読切小説
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パラサイトグリモワール
「これより我がパラサバトが主催する『寄りミサ』を開催する」

主催者が開催を告げると周囲が一斉に盛り上がる。

「おにいちゃん、何が始まるの?」
「大丈夫だ、おにいちゃんが守ってやる」

私は参加者の中にいる幼い兄妹に気づく。普段から妹を大事にしている立派なお兄ちゃんのようだ。

これがサバトの黒ミサなら魔女となった妹が大好きなお兄ちゃんを押し倒すという流れになるのだけど…
しかし、ここにいる魔物娘全員はバフォメットでも魔女でもファミリアでもない

「あら可愛い妹さんね。わたしの卵を入れてあげたいわ」
「丁度いい夫候補もいるみたいだし。魔物化したら即ハメが出来るね」
「帰りを待つ家族も魔物へと変わるだろうね」

ローパー達が自らの卵を寄生させようと兄妹に目星をつける

「そんなに怖がらなくても、もうすぐ素直になれるから」
「身体がとろとろになって気持ちいいよ」
「子供に寄生したら騎乗するスライムちゃんも子供サイズになるのかしら?」

すっかり魔物の体に馴染んだスライムキャリア達がそう呟き

「キセイ、トロトロ」
「@△×○」
「……」

宿主がいないピンク色のスライム――寄生スライム達が、じりじりと寄る

このように人間の女性に寄生させるかたちで仲間を増やすタイプの魔物娘達だからだ。

そんな彼女たちを見ているとお嬢様はまだ理性があるほうだと思う。
いや、さり気なく淫猥なことを言う点でどっちもどっちか。

「怖がらなくてもいいよ」

このミサの主催者である女性が兄妹の前に立つ

「ボクがこのミサの責任者、帽子屋と呼ばれている」

彼女は女性でありながら、燕尾服を着ており男装している。
しかし、燕尾服にはうっすらと菌糸が垂れ落ちており、これが彼女は人間ではないことを証明している。



マッドハッター



お嬢様曰く不思議の国に迷い込んだマタンゴが変異した種族、知性を感じさせる落ち着いた佇まいは本能のまま交わり胞子を飛ばすマタンゴとはまた違った魅力を感じさせる。

事実、興奮気味のローパーやスライムキャリア達に対して、他のマッドハッター達は普通にお茶を嗜んでいる。

「君達は家族とピクニックに出かけた際に森で迷子になっていたところを拾われたみたいだね。お腹を空かせていることだろう。妹と一緒にあそこのテーブルに座っているといい」

帽子屋は誰も座っていないテーブルを指す。
純白のテーブルクロスの上には色とりどりのお菓子や紅茶が並べられている。

「うん…」
「おいしそう…」

兄は妹をつれてテーブルのほうへとことこ歩く、童話に出てくるお菓子の家に誘われる兄妹のように。



「ナンゲ、ナンゲ、ぎゅー」



むにゅぅ、と背中から伝わる柔らかい感触

「お、お嬢様、いつの間に。てっきり他のマッドハッター達と会話をしているものかと」
「えへへーごく自然な形でおっぱいを押し付けてみましたー」
「ちゃっかり胸を押し付けるのをやめてください!」
「そっかーナンゲは胸よりもお尻が好きなタイプだったねーそれよりどうかなーこのパラサバト、気にいったー?」
「お嬢様が強引に連れてきたじゃありませんか」
「強引じゃないよーちゃんと両親にも許可をとったよーあとナンゲの家族にも」
「そういう問題じゃなくて、っていうか何故私の家族にも!?」
「それは勿論ナンゲのご両親にご挨拶を……そうそう、弟くんと妹ちゃん可愛かったねーお兄ちゃんと魔女のベストカップルで、これぞサバトがきっかけでラブラブになれたって感じでさー」
「だからどうして私の家族に許可をとる必要があるの!?」
「そういえば妹ちゃんナンゲのことを心配していたよー「おねえちゃんは屋敷の仕事頑張っていますか?」ってねー」
「妹の奴、まだ私のことをおねえちゃん扱いしているのか……母親代わりは母さんが蘇って以来卒業したのに」
「そっかーナンゲがあの兄妹のことを気にかけているのは弟くんと妹ちゃんを重ね合わせているのかなー?」
「話が脱線していませんか、お嬢様!?」
「初めてのプレゼントはあの兄妹にしようかなー?」
「一体あの兄妹に何をなさるおつもりですか、お嬢様」
「ナンゲ、会長の説明が始まるよー」
「また話が脱線していますよ!」
「僕が参加したパラサバトのことが知りたいって言っていたでしょー?」
「わざわざ参加してまで知りたいことじゃなかったですけどね」


