連載小説
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Cloudy Future
ヴァンパイアが倒れてから5年が経った・・・
「あん! ハンス・・・ハンス!」
「く・・・ぬあ・・・」
今夜も城の一室に嬌声が響いていた。
その部屋は王の部屋だ。
そこにいる男はもちろんハンスである。
しかし相手の女は・・・
「コゼット! そ・・・そんなに激しく動かれると・・・!」
「イキそう? イキならイッていいよ・・・ほら、ほらぁ!」
ハンスの相手は元パーティーのメンバーで女盗賊だったコゼットであった。
ハンスにまたがって激しく腰を打ち付けて精をねだっている。
「あ・・・あたしも・・・イクっ! あっ!」
短い悲鳴を上げ、コゼットがハンスの身体に倒れこむ。
腰の動きは止まったが、強烈な膣の蠕動運動がハンスを襲う。
「くっ・・キツ・・・あああ!」
耐え切れず、ハンスはコゼットの中に射精した。
「ふふふ・・・ピクピクいってる」
絶頂の余韻とハンスの性器が脈打っているのを感じながら、コゼットはうっとりと恍惚の表情を浮かべるのであった。


「んぐ・・・ねぇ、やっぱり訊いていいか?」
情事後、ハンスの性器をしゃぶって後始末をしながらコゼットが訊ねる。
「なんでミスティと別れた?」
そう、ヴァンパイアが倒れた夜に結婚の誓いを交わしたハンスとミスティは離婚していた。
そしてハンスは時をあまり隔てずにコゼットと再婚した。
「情事後の話題にしては重たいね・・・」
「でも、来週には結婚式をあげるんだよ? 気にしたまま迎えたくないって・・・あむ」
会話の合間にハンスの性器を口に含んだり、舐め上げたりしてコゼットは愛撫し続ける。
「あたしに気があったのは嬉しいさ。権力者でも、他の女を好きになって第二婦人、第三婦人、後釜と迎えるのは珍しくないさ。『あんな問題』はあったけど、あんたとミスティは仲が悪かったわけでもなかったし・・・あたしは身分的にも、過去を考えても、結婚するのに第二婦人でもちょうどよかったはずさ。だけどなぜ別れた・・・?」
「・・・・・・」
コゼットのいう『あんな問題』。
それは、ハンスの国の大地が再び魔力によって汚染され始めたという問題だ。
ヴァンパイアが倒れ、最初の2年は順調に大地は浄化されていった。
だがヴァンパイアが倒れて3年目を迎えたあたりから、浄化にブレーキがかかり始め、去年からとうとう逆に汚染が始まった。
その原因は・・・皮肉なことに、ヴァンパイアを倒したパーティーにいたウンディーネのミスティだった。
ハンスとミスティは子どもを作ろうと何度も交わった。
しかし子どもは生まれなかった。
「水の元素」が集まって生まれ、さらに「魔物の魔力」が結びつくことによって女性の身体を形成するウンディーネが子どもを宿すことは出来なかったのだ。
そしてその分、交わったときの精は魔力に変換されてしまい、ウンディーネの身体と心を蝕むこととなった。
ミスティの心は水が濁っていくかのように淫らで好色なものに変わっていき、出会ったころは透き通るようだった身体も、今は薄い紫色の何かで濁っていった。
そしてミスティの心身に呼応するかのように、ミスティが守っていた泉の水も汚染がはじまった。
国の大地の汚染はここから広がっている。
「つまり、俺たちがこの国をまた荒らしてしまったことになる・・・」
苦りきった顔で、ハンスはつぶやく。
ヴァンパイアが倒された直後に言った言葉が脳裏をよぎる。
「だからといって、別れることはなかったんじゃないのかい?」
後始末のフェラチオの手を思わず止めていたコゼットが訊ねる。
「・・・そうでもしないと、俺たちはまた欲望に身を任せて交わってしまうだろう」
ハンスの顔がさらに苦渋なものに染まる。
ミスティと別れるため、ミスティに嫌われるため、そして自分もミスティへの思いを無理に断ち切るために、ハンスはミスティを罵倒し続けた。
契約者の罵倒の言葉が苦手なウンディーネであるミスティは泣き叫びながらハンスの心を取り戻そうと抱きしめたり奉仕しようとしたりした。
そんなミスティを無理やり引き離し、罵倒し続け・・・
「つらかったよね・・・」
いつの間に涙を流していたのか、コゼットがそっとハンスのそれを拭う。
「ああ・・・」
「いいよ。だけどそこまでしたんだったら、前だけを見て、汚染された大地をまた浄化して昔のこの国の姿を取り戻そう? 国民のために、あんたの子どものために、そして・・・そこまでして別れることになったミスティのために・・・」
「・・・そうだな。だが、ひとつ言わせてくれ『俺の子ども』じゃなくて『俺たちの子ども』だ」
ハンスの言葉にニヤリと笑ってコゼットは再び彼の性器を口に咥えて舌を這わす。
盗賊時代から培われてきた性技に、ハンスの性器は再び力を取り戻していく。
「あたしたちの子どものためにも頑張ってね、ハンス王」
まもなく、ハンスの部屋に嬌声がまた響き始めた。



