連載小説
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第5話 アカネの世界に光が満ちない
図書館でのトリア達の3Pから今日ではや数日が経った。トリアは、一人で寂しかった穴を埋めるかのようにミアとアカネを此処で住むように言うと、それを聞いたミア達はそれを喜んで受け入れた。

「ミアぁ?今日の朝御飯当番!アナタじゃなかった?」
「・・うぅん・・まだ眠いぃ・・」
ミアが眠る一室のドアを、アカネが開いて寝ているミアを起こした。眠たそうにして頭をグラグラさせているミアだったが。

「ミアァ?朝御飯まだぁ?なんなら僕が作って・・」
「トリアッ!私ッ!私がやる!」
トリアがミアの部屋に入って来ると、ミアは一気に眠気を覚まして飛び起きた。そしてトリアがドアの前から退くと、一目散にダイニングに駆けて行った。

「やれやれ・・ミアは慌てん坊だな。」
「トリア・・?私も・・慌てん坊になっちゃうよ?」
「えっ?どういう・・うわっ!」
ミアがダイニングに駆けて行ったのを呆れながら呟いていたトリアだが、隣に居たアカネが、何やら色っぽい声色でトリアに話しかけた。少し理解に時間が掛かったトリアだが、理解し切った瞬間には既にアカネに押し倒されていた。

「慌てん坊・・・って、アカネはもう少し賢い美女かと思ってたのにな・・」
「うっ・・トリア・・・私・・今はどうなの?」
「本能の赴くままに僕を犯そうとしている野獣だね。そんな君は見たく無かったよ・・」
「・・うぐっ・・・トリア・・私の事嫌いになっちゃった?」
「そうじゃないけど・・・ちょっと軽蔑かなぁ・・」
「うわぁぁあぁぁあぁん!トリアぁ!私の事・・グスッ・・嫌いにならないでぇ!」
アカネに押し倒されたトリアは、こんなコントを繰り広げて自分の身を守っている。これはミアとアカネが住み始めてから直ぐに思いついたもので、二人ともトリアに嫌われるのを極端に嫌っている。なのでこう言う流れを作ってやると、二人とも性欲よりも愛を取るのだ。それにしても、最初は才色兼備のお姉さんだと思っていたアカネが、今ではミアと何ら変わりが無い。

「さて、朝御飯食べよ?」
「うん・・」
アカネを、自分の上に乗られながらも頭を撫でて慰めたトリアはアカネの手を引いて食事を摂っている広間へと向かった。そしてミアとも合流して一緒に御飯を食べた。直ぐに姿を消した朝御飯を載せていたお皿を片付けたトリアは、何の迷いもなくアカネとミアの分の空皿も回収してくれた。

『ありがとっ!トリアッ!』
「どういたしまして。」
アカネとミア。二人のスライムからお礼を言われたトリアは、二人が喜びそうな満面の笑みでお礼を返した。予想通りに嬉しそうに笑顔を作った二人を見たトリアは、心の中を癒された感覚に晒されながら自分の部屋に入って勉強にのめり込み始めた。
10/10/19 11:00更新 / 兎と兎
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■作者メッセージ
さて、前回がエロ展開だったのに対して、今回はほのぼのとした展開が主流でした。退行したアカネがトリアを襲いそうになってもこれで多少は身を守れる筈ですよね。以上でした!

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