「初めて参加する娘もいるみたいだし、この『寄りミサ』の簡単な説明をしよう。これはサバトで開かれる『黒ミサ』と似たものと認識してもらってもいい。女性の魔女化は寄生、お兄ちゃん選別は養分を得るための夫、新しい薬や魔術の披露は、栽培した紅茶と新作のお菓子を食べるお茶会、そして新たな命を育むため全員で交わり疲れ果て眠りに着く夫を嫁達が抱きかかえて終了の運びだ」

黒ミサでは眠りついた妹をお兄ちゃんが抱きかかえて解散するけど、ここでは逆なのか……

「未婚の男性は寄生された女性とカップルとなり、既婚の男性は嫁に養分を与え仲間を増やすことの素晴らしさと嫁が男装することの背徳と魅力の再認識をして、ロリコンのお兄ちゃんならぬ、パラコン或いはオトコンの男の子になってほしい」


「パラコン?」
「パラはパラサイトだよーオトコンの意味はわかるよねー?」
「何度も聞かされていますよ。男の格好をする女性を好むことでしょう」
「つまりロリコンの男装バージョンだよー」
「その例えはどうかと…」


「説明は以上だ。何か質問がある人」
「はい」
「どうぞ、メイド服を着たお嬢ちゃん」
「お嬢……メイド服ぅ!?」

私は拳を握り締めながら主催者に訊ねる。

「ナンゲと言います。横で笑っているマッドハッターお嬢様が暮らすお屋敷で働いています。この寄りミサではローパー、寄生スライムとスライムキャリア、マッドハッターといった寄生タイプの代表がいます……というよりマッドハッターが多く見られますが、マタンゴがいないのは何故ですか?」
「いい質問だ。結論からいえばマタンゴがいるとここにいる人間全員が一気にマタンゴ化してしまい、マタンゴの胞子から生えたマタンゴモドキを食べてしまえば例え魔物娘であってもただ交わるだけの状態になってしまうから寄りミサそのものが成立しなくなるのさ」

「ナンゲって、マタンゴに興味あるのー? ごめんねー僕は直接マッドハッターになっちゃったから」
「いえ、別にお嬢様はマタンゴでいいとかそういうことを言っているわけじゃなくて」
「でもーもしマタンゴに戻れたら、頭の中はキノコでいっぱいになってー躊躇無くナンゲを襲っちゃって子作りしちゃうかもねー」
「な、何を言っているのですか、お嬢様は一家の跡取り、私はただの使用人、もしお嬢様の子を身ごもったら大問題ですよ」
「大問題とか関係なくそれがマタンゴの本能だからねー」

「ははは、彼女が言うようなことにならないために、マタンゴ達がパラサバトに入信する際は不思議の国に伝わる洗礼によってマッドハッターになってもらうのさ」
「それでマタンゴ達は納得しているのですか…?」
「当然さ、マッドハッターとなったマタンゴ達は、ただ交わり胞子を飛ばすだけだったマタンゴ時代から一転して、美味しい紅茶とお菓子と狂気に満ちた会話をしながら交わり、新しく産まれた帽子を気に入った女性に被せる形で寄生させることができて幸せだと言っているよ」
「……まあ、寄生させたい女性を選別できるだけいいほうですよね」

「やっぱりーナンゲは、僕が自分のキノコを人間の女性に被せるのを楽しみにしているのかーやっぱりー」
「何がやっぱりーですか、私はただ、お嬢様が無差別に屋敷や町の人達を魔物に変えることはなくて安心しているだけです」
「ごめんねー僕、人間からマッドハッターになったのはいいけど、まだ自力で新しいキノコを生み出せないからー今は『まだ』だけど」

