読切小説
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壺に浪漫を
埃っぽい臭い
カビくさい臭い
少しすえたような臭い
新しいモノの臭い
古臭くなったモノの臭い

古くなり臭いもなくなったのにどことなくにおいが染み付いているような気がするモノ
誰かのモノになることなくそこに来てしまったモノ
誰かに愛され続けたとわかるモノ

新旧ともどもごちゃ混ぜになった不思議な空間

骨董屋

私はそんな不思議空間を見て回るのが趣味である
琴線に触れるものがあれば
新しかろうが、古かろうが
一品物だろうが、大量生産物だろうが
手に取り、眺めて、お買い上げ
財布の中身が気になるが、お買い上げに至るのは本当に少ないことだから使う時は、ぱーーーっと使うことにしている

最近、というかかなり前からなのだが・・・
お宝鑑定野郎ズとかいうTV番組などが増えたおかげで
価値とかいうのに目がくらんでいる奴が多すぎる
あれはいただけない
『思い出の品なんですけど・・・いくらぐらいなのか知りたくて・・・』
思い出の品なら、それだけで十分だろうが!!なんで欲出して付加価値を見出そうとするか!!
人の欲に果てはないとは言うものの仕方がないことなのかもしれない

TV番組を見ると
金額が高ければ、すごいと思うと同時に妬みを・・・
買った金額より下がれば、残念と思うと同時に嘲りを・・・
せっかく古代ロマンを知るいい機会なのに
なにか自分の黒い一面を見ているようで、そういう番組は見なくなってしまった
だから、転売目的で骨董屋やリサイクルセンターを覗いている奴見ると、虫唾が走る

それはさておき・・・

今日も、一軒新しい所を見つけておいた
一見、普通の家
でも、よくよく見ると“骨董屋  骨董あります”の文字
いつもここは通勤で通るものの見過ごしていた

少々の期待と緊張を持って扉を開く
カラーン
扉に据え付けられた鈴が来客を告げる
あの独特な香りが鼻腔をくすぐる
店主は見当たらない
正面には

“元気 ハツラツ オロ○ミンC”の看板
昔なつかしいあの黒帽子にズレタ黒ぶちめがねのおっさんが出迎えてくれた

・・・ここには何かがある
そんな直感がドキドキ感を増大させる

「いらっしゃい・・・」

不意に物陰から主人と思われるオヤジが出てきた
年のころは60以上、白髪が目立つ

「ご新規さん?でも骨董が好きなんだね?顔見ればわかるよ。どんなお宝に会えるのかわくわくした顔浮かべてる。ゆっくり見て行って。ここのモノたちはみんな新しい主人を待っているのだから」
そう言うと、彼は私が見るもの、手に取るものすべてに解説をはじめた
はじめはある程度受け答えをしていたがだんだん煩わしくなる・・・

ひとしきり店内のものを説明し終わると気分が済んだのかオヤジはカウンターに戻っていった
・・・古いもののロマンを語るのはいいがゆっくり落ち着いて物色できないだろう・・・

また、一から一つ一つ見回っていくと、古びた家具の向こうに木箱に入ったつぼを見つけた
「・・・!(・・・なんだか、感じ入るモノがある)」
第六感なのか?これはと思うものを見つけたときの感覚だ
期待に胸を膨らまして箱に手を伸ばすとそこには・・・
青磁のつぼがあった
青磁とは、青緑から淡い青色の釉の掛かった焼き物。古くは紀元前14世紀頃の中国で造られ始めたらしく、宋代とか高麗青磁とかあるらしい。近代だとクロムを用いたものが多く出回っているらしいが所詮素人。古いんだか新しいものなんだかわからないが、とにかく気に入った

カウンターにつぼを持っていくと、主人はしきりに頭を傾ける
「おかしいなこんなつぼ、うちにあったかな?」

「あの、おいくらなんでしょうか・・・」

「引き取ったものは大体覚えているんだけどな・・・まあ、そのつぼに呼ばれたのかもね・・・おにいさんは」

「つぼに呼ばれた?」

「こんな商売やってるとね・・・時々、ものに呼ばれるんだよ。もっともっと使ってもらいたいとか、そういう思い持つモノがいろいろね。それがどんどん増えて店開くまでになったのさ」

