連載小説
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第三章
崖の上まで無事に来た二人。
「んぐ、はぁ、なんとか、なったか」
「あの・・・も、申し訳、ありません・・・」
崖に手が届くところまでは登れたものの、片腕が取れて登れなかったイヴを引き上げたラウルだったが。
相当に、重かったらしい。
「いいてば。とりあえず、あそこで休もう」
指さした先には、小屋。
見ると、先ほどの吊り橋に繋がった小道があった。
「旅人用の休憩小屋だよ。直せるだけ、あそこで直していこう」
「わかりました。
 ・・・えーっと」
「はい」
困っていたイヴの前に、ラウルが背中を向けて座る。
「・・・大丈夫ですか?」
そう言いながら、左手を肩に乗せるイヴ。
「なぁに、なんとか」
それを背負おうと引くラウル。
「な、な、んなぁぁああっ、る、って!」
反応を見るに、思った以上に重かったらしい。
「・・・脚の先、引きずるくらいは、ちょっと許して・・・」
「え、えぇ、もちろん」
ずる、ずると進み始めて数歩。
ラウルの耳が真っ赤になっていることに気づくイヴ。
「あの、本当に大丈夫ですか?」
「へ、あ、あははは!大丈夫大丈夫!」
当のラウルはというと。
やべぇ、背中に柔らかいものが当たってる!
これ、まさかおっぱ・・・
いや何を考えているんだ!これは機械!機械なの!
いくらふにふにふよふよのよくわからない材質でなぜか温かいからって、これは人工物なの!
「えっと、何が、温かいのでしょう?」
声に出ていたらしい。
「え?いやほら手だよ手!金属部品なのにあったかいなーって!」
「あぁ、そうでしたか。それは先ほどウィンチを使ったときのモーターの発熱ですね」
「え、うん、だよね!」
「でも、ちょっとだけ、嬉しいです」
「へ?」
「金属だらけの私でも、ちょっとだけ人間っぽくなれたみたいで、嬉しいんです」
きゅう、と、ラウルの肩に掛かっていた腕に力が入る。
それはとても優しく、柔らかく。
しかし当のラウルとしては。
ごめんなさい。
その綺麗な心を汚すようでごめんなさい。
そう抱き着かれると、とても優しく柔らかい二つのモノがさらに押し当てられてしまうんですごめんなさい。
僕の柔らかかった部分は逆に硬くなりそうなんだけど!
「えっと、柔らかい、とは?」
「えっ・・・あっ、いやほら、イヴのほっぺた、柔らかいから、
 何でできてるんだろうなーって」
危ない危ない。かろうじて首筋に顔が押し付けられてて助かった。
まぁこれはこれで、女の子の身体が柔らかいと言っているようなものなのでなかなかアレではあるが、下心を知られるよりは幾分かマシなはずである。
「これですか。これはシリコンですね。ケイ素を使ったポリマーで・・・
 と言ってもきっと判りませんよね」
「あ、ははは」
「まぁ、柔らかくて丈夫な素材だと理解して頂ければ幸いです」
「ふぅん」
「柔らかい肌は、お好きですか?」
「そ、そうだね、固い金属よりは、人間味があっていいと思うよ!」
大好きです。
特に背中に当たってる柔らかいのとか。
とは、口が裂けても言えなかったが。
「ふふ、よかった。
 開発段階では、頑丈さを目的に全部金属にしようって意見もあったみたいです」
「へぇ」
「しかし、子供にも好かれやすいようにと、あえて柔らかい部分を持たせたそうです。
 他にも・・・あっ・・・やっぱりナシで!」
「どういうこと?」
「き、聞く必要ないじゃないですか!ほら!着きましたよ!」
言われてみれば、小屋はもう目の前だった。
戸を開け、中にあった椅子ににイヴを座らせる。
「お疲れ様でした、マスター」
「いや、興味深い話を聞かせてもらっていたおかげで、
 思ったほどキツくは感じなかったよ」
言うと、なぜか恥ずかしそうに顔を背けるイヴ。
顔を背けた先の、赤くなった自身の手を見て驚いたようだった。
「ま、マスター!そういえば、手を・・・」
「え?あ、そうだった。
 夢中だったから痛いのも忘れてた・・・」
「手をこちらへ。止血と・・・刺抜きも必要でしょう」
「あぁ、それじゃあ、お願い」
ラウルが手を差し出すと、イヴはその手を取り、舐め始めた。
始めは舌を出して舐めていたが、ささくれたワイヤーを取るために軽く歯を立てたり、指全体にローションを塗るためか、指を深くまで咥えたりし始めた。
それをぼーっと見ていたラウル。
「次は左手をどうぞ」
「ひぇ!?あ、うん」
同じように舐め始める。
どうしよう。
これ、なんかエロい。
余剰分のローションでべたべたになった指を、口に出し入れするイヴ。
こちらの体勢を極力変えないようにするためか、首や上半身をしきりに揺らすようにしているのもまた・・・
「終わりました」
「にゃ!?あ、はい」
手を離すと、もごもごと口を動かし始めるイヴ。
自身の手を受け皿にして。
口の中のローションを、吐き出した。
粘液は糸を引きながら、イヴの手のひらへと落ちる。
「・・・ずいぶんとワイヤーが刺さっていたようですね・・・痛かったでしょう」
「え、あ、まぁ、うん」
どうやら、口に残ったワイヤーを出すためだったらしい。
ごめん、その仕草のせいで痛いのとかもうどうでもよくなった。
ご馳走様でした。
「私なんかのために・・・いえ、もう、その言い方はやめましょう。
 私のために、ありがとうございました。マスター」
重ね重ね、ごめんなさい。
だいぶエッチい妄想してしまってごめんなさい。
「粗大ゴミは卒業しました。
 仕える主がいる以上、もう、ゴミではないんですから。
 マスターが誇れる、マスターのためのオートマトンとして、
 胸を張って、今後も尽くさせて頂きます」
