう考えると他人事じゃないのかもな…)

ふと、そんな事を考えたが…セシルが不法侵入を許すなんて信じられないな…とも思う…

「そういえば、何か家で変な事あったか?」

「なにもぉ〜……それにぃ〜鼻が詰まっれ〜…匂いもわかんらいからぁ〜……」

たしかにそうだった…任務でも頼りになるコロロの鼻……それは今では全く使い物にならない…

「そうか………」

さすがに二度も同じ家から盗もうとしないだろう。そう思いながらヴェンは普段着に着替える。
そのままコロロと一緒にベッドで横になった。
仰向けになって寝ていると、決まってコロロはその上でうつ伏せになって寝るのだ。

「…………」

「クゥーン……♪」

正直、恥ずかしい…顔が火照っていく感覚を彼は感じた…
寝息を立てながら子犬が甘えるような声を発し、そのままコロロは寝てしまった…










数日が経過する……

「お前ら……まだ捕まえられてないのか?」

コロロは未だに病欠だ。看病の方は村で仲良しの彼女の友達に任せている…

「う………面目ないです…」

「影ぐらいは見たことあるのよねぇ……でもものすっごい速いのよ…」

「探知魔法も潜り抜けられたわ…相当な手腕の持ち主よ…ただの下着泥棒と思わないほうがいいわ……」

この三人でも捕まえられないとなると、言うとおり…ただの下着泥棒じゃなさそうだ…

「コロちゃんさえいれば…簡単に捕まると思いますが…」

「コロロは期待するだけ無駄だろ…風邪をさらにこじらせてる…」

ここ数日で病状は悪化し、今はまた段々と回復はしてきている…正直ヴェンも心配でこのまま、また早退届けをだそうかとも考えている。
しかし……このままでは他の依頼を受ける事が出来ないな…

3人の雰囲気は相変わらずギスギスしている。

確かに、このままだと士気にも関係して……このアルモニア全体に関わるかもしれない…

「…仕方がない…不本意だが俺も協力する。だから、もし俺が誰かの誤解で下着泥棒と間違われたら全力でフォローしてくれ…」

保険はかけておくに越した事はない…戦士としての知恵だ。

3人が頷くと、ヴェンは口を開き、

「だが、俺は明日から行動する。さすがにコロロが心配だからな…セシルもあまり気負いするなよ…コロロの面倒ぐらい俺が見るさ」

「あ、はい……」

セシルは下着を盗まれたのとコロロの心配で板ばさみの状態だ。
今は早々に問題を解決して欲しいと思い、彼はそう言った。

そのまま、ヴェンは早退届けを出し、馬車を手配して村にもどった。









「ただいま…」

コロロは部屋でちゃんと寝ているのか…また自分がいないからとふらふらしていないか…家に戻った途端に心配になる。

寝室ではコロロが喉をひゅーひゅーと鳴らせながら、寝息を立てている…

「ん……あ、おにいちゃん…ケホ、ケホ…」

苦しそうに咳をする彼女を見るのは少し胸が痛んだ。

「そのまま寝てろ…一緒にいてやるから…」

起き上がろうとしたコロロを制止させ、頭を撫でる。

「お兄ちゃんの匂い…やっとわかるよ……もうすぐで治るかな…?」

赤くなった頬で控えめに笑うコロロを見ると、いつもはあんなに元気で活発な彼女にもこんな大人しい一面があるんだなと思う。

「治ったらね…お兄ちゃんにいっぱい甘えたいなぁ……いいよね?」

ふにゃ…と熱に浮かされた顔でそう懇願してくる…

「…わかったよ……」

その返答に満足したのか、えへへ…と笑ってそのまま眠ってしまった。

「…俺も寝るか…」



















自分の寝室…コロロは風邪を引いてしまって彼女をゆっくりと寝かせるために別の部屋で寝させている…
セシルはと言うとまだ例の下着泥棒の犯人を捜しているのか、まだ家に帰っていない…

