連載小説
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第八章 予感
その後暫くしてレスカティエに呼び出された。
白い大聖堂に集まる各国の姫や女王。十数人いる。皆反魔物勢力だ。
年端もいかない幼い少女から、結構な年輩の女性までみえる。
「あ、サラ様も見えたのですね」
「貴女は…」

強いウェーブのかかった銀髪のロングヘア。華奢な体を正統派の白いドレスで飾ったお姫様がいた。いつかの社交界で魔物を受け入れてみようかと発言し、手痛い目にあった美少女だった。
「あ、あの時はありがとうございました。えっと、まだ名乗っておりませんでしたね。私マリアンヌです。よろしくお願いしますね」
ラウラほどではないが、小柄で華奢な身体。しかし凛としていて一国の姫として頑張ろうとしているらしい。精一杯気丈に振る舞っている様が見て取れた。
挨拶をほどほどに、姫騎士たちの意見交換が始まった。
「西の砂の国が魔物に堕ちた。東の水の谷も人魚どもに堕とされたとか。離脱者は増える一方だ」
重々しく口を開く最年長の女性。この人も何処かの国の女王だろう。
「もはや一刻の猶予もない。我々は一致団結し、これ以上離脱者を増やさぬ様相互に監視を……」
一同が頷く中、マリアンヌさんだけは曇った表情をしていた。何か言いたそうで、言えない様な表情。まさか…この空気で前と同じように言うんじゃないだろうな。また批難の的になってしまう。
「……っ、あの…っ私がここに来たのはっ、皆様にお伝えせねばならない事があったからです」
決死の表情で切り出した。
「私は、魔物達を受け入れるつもりです。魔物と共存するのも不可能ではないと思うんです。勿論無秩序には受け入れません。入国審査をしっかり行います。仕事のある者、人間を闇雲に襲わない者に限定して、徐々に受け入れようと思っております」
恐れつつも、自身の意見をしっかり述べるマリアンヌさん。勇気がある人だ。
だが会場の色は変わった。
「血迷ったか!?そなたの国は最も由緒ある反魔物国家ではないか!?」
「裏切りものだ!ここで殺せ!」
「マリアンヌさん……信じてたのに…」
会場は批難一色。また委縮してしまう。嘘がつけない人なのか、自分が正しいと思った事を実行したいと思う人なのか。
血の気の多そうなマッシブなお姫さまが本気で斬りかかっていく。
「おやめなさい」
咄嗟にマリアンヌさんの前に出て庇ってしまう。
「ここは議論の場であり殺し合いの場ではありません。神聖な場所を血で汚さない様にお願致します」
「てめぇは……王家の至宝さまじゃねぇか」
毎回言われるのね…
もはや慣れっこだった。恥かしい二つ名で呼ばれる事より、知り合いの死の方が遥かに嫌だから。
「これ!そこの若造二人。鎮まれ。………マリアンヌは後で話がある。独りで談話室に来なさい」
最年長の女王は厳しい表情で言い放った。
その後も、どこかが魔物の手に堕ちた、あそこの動きが怪しい、こちらの魔物を追いだした、等様々な話が語られた。
だが戦略的な物は全くなかった。ただ魔物を滅ぼせの一点張り。このまま考えなしに強硬路線を続けていても先はないだろうに。

全ての話が終わると、各々が流れ解散する。続きは明日だそう。
マリアンヌが素直に独りで談話室に向かうのを見て、不安に思い後をつける。男が女の子をつけるなんて最低だ…
自己嫌悪しかけるが、そんな余裕はない。後ろから声をかける。
「マリアンヌさん。胸騒ぎがするんです。この話、忘れた事にしましょう」
小柄な体が振り返る。ほっとした顔になる。
「サラ様。いえ、約束や条約は守る主義なんです。お話があるならばお受けしないと」
「……そうですか。では御一緒いたします」
「え、でも、私一人でと…」
戸惑う彼女を半ば強引に押し切り、一緒に談話室に向かった。



