連載小説
[TOP][目次]
(90)オーガ
「はぁ・・・疲れた・・・」
一日の仕事と、夕食や片づけなどの家事を全部済ませてから、僕はベッドに寝転がった。
「へへ、お疲れさん」
ベッドの縁に、淡い青髪の女が腰を下ろした。僕が寝転がっているせいもあるが、かなり大きな女だ。
それもそのはず、彼女はオーガなのだから。
「うん、今日も一日がんばったよ」
「本当に、お前は小さいのに偉いなあ」
オーガはそう言いながら寝転がる僕の頭に手を伸ばし、くしゃくしゃとやや強めの力で頭を撫でた。
子供扱いされているようだったが、僕はなにも言わなかった。疲れているし、そもそもあまりイヤではないからだ。
「にしても、お前ほかの連中と同じ仕事させられてるんだろう?」
「うん」
若干小柄な体格のせいで、同じ仕事でも僕の方が疲れやすいのだ。
「だったら、偉い人に言って仕事減らしてもらえよ」
「そんなことできないよ」
だが、体格を理由に仕事を減らしてもらうつもりはなかった。
「なんでだ?」
「だって・・・仕事減ったら給料減るし・・・あまり君に不自由な思いさせたくないし・・・」
オーガは性質上よく食べる。そのため、仕事を減らせば食費をまかないきれなくなるかもしれないのだ。
「へ・・・お前はやさしいなあ・・・!」
オーガは、一瞬虚を突かれたかのような表情を浮かべると、直後満面の笑みを浮かべながら僕の頭をくしゃくしゃと撫で回した。
髪が乱れ、頭がぐらぐらと揺れる。
「や、やめ・・・目が回る・・・!」
「あ、ごめんごめん」
彼女はぱっと手を離した。
「大丈夫か?首とか痛くないか?」
「うん、何ともないよ・・・」
一転心配そうに尋ねる彼女に、僕はそう答える。
「よかった・・・ごめんなー、アタシのこと考えてくれてたのが、嬉しくってなー」
そう言う内、また嬉しさがこみ上げてきたのか、再び彼女は大きな手のひらで僕の頭に触れる。
今度は荒々しく髪の毛をかき回すのではなく、そっと撫でる程度だった。
「ん・・・ああ、そのまま・・・」
頭髪越しに伝わる、彼女の手の温もりを感じながら、僕は目を閉じた。
「気持ちいいのか?」
「うん・・・落ち着くよ・・・」
目蓋の裏の闇に響いたオーガの声に、僕は静かに答えた。
実際、彼女に優しく撫でられるのは、とても心地よかった。
「・・・ナデナデだけでいいのか?」
しばし撫でられていると、不意にオーガが尋ねた。
「だけ、って?」
「その・・・もっとほかのご褒美とか、欲しくないのか・・・?」
少しだけ言葉に恥じらいを混ぜながら、オーガはそう問いかけた。
「ん・・・じゃあ、添い寝して」
「! 分かった・・・」
オーガは一瞬間をおくと、微妙に震えた声でそう応じた。
彼女の言葉には、微妙な喜びが宿っていた。
彼女の手のひらが頭を離れ、僕は薄く目を開いた。
すると、彼女がシャツを脱ぎ、下着を下ろしているのが目に入った。
一挙動ごとに、彼女の胸の砲弾のようにツンと張った胸が揺れ、両足の間で頭髪と同じ淡い青色の茂みが見え隠れした。
「んーふふー」
オーガは、無意識のうちなのか鼻歌のようなものを歌いながら、僕の隣に横になった。
「ほら、枕だ」
彼女の言葉に頭を持ち上げると、後頭部の下に何かが差し入れられるのを感じる。
僕はそのまま、彼女の二の腕に頭を預けた。
そこそこ太いのに、しなやかで柔らかな腕が、僕の頭を受け止めた。
「よしよし、ヘヘ・・・」
腕枕に頭を預ける僕にそう微笑むと、オーガが姿勢を変える。
単に僕の隣に寝転がっていた姿勢から、添い寝する姿勢にだ。
肩のあたりに胸が当たり、腕と彼女の腹が触れ、足と足が接する。
身長差のため、僕の足は彼女のスネに触れ、頭は丸ごと一つ分位置がずれており、まるで片側を彼女に包まれているようだった。
