連載小説
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中編


「らいか、ベッドの前に立ってみて。そう、そのへん」

 これまでは大きな翼の陰に隠れてよく見えなかった少女の服装だったが、少女が男の指示を受けてカーペットの上に直立すると、ようやくその出で立ちが明らかになった。

 ビビッドイエローが目に眩しい薄手のキャミソール。
 白く細い太股を際立たせるカーキ色のホットパンツ。
 稲妻型の髪留めは、羽飾りにも似たツインテールの形に後ろ髪を結い上げている。
 肩紐が十字にクロスするキャミソールの背中側は大きく生地が開いていて、くっきりと浮かび上がった肩甲骨が体格の薄さを強調していた。

 高画質のハンディカムは、いかにも歳相応の女の子といったコーディネートを、そしてそれに身を包む幼い女児の肉体を。まるで門外不出の秘蔵品でも取り扱うかのように、しかしながら厭らしく厚かましく撫で回していくかのように、上から下まで、ゆっくり、ぐるりと一周しながら撮影していった。

 派手めで活発な見た目に違わず、少女は普段から身体を動かすのが好きなタイプなのだろう。骨格からして華奢な肢体には、しかし確かな筋肉の付きがそこかしこに見られ、全体的に引き締まった印象が見受けられる。

 それでいて筋張らない柔らかな感触も介在しているのは、皮膚下に微かな脂肪を纏っているからに他ならない。
 それは第二次性徴を迎え、女性としての成長期に突入しかけていることの証左であり、特に胸部や臀部に見られるふくらみかけの兆候は、その筋の人間にとっては垂涎モノの光景であることを、絶えず画面に溢れる不埒なコメント群が物語っていた。

「イイヨーイイヨー。あ、そうだ、何かポーズ取ってみてよ。『だっちゅーの』みたいな感じで」
「……何その『だっちゅーの』って」
「……あー、そうだよねー今の子供が分かるわけないよねー……」
「む、なにそれ、もしかして子供だからってバカにしてる?」
「いやいや逆ぎゃく。むしろ、僕も歳を食ったなぁって……」
「?」

 男は乾いた笑いを漏らす。しかしすぐに立ち直ると。

「そ、それはともかく……どうかな、少しは緊張取れたかな」
「……ちょっと。……いや、やっぱ全然ダメ、かも」
「そっか……」

 少女の若干強ばった声を聞いた男は思案するように、数秒黙り込み。

「……いやそれにしても、相変わらずらいかのママは良いファッションセンスしてるよね。今日着てる服も、可愛らしくてらいかにとっても似合ってる」
「そ、そっかな。こないだイ○ンで買ってもらった、フツーの服なんだけど」
「駅向こうの国道沿いにある?」
「うん。……あ、そうそう、聞いてよおにーちゃん。それなのにママったら、あーでもないこーでもないってさ? 『彼氏とデートのときくらいもっと可愛い格好しろぉいっ!』って、フツーの服一つ買うのに一時間も悩んじゃってさ? そしたらいつの間にか、ボク自身が着せかえ人形みたいになっちゃってて……ちゃんと選んでくれるのは嬉しいんだけど、ちょっとやりすぎ」
「……そんなことはないと思うよ? 事実らいかの可愛らしい格好を見られて、僕はすごく嬉しかったし。……らいかのママは天才的だと思うよ。自分の娘をこんなに綺麗に生んであげただけじゃなく、バッチリな洋服まで真剣になって選んでくれる。幸せ者だね、らいかは」
「……えへ、そっかな」
「そうそう!」

 肉親を、そしてさりげなく自分を褒められたのが嬉しかったらしく、少女は照れ臭そうに微笑む。場所と状況が違ったならば、それは何処にでもいる純真無垢な一少女にしか見えなかっただろう。

「まぁ個人的にらいかに一番似合う格好は、生まれたままの姿だと思うけどね! 肌着姿も捨てがたいけど、やっぱりらいかの真っ白ですらりとした素肌が一番キレイあだっ、いだだだっ!」
「もぉっ! おにーちゃんデリカシー無さすぎ! 台無し! そんなんだからボクが恋人になってあげるまで彼女の一人もできなかったんだよ!」
「こ、こんな美少女と恋仲になれたんだから結果オーライです……でも、そう言うわりにはらいか自身、僕の家に居るときはハダカなことの方が多イダイ!」
「もおっ!」