そういってうれしそうに笑う主人

「3000円でいいや。呼ばれたんだ大事に使ってやってな」


さっそく、家に帰るとつぼを眺めてみることにした
大事に新聞で包まれたそれは、ほどよい大きさで
2リットルのペットボトルくらいの大きさ
この大きさならば手入れするのもよさそうだ


そうして、新しいつぼが我が家に来た
鑑賞棚にしまってぼーっと眺めるのが好きなのだが、ある日つぼの陰に人の影を見るようになった。そして、後で棚を確認すると中のつぼがぴかぴかになっていることに気が付いた
手入れといっても私はただ布で拭くだけだが、なんだかこれは光沢が違うように思える・・・
手入れをしている何者かを見てみたい!
だんだんと私はそう思うようになっていった

ある日・・・
部屋にある壷鑑賞用棚の中に何かがピコピコ動いているのが見えた
なんだか小人が飛び跳ねながら歩いているようなそんな動きだ
私は眠ったふりを装って見やる
正面から見ても何故か見えない
視界の隅に何かが見えるのだ
なんだか悪戯心に灯が灯った

「悪いゴはいねぇガ〜!!」

『ひゃっ・・・』

唐突にその言葉を言ってみたくなって叫んでみると、かわいらしい声が聞こえた

「出てこないと、おしおきだべ〜!!」

『・・・』

「そこの壷に隠れているやつ!でてこないとおしおきするべ〜!」

『・・・・・・』

「じーーー・・・」

『・・・・・・・・・』

「じーーーーーーー」

つぼをじっと見やると、小人が影からおずおずと出てきた
今までは見えなかったのに、今は正面からでも見える

「・・・」

『・・・』

「・・・・・・」

『・・・・・・っ』

「・・・」

『・・・・・・ひっ』

『・・・ひっく・・・ぐすっ・・・』

『ふぇぇぇぇぇーーーーん』

「ちょっと待った、なんで泣いてるねん」

『うわぁぁぁぁぁぁぁん』

泣き出す小人、なんで泣き出したのかわからずおろおろする私・・・



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『リィナ・・・』

「リィナ?」

『つぼまじんのリィナ』

つぼまじんと名乗った女の子
とりあえず棚の中にいては話も出来ないのでちゃぶ台まで出てきてもらった
大きさはだいたい、座った状態で40〜50センチぐらいか?
ちゃぶ台の上にちょこんと座っている
ティーカップに紅茶を注ぐと、涙を溜めたその瞳も少し落ち着いたようだ

髪の毛のだんごを2つのせ、つぼの形をあしらった髪留めを使ってとめている
肌は浅黒く、瞳には澄んだ緑青のような色が美しい眼がこちらを見つめていた

「君がいつもつぼをきれいに手入れしてくれてたの?」
『・・・うん。つぼがいっぱいあったから・・・』
いたずらを見つかった子供のようにしゅんとしている小人・・・いや、つぼまじんだったか
「ありがとう。私じゃあそこまでの手入れは出来なかった」
『・・・ふぇ?』
てっきり怒られると思ったのだろう。驚いた顔をしている
「大事なつぼをきれいに手入れしてくれたのに怒るものか。むしろ感謝しているよ。本当にありがとう」
『・・・そんな。頭をさげなくても・・・。・・・あのぅ』
「?・・・なんだろう」
『リィナのこと怖くないの?人じゃなんだよ?』
人じゃない・・・なんで?そこは驚くとこなのか?
「人じゃないって・・・言われてもな・・・。こんなにかわいい女の子をそんな化け物扱いなんて私にはできないよ」
『でも昔、小人とか子鬼とか言われて・・・いたずらしてるとか厄介者とか言われて・・・』
思い出したのか、また涙を溜め始めた彼女・・・
「大丈夫だよ。君は私のつぼ達を大事に扱ってくれた。だから、いつまでもいるといい。君はつぼの良さがわかる同志なのだから。ほら」
ティッシュを差し出すと、安心したようだ。涙を拭く様子がかわいらしい
「紅茶ぬるくなっちゃったね。入れ直そうか?」
『ううん。あんまり熱いと火傷しちゃうからこのまま・・・』
すっかり落ち着いたのだろう。紅茶を啜っている彼女。何かを考えているようなそんな様子だ