お嬢様は楽しそうに浮き足立っているのを見て、私はあの日のことを思い出す

丸三日行方不明になったと思いきや、突然屋敷に戻ってきたお嬢様
しかし、お嬢様の姿はドレスではなく何故か燕尾服に帽子を被る男装スタイルをしており、これにはご主人様や奥様、他の使用人たちは動揺したが、お嬢様がキノコの胞子を屋敷全域に飛ばした途端、混乱は収束。今となっては屋敷の者達全員がお嬢様の男装姿を受けいれている。


私を除いて――


「最初は寄生といこう」


帽子屋の言葉を合図としたのか、ローパーやスライムキャリア達がうきうきしながら人間の女性達に歩み寄る

「ああ、やっと卵を植えつけることが出来るのね」

ローパーは触手を一本取り出す、その触手には小さな塊が蠢いている
あれがローパーの卵、夫の精を養分にすることで作られた新たな命――

「うふふ、身体がとろとろになるって気持ちいいよ〜? あん、ああん…」

スライムキャリアは下腹部を弄ると、高揚した表情と共に小さなスライムを生み出す。
あれが分裂した寄生スライム、人間の女性の姿をとれない代わりに人間の女性に寄生するという――

「おっと、寄生をする前に服選びをしないとね」

帽子屋が指を鳴らすと、マッドハッターの少女達が様々な衣服立て掛けられたハンガーを女性たちの前に持ってくる

お姫様が着る高級なドレス、メイド服や水兵服、ジパングの着物、ネグリジェといった男性を誘うような衣服が勢ぞろい

「ん、あのメイド服、私が着ているのと似ているような」
「当然だよーナンゲのメイド服もあの中から持ってきたものだよー」
「どうりでスカートがやたら短いと思いましたよ!」
「見てみてー冒険家の女性(以下冒険娘)が、着替えることに顔をしかめているよー」


「いきなり、着替えろといわれても……あたし冒険家だからファッションセンスないし……」
「大丈夫、寄生スライム達が、君に似合う服をコーディネートしてくれるよ」

「キュー、キュー」

寄生スライムの一匹が「任せて」と言わんばかりにぴょんぴょんと冒険娘の周りを跳ねている

「寄生スライムはただ女性を宿主にする訳じゃない。宿主の思考を読み取って、宿主の好みや望みに応えてくれる。自分でも気づかなかった理想の自分にしてくれる、理想の彼氏を探してくれる、最高の相棒だよ」

「相棒ね……」
「キュー?」
「へぇー、怖いかと思っていたけど。中々可愛いところがあるじゃない」
「キュ〜」
「あはっ、あたしの肩に飛び乗るのか」


「お互い気に入ったようだね。生涯の相棒と共に新たな世界の扉を開くといい」


「あの寄生スライムとスライムキャリア、いいコンビになれそうだねー僕とナンゲのように」
「なぜそのような例えになるのです?」
「ほらーほらー兵士風の女性(以下兵士娘)が色とりどりの服を見ながら帽子屋に訊ねているよー」


「寄生をさせるのに、わざわざ服を選ぶ意味があるの?」
「当然さ、ローパーというのは寄生した際に身につけていた服も体の一部と認識するからね」
「じゃあ、わたしがローパーに寄生されたら今着ているダサい兵士服が体の一部になっちゃうの? 女性兵士全員に支給されるこのダサい兵士服が?」
「そうだよ、どれだけ服が破れても元通り再現する能力を持っている、どうせ寄生されるなら好みの衣装を着用するのは当然のことだろ?」
「じゃあお姫様っぽい高級なドレスを着てもいい? わたし達庶民には手が出せない代物だから」
「どうぞ、試着は奥の試着部屋を使うといい。専門のスタッフが試着を手伝ってくれるよ」

