連載小説
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黒猫至福
歯と舌にびっくりするほど滑らかな感触を感じた次の瞬間、洋二の耳に今まで聞いた事のないようなクロの声が聞こえた。
思わず口を放し、クロを見る。
「ふゃぁ」
首が座っておらずぐらん、と頭が揺れる、耳はぺったりと垂れ下がり、目じりが下がって今まで見た事のないような呆けた表情をしている。
頭が傾いて剥き出しになった首筋には先程付けた自分の歯型がうっすらと赤く浮いている。
洋二は凄まじい興奮を覚えながらそれでも躊躇していた。
いいのか、こんな風になし崩しにこんな事・・・。
「よぉ・・・じぃ・・・」
そんな洋二の腕の中でクロはもぞもぞと抵抗らしき動きをしながら言う。
「たべない・・・でぇ・・・♪」
明らかに恐怖も嫌悪も混じっていないその声にはただただ雄の本能に強烈に訴えかける媚のみがたっぷり含まれている、発した言葉の意味とは真逆に「食べて」と言外に伝える。
洋二の頭の中でまたも枷が吹き飛ぶ。
嵐のような欲情に飲まれながら頭の何処かで思う、この少女は男を、雄を狂わせる天才だ。
洋二は次にクロの口に貪り付く、キスとは呼べないような獣じみたキスだった、獲物の柔らかな内臓を引き摺りだしてやろうとするような。
「んんんむゅんんンンン」
唇の儚い抵抗を突き破り、易々と内部に舌を侵入させる、温かいというより熱くすら感じる他人の口腔内の温度に驚き、そういえばこれ俺のファーストキスじゃん、と一瞬脳裏に浮かぶ。
しかしそんな考えもすぐに吹き飛ばされる、クロの小さな舌がおずおずと洋二の舌に触れて来たからだ。
嫌がられている訳ではないのは気付いていたが、初めて尻尾以外でのクロの能動的な行為に洋二はますます勢い付く。
舌を絡ませようと舌を伸ばすとクロの舌は自分から触れておきながら驚いたように奥に引っ込もうとする、させじと洋二は口腔内を吸い上げる。
「ずずっずっぢゅるるる」
「んんぢゅんぅぅんんぅぅぅ」
二人の口元からはしたない音が響き、クロの耳と尻尾がびいぃんと立ち上がる。
洋二の口腔に不思議と甘く感じられるクロの唾液がどっと流れ込む、それを呑み下しながら引っ張られて出て来たクロの舌を自分の口に引き入れ、棒アイスのようにしゃぶりはじめる。
「ぢゅっずずっずぢゅちゅっ」
「ん゛ん゛っんぢゅるっはっこっっんろぉれろぉ」
ぼたぼたと顎から唾液を滴らせながら二人はキスと言うより口を使った性交と言った方が相応しい交わりを続ける、普通キスをする時には目を閉じる物なのだろうが二人は目を見開き、欲情に狂った瞳と潤んで蕩けた瞳で見つめ合い続ける。
と、唐突にクロがばたばたと腕の中でもがき、唇を外した。
「んんっんんんんんーーーっっぷあっあふあっや、め、ヨウ、ジ、んちゅぅっ」
しかし洋二は離れる事など許さないとばかりにクロの頭を引き寄せ、また深々と口付ける。
「ふぐっ・・・!んぐっ・・・!んんっ・・・!」
しかしそこでクロの反応が先程と違う事に気付く、舌の裏側を、表面をなぞり上げるたびに腕の中のクロの体は本人の意思を離れたようにびくびくと不規則に痙攣し、見開かれた瞳はぱちぱちと忙しなく瞬きながらどこに焦点を合わせていいかわからないとでも言うように視線を彷徨わせている、そして。
「ん゛ん゛ん゛ん゛ぅ」
今までに無い低く、唸るような声を上げたかと思うとクロの瞳がくるん、と上を向いた。
流石に異変を感じて口を解放するとクロは糸の切れた人形のようにくにゃくにゃと洋二の腕の中で崩れ落ちた。
え・・・まさかイッた?キスで?キスだけでイクもんなの?