『・・・あの。ご主人様って呼んでいいですか?』
「ぶっ!ご主人様!?」
唐突すぎて危うく紅茶を噴くところだった
『だめ?』
「・・・それは・・・キケンだ・・・」
なんだか心臓を鷲づかみされたような衝撃を受けた
「それにしても唐突にどうしたの?」
『いつまでもここにいていいって言ってくれた人初めてで・・・。それで・・・えと、ボクの主さまになってほしくて・・・』
「あるじ・・・。リィナちゃんを私の所有物としろと?・・・それは・・・」
『だめ?』
ご主人様か・・・どうにも照れ臭い・・・
「・・・一緒に暮らすなら、主じゃなくて・・・妹にならないか?」
『いもうと?』
「ああ。私には下に兄弟がいないんだ。だから、妹が出来るのはうれしいかな」
『・・・うん!主様がそういうなら!じゃあ、う〜ん、んと・・・ボク…なんて呼べばいいかな』
「んじゃ、普通に兄とよびなさい」
『にいに・・・』
「なぜそれ・・・」
『にいさん・・・にいさま・・・兄上・・・あにさま・・・おにいやん』
どれもいい響きで身悶える私
『・・・おにいちゃん』
「ああ、普通にお兄ちゃんで・・・」
どれも魅惑的な響きが篭っている
「じゃ、私は君の事をなんて呼べばいいの?つぼまじんちゃん?リィナちゃん?」
『ボクのことは普通に名前で呼んでください。おにいちゃん?』
「リィナちゃん・・・」
『呼び捨てでいいよ?おにいちゃん』
「リィナ・・・ちゃ・・・」
なんだかじーっと見つめられている
「リィナ・・・よろしくな」
『うん!!』




壁にもたれて青磁のつぼを片手に本を読んでいると、リィナはおやつを持ってきてくれた
そして、横にちょこんと座った
「その、プルーンみたいな黒いものは?」
『ナツメヤシです』
「それって、砂漠の食べ物じゃ・・・」
『ただのナツメヤシじゃないよ?これは、今から3000年ほど前に採られたものだよ?』
「なんでそんなものを・・・」
『ボク達のつぼの中は亜空間に繋がっていて、いろいろなつぼからつぼへ行き来できるんだ』
「ふーむ。便利だね」
『だけど、これはあくまでその産物。ある日突然入れていたはずのものがなくなったら変に思われちゃうでしょ?それに、捕まったらボク達どうなっちゃうか判らないし。おにちゃんみたいにみんな理解ある人じゃないと思うし・・・。だからなにか緊急事態が起こったときに亜空間に退避してるの。このナツメヤシは船でどこかの港に運ばれようとした時に嵐にあって乗っていた船が転覆しそうになって・・・それで、仲間は亜空間につぼの中身とともに逃げ込んだ結果なの』
なにかつらいことでも思い出したのだろう。その顔色が沈んだようにみえた
ぽんっ と彼女の頭に手を置いてやる
ちょっと驚いたような顔を浮かべているリィナ
「心配するな。何があろうと私が守ってやる。なんつったって私はリィナのお兄ちゃんなんだからな」
『・・・うん!』
ニカッと笑ってやると心底安心したような笑みを返してくれた
私はこういうのもいいなぁと思い始めていた