「どうぞこちらへ」
「わたしに似合うかな……?」
「自分に自信をもってください。部屋を出る頃には立派なお姫様になっていることでしょう…」


「ふふふーあの兵士娘さん、ローパーのスタッフと一緒に試着部屋に入っちゃったねー僕がナンゲにメイド服を着せようとした時の事を思い出すねー」
「私は必死で抵抗しましたね」
「そうだったねーだから胞子を使ってナンゲがメイド服を着ることが当然のことだってー屋敷の人達に認識させたよ」
「ええ、主人や奥様からメイド服を着ろと言われた時点でしぶしぶ着る事に……あれ、でしたら何故お嬢様は私に胞子を使わなかったのですか? お嬢様の胞子を使えば私がメイド服を着ることが当然だと思わせたはずですが」
「んーナンゲだけには胞子は極力使ってないよーだって特別な存在だから」
「特別な存在ですか……私とお嬢様はそれなりに付き合いが長いですから……」
「うーん、そうじゃなくてーあっ! ナンゲ、ほらーほらーあれーあれー」
「どうしたのですか、さっきよりも目を輝かせて」
「女の子達が帽子を被ろうとしているよ、それも二人も」

「あの、帽子を被るだけでいいのですよね?」
「勘違いしないで、卵に寄生されるだけマシだから」

「わー被ったよー被ったよー歴史的瞬間だよー新人AとBの誕生だよー」
「帽子を被ったぐらいで何をそんなにはしゃいでいるのですか、お嬢様」
「キノコが二人の頭に胞子を送り始めるよー」

「あっ」
「うっ」

「あれが、マッドハッターの寄生……」
「頭の中はどんな淫猥のことを考えているかなー?」

「キノコ、キノコ…キノコが欲しい……」
「何これ? 何でこんなエッチなことばかり考えてしまうの? でも悪くないかも」

「わぁーあの娘の身体から菌糸が滲み出ているーあっちの娘は淫猥な思考を平然と受けいれているねー」
「そうですか……」
「ナンゲ、僕の顔をジロジロ見てどうしたのーふふふーナンゲは僕もこの帽子を被った時のこと知りたいのかなー? 当然淫猥なことを考えていたよーあと燕尾服を着用したいって思ったんだー」
「でしょうね。マッドハッターは燕尾服を着る種族ですからね」
「いやいやーそうじゃなくてーナンゲを女装させたいって思っていたらー僕は男装しなくちゃって思ったからだよー」
「え?」
「燕尾服を着ながらずーっとナンゲのことを考えていたー朝はナンゲに起こしてもらいたいー休憩中のナンゲとお話したいーメイド長に叱られて落ち込んでいるナンゲを慰めてあげたいーナンゲが作った手料理で食べたいーナンゲと一緒に食事をしたいー夜はナンゲに子守唄を唄ってもらいながら眠りに着きたいー」



「そして身分に関係なくナンゲと夫婦になりたいー」



お嬢様がそっと私に口付けをする
最初は軽いフレンチキス、唇と唇が重ねあうもの
それだけで唇の力が緩んでしまい、それを見逃さなかったお嬢様は自らの舌を私の口の中にいれこむ
唾液と唾液が絡み合うと美味なる味が舌に浸透してゆく

「んっ、くちゅ、くちゅ」
「れろっ、れろれろ」

気づけば私はお嬢様の舌を自らの舌で積極的に味わい、お嬢様もそれに応えるかのように舌の動きが活発になる、お互いの唾液を味合うように……

「んぱっ」
「あ、お嬢様……いきなり口を離すなんて、もっと味わいかったのに」
「えへへーだって、ナンゲのスカートがテント張っているのに気づいちゃったからー」

お嬢様に言われて気づく、私はすっかり勃起していることに。

「見せてー見せてー」
「お嬢様、人前で私のスカートを捲りあげるなんてはしたない…」
「気にしない気にしないーあっ、ナンゲのキノコ、パンツから飛び出しているー面白いー」
「当然でしょうね、私は女装していますから」
「ナンゲは女顔もといお姉ちゃん顔だから女装しても違和感ないよー魔物娘はともかく、人間さんはナンゲを女の子だと思っていたかもよー」