突如閃光。
これは強力な攻撃魔法だ。
咄嗟に強力な結界をはり、マリアンヌさんを庇う。
「……独りで来いと言った筈だが」
目の前に居たのは最年長の女王。完全に殺す気だ。目には光が無く、もはや人間として認識していないのだろう。厄介なのに目を付けられたな。
「いきなり他国の姫に攻撃するなんて、宣戦布告と取られてもおかしくないですよ」
ぼくは攻撃してきた女王に言い返すが、相手はマリアンヌさんにのみ視線を送っていた。
両手で口を押さえ唖然とする銀髪の姫様。いきなり攻撃されるとは思っていなかったらしい。危機感が無さ過ぎる。余程お育ちが良いのだろう。
「魔物に与する者に用はない。消えろ」
「失礼いたします。私の話を聞いていただけますか?」
軽く光の弓矢で威嚇しつつ、こちらに向いてもらう。女王は全く同じ性質の矢で撃ち返してきた。
「…お前も敵か?」
「どうでしょう。ただ、あまりに急進的すぎませんか?まだ検討の段階ですよ?」
マリアンヌさんに目をやると、さっきまで震えていたのに前に出てくる。
「サラ様は関係ありません。私を心配して勝手についてきただけです」
よくみると小柄で華奢な身体は震えっぱなしだ。だが目線はしっかり相手を捉えていた。何と凛とした御姫様だろう
「サラ様はお逃げください」
こんな小柄で華奢な子を捨て置けと言うのか。土台無理な話だ。
「私は勝手に加勢させていただきます」
はっと見上げてくるマリアンヌさん。とてもじゃないが独りで勝てる相手ではないだろう。
何とか女王を無力化して話だけでも通さないと。
マリアンヌさんは細く可愛らしい光の矢を降らせた。だが見た目通り大した威力ではない。簡単に薙ぎ払われてしまう。
「やはり魔に毒された者は弱い!」
金切声で叫びながら巨大な火の玉を作りだす女王。
相手が吐き出した火球は凄まじい温度だった。直撃すれば骨も残らない。
ぼくはマリアンヌさんの前に立ち魔力を込める。
「ごめんなさい。こちらも手加減は無しで」
可能な限りの魔力を込め、迎撃した。
同じ量の光弾を発射して相殺する。
すかさず捕縛用の魔法で拘束する。
「す、すごい…サラさん…」
驚いた様子のマリアンヌさんと、呆然と拘束される年輩の女王。
「ここで起きた事は我々の秘密にしましょう?お互いの為です」
「……」
女王は抵抗している。何とか拘束魔法を解除しようと必死だ。
「その拘束は遅延呪文もかけてあります。拘束を解いた瞬間に奇襲なんてかけないでくださいね?後悔しますよ」
最後に釘を刺し、拘束を解くと、女王はそそくさと逃げ出した。
ぼくもその場から銀髪の御姫様を連れて立ち去った。





「はぁーっ…怖かった……もう。マリアンヌさん危ない所でしたよ」
「すみません……話せばわかると思って」
冷や汗まみれになってマリアンヌさんを連れて客間にひっこむ。
本当にお育ちがいいと見える。度の過ぎたお人好しは苦労するのに。危なっかしくて見てられない。
「自分の考えを素直に言えるのは素敵な事だけど、一国の姫君が軽はずみに行動してはいけませんよ。貴女の命は国そのものなんですから……あ…ごめんなさい。偉そうに…」
「いえ。仰るとおりです。サラ様はお優しいのですね」


