連載小説
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執事と皇女と幼い皇女
 “苦しい”…。只、その一つの感情しか浮かばない。

 “辛い”、“悲しい”、“痛い”等の感情が出てくれたら、もしかしたら、楽に壊れることができたであろう。

 しかし、無情にもそれを許してはくれない。

『あぁ・・・・ぁ・・・がぁ・・・・』

 口からあふれるのは、絞り出したかのような呻き。

 潰された蛙の口からあふれたような声。

 焼けつくような鉄の味が喉からあふれる。

 断末魔をあげ過ぎて、喉をつぶしてしまったようだ。

 これでは、助けて欲しくても呼ぶことができない。

 地獄があるとするのなら、今まさにここがそうなのだろう。

 だが、この苦しみは命の火を消すことを許さない。

 命の火が消えそうになるとその火に燃料を注ぎ、消えることを許してくれない。

 体からは力が抜けてしまい自分で舌を噛み切ることも出来ない。

 そんな、決して死ぬことができない生き地獄。

 この永遠の苦しみは私が意識を手放すまで続くのだろう。

 そう思うと私を蝕む苦しみに身をゆだねながら、そっと目を閉じたのであった。





『大丈夫だよ。あなたは絶対に助けてあげる』





 ブラックアウトしていく意識の中、だれかが私を抱きしめ、私をどこかに連れて行こうとしているのか引きずられる感覚の中、完全に意識を手放したのであった。





〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜



「さて、ヘカテー。何か言い訳があるなら聞いておきますよ」

「気になっていじっただけだもん…」

 プルミエの町を出発した後、次の町への移動中にあった出来事。

 朝からやけにヘカテーがソワソワしてた。

 私と目を合わせようとしていないのを見て、『また何かやらかしたな』と思ったので問い詰める事にした。

 最初ははぐらかしてきたが、案外あっさりボロが出た。

 ヘカテーのポケットから私が作ったコンパスがぽろっと落ちたのだ。

 しかも、そのコンパスは良く見ると、針がグルグル回っている。つまり、壊れているのだ。

 なんで壊れているのか、問い詰めた内容をまとめると…。



1、使っているところを見て触りたくなった。
 ↓
2、朝起きた際、コンパス発見。
 ↓
3、いじっている最中、手を滑らせ落下。
 ↓
4、コンパス故障。
 ↓
5、怒られること避けるため、ポケットにしまい証拠隠滅
 ↓
6、起きてきた私に抱きついたところ、ポッケからコンパスが落ちてしまう。
 ↓
7、壊したことがばれてお仕置き開始←(現在ここ)