人が気にしていることを…と言おうとしたら、お嬢様が微笑みながら

「ナンゲのキノコを僕のズボンにこすり付けてー」

極自然な手つきで私のキノコを掴み、下腹部にあてがう

ズボン自体がヌルヌルしており、こするだけでも感じる
太股のムチッとした弾力が私のキノコを優しく挟んでいる

「えへへーキノコがすごく喜んでいるよー」
「ああ……上って来る…だめです、お嬢様、このままだと」
「いいよーずっと溜め込んでいたのでしょー一週間前にこっそり発散してからそれっきりー」
「な、なぜそれを?」
「魔物娘になった僕の嗅覚は鋭いからねーさぁいっぱい出してねー」
「あー!」

お嬢様は私のキノコをズボンのさらに奥まで押し込む
まるで挿入されたような錯覚に陥り、その反応で私のキノコが大きく脈打つ
まるでズボン自体が租借しているように、精液が一滴も漏らすことなく、お嬢様のズボンに浸透する


「ズボンが汚れちゃったからナンゲが脱がしてー」

お嬢様は私を押し倒す。
お尻を私のほうへ向けるので、お嬢様の顔は当然私の下半身へと向けられ――

「お嬢様、何をしているのですか!?」
「脱がされるついでにナンゲのキノコを咥えるのー」
「咥えるって、まだ出したばっか……ひいっ」
「んーぐちゅちゅーナンゲママから教えてもらったーんちゅちゅーグールお得意の舐めしゃぶりだよー」
「母さん直伝の? はぁはぁ……すごい……お嬢様のテクニック、でもまだ出したばかり、なのに気持ちいい」

狂うほどの快楽を感じている筈なのに不思議と落ち着いて状況が把握できる。目の前ではお嬢様のお尻が優しく揺れており、ぴっちりとしたズボンであるためお嬢様のお尻の形がくっきりと浮かんでいる



お嬢様のお尻ってこんな形をしているのか――



「どう、僕のお尻?」
「か、可愛らしいです……」
「マッドハッターになる前は分厚いスカートを履いていたからねーそれに着替えは侍女の役目だったしーお尻を見る機会なんてなかったよねー」

どんな感触をしているのを確かめるため、お嬢様のお尻の割れ目と思われるラインをそっとなでる

「んっ、いいよーナンゲの指、気持ちいいよー」

指で軽く押し込めるほど柔らかく、お尻の割れ目だからこそどこまでも入り、ズボンでも味わえるムニムニした弾力を楽しむ。

「今度は僕のお尻を直接楽しんでよーズボン越しで見るのもいいけどー生で見る良さもあるからさー」

本来の目的を思い出した私は、お嬢様のズボンに手をかける。
ズボンは羽衣のようにするりと脱げ、小さな生桃が顕わになる。
魅力的なお尻に釘付けになりながらも私はズボンを脱がすが、膝の辺りにまで脱がした時点でズボンを脱がす腕は止まる。


