連載小説
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バーチャルMonsTuber『ヒトミアイ』、その誕生に迫る/1月30日付
2005年2月に開設されて以降、様々な文化や騒動を生み出していった動画共有サービス『MonsTube』。
世界中の人間が動画を投稿し様々なコンテンツが氾濫する中で、現在一際話題と注目を集めているある人物をご存知だろうか。
その人物の名は『ヒトミアイ』だ。
『彼女』はMonsTuberとして2017年の6月30日から動画投稿を開始し、今現在は流行の最先端、火付け役として不動の地位を築いている。
チャンネル登録者数、再生数、動画のコメント数などどれを取っても古参のMonsTuberに負けない期待の新星だ。
そんなMonsTuberヒトミアイだが、通常のMonsTuberと『彼女』には決定的に異なる点がある。
ヒトミアイは、通常の人間ではない。
また、魔物娘でもない。
ヒトミアイはバーチャルの存在なのである。
ヒトミアイなる人物は人間にも魔物娘にも存在せず、実在の魔物娘の姿を3Dモデルへと落とし込み、魔物娘と同じように動かして声を当て、あたかも実在しているように振舞っているのだ。
ゲイザーを基にした可愛らしいモデルは非常に人気が高く魔物娘、特に単眼の魔物娘への嫌悪感や恐怖感を持っていた人からの支持も厚い。
筆者はヒトミアイを運用している人物へのインタビューを試みたものの悉く拒否されたが、代わりにMamotterにてヒトミアイ『本人』へのインタビューを行うことができた。
魔界と国交を結んだ際には多くの魔物娘達が来日したがゲイザーを始めとした単眼の魔物娘達は怖がられるからと来日に消極的であり、それを目にしたヒトミアイは自ら単眼の魅力を伝えるべくMonsTuberとしての活動を始めたのだという。
実際、ヒトミアイの存在が周知されてからゲイザー達への偏見は鳴りを潜め、来日する単眼種も数を増してきている。
インタビュー後のMamotterにてゲイザー達からの感謝の呟きが殺到し、対応しきれなくなったヒトミアイは「ふ、ふぁっきゅー!」とだけ呟いて沈黙した。
場面が場面なら炎上案件となっているであろうこの呟きは逆に多くのユーザーに受けてトレンド入りする事からも、普段の『彼女』が愛されていることが分かる。

MonsTube界に激震が走ったヒトミアイの登場は極めて強い影響を周囲に与え、今や『彼女』に倣い多くのバーチャルMonsTuberがデビューして各々の魔物娘の魅力を発信し続けている。
魔物娘に対して忌避感や恐怖感を抱いている方は是非MonsTubeにて『彼女達』と触れ合ってみては如何だろうか。
18/01/30 05:03更新 / ナコタス
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■作者メッセージ
このネタどこかで入れようかと思ったけど入れる余地なくて世知辛いのじゃー

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