6:diary×2[ダンピール]
5/3
このノートを見つけた
せっかくだし日記をつけよう
今日も京子の料理がおいしい
好物ばかりだった
実家の味を思い出すなぁ
ゴールデンウィークだろうと仕事だが 京子のお陰で頑張れる気がする
***
5月4日
昨日の夕飯、瑛士さんは美味しいと頬張ってくれた。
お義母様に見せていただいたレシピは完全に把握済み。
でも、まだまだお義母様以上の味を作り出せていない。精進しないと。
それにしても、瑛士さんの会社はお休みを中々貰えないみたい。
ずっとずっと一緒に居たいのに、寂しいな。
***
6/12
また休日出勤だ
京子には迷惑をかけるな
それはそうと 今日は1日視線を感じた気がする
疲れてるのかな 今日はすぐ寝る事にする
そういえば 珍しく京子の夕食が完成していなかった
お互い休息が要るのかもしれない
***
6月13日
昨日はずっと瑛士さんの様子を見ていた。
瑛士さんの勤める会社は、人間界によくある『ブラック企業』と言うものかもしれない。
調べたら『過労死』とか『自殺』とか
見ていられないような言葉が並んでいる。
瑛士さんは大丈夫と言うけれど、確実に精の活力が弱くなってきている。
このままではいけない。でも、私に何が出来るだろう。
***
7/2
休みをとれないのは相変わらず
会社に京子から電話があったらしい
うちは有給とかそんなシステムはあってないような物だ
寧ろそんな電話をよこす妻は邪魔だ とか言われた
あの零細社長め ライバル会社の業績と何かにつけて比較しやがる
それにセクハラも酷い
今日もヴァンパイアの佐野さんに種族を辱しめるような言葉を吐いたらしい
佐野さんと愚痴り合うのが日課になりつつある
ただ チラチラと首筋を見つめられるのが少し怖い
***
7月3日
悔しい。
殺意が湧いた。
こんな上司の下で、瑛士さんは働いていたのか。
あの人を小馬鹿にしたような声色。
瑛士さんの仕事ぶりを遠回しに貶された。
こんな所に瑛士さんが勤め続けてたら、瑛士さんが倒れてしまう。
刑部狸の奥様と相談することにする。
それに心配事は他にもある。
最近、瑛士さんに仄かな魔力が付いている。
まだ媚びたような色はしてないけど
瑛士さんは誰にも渡さない
***
7/10
暑さがぶっ飛ぶ事件があった
深夜のオフィスで佐野さんと二人で残業していた
佐野さんの様子がおかしかったために声をかけると
突然首を噛まれた
血を少しだけ吸われたが、すぐ正気を取り戻した佐野さんが解放してくれた
我を忘れていたらしく とても動揺していた
泣いて謝る佐野さんを宥めるのに1時間かかった
ひとまず 何も無かったことにしようと約束した
点々と 小さな傷は出来ていたが
京子には虫刺されだと伝えた
京子の視線がずっと首筋を凝視していたように見えたのは 罪悪感からだろうか?
少し目が据わっていたので 今日は早めに寝るよう促す
***
どうして
どうして どう して
女
女
よりによって ヴァンパイア
やられた わたしが
人間 に溶け込みすぎた
血が出て た
吸われた
わたしのえいじさんの
魔力が こびたメスの
魔力が 瑛士さんの中に
吸い出さなきゃ ぜんぶ
『人間の京子』はおしまい
魔力も隠さない。
ああいう会社は魔物娘の妻を嫌がるだろうけど。
もうどうでも良い。
身体も 血も 心も
渡さない
渡さない
わたさない
わたさない
***
7/11
佐野さんが怯えていた
僕が怒ってないのを説明しても
僕の奧さんは人間ではないと言っていた
殺気に満ちた魔力を感じるとかなんとか
でも今日も京子はいつも通りだった
なんだったか 佐野さんの言うところには
彼女はダンピ
コン コン
「は、はい、どーぞ。」
「瑛士さんに、話さなきゃ駄目な事があるの...」
***
「はい、新しく営業に配属された、沢田 瑛士さんです。ヘイ拍手!」
パチパチパチ
「えー、実は元ライバル会社の営業マンだったそうで。あっちは魔物娘の奧さんに対し冷遇なんだと。んで、わが社に転職なさったそうだ。」
オオー ナカマダ ナカマッスネ
「種族は...うん?あ、ダンピールなんね。ヴァンパイア一族の...うん?その名前はNG?トラウマ?...oh...その目は何かあったのね...」
オオー... ナカマダ... ナカマッスネ...
「とにかく!うちは"愛する妻が一番"をモットーにかかげ、今は『妻のハイライトを取り戻せ』キャンペーン月間だ。...おい!?そんな気合い入れてどうしたんだ!?」
オウ... ヒッシダ ナカマダ
「とにかく!今回も円陣組むぞー!」
「ひとつ!業務効率はぁ!」
妻のために上げるもの!!
「ひとつ!有給はぁ!」
奥さんから連絡が来たら察せよ!!
「ひとつ!残業はぁ!」
業績と妻の眼を曇らす!!
「よしいくぞ!ハイライトオォ!」
オオォオオン!!