生桃から浮き出る綺麗な割れ目を目の当たりにしてしまったからだ。


「僕の襞、ぬるぬるで綺麗でしょー?」
「はい、それにとてもいい匂いがします……まるで洋梨のような」
「当然だよねーナンゲ好みの身体になっているからー」
「私の好み……ありがとうございます」
「お礼なら、キノコで示してねー」
「あ……私のキノコが復活している」
「いいよーすっかり元気になったねー僕の匂いと綺麗な割れ目のおかげだねー」
「あ、ありが……んでる……」
「ごくっ、ごくっ、ぷはぁーいっぱいでたねーごくごく、おいしいー喉が潤うよー」
「私も、すっきりしました」
「じゃあ本番にいこうよー」
「ほん、ばん?」
「うん、ナンゲが凝視している割れ目、つまり僕の襞にナンゲのキノコを入れてー子宮にたっぷり精子をかけてーにんしんさせてー」
「せいし……にんしん……だ、ダメですよ!」
「あーまだナンゲにとってそれは普通じゃないのかー」
「そんなことしてもしお嬢様を妊娠させてでもしたら、ただじゃすみませんよ!」
「大丈夫だよー両親からナンゲと結婚してもいい許可を貰っているからー」
「許可とかそういう問題じゃなくて」
「ナンゲは僕のこと嫌いー?」
「いや、嫌いというわけじゃ」
「僕はーナンゲのことがずっと好きだったー女の子の格好をさせたいくらい大好きだったー結婚式を開くとしたらナンゲにウェディングドレスを着せたいと思った」
「好きのベクトルがずれているような……」
「でも僕は家の跡取りだからーそんなことは許されなかった」
「お嬢様……」
「でも今は違うよー僕のマッドハッターの胞子でナンゲに女装させることも当たり前のことにできたーだから身分違いの結婚を当然のことにだってできるー」
「……」
「でもねーただ自分の気持ちをナンゲに押し付けるだけじゃダメだと思ったーだからナンゲにだけ女装させるのは不公平だからー僕も男装することにしたー」
「いや、お嬢様は楽しんで男装していますよ。未だ女装に抵抗のある私と違って」
「そして、ナンゲにだけはパラサバトまでは極力マッドハッターの胞子を使わなかったーナンゲが純粋にー僕のことを受けいれてくれるようにー」
「……受けいれる……ですか。私は――」



わたしは――



「――私は遠くからお嬢様が幸せになるのを見届けるだけで充分だと思っていました」



「ナンゲ?」
「私は幼い頃に母を亡くして、お嬢様の屋敷で働く父の代わりに、弟と妹の世話をしていました。母代わりとして」
「うん、ナンゲパパには世話になった。短い時間だったけどー」
「それでも家計は火の車。やがて父も身体を壊し、妹も流行り病に倒れ、私は自分の無力さに嘆きました」
「……」
「結果的に妹はサバトで魔女にしてもらうことで命をとりとめ、母はグールとして蘇ることで父は普通に生活を出来る程度までは快復しましたが、結局は他者の力で救われただけで、自分は何も出来なかった」
「……」
「父の紹介で屋敷の使用人として雇われた私は、その経験から、遠くからお嬢様の人生を見届けるだけに留めようとただの使用人として生涯を全うしようと誓いました」
「……」
「ですが、お嬢様の決意を聞いたら、不思議と心が揺さぶってきたのです。お嬢様、私はお嬢様の傍にいてもいいのでしょうか? これから先お嬢様、私とお嬢様との間に生まれた子供達に不幸なことがあって、私が何も出来ずに終わっても、それでも構わないのでしょうか?」
「……当然じゃない、傍にいてくれる。それだけでも嬉しいことだよー」
「あり、がとう、ございます。おじょうさま」
「ほらほらー泣かないで、綺麗な顔が台無しだよー?」
「おじょうさま、おじょうさま!」
「うれし涙なら目の代わりにキノコで流してねー」
「はい……」
「じゃあそろそろ始めようかー」

お嬢様は私のスカートを捲り上げると、ビンビンになった私のキノコが見える。

「僕の割れ目もすっかりぬれぬれだよー」
「お嬢様の襞から、一筋の液が垂れ落ちています」
「お互い準備万端だねー」
「お願いします……」
「入れるところちゃんと見ててよーそれー」

私のキノコがお嬢様の割れ目にあたり、ゆっくりと確実に中へ潜り込む
先ほどのズボンとはまた違った感触が私を包み込む

「んー」

途中でキノコに膜が引っかかったけど、お嬢様は当然のように膜を破り、挿入を続ける。

「ああ……お嬢様の中、ねっとりして気持ちいい」
「当然だよーマッドハッターの膣は菌糸で包むような感触だからねー」
「妹の話によればバフォメットの膣は締め付けるような名器だと聞きますけど、これは締め付けずかつ緩めず適度な刺激を感じます。ずっとこのまま繋がりながら屋敷の仕事をしても問題ないくらいです」
「これがマッドハッターの名器、どれだけ交わることに抵抗があっても、一度味わえばそれが当然のように思っちゃうよー」
「程よい刺激で、自然と精液が上ってくる……お嬢様……このまま出してもいいですか?」
「んーまってー」
「お嬢様、どうして帽子を脱いでいるのですか?」
「新しい帽子を生み出すからーえいっ」

