連載小説
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玲奈の夜

深夜のアパートの一室……熱っぽい吐息と水音が部屋に響いている。
ベッドでユニコーンの玲奈と恋人の山脇 博史が絡み合っていた。
今は二人ともベッドの上で横向きに寝転び、互いの股間に顔をうずめている。
ぐぷっぐぷっと玲奈は音を立てて博史の肉棒をしゃぶり、対抗するように博史はべちゃべちゃと音を立てて玲奈の前の膣を舐めまわした。
「んぷっ……玲奈、どうした? いつもよりなんか動きが鈍い気がするんだけど? 疲れている?」
秘裂から口を離し、博史が訊ねた。
「んん〜、疲れているわけではないんだけど……」
言葉の通り、疲れているわけではないし、風歌と一緒に飲んだビールで酔ってしまっている訳でもない。
ただ、少し考え事をしながらフェラチオをしていたため、それが博史に分かってしまったのかもしれない。
彼はまだ若いが獣医をしており、そのためか観察力はなかなかのものなのだ。
「だけど? どうした?」
はっきりしない玲奈に博史は優しく訊ねる。
彼の優しい口調に玲奈は心を決めた。
「ちょっとごめんね。えーっと……」
玲奈は博史の身体から離れ、そしてベッド脇に置いてあるハンドバッグに手を伸ばした。
それを探り、小瓶を取り出す。
中ではレモンスカッシュのような、白みがかった黄色い液体が揺れていた。
「実はね……」
訝しげな顔をする博史に玲奈は説明する。
風歌と別れた後、玲奈はまっすぐこのアパートに帰宅しようとした。
途中で、一人の魔女に声をかけられたのだという。
その魔女はファスネット・サバトの一員とのことだった。
ファスネット・サバトとは中世から続く老舗で、創始者はラファラナ・ファスネット。
幼女の背徳と魅力を説きながら、礼儀正しさを身につけることも訴えたバフォメットであった。
「確か、ファスネット・サバトって……」
「そう。大人のオモチャや媚薬とかの研究も盛んなサバトね」
そして今、玲奈が持っている小瓶はサンプルとして渡されたものだ。
気に入ったのであれば一緒に渡された名刺の連絡先に連絡して、その商品を買って欲しいとのことだった。
「えーっ? 大丈夫かい? なんかすっごく怪しい薬だけど……」
博史は苦笑する。
理系、それも薬も取り扱う獣医である彼は得体のしれない薬を飲むのには非常に抵抗があった。
「大丈夫よ。なんて言ったってあのファスネット・サバトの商品よ? そんな危ない物は売ってないって」
また、その魔女がファスネット・サバトの者であると玲奈は裏もとっていた。
「という訳で、博史。飲んで♪」
「うわー、玲奈はひどいなぁ」
ますます苦笑しながらも博史は言われるがまま玲奈から小瓶を受け取り、蓋を開けた。
そしてその得体の知れない液体をぐっと飲み干す。
効果は立ちどころに現れた。
「む、んむむむ?」
唸り声を上げる博史の身体が淡く光り、その光はさらに強くなる。
日常的には起こり得ない現象に玲奈も少々驚いた。
そして一際強い光を放った後には……
「わわわっ!? これは一体どうしたことだい!?」
「僕が二人!?」
博史がベッドに二人いた。
姿声形、二人とも博史そのものだ。
『こ、これは……』
薬の効果を見て玲奈は悟った。
今、博史に飲ませた薬は分身薬……男性に精と魔力の分離状態を起して、服用量に応じてまったく同じ姿を作り出す薬である。
その分身もただの分身ではなく、すべて男性本人であり、男性はすべての感覚を共有できる代物だ。
『そしてこれは……!』
玲奈の胸がときめく。
博史が二人いる……これは、玲奈の夢を実現させることができることを意味していた。
前の膣も後ろの膣も同時に彼に攻められ、貫かれるという夢を……
玲奈はそれを恋人に伝えた。
話を聞いた二人の博史はまったく同時に頷く。
「でも、その前に……」
「僕たちを気持ちよくして欲しいな……」
二人の博史が玲奈の左右に立った。
左右からまったく同じ形でまったく同じ精の臭いを漂わす肉棒を突き出され、玲奈は恍惚とした顔をする。
左右のペニスをそれぞれの手で包み、ゆっくりといやらしくしごき始めた。
二人の博史が同時に快感の呻き声を上げる。
ステレオで聞こえる嬌声に玲奈は突き動かされ、さらなる奉仕に出た。
