連載小説
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赤ん坊を拾いました
 
 「おぎゃあああ!!!おぎゃあああ!!!!」森を木霊するほどの声を出す赤ん坊が目の前にいた。

 「ちょっとどうしたのよこれ!?あんた、木の実を取りに行ったのになんで赤ちゃんを拾ってくるのベアル!!しかも、よりによって、人間の赤ん坊なんて・・・」エルフが目の前にいる赤ん坊を摘みながら言った。

 「この近くで拾った。武器を持った人たちがそこら中にいたから・・・ってルーファちゃん!?そんな持ち方したら、赤ちゃんが落ちちゃうよ」耳を折りたたみ尻尾を後ろに丸めながらしゅん・・・としたワーウルフ。怒られて落ち込んでいたが、エルフの持ち方が気になって赤ん坊を受け取った。

 「おい!!理由は分かったから。そのうるさい子供を早く静かにさせろこのままじゃ、ここが人間にバレるわ」耳を抑えながら言うドワーフ。

 「おぬしは、ここにどれくらい住んでいるのじゃエリシア?ここはどれだけ騒いでも大丈夫じゃ。この森には、ドリアードやノームが上手く木や植物を使って人が立ち入れなくしておるからの。それに、儂らサバトがここに高度な魔術を使って、隠しておるからの。しかし、本当に良く泣く赤ん坊じゃの」バフォメットは、泣いている赤ん坊を見ながら言った。

 「しかし、ずっと泣いてたらこの子に負担がかかりますよ。リア様」魔女がバフォメットにそう言った。

 「お腹が空いてるのかな?」ベアルがあやしながら言う。

 「なら、ホルスタウロスのユーリに頼めばいいのじゃ」そう言うとホルスタウロスのユーリを呼んできたリア。

 「う〜ん。いいですけど〜。こんな小さな赤ん坊があたしのお乳を飲むと色々と大変ですよ?」

 「何で、大変なんですか?」

 「私たちのお乳は、栄養やもちろん味だって自信はあります。でも、赤ん坊が直接飲むのはダメんですよ。特に人の赤ちゃんは」ユーリはチラッと赤ん坊を見た。ずっと泣いているのか赤ん坊の目のまわりは赤く腫れてあかぎれになっていた。
 
 「赤ちゃんはね生まれた時から魔力に対する抗体がほとんどありません。そのため、私たちのお乳を薄めるかしないとダメなんですよ」

 「それなら、薄めたらいいじゃないですか」べアルがそう言ったが、ユーリは首を横に振った。

 「べアルちゃん。ここの水は、ウンディーネのアクアちゃんが作ったけど、普通の精霊じゃないでしょ」

 「あ・・・」そう、ここの泉つまり、飲み水はすべてアクアというウンディーネが管理してるがそのアクアは闇の精霊となっているので飲み水はすべて魔力により汚染されてしまっていた。

 「これだけは、どうしようもないわ。ごめんね」申し訳ないように言うユーリ。

 「でも、このままじゃこの子がお腹が空いて・・・ヒグッ・・・・」目に涙を貯めながら言うべアル。

 「それなら、人間が住む街からミルクを買えばいいじゃないか」思いついたように言うエリシア。

 「名案じゃな。でも、だれが街まで買いにいくのじゃ?」う〜ん。全員が唸った。それもそうだ。自分から好き好んで人間の街。ましてや、反魔物領に行って赤ん坊のミルクを買ってくるなんてそんなことはできない。

 「それじゃあ、あたしが行くわ」そこに名乗りをあげたのは金色の9本の尻尾を靡かせながら歩いてきたのは妖狐の九尾。

 「でも、危なくないですか?」ベアルが不安そうに言った。

 「くふふ。あたしを誰だと思ってるの?名も高き白面金毛九尾の狐が末裔よ。人間の国(反魔物領)をどれだけ傾け(親魔物領に)させたか。そんなヘマはしないわ」そう言いながら美しい女性に変化した。