ここまで堂々と言われると、かなり気恥ずかしい。
・・・さっきまで、下劣なことを考えていたことも相まって、だが。
その気恥ずかしさに耐えきれず。
「あ、ぼ、僕ちょっと、顔洗ってくるよ!」
「はい、判りました」
小屋を出た。

外のかめの雨水で軽く顔を流していると。
「え゙っ」
どこから出してるんだそんな声、と訊きたくなるような声がした。
「え、うそ!なんで!?なにこれ!?」
珍しく狼狽したイヴの声。
・・・というより機械が狼狽するのだろうか。
「いやぁ────!!!」
着ていたシャツで顔を拭き、中に戻る。
「どうしたの、イヴ?なんかすごい声聞こえたけど」
見ると、驚いた表情のイヴがいた。
「い、いえ!なんでも・・・いや、なんでもある、というか・・・」
歯切れが悪い。
「えっと、ですね・・・覚悟を決めて、お話しますと・・・」

ラウルが顔を洗いに出て行ったあと。
そうだ、先に仕様書やリペアマニュアルを呼び出しておくと、修理がスムーズかもしれない。
そう思い、仕様書を開いたところ。
AM-SRT2303F 仕様書
おかしい。
インストールデータが、自分の型番と違う。
OSは。
AMOS_SRTPlus_F Ver. 8.3.5 Custom Edission
やっぱり違う。というよりカスタムエディションって何だろう。
自分はAM(AutoMaton)LST(Life Supprt Type)F(Female type)ではなかったのか。
会社概要から、製品紹介欄を出す。
BST(戦闘支援タイプ)
LST(生活支援タイプ)
DRT(災害救助タイプ)
違う。
・・・あった。
SRT(性生活用セクサロイドタイプ)
「・・・え゙っ」
我ながら、どこにそんな発音データが入っていたのかわからない声が出た。
CPUが一瞬フリーズした。
いや。
そんなまさか。
製品詳細を出す。
SRTシリーズは、あなたに夢のような夜を与えてくれるオートマトンです。
他のタイプより柔らかく、張り付くようなシリコンを使用し、人間の肌さながらの質感に仕上げてあります。
また、他のタイプにはない涙や愛液、精液も再現。※1
もちろん、普段は家事一般もこなせます。※2
男性タイプはペニスの固さを、女性タイプはヴァギナの柔らかさ、締まりをさらに良くするため、当社開発中の収縮性シリコンを前倒しで採用してあります。※3
専用OSには各種前戯プラグインの他、四十八手プラグイン、ピロートークプラグインを始め、公式カスタムコンテンツはもちろん、ご利用者様独自のプラグイン作成支援ツールもございます。詳しくはOSのページをご覧ください。
※1機構の都合上、分泌されるものは、人体に無害な止血ローションとなります。
※2基本は生活支援タイプと同じですが、育児支援プログラムや一部料理レシピ等が異なります。
※3オプションで、従来のディルドタイプ、オナホールタイプにも交換できます。
かたかたと歯が鳴る。
OS説明。
通常のSRT版は、簡易生活支援と性生活支援用プログラムが入ったSRT基本ディスクに、追加ディスクとして、前戯プラグインディスク、四十八手プラグインディスク、ピロートークプラグインディスク、自作プラグイン作成支援ツールインストールディスクの計5枚組となっています。基本ディスクをインストール後、お好みの追加コンテンツをインストールしてください。
Plus版は、娼館用として、性癖設定ツールが入っています。
OSのファイル一覧を開く。
AMOS_SRTPlusファイル群。
収縮性シリコン制御用プラグイン。
前戯プラグイン一式。
四十八手プラグイン一式。
ピロートークプラグイン一式。
性癖設定ツール。
「え、うそ!なんで!?」
性癖設定ツールを開く。
とてもじゃないが読み上げられない性癖の数々が並んでいて、さらにそれぞれに嗜好の度合いを設定するバーが付いていた。
大半のチェックボックスにチェックが入っていないのが救いだったが。
サディスト 120/255
マゾヒスト 200/255
「なにこれ!?」
設定を解除しようとするが。
エラー。
所持登録された人間以外設定変更できません。
性癖設定ツールの説明書きを見る。
注意:相反するような性癖の設定も可能ですが、節度を守った設定でない場合、救いようのないド変態と化してしまう場合がございます。
「いやぁ────!!!」

「・・・ということが、ありまして・・・」
「えっと、よくわからないけど・・・
 実はとってもエッチな身体だった、と・・・」
「い、言わないでください・・・」
イヴの頭の付近の空気が熱で歪んで見えるくらいには恥ずかしいらしい。
「なんで、なんでこんなことに・・・私は、確かに生活支援用だったはずなのに・・・
 確かに、セクサロイドほど高性能じゃないにせよ陰部は付いてましたけど・・・」
「・・・えっ」
「えっ・・・あっ!」
「もしかして、さっき言おうとして隠してたことって」
「・・・はい。
 シリコンは肌の柔らかさを再現できるので、その・・・肉の質感、と言いますか、
 あの、アレの再現も可能でして・・・『そっち』の、セイカツ支援も多少は・・・」
そりゃ言えないワケだ。
「うぅ・・・なぜ・・・」
「・・・あ。
 そういえば、魔力を吸収してエネルギーにしてる、って言ってたよね」
「はい、そうです。
 しかし、それはあくまでスリープ中の急場しのぎのようなものでして、
 実際にはちゃんと椅子型の補充用機器で・・・」
「僕も噂しか聞いてないんだけど、数年前、魔王が変わったらしいんだ。
 ・・・サキュバスに」
「え゙っ」
またすごい声が出た。
「で、魔力で生きてる、いわゆる魔物が、
 次々とスケベな女の子に変わっていってるんだ」