その日、姫騎士や聖騎士が騒がしかった。
何処かで見ていた者がいたのか、あるいは大規模魔法の余波は分りやすいから、周りに勘付かれたか。
その日から、姫騎士達の距離感が広がった。何か警戒しあっている様な空気になった。特にマリアンヌさんは周りから距離を置かれた。面と向かって反魔物国家の集団から抜けるかもしれないと言ったのだから当然だった。
一人ポツンといる事が多くなったマリアンヌさん。たまに血気盛んな騎士が絡もうとして周りの騎士に引き止められたりしている。
「マリアンヌさん、よろしいかしら?」
「サラさん、おはようございます」
心なしか疲れている様に見える。
隣に座ると、マリアンヌさんは少し安心した様な表情になってくれた。
「貴女、なぜそこまで魔物にこだわるのですか?貴女の母国は由緒正しい反魔物国家なのでしょう?」
「私の国に魔物が多数入りこんだんです。最初は国の仕来たりで公開処刑も已む無しと考えました。ただ、人間の男性とあまりに幸せそうで……何より両方ともが両方共を庇い合っていたのです。とても人に害を為す種族とは思えませんでした。調べていくうちに、魔物娘と人間は共存できるのではないかと考え直したのです」
「それでは、ご自身の為ではなく国民の為に…?」
マリアンヌさんはぼくの言葉に慌てて手を振り、顔を赤らめて続けた。
「そ、そんな大それたものではなりませんよっ」
本当に育ちが良いらしい。王族とは国民のために働くものだとお思いのようだ。
姫を演じる身としては見習いたいもの。
「マリアンヌさん、貴女とはとても良いお友達になれそうですわ」
「あ、よろしいのですか?」
自分と近しい考えを持っている一国の王女なら、親しくしたい。仲間は多い方がいい。
幸いにもマリアンヌさんは受け入れてくれた。
「サラ様、一緒にお食事など如何でしょうか?お話も伺いたいですし」
今度はマリアンヌさんが誘ってきたので、乗ってみる。
用意された来賓用の食堂に向かい、食事を頼む。
椅子に座れば自然に隣に腰掛けてくる。警戒心が無さ過ぎる。
周りでは諸国の姫君や騎士が目を丸くしていた。
「マリアンヌさん、視線が気になりますね」
「サラ様は有名なお方ですもの。腰まで伸びた素敵な髪をお持ちですし。私は癖毛だからサラサラの長髪には憧れますわ」
女性にそう言われても。ただの遺伝だ。それに銀髪のウェーブの方がきれいで神秘的だと思うけれど。
「マリアンヌさんの髪の方が素敵ですよ。まるで銀の装飾の様。気品にあふれています」
「え。うそ…あ、ありがとうございますっ!……あのあのっ、髪触ってもよろしいですか?」
「どうぞ」
マリアンヌさんはぼくの髪を手櫛で梳いてくる。
「どんな手入れをなさっているのでしょうか?高価な魔法水でしょうか?」
「いえ、そ、そんな大したことは…」
白く細い指先で梳かしてくる。夢中で髪を触る彼女はあまりに無防備だった。
「マリアンヌさん、お食事がきますから」
「も、申し訳ございません」
どんどん密着してくるマリアンヌさん。ここに来てから男の自分に戻っていないので、ここまで密着されると厳しい。異国情緒あふれるさわやかな甘い香り。彼女らしい。
給仕の女性が二人分の食事を持ってきた。
食事中は話さない。流石に周りに貴族が居る中で大声で食事中に話すのは…
そう思っていたが、案外周りも話す人は話していた。
聞こえてきた話に気になるものがあった。
レスカティエに多数の魔物娘が紛れ込んだのだとか。素早い動きで魔力探知が難しくとにかく強い。常に数人で行動し、手練が捕まえてもふわりと煙と共に消えてしまう。
トモエだ。まずい。噂が広がっていると言う事はレスカティエに目をつけられていると言う事だ。
真っ青な顔をしていたんだと思う。隣のマリアンヌさんが心配そうに声をかけて来た。
「お食事中ごめんなさい。お顔が真っ青ですけれど、大丈夫でしょうか?」
「大丈夫です。少し嫌な事を思い出しただけですから」
トモエが心配だ。何も出来ない自分が情けないな。
「サラ様、私のお部屋に来ていただけませんか?もっとお話を伺いたいのです」
「え?」
マリアンヌさんが気遣っている。珍しく自己主張して上目遣い。断る理由もないし、周りの視線も気になるので頷いた。