だが、僕の背の低さを強調するような体勢にも関わらず、僕の胸の内に生じたのは安堵感だった。
「へへへ・・・えへへ・・・」
腕枕した方の手を僕の肩に回し、もう片方の手で頬を撫でながら、彼女が微笑む。
犬や猫が、自分の側で寝ているのが嬉しいといった様子だった。
実際、僕と彼女が出会ったときも、彼女はそういう理由で僕をねぐらまで連れ帰ったらしい。
食事をもらい、なでられ、抱きしめられて寝るだけの、オーガの生態からはずれた日々をしばし過ごした。
愛玩動物から、夫となるまでの間にもいろいろあったが、こういう接し方を見ると僕に対する彼女の深い気持ちはあまり変わってないらしい。
「へへ・・・おっぱいちゅっちゅするか・・・?」
そういいながら、オーガはツンと張った乳房を僕の肩から、頬のあたりに押しつけた。
するか?という問いかけは、実質してほしい、という求めだ。
僕は顔を彼女の方に向けると、乳房の先端、膨れた乳首を口に含んだ。
「ん・・・」
軽く唇で挟み、吸うと、彼女は小さく声を漏らした。
唇の間で乳頭を転がし、締め付け、舌先をその先端に触れさせる。
すると僕の肩を掴むオーガの指に力がこもり、彼女が小さく身じろぎして、シーツと肌がこすれる音が響いた。
「ふ・・・ふへ、そんなに・・・がっついて・・・ん・・・!」
漏れる吐息を誤魔化しながら、彼女はしょうがないと言った様子で微笑んだ。
「ん?何だ・・・っ・・・これは・・・?」
せりふの間に小さな吐息を挟みながらも、彼女は僕の股間に手を伸ばした。
そこには、寝間着と下着を押し上げる固いものがあった。
「へ・・・おっぱいもらいながら・・・ここ、固くして・・・」
衣服越しに彼女は僕の肉棒を掴み、軽く揉んだ。
完全に勃起しているわけではなかったが、彼女の大きな手のひらは僕の肉棒をすっぽりと包み、布を通して温もりを伝えてきた。
心地よさに、じわじわと肉棒に血が集まり、そそり立っていくのが分かる。
僕は彼女の乳首から口を離すと、ビンビンに勃起するもう片方の乳首を咥えた。
「ん・・・ふ・・・!」
オーガの手の動きが止まり、彼女は眉間に皺を寄せながら声を漏らした。
彼女は一瞬の静止の後、手を再び動かし始めるが、その動きはどこかぎこちなかった。加えて彼女が太腿を擦りあわせるのを、僕は腿に触れる彼女の膝から感じ取った。
そろそろ彼女は限界のようだ。そして、僕もだ。
「・・・ぷは・・・ねえ」
乳首を最後に一舐めしてから口を離すと、僕はオーガに向けて口を開いた。
「もう・・・我慢できなくなっちゃった・・・」
「!そ、そうか!もう限界か〜!」
どこか嬉しそうな口調で、彼女は何度か頷いた。
僕が頭を彼女の腕枕から持ち上げると、彼女は腕を引き抜き、身を起こした。
そして、僕の寝間着のズボンに手をかけると、下着ごとまとめて足から引き抜く。
「へへへ・・・元気いっぱいだな・・・!」
寝間着の下から現れた肉棒に、彼女は冗談めかした口調でそう言った。しかし彼女の両目には妙に熱がこもっており、脈拍で揺れる肉棒を追っていた。
「じゃ、今日はお前は疲れてるから・・・アタシが上でいいな?」
「うん・・・ごめんね」
「いい、いい。お前はそれだけがんばったんだからな!」
彼女は僕の腰をまたぐと、一度膝立ちになり、両足の間を僕にさらした。
すべすべとした彼女の太腿が収束する、両足の付け根。
下腹には密度こそ高いものの、ごく狭い範囲に淡い青色の陰毛が茂っていた。
髪の毛よりかは柔らかそうな茂みの下では、胎内へと続く女陰が口を開いている。
女陰の上端からは包皮を半ば被った、小指の先ほどの陰核が飛び出しており、女陰からは透明な液体が溢れ、腿を濡らしていた。