右手に握られているペニスに口を近づけ、そのまま先端だけを口に含んでくちびるで扱く。
「うっ、あ……玲奈のくちびる、気持ちいい……」
右にいる博史が呻き声を漏らす。
「うっ、あ……な、なんだこれ……? 銜えられていないのに、感触が……くふっ!」
一方、左にいる博史も同じように呻き声を漏らした。
分身は分身同士で感覚を共有しているので、フェラチオされていない方の博史も、フェラチオされているように感じるのだ。
「うぅ、なんか不思議な感覚だなぁ……ってか、そっちばっかりサービスしないで、僕にもしてくれよ」
「なんだよ、感覚を共有しているんだから、別にいいじゃないか」
「気分の問題だよ!」
「まあまあ、自分同士で喧嘩しないの」
自分の頭上で軽い言い争いを始める二人の博史に玲奈は苦笑した。
そして今まで手で扱いているだけだった左の博史の肉棒を口に銜える。
「あ、あああっ……快感は同じだけど、なんかしっくりくる……あうっ」
「くっ、これは確かに……妙な感覚だね……んんっ」
「あら、やっぱり直接フェラされた方がいい?」
左右の博史の感想に、一度口を離して玲奈は訊ねてみる。
彼女の問いに、同じ存在の二人は揃って頷いた。
あまりにも同じ動きのため、玲奈はおかしそうにくすりと笑う。
「それなら、交互にシテあげるわね。ん、んぐっ、れる、じゅるり……」
言うや否やまずは左の方から、今度は舌を絡めながら音を立てて攻め立てた。
一方、右の博史を攻めることも忘れず、手で扱きぬく。
「うわ、うわあああっ!? こ、これはぁ!?」
「手コキとフェラを同時にされているみたい……うううっ!」
博史が大きな声を上げる。
普段、彼は快感に声を少し漏らすことはあっても、このように大きな声を出すことはない。
だが感覚を共有するということは自分が受けている攻めを感じながらもう一人の自分が受けている攻めを同時に感じること……フェラチオと手コキの感覚を同時に味わうこととなる。
性器を責められながら乳首などを攻められたりするのと訳が違う。
本来であれば絶対味わえない快感に、冷静な博史もあられもない声を挙げた。
「んふふ……博史もそんな声を上げるのね、可愛いわ」
普段と違う博史を見て、さらに自分が博史をそのようにしているのだということに玲奈は興奮し、攻めを更に苛烈にしていく。
今度は右の博史の肉棒を銜えこみ、さらに吸い付く刺激も加えた。
もちろん、左手は休まずにいやらしい往復運動を繰り返している。
「あ、あひっ! やめ……やめて!」
「そ、そんなにされると……!」
身体をブルブル震わせながら博史が限界を訴える。
いつもより早いがそれは仕方がない。
二倍の快感を与えれば射精までの時間も二分の一……状況によってはそれ以下だ。
「「で、出る!」」
同じ感覚を共有しているのであれば、射精も同じタイミングだ。
玲奈の口の中の肉棒と手の中の肉棒が同時に膨れあがり、爆発する。
「ん、んんん!」
口内に流れ込む甘美な精の味と、顔と胸にかけられる恋人の精の感触と臭い……
一度にそれを味わわされ、それだけで玲奈は達しそうになる。
歓喜に身体を震わせながら玲奈は更に摂取しようと銜えているペニスを吸いたて、握っているペニスをさらに扱いた。
「くっ、あ! そんなにされると!」
「は、はううう!」
二人の博史が同時に悲鳴を上げ、二人とも玲奈を制するように彼女の頭を押さえつけた。
だが頭を動かしているわけではないので、そんなことをしても意味はない。
玲奈は二人の尿道に残っている精液を最後の一滴まで搾り取った。
「ふふふ、すごいわ。こんなに一杯出て、ぬるぬるにして……」
精液を飲み下した玲奈は、胸にかかった精を身体に擦り込むように伸ばした。
さらに顔にかかった精液を指先で救いとり、それをいやらしい音を立てながらしゃぶる。
「んちゅ、じゅる……ねぇ、今度はアソコにちょうだい……前からも、後ろからも……」
指先をくちびるに這わせながら玲奈は誘い、要求する。
だが……
「いやぁ、せっかく玲奈が頑張って気持ち良くしてくれたから……」
玲奈の右手にいる博史が玲奈の両肩に両手を置いてガシリと掴んだ。
手には有無を言わさないとでも言わんばかりに力が込められており、その顔はいたずらっぽい表情が浮かべている。