 鉤爪の付いた鳥脚でゲシゲシと男を蹴りつけながらぷんすかと憤る少女は、それでもどこか愉しげで、いくらか緊張がほぐれてきたようだった。それを察知したのだろう、男はさりげなく。

「か、身体もいいカンジに暖まったところで……始めても、いいかな?」
「あ。……うん、えーっとぉ……」

 少女は辺りに目を泳がせて。
 次いで、床へとじっと目を落として。
 数秒後、上目遣いで、カメラを見上げて。

「……よろしく、どーぞ……?」

 コメントが湧き上がった。

「……じゃあ、まずはリクエストその一。服を脱ぎましょう。できるだけゆっくりと、ね?」
「……あぃ」

 消え入りそうな声とともに頷く少女。
 カメラは少女の全身が収まる位置まで後退し、その場にしゃがみ込む。
 やはり羞恥心が勝るのか、しばらく翼を後ろにもじもじと身体をくねらせていた少女だったが……やがて意を決したらしい。両翼を身体の前面でクロスさせると、焦れったくなるような動きでキャミソールの裾を持ち上げた。

 








 キャミソールがぐいと上に捲り上がると、初めに、しゅっとしていながらも大福餅のように白く柔らかそうなお腹が覗き、次いで、ささやかながらもはっきりとした膨みを見せる乳房がぷるりと揺れた。その頂点には桜色の突起がつんと色づいているのが、近付かなくともよく分かる。

 男から「ゆっくりと」という指示を受けているためか、これまでに無いほどに顔を真っ赤に上気させた少女は、それでもじっくりとホットパンツを脱ぎにかかった。翼の先で器用にホックとチャックを外すと、一見明らかに脱ぎにくそうな鳥脚を、しかし慣れた様子で片脚ずつ引き抜いていく。

 ホットパンツという覆いを取り払ったあとからは、子供が履くにしてはあまりに大胆なローライズの紐ショーツが露わになった。『I love my lover♥』『fuck me♥』。コットン繊維の真っ白な薄布には、そのような英文がびっしりと羅列・プリントされていた。

「……その下着も、ママに選んでもらったの?」
「……んなわけ、ないでしょ。ばぁか」

 ぼそぼそと悪態をつく少女は、紐ショーツの結び目をしゅるりと外す。
 健気な勝負パンツがはらりと舞い落ち、少女の恥部を覆い隠すたった三枚の衣服が脱ぎ捨てられたあとには――全世界のありとあらゆる人物が自由に閲覧できてしまう、インターネットという名の垣根の存在しない衆人環視のステージへと。一糸纏わぬ幼い女児の裸体が一つ、さらけ出されることとなった。

 白磁のようなまっさらな肉体を、青黄緑の羽毛で彩った豪奢なヒトカタが、怪しい色合いに染まる室内にくっきりと浮かび上がる。

「……全部、脱いだよ。……ちょっと、なにぼーっとしてんの? り、リクエスト……まだ、あるんでしょ」
「……あ、ごめんごめん。相変わらず、僕の恋人は最っ高に綺麗だなぁって。見とれてた」
「……何言ってんの。ばか」
「さっきから『ばか』しか言ってないよ、らいか」
「それしか言いようがないもん、仕方ないでしょ。フンだ」

 不満げに口を尖らせる少女へと、カメラは再びゆっくりと近付いていく。
 それに気付いて、少女はキュッと唇を引き締めた。

「リクエストその二。らいかの可愛らしいおっぱい」

 シミひとつない絹のようにきめ細やかな素肌、そしてささやかな膨らみが、カメラのレンズに触れそうなほど近くまで迫る。透き通るような白色と、丸く色づく鮮やかな桜色とのコントラストが目に眩しい。

