連載小説
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(69)ケサランパサラン
日差しが暖かく、気持ちのいい日だった。
特に用事もないため、庭先にイスを引っ張りだし、日の光に当たりながら本を読んでいた。
幾度となく読み返した、なんということのない内容だが、こういう日にはちょうどいい。
風が頬を撫で、日の光が全身に降り注ぐのを感じながら、ページをめくる。
文章を目で追うと、次の展開が脳裏に浮かんでくるが、文章が浮かぶほどではない。
一言一句漏らさぬよう、文字を読んでいく。
すると、がさがさと草をかき分ける音が響いた。
顔をそちらに向けると、庭の一角、裏の森へに面した柵の向こうに、少女が一人たっているのが目に入った。
緑色の短髪で、ふわふわとした綿毛のようなもので胸から膝までを隠している、小さな少女だ。
「わはー?」
柵の向こうから、彼女がそう問いかけた。
楽しくてたまらないといった様子で目を細ているようにも見える表情のまま首を傾げる様子は、なかなか可愛らしかった。
本を閉じ、イスとともに引っ張りだした小さなテーブルに置くと、少女に向けて手招きした。
「わははー!」
少女は手招きに声を上げると、柵をくぐって庭に入った。
そしてとてとてと短い手足を振りながら駆け寄ると、イスに飛び乗ってきた。
外見通り、綿毛のように軽い体重が微かな衝撃とともに膝の上に乗る。
「わーはー」
少女は向きを変えると、桃の上に尻を乗せ、据わりのいい場所を探るようにもぞもぞと脚を動かした。
彼女が楽に腰掛けられるよう、少しだけ脚の位置を調節してやると、満足したのか動きを止めた。
「わはは」
体をひねり、こちらを見上げながら彼女が笑う。
彼女の糸目に微笑み返すと、テーブルの上に置いていた本を取った。
そして彼女と一緒に読むような姿勢で、本を広げる。
「わはは?わはは、わーはー」
一緒日本を呼んでいるような姿勢がよほど嬉しいのか、少女は楽しげに声を上げた。
少しだけ集中は乱れるが、邪魔になるほどではない。
いわゆる、『お日様のにおい』が立ち上る彼女の緑色の髪の毛に手を乗せると、その柔らかな髪を撫でながら文字を読み進めていく。
「わはは・・・」
頭を撫でられるのが心地よいのか、少女は声を漏らした。
そのまま撫で続けると、彼女の声が小さくなり、徐々におとなしくなっていく。
髪の間に手櫛のように指を梳き入れる訳でもなく、単に髪の流れに沿って手を動かしているだけだ。
だが、それだけで少女は十分な安心感を得ているのか、体重をこちらに預ける。
「すーすー・・・」
やがて響いてきた寝息に、微笑みが自然と浮かぶ。
心地よい重みを膝の上に感じながら、ページをめくった。



日が傾き始めた頃、本を読み終えた。
表紙と裏表紙に手を当て、勢いよく本を閉じると、ぱたんと小気味いい音が響いた。
「わはっ!?」
おとなしく寝息を重ねていた少女が、本を閉じる物音に体を跳ねさせ、きょろきょろと左右を見回した。
どうやら寝ぼけているらしい。
安心させるように頭に手を乗せ、軽く緑の髪を撫でてやると、彼女はこちらを見上げた。
「わはー」
思い出してくれたようだ。
ぽんぽん、と彼女の頭を軽く撫でてから、本を傍らのテーブルに置く。
すると、何かの気配を察したのか、少女も地面に飛び降りた。
「わははー」
立ち上がり、イスを抱えると彼女はぱたぱたと玄関に駆け寄り、ドアを押し開いてくれた。
どうやら手伝ってくれるらしい。
非力ながらも、割と助かる彼女の手伝いにより、イスとテーブルはあっという間に片づいた。
庭に忘れ物がないか最後に確認していると、少女はドアを開けたまま声を上げる。
「わーはー!」
どうやら急かしているらしい。確かに、彼女の細腕では、ドアを開けたままにしているのは辛いだろう。
玄関から家にはいると、彼女はドアを閉めた。
すると、くぅ、という小さな音が家の中に響いた。
「わは・・・」
ふわふわした綿毛に覆われたおなかを押さえながら、少女が声を漏らす。