「・・・で、あるからして、農作物の被害を防ぐために・・・」
翌朝、朝早くからハンスは重臣たちと会議をしていた。
国土の汚染によっていろんな問題が生じている。
対策を立てなければ国民はこの国で生活することが出来ない。
「次に酪農に関してですが・・・王様、会議中にそれはどうしたことですか?」
報告をしていた重臣、内政大臣がたしなめるようにハンスを見る。
理由は・・・ハンスが股間を大きくしていたからだ。
「い・・・いや、申し訳ない。なんか急に・・・」
「おいおいハンス、会議中に何考えていたんだ? コゼットとのエッチか? 昨日も激しかったらしいしな」
ハンスの身体の変化にニヤニヤしながらラングレーが茶化す。
ちなみに彼はこの国の将軍兼軍事大臣となっている。
「ちょ・・・朝からそんなへんなこと言わないでよ!」
「とにかく、何とかしてくだされ」
「分かった分かった。心頭滅却・・・心頭滅却・・・」
ハンスが眼を閉じて心を落ち着けると、徐々に彼の性器は小さくなっていった。
「ふむ・・・話が中断してしまいましたが、酪農についてですが・・・」
内政大臣が話を再開する。
しかしどうしたことか、数秒もしないうちに、ハンスの性器は再び勃起した。
「王様! しっかりしてくだされ! 真剣な会議中ですぞ!」
「ご・・・ごめん! 心頭滅却、心頭滅却・・・煩悩退散、煩悩退散・・・」
真っ赤になりながらハンスはまた心を落ち着けようとする。
恥ずかしさのためか、先ほどより少々時間がかかったが、なんとかまた性器は小さくなった。
だが、落ち着いてから数秒後、またハンスの性器が勃起した。
「王様! いい加減にしてくだされ!」
「・・・これは、王様はふざけているわけではありません」
仏の顔も三度までとばかりに怒鳴り始めた内政大臣に対して、魔法大臣が静かに割って入る。
「これは・・・呪いの類に違いありませぬ」
会議場がざわめいた。


しばらくして呪いの様子が大体分かった。
ハンスには「意識して鎮めようとしないと勃起し続ける呪い」という、なんとも変な呪いがかけられていた。
意図的に勃起を鎮めようとしない限り、萎えることがない。
自分で慰めたりコゼットに射精に導いてもらったりすることも試したが、数分程度しかおさまらない。
致命的な呪いではないが、外見外聞は王としてよろしくないし、ハンスも苦痛のようだった。
国の魔術師がなんとかして呪いを解こうとしたが、どうしても解けない。
「一体誰がどうしてこんな呪いを・・・」
家臣たちは首をかしげた。
しかし、このことだけで立ち止まるわけにはいかない。
ハンスと家臣たちは政治を続け、そして結婚式の準備も続けられた。


「なんとか終わったな」
「ああ、なんとか・・・」
結婚式を挙げた夜、城の廊下でハンスとラングレーが会話をしていた。
結婚式は当初は城の広間を礼拝堂にして盛大に式を挙げる予定だったが、勃起をしたまま式を挙げるのは外聞が良くないので、式自体は事情を知る家臣たちのみでひっそりと挙げ、その分パレードの方を派手にすることにしたのだ。
「とは言え、式中大変だっただろう? 勃っているのを抑えようとしながら誓いの言葉を言うのは」
「まぁね。 でも誓いのキスをしている最中は我慢できなかった」
「はっはっは! 男ならそりゃ無理だ!」
「ちょ、ラングレー! 声が大きいよ」
廊下にラングレーの笑い声が響き、ハンスはあわてていさめる。
「勃っている状態で言われても説得力ねぇよ」
「くっ・・・!」
「失礼失礼。つい旅をしていたときの癖が・・・まぁ二人でいるときはいいじゃねぇか!」
「・・・まぁね」
「さて、これから夫婦としての初夜だろ? 思いっきり慰めてもらいな」
そう言ってラングレーは笑いながら自室に去っていった。
そんなラングレーを苦笑しながら見送り、ハンスはコゼットが待っているはずの王の寝室のドアを開けた・・・
10/10/18 21:52更新 / 三鯖アキラ(旧:沈黙の天使)
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■作者メッセージ
本当は17日のうちに完結させて起きたかったのですが、1章を投稿した後、飲み会に行かなければならなくなり、このような事態になりました。
お待たせしてすみません。
え? 待ってなかった?( ;ω;)

さらに、今回は人間×人間ですみません。
次回はちゃんとハンス×ミスティ・・・じゃなかった、ミスティ×ハンスにします。
あ、最初2部構成といっていたのに、3部構成にしてすみません。
後半が1万字を鼓してしまったもので・・・
そんな文字数、レポートでも書かへんで(苦笑)
でも2章も3000文字強なので、7000文字もあるのですが・・・

ではでは、最終章をお待ちください・・・

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