「……ドキドキ、してる?」
「……知らない」
「そっかー。じゃあ、確かめてあげないとね」
「ひゃんっ♥」

 突如、画面外から節くれ立った手のひらが乱入してきて、少女の心臓の直上、左の乳房をすっぽりと覆った。

「……ドキドキしてる」
「き、急に触るなぁ……っ!」
「ごめんごめん。でもまぁ、こうして映してるだけだと、視聴者におっぱいの感触が伝わりにくいだろうし、ね?」
「そんなトコまで伝える必要……んぁっ!?♥」

 少女の言葉を無視して、男は可愛らしい虫刺されのような突起や膨らみを好き放題に弄りだす。

「あ、ひぁ、ぁあ……っ♥ きゃぅう……っ♥」

 虫刺されをトントントンとリズミカルに優しいタッチを繰り返したかと思えば、撫でさするように先端を愛撫する。少女がもどかしそうな声を上げ始めれば緩急をつけるようにぐりぐりと八方にこねくり回し、刺激に飽きさせないことも忘れない。

 小さな乳房を優しく揉みしだけば、それは太い指の圧力を受けてスライムのように柔く沈み込んでいく。そのさまは、小振りでありながらも女性としての象徴の一つが確かにそこに存在することを、カメラを通した向こう側へと分かりやすく伝達していた。

 少女の可愛らしい嬌声が、室内を新たな色彩に染め上げる。
 もう片方より赤みを増した乳首が摘めるほどに堅く勃起し、殊勝に自己主張をしはじめたころには。

「……気分、盛り上がってきたね」
「……っ♥」

 ふぅふぅと、切なくも甘い鼻息を立てる少女の姿がそこにはあった。
 快活そうなツリ目をうっとりと蕩けさせた童顔が、様子を伺うように映し出される。
 頭のてっぺんで小さな電撃がパチパチと弾けていて、興奮と快感の有無を知らしめていた。

「じゃあ次は、ベッドに仰向けになってみようか。リクエストはおっぱいだったけど、折角だから下のお口も、綺麗な画質で見てもらおうね」
「……ん」

 同じく気分が盛り上がってきたのだろう、男はやけにイキイキとし始める。
 その言葉に少女は一瞬ためらうが、しかし先ほどと比べてやけにあっさりと頷くと、背後のベッドにぽすりと上体を預けた。

 左右に放り出された翼が振り袖のように広がり、抜け落ちた数本の羽根が花びらのようにシーツに舞い落ちる。
 それらはまるで、可憐な花が咲き乱れるなか、上品な着物をはだけさせて横たわるさまを描いた裸婦画の如く、小さな裸体を美しく彩っていた。

 最後の儚い抵抗を示すように、白い太股はもじもじと擦り合わされている。
 しかし、時折ちらちらとした視線をカメラに向ける様子からは、どこか待ち遠しくあるようにも見受けられる。

「脚、開いちゃおうか」
「あ……っ」

 美しい絵画に割り込んだ無骨な手が、閉じられた内股にそっと触れる。
 少女はいっそ茹で蛸のように頬を紅潮させ、ぎゅっと目をつむった。男が手に力を込めると、子供らしくスラリと細い、けれども決して肉付きが無いでは無い太股が、さしたる抵抗もないまま左右に割り開かれていく。

 本来であればセックスのセの字も知らないような年頃の少女、その両脚がM字の形にはしたなく広げられるまで、たっぷり五秒。

「……ご開帳」

 バチリ。
 電撃が弾ける。

 焦れる気持ちを抑えきれない、誰にとっても長い永い五秒間が過ぎ去ったあとには。
 汚らしい黒ずみも、余分にはみ出た肉ひだも、一切の産毛すらも存在しない、まさしく、一本筋。
 男と恋仲になってからすでに何十、いや何百回と犯されているとは到底考えられない、一見して未使用・未成熟な女性器が、そこにはあった。