「ん・・・」
彼女は自身の女陰に指で触れると、小さく声を漏らした。
亀裂の縁を指でなぞり、愛液を塗り付けてから陰核に触れる。
僕に添い寝をし、乳首を吸われる内に高まっていた興奮を、さらに煽っているのだ。
「っ・・・ん・・・!」
砲弾型の乳房を自分で掴み、指を食い込ませながら、彼女は自身の女陰に触れ続けた。
亀裂から溢れる粘液が指に絡み、濡れた音を立てる。
そして最後に、膣口に指を沈めて内側を軽く探ってから、彼女は指を両足の間から離した。
「はぁ・・・待たせて、ごめんな・・・やっと準備できた・・・」
声を震わせながら、彼女はそう僕に言った。
「待ってないよ。すごくエッチで、かわいかったよ・・・」
「・・・よしてくれよ・・・」
顔を赤らめ、恥ずかしそうに視線を逸らしながら、彼女は口の端を吊り上げた。
「とにかく!入れるからな!」
オーガは話を切り上げるように言うと、腰を下ろしていった。
彼女の両足の付け根がゆっくりと下がり、亀裂に向けてそそり立つ肉棒に近づいていく。
愛液に濡れ、薄く口を開く女陰と、僕の屹立の先端が触れた。
「ぅ・・・!」
亀頭に熱く濡れた柔らかいものが触れたと感じた瞬間、彼女の女陰は左右に広がり、僕の肉棒をするりと飲み込んだ。
彼女の内側はきつく、温かく、僕を包み込んでいた。
「・・・全部、入ったな・・・」
彼女はそう言うと、起こしていた上体を倒し始めた。
彼女の大きな体がゆっくりと僕に覆い被さり、一瞬つぶされてしまうのではという不安が胸中に芽生える。
だが、彼女は僕を押しつぶす遙か手前で、両手をベッドについて体を支えた。
「うん・・・こっちの方が、いい・・・」
僕の目の前で乳房を揺らしながら、彼女はそう呟いた。
「動くぞ・・・」
「うん・・・」
僕が頷いた直後、彼女の体がゆっくりと動き始める。
ベッドについた両手を支えに、体を前後に揺すり始めたのだ。
彼女の膣が上下に動き、僕の肉棒が女陰から出入りする。
幾重にも連なった締め付けが屹立をしごき、折り重なる襞が肉棒の表面をこすっていく。
「ふ・・・ふ・・・ふ・・・」
規則正しい息づかいとともに、彼女は体を揺らし続ける。
彼女の膣は深く、僕の肉棒では奥まで届かなかった。
オーガの体格からすると、もう半分ほど長さがなければ、彼女の奥を突くことなどできないだろう。
これでは、僕が気持ちよくなるばかりだ。
僕は、彼女への申し訳なさ半分で、目の前で揺れる二つの乳房に手を伸ばした。
彼女のそこは柔らかく僕の指を受け止め、オーガの体の動きを止めさせた。
「っ!な、なにを・・・」
「おっぱい、吸いたくなっただけ・・・」
「そうか、そうか・・・」
僕の言葉に、彼女は頷くと、ぎこちない動きで腰を揺すり始めた。
先ほどより若干ゆっくりで、動きも小さい。それもそのはず。彼女の乳房を僕が掴んでしまっているからだ。
肌の下にしなやかな筋肉を詰め込んだ腕や太腿や腹とは異なる、芯までただただ柔らかい彼女の乳房をしばし揉むと、僕はぎゅっと左右から圧迫した。
彼女の乳房が押し当てられ、ツンととがった先端が触れあう。
「・・・っ!」
敏感な乳頭同士の接触に、彼女ののどから小さな音が漏れた。それは声と言うよりも、思わず漏れた吐息が喉を震わせたようだった。
彼女の呼吸の乱れを、彼女の乳房越しに手で感じながら、僕は寄せられた二つの乳首に唇を近づけ、両方を同時に含んだ。
「んぁ・・・!」
ついに彼女の口から、明らかな喘ぎ声があふれた。
上擦った、高く愛らしい喘ぎ声だ。
彼女のさえずりを聞きながら、僕は唇で挟み込んだ二つの突起を、軽く唇をこすりあわせて転がした。
弾力のある乳首が唇の肉に食い込み、唇での圧迫に心地よく抵抗する。