「ん…?」

ふと、自分の寝床に手紙があるのに気付いた…

『お兄ちゃんへ』

この筆跡は…間違いなくコロロ…風邪を引いているというのに一体どういうことだろうか…

『セシルお姉ちゃんから聞いたよ。泥棒さんがでてるんだよね?』

どうやら下着泥棒のことらしい。

『エルフィお姉ちゃんも捕まえられないんだよね…?その泥棒さん、お兄ちゃんみたいにすごく強いのかなぁ?』

(実力はわからんが…確かにな…)

『エルフィお姉ちゃんもセシルお姉ちゃんもライムお姉ちゃんも相手にできるなんて、そんな人コロロはお兄ちゃんしか知らないよ…でね?』

(なんか怪しくなってきた…)

『もしかして…お兄ちゃんが泥棒さんかなって思っちゃってね…』

(ブッ!!!?)

一瞬、手紙を破りそうになる…

『コロロはそんなの信じてないんだよ! でも、やっぱりお兄ちゃんぐらいしかわからなくて…それで…』

腹が立ってきた…

『お兄ちゃん…もうこんなことはしないでね……お兄ちゃんが我慢できなくなったら…コロロがいるからね…』

自分は何もしていないのに…なんの罪もないはずなのに…

『コロロのぱんつで…我慢してね…」

(ま、まさかっ!?)

嫌な予感がし、掛け布団を取る…すると…

「あ、あああ…ぁぁ…」

コロロの下着が…ベッドの中で散乱していた…





…なぜ自分は妹にこんな誤解をされなければいけないのか…下着泥棒という汚名を、よりにもよってなぜ妹に真っ先に被せられないといけないのか…
いつもなら軽くコロロを小突くだけでいいだろう…だが、風邪を引いた彼女はいつもの活発さはなく、弱弱しい…叱る事さえ自分が悪者になってしまいそうなほどだ…