「……らいかの身体で一番綺麗なのは、ここかもしれなゲフぅっ!?」

 少女は男の脇腹を蹴りつけた。

「ぇほっ……褒めてあげたのに」
「無神経っ!」
「……じゃあ、無神経は無神経らしく、遠慮なく膣内(ナカ)までビデオに撮っちゃう」

 バチリ。
 少女は翼で膝裏をぎゅっと抱いた。

 男はぷっくりとしたワレメに指先をあてがい、左右に割り開く。
 すると強固に閉ざされている、と錯覚してしまうほどにぴっしりと合わさっていた二枚の大陰唇は、けれどもいとも容易くその内側を覗かせた。

 ズームアップ。サーモンピンク。
 本来は愛しい男にしか見せるはずのないであろう、美しくあでやかに色づく秘粘膜が、衆人環視の元に晒される。

 決して緩まぬようひっしと出口を閉じる尿道口。
 対して、指一本入るか入らないかという狭さの入口を、ナニかを誘い込むようにわずかに開かせる膣口。
 女性器の頂点には興奮により勃起しかけたクリトリスが包皮の中からびょこんと顔を覗かせていて、刺激を受けるそのときを今か今かと待ち受けている。

 恐らくは皆『集中』し始めたのだろうか、いつしか疎らになったコメントがささやかに流れるなか、数分ほどのあいだ、少女の大事な箇所はいろいろな角度から撮影され続けた。

「……らいかの綺麗なおまんこが、リアルタイムで視聴者の方々に視姦されています」
「……うっさい」
「実はすっごくコーフンしているらいかちゃんなのでした」
「……そんなこと、ないもん……」
「だって、おまんこちょっと濡れてるし」
「…………ないもん……」

 少女の言葉とは裏腹に、男の言うそこは照明の光をてらてらと反射していた。
 幼くも処女膜の欠けた口がどこか物欲しそうに、不規則なリズムでヒクヒクと収縮を繰り返す。
 会話をしている間にも、粘っこい涎が一雫、お尻の穴に向けてたらりと流れ落ちていった。

 男の指が、雫を掬う。

「ひ、あ……っ♥ あひ……っ♥」

 バチリバチリ。

 雫の垂れ跡を辿った指が大元へとさかのぼると、くちりという粘着質な水音をマイクが拾う。

「あ、ぁあっ!?♥ そこ、やぁあ……!♥」

 そのまま指の腹で膣口をにちにちにちと掻き乱せば、滲み出てきた愛液がべっとりと第一関節まで付着した。ひとしきり、少女の堪えがたい嬌声と秘粘膜の温もり、快感にぴくぴく蠢く肢体を堪能したあと、

「ひきゃっ♥」

 豆粒のようなクリトリスを気紛れに嬲りつつ、男の指は透明な糸を引いて離れていった。

「……ほぅら、うそつき」
「見せんなぁ……っ!♥」

 少女の眼前に持ってこられた指先は、翼で力なくはたき落とされた。

「さてさて、お色直しはばっちり。おっぱいもおまんこも準備万端。あーとはー……♪」

 男の楽しそうな声。
 ベッドに横たわるヒトカタが、ふるふると震えている。
 少女がこれまで見せてきたいじらしい反応に、すっかり有頂天になった男は声高らかに宣言をした。

「そろそろ、最後のリクエストといきますか。……お待ちかねのオナニーだよ、らいか?」

 バヂンッ。

「……知、らない、もん」
「これまで散々焦らされてきたから、思いっきり気持ち良くなりたいよね?」
「そんな、ことぉ……」
「今までの動画でらいかのオナニー見せたことってあんまり無かったから……みんな、心待ちにしてるだろうね」
「……」

 それっきり、抱き寄せた枕に顔面を埋めて押し黙ってしまった少女を尻目に、男はベッド際のソファに歩を進めた。
 そこに置かれていた赤くて分厚い背負いカバン――俗に言うランドセル――の冠(かぶせ)を開くと、教科書類や図書室の貸し出し本などを掻き分けて、中身の見えない黒いビニール袋を引きずり出す。

 ビニール袋の中から現れたのは、未開封の『大人のおもちゃ』。
 ペニスの形状を精巧に象った、いわゆるバイブと呼ばれるものだった。

「じゃん。ここに来る前に『サバト・ショップ』で引き取ってきた、特注のバイブです。以前ド○キで買ってきたバイブはバチバチされて壊されてしまったので、今度のはバッチリ電撃耐性付き。今日はこれを使って、らいかにしっぽりオナニーしてもら……」