唇の間から口内に向けて突出する乳頭に、僕は舌先を当てて軽く擦った。
「ひぐっ・・・!」
ぎこちないながらも、ゆっくりではあったものの、続いていた彼女の体の動きがついに止まった。
ベッドに突いた両手で体をかろうじて支えながらも、彼女は全身を震わせ、乳房からの快感に耐えていた。
顔は見えないが、きっと普段は見せないような快感に蕩けた表情を浮かべているのだろう。
彼女の顔を想像しながら、僕は舌と唇で乳頭を擦り続けた。
唇で締め付けながら、先端を軽く擦る。
唇をゆるめれば、軽く舌を絡み付かせて表面を撫でる。
そして時折、軽く吸った。
ただそれだけだというのに、オーガは断続的に体を震わせ、喘ぎ声を漏らした。
そこに、豪快で荒々しい性行為を好む、オーガの姿はなかった。ただ快感に耐える、かわいい彼女でしかなかった。
彼女への愛おしさに、僕は無意識のうちに力を込めて、彼女の乳首を強めに吸った。
「んぃ・・・!」
オーガの甲高い喘ぎ声のような、押し殺した悲鳴のような声が響き、彼女の体のふるえが強くなった。
ただ挿入しているだけにすぎない肉棒が、強い締め付けに襲われる。
一瞬射精しかねないほどの快感が肉棒に走ったが、僕はどうにか踏みとどまった。
そして、彼女はしばし体をけいれんさせてから、全身の力みを緩めた。
「はぁはぁはぁ・・・」
絶頂の快感を吐息ににじませながら、彼女は荒い呼吸を重ねた。
「はぁはぁ・・・ああ、もっと・・・!」
だが、呼吸の間にあえぐように彼女は言葉を混ぜると、彼女はがばと僕に覆い被さった。
両腕の支えを失った彼女の上半身が、僕の上に乗り、乳房が顔に押しつけられる。
圧力によって口に含んでいた二つの乳首が、僕の口からはずれ、乳房の間に顔が入り込んでしまう。
一瞬のうちに何も見えなくなり、顔面を熱と彼女の汗の香りが包み込んだ。
「んぁ・・・!いい・・・!」
オーガが、喘ぐようにそう言いながら、腰を上下に動かし始めた。
肉棒が彼女の女陰を出入りし、膣壁が屹立をしごいていく。
愛液と肉棒と膣が絡み合い、湿った音が寝室に響いた。
肉棒からの快感と、耳からはいる淫らな水音が、僕の意識を侵していく。
「あぁ・・・!中で・・・こすれて・・・!」
オーガはそう喘ぎながら、ベッドと僕の体の間に腕を差し込み、僕をぎゅっと抱きしめた。
圧迫感が強まり、彼女の乳房が頭を包み込む。
鼻から入ってくる空気はごくわずかで、なおかつ彼女の香りに染まっていた。いくら吸っても空気が足りず、吸えば吸うほど頭の中が彼女に染まっていく。
彼女の香りに、意識が徐々にもうろうとしていく。
しかし、鈍る意識とは裏腹に、感覚はどんどん鋭くなり、全身で彼女を感じていった。
屹立を締め付けるオーガの膣肉の感覚が、鮮やかになっていく。単に力で締め上げるのではなく、肉棒の凹凸にあわせて弛緩と緊張を細やかに繰り返し、圧力が均等にかかるようにしているのだ。
加えて、締め付けのせいで感覚が紛れていたが、彼女の内側は非常に柔らかく、屹立を包み込んでいた。
「んが・・・ぉ・・・!」
彼女の乳房の間でうめき声を漏らしながら、僕は全身で彼女を感じていた。
乳房の柔らかさ、温もり、汗と肌の匂い、膣の締め付け、薄い脂肪越しの腹筋、たくましい両腕。
彼女の全身が、僕の全身に触れ、文字通り包み込まれていた。
猛獣が獲物に食らいつくような姿勢であったが、僕は息苦しさの中、奇妙にも安らぎを感じていた。
このままずっと彼女に抱かれていたい。
このままずっと彼女に包み込まれていたい。
このままずっと、彼女と一緒にいたい。
そんな欲望が、胸中からあふれだし、僕を支配していく。
そして、彼女とこうして繋がりつつ、包み込まれている喜びが僕を満たしていく。