もう一方の博史は玲奈の背中側に周り、馬の腰を押さえつけた。
そして前にいる博史の言葉を繋ぐ。
「お礼、しないとね……」
「えっ、ちょ!? んんんっ!?」
男の力で、それも二人がかりで押さえつけられ、少しパニックに陥った玲奈だが、その口が前にいる博史の口でふさがれる。
後ろにいる博史も負けていない。
器用に馬の下半身を押さえつけながら、馬の方についている性器に口と舌を這わせる。
そのまま博史は軽く舌先で秘裂をなぞるようにしてこじ開け、さらに舌先をねじ込んだ。
「うぅんっ!」
びくんっと玲奈の背中が反った。
彼女が身体を動かしたのにあわせて玲奈の胸がぷるんと揺れる。
それに目を寄せられた前にいる博史は手を胸に這わせ、むにゅむにゅとその柔らかな果実を揉み始めた。
胸からも脳へと登ってくる快感にも玲奈は悶える。
「あ、あ、あっ……気持ち、いい……! ふわあっ! 乳首もされたら……!」
「んちゅ……あー、後ろの方だとクンニしかできないなぁ……」
玲奈の反応に、後ろにいた博史が一度口唇愛撫を中断して少し嫉妬したようにぶつくさと言う。
前にいる博史がそれに対して軽く笑った。
「まあまあ、本番は前後交代しようよ。それよりも……そっちの玲奈のアソコはどうなっている?」
「うん、すっごくぐちょぐちょだよ」
後ろにいる博史は指を玲奈の膣に挿し入れた。
そのまま、出し入れの動きではなく、肉壁をえぐりながらかき混ぜるような動きで愛撫する。
博史の唾液とそれ以上に淫液で濡れていた玲奈の肉壷はぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てた。
「ひあっ!? あ、くぅう! だめぇえ! そんな……に音を、あんっ!た、立てちゃ……いやぁ! ふわああ!」
羞恥心に顔を赤くしながら玲奈は言うが、快感で声はとぎれとぎれだ。
そんな玲奈にさらに前にいる博史が追い討ちをしかけてくる。
「じゃあ、前のほうはどうかな?」
性器を覆い隠すように博史の手がそこに押し当てられる。
その手が振動させるかのように上下に動き出した。
間接的に肉壁と粘液がくっついたり離れたり空洞を作ったり潰したりと暴れ回る。
それによって立つ音は後ろから響く音に負けず劣らず破廉恥なものであった。
恥ずかしくて耳を塞ぎたいところだが、前も後ろも攻められている玲奈にその余裕はない。
前にいる博史にしがみつくのに精一杯だった。
「ほら玲奈。こんなにぐちゅぐちゅといやらしい音を立てて……すごく濡れているよ?」
「な、中は濡れているからぁ……! くうう! お、音が立つのはっ……し、仕方な……はああん!」
「ん〜、外も十分濡れているけどなぁ?」
そう言って博史は一度、手を玲奈の局部から離した。
彼の掌は彼女の愛液でぬらぬらと、夜目でも濡れているのが分かる。
「気持ちいいんでしょ?」
「前も後ろも僕に攻められて……」
「あ、あ、ああああ……」
やや虚ろな声で玲奈は答えた。
前後からまったく同じ声でされる言葉攻め……
その非日常的な状況に玲奈の頭はかき乱されている。
「それじゃ、イカせてあげるよ」
「前も後ろもぐちゃぐちゃにね」
二人の博史が、それぞれ目の前にある玲奈の性器に指を二本挿し入れ、かき回した。
先程までは派手な音を立てるのが目的のような攻めだったが、今は玲奈を絶頂させるという意識を持って攻め立ててくる。
高まった状態からこの攻めをやられると玲奈も長持ちはしない。
しかも今はそれを前後同時にやられている。
単純計算すれば、二倍の快感だ。
狂ってしまうのではないかと思うほど快感は凄まじく、前の博史にしがみつき、獣のような嬌声を玲奈は上げていた。
『そっか……さっき博史はこんな風に気持ちよかったのね』
どこか滑稽なくらいに玲奈はそんなことを考えたが、その考えもすぐに吹き飛んだ。
いつもより早く絶頂が近づいてきている。
これもさっきの博史と同じだ。
「だめっ、イクっ! イッちゃう! くぅ……あああああっ!」
がくんと玲奈の身体が跳ね上がり、そしてブルブルと震える。
達していた。
前後の膣はそれぞれ銜えこんでいる博史の指をキュウキュウと締め付けている。
その様子を、さきほどはフェラチオと手コキで搾られた博史は仕返ししてやったと言わんばかりにニヤニヤと笑いながら見ていた。