ナツメヤシ・・・3000年前の味はどうだろうと早速手を伸ばしてみた
色もプルーンに似ていて完全に乾燥しているわけでなく、生な部分もあるようだ。半生?
臭いは特にない・・・
「・・・甘い」
干し柿のようだ
『・・・おいしい?』
おずおずとちょっと躊躇いがちに聞いてきた
それに返答するように頭を撫でてやる
「ああ。干し柿みたいでうまい。完全にドライなのかと思ったけどしっとりしてるから食べやすいし」
『・・・えへへへ・・・』
口元を押さえ、ちょっとはにかんだ様子がかわいらしい
「ほら、リィナも・・・あーん」
『えっ?おにいちゃん?』
「あーん」
なんでかまわりをキョロキョロと見回した
『・・・。・・・ぁ・・・ぁーん・・・』
「おいしい?」
『・・・とても甘酸っぱいよ・・・』
「味に当りはずれがあるのかな?」
『いきなり、“あーん”なんてされたら・・・はずかしいよ・・・』
顔を手で隠してうつむいてしまったリィナ・・・耳が赤く染まっている
そんな彼女を見ていたらなんだかドキドキしてきた
「・・・リィナ。お兄ちゃんの胸ちょっと触ってくれるか?」
なんだろうという顔をしながら、小さな手を当ててくれた
「心臓がドキドキしているんだ。なんだかリィナとこうしていると・・・」
『おにいちゃん・・・。リィナもね・・・ドキドキしてるんだよ?』
手をその小さな両手で包むとリィナは自らの胸へ導いた
とくん・・・とくん・・・と鼓動が伝わる
その胸はあたたかく、柔らかかった
彼女の顔が目の前にある・・・
鼓動が意識しなくてもわかるよう
吸い込まれるように
キスをした・・・


ガチャン!!

『ひぅ!!』
玄関からけたたましい音がした
多分、郵便受けの扉だろう。そう冷静に考えていると、唐突に目の前が真っ白になった

・・・・・・・・・・

「・・・ここは?」
目を覚ますと真っ暗な空間が目に入った
そして、周りを見渡すと見慣れない部屋。窓も扉もない。丸い部屋なのか角が見当たらない
見慣れない家具、調度品・・・
どこなんだ?
ふと、腹の上がなんだか重たいのに気づいた
そろそろと視線を腹の方に移すと、2つの団子が付いたかわいらしい頭が見えた
「リィナ?」
彼女は私の腹の上でシャツを握り締めて丸まっていた
少し震えている
「だいじょうぶだよ。だいじょうぶ・・・」
やさしくさすり続けてやる
さっきの音によほどびっくりしたんだろうな
さすりつづけてやると落ち着いてきたのか震えも納まってきたようだ
少しずつ顔を上げたリィナ。その目と目があった
安心しろと笑ってやる
『おにいちゃん!』
がばっと抱きつかれた
『怖かった!怖かったよう!!』
「大丈夫だ。郵便受けがボロだからすごい音になっちゃうんだ。だから心配しなくてもいいんだよ」
あんな雰囲気の中、大きな音が聞こえれば誰だって驚くよなぁ。それにしてもここは一体?

そこでようやくここはどこなのかということを思い出した
どこなんだろう?
落ち着きを取り戻したリィナに訪ねてみた
『ここは、つぼの中・・・つぼの中は亜空間に繋がっているって言ったでしょ?あっちの真っ暗な空間が亜空間。そしてここはボクの部屋・・・』
「あそこが・・・亜空間。行けるの?あそこに・・・」
『・・・行ってみる?』
手を繋いでリィナが飛び跳ねると、引っ張られるように体が浮いた
真っ暗な空間・・・
特に何があるとは思えなかったが・・・