 「お金はあるし、ミルク買ってくるね。それと、その子のお母さんを探してくるわ」

 「うん。お願いしますね九尾さん」手を振りながら里を出る九尾。

 「さて、ミルクの問題と親の問題は何とか大丈夫じゃな。それよりも・・・」

 「びえぇえええええ!びえぇぇえええええ!!びぇええぇぇええ!!!」今だに泣きつづける赤ん坊。

 「しかし、よく泣くな・・・」エリシアが赤ん坊の顔をのぞき込みながら言った。

 「う〜ん。なんとか、泣き止ませないとね。べろ〜ん。べろべろばぁ〜」ベアルが舌を出したり変な顔をして泣きやまそうとしたが・・・。

 「ぎゃああああああああ。ぎゃあああああああ!!!」悲鳴にも近い泣き声を出しながら大粒の涙をボロボロと出す赤ん坊。

 「酷くなったの・・・」リアが苦笑いしながら言った。

 「そりゃな・・」飽きれたように言うエリシア

 「大口開きながら舌出すなんて、端から見たら赤ん坊を捕食するようにしかみえないです〜」悪気はないのだが、思ったことを口に出したユーリ。

 「ふえ〜ん。ごめんなさ〜い」アベルまで泣き出してしまい里に二人の泣き声が響き渡った。

 「アベルちゃんまで泣いちゃったよ〜」ユーリが泣き出しそうに言った。

 「ユーリまで泣いたら収集がつかなんじゃろうが!!」リアがそういった瞬間、どこからか音楽が流れてきた。

 「♪♪〜〜♪〜♪〜〜♪〜〜〜♪」心地よい音楽が流れると同時に赤ん坊とベアルが泣き止んだ。皆が音のする方へ向くとルーファがリトルハープを奏でていた。

 「あたしが、泣き止まなかったときお母様はこのハープをよく聞かせたわ」ルーファがそう言いながらハープを奏でる。風の音のように透き通った音色が赤ん坊の泣き声がやむとじっとルーファを見ていた。

 「きゃきゃきゃ」楽しそうに笑う赤ん坊。

 「泣き止んだみたいだな。長耳野郎もたまには役に立つときがあるんだな」

 「どういう意味よ」ギロリとエリシアを睨むルーファ。

 「恐い恐い。こんな奴が綺麗にハープを引けるなんて世も末だぜ」手をヒラヒラさせながら言うエリシア。

 「あんた、今ここでハリネズミになる?」背中につけている弓を取り出すルーファ。

 「あぁ!?てめぇは、その綺麗な顔をボロ雑巾のようにしてほしいみたいだな」パキポキと手を鳴らすエリシア。

 「ふぇ・・ふぇええ」その光景を見てまた泣き出す赤ん坊。

 「二人共いい加減にしな!!」拳骨が出てきたと思ったらそこにいたのは・・・

 「パールさん!!」ベアルがその女性に声をかけた。

 「なんか、外が騒がしいと思ったらあんた達何やってんだい!?」しなやかな体にズリズリと大きな蛇体をしながら現れたのは魔物母といわれたエキドナであった。

 「実は、この子を森で拾って・・・」ベアルが赤ん坊をパールに見せた。

 「これは、人間の赤ん坊じゃないかい!!」驚いたパール。

 「森の中にいたの。怖い人たちが、周りにいたからそれで・・・」もごもごと口を動かすベアル。

 「そうかい。ベアルよくやったじゃないかい!!」バンバンとベアルの背中を叩くパール。

 「ぱ・・・パールさん痛いよ」

 「しかし、赤ん坊を森の中にね・・・。普通そんなことはしないけどね」赤ん坊を見ながら言うパール。赤ん坊はパールの髪の毛の蛇が気になるのか目でそれをおっていた。

 「それにじゃ、ベアルが言ってた怖い人たちが気になるんじゃがな・・・」リアがそう言うとちょうど九尾が革袋いっぱいに入った赤ん坊用のミルクを買ってきた。

 「おぉ、ミルクは買ってきたかの・・・だが、ここまで買わんでも良かったんじゃないかの」そう言うリアだが首を横に振る九尾。

 「いえ、これだけは必要になるわ。今ね、街の方に行こうと思って街道に出たんだけど火薬臭かったの。あと、血生臭い匂いもね」怪訝な顔になる九尾。

 「それで、近くにいたゴブリンの行商人達が急いで馬車を走らせてきたから止まらせて聞いたの。そしたら、その子が住んでいる街で内紛が起きたみたい。ベアルちゃんの話を聞いたから、多分この子の親はもう・・・」赤ん坊の方を見る九尾。笑いながらパールの蛇を掴みながら遊ぶ赤ん坊。気のせいかつかんでる蛇の顔が見る見る青くなっている。