洋二には経験がないのでよくわからないが、腕の中にへたりこみ、虚ろな表情で体をびくびくと震わせる様子はそうとしか思えない。
予想外の事態にすっ飛んでいた理性が少し戻ってくる、かといって下半身の臨戦状態が解除されるわけではないので早くなんとかしたいのだが、こんな状態のクロをどうこうしてよいものか、洋二はクロを腕に抱いたまま固まってしまう。
「おーい?もしもーし、クロさーん・・・?」
「・・・みゃあ」
「クロ?」
「みゃぁぁぁぁあ〜〜〜〜〜〜〜〜♪♪」
普段のクロは猫だった頃と変わらず非常に愛想が悪い、喋る時もぼそぼそと聞き取れるぎりぎりの声量でしか話さず、まして猫らしい鳴き声などこの姿になってからは聞いた事がなかった。
なのでふにゃふにゃに蕩けた笑顔で発情期全開の鳴き声を上げるクロに一瞬あっけにとられてしまう、その一瞬を突かれた。
「みゃふっ」
「ぅわっ!?」
さっきまで軟体動物のごとくへたっていたとは思えない俊敏な動作で逆に押し倒される、洋二のほうが大柄とはいえ元々運動神経や力ではクロの方が圧倒的に勝っている、本気で抵抗されたらこんなものである。
「みぃぃぃ・・・♪」
洋二に馬乗りになったクロは鋭い八重歯を見せつけるようににまぁっと笑って見せる。
「んみゃはっ♪」
「なんか、人間の言語忘れてねぇかお前!?」
突っ込みつつも洋二はクロの体に変化が起きているのに気付いた、手首から先、先程までは白魚のような女性の手だった部分の形状が変化し、柔らかそうな肉球を備えた猫の手に様変わりしている。
そして大きく、黒目がちだった瞳は黄金に輝き、縦に長い猫の瞳孔に変化している。
「お前まだそんな本性隠してたのか」
「みぃ♪」
クロは嬉しそうに一声鳴くと、その猫の手をそっと洋二の腰のあたりに添え、シャツの下に指先(?)を潜り込ませる。
(おお・・・肉球柔らけぇ・・・)
両脇腹の素肌にクロの柔らかな肉球が触れ、その感触に洋二は奇妙な感動を覚える。
クロはそのまま肉球を滑らせるようにしてするすると洋二のシャツをめくり上げていく。
「ちょお・・・」
男は上半身くらい露出しても恥ずかしくも無い筈だが、こうして女の子に脱がされると奇妙な羞恥心が湧いてくる、思わずクロの手を制止しようとするとクロはむう、と不機嫌そうになる。
「ヨウジ、ばんざいして、ばんざい」
「いや、ちょっ・・・」
「ばんざーい」
有無を言わさずぐいぐいとシャツを首まで引っ張り上げ、すぽん、と抜き取ってしまう。
「みゃ♪」
「いやーんばかー」
照れ隠しに冗談めかして胸を隠すがクロはそれも許さず、猫手でぐい、と腕を押し退ける。
何をするのかと思っていると洋二の胸に力一杯抱き付き、柔らかな頬をすりすりと擦りつけ始める。
「ヨウジ、ヨウジ、ヨウジの匂い、うにゃぁっ♪」
「ちょっ恥ずかしぃって!!」
「なぁぁ〜〜〜〜〜ん・・・ヨウジぃ・・・だいすき」
ぽたたっ
「!?」
唐突に、柔らかな頬の感触とは違う熱い液体の感触を胸に感じ、洋二は驚いて顔を上げる。
「ううぅぅぅヨウジぃ・・・ぐすっ・・・ひっく・・・にゃあ・・・ひくっ・・・」
クロは泣いていた、全身を紅潮させ、満面の笑みと泣き顔が混じったような顔で。
「ヨウジ・・・だいすき・・・ぐすん・・・だいすき」
「クロ・・・?」
クロは発情しながらも混乱状態に陥っていた、洋二に触れているうちに胸の内から欲望と同時に次々に「好き」が湧き出してきたのだ。