「イッちゃったね、玲奈」
「気持ちよかった?」
「う、うん……」
ぐったりとベッドに横たわりながら、玲奈は恍惚とした笑みを浮かべながら答えた。
狂うのではないかとさっきは思ったが、実際に性交で魔物が精神的に異常を来すようなことはない。
むしろ今のような快感を……いや、それ以上の快感を味わいたいとすら思っている。
その「それ以上の快感とは……」
「ねぇ、今度こそちょうだい……博史の精液を二人分……前にも後ろにも……」
玲奈の言葉に博史はもちろん喜んでと言わんばかりに頷いた。
さっき二人が自分同士で約束した通り、後ろにいた博史が前に来て、前にいた博史が後ろに回る。
前の博史が亀頭を秘裂に押し当て、入口を探るように撫でた。
後ろの博史はもう調節を終えたか、入口に亀頭をはめ込んだ状態で待っている。
「いくよ……」
前の博史が玲奈を正面から抱きしめた。
秘裂にあてがわれていた象徴がずちゅっと音を立てて、玲奈の中に入っていく。
三人の嬌声が絡み合う。
もっとも、そのうちの男の物は同一人物であるため、不思議な響きだ。
「ああっ……いいわ……」
前にいる博史にしがみつきながら玲奈は気持ちよさそうに吐息をつく。
そして尻を振って後ろにいる博史に早く挿入するようにねだった。
「くっ、いくよ、後ろからも……」
前の挿入の感覚を共有していた後ろにいる博史も、玲奈の尻を押さえつけて腰を進める。
「ああああああっ!」
玲奈の口から歓喜の声が上がる。
ついに玲奈は前も後ろも、博史の象徴によって貫かれた。
いつも自分が受け止めている博史の分身……感覚自体はいつもどおりなのだが、それが前後同時というのはこれまで感じたことのないくらいの快感を玲奈にもたらす。
「すごい……はぅ、こんなに……気持ちいいなんて……!」
うっとりとした声で玲奈はつぶやく。
一方の博史は二人とも余裕のない様子だ。
息を詰め、ぷるぷると身体を震わせながらも腰は動かさない。
少しでも気を抜いたり腰を動かしたりしたら、それだけで精を放ってしまいそうだった。
玲奈もそれは理解していたし、むしろ今は突かれるより、前後の胎内を満たす圧迫感を味わっていたかった。
「ねぇ、キスして……」
言いながら玲奈は、後頭部に回した手を引き寄せて博史のくちびるを奪う。
「んんっ!」
「はふ、ぐうぅう!」
前の博史はくぐもった声を上げ、後ろの博史は呻き声を上げた。
キスによる快感で射精欲がさらに高まってくる。
「は、ははは……くっ、確かに前の方がちょっと得かもね」
苦笑して後ろの博史が憎まれ口のような物を叩いた。
キスを止めて玲奈は振り返って笑う。
「ふふふ、ごめんね。でも……後ろの方が腰を動かしやすいでしょう?」
玲奈の言うとおり今の体勢、博史も玲奈も膝立ち状態で互いに抱きしめ合って挿入しているのと比べたら、後ろから挿入している方が遥かに腰を使いやすい。
「もう動いて良いわよ。私も……我慢できないし……」
「分かった、ありがとう……いくよ!」
ぐいっと後ろから博史が突きを入れた。
嬌声を上げながら玲奈は前の博史にしがみつく力を強くする。
前の博史も、玲奈にしがみつかれているのであまり自由は効かないが、彼女をさらに気持ちよくしようと片手で乳房を愛撫しながら腰を動かした。
その動きは緩やかだが玲奈の弱点を的確に捉えており、もたらされる快感は激しい後ろの突きに勝るとも劣らない。
「ああ、いいっ! 前も後ろもいいっ! くぅうん! おかしく……おかしくなるぅ!」
前からも後ろからも快感が脊髄を通って脳へと伝わっていく。
二人の同じ愛しい男の同時の攻めによる快楽は相乗効果をもたらし、2倍では済まない。
それを感じ取っている脳がオーバーヒートしてメルトダウンするのではないかと玲奈は感じた。
気持ちよすぎて何も考えられない……いや、快感と博史の存在しか考えられない。
「玲奈、気持ちいい?」
「どっちの方が気持ちいい?」
二人の博史が問いかけてくる。
おそらく同じ存在同士でもライバルのような感覚でもあるのか、どちらかが相手より玲奈を気持ちよくしていると実感したいのだろう。
だが玲奈は答えない……いや、答えられない。
「「両方とも気持ちいいの?」」
「うん、ふぅん! どっちも気持ちいいのぉ! うぅ、ふうぅん!」
赤ん坊の甘え声のような鼻にかかったような声で玲奈は答える。
