連載小説
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鍛冶屋『LILAC』と軟派な剣士 後編

カティナトの冒険者ギルドは街の北西、町の西側入り口近くに位置している。それはグランデムから来る冒険者に対する配慮も兼ねての配置なのだが、先程の一件で南東側に向かっていたルベル達にとって、ちょうど街の中央を通って反対側ということになる。
その為、ルベル達がギルドに到着した時には、既に夕暮れとなる時間だった。

「ここが冒険者ギルドだ。来んのは初めてだろ?」
「なんだか酒場、みたい」

リラがそう呟くのも、無理はなかった。入り口にある扉は入り口の大きさの半分程度しかなく、店内を隠す意図のない木製のウエスタンドアのため、店内の様子は入らなくてもよくわかる。
鍛冶屋としては少し手狭な部類に入る『LILAC』の数倍の広さはあるその店内の、カウンターへと入り口から真っ直ぐ続く道を除いて、所狭しと並べられたテーブルと椅子。
一つのテーブルにつき人、魔物を問わず誰かしらがいて、酒が入っているジョッキを手にしつつ和やかに酒を飲んだり、周りを巻き込んで騒いだり、実に賑やかな様子だった。
彼らの殆どが何らかの武器を傍らに置いているが、それがなければ普通の酒場と見間違うような光景だった。

「まぁ、その解釈も間違ってねぇよ。ここは酒場として一般開放もしてるからな。さて、さっさと用事終わらせてくっか」

キィ、と短い音を立ててドアが開く。ドアに近い方の席に座っていた何人かはこちらに目を向けたが、すぐにその視線を戻した。ルベルはわいわいと騒いでいる周囲に知り合いの姿を何人か見かける。

(なるべく顔見知りに会わねぇようにカティナトに来たっつーのに……意味なかったな、結局)

だが、彼らのことは一瞥するだけに留めて一直線にカウンターへと向かう。

「おい、マスター!!マスターはいるか!!」

カウンターの中に向かって迷惑にならない程度の大声でルベルが言うと、奥の方から、肩までの髪を一つ結びにした女性がゆったりとした動きで現れた。

「なにー?そんな大声張り上げなくても聞こえてるわようっさいなぁ……」

ふぁ…とあくびを漏らす彼女は20代にしか見えない容姿をしているが、彼女こそここカティナトの冒険者ギルドにおける受付嬢、通称マスター。
先程ルベルの言った通りに、カティナトのギルドはただの集会場や仕事の斡旋所としてだけでなく、酒場としての顔を持つ。彼女はそこのマスターも努めているため、それがそのままあだ名となり呼ばれている。
だるそうな声音は一見不真面目そうな印象を与えるが、その実彼女はこの若さにして一人で酒場のマスターとして経営を切り盛りしながら冒険者への仕事の斡旋をこなす程に優秀な手腕をほこる。その上、細い目つきと全体的にすっきりした顔立ち、余裕さえ窺える態度には彼女が人間であるにも関わらず大人の女性としての魅力を感じる未婚の冒険者も多数おり、カティナトの冒険者の間ではちょっとした有名人である。

「うわ、誰かと思えばルベル?あんた、そんな切羽詰まった顔してどうしたの?」
「単刀直入に言う。今、起きている通り魔事件の情報を教えろ」

眠たげにしていた彼女が、目蓋をしっかりと開けて表情を険しくする。

「あぁ、そういう訳。ちょっと待ってて、持ってくる」

そう言って奥に引っ込んだマスターだが、大した時間をかけずに何枚もの資料を手に戻ってきて、カウンターの上に乗せる。

「一番あんたが見たがってそうなのは……こいつね」

ガサリ、とその中から一枚だけ取りだしたマスターがルベルに差し出すと、ルベルは引ったくるようにして受け取って内容に目を通す。

『……被害者は、一名は矢が腹部に突き刺さった状態で発見。残り二名は、そこからやや離れたところで、それぞれ背や肩口から出血した状態で発見された。傷口を見る限り、その二名は斧を凶器として使用されたと思われる。また、発見されたのは早朝、通りがかりの男性によってだったため、この犯行が行われたのは……』

そこまで見て、ルベルの肩から力が抜けた。どこか張り詰めた空気が霧散し、安堵の溜息を大きく吐く。

「大方、街で流れてる噂を聞いて心配してたんでしょうけどね。見ればわかるでしょうけど、以前とは完全に別人よ。どう?情報、これでいい?」
「あぁ、充分だ……サンキューな、マスター……」

頭を下げ、ルベルは片手で右の眼を押さえる。その姿は、泣くのを必死にこらえているようにも見えた。

「それはそれでいいんだけど……ところでその子、誰?」
「はぁ?誰の話して……なんでここにいんだよ、リラちゃん」

マスターの疑問の意味が分からずにルベルが視線を辿ると、リラがぽつんと一人無言で立っていた。
彼女の性格からして、てっきり外で待っていると思っていたので、後ろにいたことに少なからず戸惑う。