尽きる事のない泉のようにこんこんと溢れるその「好き」を洋二に少しでも伝えたくて「だいすき」と言葉にしてみる。
だけど足りないのだ、「だいすき」なんて言葉ではクロの胸の内に溢れる想いの百分の一も表現できていないのだ、伝えられていないのだ。
それがクロは切なかった、もっとどうにかして「だいすき」以上に「だいすき」を伝えたいのにどうやってもその方法が思い浮かばない、それが身も世もなく切なく感じたのだ。
その伝えきれない分の想いが涙腺から溢れ出て零れてしまうのだ。
「うぅぅ・・・だいすき・・・ヨウジ・・・ヨウジ・・・だいすき」
次第にその表情は泣き顔に取って代わられ始める、触れている手もどうしていいかわからないように洋二の胸の上を彷徨うように動く。
「クロ・・・」
洋二はどうしてクロが泣き出したのかはわからない、しかし、自分が何をすればいいのかだけは何となく悟った。
「クロっっ!!」
「ふみゃっ!?」
洋二は背筋に力を込めて起き上がり、クロを押し倒す、そして驚いて目をぱちぱち瞬かせるクロの頬に手を添え、しっかりと目を合わせて言った。
「俺もだいすきだっ」
「!?」
「だいすきだぁっ!」
「みゃ、」
「クロ、大好きだ!」
「みゃあああ〜〜〜〜〜♪」
伝わった!
クロの表情が再び輝きを取り戻す、洋二の顔は今にも倒れそうに真っ赤だ。
「みゃ♪みゃ♪」
クロは嬉しげに洋二の首筋にすりすりと頬を擦り付ける。
(あ・・・よかった、なんか知らんがこれで正解だったみたい)
洋二は赤面しながらも胸を撫で下ろす、急に泣き出されてどうしようかと内心かなり焦っていたのだ。
安堵すると同時にまた収まりのつかない下半身がどうにかしてくれと主張し始める。
「クロ」
「みゃ?」
「ばんざいしろ」
「・・・」
クロは無言で両手を上げる。
洋二は膝立ちになるとどきどきしながら黒いワンピースの裾に手を掛け、ゆっくりとめくり上げていく。
同居していて風呂場などのハプニングでクロの裸体に遭遇した事は何度かある、しかしそういう時は慌てて目を逸らして見てないアピールをするので白い残像としてしか記憶にない、実質生の女性の裸を目にするのは初めてなのだ。
白く、細く、しなやかな足が露わになり、続いてクロのお気に入りの黒パンティーが・・・。
「うぁ・・・わ・・・」
思わず上ずった声を上げてしまう、濡れている。
湿っている、というレベルではなく、足の付け根付近がぬらぬらと光沢を放つ程だ、いきなりクロの欲情その物を目にした気がして頭がクラクラする。
「うー・・・」
少しばかり普通の女の子に比べて羞恥心の薄いクロも流石に恥ずかしそうに唸る。
更に進んで雪のように白く、なだらかな腹部が露わになり、パンティーに合わせた黒いブラも現れる。
(・・・こ、こんな大きかったっけか)
何となくぺったんこを想像していた洋二の予想を裏切り、意外に・・・大きい、巨、ではないが美、と言える
いつも黒い服やぶかぶかの洋二のお下がりを着ているので体のラインが分からなかったのだ。
洋二はとりあえず・・・手を止めて思案した。
「・・・ヨウジ、外し方わからない?」
「うるせ」
洋二はひねくれた肯定をした、大変恥ずかしいが分からないものは分からないのだ。
「んふふ」
「笑うな」
耳をひこひこっと動かして微笑むクロ、洋二の告白で精神が安定し、少しいつものノリを取り戻したようだ、もっとも顔は真っ赤っかに紅潮しているが。
「まってて」
クロは少し背を浮かせて手を背後に回し、ぱちん、とホックを外す。
(うわぁ)