このやり場のない怒りを静める手段がなかった……

「うおああああああああああああ!!!!!!!!!」

彼の叫びは…夜空にこだまする…










翌日…



「捕まえるぞ!!!今日中に例の泥棒を捕まえる!!!」

「ご、ご主人様!?一体何があったのですか、お、落ち着いてください!?」

「これが落ち着いてなんていられるかぁ!!俺は…俺はぁ!!」

「ヴェン…あんたまさか…下着を……」

「という事は…犯人はまさか両刀…!? ますます意味がわからなくなってきたわ…」

昨日の出来事など…知る由も無い。

「とにかく!俺は絶対に捕まえる!!お前ら、サポートしろ!」

「…なんであなたがそこまでやる気になったのは……いいえ、訊くのは野暮ね…でも、そろそろ私もケリをつけたいと思っていたわ」

エルフィンは乗り気である。この中では一番プライドも高い彼女は下着を盗まれた事をかなり根に持っているだろう。

「御主人様ぁ……おいたわしや…」

ハンカチで涙を拭う動作をしているセシル……

「アタシは別に下着自体はいいんだけど〜…ペアルックの下着だけは絶対に許さないわ!!」

そう言って、ライムも加わる。


ヴェンはそのまま砦の中を探索した…その勢いは鬼気迫るものがあった。

「どこだ!どこにいやがる!!」

「そこまで息を荒げたら誰でも逃げると思うけど……ん…?」

4人の進行方向に見える謎の影…

「ああ!! アレ…この前見た影よ!アイツが犯人かも!」

「あれか!待てえええええええええ!!」

今の彼ならケンタウロスにも負けないだろう。そう思わせるほどの速さで突撃した。
当然、影は逃げる。

「この奥は……浴室でございます!露天風呂もありますので逃げられるかと!」

「あ、女用に入ってったわ!」

「うおおおおおおおおおおおお!!」

そのまま、ヴェンも女の風呂に直行。

「さっすがヴェン! 他の男達には出来ない事を平然とやってのける!そこにしっびれるぅあっこがr」

「憧れはしないわね……アレはダメ人間の領域よ…」


ワーだのキャーだのイイおとこぉだのの声などが上がったが今の彼には届きはしない。
ただ目の前の影を追うのみである。

そして………

「そこだぁぁぁぁ!!」

露天風呂から脱出した後、ようやく影を捕まえる事に成功した。

………………

「…ハッ?」

一瞬の沈黙…そしてヴェンが発した素っ頓狂な声…


「うう…ひぐ…うわぁぁぁぁぁあぁん!!」

その影は…泣いた……











「情報を整理しましょうか…」

「まず、下着泥棒をした理由ね…」

「とりあえず…コトリちゃんでいいのかな?」

ライムがコトリと呼んだのはコカトリスの少女。

…さっき泣いた影である。

「うん…お母さんに私みたいな魔物はどんな事ができるのって聞いたら…フェロモンっていうのを出せるって言ったの…」

そういえばこのコトリというのはコロロが村で仲良くしている子供の一人である。意外なところに犯人がいたものだ。

「それで、フェロモンってなにってお父さんに聞いたら…大人の女の人の下着を調べればわかるって…」

なんて父親だ…

「なるほど…それなら……わざわざ盗まなくても頼めば……私はいやだけど」

「そうしたら意味がないってお父さんが…」

「どんな変態よその父親…」

「では、いつ…わたくしのを盗んだのですか?」

そこでセシルは聞いた。この少女が本部で盗んでいたのならば、いつ盗んだのか…

「セシルさんは…私が見てもすごく綺麗だから…」

「あ、あらぁ…そんなお世辞を言われても…」

「コロロちゃんに頼んだの…」

「あ、ちょ、ヴェン!?」

その言葉を聞いた途端、ヴェンは即座に部屋を飛び出した。
ライムの静止も聞かない
















「おっにいちゃぁぁぁぁん♪」

帰ると、元気にコロロが飛びついてきた。
発症するのも突然だが治るのも突然だ…

「治ったぁ!治ったよ!!お兄ちゃんの匂いがすっごくわかるよぉ!!」

そんな風にはしゃぐコロロを払い、

「ふえ……?」

「……お前が………」

「お、お兄ちゃん?」

「お前が言うなぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

もちろん、先日の手紙のことである。
彼女はただ友達の頼みを聞いただけであって悪気も何もないのだろうが…

説教は続く

「ご、ごめんなさぁい!!ほんとにコロロわすれてて!!」

「忘れる忘れないの問題じゃない!大体お前はいつも!!」









「あらあら…本当に仲の良い兄妹…ですね♪」





後日談。
事件は無事解決し、コトリはエルフィンの公開処刑によって周りに何も言われずに許された。(ちなみに内容は、今まで盗んだ下着の数だけ、全裸のままごめんなさいと言わせ、その度におしりぺんぺんをすることであった)

本当にやるところが彼女らしい…男には見せず、秘密裏に女性だけを集めたので男がよってくることもないだろう。

しかし、それからというもの…コトリが度々アルモニアの本部に顔を出し、エルフィンをぼ〜っと見つめている事があった。
コロロも全快し、5人に戻った彼らは、今日も依頼を受ける。




「あの子…中々見所があるわ……この私の嗜虐心を満足させてくれるなんて…」

「もともとアンタがそういうやつってのは知ってるけどさ…あんまり描写されないとおもうなぁ……外伝にも限界あるわよ…」

「良いわ別に…誰かが見ていないどこかの時間の中で…きっと私はあの子を苛めてるのね…ふふっ♪」


「だめだこりゃ…」






〜続く〜

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かなり遅れて…本当に申し訳ありません。
どれだけ遅れても…書こうと思います。
しかし、今回はヴェンが……主人公ですが男の扱いなんてこんなもんです。
そして今回もエロなし……
大丈夫!エロ入りの話は考えてあるから!
……期待はしないでね…

10/12/19 23:05 zeno

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