読切小説
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実はアイツはホントのボクは
真ん中はいい。
正に真剣勝負の始まる場所だ。神とて異論は通されない。
シザース、マルセイユルーレット、オーバースルーステップ。
一人かわし、二人かわし。
ヒールリフトでふわりとしたボールを目の前に落とし、
ダイレクトで打つ。
数多の物語を紡いできたボクの左足が唸りを上げる。
流線を描く美しくも激しいシュートは…







ファーポストに嫌われ、エンドラインを割った。

クソが…クソが!クソが!!
アイツだ…アイツにあんなことされてから…クソッ…!


数日前…
「大輔くん!知ってるでやんすか!?」

「やあキモオタ…じゃなかった健太郎。」

「き、キモオタッ!?未来の巨人軍の勝利の方程式の一角をなすであろう
 野球部のエースで4番でキャプテンの西村健太郎を…オイラを…キモオタ呼ばわりでやんすか!!?」

「寄るな暑苦しい…」

こいつは…ってもう自分で自己紹介したか。
そこは評価してやろう。キャプテン会議で会って以来、なんか憎めないんだよなぁ…

「オイラついに…知っちゃったでやんすよォ!」

「何を?」

「フヒヒヒ…今日の部活上がり…駅前のラーメン屋で待ってるでやんす…」

「?」





「お〜いこっちでやんす!」

「なんだい?こんなところにボクを呼び出しておいて…さっさと帰ってケアしたいんだが…」

「まま…そうあせんないで…こいつを見るでやんす!」

そういって健太郎は一冊の漫画を取り出した。
内容は死神になった高校生がゾンビやワイトの女の子を成仏させてやる…
といった内容。
確か…ボクのクラスの久保ロ―サが描いてるやつだ。
前にメディアに取り上げられて対談もさせられたっけ。
顔デカボブカットのソバカスでとにかく目立たない。短足でぺチャパイ。
声も聞きとりにくくて本当に面倒な奴だったけ。

「で?それが?」

「お次はこっちでやんす!フヒヒヒヒ!!」

健太郎のスマホ画面に映し出されたのは縛られたの男を前に
艶美な笑みを漏らす女

「帰る…くだらん…」

「ま、待つでやんす!よーく見比べるでやんす」

確かに作風が酷似しているな…
アイツこんなことかんがえてたのか…?

「やんしょ?これを今からメロンブックスまで買いにいくでやんす」

「は?」

「支払いは任せるでやんす。そのかわり大輔くんの分も買ってやるでやんす。」

「いらない。あと図々しくないか?未来の巨人軍よ。」

「替え玉は一杯だけなら無料でやんす!さあさあ!行くでやんすよ!」

「…」





結局もらってしまった…。
パラパラめくって見るが…Oh…
でも…なんでこんな気持ち良さそうなんだ…?
なんだこの火照りは…?

パシャ!!パシャ!!

うっまぶしい!
「なんだお前は!」

「えへへ…毎度、お買い上げありがとうございま〜す❤西村くんに松井くん
 二冊お買い上げ〜❤」

「なぜボクを知っている!?」

「ひどぉい…同じクラスで一度お話までしてるのに…」

「久保…ロ―サ…?」

そんなはずはない!
目の前に立っているのは少なくとも学校にいる久保ロ―サじゃない…
褐色の肌にとんがり耳、ボブの髪は背まで伸び、美しいシルバーに色まで変わっている。
服の露出も…多くてスタイルだって…

「きゃははは!もしかしてアタシに発情しちゃった…?」

「何が目的だ?金か?」

「まあ…積もる話もともかく…家に…こんど来てくれる?」

「わかった…いま写真をばらまかれたらサッカー界の大損失だからな」

「よろしく…ふふふっ…」




でかっ…
閑静な住宅街の広い庭付きの一軒家。
誰かに見られたら不味い…ボクらしくないがこそこそとインターホンを押す。

「…はーい」

お母さんだろうか?

「松井です。」

「あら〜ようこそ。いらっしゃい。」




「はっはっはっ!ついにロ―サもボーイフレンドができたか!
 それもあの松井君かあ!さみしいけどお父さんうれしいぞ!
 どうも、ロ―サパパです!」

ひとあたりのよい、どこにでもいるやさしいお父さんだ。
天井から亀甲縛りでつるされてる以外は。

「松井君いらっしゃい。飲み物何にする?」

「お、オレンジジュースで…」

こっちも普通のお母さん。
パピヨンマスクにボンテージ以外は。
まったくもって理解し難い状況だ。目のやり場にも困る。

「あの…ロ―サさんは…」

「ロ―サ?あの子準備してるところだから…あの子の部屋で待っててあげて。」



準備?ともかくだ。写真はアイツの手元にある。それに変わりない。
金目的ではない…はずだが…まさか…一生搾りとられるのか?