恐らくクロも予想していなかった事だが、このクロの仕草に洋二の鼓動はまた跳ね上がった、普段のクロの振る舞いはどちらかというと猫時代の面影を強く残し、洋二も猫時代と変わらない感覚で接している、しかし今の「ブラを外す」という仕草はいかにも「女の子」であり、今から自分はこの女の子とセックスをするのだ、と洋二に強く意識させたのだ。
「んしょ」
「・・・っ!」
ブラが取り払われ、クロの乳房がふよん、と揺れながら洋二の目に晒される。
やはり想像より大きい、仰向けになって潰れてもしっかりその存在を主張し、薄ピンクの乳首が目に眩しい。
「ん、どおぞ」
クロはブラを床の端に追いやると両手を顔の横に置く。
洋二はまず乳房に手は伸ばさず、クロのほっそりした腰を両手で掴んでみる。
しとっ・・・
「みゃ・・・」
(うわわわわわ何だコレ)
「手に吸い付くような」という文章はよく見かけるがそれは比喩でなしに本当に吸い付くように感じる物なのだ、という事を洋二は初めて知った、同時に石鹸のコマーシャルなどの謳い文句にある「タマゴ肌」とか「赤ちゃんみたいな肌」というフレーズはこれの事を指すのだろうなぁとも思った。
どうやらクロは凝った手入れをもするまでもなく先天的にそういった肌質を備えているらしい。
そのまま丁度、クロが自分のシャツを脱がせた時と同じように腰から脇腹へと移動させていく、クロははぅぅ、と息を吐き、手の平にはぞくぞくするようなたまらない感触が伝わってくる。
とうとう胸の袂にまで手が辿り着き、一瞬躊躇した後ふにゅり、と乳房を持ち上げるように触れる。
「みぃぅぅ・・・」
「・・・っっぐっ・・・!」
洋二はその瞬間射精してしまいそうになるを堪えねばならなかった、気持ちいい、やばい。
快感と興奮に耐えながらクロに痛みを与えないように慎重にマッサージのように乳房を変形させてみる、クロは乳房の形を変えられる度に息を乱し、腰をもじつかせ、肩を揺する、その耳もせわしなくぱたぱたと動き、尻尾も落ち付きなく揺れている。
明らかに感じている、自分がクロに快感を与えているという事実は洋二の興奮を煽り立てると同時に男としてのプライドを大いに満足させる物だった。
「みゅっ♪みゃっ♪」
その胸の頂にあるピンクの突起に指を絡めてきゅいきゅいとグミのような感触を楽しむと殊更激しい反応を示す、楽しい、楽しくてしょうがない。
そうして一旦乳房を解放すると、洋二はいよいよ本丸に攻め込まんと手を下半身に滑らせる。
それを見てクロは期待でその金色の猫目を一層輝かせる。
ブラの外し方は分からなかったがパンティは下ろせばいいだけなので困る事はない、パンティの両端をそっと摘まむとクロがさり気なく腰を浮かせて助けてくれる。
興奮に震えそうになる手をどうにか制御しながらゆっくりと下ろしていく。
「・・・っっ!」
無修正のアダルトビデオくらいなら洋二も見た事はあるがクロの「女」はそれで見たのとはだいぶ形状が異なっていた、ぴったりと閉じていながら本人の興奮を現すかのように粘液濡れでぬらぬらと光沢を放っており、上の方に髪と同じ黒い陰毛がほんの僅かに茂っている。
「・・・・・・・」
「・・・ヨウジ?」
「・・・・・・・」
不自然な間を不思議に思ったクロが呼び掛けるが、洋二はとてつもなく微妙な表情でクロを見返す、快感と絶望と諦めが混じり合った今まで見た事もないような表情だ。
「でっ・・・出ちまっ・・・」