来賓用の個室に招かれる。
「随分可愛らしいお部屋ですね」
「あ、ありがとうございます」
それなりに広い部屋にベッドと窓。机にはレスカティエの教本と魔物娘との付き合い方の本が両方並べられており、反魔物と親魔物の両方の思想を吟味したのがよく分る。
椅子を用意され、座る様に促される。
「サラ様は紅茶がお好きなのですか?それともコーヒーの方がお好きでしょうか?」
「それじゃあ紅茶を頂こうかしら」
以前トモエにお茶を淹れた事があったっけ。懐かしいな。
「あら、サラ様、またお顔が…」
「……私ったら駄目ね。しっかりしなくては」
笑顔を作りつつマリアンヌさんの後姿を見る。ウェーブのかかった銀髪が綺麗だ。こんな少女相手に切り出す話では無い。だが打てる手は打っておきたかった。
「マリアンヌさん、同盟を結びませんか?」
「……え?」
小柄で華奢な身体が振り向く。
ぼくは続ける。
「もしもの為の軍事同盟です。我々の様な小国はレスカティエの傘で成り立っています。逆にもしレスカティエに目をつけられれば…………その為の同盟です」
銀髪の姫は静かに振り返りつつ紅茶を用意する。
「私の国と同盟しても大して役には立てません。貴女に何もメリットはないと思います。貴女側に一方的に負荷をかける事にはなりませんか?」
少し諦めたような表情で紅茶を淹れ、渡してくる銀髪の姫。その表情は凛としており、気高い印象を与える。先程の弱々しく華奢な少女ではなく一国の王女としての姿。
「驚きました。貴女の性格ならすぐに乗ってくると思いましたのに」
「貴女が教えてくださったんですよ?まず慎重に行動しろと。いい勉強になりました」
マリアンヌさんはにこりとウィンクする。
「こちらのメリットを言わねば同盟の話はなかった事に…?」
「教えてください。由緒だけの弱小国と同盟を結ぼうとする訳を」
「ここからのお話は内密にお願致しますね。………私は魔物の友人を持っています。近くレスカティエ勢力を抜けるつもりでした。同じようにレスカティエ勢力から抜けようとしている貴女はまたとない仲間と思った訳ですわ」
「……なるほど。嘘を言っているお顔でもありませんね。納得致しました」


こうしてぼくは味方を得た。



翌日、トモエを探す為レスカティエを散策した。
何もしないよりマシ程度の思いだった。何も手掛かりはなかった。
一応魔力探索もしてみたが、隠密に優れた彼女が見つかる訳が無い。手づまりだった。
すれ違う人は皆、一瞬目を丸くして目線をそらす。話そうとしても皆口を聞きたがらない。
何故だろう。