少し早いが、晩飯にするとしよう。
「わはは」
台所に向かうと、彼女が後を付いてくる。
そして台所に入るなり、彼女は私とともに調理台の前にたった。
もっとも、背丈が足りないせいで、調理台の上には目どころか頭の先の方しか出ていない。
「わはは!わはは!」
立派に手伝いでもするつもりなのか、少女がはしゃぐ。
だが、彼女に手伝ってもらうことはない。昼飯の時に準備していたスープがすでにあるからだ。
丸くて平たい溶岩石を数度たたくと、溶岩石が熱を帯び始めた。
スープ鍋を石の上に置き、軽くかき混ぜる。
昼に仕込んだおかげで完全に冷めていたスープが徐々に熱を帯び、いい香りを放ち始めた。
「わは・・・」
野菜と肉、そして香草の醸し出すスープの香りに、少女が声を漏らした。
同時に、台所にきゅうぅぅぅ、と先ほど玄関で聞いたものより長い音が響いた。
「・・・わはっ・・・」
傍らに立つ少女を見下ろすと、彼女は短く言った。
腹の虫の音は聞かなかったことにしよう。
やがて、程良くスープが温まったところで、スープ皿をとる。
大きい皿と、やや小さな皿だ。
両方に、肉も野菜も均等になるようスープを注ぐ。
「わーはっ♪」
少女は食器棚からスプーンを二本取り出すと、両手にスプーンを握りしめながら、調理台の上のスープ皿をのぞき込もうと背伸びをする。
しかし、届かない。
「わはー・・・わはっ、わはっ!」
調理台の縁をつかみ、なんとしても見てやろうと、彼女はぴょんぴょん跳ねた。
だが彼女がスープ皿を見ることはかなわず、二本の腕が二つの皿をつかみ、持ち上げてしまった。
「わーは!」
もう少しで届くところだったのに、といわんばかりに、少女が眉間に浅い皺を寄せる。
だが、それも台所をでる頃には、もうすぐご飯という期待によって皺も残さず消えていた。
小さな居間へスープ皿を運ぶと、テーブルの上に両方の皿を置いた。
すると少女は小さい皿の前のソファに飛び乗り、片方のスプーンを突きだしてきた。
「わはっ」
ありがたく彼女の運んでくれたスプーンを受け取り、代わりに小さな皿を空いた手に持たせてやる。
「わーはー・・・!」
もやもやと浮かんでくる湯気を顔に浴びながら、彼女は歓声を上げた。
「いただきます」
「わーははは!」
少女は一拍置いてから、スプーンをスープに沈め、具を掬いとった。
よく煮込まれ、透明感を帯びたキャベツを口元に運び、数度息を吹きかけて口中に入れる。
「んーんー!」
少女は頬に手を当て、声を漏らした。
どうやらお気に召したようだ。
それからしばらくの間、スープを掬う音と時折皿とスプーンがぶつかり合う音が響いた。
「わはー・・・」
最後の一口を飲み込むと、少女はふわふわの綿毛越しにおなかを擦りながら、そう声を漏らした。
ソファに体を沈め、背もたれに体重を預けるその姿は、満足の二字がよく似合っていた。
そして、彼女の分の皿も台所に運び、軽く片づけてから戻ってみると、少女はソファでうとうとしていた。
「・・・・・・」
首を傾け、徐々に体が傾き、倒れかけて身を起こす。一定間隔で身を揺らすその姿は、時計の振り子のようだった。
少々早いが、今日は寝ることにしよう。
ソファに腰掛ける彼女の背中と膝の裏に手を差し入れ、持ち上げる。
「んー・・・」
彼女は小さく声を漏らし、細い目を薄く開く。だが、それ以上目を覚ますことはなく、そのまま再び目を閉ざした。
吹けば飛んでいきそうなほど軽い彼女を抱え、居間を出て寝室に入る。
そして、少女をベッドに横たえると、衣服を脱いで彼女の隣に入った。
「おやすみ」
「んーんー・・・」
彼女は短く答えると、そのまますぅすぅと寝息を紡ぎ始めた。



綿毛を肺一杯に吸い込むと、頭の芯が痺れ、意識がぼやける。
一方で感覚は鋭利になり、肌を撫でる空気のうねりさえも感じられる。
むろんそれは屹立にも及んでおり、彼女の胎内の感覚をより鋭く意識に伝えた。
「わ・・・はぁ・・・っ!」
ベッドの上にうつ伏せになり、腰を高くあげ、小さな亀裂を大きく広げて肉棒を受け入れる彼女の姿は、見る者の心を痛ませるようであった。