「あ・・・あ・・・」
まぁ、気持ちも判らなくはない。
真面目に生きてたつもりが、寝て起きただけで突然淫乱ド変態の烙印を押されたら、僕でも絶望する。
心の中で、静かに同情するラウル。
「だとすると、スリープしてた最近数年は、淫魔の力を吸っていて・・・」
「そうなるね」
「たぶん、研究所内にあった魔磁気ディスクなどのデータが紛れた可能性が・・・」
「ごめん、そこまでは判らない」
「嫌な予測が的中していないことを祈ってお訊きします・・・
 その魔物の、主食、って、まさか・・・」
「うん・・・その、男の、アレ・・・」
「確認、しました・・・。
 いつからあったのかもわからない、精魔コンバータの接続を・・・」
さっきまであんなに羞恥で加熱されていたのに、今度は冷え切っている。
「マスター、あなたが拾われたお人形は、
 どうやらエッチな道具だったみたいです・・・」
「気をしっかり持て!イヴ!戻ってこい!」
「私のマスターへの好意は、きっと、下心に基づくものだったのですね・・・」
「おい、待てイヴ!」
「どうぞ、欲望のままに、お好きにお使いくださいませ・・・」
「こら!イヴ!」
ラウルのチョップが入る。
あてっ、と小さく声を上げ、ラウルを見るイヴ。
「少なくとも僕は、そういう目的でイヴを拾ったわけじゃないぞ!」
「マスター・・・」
「そりゃ、ちょっとおっぱい当たってムラッとしちゃったこともあったし
 エッチい視点で見てたこともないわけじゃないけど・・・でも!」
流石にこの独白はちょっと声が小さくなっていた。
「ネズミに悲しんであげられる優しい心があることも知っているし、
 いつも僕優先で考えてくれていることも知っている!
 そんなイヴだから、僕は傍にいてほしいと思ったんだよ!」
「マ、スター・・・」
「だから、そんな自棄にならないでほしい」
しゅんとするイヴ。
「・・・ごめんなさい、どうかしてましたね、私。
 本当に、岩に当たって、回路が壊れてしまったのかもしれません」
「大丈夫。いきなり自分自身を否定されたら、僕だってああなっちゃうよ」
「ふふっ、また、マスターに直してもらっちゃいましたね」
「ははっ、まだまだ。一番の大仕事はこれから、だろう?」
バッグからイヴの右腕を取り出して、言った。
「そうでしたね。それで、その修理ですが・・・」
「うん、さすがにここまでポッキリ折れてると、
 ちょっと今ある道具だけだとつらいかな」
「それについては大丈夫です。
 私たちのメインフレーム・・・骨組み、ですね。それは、
 形状記憶ミスリルでできています」
またなにやら聞きなれない言葉が出てきて、難しい顔になるラウル。
「形状記憶ミスリルは電流と魔力を同時に流すと、一旦柔らかくなってから、
 元の形、この場合ですと真っ直ぐな状態ですね。それに戻る性質があるんです」
「ということは、骨組みを直すのには炉もハンマーも必要ないってこと?」
「そういうことになりますね。ただ・・・」
「ただ?」
「これまでのことで、私の中のエネルギーがほぼ尽きかけているんです。
 あと30分程度もすれば、動けなくなってしまいます。
 復元用のエネルギーには、とてもではありませんが足りません」
「それ、だいぶ危ないんじゃないの!?」
「いえ、いざとなったらスリープ状態になれば、
 保たせるだけならいくらでも保つので、そこまで深刻ではありません。
 それで、ですね・・・」
突然、顔を赤らめるイヴ。
そんな機能もあったのか。
いや、たぶん自覚すらしていない変化なんだろうな、と考えたラウルだが。
「ちょっと、魔力の補充を、お願い、したい、な、と・・・」
流石に先ほどの流れから予測できないほどではなかった。
「え・・・あ」
察して、こちらも真っ赤になるラウル。
沈黙が続き。
「ま、マスター!前向きに考えましょう!
 本来なら補充用機器や設備が必要だったのが不要になったんです!」
「そ、そうだな!今までのままだったら、
 魔力補充とかどうすればいいかわからなかったからな!」
『はははははは!!』
・・・・。
沈黙。
「えっと、あの、その・・・こんな、故障だらけの機械で大変恐縮ですが・・・」
「・・・ううん。いいよ。
 その、面と向かってこう言うのもアレだけど、その・・・ちょっと、いや、
 かなり、嬉しいし・・・」
ぷしゅぅ。
イヴの頭から煙が上がる。
「えっ!?」
「あ、いえ!これはオーバーヒート対策の冷却水の湯気ですから!平気ですから!
 ・・・えっと、こんな、ポンコツに、その、
 欲じょ、いえ、好意を、抱いて頂けたのが、嬉しくて・・・
 ・・・よろしく、お願いしますね」
最後の辺りは聞こえるか聞こえないかという小声だった。
「とりあえず、ベッド、行こうか」
「・・・はい」
ベッドに寝かせようとしたところで。
「あの、そのまま、床に座らせてください。
 脚が不自由なままでは、その・・・できることが、限られますので・・・」
互いの一言一言におっかなびっくり、といった感じのぎくしゃくした動作が続く。
「あの、それでは、えっと・・・わ、私の方は、準備は、とととのいました・・・」
あ、機械でも噛むんだ。
ちょっとだけ冷静になれたラウル。
が。
「マスターの、ご、ご準備を・・・」
「えっ・・・うん」
それも一瞬のこと。準備が何かを考えた途端、また顔を真っ赤にするだけだった。
「あの、ちょっと・・・見ないでいてもらえると、助かるなぁ」
何言ってるんだ。
それは女の子の側のセリフだろう。
「わ、わかりました」
イヴの方も気にする余裕はないらしい。
ベルト代わりの紐を緩め、ズボンとパンツを脱ぐ。
「えっと、あの、い・・・いいよ」
何がいいよだ。
だからそれは僕が言われる側だろう!