「サラ様、おひとり?」
「マリアンヌさん」
彼女はお付きの人達を数人連れて街歩きをしていたようだった。合流してみる。
「サラ様、何をなさってらっしゃったの?」
「少し町の人から話を…」
使用人がさりげなく導き、カフェに入った。カフェは個室がいくつもあり、最も奥の部屋に入る。使用人達は盗聴魔法などがかかっていないか綿密にチェックしたうえで、入口に陣取り警備を万全にした。
部屋は二人きり。
「町が殺気立っています。声をかけても誰も取り合ってくれません」
ぼくが切り出すと、マリアンヌさんは言う。
「その事なんですが、サラ様そっくりなサキュバスがこの辺りを荒らし回っているのだそうです」
「!?」
「魔力は膨大で、人間同士が争っていると現れて根こそぎ魅了魔法をかけて無力化するんですって。まさかサラ様ご本人?」
「それはないですね。わざわざ自分の姿を晒して疑われる様な真似はしません。……マリアンヌさんにもよろしいでしょうか?」
「はい」
「貴方はどうやって国の方針を変えたのでしょう?」
「そうですね。全国民向けに魔力放送で今後魔物を受け入れる可能性のある旨を伝えました。王宮前で一部暴動も起りましたが、国の定めた基準を満たした者でなければ受け入れないともお伝えしたので何とか収まりました」
国民から余程信頼されているのだろう。その程度ですんだのか。
「私も近く魔物を受け入れる時参考にしたいのですが、受け入れる魔物の条件の詳細はどのように?」
「以前もお伝えしました通りです。きちんとした職業についており、人間をむやみに襲わない方々です」
凛とした顔立ちになり、切々と語るマリアンヌさん。
性格はおとなしく人間の価値観に順応できる者ばかりを選定したらしい。
刀鍛冶のサイクロプス
魔界の鉱石、工芸屋のゴブリン
ウールを売り歩けるワーシープ
ミルクを売り歩けるホルスタウロス
寿命を延ばす妙薬を血から作り出せるマーメイド
魅了魔法や回復魔法の講師であるサキュバス
護身術や剣術の講師であるダンピール
空中戦の講師ヴァルキリー
等、手に職付けた魔物娘を数ヵ月後段階を経て受け入れる方針だとか。
また、既に人間と深い仲になっていた魔物娘は国家に事後承諾され、旦那以外に手を出さない事、人間に利する働きをする事、それに違反した場合魔物娘のみ国外強制退去にする事にし、諸々法整備などが急ピッチで進んでいるとの事だった。
「大変でした。体型や体格が違う者も多く、建物の基準なども見直さねばなりませんし、新たに入ってきた少数勢力は余程潔白に生きねば迫害を受けますから、入国審査の際は適性審査と称して申し訳なかったですけれど人間優先の価値観を持つ者のみに絞りました。彼女達が迫害を受けた場合に守る法律の有無も考えました。しかし、あまり過保護に守っても逆差別になってかえって人間と対立する恐れもあります。色々考えて、現行の法律を、人間と魔物なるべく同じ権利を持ち、義務を果たすよう調整しました」
関心する。聞けば最初数千人程応募があった魔物娘から、数十人に絞ったらしい。
人間を必要以上に誘惑せず、堕落させようとする事もなく、人間の価値観に合わせてくれる者、つまり現行法に抗う気のない者のみを選定した。種族単位で急進的思想を持っている者は弾いたりもした。
とりわけドラゴンの選定には苦労したそうで、最終的に1頭のみ、例外的に、受け入れ魔物ではなく国家所有の戦略兵器扱いで入国が認められたようだ。レスカティエの脱退を素直に受け入れてくれるとは思わない。最悪の事態も想定し、もしもの時に備えて戦力として最優先で国家に入国させたとの事。国家防衛を魔物に任せるのは相当に反対もあったようだけど、当のドラゴンは人間同士の争いには興味なく、ただ将来の夫候補さえ用意してくれれば国家の安全を全力で守るとの事だった。
「レスカティエ勢力から脱退するのに必要な書類を出しておりますから、それが受理されれば徐々に受け入れるつもりです。これからですよ」
だが本当にレスカティエが脱退を受け入れるだろうか。
参考にはなったが、どことなく不安を感じさせた。彼女の周りにも不穏な空気が漂っている。嫌な予感がした。



一通り話しを終え、カフェを後にした。















それから数日後、レスカティエから本国に帰った。
心配顔で迎えてくれたラウラと使用人たち。
ぼくは執事長のアレックスにその後の予定を聞き、執務室へ向かう。使用人には勝手に入るなと言いつける。トモエらしき人物が危ないかもしれないという噂を聞いており、心のどこかにいつも不安を抱えていた。