 そこで男は、はたと気付いた。

「あれ、らいか……?」

 いつしかすっかり静かになってしまった少女を不審に思ったのだろう、男がそちらにカメラを向ける。するとそこには、ベッドに横になったまま枕をぎゅっと抱えてうずくまる少女の姿があった。元から小さな身体を、尚更小さく縮こませている。

 枕の端から覗く瞳は、動画の初めのころに似た、強い不安に揺れていた。

「……らいか」

 優しい声音。
 男はカメラを無造作にその場に置くと、横たわる少女へと寄り添った。
 画面の端には、少女の頭をそっと撫でつけているらしい男の様子がかろうじて映っている。

「……ごめん。調子乗りすぎた。いっぱいいっぱいになっちゃったかな」
「……みんなにいっぱい見られて、恥ずかしくって、いっぱいえっちなコトされて、気持ち良くって……いろんなドキドキで頭がいっぱいになって、脳みそショートするかと思った」
「……ごめんね」

 しばし、少女のころころとした頭が無骨な手で撫でられる光景が続く。
 少女を気遣うコメントと、男の強引さを諭すコメント、そして男の少女に対する優しさを讃えるコメントがパラパラと流れていく。
 そこいらの動画配信サイトではそうそう見られない光景。こうした『サバト・チャンネル』利用者のマナーの良さが、このサイトの需要を底上げしている要因の一つでもあった。

 ふと、ノートパソコンの温かなコメント群に気付いた男が「ありがとう」と感謝を口にする。そして少し躊躇って、「ごめんなさい」とも。
 もしかしたら、今日のところはこれでお流れかもしれない。動画内の空気は、そう視聴者に語りかけていた。仕方がないよ。大丈夫ですー。そうした空気に視聴者側も一人、また一人と流されていく。

 そんなとき。

「あ……待って、おにーちゃん」

 少女の声が、微かに響いた。

「……うん? どうしたの?」
「……撮影は、止めなくていい。リクエストも」
「……大丈夫? 今更僕が言うのもなんだけど、無理はしなくていいんだからね……?」

 ふるふる、と首を横に振る少女。

「すごく恥ずかしかったけど……シチョーシャの皆さんにボクのカラダを見られるの、心のどこかで、その……ドキドキしてたのは、事実、だし。それに……」

 わずかな間を置いて。

「キモチイイの、このまま終わっちゃうなんて、やっぱりヤダ……♥」

 健気な告白の最後の辺りは、尻すぼみになってほとんど聞こえなかった。

 その反面。初めは川のせせらぎのように、最終的には洪水のように。
 コメントが再度、沸き上がった。

「……せめて、ぎゅっとしててあげるからね」
「……うん♥」
「鏡、借りるね……」

 男は再びカメラを手に取ると、ランドセルのポケットを漁って小さな鏡を取り出した。
 ベッドボードに背を預けると、身体を起こした少女をそっと引き寄せて、そのまま後ろから包み込むように抱き締める。

「はいどうぞ、らいか」

 男はバイブのパッケージを乱雑に開け捨てると、少女にその中身を手渡した。

 ペニスの形を精巧に模したそれは、スイッチを入れることで動き出す電動式だ。
 根元に内包された無数の小さなパールが膣の入り口付近でグリグリと回転し、亀頭部も円を描くようにウニウニと駆動するギミック付き。クリトリスを嬲るための小さな突起も付いている。当たり前だが、本来は成人女性に対応しているのだろうそれは、少女の体躯には不釣り合いなほど太かった。

「……うわあ〜〜、えっぐいカタチ……♥ おにーちゃんのには適わないけど」

 そんな代物を押し付けられるも、少女は鼻息を荒くしながら興味津々にそれを注視していた。

「脚、ちょっと開いて」

 言われて素直に開かれた脚の間、再びさらけ出された股間の真ん前に、男は鏡を立てかける。
 少女の未熟な女性器が、鏡に、そして鏡越しにカメラへと、はっきり映り込んだ。