「こういう店には、行ったことが、なかったから。店内の雰囲気を、見てみたくて」

なるほどな、とルベルは納得する。宝石店でも最初は宝石を見ていたし、占いのテントも呼び込みを行っている様子はなかったからおそらくリラは自主的に入っている。
寡黙な彼女だが、今日一日の行動から考えるに随分好奇心は旺盛なようだ。それならば、中が気になってもおかしくないだろう。

「それに、私とあなたは、デート中。傍にいるのは、当然」

酒場のあちこちから吹き出す音や転げる音がした。マスターはメデューサに睨まれたかのように固まっていたし、ルベルは何を言うべきか分からずに困ったような表情を浮かべていた。しかし、酒場に爆弾を投げ込んだ当の本人であるリラは、何故そのようなことになったのかわからず、不思議そうに辺りを見渡すだけだった。

「おい、聞いたか?あのルベルが違う女とデートしてるぞ……」
「あぁ、あいつロリコンになってから女に声かけることなくなったのに……」
「いや、ひょっとしたら最初っからあの子のことは捨てるつもりだったんじゃぁ……」

静寂の後に、下世話な噂話が酒場のあちこちで飛び交う。ルベルは口の端を無理矢理につり上げて笑顔を作って、震える声でリラに言う。

「なぁ、もうちょいそこで待っててくれリラちゃん……何度も悪ぃな……」

言い終わるが早いがルベルは猛然とした勢いで手近にあるテーブルへと走ると、ダン!!と力強く叩いた。

「テメェらなぁ!!俺はロリコンじゃねぇって何度言やぁわかんだぁぁ!!」

そんな怒声にも似た叫び声の後、店内は彼を中心としてよりいっそう騒がしくなった。
一連の流れをやれやれ……という顔をして見守り、溜息を吐くマスター。

「……それで?あんたは誰なの?」

ルベルが駆けていった後もじっと立ちつくすリラに、マスターは問いかける。

「私は、リラ。グランデムの、鍛冶師」
「…………」
「…………」
「…………」

淡泊な返し方の後、リラがそれ以上口を開く気がないことにマスターが気づくまでに数秒の間があった。

「……いや、そういうんじゃなくて。ルベルとどういう関係なのか聞きたいんだけど」
「ルベルクスは、私のお店の、常連客」
「へー、あいつの武器って貴方が作ったの…………いや、だから、そういうの聞きたいんじゃないんだってば!!」

ああもう!!と要領を得ない会話に焦れたマスターは単刀直入に話を切り出すことにした。

「ルベルとデートって何!?あんた、本当にあいつとデートしてるの!?」
「えぇ。私は、ルベルクスと、デートしている」

特に隠す素振りもなしにさらりと言ってのけるリラだが、その態度は余計にマスターへと衝撃を与えるだけだった。リラに聞こえない程度の小声でぶつぶつと、何かを呟いている。

嘘でしょ……あいつが仕事仲間以外の女の子連れてるところなんて初めてみたわよ……ん?じゃあ何で、せっかくのデート中なのにあんた達ここにいんの?」
「ルベルクスが、ここに来たいって、言った。私は、ついてきただけ」

今更ながらマスターが至極当然の疑問をぶつけると、やはりリラは何でもないことのように平淡な調子で言った。が、冒険者ギルドの受付嬢はそれを聞き、今度は額を手で押さえる。

「せっかくの激レアなデートの機会に何やってんのよあいつ……そんなんだからモテないんでしょうが……」

マスターはちらりとルベルの方へと視線をやる。

「だからなぁ!!あいつはてめぇらと同じ仕事上の仲間だっつぅの!!」
「おいおい、じゃああの子のお前に対する好意も無視するってのかぁ?酷い奴だなぁおめぇ」
「そもそも、あの娘は誰だ?浮気はよくねぇぞ浮気は」
「だから俺にそういう相手はいねぇ!!って言わせんな!!虚しくなるわ!!」

今もなおルベルの壮絶な弁解という名の言い訳は続いていて、彼を中心に詳しい話を聞こうと人だかりができている。それを無関係な客達が面白がって遠巻きに眺めているのはマスターにとって珍しくもない光景なのだが、楽しそうに騒いでいるルベルを見ていると、リラのことは頭にないのではないのかとも思えた。

「私は、気にしていない。行きたいところも、なかったから」
「あんた、いい娘ね……でもまぁ、一応あいつの名誉の為に言わせてもらうけど。あいつの場合、仕方ないのよ。こと通り魔に関してはね」
「……?どうして?」
「その様子から見るに、やっぱりね。流石に教えてる訳ないか……」