「はい・・・ひっ!」
ソレを見た瞬間、イヴの表情が引きつる。
「え、あ、す、すみません、あの、私の中のデータよりも、その
 凶悪・・・もとい、大き・・・でもなく、あの、立派、というか」
普通人前に晒すようなモノでもないので、そう反応されるのも致し方ないとは思う。
「あ、の、毎回のことで本当に恐縮ですが・・・」
「うん、お願いだね」
「その・・・する、前に・・・・ん」
目を瞑り、唇を突き出すイヴ。
屈んで、イブの顔に近づく。
そして口ではなく耳元に寄せ。
「好きだよ、イヴ」
「んあ!?」
突然のことに対応できなかったらしいイヴの悲鳴。
その驚いている口に、舌を滑り込ませる。
「んっ・・・・」
経験がなくてもいい。
不器用でもいい。
今度は、ラウルから、イヴを求めた。
ぐちゅ、ぴちゃ。
不思議といつもより粘り気の濃い唾液が、二人分、混ざる。
頬に当たる、イブの鼻息。
熱い。
息も、舌も、身体も。
離すと、口元によだれを滴らせたイヴの顔。
「ひどい・・・です。あんな不意打ち、機械だって、反応できません・・・」
「あ、ご、ごめん。嫌だった?」
「嫌・・・そうですね、嫌と言えば、嫌です」
珍しく否定の言葉を出すイヴ。
「私の気持ち、伝えそびれてしまったじゃないですか・・・」
「ご、ごめん・・・
 今聞くんじゃ・・・ダメ?」
「乙女のロマンにご理解がない方なのは承知していましたが、ここまでとは・・・」
呆れられてしまったようだ。
「でも、私が好いてしまったのは、そんなマスターなんです。
 そんなこと、今更ですね」
自嘲気味ではあったが、確実な告白に、赤面するラウル。
「本心を語らせて頂きますと・・・セクサロイドになってしまったことは、
 そこまで嫌ではなかったりするんです。
 だって・・・キス以上の繋がりを求めることが、できるようになったんですから」
流石に性癖設定まではやりすぎだと思いますが。
そう付け加えて。
「・・・はじめ、ましょうか」
「・・・うん」
立ち上がり、イヴの前に、汚らしいそれを突き出す。
「では・・・失礼します」
垂れ下がった一物を手に取り。
「あ・・・思ったより、柔らかい・・・」
恐る恐る、先端にキスをする。
唇のほのかな温もりが、一瞬だけ伝わる。
それがスイッチであったかのように、垂れていたものはビクビクと脈動しながら、見る見るうちに天を仰ぎ始めた。
「えっ・・・えっ・・・えええっ!?」
元のサイズから数段膨張したそれを見て、悲鳴に近い声を上げるイヴ。
「えっ・・・ひ、人の身体って、不思議、ですね・・・」
これもまた、データから想像できなかった部分なのだろう。
どこかちぐはぐなことを言いながら、奉仕を続けるイヴ。
舌を出し、舐める。
「熱っ・・・!」
そう、感じた。
「あっ、す、すみません!すぐに冷却を・・・」
「そうじゃない、ごめん。火傷するほどのものじゃないから平気だよ。
 ただ、思った以上だったから、つい・・・」
「そう、でしたか・・・。不快では、ありませんか?」
「あの、どっちかと言うと・・・すごく、気持ちいい」
「ふふっ、それは良かった。あ、そうだ。
 前戯プラグイン、ロード」
「あ、いや、ただのエネルギー供給なんだし、そこまでしてもらうほどじゃ・・・」
「いえ、させてください。
 私が、マスターにとっての、最高のオートマトンだとご理解頂くためにも」
「じゃ・・・じゃあ、お願い、しようかな」
「ふふっ、かしこまりました。
 ロード、完了。マスター、お尻をこちらへ」
「・・・へ?」
「・・・え?
 プラグインでは、最初にお尻に手を入れる項が・・・」
「えぇぇ!?」
「えっと、次がお尻を舐める・・・」
「待って!それただABC順に並んでるだけだから!
 普通はいきなりそんな高度なことしないから!」
「え゙っ」
ちょっと慣れてきた声を聞いた。
「こ、高度・・・?」
「うん、もうハイエンドクラスの」
またしても頭から湯気を出すイヴ。
「こっ!項目実行不可に指定!そのままロック!