目の端にきらりと光る物があったので手を伸ばしてみる
「これは・・・古代エジプトの銀貨・・・」
そこにはクレオパトラと称される像が描かれている
そんなものが、この亜空間と呼ばれる空間に漂っていた
『それも、亜空間にみんなが持ってきちゃったものなの・・・』
よくよく見回してみれば、いろいろなものが漂っている
「あれはなに?」
赤っぽい液体が漂っていた
『あれは、ワイン。昔、エジプトからローマに運ばれていたんだって』
「あれはお米?なんか黒っぽいね」
『あれは、大陸で戦があったときに村が焼き討ちされちゃって慌てて逃げ込んだものだから・・・そのときに焦げちゃったみたい』
「いつごろ?」
『千とか二千とか前?みたい。いろいろな時代の、いろいろな場所のものがここには漂っているの・・・』
「じゃ、人がいう財宝とかあるの?」
『・・・あるよ』
ちょっと心配したような顔をして答えてくれた
「リィナ。頼みたいことがある」
『な・・・に?』
何かとんでもないことを言われるのでは?と心配そうな顔が訴えている
「この空間にあるもの、私には触れれても持ち出せないようにしてくれないか?」
『?なんで』
「ここにあるものは本来歴史の闇に閉ざされて表には出てはならない物なんだ。私も人だ。いつか物欲を持つかもしれない。そんなときここにあるものを持ち出して使ってしまうかもしれない。そして、欲まみれになったらリィナをどうするか私にはわからない。こんなにも愛しく愛くるしい妹が出来て幸せになったのに・・・。だから、そうしてもらいたいんだ」
『・・・うん。よくぼう・・・か。最近、仲間に永くつぼを愛してくれた人に突然、手放されたようなことを聞いたよ。なんでも“お宝鑑定野郎ズ”とかいうのに出されて価値がないとか言われたって言ってた子がいるの・・・』
「私は嫌なんだ。そういうの・・・思い出の品なら大事に閉まっておけばいい。価値なんて人それぞれだろ?それの値を示された時、なんだか心の底の黒い何かが見えたようで・・・なんかこうもやもやとしたものが・・・。とにかく、私がここにきても持ち出すことはできないようにしてほしいんだ!」
『うん、わかった。おにいちゃん!リィナを捨てないで!欲望なんかに負けないで!!』
「ああ、私は・・・リィナ・・・おまえだけに溺れていたいぞ」
『・・・ぇ?』
突然のそんな胸の内の告白に目をいっぱいに開けて驚いた顔をしている
たぶん、私の顔は真っ赤になっていただろう
「物欲なんてものじゃなくて、おまえを愛するという欲にまみれたい。・・・好きだリィナ」
『おにいちゃん・・・』
ちゅっ
『リィナも好き!おにいちゃんのこと、とってもとってもすきだよ!!』
ちゅっ・・・ちゅっ・・・ちゅっ
なんだか、小鳥がついばむようにキスをしてくれる
そんなリィナがかわいらしくて唇にキスをしてくれたときに彼女の唇を捕まえてみた
そのまま舌をもぐりこませる
ちょっと照れたような顔をしたが、すぐに目を閉じてチロチロと舌を動かしてくれた
『んぅ・・・ん・・・ん・・・』
だんだんと舌の動きが激しくなる
いつしかずるずるとお互いの唾液を貪るようになっていた
『ん・・・ちゅ・・・んん・・・んっ・・・』
もっと貪りたくなって、舌のみならず口の中を満遍なく舐めまわす
小さい舌・・・歯・・・歯茎・・・頬のうら・・・
するとリィナもそれに習って私の口の中を舐めまわす
『ん・・・んちゅ・・・ちゅ・・・んっ・・・』
どのくらいそうしていただろう。唇が離れると白い糸が後を引いた
『はぁ・・・おにいちゃん・・・』
目の前のリィナは真っ赤になってて、目が潤んでいる
『胸・・・触っていいんだよ?』
手を出すのをちょっと躊躇っていたのだが、私の手をとるとその胸へと導いてくれた
服の隙間から手を入れると、控えめだけどふっくらとした乳房が手に納まった
やわらかい・・・あたたかい・・・そして、胸の奥の鼓動がとくん…とくん…と伝わってきた
きめ細かく、手のひらに吸い付くようなそんな感触が気持ちよくて
少しずつ胸を揉んでいく
その感触を両手で味わいたくて、彼女を引き寄せた
『ふわぁ・・・おにいちゃん?』
彼女の背中がぴったりと腹のあたりに納まった
あたたかい・・・いや熱いほどだ
両の手の中に納まったふくらみの先端は期待したかのようにつんっとたっている
「リィナ・・・ここ触るぞ?」
『うん・・・』
乳首を軽くつまんでやる
『ひゃっ・・・!』
まるで電流でも流されたかのようにその体がびくっとした
指先で少しずつ擦っていってやる
『・・・ひゃん・・・あ…ん!ん・・・あ・・・あん!』
その恥らう姿がかわいらしくて、どんどん胸を揉みしだく
『ふぁ・・・あぁ・・・あん・・・はぁぁん・・・ぁふ・・・んっ』
「リィナ?」
切なげな声を漏らす彼女が愛しくて、彼女の名を呼ぶ
とろんとした表情を浮かべてこちらを向いてくれた彼女の唇を奪う
舌を入れるとすぐに彼女の舌も潜り込んできた
『ちゅ、ちゅっ・・・ん・・・んちゅ・・・』
体が熱い。どんどん心臓の高鳴りは早くなっている
『んっ・・・ちゅ・・・ぷはぁ・・・』