ぼそっと呟いて項垂れる、未経験の洋二にとって今までの全てが刺激的過ぎたのだ、ずっと頑張って耐えていたのだが、クロの女性器を目にした瞬間興奮が極限を超え、本体に一度も刺激を受ける事無く達してしまった。
俯いた洋二の頭の中に負の感情が溢れだす、呆れられるだろうか、失望されるだろうか、それとも気遣わしげな言葉でも掛けられるだろうか・・・。
しかしクロの反応はそのどれにも該当しなかった、というより予想できるものではなかった。
突然猫の手が伸びてきて洋二の肩を突き飛ばし、洋二はたまらず仰向けにひっくり返る、すかさずクロがその洋二の上に圧し掛かる、本日三度目の攻守逆転である。
何事かと見上げるとクロは嬉しそうな顔で洋二のズボンに手を掛けている。
「ま、待て!」
今そこは大変な事に・・・と言おうとするが制止する間もなくクロはズボンをパンツごと引き下ろしてしまう。
一度の射精で少しは落ち着いたものの若い洋二の陰茎は元気を失う事無くそそり立っている、その先端には先程下着の中で出してしまった精液がこびりついている。
「♪♪♪」
クロは至福の表情を浮かべる、最初の射精を自分の身に受ける事が出来なかったのは残念だがそれよりも見ただけで射精してしまう程自分の体に興奮してくれた事が嬉しい、そしてパンツをおろした瞬間にどっと溢れだしたおいしそうな匂い、もう我慢ならなかった。
「じゅるっ♪」
「ぉあっ・・・く、クロぉ!?」
クロはまるでこれ以上のご馳走はないと言わんばかりの喜悦の表情で大口を開けて洋二の陰茎にむしゃぶりついた、そして。
「ぢゅずずずっずずずずずぅ〜〜〜〜〜〜」
「・・・ぉこっ・・・はっかっ・・・!」
中に残っていた僅かな精液をはしたない音とともに激しく吸い上げた、たまらないのは洋二だ、奇妙なうめき声を上げてびくびく痙攣するしかできない。
「ぢゅぽんっ♪」
「ひぃぁ・・・」
中に残っていた精液をすっかり吸い上げたクロは初めて味わう愛しい男の精の味に恍惚とした表情を浮かべ、洋二は放心状態になりながらも陰茎を完全復活させてしまう。
「みゃううううん♪」
クロは嬉しげに鳴き、陰茎に手を伸ばす。
ぷにっ
「うぁわっ!?」
慣れない感触を陰茎に感じて我に返ってみると自分の陰茎はぴっちりとピンク色の肉に挟まれている、肉球だった。
「にゃっにゃっにゃっ」
すにゅっすにゅっすにゅっすにゅっ
「ああああああっ駄目だってそれだめだってまた出るぅ・・・っ!」
柔らかくも不思議な弾力を備えた感触に弄り回され、また陰茎は先走りを零す程に追い詰められる。
それに気付いたクロは手を止め、そっと陰茎を肉球から解放する、放した拍子に肉球にぬらりと精液が糸を引いた。
その肉球に付着した精液をぴちゃぴちゃと舐め取りながらよいしょ、と洋二に乗し掛る。
「ちゅぷ、ヨウジ、交尾しよう」
「はぁ、はぁ、ああ、交尾しようぜ」
とてもシンプルなやりとりをした後、クロは陰茎に手を添えて照準を合わせ、腰を降ろした。
みちみちみちみちぃ・・・
「みゃぁぁおおおおおお」
「ぐぅぅっ・・・」
狭く、強烈な締め付けの中を押し広げるような挿入感に先程の肉球愛撫で高められた陰茎は耐えられない、とん、と先端が肉の輪に到達すると同時に今度はクロの肉の中に凄まじい勢いの射精を開始してしまう。
ドグンッッビュグッッビュグンッッ
「あ゛みゃぁ!うみゃあ゛!」
奥に白濁を叩き付けられる度に背筋に電気を流されているように痙攣し、自制を失ったように二対の尻尾がびたんびたんと暴れる。
洋二ももはや声を出す事も出来ずに腰が抜けるような射精感を味わい続けるしかできない。