 申し訳ありません!こうあったから!つい!その!・・・普通の、ことかと・・・」
「ぷっ、はははは!」
思わず笑いだすラウル。
「もう、酷いです・・・笑うなんて」
「ごめんごめん。つい。
 いいよ。これからずっと、一緒に見つけていこう。
 二人で、幸せになる方法を」
「・・・はい!」
イヴに笑顔が戻ったところで。
「そのプラグインに、あの、フェラ、ってある、かな」
「・・・はい。詳細項目もありますが」
「えっと、そこは自由に組んでもらって、いいかな」
「はい。不手際がありましたら、その際にご指摘ください。実行しますか?」
「うん、それで、お願い」
「それでは、プラグインを実行します」
そっと、左手が竿に添えられる。
「マスター」
優しく、左手を動かしながら。
「こうして・・・至らぬところがある私ですが、いつか、
 ご指示がなくても、適切に実行できるよう、学んでいきます。
 ですから、マスターのこと・・・もっと、私に、教えてくださいね」
「もちろん」
「ふふっ。ありがとうございます」
今まで見た中で、一番優しい微笑みだった。
そっと、一物へのキス。
舌を出し、全体を舐め始める。
「・・・っ!」
ねらねらとした熱いローションが纏わりつく。
「ん・・・だ、大丈夫、でしょうか・・・
 弾けそうなほどパンパンに硬くなっていますし、
 痙攣するかのようにビクビクしています・・・」
そういう言い方をされると、確かに異常ではあるが。
「うん、大丈夫だよ。すごく、気持ちいい」
別の方面で我慢が必要なくらいに。
とは、また誤解を生みそうなので黙っていたが。
「お好きなタイミングで、お好きに出して頂いて構いませんよ。
 もちろん、足りなければいつでも『追加』に応じます」
「・・・うん、ありがとう」
そんな魅力的に微笑みながら言われたら、我慢ができなくなってしまうではないか。
「・・・と、プラグインの指示を読み上げただけですが。
 本心でもそう思っていますよ。
 マスターの気持ちいい、という言葉を聞けて、
 私、とても満たされた気持ちですから」
大きく口を開け。
頬張る。
ぐ、ぐ。
ゆっくりと、確認するように。
深く深く、飲み込まれていく。
溶けそうだ。
そう錯覚する程に、熱い。
先端が、こりっとしたものに触れた。
じゅ。じゅる、じゅる。
吸い込まれながら引き抜かれる。
ゆっくりとした、深いストローク。
粘っこい水音とともに、それが何度か繰り返される。
全体がローションでぬるぬるになり、袋までそれが垂れ始めた辺りで、口が離される。
そのねばねばを刷り込むように、イヴが左手で優しくしごく。
口は陰嚢の方へと移り、舐め、玉を吸われ、時には唇で甘噛みされ。
「んっ・・・ふぅ、どう、ですか」
顎までローションまみれになったイヴが訊く。
「気持ちいいよ・・・腰が、抜けそうなくらいに・・・」
「それは・・・よかったです」
ぱた。ぱた。
溢れたローションが垂れ、床に落ちる音。
先端を咥え、舌で弄(もてあそ)び始めるイヴ。
亀頭の境目や、尿道口まで、舌の先端で蹂躙されていく。
「マスターの・・・舐めていると、幸せなんです」
口を使いながら喋るという器用なことをするイヴ(後から知ったが、声はスピーカーという全く別の機械から出ているらしい)。
「時折・・・んちゅ、びくん、びくん、っていうのが、じゅる。
 とっても、嬉しそうに感じて・・・ちゅる、私で、悦んでもらえてるんだって、
 とても幸せな気分になるんです」
「うん、それで合ってるよ。
 さっきから、自分でも驚くくらい、びくびくしてるんだ。
 ・・・あと、もう、そろそろ、限界・・・」
「ちゅぷ・・・ふふっ、わかりました」
イヴがどこか嬉しそうに、どこか悪戯っぽく微笑むと。
大きく咥えこんだ。
じゅぶ、じゅぶ、じゅる、ずる。
先ほどと変わって、激しいストローク。
それでいながら、舌は的確に裏筋を舐め上げてくる。
じゅ、じゅ、じゅ、じゅ。
規則的に繰り返されるそれは、確実にこちらが果てるのを促してくる。
「うっ・・・イヴ、もう・・・くぅ!」
それを察したか、イヴの手が尻へと回る。
腰を抱き込み、奥へ、奥へと、深く飲み込む。
逃がさない、と言わんばかりに。
こりっ。
喉の奥の何かに触れたのがきっかけのように、頭が真っ白に飛ぶ。
びく、びく、びく。
ひと際大きく跳ねた愚息が、どろりとしたものを運ぶ。
数度のそれで勢いが弱まってきたと思った拍子に、イヴが再度ストロークを始める。
「う、ぐ」
敏感になっていたそこは、その刺激でさらなる吐精を促される。
びく、びく、びく。
とどめとばかりに、管の中を吸われる。
「あ、が」
びく、びく、びく。
生涯最も長い射精だった。
ちゅ、という吸い切った音とともに、イヴが一物を離す。
どれほど射精(で)ただろうか。
「ん・・・く。
 全部、飲み切りました・・・。
 男性は、飲み切るのが好みだとありましたが、どう、でしょう・・・」
それだけは、すべてイヴの中に消えてしまい、判らずじまいだった。
先ほどまでイヴが座っていた椅子に座るラウル。
「う、うん・・・すごく、良かったよ。
 腰、抜けちゃったけど・・・」
はぁはぁと肩で息をしながら言う。
「悦んで頂いてなによりです・・・
 不思議なんです。嗅覚センサーも、味覚センサーも、
 不快を表すマイナスの数字を出してくるのに、私自身、胸が温かくなるような・・・
 満ち足りた気持ちでいっぱいなんです」
くすり、と笑って。
「きっと、誰かに満足してもらう・・・オートマトンとしての本懐を、
 やっと遂げられた、ちゃんと遂げられたという満足感なんでしょうね」
「そう、それは、はぁ、よかった」
まぁ僕は何もしてないどころか腰抜けるまで気持ちよくなってただけなんだけど。
口には出さなかったが。
大きく息をつき、呼吸を整えるラウル。
「それで・・・肝心の、魔力は・・・」
「はい・・・充填率50%。
 ほとんどを使えば、修復可能です」
「なるほど、それはよかった・・・うん?『ほとんど』?