「いつもどんな風にやってるか、みなさんに見せてあげて?」
「……んっ♥」

 少女は頷き、一見手や指など無いように見える翼で器用にバイブを持ち直すと、その先端部を膣口付近に押し当てた。
 バイブをゆっくりと上下させながら、こんこんと溢れ出る愛液をエラの張った亀頭部へと、じっくり馴染ませていく。なぞられていくバイブに合わせて、小さな二枚の大陰唇が柔く卑猥に形を変化させていった。

「すー……はー……」

 少女は、一つ深呼吸。
 心を落ち着かせ、最後の覚悟を決める。

「……その、さっきは、ボクの勝手で撮影を中断しちゃってごめんなさい。……お詫びに、ボクがいつもやってるバイブオナニー……いっぱい、見ていってくださいね……っ♥」

 若干照れながら、少女は視聴者に語りかけて。
 翼に力が込められた次の瞬間、人間の子供であれば明らかに無理な大きさの張型が、しかし大した抵抗もなく、驚くほどスムースに膣内へと割り行った。指一本入るか入らないかという狭さの膣口が、バイブの径に容易く拡張していくその様子からは、まるで女性器のほうがバイブを飲み込んでいっているかのような錯覚を覚えさせられた。

「んん〜〜……っ!♥♥」

 にゅるりと呆気なく、先端部が膣内に入り込む。
 そのままの勢いで、バイブの茎がじわじわと膣内に埋まっていく。
 その小さな身体のどこにそんな余裕があったのだろうか、太く長い張型のほぼ全体がみっちりと膣内に収まるまで、大した時間も掛からなかった。

「あはっ、ぜんぶ、はいったぁ……♥ このままぁ……っ♥」

 少女は余韻に浸る間も無く、バイブを膣奥までぎゅうっと押し付ける。
 そして、バイブの底面にある『つまみ』を、一気に『強』まで引き上げた。

「んぃ、ぃいいい……ッッ!♥♥」

 襲い来る強烈な快感に、少女は歯を食いしばりながら脚や下腹部をビクビクと跳ねさせる。

「相変わらず激しいの好きだなぁ……おまんこ、あっという間にバカになっちゃうよ?」
「いい、のぉ……ッ!♥ これくらいが、ちょうどいいからぁ……ッ!♥ ぁあ、あきゃあっ!♥♥」

 激しいモーター音を響かせるバイブを子宮口に押し付けたまま、少女はひたすらに悶絶する。
 外側の突起部がクリトリスを、円を描くように駆動する亀頭部がポルチオを、回転する内臓パールがGスポットをそれぞれ責め立てているのだろう。女性にとっての敏感な部位を軒並み責め立てられ、今までの比ではない電撃の群体がバチバチと弾け飛んでいる。

「おまんこ……♥ ぜんぶっ、ゆさぶられてるぅ……っ!♥」
「最近は、こうするのがお気に入りなんだ?」
「うんっ♥ すぐにジュポジュポするのも気持ちいいけどっ、あはっ♥ こーやってると、おまんこの奥からジーンってしびれてきて、だんだん深いのが、あ、ひゃぁっ♥ ……やって、きてっ♥ そしたら、こーしてぇ……っ♥」

 少女はおもむろに、膣口付近までバイブを引き抜いた。
 粘っこい愛液をべっとりと纏わり付かせたそれは、依然ウニウニグルグルと機械的に蠢き続けていて、少女の幼い膣内がどんな有様になっていたのかを容易に連想させる。

 一呼吸置いた少女は次の瞬間、膣奥まで思いっきりバイブを突き込んで、そのまま膣肉を抉る勢いで激しくバイブを抽迭し始めた。

「ジュポジュポジュポってしてあげるほうがぁっ!♥ おまんこ、すっごい嬉しくなっちゃうのぉっ!♥♥」

 どうやらバイブのスイッチと一緒に、彼女自身のスイッチも完全にオンになってしまっているらしい。少女は行為の前までとは打って変わって、すっかり自慰のもたらす快楽に呑まれていた。
 それは、あらゆる種族の中でも特に快楽主義者的な側面が強い、サンダーバードらしい変化だった。