「全く、気になったなのなら言っくれたら触らせてあげましたよ」

「む〜。だって…」

 むすっとして不満を垂れるヘカテー。

「だってではありません。全く、あれは試運転の最中でしたので、下手をしたら大変なことになっていたかもしれないのですよ」

 唇を尖らせて抗議の表情をするヘカテーではあるが、今回は本当に危なかった。

 何もなかったから良かったが、このコンパスは何度も言うが下手をしたら本当に爆発する。

 何も起こらなくて本当に良かった。

「次はちゃんと言ってくれれば触らせてあげるからね」

「は〜い」

 ヘカテーが返事してくれたので次はもう大丈夫だろう。

 そして、自分の影から黒い塊を取り出した。

「それは?」

「私が作ったアイテム専用のリペアキットだよ」

 そういうと、塊の上にコンパスを置いた。すると、塊から触手のような物が伸びコンパスを包み込んでしまった。

「おおぉ〜」

「さて、これでしばらくすれば元通りになるので大丈夫です」

 そう言って、その塊を自分の影にしまった。

「ねぇ!さっきのどうなっているの!?見せて見せて!!」

「ごめんね。これは私以外がふれると危ないのでこれだけは触らせられないんだ」

 下手したら取り込まれてそのまま…、ってこともあり得る。

 なので、これはできるだけ影にしまっておきたい。

「どれくらいで直るの?」

「大体ひと晩で直りますよ」

 興味を持ち始めたヘカテーが目をキラキラしながら聞いてくる。

 とりあえず、興味を示しても勝手に行動しないことを祈ろう。

「さ、そろそろ行こうか」

「うん♪」

 元気良く返事をしたヘカテーを尻目に野宿道具をしまい、出発の準備を終わらせた。

 しかし、そんな時だった。

「ん?この気配は…」

 と、違う方向を向いて何かに気が付いたヘカテー。

「ヘカテー?どうしたの?」

 ヘカテーの行動に周囲の警戒を強めつつ、ヘカテーに気付かれない様、平穏を装いながらそう聞き返した。

 この子はのんびりとしていることが多いが、時折私が気付かなかったことに気付くことがある。

 と、警戒していると、ヘカテーの表情が喜色満面になった。

「この魔力の感じはーーー!!」

 そう言うと、羽を広げて飛んで行ってしまった。

「ちょっ!ヘカテー!?」

 いきなりのヘカテーの行動に驚きつつ、急いで影から飛行の魔術式を付加させた魔石を取り出すとそれを叩き割った。

 すると、体が軽くなり、そのまま私の体は宙に浮いた。そして、そのまま飛んで行ってしまったヘカテーを追いかけて飛んで行った。



〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜



「ヘカテー!!どうしたのーー!!って早!!!」

 魔術を最大限に発揮し追いかけているが距離を保つので精一杯である。

 あんな力いったいどこから出しているのだろうか。

 普段の姿からは全く想像がつかない…。

「ん?この魔力って確か…」

 ヘカテーを追っていると感じたことのある魔力を感じた。

 それと同時にすごく嫌な予感がしたのだが、気のせいだと信じたい…。

 そんな魔力と一緒に別の魔物の気配も感じる。

 数にして2人、いや、魔物の番になっていない男性の気配も感じる。

 一体どんな関係だろうか…。

「アメリちゃーーーーーん!!」

「キャーーー!!」

 って、そんな事考える場合じゃない!

 あのスピードのまま低空タックルをかましやがった!!

 嫌な予感が当たってしまったな…。

 魔力を感じていた魔物達が目視できるところまで近づいたが、ワーシープとエンジェルとは、すごい組み合わせだな。

 って、それよりも今は、抱きしめながら頬擦りをするヘカテーを早く止めないと!!

「後ろから襲うな!バカたれ!!」

 スパーン!!

「キャフッ!!」

 着地の勢いと体のバネを生かしヘカテーの顔面にいつものハリセンを叩きこんだ。

 もちろん、ヘカテーの腕に抱かれいるアメリ様を巻き込まないように気を付けだながらだけどね。

「全く…。いきなり飛び出したと思ったらこれか…。アメリ様、お久しぶりです。お怪我はございませんか?」

 目線を合わせる為にしゃがんでアメリ様に話しかけた。

「ぶ〜。アメリ敬語いやって言ったじゃん」

「ええ、伺いましたよ。しかし、ここは公の場でございます。公の場で主に恥をかかせないのが私達仕える者の務めでございます」

「私はロイさんより年下だもん!!」

「私が仕えるのは魔王様と旦那様、そしてその御家族でございます。アメリ様が私よりも年下であろうと私が仕える主には変わりありません」

 いかにも不機嫌そうな表情で食いついてくる。

「アメリちゃん。諦めて」

 さっきの攻撃で悶絶していたヘカテーがようやく復活したようだ。

 ふむ、ちょっと威力が足りなかったかな?