「・・・っ・・・!」
僕はこみ上げてきた射精感に身を任せ、彼女の胸の間で小さくうめき声を漏らした。
強ばり、小さく痙攣するする僕の体に、オーガは深々と腰を下ろしつつ、両腕の力を強めた。
「・・・!」
「んぁ!あああぁん!」
彼女の締め付けに吐息を絞り出されながら、僕は精液を放った。
自分から放つと言うより、彼女に搾り出されたような射精だった。
だがそれでも、白濁が尿道をかけ上り、体外に放たれていく快感は心地よいものだった。
「んぉ・・・!あぁ・・・!」
胎の奥を叩く熱い粘液に、オーガが声を漏らす。
苦しげな喘ぎ声であったが、僕は彼女が感じていることがわかった。
彼女はこんなにも僕を抱きしめ、自身の胸の高鳴りを聞かせてくれているのだから。
彼女に包まれたまま、僕はしばしじっとしていた。



それから数回、同じ姿勢で楽しんでから、彼女は僕を解放した。
「へへ・・・今日もすごかった・・・」
一糸まとわぬ姿で、僕の側に身を横たえながら、彼女は微笑んだ。
「僕も、気持ちよかったよ・・・」
呼吸もほとんどできない状態での連戦に疲弊した体を、彼女の腕枕で癒しながら、僕はそう応える。
「へへ・・・」
僕の言葉に彼女は照れくさそうに笑うと、腕枕をしていない方の手で僕の頭を撫でた。
彼女と僕の汗で、わずかにしっとりと湿り気を帯びた髪の毛を、彼女の指が滑っていく。
頭皮に感じる圧力が心地よかった。
「こうしてると・・・お前、子供みたいだなあ・・・」
僕の頭を撫でながら、彼女がそう呟いた。
「一緒に寝転がって、頭撫でながら眠るのを待って・・・子供ができたら、こんな感じなのかなあ?」
「うーん、たぶん君似の娘が生まれるだろうから、僕じゃ参考にはならないと思うよ?」
「わかってるって。気分の話さ」
彼女は、若干糸を理解しきっていなかった僕にそう微笑んだ。
「こうやって寝かしつけて、夜泣きしたらおっぱいやって・・・あ、そうだ!おっぱい吸ってみるか?」
彼女は、ふと思いついたらしくそう僕に問いかけた。
彼女の乳房など、先ほどまでいやと言うほど味わってきたが、あくまでいやと言うほどだ。いやではない。
「うん、ちょうだい」
僕は彼女の申し出に頷くと、顔を横に向けた。
そして、むき出しの彼女の乳首を口に含むと、軽く吸った。
もちろん何もでてこないが、それでも口内で乳首を転がした。
「へへ・・・へへ・・・ふふ・・・」
乳頭からの刺激に、時折呼吸を乱れさせながらも、彼女は優しく僕の頭を撫でた。
視線だけを彼女の顔に向けると、オーガはとても優しげな、穏やかな表情を浮かべていた。
見ているだけでも落ち着くような表情だ。
「ふふ・・・ん?あれ・・・?」
だが、不意に彼女は表情に疑念のようなものを浮かべると、声を漏らした。
「あれ・・・?ちょっと待って・・・」
「どうしたの?」
僕は唇を乳頭から離すと、そう彼女に問いかけた。
「なんか今・・・ちょっとおっぱいの先っちょが・・・あれ?」
彼女の乳房の先端に目を向けるが、僕の唾液に塗れた乳首には、特に異常は見あたらなかった。
「んー、何ともないみたいだけど」
「だけど今・・・痛かった?ような・・・」
「ちょっといじりすぎて、敏感になってるんじゃないかなあ」
毎度子供に授乳でもするかのように、僕に乳首を吸わせていたのだ。多少痛くなってもしょうがない。
「そうか・・・じゃあ、もう一度舐めてくれ」
「・・・話し聞いてた?」
乳首のいじりすぎで痛くなったのかもしれないのに、再度乳吸いを求める彼女に、僕は呆れた。
「いやいや、いつもみたいにおもいっきり吸うんじゃなくて、優しくだ。優しく舐めて痛みを引かせて欲しいんだよ」