「こんにちは松井くん。こうしてお話するのはあの時以来?」

「だな。」

「もう知ってると思うけど学校の姿は仮の姿…ほんとはぁ…」

「…!」

「えっちなダークエルフの女の子なの!」

一杯食わされたな…ロ―サは一瞬で姿を変えた。
「…速く要件を話してくれ。練習抜けてきてるんだぞ。」

「わざわざご足労どうもです。ふふふ…松井くんには…」

来た…

「モデルになってもらいま〜す!!」

なんだその程度か…
「中々お目が高いじゃないか?確かにスピードとテクニックを追い求めつつ
 筋力トレーニングは怠ってないからね。」

「う〜んちょっと違うかな…」

「?? じゃあ何の…」

「そのためにも…」

「???」

「一旦落ちてもらえるかしら?」

「バカ!やめ…ろぉ!」
いきなり回り込まれ首に手を回された。
きめ細やかな肌に一瞬ドキッとするがそうはいって…うう…

「はぁ〜いあなたはどんどんおちていきます。落ちる。落ちる。落ちる。
 落下。落ちる。落ちる。キャハッ!ホントに落ちちゃった…ママの言ったとおりね。催眠調教も結構効くのね…以外にはやかったな。」

さい…みん?ちょう…きょう…?
だめ…だ…意識が…



「ここは…」
うっそうとした防風林…
たしか…練習抜けて久保の家行って…

「おはよっ!気分どう?」

そうだ。アイツに首絞められて…

「…なんでボクは手足を縛られているんだ?モデルだろう?」

「だからちょっと違うの。単にモデルなんじゃなくて…ね
 ほらアタシ、エロいのも描いてるじゃない?
 いつもはパパの裸とかで研究してるんだけど…
 若い松井くんのとかも見ておかないと…」

「突っ込みどこ満載だな。…アッ…ウウッ!」

「やっぱりおっさん叩くのと松井くん叩くのでは違うわね。」

「やめろ!筋組織が崩れる!美しくするために鍛えてるのに!」

「その発言そそるわ…受け身なパパと大違い…」



「ほらっ!もっと叫んで!」

「逃げちゃダメよ?もっとぶつわよ?」

屈辱…未来のエースたるものが…こんな…

「段段良くなってくるわ…安心して?」

「それっ!最後の…いっぱあつ!」

「うぐッ!」



「お次はぁ…これぇ…」
ロ―サがそう言って取り出したのは洗濯バサミ。
確かあの同人誌では…まさか…

「これであなたを…げいじゅちゅ…げいじゅっ…芸術品に…」

「…」

「芸術品に仕立て上げたげるのよ!」

「今噛んだな?ってふざけるな!やめろバカ!後に残るだろが!」

「うるさいわね!もう許さないんだから!」

プチプチと体に洗濯バサミが取り付けられ…うっ…
気持ちが…じゃない!

「くっそ!てめえ覚えていろ!」

「でもでも…松井くんのココ…イヤっていってないかなぁ…」

「そんなことない!」

「そう…それじゃあ…」

そういうとロ―サはボクを解放した。

「なんだ?また何かするのか?」

「今日のとこは返したげる。≪でも…必ずキミはまたアタシを求めすがりつく…手に取るようにわかるわ…≫」

「ふん。なんとでも言え。」

バカな話だ。まったく時間の無駄。すぐ帰って練習だ。

「それと、洗濯バサミママのだから返してね。」

「うっさいわ!」





回想終了…

あれ以来、練習中であっても、家でも学校でも…
何かに集中できない。まったくもってできない。
アイツの艶な顔がチラつく。
恋愛感情?違う。ありがちなチャチなものじゃない。

ふと部屋にゴミ箱に捨てた同人誌が目に入る。
ボクをこんな目にあわせた元凶。
なのに…なぜ…なぜボクは劣情を抱く?
描かれている男は気持ちよさそうに狂っていた。







「いらっしゃい。やっぱり来ちゃったわね?」

「お母さんはわかっていらしたんですか…?」

「まあ仮にもあの子の母親だもの。なにしたかぐらいわかるわ。」


「そろそろ効く頃だと思ったわ。こんにちは、松井くん。」
見計らったようにお母さんは退散。
部屋には僕ら二人。

「ボクに何をした?」

「ホントの松井くんになれるおまじない。で、どうしてほしいの?」

「どうするもこうするも…」
バチン!肌の擦れる音が響いたがボクには何が起きたか一瞬理解できなかった。ただ快感だけが感じられた。

「グズな犬ね。まだ自分中心の世界の中?」
倒れたボクは髪を引っ張られ顔を持ち上げられた。

「もう一回聞くわ。どうして欲しいの?」

「ボクを…その…いじめて…くれ…グッウウッ…!」

「敬語もわかんないの?ほんとに駄犬ね?じゃあもう一回。次はパンチじゃすまさないわ。どうされたいの?」

「ボクを…いじめてください!」

「…よくできました。」

乱暴に床にはなされたボクは…確かに…不鮮明な快感を得て
悦んでいる。うれしい。たのしみだ。ふしぎな陶酔。

「今日暑いから、足蒸れちゃった。犬ならなめるのとくいよね?」

差し出されたロ―サの足は、ストッキングから解放され、危険な熱気を放つ。
貪る内にむくむくとなにかが湧き立ってきた。

「一著前におおきいの持ってるのね。いいわ。寝転がりなさいな。」

「あの、久保…」

「ロ―サ様。口答え禁止。」

ゆっくりとロ―サ様は腰をおろし、ボンテージの隙間からボクの
汚いモノを挿入してくれた。
狭い膣内に押し入れられる。何もかもされるがまま。
そう思うとまた快感が湧きあがる。

「生意気な大輔。でももうアタシの犬。」

何度も激しく犯されボクはついに吐き出した。
終わった。何か契約を交わしたような感じだ。
もう…ボクは…ロ―サ様の犬だ。








「松井…動きが前にもまして良くなりましたね。」

「ああ…うちが、ガンバが獲らせてもらうで!」

「いや!京都がいただくで!」




「で?今日はどうだったの?」

「2得点です…でも4本外しちゃいました…」

「いけない子ね〜お仕置きしなきゃねぇ…」

「お願い…します…」
15/02/23 01:39更新 / リエージュ川島

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