「仕事モードのロイには何言っても無駄よ。だから、敬語や態度は諦めてね」

「ぶ〜」

 膨らんだアメリ様の頬を突きながらそういうヘカテー。

 なんというか、微笑ましい光景だな。

「あ、あの〜」

「はい?」

「貴方達はどなたですか?」

 と、そんな時、ワーシープが声をかけてきた。

 そういえば、この人たちを置いてきぼりにしていたな。

 ヘカテーのせいですっか忘れていたよ。

「申し遅れました。私、魔王城で執事長を任されております“ロイ”と申します。そして、只今アメリ様を抱きしめているのが魔王第二皇女“ヘカテー”様にございます」

「あ、私サマリです」

「俺はユウロです」

「私はセレンです」

 私達の一連の流れに若干引き気味の御一行に丁寧な挨拶を行うと、皆様も返してくれた。

「皆様はアメリ様と旅をしている方でよろしいでしょうか?」

「は、はい!!」

 私の問いかけに緊張した感じに返してくれるワーシープの子。

「あれ?そういえばアメリ様。ベリリはどうしましたか?」

「ロイさんには教えないもん」

「あらら、拗ねちゃった。アメリちゃん私にも教えてくれないの?」

「ヘカテーお姉ちゃんには教えてあげる!!」

 そういうと、アメリ様がヘカテーへ耳打ちをした。

 うむむ、なんか悔しいな…。

「えぇ〜!ベリリちゃん旦那様見つけたんだ!!」

「そうなんだよ!!とっても幸せそうだったんだよ!!」

「やっぱりか…」

 魔物故仕方がないが本当にどうにかして欲しいものである…。

「あ、あの…、ちょっといいですか?」

 と、そんなことをしていると、ユウロ君が話しかけてきた。

「先ほど、そちらのリリムさん第二皇女って聞こえたのですが…」

「ええ、間違いではございませんよ。これでもヘカテーは魔王様の第二子にございます」

 そういうと、サマリ様達は物凄く驚いた表情になった。

 まぁ、目の前にいきなりバリバリの皇女様が現れたら驚くか。

「皆がアメリちゃんと一緒に旅をしている人たちね。アメリちゃんと一緒にいてくれてありがとうね」

「い、いえ…。私たちもアメリちゃんと好きで一緒にいますので…」

 ヘカテーがにこやかに言うがサマリ様達はまだ緊張しているようである。

「皆、どうしたの?」

「いえ、だって…、本物のお姫様ですし…」

「緊張しちゃう?」

「は、はい」

 やっぱり、こんなのでもお姫様になるのか…。

 第二皇女って言わない方がよかったか。

「緊張しなくてもいいわよ。王位はお姉ちゃんが継ぐし、私はロイといれればそれで満足よ。だから、そんなに緊張しないで」

「本人もこう言っております。どうぞ緊張なさらず、アメリ様と接するようにヘカテーの相手をしてください」

「そうだよ。ヘカテーお姉ちゃんもこういっているし、サマリお姉ちゃんもユウロお兄ちゃんもセレンお姉ちゃんも緊張しなくても大丈夫だよ」

 そういうと、皆の緊張は少し解れたようだ。



「へ〜、サマリちゃんはアメリちゃんが魔物にしたんだ」

「うん!サマリお姉ちゃんはアメリが魔物にするんだって決めてたもん!!」

 その後、アメリ様のテントの中で皆で話をしていた。

 ヘカテーは相変わらず、アメリ様を膝の上に乗せたままである。

「アメリちゃんってサマリちゃんの事大好きなんだね」

「うん!アメリ、サマリお姉ちゃん大好きだよ!!」

「ア、アメリちゃん…」

「あれれ、サマリちゃんお顔真っ赤だよ」

 ヘカテーとアメリ様の会話に嬉恥ずかしいのかサマリ様の顔が真っ赤になってしまった。

 でも、満更でもなさそうである。

「サマリ、恥ずかしそうだけど嬉しそうね」

「そりゃ〜ね。アメリちゃんに“大好き”って言われて嫌な気はしないしね」

「それもそうね」

 先ほどまで、こちらを睨みつけていたエンジェルのセレン様も混ざり本当に楽しそうである。

 セレン様が睨みつけていた理由として、ヘカテーや私に警戒していたそうだ。

 まぁ、魔王の皇女と幹部だもんな。

 協会側に最近までいたエンジェルなら警戒しても当たり前か。

「セレンちゃんもアメリちゃんの隣来る?」

「いえ、結構です」

 アメリ様を右足にアメリ様を乗せ、左足をパンパンと叩いてアピールするが、断られてしまった。

「これ作ったのロイさんなんですか!?」

「作ったというより、関わったといった方が正しいですね。過去に技術部門にいたことがあったので、その伝手で協力をしただけですので。因みに、この明かりの仕組みは私の魔法の理論を使っているのですよ」

 私は私でユウロ様と話をしていた。

 内容としては、このテントの内容がほとんどである。

「やっぱり、リリムってこれくらいが普通なんですか!?」

「いえ、このテントはアメリ様の為に魔王城の技術を集めた特注品です。アメリ様はまだ小さいですが、人を引き付ける魅力があります。その為、沢山の人と入れるようにと大きく作りました」