分身薬を使って前も後ろも同時に攻められるという非日常的な状況だが、この反応はいつもどおり……絶頂が近いサインだ。
そして絶頂が近いのは博史も同じだった。
「「やばい、そろそろ」」
前の博史と後ろの博史がまったく同時に射精感を訴える。
「うん、出して! 前にも後ろにも、博史の精子……いっぱいちょうだい……!」
頭がスパークするような感覚を覚えながら、逃がさないとばかりに玲奈は前の博史をホールドし、腰を揺すって後ろの博史の射精を促す。
すぐに3人……玲奈と二人の博史に快感のピークが来た。
「くううううっ!」
どくんと肉棒が脈打ち、精液が膣奥にどぷりと吐き出されたのを、玲奈は前からも後ろからも感じた。
愛しい男の精が絶頂に達している身体をさらに高みへと押し上げ、さらに精液を搾り取ろうと膣が収縮する。
「「あああああっ!」」
同じ存在ゆえ、同じ声を同じタイミングで博史は声を上げる。
膣で肉棒を締め付けられてしゃぶられている感覚も、精液を吸いたてられる感覚も、ぎゅっと陰嚢が収縮して精液が尿道を通り抜ける感覚も、それぞれが二人分の感覚を覚えていた。
魔物と交わったことのない人間だったら耐えられないほどの感覚だ。
何度も玲奈と交わったことのある博史でも厳しかったか、その身体がぐにゃりと玲奈にあずけられる。
玲奈もまた凄まじい快感とそれをもたらしてくれた博史の身体の重みを感じながらベッドの上に崩れおち、そのまま意識を手放した。




「ねぇ博史、大丈夫?」
少し前まで三人分の嬌声が響いていた寝室……
玲奈がベッドに横たわったまま、ぽつりとつぶやくように訊ねる。
「うん、なんとかね……」
博史が答えたが、その声はひとつだけ……
分身薬の効果はすでに切れており、今、部屋に博史は一人しかいなかった。
「良かった……ねぇ、気持ち良かった?」
「ああ、これまでに感じたことのないくらい気持ち良かった」
二人とも身体を起こすことができないほど疲労していたが、その疲労は結構心地良いものだ。
それだけ気持ち良かった。
「じゃあ……追加で買おっか。分身薬……」
「えっ……」
博史の顔が引きつった。
玲奈が頬を軽く膨らませる。
「気持ちよかったんじゃないの?」
「いや、気持ちよかったけど……さすがにアレをしょっちゅうって言うのは……」
確かに気持ち良かった。
実際に狂うということはないが、あの快感は頭がおかしくなるのではないかと思うほどだった。
男的には結構消耗も激しい。
そう言った理由で博史的には分身薬は少し遠慮して欲しい気持ちがあった。
「大丈夫。1ヵ月に一回くらいのペースで良いから……ね?」
上目遣いで玲奈は博史に迫る。
裏を返せば1ヵ月に一回は頑張ってくれということだが……恋人に上目遣いで迫られて断れるはずがない。
その1ヵ月に一度の交わりが大変になるだろうなと予想して博史は乾いた笑いを上げるのだった。
12/08/15 18:11更新 / 三鯖アキラ(旧:沈黙の天使)
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■作者メッセージ
はい、そういうわけでサバトの「分身薬」を使わせていただきました!
これなら魔物娘でも複数プレイができるね!
特にケンタウロス種は前の膣も後ろの膣もハメることができるね!
バフォ様ありがとう!

しかしなかなか難しかったです。
そもそも複数プレイが苦手な上に(特に男が複数とか書かないし、読まないし)、男がまったく同一人物ですから差別化が難しく……
というかケンタウロス種と言うだけで難易度も上がるのに(汗)

そうそう、お気づきの方がいたらすごいのですが……実は博史はこのSSが初出演ではありません。
別のSSで幼少時代の姿を見せており、また成人後も名前と職業がある人物の口から語られています。
さぁどのSSでしょう!?
答えはエピローグのコメント欄にて(おい)


さて、次回は風歌のターンです。
今回よりもハードコアで人を選ぶかもしれませんが、ご容赦の程を……

PS 『魔物娘図鑑 ワールドガイドU 魔界自然紀行』も『堕落の花嫁』も手に入れています。

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