お嬢様は自らの帽子を脱ぎ、私の頭に被せる

「もういいよーキノコからうれし涙をたっぷりながしてねー」
「い、いきます!」

私は当然のように、お嬢様の子宮に精子を注ぐ

「う、うまれるー」

それに応えるようにお嬢様の頭から新たな帽子が産まれる
あの帽子こそがはじまり、私とお嬢様との間に生まれた命
そして、これからはお嬢様と新たな人生が始まるのだ。

「はぁはぁ……流石に三回出すと足腰が……」
「ナンゲ、続きは兄妹達が座るテーブルでしようかー紅茶とお菓子を楽しみながらー」
「はい、お嬢様のおっしゃるとおりに」
「そうそう、この帽子をあの兄妹に渡さないとねー」
「そうですね、この幸せをあの兄妹にも分けてあげましょう」
「もし妹のほうが男装することになったらー事実上の弟になるよねーあのお兄ちゃん弟との接し方知っているかなー?」
「仮に知らなくても、弟や妹が良き相談相手になってくれますよ」
「なら安心だねー疲れてるでしょーおんぶしてあげるねー」
「ありがとうございます」

私はお嬢様におんぶされながら、兄妹がいるテーブルへと向かう。

私はこの寄りミサに参加できたことに大変感謝している。
これからはお嬢様と交わりながら、お嬢様の子供を宿し、お嬢様と共に一族の未来を見守る、それが私やお嬢様にとって当然のことになったのだから――



それともう一つ見守りたいものができた。



「お兄ちゃん♪」
「ふぅ、弟が出来た気分だよ」



お嬢様の帽子でマッドハッターになった妹と夫である兄。
そのうち、あの二人を妹が所属するサバトに連れて行こうと思う。
ロリコンとショタコン、パラコンとオトコンの四つの味を楽しめる筈だから。


おしまい
17/08/10 20:26更新 / ドリルモール

■作者メッセージ
おまけ


帽子屋「新人お二人さん、燕尾服の着心地はどうかな?」


新人A「まるで昔から着なれている感じはするわね、でもあのスライムキャリア冒険娘のほうがセクシーだよ」


冒険娘「コルセットで胸元を強調して、少しお臍がチラ見えしてる、中々いいセンスしてるじゃない」
相棒「キュー♥」


新人B「うーん、着心地は悪くは無いけどさ、ローパー兵士娘が着ているドレスのほうが女らしくて美しいというか、っていうかドレス自体がシースルーなせいで女体が丸見えだわ!」


兵士娘「うふふ…夢みたい、こんな素敵なドレスを纏えるなんて、ドロドロに溶けてるところも魅力的だわ」


帽子屋「君たちの気持ちはわからなくもない。マッドハッターの着衣は女性が女物を着るという『道徳』に反したもの、だからこそ男装には『背徳』という『魅力』が備わっているのさ」

新人A「背徳と」
新人B「魅力…」

帽子屋「いつか君達はこのパラサバトで気に入った男の子を見つけたら、男装の魅力を教え普通を塗り替えて、男の格好をする女性に魅力を感じる――『オトコン』の男の子にしてしまえばいい」

新人A「そうですね、男装だからこそぴっちりした胸元とくっきりしたお尻というセクシーさがありますよね」
新人B「服を脱げば女体というギャップに興奮させてあげるわ」

帽子屋「それでいい、パラサバトの方針、男装の背徳と魅力を広め、寄生体らしく魔物化に忠実であれ」


新人A&B「「男装の背徳と魅力を広め、寄生体らしく魔物化に忠実であれ!」」


おまけ・おしまい





ドリルモールです。

今年もハットの日がやって参りました。

今回はクロビネガにてサバト関連本『サバトグリモワール』の制作が発表されたことを記念して、『舞台は近未来、もしマッドハッタ―が独自のサバトを開いたら』というコンセプトで書き上げました。



色々とツッコミどころがあるかもしれませんが、このお話を読んで少しでも多くのパラコンとオトコンの信者が増えたら幸いです。

ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。

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