 ってことはつまり・・・」
「はい。直した後、その、もう一回、ということになりますね・・・」
顔を赤らめつつ、でも、どこか嬉しそうに言うイヴ。
「あは、あはは・・・」
もう一度あの快感を味わえるのかと考えると嬉しさ半分、疲れと飢えのままアレをもう一度するのかと考えると苦しさ半分、といった心境のラウル。
「・・・とりあえず、直してから考えよう」
ズボンをはきなおし、イヴを抱え上げ、ベッドへと寝かせる。
イヴの指示により、右腕の破損部分を近づけて置き、針金で簡単に繋ぐ。
ひしゃげてしまった外装を取る。
「主要なギアも形状記憶ミスリル製ですので、
 歩くだけならすぐにできるようになります。
 そしたら・・・その、口ではなく・・・もっと・・・いえ、何でもありません!」
「は、はは・・・期待、しておくよ」
そうお茶を濁して。
「それで、この間に僕がやっておくことは?」
「はい。左足からスタンガンの電極・・・そう、それです。
 それを、私の額と脚に・・・
 あぁ、どちらでもかまいません。はい。それで大丈夫です」
イヴの指示の通りのことを済ませる。
「他には?」
「特にはありませんが・・・見守っていて頂けると、ちょっとだけ、
 私が元気になります」
「はい。了解」
呆れ半分、イヴのかわいらしさにやられたのが半分、といった返事をするラウル。
「それでは、始めます。
 メインフレーム修復プログラム起動。
 準備シーケンス。
 メインフレーム導線確認。右腕破損部の導線確認。
 ジェネレータからスタンガンへ導力充填。
 コンバータからの魔力開放準備。
 スタンガンから各部への通電テスト中・・・完了。
 コンバータから各部への導力テスト中・・・完了。
 実行シーケンスに移行。
 予備導力として魔力の使用準備・・・完了」
やはり何を言っているのかさっぱりだった。
ビーッ!ビーッ!
耳を割くような音が響き渡る。
「これより、魔力の開放を行います。
 高濃度の魔力を吸うと淫らになる恐れがございます。
 胸いっぱいに吸い込んだ上、近くの異性と交わるようお願いいたします」
「えっ何その警告!?」
あまりにも不審な警告に、退避が遅れた。
淡いピンク色の光がイヴを包んだかと思うと、中心付近でバチバチと雷のようなものが光った。
それも一瞬のこと、雷はぴたりと止み、光は空気に溶けるように次第に消えていった。
後に残されたのは、うすぼんやりと光るイヴの姿。
右腕の骨組みは、くにゃりと曲がったかと思うと、繋いでいたワイヤーを伝い元のように繋がると、もう不要だと言わんばかりに、取り込まれていたワイヤーを排出した。
脚も曲がっていた部分はすっかり元通りになり、柔らかくなったときに落ちたのだろう、武器やそのためのギアはぽろぽろと周囲に転がった。
イヴの光が完全に収まる。
とても不思議なものを見た。
それが感想だった。
機械屋として、どうなっていたのかもう一度見たい気がしてならない。
ラウルは、ひどく興奮していた。
・・・いや。
「・・・あれ?」
下半身に違和感を覚え、ふと視線を下に向けると、既に痛いほどにいきり勃ったモノがテントを張っていた。
これは機械屋としての興奮じゃなく。
ムラムラという性的興奮。
「待って!ついさっきヤったばかりなのに!
 ・・・あ、あの警告、これのことか!」
空気に散った高濃度の魔力を吸った弊害。
「実行シーケンス終了。
 予備導力切り替え完了。
 再起動します」
イヴから声。
どうやらうまくいったようだった。
「・・・イヴ?」
「う・・・ん・・・
 マスター・・・終わりましたか」
「あぁ、無事に終わったみたいだよ」
「そう・・・ですか。
 ちゃんと、見ててくれましたか?」
そう言って起き上がり、ベッドの縁に腰掛けるイヴ。
きちんと動作しているようで、胸を撫でおろすラウル。
「うん。大丈夫。ちゃんと見てたよ」
そっと、イヴの手を握ってやる。
「違いますよ」
「・・・えっ」
握った手を握り返され。
そのまま、胸へ。
「ひゃい!?」
突然の行動に驚くラウル。
「ここ。見ていてくれました?」
「えっいや見ていたというか背中に当たったときにとっても良かったというか
 そうじゃなくて」
「ふふっ、あんなに情熱的にしゃぶってあげたのに、今更胸で狼狽しちゃって。
 マスター、かわいい」
そういって微笑むイヴ。
いや、これは微笑むというより。
妖艶に、悪戯に。
雌が、雄を誘う顔。
「イヴ、どうした!?アレか、
 魔力で回路が壊れたとか言っていたのが酷くなったか!?」
「壊れる・・・まぁ、そうですね。マスターのせいで、もう私は滅茶苦茶です。
 脚も腕もボロボロですし、感情回路はオーバーフローとnullしか吐きませんし、
 さっきから熱暴走手前の温度が下がりません」
不意打ち気味に、小さく、ついばむようにキスをして。
「ボロボロになって、見捨てられて当然のときも優しくするんですもの。
 その上、そんな私に好きだなんて言って・・・そんなにドキドキさせられたら、
 もう、壊れるしかないじゃないですか」
少しだけ、涙目になりながら。
「壊してください。
 汚してください。
 いっぱい、いっぱい使ってください。
 300年間使われなかった分も、めいっぱい酷使してください。
 私が、マスターのものだという証を、深く刻み付けてください。
 認証チップに遺伝子情報を登録しただけじゃ嫌なんです。
 HDDをマスターのデータでいっぱいにするだけじゃ物足りないんです。
 マスターのことを想っていたくて、メモリのOS使用領域が邪魔なんです。
 12コアのCPU全部が、マスターのこと考えていたくて仕方ないんです」
なんだこれ。
酒に酔って泣き上戸になっているようなものだろうか。
「私にも、この昂(たかぶ)りが抑えられないんです・・・。
 きっと魔力を開放して、感情の回路が魔力漬けになっちゃったせいだと思います」
「あぁ・・・なるほど」
「えっアナル?マスターお尻が好きなのですか?