しかし、未熟な女陰を裂けんばかりに広げられているはずの彼女の表情は、悦びに染まっていた。
頬を赤らめ、口を緩く開き、涎と涙で顔をぬらして喘ぎ声を漏らす。
少女より倍以上年の離れた女が浮かべるならまだしも、彼女の幼い顔立ちには不釣り合いな、淫らな表情であった。
狭く、きつく、襞さえもが伸ばされてしまった小さな女性器が肉棒を締めあげ、腰の奥を震わせる。尿道をどろどろとした何かがかけ上り、彼女の内側にほとばしる。
「わっは・・・ぁ・・・!」
うつ伏せになったまま、軽く背筋をそらして体を震わせ、彼女も達した。
そして射精が止まらぬうちに、彼女の二の腕をつかみ、挿入したままころりと体の向きを変える。
軽く反った屹立が、どうにか肉棒を受け入れる女陰の内側を擦り、彼女の四肢を震わせた。
精液が腹の奥を打つ快感に、肉棒が膣内を抉る刺激が加わり、彼女の声がひきつる。
だが、かまうことなく腰を揺する。
小さく軽い体が動かぬよう、腰を両手で押さえ込み、肉棒を引き抜いては突き入れる。
亀頭のあたりまで引き抜き、根本まで一息に挿入するを繰り返すと、膣奥を突く衝撃に彼女の身体が上下に揺れた。
一突きごとに、小さな唇から途切れ途切れの喘ぎ声が溢れる。
『わはー』などという穏やかなものではなく、濁りを帯びた、腹の奥から喉を通じて絞り出されるような声だった。
「あっ・・・がっ・・・あっ・・・!」
射精はいつしか治まっていたが、腰を揺するうち再び射精感がこみ上げてくる。
彼女の薄い胸にぽっちりと浮かぶ、小さな小さな乳頭を擦ってやると、少女の身体に力がこもった。
その痙攣はもちろん彼女の膣内にもひびき、肉棒を胎内からひりださんとばかりにきつく締めあげる。
だが、屹立はせばまる膣内にむりやり押し込み、彼女の胎内に再び白濁を放った。
「・・・・・・っ・・・!」
背筋を反らし、口を開いて声なき声を彼女は放った。
そして、射精が治まると同時に腰を引く。立て続けの射精により肉棒は固さを失っていたが、問題はない。
彼女の軽い体を持ち上げると、腰のあたりにへばりつく綿毛に顔を埋め、深く息を吸った。
綿毛が鼻や口から肺に入り込み、全身の血の巡りが加速するのがわかる。
そして、萎えていた肉棒にも血が集まり、勃起していく。
「わ・・・はぁ・・・」
一瞬気を失っていた少女が薄く眼を開き、白濁を垂れ流す小さな女陰を軽く掲げ、小さく腰を振った。
彼女の求めに、屹立が脈打つ。



眼を開くと、カーテン越しに日の光が部屋をぼんやりと明るく照らしていた。
見ると、ベッドに彼女の姿はなく、寝室の扉は開けっ放しになっていた。
ベッドから身を起こし、ガウンを羽織って寝室を出る。
「わははー」
どこからか、少女の声が小さく響いた。
声を追って足を進めると、玄関が開いているのに気が付く。
外では、庭の真ん中で少女が両手を広げてくるくると回っていた。
「わははー!」
日の光を浴びながら、くるくると回るのが楽しくてしょうがないといった様子で、彼女は声を上げた。
少なくともそこに、夜の表情や気配は一片もなかった。
あれは夢だったのか、などと考えていると、不意に一陣の風が庭を吹き抜けた。
「わはっ!」
強風に、彼女の身体がふわりと舞い上がり、青空へ巻き上げられていった。
「わはー!」
青空を背に、彼女が手を振る。
どうやらしばらくお散歩するつもりらしい。
遠のいていく彼女に向けて、手を振り返した。
ふわふわと、少女は空を漂っていった。
12/11/01 19:51更新 / 十二屋月蝕
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■作者メッセージ
ケサランパサランの綿毛を吸い込んだ状態での性行為はきわめて危険です!
とかいう内容のSSを書こうとしたら、なんかこうなってました。
それはそうと、今回は若干新しい試みをしてみましたが、やっぱりいらなかったなあと思ってます。

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