「あ、このテントが特別なんですね」

「いえ、作ろうと思えばいくらでも作れますし、魔王城の一室や浴室はこのテントと比べ物にならないほどですよ」

 ユウロ様もやはり男の子ですね。こういう仕組みや原理にすごく興味深々である。

 このテントはアメリ様でも持ち運べるように小さいサイズに特注で作ってもらったものである。

「こんな凄い技術を持った人が魔王城にいるんですね」

「ええ、教団の待遇に不満を持った技術者がこちらに流れてきていますからね」

 流れてきた理由の大半が“お持ち帰り”なのだが、これは言わないでおいた方がよさそうですね。

「王魔界にお越しの際は是非、魔王城にお越しください。最大限におもてなしさせて頂きます」

「いえ、お気持ちはありがたいのですが…、魔界はちょっとあれなので…」

 魔王城の技術力に興味深々であったので、魔王城にいらした際は技術部を見学させようと考えていましたが、ユウロ様は申し訳なさそうな表情で断ってきた。

「ふむ。何か訳ありのようですね」

「ええ、諸事情でだれかと恋人関係になりたくないんですよ」

 ユウロ様の表情を見る限り、根の深そうな問題のようだ。

 これはあまり深入りは良くないだろう。

「そういえば、先ほど私が怪我したところを魔法で直してくれましたが、私はもう完全に光の属性を無くしてしまったのですか?」

 と、ユウロ様と話をしているとセレン様が聞いてきた。

 ヘカテーが突撃する少し前に転んで怪我をしてしまったようなので、私の治癒魔法で直してあげたのだ。

「いえ、セレン様は闇属性が出ていますが、まだ光属性ですよ」

「では、なぜ、ロイさんの魔法が聞いたのですか?私がまだ光属性ならあなたの魔法は効かないはずですよ」

「それは簡単な話です。私の魔法が光属性の魔法だからですよ」

 そういうと、セレン様とユウロ様が驚いた表情になった。

 魔法の知識のないサマリ様はきょとんとしていたが、ユウロ様が知っていたのは想定外だったな。

「なんで、リリムの旦那さんが光属性の魔法が使えるんですか!?確か、インキュバスになったら、光の属性は失われるはずですよね」

「ユウロ様よく知っていますね。確かに、普通なら光の魔法は使えなくなりますが、私の場合はちょっと特殊なので、今でも光の魔法が使えるのですよ」

「特殊ってどういうことですか?」

 セレン様が警戒しながらそう聞いてきた。

 ふむ、私が教団の一番の脅威になるかもしれない。という表情ですね。

「特殊というのは、私は『なり損ないの』インキュバスという事と、生まれた故郷が“主神信仰”ではなく“自然信仰”であったようなのが原因ですね」

「“であったよう”?なんでそんな曖昧な表現なんd…」

「サマリちゃん!!」

 サマリ様が疑問に思ったことを口に出した瞬間、ヘカテーが大声を出しサマリ様の言葉をさえぎってしまった。

「ヘカテー、気にしなくていいよ」

「でも…」

「全く、前の町であんな暴挙にでた本人の言葉とは思えないな」

 心配そうにするヘカテーをなだめると、私はサマリ様の疑問に答えた。

「曖昧な表現をする理由としましては、私は自分を生んでくれた実の両親に売られたからです」

「えっ!!」

「なっ…!」

「う、売られた!?」

「そうなの!?」

 上から、サマリ様、ユウロ様、セレン様、アメリ様の反応である。

「ええ、物心ついた頃に売られ、金貨8枚と中々いい値段で売れたみたいですよ」

「ロイ…」

 ちょっとブッラクジョークを混ぜてみたがヘカテーが余計に心配してしまったようだ。

「え、えっと…、その…。ごめんなさい…」

「気にしなくて大丈夫ですよ。親に売られたのはショックでしたが、そのおかげで私はヘカテーに会えました。ヘカテーと番になることが出来ました。それで十分です」

 過去をどんなに悔やんでも引きずっていたとしても、過去は変えられない。変えられないのなら、前を向こう。未来を良くする為に進んでいこう。

 旦那様のこの言葉にどれほど助けられた事か。

 本当に大きな人です。

「ロイさんって強いんですね」

 ユウロ様がどこか羨ましそうな雰囲気でそういってきた。

「私は決して強くありません。私が潰れずにいられるのはヘカテーのおかげです。ヘカテーがいなかったら、私は今頃廃人になっていたでしょう」

 あの苦しみから解放してくれたヘカテーの存在が今の私を支えてくれているのです。

「そ、それで、自然信仰だとなんで光属性が使えるのですか!?」

 場の空気を変える為に、セレン様が無理矢理ではあるが、話の流れを変えてきた。

「自然信仰は、主神信仰と違い自然を神として祀ります。そして、その祀る対象は一つではないので、例えインキュバスになってもそれを信仰続ければ、効果が出るのですよ」

 まぁ、これはジパング地方の信仰でこっちではあまり信仰されていないけどね。

「という訳で、私はまだ光魔法が使えるのですよ」

「な、なるほど…」

 私の説明に若干腑に落ちないような感じを見せつつも納得してくれたセレン様。

 とそんな話をしていた時だった。



グゥゥゥゥ・・・



「あれ?もしかして、アメリちゃんのお腹の音?」

「…お腹すいた…」

 若干暗くなってしまった空気の中にアメリ様の空腹を知らせる音が鳴り響いた。

 アメリ様は、ヘカテーの膝の上で顔を真っ赤にしながらお腹を押さえている。

『あはははっ!!』



 アメリ様以外がひとしきり笑った後、サマリ様はご飯を作りにキッチンの方へ行ってしまった。



〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜



「御馳走様でした!!」

「アメリ!お腹いっぱい!!」

 その後、サマリちゃんが作ってくれた夕ご飯を俺達も一緒に食べた。

 なんというか、本当に一般家庭の女の子なのか疑いたくなってしまう。

「アメリちゃんは、こんな美味しい物を毎日食べているのか。羨ましいな」

 サマリちゃんの料理に堪能し、食後のお茶を飲んでいた。

 因みに、食事の手前位で仕事の時間が終わったので素を出している。

 アメリちゃん以外は驚いていたが、理由を話したところ納得してくれた。

「ふふん、いいでしょ!」

「どうして、アメリちゃんが得意げなの?」

 自分の事のように胸を張って自慢げに言うアメリちゃんにサマリちゃんがつっこんだ。

「でも、本当においしかったよ。もう、魔王城の調理部門に推薦したいくらいだよ」

「いや、それは言い過ぎ…、って思えないのが不思議だな」

「そうですね。サマリの料理はお世辞抜きにしても美味しいですしね」

 俺の言葉にユウロ君とセレンちゃんも同意してくれた。

 それにサマリちゃんはとても照れ臭そうだったが、満更でもなさそうだった。

「サマリちゃん。どう?旅が終わったら魔王城で働かない?人はいくらいてもすぐに足りなくなるから大歓迎だよ」

「か、考えておきます…。って“足りなくなる”ってどういうことですか?」

「言葉通りの意味さ。魔王城で働いている魔物娘は夫ができるとすぐにやめて行っちゃうんだよね…。たまに、夫と一緒に働く子もいるけど、全く仕事に手がつかないんだよ…」

 気持ちは分からんでもないから、強くは言えないんだけどね…。

「さぁ、そんな話はおいておいてお風呂行きましょ〜」

「おい、話の腰を折るなよ」

 せっかく話をしていたのに、アメリちゃんを抱きかかえたままのヘカテーがにこやかにそういってきた。

 こいつ、絶対飽きてたな。

「ヘカテー話の途中なんだけど」

「いいじゃない。お風呂あがってからでも折角なんだし、女の子同士で女子トークしたいの」

「アメリもヘカテーお姉ちゃんともっとお話ししたい!!」

 ヘカテーの腕の中で元気よく言うアメリちゃん。

 テントの持ち主がこう言ったら仕方がないか。

「分かったよ…。それじゃあ、俺とユウロ君で洗い物やっておくから入っておいで」

「ロイ、ありがとう!!それじゃあ、アメリちゃん達行きましょう」

「うん!!サマリお姉ちゃん、セレンお姉ちゃん行こう!!」

 そういうと、女性陣はお風呂の方へ行ってしまった。

「それじゃ、俺は食器集めてくるよ」

「あ、俺も手伝います。流石に一人では大変だと思いますので」

「それじゃあ、手分けして集めてしまおうか」

 ユウロ君と手分けをしながら使った食器を集め始めた。

 やっぱり6人もいると量が多いな。





「ユウロ君ちょっといいかな」

「はい?どうかしましたか」

 2人で洗い物をやっている最中にちょっと気になったことを聞いてみることにした。

「私の過去の話をした時少し暗くなったよね」

「……」

 そう聞くと、ユウロ君は黙ってしまった。

「もしかして、君も同じような体験を?」

「……はい」

「そうか…、ごめんね変な話をしちゃって」

「いえ、ロイさんが悪いわけじゃないです」

 と、苦笑を浮かべながら許してくれるが、どうも気になるな。

「ユウロ君。あまり自分を縛ったらダメだよ」

「心配してくれてありがとうございます。でも、大丈夫ですから」

 ふむ、これは深く言わない方がいいかな。

 どことなく、根が深そうな印象である。

「そういえば、ヘカテーさん大丈夫かな」

 すると、ユウロ君が話題を変えてきた。

 この話題は重すぎるし、こっちの話題で話していくかな。

「大丈夫って、どういう事?」

「ヘカテーさん。結構胸が大きかったので、サマリに襲われていないか心配なんですよ」

「あらあら、ユウロ君も見るとこ見てるんだ」

「い、いや!違いますよ!!」

 そういうと、顔を真っ赤にしながら否定してきた。

 面白い反応する子だな。

 因みに、ヘカテーはJcupある。頭に行くはずだった栄養が全部胸に行った結果だろう。

「まぁ、大丈夫でしょう」

「ど、どうしてですか?」

「ユウロ君に一つ教えてあげるね」



『キャーーー!!』



 その瞬間、風呂場の方からサマリちゃんの悲鳴が聞こえてきた。

「えっ!サマリ!!」

「…リリムの性に関する興味は、君の想像以上に強いんだよ」

 魔力を耳に集中させて聞いてみると、ヘカテーの声で『あら、中々いいおっぱいね』や『これで他の人のおっぱい羨ましがるなんて、サマリちゃんは贅沢ね』などという、ヘカテーがサマリちゃんに襲いかかっている声が聞こえて来る。

 ヘカテーめ、やっぱり襲いかかったか…。

 昔から女性の胸を揉むのが好きだったからな…。

 やり過ぎる前に、魔力弾でも打ち込んでおくか…。





 それから、しばらくするとヘカテー達が出てきた。

 ヘカテーは物凄く表情が艶々しているのが、サマリちゃんは顔を真っ赤にしていた。

 湯あたりしたわけではなさそうだな…。

「ユウロ君!ユウロ君!!」

 と、上がってきたばかりで湯気をあげたままのヘカテーがユウロ君を呼んだ。

 何事かと思っているとヘカテーがユウロ君の頬を両手で揉み始めた。

「…ヘカテー。一応聞いてあげる。何しているの…?」

「サマリちゃんの間接パフパフ〜♪」

「止めろ!バカたれ!!」

 スパーーン!!