そこまで言うと、マスターは値踏みするような視線でリラの全身を眺める。

「口は……まぁ、サイクロプスだし固いか。今ならみんな私の話なんか聞いてないでしょうし……」

周囲を見渡しながら何かを確認しているマスターを、意図が読めずに首を傾げるリラ。

「……うん。リラ、せっかくだから貴方には話しておいてあげる。ルベルが通り魔に執着する理由。ちなみにこれ、極秘事項だから他言無用でお願いね」
「極秘、事項?どうして、私に?」
「そりゃ、デート中にわざわざこんなところ来る理由、知らないままは嫌でしょ?ま、あんたは気にしなさそうだけど。それに……あんたなら、話しても大丈夫だって気がする。これでもね、私は人を見る目なら自信あるのよ?」

マスターは自慢するようにくすりと笑った。

「エリーネラ、って誰だかわかる?」
「ルベルクスの、仲間。魔術師をしている、冒険者」

何の脈絡もないマスターの問いかけに、リラはすぐに答える。
その名前は、リラにとっても印象の強いものだった。


ニシカがまだ鍛冶屋『LILAC』へとやってくる前の出来事だ。
基本的に一人でしか来ないルベルが、珍しく別の女性を連れてやってきた。

『エリーはね、お兄ちゃんのお嫁さんなの!!』

女性とは言っても彼女、エリーネラはどう見ても年端もいかない少女だったのだが。ただ、彼女は聞いたところによれば魔女であるらしく、実年齢はどうやら見た目よりも、どこまでかはわからないが上らしい。
日頃来る度にナンパされるリラとしては、自らをルベルの嫁と名乗る少女を引き連れてきたことに表情に出さずとも驚いていた。
キリュウに至ってはルベルがリラを狙わなくなるようにと、むしろ彼女のことを応援していた。


そんな少女の名前が、どうしてここで出てきたのか。
リラがマスターの真意を掴み損ねていると、マスターはエリーが初めて鍛冶屋に来た時以上に驚きの言葉を口にした。



「その子のことだったのよ。…………通り魔っていうのは」














歩行ペースの速いリラの速度に合わせて、ルベルは生い茂る木々を人間の手で切り倒して作られた、舗装された道を歩く。
カティナトの街を日が完全に暮れる前に出たルベルとリラは、行きに通った山道ではなく、倍近くの距離がある遠回りの道を使って帰路についていた。
これは、ルベルの提案だった。ルベルは今武器を持っていないし、何より一般人のリラがいるのにわざわざ通り魔が出るかもしれない道を通る理由はない。
帰るまでに時間はかかってしまうのだが、リラはすんなりと了承してくれた。

落ちかけた夕陽がわずかに差し込む通りを歩く二人の間に会話はない。カティナトの街を出てから数十分、二人は一言も話していなかった。それこそ、行きの道では気まずい空気をどうにかしようとしてルベルが何か喋る度にリラに無視され、余計に気まずくなったものだったが、今は何を話そうか思いつかないわけではない。むしろ、話題が決まっているからこそルベルは黙って歩いていた。


『エリーネラが、心配?』

ギルドでの一悶着が終わり、そろそろ帰ろうか、と提案してきたルベルに、リラはたった一言だけそう言った。
それを聞いた瞬間、ルベルは驚いた顔でリラのことを見たが、力なく笑って『…………あぁ』と呟いた。

『けど、ちょっと待て。この辺りは人が多いから、帰り道で話をさせてくんねぇか』

それっきり、ルベルは何も言わずに歩き出して現在に至る。
途中、リラの方が歩行スピードは速いことに気がつき、後ろを歩くことにしたのだが、出来れば前を歩きたいと思う。さっきの話を聞いて以降、色んな感情が渦巻いているせいでどうにも自分がどんな顔をしているのかわからない。幸い、リラは振り向く素振りもなく真っ直ぐにグランデムへと向かっているのだが。

「…………誰から聞いた」

沈黙を破ったのは、最低限しか言葉のないルベルの質問。その口ぶりは、質問というより既にわかっている事の確認をしているようだった。

「ルベルクスが、マスターって、呼んでいた人」

歩みを止めず、振り向きもせずにリラは言う。

「やっぱりな。くそ、あのおしゃべり女が……」

ルベルは悪態をつくが、怒りと言うよりは諦めの色の強い言い方だった。

「で、どこまで聞いてんだ?」
「昔、エリーネラが、通り魔だったこと。それ以上は、知らないって、言ってた」
「……そうか」

内心で、少しマスターに感謝していた。ルベルはグランデムのギルドにエリーのことを大なり小なり報告しているので、この地域の街、特にグランデムとの境で事件が起きたカティナトには絶対報告が届いているはずなのだ。
それを全部リラに言わなかったのは、マスターなりの気遣いだろう。

(続きは自分で言えってか……)