「リィナ・・・下触っても良いか?」
『・・・うん』
片手で胸をいじくりながら、だんだんともう一つの手を下に滑らす
絹のように吸い付く肌の感触を楽しみながら
そこはもうじんわりと湿っていた
『ふわっ・・・おにいちゃん・・・さわって?だんだんとおなかの中が熱くなってきているの』
その秘口周辺を満遍なく触ってやる
『ふあっ、あ…あ・・・ああ・・・んん・・・』
ときどきその奥へ指を差し込むと明らかに声色が変わる
そんな姿に私のペニスもはちきれんがごとくたっていた
『おにいちゃんも下つらいんでしょ?さっきから太ももにおにいちゃんのが当たって・・・リィナももう・・・』
それを聞いたとたん、強く繋がりたい!と思った
すべての服を脱ぎ捨て、リィナを床に寝かせる
目の前にリィナの肢体がある。互いの視線が絡み合う
もう互いの体に釘付けになってた
「リィナ!いいか?もう、我慢が出来ないんだ!おまえと繋がりたい!!」
気持ちが高まりすぎて理性が飛びそうだ
『うん。いいよ来て・・・おにいちゃん』
リィナに覆いかぶさりペニスを秘口にあてがう
とろっと淫らな汁が溢れている
「いくぞ?リィナ」
瞳が交差し彼女はうなずいた
少しずつ入れていく
彼女の中は蕩けるのではないかと思うぐらい熱い
少しきつめだ
『あ・・・ああ・・・いっ・・・』
痛いのを我慢してくれているのだろう
入れるのをやめて、キスをする
「力を抜いて?後ちょっとだ。あと少しだから我慢してくれ」
けなげに力を抜いて、こくこくとうなずくリィナ
「・・・いくよ?」
『うん。リィナ頑張るよ?だからおにいちゃんも・・・』
ずぶずぶと奥へ・・・奥へ
入りきるか?と思ったけど以外に入ってしまった
「リィナ!繋がったぞ?」
『う・・・うん!リィナの中でおにいちゃんのが・・・熱くって・・・硬くって・・・でも、うれしいよぉ』
涙をいっぱいに溜めて微笑むリィナ
それがどうしようもなく愛しい
ちゅっ
『あっ・・・えへへ・・・。おにいちゃん・・・動いてもいいよ?』
「でも、痛いんじゃ?」
『おにいちゃん。そのままだとつらいでしょ?動いてなくても、おちんちんびくびくしていてつらそうだよ』
「・・・うん。い、いくよ?」
少しずつ腰を使う
狭い上に強く締め付けられているからかうまく動けない
『ああ・・・いっ・・・くっ・・・うぁ・・・ああ』
それでも理性の箍が外れたのか腰の動きが止まらない
『あっあっ・・・ぁん・・・ぁぁぁん』
いつしかリィナの喘ぎ声も痛みを我慢している声から、甘ったるいものに変わっていた
『お・・・おにい・・・ちゃん。いっ痛かったのに・・・なんか・・・ぁ・・・ぁぁ・・・へん』
「っ・・・イヤ・・・っっ・・・か?」
『・・・ぁ・・・ああ・・・い・・・イヤ・・・ああん・・・じゃない』
中が熱くって、まるで溶け合ってしまったかのようだ
じゅぶじゅぶとした音が響き渡ってそれがまた興奮をもっと誘う
もっと彼女の近くで貪りたくてリィナを腰の上に置いて抱き合いながら激しく突いていく
『あうっ・・・あっあっあっうっ・・・ひ・・・ひぅ!・・・ああ!おにいちゃん!おにいちゃん!!』
「うああ・・・あ・・・あああ・・・リ・・・リィナ!も、もう!」
『なんか!なにかが・・・おにいちゃん!リィナ・・・リィナ!!』
もう我慢の限界だった。すべてを吐き出してしまいたかった
『きゃあああああああんんんっっっ!!!』
「ああああっくぅぅぅぅ!!!」
リィナの悲鳴を聞いたとき何もかもが爆発した
溜まっていたすべてが、どぴゅどぴゅと中へと吐き出されていく
『ああぁ・・・あぁ・・・ぁぁぁ』
目の前が真っ白になり彼女を放してしまわないように抱きかかえる
『・・・・・・』
「・・・・・・・・・リィナ?」
やっとのことでその名を呼んでみた
『・・・・・・』
放心してしまったのか返事がない
『・・・・・・おにいちゃん?』
しばらくしてやっと気が付いてくれた
「リィナ・・・ありがとう。すごく気持ちよかった」
『・・・リィナの中におにいちゃんのが・・・』
少しずつペニスを抜くと、どろっと中のものが溢れてきた
ちゅっ
自然とお互い口付けをする
『ん・・・ちゅ・・・ちゅ・・・じゅる・・・』
なんて幸せなんだろう
いつまでも・・・いつまでも、私達はそのままでいた・・・