「ヒプッ!」

 本当に期待を裏切らない子である。

「全く、サマリちゃんゴメンね。ヘカテーが迷惑かけちゃって」

「いえ、大丈夫です。そういえば、ロイさんとヘカテーさんのやり取りを見て感じたんですが、ロイさんはフランちゃんを御存知ですか?」

「フランちゃん?うん。知っているよ。アメリちゃんの幼馴染だよね」

 出生率が低い魔物で幼馴染というのは珍しいからな。

 アメリちゃんとフランちゃんが生まれた時は魔王城でしばらく騒がれていたかな。

「フランちゃんの敬語についてですが…」

「敬語?あの子にはまだ早いでしょ。まだ8歳なんだし、もうちょい後でも大丈夫だよ」

 そういうと、サマリちゃんとユウロ君、アメリちゃんが驚いた表情になった。

 ん?もしかして…。

「フランちゃん。敬語話していたの?」

 そう聞くとセレンちゃん以外が首を縦に動かした。

「そういえば、魔王城でフランちゃんに敬語を教え込もうって言っていたのいたな…」

 魔王様はそこは寛容だから、後で魔王城で根回ししておくか。

「ロイさんはフランちゃんは従者として接さなくてもいいと思っているのですか?」

「ああ。主への態度はそれぞれだからね。敬語で接する事が正解じゃないからね」

 俺もヘカテーにはタメ口、または丁寧語だからな。

 人の事をとやかという事も出来ないしな。

「あの、先ほどから話題になっているフランとは誰ですか?話の流れでアメリの幼馴染でアメリの従者というのは分かったのですが、どうも訳ありのようですね」

 話の輪に入れなかったセレナちゃんがフランちゃんについて聞いてきた。

 一緒に旅をしているから知っていると思ったけど、そうでもないらしいな。

 その後は、フランちゃんとアメリちゃんの関係を話していたところ、アメリちゃんが眠そうにしてきたのでこの場はお開きになった。





 その日の夜、ヘカテーが女性陣で眠ると言い出したので、俺はユウロ君と眠ることにした。

 ユウロ君と眠るって言ったが、ベッドはもちろん別々である。

「ゴメンね。ヘカテーのわがままに付き合ってもらっちゃって」

「いえいえ、俺は一向に構いませんよ」

 そういって、自分のベッドの中に入るユウロ君。

 そんな俺も寝巻に着替え、ベッドに腰掛けていた。

「それにしても、意外でしたよ」

「ん?何が意外だったんだい」

「今まで、夫のいる魔物はみんな夜はやっていましたので、ヘカテーさんの『女の子同士で寝たい』っていうのは今まで見なかったですからね」

 基本魔物の頭の中はピンク色だからな。

「まぁ、ヘカテーは変わった子だからね。たまにこういう事あるよ」

「やっぱり、ヘカテーさんは変わっていますね」

 そういって、笑いあう俺達。

 なんというか、魔王城ではこういうことがなかったから新鮮でいいな。

「そういえば、ユウロ君はサマリちゃんとはどうなの?」

「えっ!?」

 いきなりの返しに驚きの声を上げるユウロ君。

 普段の行動を見ても、サマリちゃんに特別な感情を持っているのは明白。

 どうせ、男しかいないのだし、この機会に聞き出してしまおう。

「ど、どうって…、どういうことですか?」

「難しい事じゃないよ。好きかどうか聞いてるの」

「いや、その…」

「その様子じゃ、まだ煮え切れないようだね」

 そういうと、黙ってしまったユウロ君。

 なるほど、図星か。

「ユウロ君。君が何で、どんなことで悩んでいるかは分からないよ。でもね。君は君なんだ。他の誰でもない、君自身なんだ。過去に何があったとしても、それを変えられるのは君しかいないんだよ」

 過去に、旦那様に言われた台詞だ。

 この言葉のおかげで、どれだけ救われただろうか。

 当時は意味は全く分からなかったが、意味が分かった時心の中のしこりが外れたようなそんな気がした。

「それって、どういう意味ですか?」

「それは自分で考えような。さて、そろそろ寝よう」

 そういって、俺は自分のベッドの中に入った。

 ユウロ君が何か言っているが、これはユウロ君自身で答えを見つけないと意味がない。

 そう判断し、俺は眠りにつくことにした。





〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜





 翌日、一番早く起きて朝食の用意をしていたサマリちゃんに驚きながらも、朝食をとり出発の準備をしていた。

 一緒に行きたかったが、こちらにはこちらの事情が、アメリちゃん達にはアメリちゃん達の事情があるからここで別れることにしたのだ。

 ヘカテーは寂しそうにしていたが、今生の別れじゃないんだし、いずれ会えるだろう。

「さて、それでは行きましょうk…」

 準備が終わり別れようとしたとき、周りから不穏な気配を感じた。

「ロイさん?どうかしましたか?」

 雰囲気がいきなり変わった私にサマリ様が不審そうに聞いてきた。

「別れるはもう少し後になりそうですね」

「えっ?」

「いるのは分かっていますよ。不意打ちはもう無駄です。さっさと出てきたらどうですか」

 そういうと、私達の周辺の草むらから複数の男たちが姿を現した。

 軽装にレザー防具、ナイフや棍棒といった行動力重視の装備を見ると、盗賊なのだろう。

「へへへ、お前らよく気付いたな。なら、さっさと金目の物を置いていきな!」

 リーダー格と思われる男が不気味な笑みを浮かべながら金品を要求してきた。

「断ると言ったら?」

「この魔界銀で作ったナイフの犠牲になってもらう!!」

 なるほど、魔界銀の特性を生かし、動けなくなったところを剥ぐのか。

「なら、抵抗させて頂きます。ユウロ様」

「な、なんですか?」

「申し訳ありませんが後ろの敵はお任せいたします。私はこちら側を片付けます」

 そういって、人数が少ない後方の敵をユウロ様にお任せすることにした。

 本来ならここは、私が全ての敵を引き受けるべきなのだが、ユウロ様も腕の立つ戦士と見込み、後方の盗賊を任せることにした。

 私は愛用のナイフを持ち、戦闘態勢に入った。

「そちらがその気なら、こっちも容赦しねぇぜ!!行け!お前達!!」

 男の掛け声で、周りの男たちが一斉にかかってきた。

 私の方にも前方から2人、横から1人が襲いかかってきた。

「喰らえ!!」

「無駄です!」ガキンッ!