一回打ち込むたびに膣が喜びにざわめき、ぎちぎちと締め上げてくる、それも痛みを感じるような締め付けでは無く奥に奥に射精を促すように蠕動しながらの締め付けてくるのだ。
お陰で射精は長々と続き、クロも延々と続く絶頂感から降りてくる事が出来ず、口を金魚のようにぱくぱくさせるしかできない。
「・・・かふぅ・・・」
「か・・・は・・・」
信じられない程長く続いた二人の絶頂がようやく収まり、クロは背骨を抜かれたかのようにくてん、と洋二の胸の上に崩れ落ちる、洋二はそのクロを受け止めながらあれだけ激しい射精をしたにも関わらず一向に萎えない自分の性器に驚いていた。
「ふ・・・ひゅ・・・ふゅぅ・・・」
「だ、大丈夫か・・・?」
息も絶え絶えといった様子のクロに心配そうに声を掛けるが、完全に目が至福の世界に旅立ってしまっている。
余韻を邪魔するのも無粋だと思い、黙ってそっと抱いてやる事にした。
意識を失ってもなおクロの膣は緩やかに収縮を繰り返してじわじわと勃起しっぱなしの性器に快感を与え続けてくれる、そして何より素肌で抱き合うと全身にあの「タマゴ肌」が密着していつまでも離したくなくなりそうに気持ちがいい。
(ああ・・・ほんとすげぇ・・・すべっすべ・・・)
芸術品を愛でるようにその背中を撫で、意外と存在感のある乳房の重みを存分に楽しんでいるとだらんと垂れていたクロの尻尾がぴくぴくっと動き始めた、見てみると腕の中のクロはようやく洋二の顔に目の焦点を当てていた。
「はは・・・スゴかったな・・・」
「ふ・・・みゅぅ・・・」
クロはうっとりとした表情で柔らかな頬を洋二の首筋にすりすりと擦り付け、洋二はくすぐったげに首を竦める。
「ヨウジ・・・」
「ん・・・」
「ヨウジの・・・」
「うん?」
「ヨウジの早漏」
「・・・・・・」
洋二は黙ってぐい、とクロの頭を引き剥がし、顔を見る。
「そ、う、ろ、う♪」
クロはにまにまと笑いながらまた言う、普通ならショックを受けるか怒り出す場面だが洋二はにやりと笑った、それがクロの誘いだとわかったからだ、鬼ごっこを持ちかけた時と同じだ。
「じゃあ回数でカバーだっ!」
「みぃやぁぁぁ♪」
洋二は上半身を跳ね上げ、クロを押し倒し返す、本日四度目の攻守逆転である。



クロはベッドの上で窓から差し込む月明かりに青白く照らされる洋二の寝顔を見つめていた、あの後二人はあの部屋で何度か交わった後洋二の部屋に場所を移し、数え切れないほど貪り合った、正確な回数は覚えていない、二人とも数えられるような余裕はなかった。
そうして見つめていると、不意に洋二が苦しげに顔を歪めはじめた。
「クロ・・・クロ・・・駄目・・・だ・・・逃げ・・・逃げ・・・ぅ・・・」
クロはそっと洋二に身を寄せて体をぴったり密着させると頭を優しく撫でながら耳元で囁いた、洋二が起きている時には聞いた事のない子供に聞かせるような優しい声だった。
「ヨウジ・・・いるよ・・・ここだよ・・・クロだよ・・・ここに、いるよ・・・」
「ぅ・・・ぅ・・・」
「いつも、いるよ・・・離れないよ・・・ずっと一緒・・・」
繰り返し聞かせてやるうち、洋二の表情は穏やかな寝顔に戻っていった。
起きた時には忘れてしまう本人に自覚は無いが、洋二はこうして夜にうなされる事がある、最近は頻度が減ったが事件の後やクロの正体を知った直後あたりは毎晩のようにこうしてうなされていたのだ。