「おにーちゃんにギュッとされながらオナニーするの、気持ちいいよぉ……っ♥ あったかくて、おにーちゃんのニオイがしてぇ……っ♥」
「僕も、らいかの甘い匂いと、おまんこ汁のエッチな匂いで、ちんこがはち切れそうになってるよ。……いっそ、らいかを今すぐ犯しちゃいたいくらい」
「……あはっ♥ それじゃ、早くオナニー終わらせなきゃっ♥ ガマンはカラダに、毒だもんっ、あひっ♥ ひあぁあっ!♥」

 女性器も玩具もいっそ壊れてしまいそうな勢いで、巨大な異物が執拗に出入りする。
 膣壁を擦り、抉り、震わせ続ける多様な刺激に、少女と女性器は嬉しそうな鳴き声を上げ続けた。溢れ出るヨダレは股間とシーツとバイブをべちょべちょに濡らし、低減していく摩擦力に従い速まっていく抽迭は、少女の性感を加速度的に高めていった。

「あっ、しゅごいっ♥ もうすぐイっちゃいそうっ♥ シチョーシャさんとおにーちゃんに見られながらのオナニーっ♥ きもちよしゅぎて、オカシクなるぅ……っ!♥」

 可愛らしく艶っぽい嬌声が絶え間なく響き、腰がうねうね、カクカクと揺れて跳ねる。
 少女が絶頂に達するまで、幾ばくの時間もないのは明らかだった。

「あぅう、こわいぃ……♥ きもちしゅすぎて、イくのこわいのぉっ♥ だから、ねっ? もっとギュッと♥ ぎゅっとしててぇっ!♥ ひ、きゃぅうっ!♥ あひゃぁあっ!♥」

 切羽詰まった嘆願に、男は少女の細い胴体を尚更に強く抱き締める。
 それで安心したのだろう、少女は一つ微笑むと、それ以降は嬌声以外の声を発するのを止め、ひたすら膣内を掻き回し続けることに注力し。

「イクっ♥ イック♥ もうイクぅ……っ!♥」
「いいよらいか……イけ、イっちゃえ!」

 一心不乱にピストンを繰り返すまま、数秒。

「……きゃはぁっ!♥♥」

 バヂリッ

 激烈な稲光り。
 甲高い歓呼とともに、華奢な腰が跳ね上がった。
 絶頂から端を発する強烈な快感が、下腹部からの電撃と痙攣という姿を纏い、波打つように全身へと伝播していく。
 同時に少女の尿道からは、不規則に放たれる電撃の波紋に呼応するように、プシップシッと少量の潮が連続的に吹き出し、股間の前に置かれた鏡にしぱしぱと降りかかった。

「ふー……っ♥ ふぅ〜〜……っ♥」

 全身に襲い来る快楽の波に耐えながら、どうにかして荒い呼吸を整えようとする少女。
 使用者の翼から解放され、しばらくのあいだ蜜壷に突き立ったまま奇怪に蠢いていたバイブだったが、絶頂してしばらく、徐々に弱まっていく膣圧から解き放たれるとともに、潮や愛液で濡れそぼったシーツの上にぼとりと落下した。

 カメラには、しきりに上下する薄い胸部と、鏡の前で暴れ狂うオトナのおもちゃ、準備運動を終えてしとどに汗を垂れ流す、ぽっかりと開いた膣口だけが、しばらく映されていた。

「ショート、しちゃったぁ……♥」
「漏電、しちゃったね」

 サンダーバードという魔物は、淫らな感情が昂ぶりすぎると自身の発電器官を制御できなくなり、結果的に漏電を引き起こし、自分自身の電撃に感電してしまうという種族的な欠陥を持っている。

 絶頂の余韻に浸りきり、依然びくびくと跳ね上がる小さな身体と電撃を宥めるように、男の手が少女の頭を撫で付ける。甘美な痺れを享受するなか、愛おしげに自分の頭を撫でられて、少女はいたく嬉しそうに目を細めた。