去り際、マスターに「あんまり女の子を自分の都合で振り回すんじゃないわよ」と注意された。余計なお世話だとも思ったが、考えて見れば確かに後半はほとんどデートらしいことをしていないし、リラを放っておいた時間すらあったのだ。全く説明しないのは、いくらなんでも失礼だろう。

「……昔の話だ。俺がエリーと出会ったのも、それがきっかけだった」

意を決したルベルは、ぽつりぽつりと語り出した。

「知ってんだろうけどよ、エリーは魔女だ。魔術が好きで、そん中でも特に炎を操るのが上手ぇ。けど、魔術書を読むことしかしなかったあいつは、誰よりも無知だった。……冒険者を、悪者だと勘違いしちまうぐらいにな」

穏やかに語るルベルの話を、リラは相槌も打たずに聞いていた。背中しか見えないルベルでも、リラがちゃんと聞いてくれていることはよくわかる。

「同じサバトの魔女が冒険者に襲われたんだとよ。路地裏で囲まれて、連れ去られる寸前のところを偶然通りがかったあいつがお得意の炎でボンッ!!と助けてやったらしい。もちろん、死なねぇ程度にだけどな?でだ、厄介なことにそいつが捨て台詞に『くそ……冒険者の俺様が……こんなガキに……』なんて呟くもんだから、エリーはすっかり勘違いしちまった。……ホント、馬鹿げた話だよな」

二人の進む道をはさむように存在する木々の中に、憎々しげに吐き捨てたルベルの声が吸い込まれて消える。後には、夕陽が差し込んでいても殆ど奥の見えない深さの森が、木の葉すらざわめかせずに静かに存在するだけだった。

「普通だったらよ、そんな勘違いは誰かが笑い飛ばしてそれで終わりだったんだろうな。けど、あいつの周りには誰も居なかった。いや、自分から遠ざけてた。あいつ、俺に会うまでは魔術書読んでばっかで同じサバトの連中とも、ろくに話さなかったんだとよ。助けた奴にしたって、ただの気まぐれだったらしい。んで、勘違いは、今度は自分がやられるかも、なんて恐怖心にすり替わっていった。しかも、そいつは魔術のエキスパート。力しかねぇ無知なガキは、その力で冒険者をこらしめないと、なんて思い始めちまった。だから……あいつは、一人で馬鹿な勘違い抱えたままで、今度は自分から冒険者を襲うようになっていった。隠れやすい山道で、一人っきりの冒険者をこっそり呼び出して……怖いもんだと思い込んで、怯えながら杖を振るっていた!!」

徐々に、ルベルの語り口に激情が混ざっていた。

「あいつはなぁ!!俺と初めて会った時、ガタガタ震えながら杖の先を向けてきたんだよ!!炎を当てる度に心を痛めて!!自分で呼んだくせに目の前の冒険者に怯えて!!そんな奴なんだよ、エリーは!!人を傷つけて心の底から楽しむようなクズじゃねぇ!!魔物が……エリーが!!そんなやつなわけ、ねぇだろうがぁぁ!!」

怒りとも憤りともつかぬ叫びが、夕闇に染まる森の中で虚しく反響する。いつしかルベルも、リラも、その足を止めていた。

俯いていたルベルは、彼女の足下が目に入るまでリラがこちらを向いていることに気がつかなかった。

「……落ち、着いて」

リラはゆっくりと、けれども優しい調子で一言だけそう言った。
言われて、自分が額に汗を流していることに気がつく。ただの説明のつもりだったのに、随分と本音をぶちまけてしまったものだ。けれど、気分はいくらかすっきりしている。腹の底に溜まっていたものが、外に流れ出していったかのようだった。

「……あぁ、大丈夫だ。さんきゅーな、黙って聞いてくれて。なんか楽になった」
「そう。それなら、よかった」

ルベルが軽く笑うと、安心したような言い方で返すリラ。

「……まぁ、そういうわけだ。だから、俺はエリーのやったことをふざけて真似するようなクソ野郎はぜってーこの手で捕まえる」

ルベルは険しい表情で顔の前でぎゅっ、と手を強く握る。しかし、その顔はすぐに柔らかいものになっていった。

「けどま、それよか先にまずはリラちゃんを無事に送り届けてやらねぇとな。…………さ、そろそろ行くか」
「先に足を、止めたのは、あなた」
「あぁ、そうだったか?悪い悪い、リラちゃんが美人だからつい……」
「帰る」
「俺達今まさに帰ってる途中じゃねぇの!?」

振り向いて歩き出したリラの後を慌てて追いかけ、ルベルは隣に並んで歩く。リラは思った以上に歩くペースが速く、気をつけないとすぐに置いていかれそうだった。

(さて……帰ったら、どうすっかな)

歩きながら、ルベルの思考は隣にリラがいることさえも一旦意識の外に置き、『通り魔』を捕らえるという一点で満たされていく。

(今日中に捕まえるべきか?いや、確かあいつ、一週間はかかるとか言ってたし、帰るまではもう数日あるはずだよな……)