 でしたら、さっそくプラグインの封印を解かなきゃ・・・」
「違うってば!」
「でしたら、私のお尻の方ですね。
 申し訳ありませんが、私には排泄機能はないので、穴はありません。
 揉むだけならいくらでも構いませんよ」
胸にあった手をラウルの身体ごとぐいと引き、自身の尻に触れさせるイヴ。
急に引かれバランスを崩したラウルは、胸に顔を埋める形になった。
「もご、もがもがもが!」
極端に大きいわけではないが、張りのある胸がラウルを潰す。
「やぁん、マスター、積極的♥」
・・・いや、イヴが腕を使って挟み込み、積極的に潰そうとしているのだ。
「・・・ぶはっ!」
「あれ、マスター、もういいのですか?」
「流石に呼吸もままならない状態だと堪能すらできないよ!」
「堪能はしたいんですね」
「えっ・・・そりゃ、まぁ・・・」
すごくしたい。
先ほどよりもその欲求は高まっている。
「・・・あっ、マスター、よく見たらおっきくなっちゃてるじゃないですか」
バレた。
「どうします?またお口がいいですか?」
口を開け舌を出し、指の輪っかをしごく動作をするイヴ。
「それとも・・・今度は、こっち?」
動くようになった脚を開き、ラウルに見せつける。
白い肌の間、そこには、綺麗なピンク色をした割れ目が。
・・・そういえばあるものはある、って言ってたな。
「どうです?私の、綺麗でしょう?
 心も、もちろん、ここも、全部、マスターのものですよ」
思わず生唾を飲み込む。
「顔も、口も、胸も、手も、脚も、おマ●コも、みーんな、マスターのものです。
 今なら、はっきり言えます。
 生まれてきたのも、300年待ったのも、全部、マスターのためだったんだ、って。
 それくらい、幸せなんです。
 だから、もっと。
 私がマスターのものだと、刻んでください。
 壊れるくらい、刻み込んでください。
 深く突き刺して、奥の奥まで、刻み付けてください。
 私の全てと引き換えに、マスターの愛情を、ください」
「・・・っ!」
愁いを帯びた、うるんだ瞳で訴えられた。
耐えられる、はずがなかった。
ズボンを下すのももどかしく感じるほどに、乱暴な欲求が膨れ上がる。
「さぁ、マスター。
 思う存分、イヴをお使いください」
剛直を突き入れると、ぐちゅりと音がした。
「はぁぁぁぁぁぁん!!」
同じく淫靡な欲求を膨れ上がらせていたイヴは、すっかり準備ができていた。
そこは口の中以上に熱く、その熱で脳が焼かれているのではと感じるほどだった。
「あ、あぁ・・・マスターの、マスターのが・・・」
まだ。
欲求・・・いや、もうけだものの本能とでも呼ぶべきそれは、さらに奥を目指す。
先端にこりこりしたものが当たったが、構わずさらに奥に突き入れようとする。
「んぁあぁぁ!!だめ・・・そこ、コンバータ・・・や、ぐりぐりしちゃ、や・・・」
一旦腰を引き。
「あ、んぁぁぁ」
一気に、突き入れる。
「あぁぁぁぁああぁ!!」
じゅぐ、という汚い音が鳴る。
「貫かれてる・・・私、今、マスターに・・・」
イヴの嬌声を背景曲に、さらに2回、3回。
「あぁぁぁ・・・マスター、きもち、いい?・・・んくぅっ!」
「うん。もう、何も考えられないくらい、気持ちいいよ」
言葉と一緒に、さらに叩きつけるように。
「はぁぁ!嬉しい!私も!んっ、マスターが喜んでくれて!んうっ!嬉しい!」
じゅぶ。じゅぶ。じゅぶ。
空気を含み、ローションが泡立ち、さらに下品な音が出る。
「あっ!や、エッチな音、出てる!マスターに、んっ、汚されちゃってる!」
ぐじゅ、ぶじゅ、じゅぼ、じゅぐ。
「もっと!もっと激しいの!欲しい!んっ!もっと!壊れるくらいの・・・」
「わかったよ」
それは、イヴに求められたからなのか。
それとも、自身の意思が求めたからなのか。
一度、深々と刺さったモノを抜き。
「んぁ・・・」
イヴの姿勢を、四つん這いにさせる。
「そう・・・うん、もっと、お尻を突き出して」
「んっ・・・こう、ですか」
「そう。いい子だ」
「ん、ふふ・・・」
知ってか知らずか、誘うように腰を振るイヴ。
「マスター・・・どう、ですか」
「うん。とっても綺麗で、エッチな恰好だよ」
「えへへ・・・また、褒められちゃいました・・・」
物欲しそうにくぱくぱと蠢くひだに、怒張を押し当てる。
そのまま上下に擦る。
「んっ・・・焦らすの、や、です・・・」
「じゃあ、やめる?」
「やめるのは、もっと、やぁ・・・」
イヴの要求を無視して、さらに焦らす。
「マスター・・・んぅ、私が悶えるの、楽しんで、んっ、ませんか・・・?」
「うん」
「いじ、わるぅ・・・」
「そんなことないよ。言ったよね、僕はイヴの頼みはなんでも聞いてあげるって」
「んんっ、それって、んあっ、私から、おねだりしろってことじゃ、んっ、
 ないですか・・・そういう、とこ、すっごくいじわるです・・・」
焦らされて我慢が限界にきたのか、自分から大きく腰を振り、強く擦り始めるイヴ。
「だって、すごくかわいいんだもの」
「そんなこと、言われたら・・・ふっ、断れない、じゃ、んうんっ、ないですか」
ふと、腰の動きが止まる。