「せつないよぅ、おにーちゃん……♥ おにーちゃんのちんぽ、欲しいよぅ……♥」

 顔を真紅に上気しきり、完全に発情しきったメスの表情で男の顔とカメラを見つめ、少女は必死に懇願する。

「らいか……っ!」
「せーえき、ココにいっぱい欲しいっ♥ おにーちゃんのせーえきで、おまんこずぅっとバチバチしたいっ♥ シチョーシャのみなさんに、おにーちゃんとのセックスっ♥ 見られてっ♥ 見せつけてっ♥ いっぱい気持ちよくなりたぁい……♥」

 恥ずかしげもなく、次から次へと淫語を垂れ流す。
 かつてあった羞恥心はどこへやら、タガの外れた少女には、ライブチャットを始める際の面影はどこにもなかった。……サンダーバードとしての、何より魔物としての本質が、完全に覚醒した瞬間だった。

「えーっと、らいかがすっかり我慢できなくなったようなので……というか僕も全然我慢できそうにないので、急ですが本番、入ります……!」

 余裕の無くなった男の宣言に、しかし画面にはコメントがほとんど流れなかった。
 『サバト・ライブ』から退室してしまったわけではないだろう。動画の閲覧数は初めと比べて減るどころか、むしろ何倍にも増している。おそらくは皆、少女らの痴態に見入っているのだ。

「じゃぁらいか、いつものように、おねだりして」
「はぁい……♥」
 
 男は力の入らない少女の身体を支え、そっとベッドに横たえてやる。
 少女は自らM字に両脚を広げると、両翼の先で大陰唇を割り開く。
 淫水にふやけた恥部を自分から見せつけながら、ふにゃりとした笑顔をカメラに向けて振り撒きつつ、舌ったらずに言葉を放った。

「ボクのおまんこ♥ おにーちゃんのデカちんぽのこと、ずっとスキスキって言ってるの♥ えっちなヨダレ垂らしながら、ずぅっとヒクヒクしておちんぽのこと待ってるの♥ だから、せっくす、してっ?♥ おちんぽ思いっきりつっこんでっ!♥ みせーじゅくなボクのこどもまんこ、おにーちゃんのおとなちんぽで、おにーちゃん好みのオトナまんこにしてあげてくださいっ♥ 初潮きたばかりのしきゅーがニンシンしちゃうまで、好きなだけタネツケしてくれていいからぁっ♥♥」 

 年端もいかない子供の口から、聞いてる方が恥ずかしくなるような言葉が次々と羅列されていく。
 少女のおねだりが続く傍ら、カメラの下方向、男の下半身から、カチャカチャとベルトのバックルを外す音が聞こえてきた。

 少女の最後の懇願が、部屋中に響き渡る。

「ボクのおまんこっ♥ おにーちゃんのおちんぽで、いっぱいいっぱい、らぶらぶレイプしてくださいぃ……!♥♥」
「……よくできました……!」

 男は辛抱堪らないとばかりに、ずいとベッドへ身を乗り出す。
 すぐさま少女の股の間に割り入った男の下半身から、ボロンと、堅く勃起しきったペニスが姿を現した。

「鳴き叫んでも、止めないからっ。覚悟、しててね……っ!」
「……うんっ♥」


16/10/19 23:23更新 / 気紛れな旅人
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■作者メッセージ
「近所に住んでるのは知ってたけど、過去に何度か顔を合わせたくらいで特に接点も関係性もなく互いを知らずに生きてきて、けれどもある日親戚同士の集まりで暇潰しに会話してみたら意外にも話が噛み合う。それ以降は近所に住んでるのも相まって会う回数が増えていき、少女が男の家に遊びにきていたある夜『彼女いたことないです童貞です泣きたい』『だったらボクがカノジョになってあげようかついでに童貞も貰ってあげるよアハハ』などと冗談を言い合っていたら何となく良い雰囲気になってしまい、その勢いで『恋人ごっこ』という名の本気キス、なし崩し的に本気セックスにまで及んでしまってお互い男女の快楽にドハマりしたまま朝チュン」

というのが二人の馴れ初め。



次も結構遅くなるかも、ごめんなさい。

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