少し前、エリーと交わしたやりとりをぼんやりと思い出す。


『あのね、お兄ちゃん……エリー、ちょっとサバトに行ってくるね……』
『ん?おう、行ってくりゃいいじゃねぇか。なんで、んな残念そうな顔してんだ?』
『それがね…サバトのみんなにエリーが魔術の講義を開くことになって…人数多いから、一週間は向こうに泊まらないといけないの…』
『講義ぃ?そりゃまた、なんでそんな話になったんだよ?』
『最初はね、友達がエリーに魔術を教えて欲しいっていうだけだったの。けど、それを聞いてた他の人がみんな、それならエリーに教えてもらいたいって言い出して……』
『……随分人気者じゃねぇかオイ』

エリーがサバトで浮いた存在だったというのは、あくまでルベルと出会う前の話。
彼女はサバトの魔女との関わりを避けていたのではなく、単にどう関わればいいのかわからずに戸惑っていたため声をかけられなかっただけだったのだ。
その解決にはルベルの尽力もあることにはあったのだが、結果的にエリーは魔女達が誰も彼女の事を嫌っていないという本心を聞いたことをきっかけに自分から心を開いていった。
今ではサバトのみんなと仲良くやっているようで、ルベルと一緒に冒険者として活動している中で偶にサバトに顔を出しているらしい。

『それじゃあ、行ってくるね……お兄ちゃん、エリーがいない間に浮気とか絶対しないでね!!したら……燃やすよ?』
『だからてめぇのお兄ちゃんになった覚えはねぇし、てめぇが言うと洒落にならねぇんだよ!!さっさと行ってこい!!』

そんな経緯があった二日前、ルベルは久しぶりに鍛冶屋『LILAC』へと一人で顔を出した。



(だから、明日でも問題ねぇんだろうが……出来れば早めに片をつけてぇな。けど、もう夜も近いしな……)

ふと、右隣にいるリラの反対方向に視線を向ける。視界には鬱蒼と茂る木々が映るが、日が落ちてきていたために薄暗く、森の奥の様子を窺い知ることは殆どできなかった。

(くそ……いくらなんでも暗すぎんな。今日はもう諦め……)

そう結論を出して、大人しくリラと何か話していようかと思った、その時。

キラリ、と一瞬何かがルベルの視界の片隅で輝いた。

「……っ!!」

それが何かを理解する前に、ルベルの身体は動きだしていた。
リラの身体を抱き寄せると同時に地を蹴り、歩道へと二人でうつ伏せに転げる。
ヒュン、と風を切る音がして、さっきまでルベル達がいた所を矢が通過し、数歩後ろの地面へと突き刺さった。

「大丈夫か!?」
「平気」

素っ気ない一言でリラの無事を安堵しつつ体勢を整え、矢の飛んできた方向を見やる。木の太い枝の上で、大柄な男が片腕に弓を持ち悔しそうにこちらを睨んでいた。

(……まさか、通り魔か!?だとしたら、なんでこんな所に……)

状況をどうにかして冷静に判断しようとするルベルだったが、彼の耳に絶望的な宣告が届く。

「チッ……おいてめぇら!!さっさと出て来い!!」
「「「「「へい!!」」」」

木の上にいる男がそう叫ぶと同時、一斉に何人もの人影が森の中から姿を現した。10人前後の人間の男達に紛れて、何人かオークの混じったその集団は、全てが斧や剣などの武器を構えており、あっという間に路地に出てきて前と後ろの両方の進路を埋め尽くした。

それを見て、ルベルは迷わず行動を開始した。
リラの手を掴んで素早く立ち上がると、弓を持った男がいる方向とは逆の森の中へと弾かれるように駆け込んでいく。

その動作は予定していたかのように滑らかで、男達はしばらく呆気に取られてルベル達が去って行くのを眺めていた。

「っ……!!てめぇら何してんだ!!早くあいつらを捕まえて殺せ!!」
「へ、へい!!すいませんでした!!」

木の上の男のその怒声でようやく我に返った男達は、謝りながらルベル達を追いかけて走りだす。

(……畜生!!)