 私は、一番近くにいた男の攻撃を影を固めて作った盾で防ぐ。

 しかし、その瞬間に盾を消すと男はバランスを崩し、こちら側に倒れてきた。

 その男の腕をつかみ、更に後方に引っ張った。

「そらっ!!」

「ちょっ!!」

 バランスを崩した男の背中を蹴り、前方から来たもう一人の男に向かって突き飛ばす。

「はっ!!」

「ぐぎゃ!!」

 そして、蹴り飛ばした反動を利用し、後方に宙返りを決め、横から来た男の攻撃を避けると、影から短剣を作り出し、落下の勢いを借りてその男を縦一文字に切り裂いた。

「『スフィア!!』」

 切り裂いた男が前方から来た男と固まったので、機を見逃さず、すぐさまスフィアを発動させ、男達の自由を奪った。

「こっちに戦えなさそうな女たちがいるぞ!!」

「させるか!!」

 ヘカテー達を襲うとしていた男に向かって手に持っていたナイフを投げる。

 ナイフは男に向かってまっすぐ進み、腕に命中した。

「グギャァッァァァァァ!!」

 ナイフが刺さった痛みに悶える男を尻目にヘカテー達に駆け寄る。

 ヘカテーが皆を抱きしめながら守ってくれていたが、その目はとても怯えていた。

「ヘカテー!!皆様!!お怪我はありませんか!?」

「ちょ、ちょっと怖かったけど、大丈夫よ」

「わ、私も大丈夫です」

「アメリも!!」

「私も無事です」

 どうやら、男が攻撃する前に助けることができたようだ。

 そのことに安心していると、先ほどの男が起き上がってきた。

「貴様!よくもやりやがったな!!」

 そういって、手に持つ棍棒を私に向かって振り回してきた。

 闇雲に振り回しているだけなので、当たることはまずないが、このままではヘカテー達にあたってしまう。

「動きを封じさせていただきます!!『シャドープラント!!』」

 私の影と男の影が重なった瞬間、男の影からシャドープラントを発動させた。

 自分の影から現れた影の触手に驚いた男は抵抗するものの、あっという間につかまり動けなくなってしまった。

「離せ!!離しやがれ!!」

「少し黙ってろ!!」

 そういって、手に魔力を貯めると、男の腹部に叩き込んだ。

 男はうめき声をあげると、そのまま静かになってしまった。

 これで、敵の盗賊はユウロ様に任せた者と、リーダーのみ。

 ユウロ様の方を見てみると、すでの敵の相手を倒してしまったようだ。

 やはり、ユウロ様はかなりの強さを持っているようだ。

「さぁ、後はあなただけ…ってどこに行った?」

 リーダーの相手をしようとそちらを見ると、リーダーはどこかに行ってしまっていたようだ。

 気配を探るも近くにはいるようだが、姿が見えない。気配もまるで霧のように様々なところからする。

 どこにいるか探していると、ユウロ様の後ろに転がっていた敵が起き上がり、ユウロ様に向かって武器を向けていた。

 そのことにユウロ様は気付いていない。

「ユウロ様!!後ろ!!」

「ロイさん!!後ろ!!」

 危険を教えようと、ユウロ様に叫ぶとユウロ様も同じタイミングで叫んだ。

 ユウロ様に言われ後ろを確認すると、リーダーの男が短剣を振りかざし、今にも私に切りかかろうとしているところだった。

 どうやら、透明化の魔法を使っていたようだ。

 気づけないわけである。

「ちっ!気付かれたか!!」

 気付かれたことに若干悔しそうにしていたが、それでもかまわず、振り下ろしてきた。

 思わず、体が動かなくなりそうになったが、それを気合で足を一歩前に踏み込み、相手懐に潜り込んだ。

 そして、剣を持つ腕を掴むとリーダーの腹部にしたから魔力を込めた掌底を叩き込んだ。

 するとリーダーの体が少し中に浮いた。

「とどめです!!『シャドウランス』!!」

 その隙に、私の影から先のとがった槍状の突起物を発生させ、リーダーの男の体を貫いた。

 リーダーの男は「ごふっ!!」と鳴くと、そのまま動かなくなってしまった。

 死んではいないので、偶然に通りかかった魔物娘がお持ち帰りするだろう。

 ユウロ様の方を見てみると、ユウロ様も不意打ちを返し、無事のようだ。

 これで、もう大丈夫だろう。

 そう思い、スフィアを解除すると、中にいた男たちがアルプになって出てきた。

 これには流石に驚いてしまった。

 