 「とにかく、最悪の状態なのは確かじゃの」う〜んと唸るリア。

 「仕方がないのじゃ。ここで赤ん坊を育てるかの」リアがそう言うとその場にいた全員が赤ん坊を見た。この隠れ里で赤ん坊を育てる。魔物子供ならともかく人間の。しかも、男の子である。一瞬固まったが口々に言った。

 「この赤ん坊を育てるの!?そしたら、あたしがお母さんなんだね!!」喜ぶベアル。

 「人間の赤ん坊育てる?まぁ、仕方がないけど・・・」ルーファがため息をつきながら言った。

 「エルフ野郎に任せるならこのあたし。エリシアに育てさせな!!立派な職人にさせるぜ!!」エリシアがそう言いながらない胸をはりながら言った。

 「わたしわ〜。この子に〜農作業の仕方を教えたいです〜」ユーリはそう言いながら赤ん坊に微笑みかけた。

 「それなら、あたしはお姉さんで魔法を教えたいです!!」手をあげながら言う魔女のミリアーナ。

 「これこれ、そんなことしたら、赤ん坊の頭がパンクするのじゃ」リアがそう言っても皆はああして育てたい。この様に育てたいと言っても聞かない。

 「いいんじゃないの。一人一人得意な分野であの子を育てたら」九尾がにこやかにリアに話した。

 「それもそうじゃな。ベアル一人で子育ては無理じゃしの〜。それなら、隠れ里にいる魔物達でこの子を育てるかの」

 「ふふふ・・・なら、この子に名前がないと不便ね。ずっと、赤ん坊や赤ちゃんなんて言えないし」

 「そうじゃな。しかし、どんな名前がいいかの・・・」

 「それなら、あたしにいい名前があるの!!」ベアルがそう言うと大声で名前を言った。

 「エデン!!この男の子の名前はエデン」

 「エデンかいい名前だな。何でその名前にしたんだ?」パールが赤ん坊に遊ばれた蛇をやさしく撫でながら言った。

 「それは、ここが魔物の楽園だから、ここで育てるんならエデン」

 「エデン(楽園)か・・・ふむ、いい名前じゃな」リアが赤ん坊の頭を撫でながら言った。

 「さて、今日からあなたの名前はエデン。よろしくねエデン」赤ん坊を抱きしめながら言うベアル。

 「ふぎゃ・・・ふぎゃあああああ」

 「そうだった!!ミルク。ミルク!!」ベアルがそう言うと九尾はベアルに木皿に入ったミルクを渡した。

 「あなたが、最初のお母さんだからね」そう言うとベアルはぎこちないやり方でエデンにミルクを与えた。よほどお腹が空いていたのかスプーンで掬ったミルクをすぐに飲んでしまった。
 その様子を見ていた者たち全員が「この子は私たちが絶対育てる」そう頑なに決意した日であった

 
13/04/27 00:21更新 / pi-sann
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■作者メッセージ

 九尾「ところで、リアは何をあの子に教えるの?」

 リア「ロリコンの背徳を教えるに決まっとるじゃろうが。子供の頃からそのように教育しとけばよい、デカ乳に惑わせられる心配はないからの」

 九尾「へ〜そうなんだ。(リアが変なことしないようにちゃんと見とかないと色々とやばいかも・・・)」




 どうも、始めましての方ははじめまして。お久しぶりの方は久しぶりです。私は今!!帰ってきた!!!(ジョジョ立ち風に)
長いこと、現実にいましたがようやく一息ついたのでこれからちょくちょく更新しますのでよろしくお願いします。でわ、また次回に。別の作品でも会いましょう

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