喉元まで出かかった言葉を、ルベルは悔しさで顔を歪ませながらあと一歩のところで飲み込んだ。
何よりも悔やんでいたのは、リラを巻き込んでしまったことだった。






「……はぁ……はぁ……ここまで、来れば……はぁ!!」

ルベルは手近な木に背を預けると、ずるずるとへたり込む。
全身から汗を流し、呼吸の乱れた彼の様子は、誰が見ても追い詰められているようにしか見えなかった。実際に彼らは今、窮地に立たされている。
暗くなってきたのが幸いしたのか、撒くことにはなんとか成功した。だが、無我夢中で走ってきたから今自分がどこにいるのか、どうやったら道に戻れるかはわからないし、闇の中からは微かに怒声も聞こえてくる。じっとしていれば、見つかるのは時間の問題だろう。

「リラちゃん……無事か?」
「私は……平気」

座ろうとしないリラは、顔に出すことこそしないものの額にうっすらと汗をかき、喋る速さもいつも以上に遅く、疲れているのは明らかだった。

「でも……まさか、別の……盗賊団が、いるなんて……」
「いや、多分…あいつらは、通り魔の真似してた奴らだ。……最初の事件は、あいつらの罠だ」

もし、以前に事件が発生した道で再び似たような事件が発生してしまった場合、その道を避けて通りたいと思うのは当然のことだろう。実際にルベル達は、まさにそう考えたからこそ、この道を通って行くことに決めたのだから。

「そう考えたやつを、今度はこっちの道で、狙って襲う……武器も一致してたし、その可能性の方があんだろうな。……くそ。あいつら、エリーの事件を利用しやがって……」

疲労しているルベルの言葉に、力はこもっていない。だが、話している内にルベルの呼吸はいくらか落ち着きを取り戻していた。

「……それで、あなたは、どうするの?」
「あぁ。……あいつら、ぶっ飛ばす」

それが、現状で出来る最善の策であるとルベルは考えていた。自分たちがどこにいるかもわからない現在の状況で、逃げるのは難しい。グランデムを目指すにせよカティナトに戻るにせよ、一時間前後の間リラを連れて走り続けるというのは体力が持たないだろうし、何より追われるリラが精神的に辛いだろう。
隠れるのもあまり逃げるのと違いはない。待ち伏せしていたのだから地の利はあちら側にある以上、じわじわ追い詰められるだけだ。
ゆっくりと、地面に手をついて、ルベルは立ち上がる。

「だから、ちょっとここで待ってろ。すぐに終わらせて来るからよ」

ルベルは軽い言い方をして、リラの横をすり抜けようとする。
その時、彼の袖口がくいっと引っ張られた。

「…どうした?待つのが怖ぇか?」
「私も、行く」

振り向いたルベルは、一瞬驚いた後に困惑する。リラは、真っ直ぐにルベルの目を見据えていた。

「…何言ってんだ、あんた」
「私も彼らに、狙われているのは、あなたと同じ。それなのに、あなた一人に、任せるのは。おかしいから、私も戦う」

追い詰められているにも関わらず、それがさも当たり前のことであるかのようにリラは言う。だが、今回に限ってルベルも簡単に聞き入れようとはしなかった。

「そういう問題じゃねぇ。そもそも俺と違って、リラちゃんは一般人じゃねぇか。そんなあんたを戦わせるわけにはいかねぇ」
「……狩りなら、山に住んでた頃、やっていた」
「ざっけんなよ!!その程度で俺が、はいそうですか、って許すわけねぇだろ!!」

自分達が今隠れなくてはいけないことも忘れ、ルベルは怒りで声を荒げる。
幸いにも、盗賊達に気づかれる様子はなかったが、そんなことは今のルベルにはどうでもよかった。

「大体、今回こっちの道に行こうって言い出したのは俺じゃねぇか!!責任とかいうんだったらな、尚更あんたにはねぇんだよ!!」

だが、そんなルベルの様子を見てもなお、リラは自分の意見を撤回しようとはしなかった。

「あなたの選択に、同意したのは、私。あなただけの、せいじゃない」
「だから!!そんだけの理由で、あんたを連れて行くわけには…!!」
「それだけ、じゃない」

常に他人の話を最後まで聞いて、自分からはあまり話そうとしない彼女が、ルベルの言葉を遮ってまで話しだした。

「あなたは、私の店の、お客様。お客様が、目の前で傷つく、かもしれないのに。放っておくなんて、私には、できない」

リラは、睨むかのようにルベルから視線を一度も外そうとしなかった。
ルベルは確信する。目の前の少女は、この先何を言っても決して譲らないだろうと。彼女を奮い立たせたのは、最初からその理由だけだったのだと。
少しだけ、その愛情を自分一人ではなくお客様にしか向けてくれないことが悔しかった。

そして、確信したことがもう一つ。

「……リラちゃん、何か考えがあるんだな?まさか、何の勝算も無しに意地張ってるんじゃねぇだろ?」

リラの落ち着いた態度を見ることで、頭が冷えたルベルが今更に声を潜めて尋ねると、こくり、とリラは静かに頷いた。

「けど、武器持ってるようには見えねぇし…ん?そいつか?」

ルベルはリラの腰、そこに提げているポーチを指差す。布でできた小さなそれの中には、完全に入りきらない小槌が一つ、顔をのぞかせていた。

「これは、違う。私の、商売道具」

リラはそっと、小槌を優しく撫でる。なぜデートにそんなものを持ってきていたのかはルベルにはわからないが、その手つきだけでも大事なものなのであろうことはなんとなく想像できた。