 

「では、私たちはここで失礼いたします」

「みんな!アメリちゃんをよろしくね!!」

 先の盗賊の奇襲を返り討ちにした後、私たちは安全を考え、しばらく一緒に行動していた。

 そして、分かれ道にたどり着いた時に分かれることにした。

「はい!!任せてください!!」

「ばいばい!!ヘカテーお姉ちゃん!ロイさん!!」

「アメリちゃん達は俺が守りますので、任せてください!!」

「短い間でしたが、とても楽しかったです。よろしければまた、お会いしましょう」

 ヘカテーはアメリちゃんを抱きしめながら頬擦りしている。

 しばらく会えないから仕方ないけど、そろそろ離してあげなさい。

 そう思っていると、ヘカテーはサマリ様、セレン様、ユウロ様の順にはぐをし、耳元で何か言っているようだ。

 何を言っているかは分からないが、こういった時のヘカテーはアドバイスや何か一言いうから、気にしなくても大丈夫だろう。

 サマリ様に言った時、サマリ様が真っ赤になったのを見ると、恋愛関係のアドバイスをしたのだろう。

 でも、ユウロ様にはぐをした際、不機嫌そうな表情になったのを見ると、気にしなくても大丈夫だと思うけどな。

「っと、そうだ。アメリ様。こちら、私たちからのプレゼントです」

 そういって、布の袋をアメリ様に渡した。

「これは何?」

「ヘカテーの魔力を私が固めた物です」

 袋の中身は、黒い飴玉位の大きさに固めたヘカテーの魔力である。

「見た目は美味しくなさそうですが、味を想像しながら舐めていただけるとその味になります」

 だから、人によって味が変わってしまう。

「ヘカテーさんの魔力の塊って事は精補給剤みたいなものですか?」

「ええ、サマリ様の言うとおりに精補給剤と同じものとみて構いません。ですが、魔力の回復量は段違いです」

 精補給剤を100回復するとしたら、これは100%回復する。

「これは、魔力が枯渇しそうな時や大きな魔術を使うときにお使いください」

「うん!分かった!!ありがとう!!」

「これで、魔法を使った後にアメリちゃんのお腹が鳴くことが無くなるんですね」

「そんなに鳴らないよ!!」

 ユウロ様のからかいに、顔を真っ赤にして反論するアメリ様。

 こう見ると本当に微笑ましいな。

「いえ、アメリは高確率で魔法を使った後にお腹が鳴っていますよ」

「ぶ〜。セレンお姉ちゃんまで…」

「まぁまぁ、アメリちゃんはまだ成長期だし、仕方ないよね」

「サマリちゃん。フォローになってないよ」

 フォローをしようと思って言った事がいまいち微妙だったようだ。

 それをヘカテーが言ったせいで、アメリ様が泣きそうになってしまった。

「で、ではアメリ様。こちらはお渡ししますので、後はアメリ様の好きにしてください」

「うん。分かった」

「アメリちゃん。泣かないで」

「アメリ泣いてないもん!!」

「そうですね。アメリ様は強い子ですからこの程度ではへこたれませんよね」

 そう言って、アメリ様の頭を撫でてあげる。

 すると、気持ち良さそうに撫でられてくれた。

 こういうところを見ると、本当にヘカテーと姉妹なんだなって実感する。

 それに、これさえあれば、精の補給手段がなくても問題ないだろう。



 その後、アメリ様達と分かれた俺達。

 ヘカテーがアメリ様達が見えなくなるまで手を振っていた為、少し遅れてしまったが、問題ないだろう。

「ヘカテー」

「ん?な〜に」

「アメリ様と離れて寂しい?」

「うん。やっぱり姉妹と別れるのは寂しいわよ」

 と、ちょっと暗くなりながら答えるがすぐに、持ち前の明るい笑顔になった。

「でも、ロイといられるから寂しくないわよ!!」

「そっか。それならいいね」

 そういって、俺も笑顔になる。

 余程に寂しいなら、アメリ様達についていくことを進めてみようと思ったが、余計なお世話だったようだ。

 アメリ様達の旅の安全を願い、アメリ様の影にシャドープラントの種を植えたのは俺だけの秘密である。

 これで、何かあってもシャドープラントが守ってくれるだろう。

 彼女達の旅路に幸おおからんことを…。
14/02/28 00:09更新 / ランス
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■作者メッセージ
や、やっとできた…。

どうも作者のランスです。

今回はマイクロミー様著作の『幼き王女ときままな旅』とコラボいたしました。

依頼を出したのが一年前…、マイクロミー様大変お待たせしました!!

マイクロミー様のキャラを生かせるように頑張りましたがいかがだったでしょうか。

満足いく出来なら幸いです。

女性陣のからみはマイクロミー様、丸投げで申し訳ありませんがよろしくお願いしますorz


では、短いですがこのあたりで、また次回よろしくお願いします。

作者のランスでした!!

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