「ああ、そういうこと・・・」
僕は頷くと、再び彼女の乳頭を口に含んだ。
彼女の求め通り、優しく、穏やかに、舐める程度にとどめる。
「ん・・・ん・・・」
彼女は時折声を漏らしながら、じっと僕が乳頭舐めるがままに任せていた。
だが、次第に彼女の手や腕に力がこもっていく。
「んっ・・・ふ・・・ん・・・」
吐息に小さな声が混ざり、手足が一瞬硬直する。
感じているときの反応に似ているが、何かが違う。
「ねえ、本当に大丈夫・・・?」
一度唇を離してそう問いかけると、彼女は小さく顔を左右に振った。
「なんか・・・変・・・!」
胸からの感覚に耐えているのか、彼女は途切れ途切れに続けた。
「おっぱいが・・・熱くて・・・あ、でる・・・!」
彼女がそう低くうめいた瞬間、その体が小さく痙攣し、何かが僕の顔向けて迸った。
「うわっ!?」
突然顔にかかった液体に、僕は思わず声を漏らした。
「あぁ・・・びっくりした・・・なにこれ・・・」
顔をぬらす液体を手で拭い、目で確認した。
それは、白くさらさらとした液体だった。
「え・・・?」
白い液体に思わず声を漏らし、僕は彼女の乳房を見た。
すると、彼女のツンと張った砲弾型の乳房の先端、屹立する乳頭から白い滴が滲みだしているのが見えた。
「これって・・・」
「アタシの、おっぱい・・・?」
オーガの漏らしたおっぱいという単語には、いつもとは違う意味が込められていた。
つまり、母乳だ。
「・・・赤ちゃんできた、の・・・?」
「・・・たぶん・・・」
乳房から滴る、母としての証の滴に、彼女は自分でも信じられないという表情で頷いた。
「・・・お、おめでとう・・・?」
「あ、ありがとうございます・・・?」
僕と彼女は、戸惑いながらもそう言葉を交わした。
彼女が妊娠した。つまり、僕が父親になる。
「父親・・・」
「アタシが、お母さんか・・・」
全く同じことを考えていたのか、ほぼ同時に僕たちはこれからの自分たちの役割を呟いた。
「お母さんか・・・お母さん・・・お母さん・・・へへ・・・へ・・・えへへ・・・」
オーガは、そう繰り返しながら顔をほころばせていった。
もう母としての意識が芽生えつつあるのだろうか。
ならば、僕も父親にならなければ。
「・・・僕、がんばるから」
そう、僕は愛しい妻と娘に向けて告げた。
12/12/02 17:31更新 / 十二屋月蝕
戻る 次へ

■作者メッセージ
こういう話をご存じだろうか。

ある女が、第一子を出産し、しばしの入院を経て夫の待つ家に帰ってきた。
しかし退院後数日で、彼女の母乳が止まってしまった。
ストレスがあるわけでも、栄養が足りないわけでもない。
夫婦は原因に思い至らず、医者を訪ねた。
医者は、彼女の体を検診してからこう言った。
『お母さん、旦那さんから愛されてますねえ』
『あなたの体は、退院して旦那さんと会ったことで、お母さんの体から恋人の体に戻ったのですよ』

まあ、意識の持ちようによって子供を育てるモードから、子供を作るモードに切り替わるって素敵ですよね。
その逆も起こり有るんじゃないかと考えて書いたのが、今回のお話でした。
実際、ショタ系の旦那さんを持つ魔物娘さんは、多かれ少なかれ旦那さんに対し母性を抱いてると思うんですよ。
ですからそれが高じれば、妊娠してないのに子育てモードの体、つまり『育ってマイダーリン』モードになってもおかしくないはず。
オーガと『僕』の二人はがっかり&恥ずかしい思いをすると思いますが、イイヨネ!

あと、図鑑世界では母子相姦って難しいけど、気分だけでも味わってもイイヨネ!

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33