「んじゃ、武器どうすんだよ」
「……これ」

ぎゅっ、とリラの拳が彼女の顔の目の前で握られる。

「…リラちゃん、状況わかってて言ってんだろうな」
「わかって、いる。私達は今、とても危ない」
「それでも、使う気はねぇってか?」
「ルベルクスだって、ないって、言ってた」
「……確かに、『今は』持ってねぇって言ったけどな。まだあんだよ、とっておきが」

ルベルは手をポケットに突っ込み、中から白い物を取り出す。取り出されたのは、何の変哲もない手袋だった。ただ、一つだけ異様なことに、その手袋には両方の手の平と甲に複雑な紋様でできた魔法陣が刻まれている。

「それは、何?」
「説明は後でするけどよ、とにかく俺にはこいつがある。けど、リラちゃんはそれ以外にねぇんだろ?なのに、それでもあえて使わねぇって、そう言ってんのか?」
「えぇ。これは、人を傷つける、為のものじゃ、ない」

やはり、ためらう様子も迷う様子もリラからは少しも感じられなかった。同じだな、とルベルは思う。ルベルがどんな言葉で説得しようとしたところで、彼女は一度こうだと決めたことを、そうそう曲げようとはしないのだろう。いや、仮に説得できるとしても長い時間がかかるのは目に見えていて、時間のない現状において意味はない。

(しょうがねぇな、くそ。そんなら……せめて、護り通してやっか)

目の前の少女の視線に答えるように、ルベルは内心で静かに誓った。

「それに、武器なら、もう一個ある」
「……?」










「準備、いいか?」
「えぇ」

短いやりとりで、お互いの意志を確認しあう。迫る足音はすぐ近くに聞こえていて、とっくにルベル達の居所は割れている可能性が高かった。

「んじゃ……いくぜ!!」

パァン!!と音が鳴った。
勢いよく合わせられた、手袋をつけているはずのルベルの両手から響いた音だった。
それと同時に、合わせられた手袋が少しずつ光を帯び始めた。最初、わずかな光だったものは徐々に光量を増し、闇の中でもはっきりと手袋が見えるぐらいに明るい光となる。
すると、光はその大きさを変えていく。手袋の周りだけでなく、そこから上下に伸びていく。上に伸びていった光は手の大きさよりも若干広く、ルベルの頭を越すところまで長くなって先端を尖らせる。下に伸びた光は手の中で握れるぐらいの細さで、手から少し突き出ただけで動きを停止した。

その様はまるで、光でできた巨大な剣を構えているかのようだった。

ばちり、と雷の鳴る音がする。光だけで構成された剣が、柄から光の構成する箇所を塗り替えられて鉄の色になっていく。波が押し寄せるかのように少しずつ、光の柄は本物の柄へと姿を変えた。止まらない波は光の刀身へと及び、輝きは無骨な灰色に染められていく。
はじけるようにして光が止んだ時、その手にはルベルの身の丈ほどの長さの大剣が握られていた。
幅はルベルの腕よりも厚く、刃渡りはルベルの上半身に近い長さを有すその刀身は、それだけで見る者に迫力を与える。なにより目を引くことに、そこには絡みつく蔦のように無数のルーン語が刻まれていた。

これがルベルのとっておき、空間転移の陣の刻まれた手袋。魔術を扱えないに等しい彼の微弱な魔力にも反応して発動する、エリーの所属するサバトお手製の一品。万が一に備えて行きがけにポケットに入れてきていたのだが、こういった形で役に立つことになるとは思わなかった。

(…そういや、これもエリーのおかげなんだよな)

そんなことを呑気に考えるのと、周囲を包囲していることが頼りない明かりでもわかるぐらいの距離に盗賊達がやってくるのはほぼ同時だった。

「へ、へへ…ようやく追い詰めたぜぇ……」

数えると9人いる盗賊達は、剣を持っているルベルの姿を見てもなお、下卑た笑いを浮かべていた。ルベルがいかに迫力のある大剣を構えていようとも、この人数の差で形勢をひっくり返すことなど無理だと思っているのだろう。
じわり、じわりと盗賊達が迫ってくる。一歩、一歩と近寄られる度に、見えない圧力は増していく。
そして、ついに盗賊達が一斉に飛びかかろうとしてきたその時、ルベルはぐっと大剣を握りしめ、




その手を剣から離した。

「今だリラちゃん!!」

伏せながら叫ぶと、ルベルは両手で耳を塞ぐ。

ピィィィィィィィィィィィィィィィィ!!