窓からやさしく風が吹いている
まどろみに包まれた顔をそっと撫でていく
風が気持ちいいなと思っていると、ふと気が付いた
窓?風?
彼女の部屋は亜空間でそんなものはなかったはず・・・
起きてみると、見慣れた風景。私の部屋に戻れたようだ
身じろぎをしようとしたら体が動かないことに気が付いた
抱きつかれているらしい
そして、甘い香りが鼻腔をくすぐる
リィナの髪の匂いだ
・・・?
ちょっと彼女に違和感を持った
なんだろうか・・・
相変わらずちっちゃくってかわいらしい
!!
そうか。亜空間に入る前は小人くらいの大きさだったのに、つぼの中に入った彼女は私の肩ぐらいの身長だったんだ
今のリィナもちょっと大きくなった姿だ。小さくも大きくも姿を変えることが出来るのかな?

私の胸の中で寝息をたてている
そっと髪を撫でてやると
とても幸せそうな笑顔を浮かべる
いい夢でも見ているのだろう
『・・・・・・・・・ふわ?・・・おにいちゃん?』
「起こしちゃったか?」
『おにいちゃんの夢見てた』
「いい夢だったかい?」
『うん!』
「よかったな。それはそうとリィナ?その姿・・・」
『姿?』
ちょっと大きくなっていることを聞いてみると・・・
“こっちが普通なんだけど、ちっちゃいほうが物陰に隠れやすいし、つぼにも入りやすいから・・・”
と、答えてくれた
『どっちが好き?』
「・・・どっちもかわいい。どっちも好きだよ」
『おにいちゃん・・・ちゅっ!』

こうして、二人の生活は始まった
今の私の楽しみは、彼女のつぼへと潜り、亜空間という悠久の美術館を二人で巡ることだ
亜空間に慣れていない私を手を握ってどこまでも彼女は導いてくれる
時々、彼女の仲間達と出会い、その時その時の様子をくわしく教えてもらったりしている
そうして、時の彼方の物語に思いはせている



私達の物語がどうなるか・・・
それは、握られたこの手が教えてくれているのかもしれない
10/10/19 22:10更新 / 茶の頃

■作者メッセージ
ある日、夢の中に壺が出てきた
笛の音が聞こえたので、てっきり蛇が出るかと思ったら
女の子だった
つーわけで、つぼまじん書いてみました

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