このノートを見つけた
せっかくだし日記をつけよう
今日も京子の料理がおいしい
好物ばかりだった
実家の味を思い出すなぁ
ゴールデンウィークだろうと仕事だが 京子のお陰で頑張れる気がする
***
5月4日
昨日の夕飯、瑛士さんは美味しいと頬張ってくれた。
お義母様に見せていただいたレシピは完全に把握済み。
でも、まだまだお義母様以上の味を作り出せていない。精進しないと。
それにしても、瑛士さんの会社はお休みを中々貰えないみたい。
ずっとずっと一緒に居たいのに、寂しいな。
***
6/12
また休日出勤だ
京子には迷惑をかけるな
それはそうと 今日は1日視線を感じた気がする
疲れてるのかな 今日はすぐ寝る事にする
そういえば 珍しく京子の夕食が完成していなかった
お互い休息が要るのかもしれない
***
6月13日
昨日はずっと瑛士さんの様子を見ていた。
瑛士さんの勤める会社は、人間界によくある『ブラック企業』と言うものかもしれない。
調べたら『過労死』とか『自殺』とか
見ていられないような言葉が並んでいる。
瑛士さんは大丈夫と言うけれど、確実に精の活力が弱くなってきている。
このままではいけない。でも、私に何が出来るだろう。
***
7/2
休みをとれないのは相変わらず
会社に京子から電話があったらしい
うちは有給とかそんなシステムはあってないような物だ
寧ろそんな電話をよこす妻は邪魔だ とか言われた
あの零細社長め ライバル会社の業績と何かにつけて比較しやがる
それにセクハラも酷い
今日もヴァンパイアの佐野さんに種族を辱しめるような言葉を吐いたらしい
佐野さんと愚痴り合うのが日課になりつつある
ただ チラチラと首筋を見つめられるのが少し怖い
***
7月3日
悔しい。
殺意が湧いた。
こんな上司の下で、瑛士さんは働いていたのか。
あの人を小馬鹿にしたような声色。
瑛士さんの仕事ぶりを遠回しに貶された。
こんな所に瑛士さんが勤め続けてたら、瑛士さんが倒れてしまう。
刑部狸の奥様と相談することにする。
それに心配事は他にもある。
最近、瑛士さんに仄かな魔力が付いている。
まだ媚びたような色はしてないけど
瑛士さんは誰にも渡さない
***
7/10
暑さがぶっ飛ぶ事件があった
深夜のオフィスで佐野さんと二人で残業していた
佐野さんの様子がおかしかったために声をかけると
突然首を噛まれた
血を少しだけ吸われたが、すぐ正気を取り戻した佐野さんが解放してくれた
我を忘れていたらしく とても動揺していた
泣いて謝る佐野さんを宥めるのに1時間かかった
ひとまず 何も無かったことにしようと約束した
点々と 小さな傷は出来ていたが
京子には虫刺されだと伝えた
京子の視線がずっと首筋を凝視していたように見えたのは 罪悪感からだろうか?
少し目が据わっていたので 今日は早めに寝るよう促す
***
どうして
どうして どう して
女
女
よりによって ヴァンパイア
やられた わたしが
人間 に溶け込みすぎた
血が出て た
吸われた
わたしのえいじさんの
魔力が こびたメスの
魔力が 瑛士さんの中に
吸い出さなきゃ ぜんぶ
『人間の京子』はおしまい
魔力も隠さない。
ああいう会社は魔物娘の妻を嫌がるだろうけど。
もうどうでも良い。
身体も 血も 心も
渡さない
渡さない
わたさない
わたさない
***
7/11
佐野さんが怯えていた
僕が怒ってないのを説明しても
僕の奧さんは人間ではないと言っていた
殺気に満ちた魔力を感じるとかなんとか
でも今日も京子はいつも通りだった
なんだったか 佐野さんの言うところには
彼女はダンピ
コン コン
「は、はい、どーぞ。」
「瑛士さんに、話さなきゃ駄目な事があるの...」
***
「はい、新しく営業に配属された、沢田 瑛士さんです。ヘイ拍手!」
パチパチパチ
「えー、実は元ライバル会社の営業マンだったそうで。あっちは魔物娘の奧さんに対し冷遇なんだと。んで、わが社に転職なさったそうだ。」
オオー ナカマダ ナカマッスネ
「種族は...うん?あ、ダンピールなんね。ヴァンパイア一族の...うん?その名前はNG?トラウマ?...oh...その目は何かあったのね...」
オオー... ナカマダ... ナカマッスネ...
「とにかく!うちは"愛する妻が一番"をモットーにかかげ、今は『妻のハイライトを取り戻せ』キャンペーン月間だ。...おい!?そんな気合い入れてどうしたんだ!?」
オウ... ヒッシダ ナカマダ
「とにかく!今回も円陣組むぞー!」
「ひとつ!業務効率はぁ!」
妻のために上げるもの!!
「ひとつ!有給はぁ!」
奥さんから連絡が来たら察せよ!!
「ひとつ!残業はぁ!」
業績と妻の眼を曇らす!!
「よしいくぞ!ハイライトオォ!」
オオォオオン!!
19/03/10 22:54更新 / スコッチ
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