次の瞬間、爆音とも形容すべき音が、森の中で炸裂した。



『それに、武器なら、もう一個ある』
『……?』
『山の方に、私の友達が、いる。だから、今から、呼ぶ』
『山ってまさか、グランデムとカティナトの間にある山のこと言ってんのか?こっからどんだけ離れてると思ってんだよ』
『だから、これ、使う』

そう言ってリラは、自身の親指と人差し指を少し丸めて口へと運ぼうとする。

『指笛で呼ぶってことか?そんなんが届くわけ……つまり、こっから届くぐらいでけぇ自信あるってことか?』
『えぇ。試したことは、ない。けれど、届く。きっと』
『……ちょっと待て』

すぅっと息を吸い込んだリラを、ルベルがそっと止める。

『呼ぶのは後にしてくんねぇか。ひょっとしたら、あんたの想像以上にそれはいい武器になるかもしれねぇ』




(正直、賭けみてぇなもんだったが……言うだけはあんじゃねーか!!)

塞いでいるルベルの耳にさえ、塞いでいる気などまるでしないボリュームの音が流れ込み、鼓膜を痛い程に振動させる。
かつて、魔王が代替わりをする以前は、サイクロプスは理性など無い凶暴な一つ目の巨人であったという。
今、彼女の口から発せられているのは、物静かな彼女のものとはとても考えられない、まさに巨人の咆哮と呼ぶにふさわしい音だった。

音が止む瞬間を見計らって、ルベルは大剣を再び拾いあげ立ち上がる。

(うっし!!これで何とか……なっ!?)

その時になって、ようやく隣にリラの姿がないことに気がついた。
慌てて辺りを見回すと、彼女はすぐに見つかる。ただし、その頃にはリラは、取り囲んでいた盗賊達の中にいたオーク達の、その傍を既に駆け抜けているところだった。

(何やってんだよあの子は……!!くそっ!!)

後を追いかけようとするルベルだったが、その目の前で斧が振るわれて反射的に足を止める。

「くそがぁぁ!!舐めやがってぇぇぇ!!オーク共ぉ!!逃げた奴を追えぇ!!」

完全に頭に血が上っている盗賊は、出鱈目に斧を振り回していた。
ルベルが足を止めたわずかの間で、指示を受けたオーク達がリラを追ってその後を走り出す。

「ぐっ…どきやがれぇ!!」

焦るルベルを嘲笑うかのように、盗賊の一人が前からやってきて剣を振るう。
後ろに飛び退いて避けたが、リラの姿は完全に見えなくなってしまった。

「リラちゃん……!!」

その攻撃に続くように背後から、横から、次々と殺到してくる刃を大剣で防ぎながらも、リラの逃げた方向へと向かってルベルは叫んだ。

「はっ、そんなに一つ目の化け物が大事かぁ!?だったら、あいつらの好きにさせるより先に、俺が直接ぶっ殺してやるよ!!」

キレていた盗賊が、罵詈雑言と共に斧を振り回す手を止めて、ルベルへ背を向けてリラの方へと駆け出す。


その盗賊の脳天に、ルベルの振り上げた大剣の峰が勢いよく振り下ろされた。
男はその衝撃で頭から地面に叩きつけられ、そのままピクリとも動かなくなる。

先程まで仲間に囲まれて為す術もなかった筈の男が、気がついたら、走り出していた仲間の一人を一撃で倒した。
盗賊達は、その光景を見ても尚、その意味を理解できずにいた。
盗賊だけで構成された円の外で背を向けているルベルに、この場にいる全員の視線が注がれていた。

「女のケツ追っかけてんじゃねぇよ、変態が」

ぽつりと一言漏らすその声には、怒りも憎しみも込められていなかった。
余裕さえ感じられる緩慢さで、ルベルは盗賊の方を振り返る。

「ま、焦んなって。てめぇら全員、俺がまとめて遊んでやるよ」

その顔は、誰よりも楽しそうに笑っていた。

「なっ……ふ、ふざけてんじゃねぇぞ、てめぇ!!」

ルベルの言葉でようやく自分達の優位を思い出した盗賊の一人が声を荒げて、ルベルに突っ込んでいく。それを皮切りにして、盗賊達は次々とルベルに明確な殺意を持って襲いかかってくる。

(わりーなリラちゃん……あんたを護って戦うのは無理みてぇだ。そっち、任せるわ……)

向かってくる盗賊達を眺めながら、ルベルは内心でリラへと謝罪する。

(けどなぁその代わり……こいつらは絶対、あんたの所へは行かせねぇ!!)

ルベルの思いに応じるかのように、指笛の音が遠くから強く鳴り響いた。




人と人、魔物と魔物。デートの終わりを飾るには余りに似つかわしくない、それぞれの戦いが始まった。
12/06/16 16:29更新 / たんがん
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■作者メッセージ
どうも、たんがんです。

9ヶ月ぶりという、以前読んで頂いた方でも忘れてしまいそうなぐらいの時間が経過してしまいましたが、なんとか無事更新ができました。

ですが、予想以上に長くなってしまい、予告していたように後編で終わりには結局できませんでした…orz
次回、終編で今度こそ完全に決着をつける予定です。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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