「サラ、大丈夫か?」
ラウラが心配そうに執務室に入ってくる。恐らく執事長がぼくの様子を見てくるように頼んだのだろう。
「ラウラ、私は大丈夫だから」
「大丈夫じゃないだろ。トモエが居なくなってからずっと落ち込んでる」
ラウラが不安そうな顔で見上げてくる。
そのまま身体が密着する。いつの間にかドア越しに押し込められてしまっている。
「ごめんラウラ。トモエが心配なんだ。嫌な話を聞いたから」
「トモエなら大丈夫だよ。強いんでしょ?それに、トモエは好きな人を置いて死んだりしない」
心強い言葉だ。小さな身体が頼もしい。
「不安なら忘れさせてあげる。あたしを抱いてすっきりして」
真剣な顔だ。彼女なりの気遣いだろうな。そう言えば暫くラウラを抱いていなかった。
トモエも心配だけど、ラウラも不安にさせてしまっている。それはよくない。セックスは単純な繁殖行為なだけでなく愛情を伝える行為でもある。
「ごめんね…?ラウラまで不安にさせて」
「んーん。今は全部忘れてえっちしよ…」
誘惑に身を任せ、ラウラをベッドに導く。
「可愛いよ……ラウラ」
「嬉しい…」
優しくキスから入る。愛情を伝えるゆったりしたキス。瞳を閉じて。
「「ん…」」
互いに求め合い、次第に舌を挿入れあう。ラウラの服を脱がしつつ唾液を交換する。小さな手はいつの間にかぼくのスカートをめくって、パンツをずらしてモノに添えられていた。
どこで覚えたのか、根元から先に向かってくにゅくにゅと扱かれる。
「んっ」
唇から息が漏れ、腰を引いてしまう。ラウラの手淫はとても心地良かった。小さな指の輪っかが適度な力でにぎにぎしながらぼくを苛む。
「んんっ」
キスを止め、手を止めさせる。
「駄目…?」
「全部ラウラに射精したい」
ラウラはそれを聞き、手早く脱いで全裸になる。幼い身体を見せつける。血色の良い艶やかな肌と、未発達ながらくびれたウェストと受胎を促す可愛らしくも安産型のお尻。
無言になり、ラウラをカーペットにうつぶせにさせた。
「サラ…バックなの…?」
「好きなんだ。王族の血が入ったぼくが発情期のケダモノみたいに下品に交尾するの」
ラウラはお尻を持ち上げ、寝バックしやすい体制にしてくれた。
限界まで反り返ったモノを振りかえって見るラウラ。今からこれが小さな身体を蹂躙する。
期待と不安がない交ぜになった表情でお尻を振る。
「いくよ」
「うんっ」
ぐん――!
「アッ♪」
「んぁ♪」
ラウラもぼくも両方とも挿入した瞬間に軽く絶頂する。久しぶりの行為だから快感もひとしお。
痙攣するラウラに密着し耳打ち。
「犯すよ?」
「♪」
ラウラが嬉しそうに息を洩らした所でバック体制に戻る。
身体の割に大きなお尻をがっちり掴んでずぶずぶと音を立てつつ腰を振る。
「ラウラのここ、えっちな音してる」
「〜〜〜!」
枕に顔をうずめ、声にならない嬌声を洩らす。甘いお尻を突けば更に感じてくれて。
久しぶりに強烈な締め付けを味わう。
「きつい…けど、慣れてきたよ」
「ん〜!ん〜!」
ラウラが枕で必死に声を抑える。その様子が可愛らしくて堪らない。
やや強めに腰を振り、その強烈すぎる締め上げを味わう。上へ下へと出し挿入れすると、ぷにぷにした粘膜が張りついてきて気持ち好い。
「いいよラウラ。いい」
「〜〜〜〜ッ♪」
腰をいれて貪る。キュウキュウどころかグングンと締め上げていく。どんどん呑み込まれていく。初めてえっちした時は痛いほどだったけれど、今は極端に気持ち好い締め上げだ。
「好きだよラウラ」
「っ♪♪あああん♪」
「可愛い喘ぎ声」
ずにゅっ、ずにゅっ、ずにゅっ
気持ち好い。トモエ程複雑ではないけれど激しくしたらその分締め上げ呑み込んでくれる名器。病み付きだった。小さな身体を必死に使って受け止めてくれる様も愛おしい。
汗ばんだぷにぷにの可愛らしい身体が激しい突きで波立つ。幼いのに生殖可能だと否応なく認識させる程良くむちっとした身体が艶めかしい。下半身のラインが自然と男を雄にさせる。赤髪もとても艶やかで汗でべったり背中や肩に張り付いた様がいやらしい。
「ラウラ、愛してる」
「きゃ♪」
床に押しつぶす様に犯すと、ラウラは嬉しそうだ。
ぐちょっ、ぐちょっ、ぐちょっ
ペースを上げてゴブリン少女を犯す。まず第一波が押し寄せてくる。
「ラウラ、膣内射精するよ」
「うんっ」
ぐちゅッ!ぐちゅッ!ぐちゅッ!ぐちゅッ!ぐちゅッ!ぐちゅッ!ぐちゅッ!
「あっ、あっ、あっ♪あっ♪あっ♪あっ♪アんッ!」
「んっ!ふっ!はっ♪はっ♪きゃは♪はげし…♪」
情けない喘ぎ声を上げながら昂っていく。小刻みにピストンしラストスパート。
最後は一気に大きく奥をつく。
「あああああああ―――――――ッ!」
「っっ―――――――アッ♪」
絶頂した。
久方ぶりの射精は止まらない。
汗でてらりと滑る腰を掴みなおし深く深くに目指して精液を送り込む。
「ラウラぁああああああ!」
「んんんん!んんにゃアッ♪サラっ」
どくどくと無遠慮に送り込まれる精液。結合部から濃厚な白濁液が噴き出してくるので、無理矢理結合し直し、漏れだす精液を全てを膣内射精。全て彼女の中に注ぎ込みたい。
よせばいいのに更に腰を押し込める。
「んはぁッ!」
ラウラは反り返って耐える。お腹が膨らんでいき、床に押しつけられるのが辛そうだったので、背面座位に持ち込んで愛する。座バックだ。深く挿入されどすんと下から突き上げる。
「あっ♪サラ、サラっ」
ラウラの背中がぼくのお腹に密着し、体温が伝わってくる。下腹部はゆっくり膨らんでいく。それでも射精は止まらない。
ぐちょっ…ちゅぶっ…じゅぶっ…
どくん、びくん、じゅるっ
「ラウラッ…!」
後ろから強く強く抱き締め、一際強く突き上げつつ絶頂し、全てを注ぎ込んだ。