「・・・マスター。お願いします。イヴのこと、滅茶苦茶に、してください・・・」
「よくできました」
正直、こちらももう限界が近かった。
ずぶ濡れになり、ひくひくと喘ぐ穴。
主人に痴態を堪能され、羞恥の表情で腰を振る愛しい人形。
もやもやと、むらむらと、めらめらと。
胸の内に。
劣情と、欲望と、情熱と。
すべてが綯交(ないま)ぜになり、今にも爆発しそうだ。
完全に血を滾らせ、今まで見たことがないくらいに赤黒くなったそれを、突き立てた。
「ひゃぁあああぁん!」
イヴが、嬉しそうな悲鳴を上げる。
「滅茶苦茶にしてあげるから、覚悟してね」
「・・・はい♥」
彼女の了解が出たところで。
理性を、手放した。
繁殖のための機能を、人工物に吐き出す。
ただの道具で、満足する。
ある意味、神の創造物としてからは、一番かけ離れた行為。
そんな御託は、もう何の役にも立たない。
「あ、はぁ、はぁ、んぐっ、はぁ、はぁ」
ただ息を荒げ腰を振るものと。
「ん、あぁ、あぁ、んああぁっ!」
それを受け歓喜の叫びを上げるものと。
互いの体を求め、互いの幸せを願い、互いの欲求を満たし、互いの快楽を満たす。
その行為だけが、そこにあった。
ぱちゅ、ぱちゅ、ぱちゅ、ぱちゅ、。
柔らかいものを力強く打ち付けあう音が響く。
かちゃかちゃかちゃかちゃ。
ベッドに散らばった部品が、激しい動きに合わせて音を奏でる。
「ん、ぐっ、・・・イヴ、僕、もう、そろそろ・・・」
「来て!マスター!んっ、来て!奥まで、んっ、私を、あっ、汚して!」
その言葉に応えるように。
一際奥まで貫く。
ごりっとしたものを感じながら。
どく、どく、どく。
そのさらに奥。大切な何かまで届くように。
どく、どく、どく。
壊して、汚して、刻み付けらるように。
どく、どく、どく、どく
精を、放った。
「あああぁぁぁあぁぁぁ!!」
それを感じたのか、イヴが喜びの声を上げる。
そして、知ってか知らずか、最後の一滴まで絞り出すように、締め上げた。
「ん、ぐぅぅぅ!」
締め付けは次第に緩み。
放精が緩んできたところで。
もっと、もっとと言うかのように。
きゅ、きゅと収縮する。
「あ、ぁ・・・だめ、溢れちゃう・・・コンバータに入りきらない・・・
 いや・・・マスターの、ぜんぶほしいのに・・・」
ひとしきり出し切り、脱力したラウルが、ベッドに倒れる。
栓の抜けた秘部からは、ぶび、という汚い音とともに、白い粘液がぼたぼたと零れ落ちた。
体力を使い切り、肩で息をするラウル。
まだ半勃ちの状態のそれに、イヴがしゃぶりついてきた。
「んちゅ・・・マスターのは、全部私のものなの・・・」
「はぁ、はぁ、か、帰ったら、ね、ちょっと、今は、はぁ、疲れが・・・」
我に返ったラウルが、それを止めようとする。
「んっ。や、です。
 私のぜんぶ、マスターにあげたんですよ・・・。
 こんなにかわいい女の子を独り占めする権利、これだけじゃ、足りません・・・」
じゅぶ。じゅる。
お掃除だと思っていたが、既に次への奉仕は始まっていた。
「ま、待って、さすがにもう、キツい・・・」
「だーめ♥
 前戯プラグイン検索。『疲れたとき␣元気にする』・・・該当24件。
 現状最適な処理を絞り込み検索・・・該当1件」
ちゅる、と一物から口を離し、自身の指を丁寧に・・・ローションでコーティングするように、舐めるイヴ。
「前立腺マッサージプラグイン・・・実行します♥」

ちゅん、ちゅん。
その音が、イヴの集音マイクに入力される。
「・・・過剰魔力の消費を確認。
 通常導力に切り替え、スリープ復帰」
その声が終わると同時に、イヴが身体を起こす。
「・・・・」
まだ各部に導力が行きわたっていないのか、少しぼーっとする。
窓の外では、小鳥がせわしなく地面をつついていた。
とても、とても久しぶりな光景。
300年間、味わっていない爽やかさだ。
どうして私、外にいるんだっけ。
疑問はまずそこからだった。
録画データのサムネイル呼び出し。
512倍でコマ再生。
そうだ、私、昨日修理してもらって・・・。
というところまで呼び出し。
以降の、夜通しの痴態。
急に顔が赤くなる。
「わ、私は何を・・・ま、マスター!」
そのマスターはというと。
いろんな意味でぐちゃぐちゃになって、干からびた様子でベッドの上に倒れていた。
「ま、マスターぁぁぁぁ!!」
その叫びは、人気のない丘の上、さらに抜けるような青空へと、消えていった。
17/03/20 18:54更新 / cover-d
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■作者メッセージ
それにしても、Winで編集すれば環境依存文字に悩まされなくて済むな!とか考えてたら、環境依存じゃないハートマークが無かったという。
さらにネットから環境依存じゃないハートを探して辞書登録したらそれが環境依存表示されるという御丁寧さ。
各企業さん、もーちょい仲良くしませんかねぇ。ユーザー困ってますよ。

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