それに気付いていたクロはこうして声をかけてやるように心掛けていた、これだけ長い間洋二への欲望を我慢し続けたのはこの症状があったことも原因の一つだ、悪夢に苦しんでいる洋二を襲う気にもなれず、毎夜のようにベッドに通って言葉をかけて洋二の苦しみを軽減してやる事しか出来なかったのだ。
悪夢だけではない、クロが正体を明かして間もない頃、洋二が学校に行っている間に気まぐれにぶらりと外出をした時の事だ。
家に帰ってみると子供のように泣きじゃくる洋二に抱きつかれたのだ、突然いなくなったのでクロの存在が本当は幻だったのではないかと不安になったらしい、あの時ばかりは自分の迂闊な行動を心から反省した。
例え自分が戻っても、あの時受けた心の傷がすぐに跡形もなく完治する訳ではないのだ。
だからクロはこうして自分の存在を何度も洋二に確認させるのだ、繰り返し、繰り返し。
洋二の表情が穏やかさを取り戻した後もクロは暫く洋二の頭を撫で続けた、母親のように穏やかで優しい眼差しで。



やがてクロはふぁ、と欠伸を漏らし、自分も洋二の胸に顔を埋めて眠ろうとした。
しかしその直後クロは急にシーツを跳ねのけてがばっと身を起こした。
「・・・」
じっと耳をすませる、普段の眠たげな目や先程までの慈愛に満ちた眼差しからは想像もつかない鋭い目を暗闇の中で金色に輝かせている。
普段洋二に見せる事のない捕食者の目、狩人の目だった。
暫くそうして神経を張り詰めさせた後、くるっと窓の方に目をやると尻尾と耳の毛をぶわわっと逆立たせた。
そして、何も知らずに穏やかに眠り続ける洋二にそっとシーツを掛け直すと足音も立てずに素早く部屋を出た。



洋二の家からそう遠くない住宅街の路地、一人の男が歩いていた、シャツとジーンズ姿で目深に野球帽を被り、バッグを片手に下げている。
よく見てみると痩せこけた頬は長い無精髭に覆われ、目は落ち窪み、随分とやつれているようだった、しかし落ち窪んだ目は血走り、ぎらぎらとした光を放っている。
それは以前、洋二の家を襲った強盗だった、そのやつれようは長い間警察の陰に怯えながらの逃亡生活によるものだった。
「・・・殺す・・・あの餓鬼・・・殺す・・・」
ぶつぶつと口の中で繰り返している、その男は洋二を狙ってこの住宅街に現れたのだ、バッグの中にはバール、ロープ、スタンガンが入っている。
その男の脳内でどんな捩じれた理論が展開されたかは男以外には理解できないだろう、しかし男はこう考えたのだ、洋二に撃退されたから自分はこのような窮地に立たされたのだ、と、全ては洋二のせいなのだと。
その歪んだ理論で男は洋二に恨みを募らせ、復讐するために洋二の居場所を割り出し、今夜、その復讐を決行しようとしていたのだ。
人目が無いかをきょろきょろと確認しながら男の足は確実に洋二の家に近付いて行った、その時だった。
「――――――――」
「・・・?」
敏感になっていた男の耳に何かの声が聞こえた気がした、男は歩みを止め、周囲に耳をすます。
「・・・」
何も聞こえない、気のせいかと思い、再び歩みを進めようとした時。
「―――――〜〜〜〜〜」
再び聞こえた、今度は先程よりはっきりと。
猫の、鳴き声のような・・・。
11/10/02 10:03更新 / 雑兵
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次回は ち ょ っ ぴ り ホ ラ ー です・・・。

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