「はぁ―――ッ!はぁ―――ッ、はぁ―――ッ…」
「っあ!……おなか…いっぱぁ…い…」
繋がったまま余韻に浸る。ラウラのお腹は妊娠中期の妊婦の様になっている。明らかに人間の射精量では無い。ラウラとのセックスが好過ぎて、精巣が常に活性化している。
「お腹、大丈夫?」
「うん。幸せ」
後ろからお腹を撫でると重みを感じる。これ全部ぼくの雄汁なのか…
「抜いていい?」
「駄目。今日はいっぱい射精して貰ったから、漏れちゃう。もう少しこのまま…」
そのまま上を向いてキスを強請ってくれたので、優しく唇を重ねた。
暫く唇と生殖器で結合しているとまた交尾したくなってくる。
一つになったまま、ラウラを再び床に四つん這いにさせる。
「え…元気すぎるよ…またすぐ…?」
「駄目かな?」
戸惑いつつもメス顔で交尾を受け入れてくれる。
ぐちゅん―――!
「あぁあんッ♪」
ずにゅっずにゅっずにゅっずにゅっ…
「あっ♪あっ♪あっ♪あっ♪」
くちゅっくちゅっくちゅっくちゅっ…
「ん〜っ!ん!ん!んっ」
ぺちんっ、ぺちんっ、ぺちんっ、ぺちんっ
「きゃは♪あへっ♪あひっ♪んふっ♪」
ぱぁんッぱぁんッぱぁんッぱぁんッ!
「ッ!ッ♪ッ♥ッ♪」
ずこッ!ずこッ!ずこッ!ずこッ!
「〜ッ♪〜ッ♪〜ッ♪〜ッ♪」
ずにゅずにゅずにゅずにゅッ!
「はぁあぅッ!?」
どすんッ!!


どくんッ…!どくんッ…!
ぐちゅぅぅううう…


ぼくは無言のまま激しく貪り射精。それを2回ほど繰り返し小さな女体を無茶苦茶にする。





「…ラウラ、愛してる。赤ちゃん出来たら産んでね」
「うん。ありがと…」

談笑の後再び交わり肉欲の限りを尽くした。
汗びっしょりになりつつ、絶えず交尾を繰り返した。ラウラに自分を刻みつけてラウラだけは自分のものにして逃げないようにしたかった。トモエは離ればなれになっているし、二度と繰り返したくない。


結局、ラウラに甘え十数回ほど生交尾し、彼女に愛を囁き続けて朝を迎えた。





ラウラとぼくはセックスの高揚感と疲労感を噛みしめつつ服を着、執務室を出た。
あれ程激しい行為だったにもかかわらず、ほぼ全てを彼女に膣内射精したので部屋はほとんど汚れていなかった。
使用人達は心配しているようだった。
だけど大丈夫。ラウラと愛をかわしあい、少し楽になった。











to be continued
17/04/03 18:57更新 / 女体整備士
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